発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解される。
本発明の非限定的な実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様のコンポーネントおよび要素には同じ参照番号が付されている。
既知の車載装置では、速度が0(ゼロ)になった地点およびサイドブレーキが作動された地点の時刻および緯度経度のデータを保存することができる。そのデータを処理してその中の或る地点での滞在時間を求めることができるであろう。しかし、車両が停止した全ての地点における積算秒の滞在時刻データと緯度経度を保存すると、収集され処理されるデータ量が大量になり、処理負荷も大きくなる。また、車両が停止した全ての地点について滞在時刻データ、緯度経度、等を保存すると、大量のメモリ容量および大量の通信帯域が使用され、また、滞在時間を知りたい地点以外の不所望な他の多数の停止地点のデータも保存される。
一方、少ない情報で、或るエリア、例えばサービスエリアまたはパーキングエリアにおける車両の滞在時間を求めるには、そのエリアの入口および出口にそれぞれ新たに無線基地局を設けて車両の入出場を検出することが望ましい。しかし、新たに無線基地局を設けると、その設置、運営および管理コストがかかる。一方、サービスエリア等の運営または管理のために、サービスエリア等の或るエリアにおける車両の滞在時間および滞在車両数、等の情報を低コストで収集することが望まれている。
発明者たちは、サーバ装置が、無線基地局から受信したプローブ情報の一部の情報を処理して、2つの無線基地局の間にある或るエリアの入口と出口に接近する位置を有する各プローブ情報を決定することができる、と認識した。また、発明者たちは、その両プローブ情報に基づいて、そのエリアにおける推定の滞在時間を求めることができる、と認識した。そのプローブ情報は、例えば単位走行距離毎の時刻、緯度・経度、および進行方位に関する車両の情報を含んでおり、車載装置に蓄積されるものである。
実施形態の目的は、少ないプローブ情報を用いて、或るエリアに関連する或る位置に近接する位置を有するプローブ情報とその時刻を求めることである。
また、実施形態の目的は、少ないプローブ情報を用いて、或るエリアにおける車両の推定滞在時間を求めることである。
実施形態によれば、少ないプローブ情報を用いて、或るエリアに関連する或る位置に近接する位置を有するプローブ情報とその時刻を求めることができ、また、或るエリアにおける車両の推定滞在時間を求めることができる。
図1は、実施形態による、プローブ情報収処理システム1の構成(configuration)の例を示している。プローブ情報収処理システム1は、複数の無線基地局装置(AP)10、12、...18、サーバ装置20、および車両30に取り付けられた車載装置32を含んでいる。複数の無線基地局装置10〜18およびサーバ装置20は、有線LANまたは無線LANのようなネットワーク(NW)5を介して互いに接続されていてもよい。複数の無線基地局装置10〜18は、例えばITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)スポット用の装置、RSU(Road-Side Unit)または路側装置であってもよく、例えば道路または道路の車線等に沿って分散配置されていてもよい。サーバ装置20は、無線基地局装置10〜18の中の1つを兼ねていてもよい。サーバ装置20は、有線LAN若しくは無線LAN、パケット交換網(PSN(Packet Switched Network))またはインターネットのようなネットワーク(NW)7を介して、例えば交通情報センタ等に配置された道路交通情報を監視する監視装置40に接続されていてもよい。車載装置32は、例えばカーナビゲーション・システム、VICS(Vehicle Information and Communication System、道路交通情報通信システム)およびETC(Electronic Toll Collection System、電子料金収受システム)端末機能、等を含む、ITSスポット対応車載器であってもよい。
図2は、図1の無線基地局装置(AP)10および車載装置32の各構成(configurations)と、無線基地局装置(AP)10、車載装置32およびサーバ装置20の間の接続関係の例を示している。
図2において、無線基地局装置10は、プロセッサ102、メモリ104、アンテナANTに結合されたDSRC用の無線送受信機(TX/RX)112、およびネットワーク5に接続されたネットワーク・インタフェース(NW/IF)130を具えている。プロセッサ102は、構成要素104〜130を制御する。メモリ104には、所要のプログラムと、道路の識別情報および通信領域の識別情報に対応づけられた無線基地局装置10の基地局識別情報(ID)等のデータとが格納されている。プロセッサ102の機能は、プロセッサ102において、集積回路のようなハードウェアの形態で実装されても、またはメモリ104に格納されたプログラムに従ってソフトウェアの形態で実装されてもよい。
無線送受信機(TX/RX)112は、例えば5.8GHz帯の複数のチャネルの中の1つのチャネルで複数の車両30のそれぞれの車載装置32と通信を行う。その他の無線基地局装置12〜18も無線基地局装置10と同様の構成を有し、複数のチャネルの中の対応するチャネルで複数の車両30のそれぞれの車載装置32と通信を行う。
