以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の車両用灯具10は、車両前部の左右両側にそれぞれ配置されている。
左側に配置された車両用灯具10Lと右側に配置された車両用灯具10Rとは、左右対称で実質的に同一の構成である。このため、以下、左側に配置された車両用灯具10Lを中心に説明し、右側に配置された車両用灯具10Rの説明は省略する。
図1は本発明の一実施形態である車両用灯具10Lの横断面図、図2(a)は正面図(アウターレンズ及びエクステンション無し)、図2(b)は正面図(アウターレンズ無し、エクステンション有り)、図3は側面図である。
図1に示すように、車両用灯具10Lは、アウターレンズ12、アウターレンズ12と組み合わされて灯室14を構成するハウジング16、灯室14内に配置された、合計4つのロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4(本発明の第1灯具ユニットに相当)並びに合計3つのハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3(本発明の第2灯具ユニットに相当)、各灯具ユニット18A1〜18A4、18B1〜18B3の一部を構成する複合レンズ20等を備えている。
複合レンズ20は、図1、図2(a)、図3に示すように、車両前後方向に厚みを持ち、上下方向に薄くかつ左右方向に長い帯状のレンズ体で、車両前方中央寄りの位置P1から車両側方に向かうに従って車両後方かつ斜め右上がりの方向に向かって延びている。複合レンズ20は、アクリル樹脂等の透明樹脂により一体的に成形されている。
複合レンズ20は、後方側表面22(入射面)と、前方側表面24(出射面)と、を含んでいる。
複合レンズ20の後方側表面22は、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4を構成する第1レンズ面22a1〜22a4(入射面。本発明の第1光学部材に相当)、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3を構成する第2レンズ面22b1〜22b3(入射面。本発明の第2光学部材に相当)を含んでいる。
複合レンズ20の前方側表面24は、第1レンズ面22a1〜22a4(入射面)から入射する第1光源26Aからの光及び第2レンズ面22b1〜22b3(入射面)から入射する第2光源26Bからの光が出射する共通のレンズ面で、車両前方中央寄りの位置P1から車両側方に向かうに従って車両後方かつ斜め右上がりの方向に向かって途切れることなく延びて、段差無く滑らかに連続した一枚のレンズ面を構成している。
図2(b)に示すように、複合レンズ20の周囲は、装飾部材としてのエクステンション34で覆われている。各灯具ユニット18A1〜18A4、18B1〜18B3それぞれの発光領域A1〜A4、B1〜B3は、エクステンション34に形成された開口34aから露出している。
各灯具ユニット18A1〜18A4、18B1〜18B3は、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の灯具ユニットで、それぞれの発光領域A1〜A4、B1〜B3(例えば、各レンズ面22a1〜22a4、22b1〜22b3)が、灯具正面から見て、斜め右上がりの方向に一列に並んだ状態で(図2(b)参照)、ブラケット等の保持部材36によって保持されて(図1参照)、灯室14内に配置されている。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1、18A4の発光領域A1、A4は、発光領域列(各灯具ユニット18A1〜18A4、18B1〜18B3の発光領域A1〜A4、B1〜B3)の少なくとも一端(図2(b)中左端)及び他端(図2(b)中右端)に位置して、ロービーム(第1状態)とハイビーム(第2状態)とで共通の発光領域Aを形成している(図2(b)参照)。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4とハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3とは、交互に配置されている。すなわち、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4は、一端に位置する発光領域A1から数えて奇数番目(1、3、5、7番目)に位置しており、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3は、一端に位置する発光領域A1から数えて偶数番目(2、4、6番目)に位置している。これにより、全光源26A、26Bが点灯された場合の灯具10L全体の発光領域(共通の発光領域A)をより均一なものとして視認させることが可能となる。
ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3は、灯具正面から見て、共通の発光領域A内に位置している(図2(b)参照)。本実施形態では、灯具正面から見て、一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1の発光領域A1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A4の発光領域A4との間に位置している。
図4(a)は、ロービーム用配光パターンPLoの例である。ロービーム用配光パターンPLoは、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4により形成される部分配光パターンP1Lo〜P4Loが重畳された合成配光パターンとして形成される。
図1に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1は、複合レンズ20(第1レンズ面22a1)、複合レンズ20(第1レンズ面22a1)の後方に配置され、複合レンズ20(第1レンズ面22a1、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される直射光を放出する第1光源26A等を備えている。
第1光源26Aは、ロービーム(本発明の第1状態に相当)又はハイビーム(本発明の第2状態に相当)の切替スイッチ(図示せず)によって、ロービーム又はハイビームのいずれかへ切り替えられた場合に点灯するように制御される光源で、電源回路等の給電部材(図示せず)に電気的に接続された複数の半導体発光素子等を備えている。なお、切替スイッチは、手動によるものでも電気信号によるものでもよい。
第1光源26Aを構成する複数の半導体発光素子(例えば、1mm角の発光面×4)は、セラミック製(又は金属製)基板(図示せず)の表面に一列に実装されて、横長矩形の発光面26a(図2(a)参照)を構成している。なお、半導体発光素子は、発光色が青系のLEDチップ(又はレーザーダイオード)とこれを覆う黄色系の蛍光体(例えば、YAG蛍光体)とを組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、RGB三色のLEDチップ(又はレーザーダイオード)を組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、その他構造の半導体発光素子であってもよい。
第1光源26Aは、横長矩形の発光面26aの長辺を水平とし、横長矩形の発光面26aを前方(第1レンズ面22a1)に向けた状態で、ヒートシンク28のベース部28aの前面に固定された台座部32の前面にネジ等の公知の手段を用いて固定されている。ヒートシンク28は、第1光源26Aで発生する熱を放熱して冷却する放熱部材で、ベース部28a、複数の放熱フィン28b等を備えている。ヒートシンク28は、アルミダイカスト製で、アルミ合金により一体的に成形されている。放熱フィン28bは、上下方向に延びる複数のフィンで、ベース部28aの後面に、車幅方向に所定間隔をおいて、車両後方に向かって延びた状態で設けられている。
複合レンズ20のうち、第1レンズ面22a1と前方側表面24との間のレンズ部分は、第1光源26A近傍(例えば、横長矩形の発光面26aの水平方向に延びる上端縁の中心近傍)に焦点(光学設計上の基準点又は光学的中心とも称される)が設定されたレンズ部(投影レンズ)を構成している。
第1レンズ面22a1は、その後方に配置された第1光源26A(横長矩形の発光面26a)から入射する光を制御して、ロービーム用配光パターンPLoの少なくとも一部を構成する部分配光パターンP1Lo(図4(a)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。横長矩形の発光面26aの一部は、遮光部材(図示せず)で覆われている。これにより、部分配光パターンP1Loは、カットオフラインCLを含むものとなる。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1は、複合レンズ20(第1レンズ面22a1、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第1光源26A(横長矩形の発光面26a)からの直射光(図5(a)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP1Lo(図4(a)参照)を形成する。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A2は、上記説明したロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1と比べ、第1レンズ面22a1に代えて、第1レンズ面22a2を用いている点が相違し、それ以外、上記説明したロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1と同様の構成である。
第1レンズ面22a2は、その後方に配置された第1光源26A(横長矩形の発光面26a)から入射する光を制御して、ロービーム用配光パターンPLoの少なくとも一部を構成する、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP2Lo(図4(a)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A2は、複合レンズ20(第1レンズ面22a2、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第1光源26A(横長矩形の発光面26a)からの直射光(図5(a)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP2Lo(図4(a)参照)を形成する。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A3は、上記説明したロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1と比べ、第1レンズ面22a1に代えて、第1レンズ面22a3を用いている点が相違し、それ以外、上記説明したロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1と同様の構成である。
第1レンズ面22a3は、その後方に配置された第1光源26A(横長矩形の発光面26a)から入射する光を制御して、ロービーム用配光パターンPLoの少なくとも一部を構成する、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP3Lo(図4(a)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A3は、複合レンズ20(第1レンズ面22a3、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第1光源26A(横長矩形の発光面26a)からの直射光(図5(a)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP3Lo(図4(a)参照)を形成する。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A4は、上記説明したロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1と比べ、第1レンズ面22a1に代えて、第1レンズ面22a4を用いている点が相違し、それ以外、上記説明したロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1と同様の構成である。