図1を参照すると、サーバ装置20は、情報処理装置であり、例えば、プロセッサ202、メモリ204、内部バス、ネットワーク・インタフェース(NW I/F)208および210、等を含むコンピュータであってもよい。サーバ装置20は、例えば、複数のサーバ・ユニットまたはサーバ・ブレードを含むものであってもよい。サーバ装置20は、さらに、内部バスに結合された、記録媒体読み取り用のドライブ206、およびデータベース262を含むハードディスク・ドライブ(HDD)のような記憶装置26を含んでいる。サーバ装置20および無線基地局装置10〜18は、それぞれのネットワーク・インタフェース208、130を介しネットワーク5を介して相互に通信を行う。
ドライブ206は、ソフトウェアが記録された例えば光ディスクのような記録媒体264を読み取るために設けられている。そのソフトウェアは、例えば、OS、データベース管理システム(DBMS)、アプリケーション・プログラム、等を含んでいてもよい。
プロセッサ202は、コンピュータ用のCPU(Central Processing Unit)であってもよい。メモリ204には、例えば、主記憶装置および半導体メモリ等が含まれる。
プロセッサ202は、メモリ204および/または記憶装置26に格納されたそのソフトウェアまたはその一部に従って動作するものであってもよい。そのソフトウェアは、記録媒体264に格納されていて、ドライブ206によって記録媒体264から読み出されてサーバ装置20にインストールされてもよい。また、代替形態として、プロセッサ202は、上述のソフトウェアの機能の少なくとも一部を含む例えば集積回路として実装された専用のプロセッサであってもよい。
図2において、車両30に搭載された車載装置32は、プロセッサ302、メモリ304、可視的および可聴的な表示器(ディスプレイおよびスピーカ)306、インタフェース308、無線送受信機(TX/RX)312、およびGPS装置314を具えている。無線送受信機(TX/RX)312はアンテナANTを含んでいる。GPS装置314は、GPSアンテナGPS_ANTを含んでいる。車載装置32は、車両30内の有線LANを介して、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)のような複数の制御部(CU)41、42、...に接続されている。制御部41は、表示器48に結合されていてもよい。メモリ304には、所要のプログラムおよび車両30の車両識別情報(ID)等のデータが格納されている。
車載装置32のプロセッサ302は、車両30の制御部41、42等から車両30の動作状態および周囲の状態等に関する情報を収集してメモリ304に格納する。プロセッサ302は、GPS装置314から車両30の現在の緯度経度データを収集してメモリ304に格納する。また、プロセッサ302は、車両30の車両識別情報と、時刻と共にその走行位置(緯度経度)および走行状態に関するプローブ情報とを含む応答を生成する。送受信機312は、対応する無線基地局装置10〜18にその応答を搬送するRF信号を送信する。プロセッサ302の機能は、プロセッサ302において、集積回路のようなハードウェアの形態で実装されても、またはメモリ304に格納されたプログラムに従ってソフトウェアの形態で実装されてもよい。
図3は、サーバ装置20のプロセッサ202の概略的な構成(configuration)の例を示している。
プロセッサ202は、制御部2220を含み、さらに、アプリケーション部2224、近接位置決定部2226、入出時刻推定部2228、滞在時間推定部2230、統計処理部2240、およびその他の処理部2250を含み、またはその一部を含んでいてもよい。制御部2220は、アプリケーション部2224、近接位置決定部2226、入出時刻推定部2228、滞在時間推定部2230、統計処理部2240および処理部1250に制御信号を供給して、これらの要素の動作を制御してもよい。
図4は、道路2に沿った複数の無線基地局装置10〜18の配置の例を示している。無線基地局装置10〜18は、道路2に沿って間隔を置いて分散配置されている。無線基地局装置10〜18は、車載装置32との間で、例えば、道路の幾何学的特性を考慮したARIB規格に従って狭域無線通信DSRC(Dedicated Short-Range Communication)通信方式で双方向に通信する。無線基地局装置10〜18の各々は、例えば3m〜5mの幅および例えば20〜30mのような長さの細長い狭い通信領域において無線通信を行うことができる。車載装置32は、通過する無線基地局装置10〜18の各通信領域において無線通信を行う。
DSRC通信方式による通信手順は、マスタ/スレーブ型であってもよい。この場合、通信制御手順として、路側の無線基地局装置10〜18は、マスタとして動作し、車載装置32に対して送信データの有無を問い合せるためのパケットを送信する。一方、車載装置32は、スレーブとして動作し、送信用のプローブ情報を保持している場合にこの問い合せに対する応答パケットにデータを格納して送信する。無線基地局装置10〜18は、応答パケットにデータが格納されている場合にそのデータを処理する。無線基地局装置10〜18の送信問い合せに対して、車載装置32は、送信データの有無に関係なく応答を送信し返す。図4において、複数の黒丸“●”は、道路2等に沿った走行経路において単位走行距離毎に生成されるプローブ情報の発生位置の例を示している。