第1レンズ面22a4は、その後方に配置された第1光源26A(横長矩形の発光面26a)から入射する光を制御して、ロービーム用配光パターンPLoの少なくとも一部を構成する、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP4Lo(図4(a)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A4は、複合レンズ20(第1レンズ面22a4、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第1光源26A(横長矩形の発光面26a)からの直射光(図5(a)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、カットオフラインCLを含む部分配光パターンP4Lo(図4(a)参照)を形成する。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4によれば、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ロービーム又はハイビームのいずれかへ切り替えられた場合に、各灯具ユニット18A1〜18A4それぞれの第1光源26Aが点灯されて、ロービーム用配光パターンPLo(部分配光パターンP1Lo〜P4Lo)を形成する(図4(a)参照)。
これとともに、図6(a)に示すように、少なくとも一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1の発光領域A1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A4の発光領域A4とが、灯具正面から見て、共通の発光領域Aを形成する。図6(a)は、第1光源26Aが点灯されている各灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4(図6(a)中のハッチング領域参照)を表している。
なお、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ロービームへ切り替えられた場合、複合レンズ20の前方側表面24(出射面)のうち、各灯具ユニット18B1〜18B3それぞれの第2光源26B前方の領域が発光する。
これは、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ロービームへ切り替えられた場合、各灯具ユニット18B1〜18B3それぞれの第2光源26Bは点灯されない(図6(a)参照)が、複合レンズ20が各レンズ面22a1〜22a4、22b1〜22b3を含んで一体的に成形されているため、各灯具ユニット18A1〜18A4それぞれの第1光源26Aからの光が、フレネル反射、内面反射等で複合レンズ20内部を導光されて、各灯具ユニット18B1〜18B3それぞれの第2光源26B前方の領域から出射することによるものである。また、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3を構成する第2レンズ面22b1〜22b3(入射面)が、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4を構成する第1レンズ面22a1〜22a4(入射面)の間に挟まれた状態で配置されていることによるものである。
図4(b)は、ハイビーム用配光パターンPHiの例である。ハイビーム用配光パターンPHiは、ロービーム用配光パターンPLoに加えて、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3により形成される部分配光パターンP1Hi〜P3Hiが重畳された合成配光パターンとして形成される。
図1に示すように、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1は、複合レンズ20(第2レンズ面22b1)、複合レンズ20(第2レンズ面22b1)の後方に配置され、複合レンズ20(第2レンズ面22b1、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される直射光を放出する第2光源26B等を備えている。
第2光源26Bは、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ハイビームへ切り替えられた場合に点灯するように制御される光源で、電源回路等の給電部材(図示せず)に電気的に接続された複数の半導体発光素子等を備えている。
第2光源26Bを構成する複数の半導体発光素子(例えば、1mm角の発光面×4)は、セラミック製(又は金属製)基板(図示せず)の表面に一列に実装されて、横長矩形の発光面26b(図2(a)参照)を構成している。なお、半導体発光素子は、発光色が青系のLEDチップ(又はレーザーダイオード)とこれを覆う黄色系の蛍光体(例えば、YAG蛍光体)とを組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、RGB三色のLEDチップ(又はレーザーダイオード)を組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、その他構造の半導体発光素子であってもよい。
第2光源26Bは、横長矩形の発光面26bの長辺を水平とし、横長矩形の発光面26bを前方(第2レンズ面22b1)に向けた状態で、ヒートシンク28のベース部28aの前面に固定された台座部32の前面にネジ等の公知の手段を用いて固定されている。
複合レンズ20のうち、第2レンズ面22b1と前方側表面24との間のレンズ部分は、第2光源26B近傍(例えば、横長矩形の発光面26bの中心近傍)に焦点(光学設計上の基準点又は光学的中心とも称される)が設定されたレンズ部(投影レンズ)を構成している。
第2レンズ面22b1は、その後方に配置された第2光源26B(横長矩形の発光面26b)から入射する光を制御して、ハイビーム用配光パターンPHiの少なくとも一部を構成する部分配光パターンP1Hi(図4(b)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。
上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B1は、複合レンズ20(第2レンズ面22b1、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第2光源26B(横長矩形の発光面26b)からの直射光(図5(b)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、部分配光パターンP1Hi(図4(b)参照)を形成する。
ハイビーム専用の灯具ユニット18B2は、上記説明したハイビーム専用の灯具ユニット18B1と比べ、第2レンズ面22b1に代えて、第2レンズ面22b2を用いている点が相違し、それ以外、上記説明したハイビーム専用の灯具ユニット18B1と同様の構成である。
第2レンズ面22b2は、その後方に配置された第2光源26B(横長矩形の発光面26b)から入射する光を制御して、ハイビーム用配光パターンPHiの少なくとも一部を構成する部分配光パターンP2Hi(図4(b)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。
上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B2は、複合レンズ20(第2レンズ面22b2、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第2光源26B(横長矩形の発光面26b)からの直射光(図5(b)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、部分配光パターンP2Hi(図4(b)参照)を形成する。
ハイビーム専用の灯具ユニット18B3は、上記説明したハイビーム専用の灯具ユニット18B1と比べ、第2レンズ面22b1に代えて、第2レンズ面22b3を用いている点が相違し、それ以外、上記説明したハイビーム専用の灯具ユニット18B1と同様の構成である。
第2レンズ面22b3は、その後方に配置された第2光源26B(横長矩形の発光面26b)から入射する光を制御して、ハイビーム用配光パターンPHiの少なくとも一部を構成する部分配光パターンP3Hi(図4(b)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。
上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B3は、複合レンズ20(第2レンズ面22b3、前方側表面24)及びアウターレンズ12を透過して前方に照射される第2光源26B(横長矩形の発光面26b)からの直射光(図5(b)参照)により、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、部分配光パターンP3Hi(図4(b)参照)を形成する。
上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3によれば、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ハイビームへ切り替えられた場合に、各灯具ユニット18A1〜18A4それぞれの第1光源26Aに加えて、各灯具ユニット18B1〜18B3それぞれの第2光源26B(すなわち、全光源26A、26B)が点灯されて、ハイビーム用配光パターンPHi(部分配光パターンP1Lo〜P4Lo、P1Hi〜P3Hi)を形成する(図4(b)参照)。
これとともに、図6(b)に示すように、少なくとも一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1の発光領域A1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A4の発光領域A4とが、灯具正面から見て、共通の発光領域Aを形成する。図6(b)は、第1光源26Aが点灯されている各灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4(図6(b)中のハッチング領域参照)、第2光源26Bが点灯されている各灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3(図6(b)中のハッチング領域参照)を表している。ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3は、灯具正面から見て、共通の発光領域A内に位置している。その結果、ロービーム又はハイビームのいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た灯具10L全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)と視認されることになる。
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具10L、10Rによれば、次の利点を生ずる。
第1に、ロービーム(第1状態)又はハイビーム(第2状態)のいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)車両用灯具(例えば、車両用前照灯)を提供することが可能となる。
これは、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4が、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見て、ロービーム(第1状態)とハイビーム(第2状態)とで共通の発光領域Aを形成しており、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3が、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見て、共通の発光領域A内に位置している結果、ロービーム(第1状態)又はハイビーム(第2状態)のいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)と視認されることによるものである。