各無線基地局装置10〜18と車載装置32の間で、例えば、半二重通信用のフレームが送受信されてもよい。そのフレームは、例えば、フレーム・ヘッダ、データ送受信(ダウン/アップ・リンク)用の複数のメッセージ・データ・スロット、および車載装置32との間のアクティベーション・コントロール・スロットの構造を有する。無線基地局装置10〜18の中の少なくとも互いに隣接する通信領域を有する基地局装置は、干渉を回避するように互いに異なる周波数チャネル(CH1、CH2、...、CH8)を使用して通信してもよい。車載装置用の1つのデータ・スロットが、1つの領域内の各1つの車載装置に割り当てられる。
無線基地局装置10〜18からの問い合わせは、例えば、IPヘッダ、および問い合わせメッセージ・データの構造を含んでいる。IPヘッダまたはデータには無線基地局装置(10〜18)の識別情報が含まれている。
車載装置32によって送信される応答データ中のプローブ情報は、例えば、車両識別情報(ID)、現在の時刻、現在の緯度経度、および現在の進行方位(車両の方位角度)に関する情報を含んでいる。その情報は差分データを含んでいてもよい。車両識別情報は、各車載装置32に割り当てられた一意的な固有ID(識別情報)である。車両30の緯度経度は、車載装置32のGPS(Global Positioning System、グローバル・ポジショニング・システム)用のGPS装置314によって測定される。プローブ情報は、車両30の走行速度を含んでいてもよい。
応答またはそのプローブ情報における基準時刻、基準緯度経度および基準進行方位は、無線基地局装置10〜18と前回交信したときのその無線基地局装置10〜18または車載装置32の時刻、緯度経度、および車両30の進行方位を基準として含んでいてもよい。一連のプローブ情報における最初のプローブ情報における時刻、緯度経度および進行方位は、基準時刻、基準緯度経度および基準進行方位に対する差分量で表されていてもよい。一連のプローブ情報における2番目以降のプローブ情報における時刻、緯度経度および進行方位は、1番目以降のその直前のプローブ情報の時刻、緯度経度および進行方位に対する差分量で表されていてもよい。
差分緯度経度は、例えば、10−5度単位で8ビットで記述される。差分時刻は、2つの時刻の間の差分時間であり、例えば、秒単位で7ビットで記述され、最大127秒の値を有し、それを超えると0秒に戻って再度カウントアップされる。従って、車両30がサービスエリアまたはパーキングエリア等で128秒以上停止した場合には、差分時刻は不正確な値となる。しかし、車両30がサービスエリアまたはパーキングエリアにおいて停止した場合には、その前後のランプまたは入出道路付近で車両30の進行方位が相対的に大きい値を示すので、走行中の正しい差分時刻と、停止した場合の誤りを含む差分時刻とは識別できる。また、隣接する2つの無線基地局装置に関連付けられた両時刻の差の時間と、その2つの無線基地局装置の間の一連のプローブ情報の全ての差分時刻の総和との間の差が、時間閾値より長い場合には、サービスエリアまたはパーキングエリア等で長時間停止したことを表す。この場合、一連のプローブ情報中のいずれかのプローブ情報の差分時刻が誤りを含んでいることを表す。また、プローブ情報に車両30の走行速度が含まれる場合には、走行速度から車両30の停止が識別されてもよい。
図4において、車両30が道路2に沿って走行するに従って、その車載装置32は、例えば100mのような単位走行距離毎にプローブ情報を生成して保存する。エリア22、26およびその入口21、25および出口23、27付近には、無線基地局装置が配置されなくてよい。その車載装置32は、進行方位が例えば30度のような角度閾値を超えたときにも、プローブ情報を生成して保存してもよい。
車両30が道路2に沿って右上の無線基地局装置(AP1)10から左下の無線基地局装置(AP7)18へと走行する場合、車載装置32による無線基地局装置10との送受信からその次の隣接の無線基地局装置12との送受信までの区間が1区間とされる。同様に、車載装置32による無線基地局装置12との送受信からその次の隣接の無線基地局装置14との送受信までの区間が1区間とされる。また、車載装置32による、無線基地局装置14との送受信からその次の隣接の無線基地局装置16との送受信までの区間が1区間とされ、無線基地局装置16との送受信からその次の隣接の無線基地局装置18との送受信までの区間が1区間とされる。車両30が道路2に沿って走行するに従って、車載装置32は、各無線基地局装置10〜16から次の各無線基地局装置12〜18までの各区間に各一連のプローブ情報を生成して保存し、次の各無線基地局装置12〜18に対してその一連のプローブ情報を送信する。
各無線基地局装置10〜18は、それぞれの通信領域を通過する各車両30の車載装置32から、一連のプローブ情報を受信して一時保存して、ネットワーク5を介して最終的にサーバ装置20に送信する。従って、サーバ装置20は、道路2の複数の区間にわたって移動する各車載装置32の複数の一連のプローブ情報を収集してデータベース262に保存して処理することができる。