なお、第1灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4間の距離(すなわち、第2灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3の幅)を、15mm以下とするのが望ましい。
このようにすれば、ロービーム(第1状態)又はハイビーム(第2状態)のいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置がより一定(又はほぼ一定)で、より変化しない(又はほぼ変化しない)車両用灯具(例えば、車両用前照灯)を提供することが可能となる。
第2に、ロービーム(第1状態)へ切り替えられたときとハイビーム(第2状態)へ切り替えられたときとで、外観の意匠に統一感を持たせること、すなわち、外観の意匠に優れた車両用灯具を実現することが可能となる(同一領域発光)。
これは、ロービーム(第1状態)又はハイビーム(第2状態)のいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)と視認されることによるものである。
第3に、ロービーム(第1状態)へ切り替えられたときとハイビーム(第2状態)へ切り替えられたときとで、当該車両用灯具10L(10R)を搭載した車両に対して対向車や歩行者が認識する距離感が変化するのを抑制し得る。
これも、ロービーム(第1状態)又はハイビーム(第2状態)のいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)と視認されることによるものである。
第4に、全光源26A、26Bが点灯された場合の灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)をより均一なものとして視認させることが可能となる。これは、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4とハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3とが、交互に配置されていることによるものである。
第5に、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側方)から見た灯具10L(10R)全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置がより一定で、より変化しない車両用灯具を提供することが可能となる。あるいは、車両用灯具10L(10R)を、灯具正面から見たときだけでなく、灯具側面から見たときでも、一体的なものとして視認させることが可能となる。これは、主に、前方側表面24が共通で一枚の出射面とされていることによるものである。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域が4つ(A1〜A4)、ハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域が3つ(B1〜B3)の例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域は、少なくとも2つ以上(例えば、A1、A2)で、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側方)から見て、共通の発光領域Aを形成している(以下、第1条件と称する)限り、4つに限定されない。同様に、ハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、少なくとも1つ以上(例えば、B1)で、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側方)から見て、共通の発光領域A内に位置している(以下、第2条件と称する)限り、3つに限定されない。
例えば、図7(a)に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットは2つ(例えば、18A1、18A2)、ハイビーム専用の灯具ユニットは1つ(例えば、18B1)であってもよい。
また、上記実施形態では、各灯具ユニット18A1〜18A4、18B1〜18B3それぞれの発光領域A1〜A4、B1〜B3が、灯具正面から見て、斜め右上がりの方向に一列に並んだ状態で配置されている(図2(b)参照)例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、上記第1条件及び第2条件を満たしている限り、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域及びハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、斜め右上がりの方向に一列に並んだ状態に限定されない。
例えば、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域及びハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、上下方向に一列に並んだ状態で配置されていてもよいし(図7(b)参照)、左右方向に一列に並んだ状態で配置されていてもよい(図7(c)参照)し、斜め左上がりの方向に並んだ状態で配置されていてもよい。あるいは、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域及びハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、上下方向、左右方向、斜め方向(斜め右上がりの方向、斜め左上がりの方向)のうち、少なくとも2つを組み合わせた方向に並んだ状態で配置されていてもよい。例えば、図8に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域及びハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、左右方向と斜め方向(斜め右上がりの方向)とを組み合わせた方向に並んだ状態で配置されていてもよい。あるいは、図9(a)〜図9(c)に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域及びハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、一列に限らず、二列に並んだ状態で配置されていてもよいし、三列以上に並んだ状態で配置されていてもよい。あるいは、図10(a)〜図10(c)に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットの発光領域及びハイビーム専用の灯具ユニットの発光領域は、列状にではなく、散点的に並んだ状態で配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、共通の発光領域Aが矩形形状である(図2(b)参照)例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、上記第1条件及び第2条件を満たしている限り、共通の発光領域Aは、矩形形状に限定されない。
例えば、図8、図11に示すように、共通の発光領域Aは、矩形形状以外の三角形状等の多角形状又は曲線部を含む形状であってもよい。
また、上記実施形態では、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4とハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3とを、交互に配置した(図2(b)参照)例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、上記第1条件及び第2条件を満たしている限り、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4の発光領域A1〜A4とハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の発光領域B1〜B3とは、交互に配置されていなくてもよい。
例えば、発光領域を、A1、A2、A3、B1、B2、B3、A4のように片寄せて配置してもよいし、それ以外の順に配置してもよい。
また、上記実施形態では、第1レンズ面22a1〜22a4(入射面)、第2レンズ面22b1〜22b3(入射面)及び前方側表面24を含んで一体的に成形された複合レンズ20を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、複合レンズ20に代えて、第1レンズ面22a1を含むレンズ部、第1レンズ面22a2を含むレンズ部・・・、第2レンズ面22b1を含むレンズ部、第2レンズ部22bを含むレンズ部・・・のように、一体的にではなく、物理的に分離して構成された複数のレンズ部を用いてもよい。
また、上記実施形態では、灯具ユニット18A1〜18A4(本発明の第1灯具ユニットに相当)がロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットであり、灯具ユニット18B1〜18B3(本発明の第2灯具ユニットに相当)がハイビーム専用の灯具ユニットである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第1灯具ユニットと第2灯具ユニットとは、次の組合せであってもよい。
(1)第1灯具ユニット(ロービーム)と第2灯具ユニット(フォグランプ)との組合せ。
(2)第1灯具ユニット(ロービーム)と第2灯具ユニット(AFS用付加配光)との組合せ。
(3)第1灯具ユニット(ロービーム)と第2灯具ユニット(FullAFS用付加配光(欧州法規ECE No.123))との組合せ
(4)第1灯具ユニット(ロービーム)と第2灯具ユニット(ADB付加配光)との組合せ。
(5)第1灯具ユニット(ロービーム)と第2灯具ユニット(コーナリングランプ)との組合せ。
(6)第1灯具ユニット(ポジションランプ)と第2灯具ユニット(ロービーム)との組合せ。
(7)第1灯具ユニット(ポジション)と第2灯具ユニット(DRL)との組合せ。
また、上記実施形態では、切替スイッチの第2状態がハイビームの例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第2状態は、ADB制御による複数配光パターン(例えば、特開2010−67417号公報中のハイビーム/DRL)を形成する状態であってもよい。この場合、第2灯具ユニットのみをADB構成(すなわち、ADB付加配光を形成する灯具ユニット)とするのが望ましい。
また、上記実施形態では、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4とハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3を、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の灯具ユニットとして構成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、上記第1条件及び第2条件を満たしている限り、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18A1〜18A4は、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の灯具ユニットに限定されない。
例えば、図12、図13(a)、図13(b)に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットを、第1光源26A(半導体発光素子)、第1光学部材としてのドーム状のリフレクタ40A、シェード42、複合レンズ20を含むいわゆるプロジェクタ型の灯具ユニット18C1〜18C4として構成してもよい。同様に、ハイビーム専用の灯具ユニットを、第2光源26B(半導体発光素子)、第2光学部材としてのドーム状のリフレクタ40B、複合レンズ20を含む(シェード無し)いわゆるプロジェクタ型の灯具ユニット18D1〜18D3として構成してもよい。