サーバ装置20は、例えば、一連の複数のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置12、14間にある、例えばサービスエリアのようなエリア22に関連する位置、例えばエリア入口21、エリア出口23、に接近したプローブ情報の位置または緯度経度を決定することができる。その際、2つの無線基地局装置12、14に関連付けられた緯度経度が用いられる。その関連付けられた緯度経度は、無線基地局装置12、14から車載装置32に送信された無線基地局装置12、14の基準緯度経度であっても、または車載装置32から無線基地局装置12、14に送信された車載装置32の緯度経度であってもよい。無線基地局装置12、14の基準緯度経度は、車載装置32からの応答データまたは送信情報として送信されたものであっても、またはサーバ装置20のデータベース262に予め格納されたものであってもよい。
また、サーバ装置20は、例えば、複数のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置12、14の間にある、例えばエリア22の入口21および出口23のような各位置の付近を通過したときの、車両30即ち車載装置32の時刻を推定することができる。その推定時刻は、それぞれの位置に接近したプローブ情報の位置の各時刻であってもよい。その際、2つの無線基地局装置12、14に関連付けられた時刻が用いられる。その関連付けられた時刻は、無線基地局装置12、14から車載装置32に送信された無線基地局装置12、14の基準時刻であっても、または車載装置32から無線基地局装置12、14に送信された車載装置32の時刻であってもよい。
また、サーバ装置20は、複数のプローブ情報を処理して、例えばサービスエリアのような或るエリア22、26における車両30または車載装置32の滞在時間を推定することができる。また、サーバ装置20は、複数のプローブ情報を処理して、或るエリア22、26に滞在する車両の数を推定することができる。また、サーバ装置20は、複数のプローブ情報を処理して、或るエリア22、26における車両の混雑度を推定することができる。
また、サーバ装置20は、例えば、複数のプローブ情報を処理して、将来の或る時刻または時間帯における、無線基地局装置10、12の後に位置する、例えばサービスエリアのような或るエリア22、26における車両の数および混雑度を予測することができる。
図14は、図4の無線基地局装置(AP5)14によって受信された、車両30の車載装置32から送信された応答データに含まれる一連のプローブ情報の例を示している。
無線基地局装置(AP5)14は、受信し収集した複数の一連のプローブ情報を含む情報または応答データを、ネットワーク5を介してサーバ装置20に送信する。サーバ装置20の処理部2250は、受信した複数の一連のプローブ情報を含む送信情報をデータベース262に格納する。
図14において、送信日時は、車載装置32による応答データまたは送信情報の送信日時である。この場合、送信日時は、例えば、2012年3月14日23時30分0秒である。車両情報は、車載装置32に格納された車両30の車両識別情報(ID)を含んでいる。この場合、車両情報は、例えば、車両識別情報“carno1”である。
応答データまたは送信情報中の基準データは、絶対時刻および絶対緯度経度を求める基準として使用される、前回通過した図4の無線基地局装置(AP2)12と前回交信した時の絶対時刻および絶対緯度経度を含んでいる。この場合、絶対時刻は、国の標準時刻を表す。また、絶対緯度経度は、赤道を0ーとする緯度、旧グリニッジ天文台跡(ロンドン)を通る南北の線を0ーとする地球上の位置表示を表す。進行方位の基準方位は、前回の無線基地局装置(AP2)12と交信した時の進行方位を0度としてもよい。この場合、基準時刻は、例えば、2012年3月14日20時40分0秒である。基準緯度経度は、例えば、“3479447”、“13420586”である。
応答データまたは送信情報中の一連のプローブ情報は、単位走行距離毎に生成された複数のプローブ情報1〜6を含んでいる。この場合、6個のプローブ情報1〜6は、例えば走行距離100m毎に生成された情報である。最初のプローブ情報1は、基準データの、時刻(分)、経度、緯度および進行方位(角度)からの差分量を含んでいる。それ以降のN番目プローブ情報N(N≧2)は、前の(N−1)番目のプローブ情報の時刻、経度、緯度および進行方位(角度)からの差分量を差分データとして含んでいる。従って、各プローブ情報における絶対時刻または標準時刻、絶対緯度経度は、基本的には、基準データに、基準データからそのプローブ情報までの累積値を加算した値で表される。例えば、プローブ情報1は、差分時刻10秒、差分経度−35×10−5度(−0.00035度)、差分緯度−1000×10−5度(−0.01000度)、および差分の進行方位+1度を含んでいる。
図15は、予め作成されてデータベース262に保存された複数の参照位置の位置識別情報(ID)、緯度および経度のリストの例を示している。この場合、参照位置は、例えば、図4のエリア(A1)22のエリア入口21およびエリア出口23、エリア(A2)26のエリア入口25およびエリア出口27、無線基地局装置(AP2)12、無線基地局装置(AP5)14である。
図16(上側)は、プローブ情報1〜6における絶対緯度経度の計算の例を示している。例えば、最初のプローブ情報1について、差分緯度の絶対緯度への変換は、基準データの緯度に、プローブ情報1の差分緯度を加算することによって行われる。プローブ情報1について、差分経度の絶対経度への変換は、基準データの経度に、プローブ情報1の差分経度を加算することによって行われる。2番目以降のプローブ情報N(N≧2)について、差分緯度の絶対緯度への変換は、プローブ情報(N−1)の絶対緯度に、プローブ情報Nの差分緯度を加算することによって行われる。プローブ情報Nについて、差分経度の絶対経度への変換は、プローブ情報(N−1)の絶対経度に、プローブ情報Nの差分度を加算することによって行われる。