各灯具ユニット18C1〜18C4、18D1〜18D3の発光領域C1〜C4、D1〜D3(例えば、各レンズ面22a1〜22a4、22b1〜22b3)は、例えば、灯具正面から見て、斜め右上がりの方向に一列に並んだ状態で、ブラケット等の保持部材(図示せず)によって保持されて、灯室(図示せず)内に配置されている。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18C1、18C4の発光領域C1、C4は、発光領域列(各灯具ユニット18C1〜18C4、18D1〜18D3の発光領域C1〜C4、D1〜D3)の少なくとも一端及び他端に位置して、ロービーム(第1状態)とハイビーム(第2状態)とで共通の発光領域Aを形成している。
ハイビーム専用の灯具ユニット18D1〜18D3の発光領域D1〜D3は、灯具正面から見て、共通の発光領域A内に位置している。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18C1〜18C4によれば、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ロービーム又はハイビームのいずれかへ切り替えられた場合に、各灯具ユニット18C1〜18C4それぞれの第1光源26Aが点灯される。灯具ユニット18C1〜18C4それぞれのリフレクタ40Aで反射されて前方に照射される各第1光源26Aからの光(図13(a)参照)は、図4(a)に示すロービーム用配光パターンPLo(部分配光パターンP1Lo〜P4Lo)と同様のロービーム用配光パターンを形成する。
これとともに、図6(a)と同様に、少なくとも一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18C1の発光領域C1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18C4の発光領域C4とが、灯具正面から見て、共通の発光領域Aを形成する。
また、上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18D1〜18D3によれば、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ハイビームへ切り替えられた場合に、各灯具ユニット18C1〜18C4それぞれの第1光源26Aに加えて、各灯具ユニット18D1〜18D3それぞれの第2光源26B(すなわち、全光源26A、26B)が点灯される。灯具ユニット18D1〜18D3それぞれのリフレクタ40Bで反射されて前方に照射される各第2光源26Bからの光(図13(b)参照)は、図4(b)に示すハイビーム用配光パターンPHi(部分配光パターンP1Lo〜P4Lo、P1Hi〜P3Hi)と同様のハイビーム用配光パターンを形成する。
これとともに、図6(b)と同様に、少なくとも一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18C1の発光領域C1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18C4の発光領域C4とが、灯具正面から見て、共通の発光領域Aを形成する。ハイビーム専用の灯具ユニット18D1〜18D3の発光領域D1〜D3は、灯具正面から見て、共通の発光領域A内に位置している。その結果、ロービーム又はハイビームのいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た本変形例の灯具10L全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)と視認されることになる。
したがって、本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
あるいは、図14、図15(a)、図15(b)に示すように、ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニットを、第1光源26A(半導体発光素子)、第1光学部材としての反射面44Aを含むリフレクタ46Aを含むいわゆるリフレクタ型の灯具ユニット18E1〜18E4として構成してもよい。同様に、ハイビーム専用の灯具ユニットを、第2光源26B(半導体発光素子)、第2光学部材としての反射面44Bを含むリフレクタ46Bを含むいわゆるリフレクタ型の灯具ユニット18F1〜18F3として構成してもよい。
各灯具ユニット18E1〜18E4、18F1〜18F3の発光領域E1〜E4、F1〜F3(例えば、各反射面44a1〜44a4、44b1〜44b3)は、例えば、灯具正面から見て、斜め右上がりの方向に一列に並んだ状態で、ブラケット等の保持部材(図示せず)によって保持されて、灯室(図示せず)内に配置されている。
ロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18E1、18E4の発光領域E1、E4は、発光領域列(各灯具ユニット18E1〜18E4、18F1〜18F3の発光領域E1〜E4、F1〜F3)の少なくとも一端及び他端に位置して、ロービーム(第1状態)とハイビーム(第2状態)とで共通の発光領域Aを形成している。
ハイビーム専用の灯具ユニット18F1〜18F3の発光領域F1〜F3は、灯具正面から見て、共通の発光領域A内に位置している。
上記構成のロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18E1〜18E4によれば、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ロービーム又はハイビームのいずれかへ切り替えられた場合に、各灯具ユニット18E1〜18E4それぞれの第1光源26Aが点灯される。灯具ユニット18E1〜18E4それぞれのリフレクタ46Aで反射されて前方に照射される各第1光源26Aからの光(図15(a)参照)は、図4(a)に示すロービーム用配光パターンPLo(部分配光パターンP1Lo〜P4Lo)と同様のロービーム用配光パターンを形成する。
これとともに、図6(a)と同様に、少なくとも一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18E1の発光領域E1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18E4の発光領域E4とが、灯具正面から見て、共通の発光領域Aを形成する。
また、上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18F1〜18F3によれば、ロービーム又はハイビームの切替スイッチ(図示せず)によって、ハイビームへ切り替えられた場合に、各灯具ユニット18E1〜18E4それぞれの第1光源26Aに加えて、各灯具ユニット18F1〜18F3それぞれの第2光源26B(すなわち、全光源26A、26B)が点灯される。灯具ユニット18F1〜18F4それぞれのリフレクタ46Bで反射されて前方に照射される各第2光源26Bからの光(図15(b)参照)は、図4(b)に示すハイビーム用配光パターンPHi(部分配光パターンP1Lo〜P4Lo、P1Hi〜P3Hi)と同様のハイビーム用配光パターンを形成する。
これとともに、図6(b)と同様に、少なくとも一端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18E1の発光領域E1と他端に位置するロービーム及びハイビーム兼用の灯具ユニット18E4の発光領域E4とが、灯具正面から見て、共通の発光領域Aを形成する。ハイビーム専用の灯具ユニット18F1〜18F3の発光領域F1〜F3は、灯具正面から見て、共通の発光領域A内に位置している。その結果、ロービーム又はハイビームのいずれへ切り替えられた場合であっても、特定の方向(例えば、灯具正面又は灯具側面)から見た本変形例の灯具10L全体の発光領域(共通の発光領域A)の大きさや位置が一定(又はほぼ一定)で、変化しない(又はほぼ変化しない)と視認されることになる。
したがって、本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
なお、第1灯具ユニットと第2灯具ユニットは異なる光学系を用いてもよい。例えば、第1灯具ユニットをプロジェクタ型(例えば、第1灯具ユニット18C1〜18C4参照)とし、第2灯具ユニットをダイレクトプロジェクション型(例えば、第2灯具ユニット18B1〜18B3参照)としてもよい。
次に、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3及び当該各ユニット18B1〜18B3により形成される部分配光パターンP1Hi〜P3Hiの詳細について説明する。
部分配光パターンP1Hi〜P3Hiは、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散される拡散配光パターンとなり、かつ、当該拡散配光パターン中の、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の光度(最高光度)がより高くなる。部分配光パターンP1Hi〜P3Hiを拡散配光パターンとする理由は、主にハイビーム用配光パターンに対して法規が求める規格を満たすため(又は車両前方の路肩を照明するため)である。拡散配光パターン(部分配光パターンP1Hi〜P3Hi)中の、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の光度(最高光度)をより高くする理由は、遠方視認性をより向上させるためである。
まず、拡散配光パターン(例えば、部分配光パターンP1Hi〜P3Hi)中の、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の光度(最高光度)をより高くするための原理について、図面を参照しながら説明する。
図16は、灯具ユニット80(上面図)と、当該灯具ユニット80から前方に照射される光により、仮想鉛直スクリーン(灯具ユニット80の前方約25mの位置に配置されている)上に形成される拡散配光パターンPHと、を説明するための図である。
図16に示すように、灯具ユニット80は、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3と同様の、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の灯具ユニットで、光学部材82、光学部材82の後方に配置され、光学部材82を透過して前方に照射される直射光を放出する第2光源26B等を備えている。
第2光源26Bは、横長矩形の発光面26bの長辺を水平とし、横長矩形の発光面26bを前方(光学部材82)に向けた状態で、光学部材82の後方に配置されている。第2光源26Bの基準軸AX(中心軸又は光軸とも称される)は、横長矩形の発光面26bの略中心を通り、かつ、車両前後方向(発光面26bの法線方向)に延びている。
光学部材82は、第2光源26B近傍(例えば、横長矩形の発光面26bの中心近傍)に光学設計上の基準点F(光学的中心又は焦点とも称される)が設定された、基準軸AXに対して左右対称のレンズ部(投影レンズ)で、第2光源26Bの前方、かつ、基準軸AX上に配置されている。光学部材82は、アクリル樹脂等の透明樹脂により一体的に成形されている。
光学部材82は、第2光源26B(発光面26b)からの光が入射する入射面86、入射面86から光学部材82内部に入射した第2光源26B(発光面26b)からの光が出射する出射面88を含んでいる。入射面86は第2光源26B側に凸の曲面(頂部が基準軸AX上)とされ、出射面88は基準軸AXに直交する面(平面又は曲面)とされている。
光学部材82は、基準軸AX上に配置された中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)及び中央レンズ部B(本発明の第2配光制御部に相当)の外側に配置された周辺レンズ部A、C等を含んでいる。
図17(a)は光学部材82の正面図、図17(b)は光学部材82の正面図(変形例)である。
光学部材82の外形形状は、正面視で円形(又は楕円形)であってもよいし(図17(a)参照)、その他の形状、例えば、正面視で円形(又は楕円形)の上下を斜めにカットした形状(図17(b)参照)であってもよい。
上記構成の灯具ユニット80では、入射面86に対する第2光源26Bからの光の入射位置が基準軸AX近傍の位置(例えば、位置p1)から離れる(例えば、位置p2)に従って、出射面88から出射する第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の像の大きさが徐々に小さくなる。これは、入射面86が第2光源26B側に凸の曲面とされていることによるものである。すなわち、入射面86が第2光源26B側に凸の曲面とされているため、第2光源26Bと入射面86との間の距離が入射面86の基準軸AX近傍の位置(例えば、位置p1)から離れる(例えば、位置p2)に従って徐々に大きくなること、すなわち、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の見かけ上の大きさが、入射面86の基準軸AX近傍の位置(例えば、位置p1)で最大となり、基準軸AXから離れる(例えば、位置p2)に従って徐々に小さくなることによるものである。
したがって、図16に示すように、入射面86に対する第2光源26Bからの光の入射位置が基準軸AX近傍の領域(例えば、中央レンズ部Bの入射面86B上の位置p1)の場合、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)からの光は、出射角(大きさ)が最大(第1出射角θ1)の像IB(以下、光源像IBと称する)として出射面88から出射する。
光源像IBは、出射角(大きさ)が最大(第1出射角θ1)となるため、当該光源像IBを集光させて十分に収束させることができない。本実施形態では、この十分に収束されない光源像IBを用いて、基本配光パターンPHBを形成する。
一方、入射面86に対する第2光源26Bからの光の入射位置が基準軸AXから左側へ離れた領域(例えば、周辺レンズ部Aの入射面86A上の位置p2)の場合、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)からの光は、光源像IBと比べ、出射角(大きさ)が小さい(第2出射角θ2)像IA(以下、光源像IAと称する)として出射面88から出射する。同様に、入射面86に対する第2光源26Bからの光の入射位置が基準軸AXから右側へ離れた領域(例えば、周辺レンズ部Cの入射面86C上の位置p3)の場合、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)からの光は、光源像IBと比べ、出射角(大きさ)が小さい(第3出射角θ3)像IC(以下、光源像ICと称する)として出射面88から出射する。
光源像IA、ICは、光源像IBと比べ、出射角(大きさ)が小さくなる(θ1>θ2≒θ3)ため、当該光源像IA、ICを集光させて十分に収束させることができる。本実施形態では、この十分に収束される光源像IA、ICを用いて、第1付加配光パターンPHA及び第2付加配光パターンPHCを形成する。
出射面88が基準軸AXに直交する面(平面又は曲面)である場合(図16参照)、上記構成の灯具ユニット80は、光学部材82(中央レンズ部B及び周辺レンズ部A、C)を透過して前方に照射される第2光源26Bからの直射光により、図16、図18(a)に示すような、拡散配光パターンPHを形成する。
図16は拡散配光パターンPHを、光源像IA、IB、ICで表現した図、図18(a)〜図18(d)はそれぞれ、拡散配光パターンPH、第1付加配光パターンPHA、基本配光パターンPHB、第2付加配光パターンPHCを、等光度曲線で表現した図である。図18(a)〜図18(d)中、最内の等光度曲線が最も光度が高く、外側の等光度曲線ほど光度が低いことを表している。
拡散配光パターンPHは、基本配光パターンPHB(図18(c)参照)と、これに重畳される第1付加配光パターンPHA(図18(b)参照)及び第2付加配光パターンPHC(図18(d)参照)と、を含んでいる。
図18(e)〜図18(h)は、図18(a)〜図18(d)中の各配光パターンの縦軸上の0を通る横軸上の光度分布を表している。
図16に示すように、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域(例えば、中央レンズ部Bの入射面86B上の位置p1)へ入射した第2光源26Bからの光は、出射角(大きさ)が最大の光源像IB(第1出射角θ1)として出射面88から出射して、左右方向(及び上下方向)に拡散された(左右15°程度)基本配光パターンPHB(図18(c)参照)を形成する。
入射面86のうち基準軸AXから左側へ離れた領域(例えば、周辺レンズ部Aの入射面86A上の位置p2)へ入射した第2光源26Bからの光は、光源像IBと比べ、出射角(大きさ)が小さい光源像IA(第2出射角θ2)として出射面88から出射して、最大光度の位置が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の位置である第1付加配光パターンPHA(図18(b)参照)を形成する。
入射面86のうち基準軸AXから右側へ離れた領域(例えば、周辺レンズ部Cの入射面86C上の位置p3)へ入射した第2光源26Bからの光は、光源像IBと比べ、出射角(大きさ)が小さい光源像IC(第3出射角θ3)として出射面88から出射して、最大光度の位置が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の位置である第2付加配光パターンPHC(図18(d)参照)を形成する。
以上のように、上記構成の灯具ユニット80においては、出射面88が基準軸AXに直交する面(平面又は曲面)である場合(図16参照)、上記各パターンPHA、PHB、PHCが重畳された拡散配光パターンPHを、左右方向に拡散された(左右15°程度)パターンとでき(図18(a)参照)、かつ、当該拡散配光パターンPH中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度をより高くすることが可能となる。例えば、拡散配光パターンPH中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度を、従来達成できなかった35000cd程度まで高くすることが可能となる(図18(e)参照)。その結果、拡散配光パターンPHを、ハイビーム用配光パターンに対して法規が求める規格を満たすことができ(又は車両前方の路肩を照明することができ)、なおかつ、遠方視認性に優れたものとすることが可能となる。
これは、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IB(第1出射角θ1)が、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向)に拡散されて、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向)に拡散する基本配光パターンPHBを形成し、これとともに、周辺レンズ部A、C(本発明の第2配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IA、IC(第2出射角θ2、第3出射角θ3)が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に集光されて、当該交点O近傍の光度が高い第1付加配光パターンPHA及び第2付加配光パターンPHCを、上記基本配光パターンPHB中に形成することによるものである。
上記構成の拡散配光パターンPHは、光学部材82の入射面86を、次のように設計することで実現される。
まず、水平断面について説明する。
図19(a)は、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)付近の拡大横断面(第2光源26B中心から出る光の光路を含む)である。
入射面86は、基準軸AX上に、左右の光学制御面が交わる部分(凹んだエッジe1。図19(a)、図37参照)を含んでいる。図37は、光学部材82の斜視図である。エッジe1は、図37中、入射面86の上部から、入射面86の頂部を通って、下部まで延びている。エッジe1は、入射面86を下記のように設計する結果、現れる。
入射面86のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)は、次のように設計されている。
図19(a)に示すように、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して右5°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜右30°の方向へ向かう光を、0°から右30°に向かうに従って徐々に、右5°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
同様に、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して左5°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜左30°の方向へ向かう光を、0°から左30°に向かうに従って徐々に、左5°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
なお、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)は点光源ではなく一定の大きさを持っているため、入射面86から光学部材82内部に入射する第2光源26Bからの光は、図19(b)に示すような光路を辿る。
一方、入射面86のうち基準軸AXから離れた領域(周辺レンズ部A、Cの入射面86A、86C)は、次のように設計されている。
図16に示すように、入射面86の基準軸AXから離れた領域86A、86Cのうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分。すなわち、周辺レンズ部Cの入射面86C)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して右30°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
同様に、入射面86の基準軸AXから離れた領域86A、86Cのうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分。すなわち、周辺レンズ部Aの入射面86A)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して左30°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
次に、鉛直断面について説明する。
図20は、灯具ユニット80の縦断面図である。図21は、拡散配光パターンPHの横軸上の0を通る縦軸上の光度分布である。
入射面86は、基準軸AX上に、上下の光学制御面が交わる部分(凹んだエッジe2。図20、図37参照)を含んでいる。エッジe2は、図37中、入射面86の左部から、入射面86の頂部を通って、右部まで延びている。エッジe2は、入射面86を下記のように設計する結果、現れる。
入射面86のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)は、次のように設計されている。
図20に示すように、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)のうち、基準軸AXを含む水平面より下の部分は、鉛直断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して下2°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜下30°の方向へ向かう光を、0°から下30°に向かうに従って徐々に、下2°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
同様に、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)のうち、基準軸AXを含む水平面より上の部分は、鉛直断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して上2°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜上30°の方向へ向かう光を、0°から上30°に向かうに従って徐々に、上2°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