図16において、差分緯度および差分経度は負の値なので、表示を簡単化するために、負値の加算(+(−差分緯度)、+(−差分経度))が減算(−差分緯度、−差分経度)で表されている。
図5は、サーバ装置20によって実行される、一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)の間の既知の位置、例えばエリア入口21、に近接する或る位置の緯度経度を推定するためのフローチャートの例を示している。ここで、或る位置は、複数のプローブ情報1〜6中の1つのプローブ情報の緯度経度の位置を表す。
図5を参照すると、ステップ400において、サーバ装置20のプロセッサ202(またはその近接位置決定部2226)は、エリア入口21の緯度経度をデータベース262の参照位置のリストから取得する(図15参照)。
ステップ402において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、エリア入口21の緯度経度が、無線基地局装置12と14の間の1区間の一連のプローブ情報の緯度経度の範囲内にあるかどうかを判定する。ここで、1区間の一連のプローブ情報の緯度経度の範囲は、受信した一連のプローブ情報中の緯度経度に最も近いまたは対応する、予め決定された1区間の道路の領域およびエリアの緯度経度の範囲であってもよい。代替形態として、1区間の一連のプローブ情報の緯度経度の範囲は、受信した一連のプローブ情報中の緯度経度の中の最大緯度と最小緯度の範囲および/または最大経度と最小経度の範囲またはその付近であってもよい。
ステップ402においてエリア入口21の緯度経度がその範囲内にあると判定された場合は、手順はステップ404に進む。ステップ402においてエリア入口21の緯度経度がその範囲内にないと判定された場合は、手順はステップ400に戻る。無線基地局装置(AP3)が、エリア22内に存在し、例えばエリア入口21とエリア出口23の緯度および/または経度の間の範囲内またはその付近に位置する場合には、そのエリア22内の無線基地局装置(AP3)を無視して、無線基地局装置12と14の間の区間が1区間として処理されてもよい。
ステップ404において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、応答データまたは送信情報において、車両30がエリア入口21付近に到達するより前に位置する無線基地局装置(AP2)12の基準緯度経度を、データベース262から取得する(図14参照)。代替形態として、応答データに、無線基地局装置(AP2)12の付近を通過したときの車両30の絶対緯度経度が含まれている場合には、無線基地局装置(AP2)12の基準緯度経度の代わりに、その車両30の絶対緯度経度が使用されてもよい。
ステップ408において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、一連のプローブ情報の全てを処理したかどうかを判定する。一連のプローブ情報の全てについて処理が完了していないと判定された場合は、手順はステップ420に進む。最初は、未処理のプローブ情報が存在するので、手順はステップ420に進む。全てのプローブ情報の処理が完了したと判定された場合には、手順は図5のルーチンを出る。
ステップ420において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、データベース262における一連のプローブ情報の中から、順番に従って未処理の1つのプローブ情報のプローブ情報を取得する。最初は、例えば、図14におけるプローブ情報1(差分データ1)が取得される。
ステップ422において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、基準データの絶対緯度経度または前のプローブ情報の絶対緯度経度に、当該プローブ情報の差分緯度経度を累積的に加算して、当該プローブ情報の絶対緯度経度を求める。
ステップ424において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、求めたプローブ情報の絶対緯度経度の中に、エリア入口21の緯度経度に最も接近した絶対緯度経度を有する新しい(未保存の)プローブ情報が存在するかどうかを判定する。この場合、エリア22内で発生した絶対緯度経度を有するプローブ情報を判定の対象から除外してもよい。エリア入口21の緯度経度に最も接近した絶対緯度経度を有する新しいプローブ情報が存在すると判定された場合は、手順はステップ426に進む。エリア入口21の緯度経度に最も接近した絶対緯度経度を有する新しいプローブ情報が存在しないと判定された場合は、手順はステップ408に戻る。
次に、プローブ情報Nの絶対緯度経度がエリア入口21の緯度経度に最も接近しているかどうかを判定する方法の例を説明する。
図16(下側の左)は、プローブ情報1〜6の絶対緯度とエリア入口21の絶対緯度の差の絶対値と、プローブ情報1〜6の絶対経度とエリア入口21の絶対経度の差の絶対値の計算の例を示している。