一方、入射面86のうち基準軸AXから離れた領域(すなわち、周辺レンズ部D、Eの入射面86D、86E)は、次のように設計されている。
図20に示すように、入射面86の基準軸AXから離れた領域86D、86Eのうち、基準軸AXを含む水平面より下の部分(すなわち、周辺レンズ部Eの入射面86E)は、鉛直断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して下30°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
同様に、入射面86の基準軸AXから離れた領域86D、86Eのうち、基準軸AXを含む水平面より上の部分(すなわち、周辺レンズ部Dの入射面86D)は、鉛直断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して上30°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
以上の各数値は例示であり、求められる拡散配光パターンPHのサイズや第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の形状・サイズ等に応じて、適宜の数値を用いることができる。
上記構成の灯具ユニット80(出射面88が基準軸AXに直交する面(平面又は曲面))によれば、次の利点を生ずる。
第1に、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散される拡散配光パターンPH中の、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の光度をより高くすることが可能となる。例えば、拡散配光パターンPH中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度を、従来達成できなかった35000cd程度まで高くすることが可能となる(図18(e)参照)。その結果、拡散配光パターンPHを、ハイビーム用配光パターンに対して法規が求める規格を満たすことができ(又は車両前方の路肩を照明することができ)、なおかつ、遠方視認性に優れたものとすることが可能となる。
これは、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IB(第1出射角θ1)が、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散されて、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散する基本配光パターンPHBを形成し、これとともに、周辺レンズ部A、C(本発明の第2配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IA、IC(第1出射角θ1よりも小さい第2出射角θ2、第3出射角θ3)が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に集光されて、当該交点O近傍の光度が高い第1付加配光パターンPHA及び第2付加配光パターンPHCを、上記基本配光パターンPHB中に形成することによるものである。
第2に、拡散配光パターンPH中のムラを抑制すること(すなわち、拡散配光パターンPHを、最高光度の点から周囲に向かうに従ってなだらかに光度が減少するものとすること)が可能となる(図18(e)中の矢印参照)。これにより、拡散配光パターンPH中の(光度勾配の)配光ムラ、ダーク等に起因する視認性低下の軽減が可能となる。
これは、周辺レンズ部A、C(本発明の第2配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IA、IC(第1出射角θ1よりも小さい第2出射角θ2、第3出射角θ3)が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に集光されて、当該交点O近傍の光度が高い付加配光パターンPHA、PHCが形成されること、すなわち、付加配光パターンPHA、PHC中の最高高度の位置が、従来技術のように左右にシフトすることなく、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に位置することによるものである。
以上のように、拡散配光パターンPH中のムラを抑制すること、すなわち、従来技術(例えば、図40(e)参照)と比べ、配光をムラなく連続的に形成しつつ拡散すること(例えば、図18(e)参照)が可能となる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)を、第2光源26Bから出て右方向へ向かう光を右方向へ制御し、第2光源26Bから出て左方向へ向かう光を左方向へ制御する面形状とした例(図19(a)参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図22(a)に示すように、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)を、第2光源26Bから出て右方向へ向かう光を左方向へ制御し、第2光源26Bから出て左方向へ向かう光を右方向へ制御する面形状としてもよい。
図22(a)は、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)付近(変形例)の拡大横断面(第2光源26B中心から出る光の光路を含む)である。
本変形例の入射面86は、基準軸AX上に、左右の光学制御面が交わる部分(凸のエッジe3。図22(a)参照)を含んでいる。エッジe3は、図37中と同様、入射面86の上部から、入射面86の頂部を通って、下部まで延びている。エッジe3は、入射面86を下記のように設計する結果、現れる。
図22(a)に示すように、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して左3°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜右30°の方向へ向かう光を、0°から右30°に向かうに従って徐々に、左3°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
同様に、入射面86の基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面86B)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して右3°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点)から放出されて基準軸AXに対して0°〜左30°の方向へ向かう光を、0°から左30°に向かうに従って徐々に、右3°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
なお、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)は点光源ではなく一定の大きさを持っているため、入射面86から光学部材82内部に入射する第2光源26Bからの光は、図22(b)に示すような光路を辿る。
本変形例によれば、上記実施形態の基本配光パターンPHBと同様の基本配光パターンPHBa(図23(a)〜図23(c)参照)を形成することが可能となり、上記実施形態と同様の利点を生ずる。図23(a)は基本配光パターンPHBa(変形例)を、光源像IB等で表現した図、図23(b)は基本配光パターンPHBa(変形例)の等光度曲線、図23(c)は基本配光パターンPHBa(変形例)の縦軸上の0を通る横軸上の光度分布である。
また、上記実施形態では、左右の光学制御面が交わる部分をエッジe1とした(図19(a)参照)例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図24(a)に示すように、左右の光学制御面が交わる部分をエッジe1とせず、曲面R(例えば、半径0.3mm)とし、左右の光学制御面を連続的な入射面86としてもよい。
本変形例によれば、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の大きさに比べ、曲面Rの大きさ(例えば、半径0.3mm)が小さいため、上記実施形態の基本配光パターンPHBと同様の基本配光パターンPHBb(図25(a)〜図25(c)参照)を形成することが可能となる。図25(a)は基本配光パターンPHBb(変形例)を、光源像IB等で表現した図、図25(b)は基本配光パターンPHBb(変形例)の等光度曲線、図25(c)は基本配光パターンPHBb(変形例)の縦軸上の0を通る横軸上の光度分布である。
なお、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)は点光源ではなく一定の大きさを持っているため、入射面86から光学部材82内部に入射する第2光源26Bからの光は、図24(b)に示すような光路を辿る。
第2光源26B(横長矩形の発光面26b)が小さければ小さいほど、エッジe1、e2等のシャープさ(加工R)の影響が大きくなる。エッジe1、e2等にRをつけて連続面とした場合でも、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の大きさが当該Rよりも大きいと、配光への影響を無視し得る。
入射面86の水平断面形状は、図19に示す凹んだエッジe1及び図22に示す凸のエッジe3の二通りがある。光学部材82を、金型等を用いて成形する場合、凸のエッジe3では(入れ子で当該エッジe3を分割等しない限り)、当該エッジe3に加工Rが生じるのに対して、凹んだエッジe1では、当該エッジe1を、シャープなエッジとすることができる、という利点がある。
また、上記実施形態では、出射面88を、基準軸AXに直交する面(平面又は曲面)とした例(図16参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図26に示すように、出射面88を、基準軸AXに対して傾斜(例えば、45°傾斜)した面(平面又は曲面)としてもよい。図26は、灯具ユニット80(変形例)の上面図である。
出射面88が基準軸AXに対して傾斜(例えば、45°傾斜)した面(平面又は曲面)である場合(図26参照)、上記構成の灯具ユニット80は、光学部材82(中央レンズ部B及び周辺レンズ部A、C)を透過して前方に照射される第2光源26Bからの直射光により、図27(a)に示すような、拡散配光パターンPH´を形成する。
図27(a)〜図27(d)はそれぞれ、拡散配光パターンPH´、第1付加配光パターンPHA´、基本配光パターンPHB´、第2付加配光パターンPHC´を、等光度曲線で表現した図である。図27(a)〜図27(d)中、最内の等光度曲線が最も光度が高く、外側の等光度曲線ほど光度が低いことを表している。
拡散配光パターンPH´は、基本配光パターンPHB´(図27(c)参照)と、これに重畳される第1付加配光パターンPHA´(図27(b)参照)及び第2付加配光パターンPHC´(図27(d)参照)と、を含んでいる。
図27(e)〜図27(h)は、図27(a)〜図27(d)中の各配光パターンの縦軸上の0を通る横軸上の光度分布を表している。
図26に示すように、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域(例えば、中央レンズ部Bの入射面86B上の位置p1)へ入射した第2光源26Bからの光は、出射角(大きさ)が最大の光源像IB´(第1出射角θ1´)として出射面88から出射して、左右方向に拡散された(左右15°程度)基本配光パターンPHB´(図27(c)参照)を形成する。
入射面86のうち基準軸AXから左側へ離れた領域(例えば、周辺レンズ部Aの入射面86A上の位置p2)へ入射した第2光源26Bからの光は、光源像IB´と比べ、出射角(大きさ)が小さい光源像IA´(第2出射角θ2´)として出射面88から出射して、最大光度の位置が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の位置である第1付加配光パターンPHA´(図27(b)参照)を形成する。