図16を参照すると、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、プローブ情報1〜6における絶対緯度とエリア入口21の絶対緯度の差の絶対値を求め、プローブ情報1〜6における絶対経度とエリア入口21の絶対経度の差の絶対値を求める。次いで、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、プローブ情報1〜6の各位置におけるエリア入口21の位置に対するその緯度の差の絶対値とその経度の差の絶対値との間の積を求める。プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、プローブ情報1〜6におけるそれぞれの積の中で最も小さい値の積を有するプローブ情報2の位置を、エリア入口21の緯度経度に最接近の位置(絶対緯度経度)であると決定してもよい。この場合、その絶対緯度の差の絶対値、および絶対経度の差の絶対値は、共に0である。
代替形態として、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、その緯度の差の絶対値とその経度の差の絶対値の和を求め、その和の中で最も小さい値を有するプローブ情報3の位置を、エリア入口21の緯度経度に最接近の位置として決定してもよい。
代替形態として、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、その緯度の差の絶対値の2乗とその経度の差の絶対値の2乗の和を求め、その和の中で最も小さい値を有するプローブ情報3の位置を、エリア入口21の緯度経度に最接近の位置として決定してもよい。
図5を再び参照すると、ステップ426において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、その新しいプローブ情報の緯度経度を、エリア入口21に最接近の位置としてデータベース262に格納する。その後、手順はステップ408に戻る。
ステップ408において一連のプローブ情報の全てのプローブ情報の処理が完了した場合に、手順は図5のルーチンを出る。
このようにして、エリア入口21に最接近のプローブ情報の位置が決定され、その位置はエリア入口21の推定位置または仮の位置として扱われてもよい。従って、車載30がエリア入口21を通過したことを検出するために、エリア入口21に無線基地局装置が配置されなくてよい。
図6は、サーバ装置20によって実行される、一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)の間の既知の位置、例えばエリア出口23、に近接する或る位置の緯度経度を推定するためのフローチャートの例を示している。ここで、或る位置は、複数のプローブ情報1〜6中の1つのプローブ情報の緯度経度の位置を表す。
図6を参照すると、ステップ430において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、エリア出口23の緯度経度をデータベース262の参照位置のリストから取得する(図15参照)。
ステップ432において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、エリア出口23の緯度経度が、無線基地局装置12と14の間の1区間の一連のプローブ情報の緯度経度の範囲内にあるかどうかを判定する。エリア出口23の緯度経度がその範囲内にあると判定された場合は、手順はステップ434に進む。エリア出口23の緯度経度がその範囲内にないと判定された場合は、手順はステップ430に戻る。
ステップ434において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、応答データまたは送信情報において、車両30がエリア出口23付近に到達するより前に位置する無線基地局装置(AP2)12の基準緯度経度を、データベース262から取得する(図14参照)。代替形態として、応答データに、無線基地局装置(AP2)12の付近を通過したときの車両30の絶対緯度経度が含まれている場合には、その基準緯度経度の代わりに、その車両30の絶対緯度経度が使用されてもよい。
ステップ438において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、一連のプローブ情報の全てを処理したかどうかを判定する。一連のプローブ情報の全てについて処理が完了していないと判定された場合は、手順はステップ450に進む。最初は、未処理のプローブ情報が存在するので、手順はステップ450に進む。全てのプローブ情報の処理が完了したと判定された場合には、手順は図6のルーチンを出る。
ステップ450は、図5のステップ420と同様である。また、ステップ452は、図5のステップ424と同様である。
ステップ454において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、求めたプローブ情報の絶対緯度経度の中に、エリア出口23の緯度経度に最も接近した絶対緯度経度を有する新しい(未保存の)プローブ情報が存在するかどうかを判定する。この場合、エリア22内で発生した絶対緯度経度を有するプローブ情報を判定の対象から除外してもよい。エリア出口23の緯度経度に最も接近した絶対緯度経度を有する新しいプローブ情報が存在すると判定された場合は、手順はステップ426に進む。エリア出口23の緯度経度に最も接近した絶対緯度経度を有する新しいプローブ情報が存在しないと判定された場合は、手順はステップ438に戻る。