入射面86のうち基準軸AXから右側へ離れた領域(例えば、周辺レンズ部Cの入射面86C上の位置p3)へ入射した第2光源26Bからの光は、光源像IA´と比べ、出射角(大きさ)が小さい光源像IC´(第3出射角θ3´)として出射面88から出射して、最大光度の位置が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の位置である第2付加配光パターンPHC´(図27(d)参照)を形成する。
以上のように、本変形例の灯具ユニット80においては、出射面88が基準軸AXに対して傾斜(例えば、45°傾斜)した面(平面又は曲面)である場合(図26参照)、上記各パターンPHA´、PHB´、PHC´が重畳された拡散配光パターンPH´を、左右方向に拡散された(左右15°程度)パターンとでき(図27(a)参照)、かつ、当該拡散配光パターンPH´中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度をより高くすることが可能となる。例えば、拡散配光パターンPH´中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度を、従来達成できなかった20000cd程度まで高くすることが可能となる(図27(e)参照)。その結果、拡散配光パターンPH´を、ハイビーム用配光パターンに対して法規が求める規格を満たすことができ(又は車両前方の路肩を照明することができ)、なおかつ、遠方視認性に優れたものとすることが可能となる。
これは、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IB´が、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向)に拡散されて、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向)に拡散する基本配光パターンPHB´を形成し、これとともに、周辺レンズ部A、C(本発明の第2配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IA´、IC´(第2出射角θ2´、第3出射角θ3´)が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に集光されて、当該交点O近傍の光度が高い第1付加配光パターンPHA´及び第2付加配光パターンPHC´を、上記基本配光パターンPHB´中に形成することによるものである。
上記構成の拡散配光パターンPH´は、光学部材82の入射面86を、上記実施形態と同様又は次のように設計することで実現される。
まず、水平断面について説明する。
入射面86のうち基準軸AX近傍の領域86B(中央レンズ部Bの入射面)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出された光(第2光源26B中心の直上付近のわずかに右(もしくは左)の光)を、基準軸AXに対して左右5°の方向へ制御する形状とされている。詳細には、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域86B(中央レンズ部Bの入射面)は、横長矩形の発光面26bの左端(車両前方に向かって左端)から出て、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域86B(中央レンズ部Bの入射面)へ入射し、出射面88から出射する光を、基準軸AXに対してその反対の右側へ向かうように制御し、一方、横長矩形の発光面26bの右端(車両前方に向かって右端)から出て、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域86B(中央レンズ部Bの入射面)へ入射し、出射面88から出射する光を、基準軸AXに対してその反対の左側へ向かうように制御する面形状とされている。すなわち、入射面86のうち基準軸AX近傍の領域86B(中央レンズ部Bの入射面)は、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって投影される光源像IB´を、基準軸AXを含んで投影する(すなわち、光源像IB´中に光軸AX´が位置するように投影する。図26参照)面形状とされている。このようにすれば、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって投影される光源像IB´が基準軸AXから大きく離れた位置へ投影されないため、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって投影される光源像IB´を適正位置に投影し、基本配光パターンPHB´を適正位置に形成することが可能となる。
第1配光制御部Bによって形成される基本配光パターンPHB´(図27(c)参照)は、基準軸AXを中心に左右方向になだらかな光度分布を形成する(図27(g)参照)。
一方、入射面86の基準軸AXから離れた領域(周辺レンズ部A、Cの入射面86A、86C)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出された光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
第2配光制御部A、Cによって形成される第1付加配光パターンPHA´(図27(b)参照)及び第2付加配光パターンPHC´(図27(d)参照)は基準軸AXを中心に前記より狭い高照度帯を形成する(図27(f)、図27(h)参照)。
鉛直断面は、上記実施形態と同様(図20等参照)であるため、その説明を省略する。
本変形例の灯具ユニット80(出射面88が基準軸AXに対して傾斜(例えば、45°傾斜)した面(平面又は曲面))によれば、次の利点を生ずる。
第1に、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散される拡散配光パターンPH´中の、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍の光度をより高くすることが可能となる。例えば、拡散配光パターンPH´中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度を、従来達成できなかった20000cd程度まで高くすることが可能となる(図27(e)参照)。その結果、拡散配光パターンPH´を、ハイビーム用配光パターンに対して法規が求める規格を満たすことができ(又は車両前方の路肩を照明することができ)、なおかつ、遠方視認性に優れたものとすることが可能となる。
これは、中央レンズ部B(本発明の第1配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IB´(第1出射角θ1´)が、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散されて、車両前後方向に延びる基準軸AXと平行ではない方向(例えば、左右方向及び/又は上下方向)に拡散する基本配光パターンPHB´を形成し、これとともに、周辺レンズ部A、C(本発明の第2配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IA´、IC´(第1出射角θ1´よりも小さい第2出射角θ2´、第3出射角θ3´)が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に集光されて、当該交点O近傍の光度が高い第1付加配光パターンPHA´及び第2付加配光パターンPHC´を、上記基本配光パターンPHB´中に形成することによるものである。
第2に、拡散配光パターンPH´中のムラを抑制すること(すなわち、拡散配光パターンPH´を、最高光度の点から周囲に向かうに従ってなだらかに光度が減少するものとすること)が可能となる(図27(e)中の矢印参照)。これにより、拡散配光パターンPH´中の(光度勾配の)配光ムラ、ダーク等に起因する視認性低下の軽減が可能となる。
これは、周辺レンズ部A、C(本発明の第2配光制御部に相当)によって前方に投影される光源像IA´、IC´(第1出射角θ1´よりも小さい第2出射角θ2´、第3出射角θ3´)が、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に集光されて、当該交点O近傍の光度が高い付加配光パターンPHA´、PHC´が形成されること、すなわち、付加配光パターンPHA´、PHC´中の最高高度の位置が、従来技術のように左右にシフトすることなく、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に位置することによるものである。
第3に、拡散配光パターンPH´を、鉛直軸Vに対して略対称とできる(図27(e)参照)。これにより、拡散配光パターンPH´の左右不均一感の低減が可能となる。
これは、第1付加配光パターンPHA´中の最高高度の位置と第2付加配光パターンPHC´中の最高光度の位置とがいずれも、水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍に位置しており、従来技術のように最高光度の位置のシフト量が左右で大きく異なっていないことによるものである。
ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3は、上記原理に基づいて構成されている。
以下の例では、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1〜18B3の第2レンズ面22b1〜22b3(入射面)のうち中央レンズ部Bに相当する領域の拡散方向を、各々の灯具ユニットで異ならせている。これにより、配光のムラや不均一感の低減が可能となる。
まず、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1及び当該ユニット18B1により形成される部分配光パターンP1Hiの詳細について説明する。
図28は、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1の上面図である。
図1、図28に示すように、ハイビーム専用の灯具ユニット18B1は、複合レンズ20(第2レンズ面22b1と前方側表面24との間のレンズ部分)を透過して前方に照射される第2光源26Bからの直射光により、図29(a)に示すような、部分配光パターンP1Hi(拡散配光パターン)を形成する。
第2レンズ面22b1(入射面)は第2光源26B側に凸の曲面とされ、前方側表面24(出射面)は基準軸AXに対して傾斜した面(前方に向かって凸の曲面)とされている。
図29(a)〜図29(d)はそれぞれ、部分配光パターンP1Hi、第1付加配光パターンPHA1、基本配光パターンPHB1、第2付加配光パターンPHC1を、等光度曲線で表現した図である。図29(a)〜図29(d)中、最内の等光度曲線が最も光度が高く、外側の等光度曲線ほど光度が低いことを表している。
部分配光パターンP1Hi(拡散配光パターン)は、基本配光パターンPHB1(図29(c)参照)と、これに重畳される第1付加配光パターンPHA1(図29(b)参照)及び第2付加配光パターンPHC1(図29(d)参照)と、を含んでいる。
図29(e)〜図29(h)は、図29(a)〜図29(d)中の各配光パターンの縦軸上の0を通る横軸上の光度分布を表している。
以上のように、上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B1においては、上記各パターンPHA1、PHB1、PHC1が重畳された部分配光パターンP1Hi(拡散配光パターン)を、左右方向に拡散された(左右15°程度)パターンとでき(図29(a)参照)、かつ、当該部分配光パターンP1Hi(拡散配光パターン)中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度をより高くすることが可能となる(図29(e)参照)。
上記構成の部分配光パターンP1Hi(拡散配光パターン)は、第2レンズ面22b1(入射面)を、次のように設計することで実現される。
まず、水平断面について説明する。
第2レンズ面22b1(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面に相当)は、例えば、次のように設計されている。
図28に示すように、第2レンズ面22b1(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面に相当)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して右4°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜右25°の方向へ向かう光を、0°から右25°に向かうに従って徐々に、右4°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
同様に、第2レンズ面22b1(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面に相当)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して左4°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜左25°の方向へ向かう光を、0°から左25°に向かうに従って徐々に、左4°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
一方、第2レンズ面22b1(入射面)のうち基準軸AXから離れた領域(すなわち、周辺レンズ部A、Cの入射面に相当)は、次のように設計されている。
図28に示すように、第2レンズ面22b1(入射面)の基準軸AXから離れた領域のうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分。すなわち、周辺レンズ部Cの入射面に相当)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して右25°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
同様に、第2レンズ面22b1(入射面)の基準軸AXから離れた領域のうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分。すなわち、周辺レンズ部Aの入射面に相当)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して左25°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
鉛直断面は、上記実施形態と同様(図20等参照)であるため、その説明を省略する。
以上の各数値は例示であり、求められる部分配光パターンP1Hi(拡散配光パターン)のサイズや第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の形状・サイズ等に応じて、適宜の数値を用いることができる。
次に、ハイビーム専用の灯具ユニット18B2及び当該ユニット18B2により形成される部分配光パターンP2Hiの詳細について説明する。
図30は、ハイビーム専用の灯具ユニット18B2の上面図である。
図1、図30に示すように、ハイビーム専用の灯具ユニット18B2は、複合レンズ20(第2レンズ面22b2と前方側表面24との間のレンズ部分)を透過して前方に照射される第2光源26Bからの直射光により、図31(a)に示すような、部分配光パターンP2Hi(拡散配光パターン)を形成する。
第2レンズ面22b2(入射面)は第2光源26B側に凸の曲面とされ、前方側表面24(出射面)は基準軸AXに対して傾斜した面(前方に向かって凸の曲面)とされている。
図31(a)〜図31(d)はそれぞれ、部分配光パターンP2Hi、第1付加配光パターンPHA2、基本配光パターンPHB2、第2付加配光パターンPHC2を、等光度曲線で表現した図である。図31(a)〜図31(d)中、最内の等光度曲線が最も光度が高く、外側の等光度曲線ほど光度が低いことを表している。
部分配光パターンP2Hi(拡散配光パターン)は、基本配光パターンPHB2(図31(c)参照)と、これに重畳される第1付加配光パターンPHA2(図31(b)参照)及び第2付加配光パターンPHC2(図31(d)参照)と、を含んでいる。
図31(e)〜図31(h)は、図31(a)〜図31(d)中の各配光パターンの縦軸上の0を通る横軸上の光度分布を表している。
以上のように、上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B2においては、上記各パターンPHA2、PHB2、PHC2が重畳された部分配光パターンP2Hi(拡散配光パターン)を、左右方向に拡散された(左右15°程度)パターンとでき(図31(a)参照)、かつ、当該部分配光パターンP2Hi(拡散配光パターン)中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度をより高くすることが可能となる(図31(e)参照)。
上記構成の部分配光パターンP2Hi(拡散配光パターン)は、第2レンズ面22b2(入射面)を、次のように設計することで実現される。
まず、水平断面について説明する。
第2レンズ面22b2(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(すなわち、中央レンズ部Bの入射面に相当)は、例えば、次のように設計されている。
図30に示すように、第2レンズ面22b2(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面に相当)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して左4°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜右25°の方向へ向かう光を、0°から右25°に向かうに従って徐々に、左4°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
同様に、第2レンズ面22b2(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面に相当)のうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ向かう光を、基準軸AXに対して右4°の方向へ制御し、かつ、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して0°〜左25°の方向へ向かう光を、0°から左25°に向かうに従って徐々に、右4°の方向から0°の方向に近づくように制御する形状とされている。
一方、第2レンズ面22b2(入射面)のうち基準軸AXから離れた領域(すなわち、周辺レンズ部A、Cの入射面に相当)は、次のように設計されている。
図30に示すように、第2レンズ面22b2(入射面)の基準軸AXから離れた領域のうち、基準軸AXを含む鉛直面より右の部分(車両前方に向かって右の部分。すなわち、周辺レンズ部Cの入射面に相当)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して右25°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
同様に、第2レンズ面22b1(入射面)の基準軸AXから離れた領域のうち、基準軸AXを含む鉛直面より左の部分(車両前方に向かって左の部分。すなわち、周辺レンズ部Aの入射面に相当)は、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて基準軸AXに対して左25°以上の方向へ向かう光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
鉛直断面は、上記実施形態と同様(図20等参照)であるため、その説明を省略する。
以上の各数値は例示であり、求められる部分配光パターンP2Hi(拡散配光パターン)のサイズや第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の形状・サイズ等に応じて、適宜の数値を用いることができる。
次に、ハイビーム専用の灯具ユニット18B3及び当該ユニット18B3により形成される部分配光パターンP3Hiの詳細について説明する。
図32は、ハイビーム専用の灯具ユニット18B3の上面図である。
図1、図32に示すように、ハイビーム専用の灯具ユニット18B3は、複合レンズ20(第2レンズ面22b3と前方側表面24との間のレンズ部分)を透過して前方に照射される第2光源26Bからの直射光により、図33(a)に示すような、部分配光パターンP3Hi(拡散配光パターン)を形成する。
第2レンズ面22b3(入射面)は第2光源26B側に凸の曲面とされ、前方側表面24(出射面)は基準軸AXに対して傾斜した面(前方に向かって凸の曲面)とされている。
図33(a)〜図33(d)はそれぞれ、部分配光パターンP3Hi、第1付加配光パターンPHA3、基本配光パターンPHB3、第2付加配光パターンPHC3を、等光度曲線で表現した図である。図33(a)〜図33(d)中、最内の等光度曲線が最も光度が高く、外側の等光度曲線ほど光度が低いことを表している。
部分配光パターンP3Hi(拡散配光パターン)は、基本配光パターンPHB3(図33(c)参照)と、これに重畳される第1付加配光パターンPHA3(図33(b)参照)及び第2付加配光パターンPHC3(図33(d)参照)と、を含んでいる。
図33(e)〜図33(h)は、図33(a)〜図33(d)中の各配光パターンの縦軸上の0を通る横軸上の光度分布を表している。
以上のように、上記構成のハイビーム専用の灯具ユニット18B3においては、上記各パターンPHA3、PHB3、PHC3が重畳された部分配光パターンP3Hi(拡散配光パターン)を、左右方向に拡散された(左右15°程度)パターンとでき(図33(a)参照)、かつ、当該部分配光パターンP3Hi(拡散配光パターン)中の前照灯として求められる位置(水平線Hと鉛直線Vとの交点O近傍)の最高光度をより高くすることが可能となる(図33(e)参照)。
上記構成の部分配光パターンP3Hi(拡散配光パターン)は、第2レンズ面22b3(入射面)を、次のように設計することで実現される。
まず、水平断面について説明する。
第2レンズ面22b3(入射面)のうち基準軸AX近傍の領域(すなわち、中央レンズ部Bの入射面に相当)は、例えば、次のように設計されている。
図32に示すように、第2レンズ面22b3(入射面)は、基準軸AX近傍の領域(中央レンズ部Bの入射面に相当)及び基準軸AXから離れた領域(すなわち、周辺レンズ部A、Cの入射面に相当)のいずれも、水平断面形状が、第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の中心付近(例えば、基準点F)から放出されて、当該第2レンズ面22b3(入射面)へ入射する光全てを、基準軸AXに対して0°の方向(車両前方、すなわち、基準軸AX方向)へ制御する形状とされている。
鉛直断面は、上記実施形態と同様(図20等参照)であるため、その説明を省略する。
以上の各数値は例示であり、求められる部分配光パターンP3Hi(拡散配光パターン)のサイズや第2光源26B(横長矩形の発光面26b)の形状・サイズ等に応じて、適宜の数値を用いることができる。
上記実施形態及び各変形例では、複合レンズ20の前方側表面24(出射面)を、車両前方に向かって凸の曲面とした例(図5(a)、図5(b)等参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図34(a)、図34(b)に示すように、複合レンズ20の前方側表面24(出射面)を、平面としてもよい。あるいは、図35(a)、図35(b)に示すように、車両前方に向かって凹の曲面としてもよい。
また、上記実施形態では、物理的に配置された半導体発光素子を、第2光源26Bとして用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図36に示すように、回転楕円系の反射面40Bの第1焦点F1に物理的に配置された光源L(例えば、発光面を上向きにした半導体発光素子)により、当該回転楕円系の反射面40Bの第2焦点F2近傍に光学的に配置される仮想光源ILを、第2光源26Bとして用いてもよい。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。