次に、プローブ情報Nの絶対緯度経度がエリア出口23の緯度経度に最も接近しているかどうかを判定する方法の例を説明する。
図16(下側の右)は、各プローブ情報1〜6の絶対緯度とエリア出口23の絶対緯度の差の絶対値と、プローブ情報1〜6の絶対経度とエリア出口23の絶対経度の差の絶対値の計算の例を示している。
図16を参照すると、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、プローブ情報1〜6における絶対緯度とエリア出口23の絶対緯度の差の絶対値を求め、プローブ情報1〜6における絶対経度とエリア出口23の絶対経度の差の絶対値を求める。次いで、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、プローブ情報1〜6の各位置におけるエリア出口23の位置に対するその緯度の差の絶対値とその経度の差の絶対値との間の積を求める。プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、プローブ情報1〜6におけるそれぞれの積の中で最も小さい値の積を有するプローブ情報3の位置を、エリア出口23の緯度経度に最接近の位置(絶対緯度経度)であると決定してもよい。この場合、その絶対緯度の差の絶対値、および絶対経度の差の絶対値は、共に0である。
代替形態として、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、その緯度の差の絶対値とその経度の差の絶対値の和を求め、その和の中で最も小さい値を有するプローブ情報3の位置を、エリア出口23の緯度経度に最接近の位置として決定してもよい。
代替形態として、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、その緯度の差の絶対値の2乗とその経度の差の絶対値の2乗の和を求め、その和の中で最も小さい値を有するプローブ情報3の位置を、エリア出口23の緯度経度に最接近の位置として決定してもよい。
図6を再び参照すると、ステップ456において、プロセッサ202(近接位置決定部2226)は、そのプローブ情報の緯度経度を、エリア出口23に最接近の位置としてデータベース262に格納する。その後、手順はステップ438に戻る。
ステップ438において一連のプローブ情報の全てのプローブ情報の処理が完了した場合に、手順は図6のルーチンを出る。
このようにして、エリア出口23に最接近のプローブ情報の位置が決定され、その位置はエリア出口23の推定位置または仮の位置として扱われてもよい。従って、車両30がエリア出口23を通過したことを検出するために、エリア出口23に無線基地局装置が配置されなくてよい。
図7は、サーバ装置20によって実行される、一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)の間の既知の或る位置、例えばエリア入口21、に近接した或る位置における車両30の到着時刻を推定するためのフローチャートの例を示している。
図7を参照すると、ステップ462において、サーバ装置20のプロセッサ202(またはその入出時刻推定部2228)は、エリア入口21に最接近するプローブ情報の位置の緯度経度をデータベース262から取得する。その位置は、例えば、図5のフローチャートで得られたプローブ情報の位置である。
ステップ464において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、その最接近の位置までのプローブ情報1〜Nの差分時刻の合計値Aの保存領域をクリアして0にリセットする。
ステップ466において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、車両30がエリア入口21付近に到達するより前に位置する無線基地局装置(AP2)12の基準時刻をデータベース262から取得する。次いで、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、基準時刻より後のプローブ情報の中から1つのプローブ情報N(N≧1)の差分時刻または差分時間Dをデータベース262から取得する。次いで、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、前回の差分時刻の合計値Aに今回の差分時刻Dを加算し(A=A+D)、プローブ情報1〜Nまでの差分時刻Dの合計値Aを求める。最初の前回の合計値Aは0(ゼロ)である。このようにして、無線基地局装置(AP2)12の基準時刻からエリア入口21に最近接のプローブ情報の絶対時刻までの経過時間が求められる。その経過時間は、無線基地局装置(AP2)12の位置からエリア入口21の推定位置までの推定経過時間または推定走行時間として扱うことができる。
ステップ468において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、最後に加算した差分時刻Dを含むプローブ情報Nの位置がエリア入口21に最近接のプローブ情報の位置かどうかを判定する。プローブ情報Nの位置がエリア入口21に最近接のプローブ情報の位置であると判定された場合は、手順はステップ470に進む。プローブ情報Nの位置がエリア入口21に最近接のプローブ情報の位置でないと判定された場合は、手順はステップ466に戻る。
ステップ470において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、車両30がエリア入口21に最接近の位置に到達するより前に位置する無線基地局装置(AP2)12の基準時刻をデータベース262の一連のプローブ情報から取得する。代替形態として、無線基地局装置(AP2)12の付近を車両30が通過したときの車載装置32の送信情報の送信日時が利用可能な場合には、無線基地局装置(AP2)12の基準時刻の代わりに、その車両30の送信日時が使用されてもよい。
ステップ472において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、無線基地局装置(AP2)12の基準時刻に、最近接のプローブ情報における差分時刻Dの合計値Aを加算する。それによって、車両30が、エリア入口21に最近接のプローブ情報の位置を通過したときの絶対時刻が求められる。その時刻は、車両30がエリア入口21を通過した推定時刻として扱うことができる。
ステップ474において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、その加算値をエリア入口21に最接近の位置への到着時刻として決定する。
このようにして、エリア入口21に最接近のプローブ情報の位置への到着時刻が決定され、その時刻がエリア入口21の推定位置への推定到着時刻として扱われる。従って、車両30がエリア入口21に到達した時刻を検出するために、エリア入口21に無線基地局装置を配置しなくてよい。
図8は、サーバ装置20によって実行される、一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)の間の既知の位置、例えばエリア出口23に近接した或る位置における車両30の出発時刻を推定するためのフローチャートの例を示している。
図8を参照すると、ステップ482において、サーバ装置20のプロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、エリア出口23に最接近するプローブ情報の位置の緯度経度をデータベース262から取得する。その位置は、例えば、図6のフローチャートで得られたプローブ情報の位置である。
ステップ484において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、エリア出口23に最接近の位置に後続するプローブ情報N〜L(Lは最後のプローブ情報)の差分時刻の合計値Bの保存領域をクリアして0にリセットする。
ステップ486において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、エリア出口23に最近接のプローブ情報Eに後続するプローブ情報の中から1つのプローブ情報N(>E)の差分時刻または差分時間Dをデータベース262から取得する。次いで、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、前回の差分時刻の合計値Bに今回の差分時刻Dを加算し(B=B+D)、プローブ情報(E+1)〜Nまでの差分時刻Dの合計値Bを求める。最初の前回の合計値Bは0(ゼロ)である。それによって、無線基地局装置(AP2)14の前のエリア出口23に最近接のプローブ情報の位置から無線基地局装置(AP2)14付近の最後のプローブ情報の位置までの経過時間が求められる。その経過時間は、エリア出口23の推定位置から無線基地局装置(AP5)14の位置までの推定経過時間または推定走行時間として扱うことができる。無線基地局装置(AP5)14付近の最後のプローブ情報が生成された時刻と、無線基地局装置(AP5)14に応答データまたは送信情報が送信された時刻との間には、実際にはずれがある可能性があるが、そのずれは短いので無視できる。
ステップ488において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、最後に加算した差分時刻Dを含むプローブ情報Nが最後のプローブ情報Lかどうか、またはプローブ情報の選択が終了したかどうかを判定する。プローブ情報Nが最後のプローブ情報であると判定された場合は、手順はステップ490に進む。プローブ情報Nが最後のプローブ情報でないと判定された場合は、手順はステップ486に戻る。
ステップ490において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、車両30がエリア出口23に最接近の位置を出発したその後に位置する無線基地局装置(AP5)14へのプローブ情報の送信時刻または日時をデータベース262の一連のプローブ情報から取得する。代替形態として、その後で車載装置32から送信された応答データまたは送信情報中の無線基地局装置(AP5)14の基準時刻が利用可能な場合には、その送信時刻の代わりに、その基準時刻が使用されてもよい。
ステップ492において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、無線基地局装置(AP2)14へのプローブ情報の送信日時から、差分時刻Dの合計値Bを減算する。それによって、車両30が、エリア出口23に最近接のプローブ情報の位置を通過したときの推定の絶対時刻が求められる。その時刻は、車両30がエリア出口23を通過した推定時刻として扱うことができる。
ステップ494において、プロセッサ202(入出時刻推定部2228)は、その減算値をエリア出口23に最接近の位置からの出発時刻として決定する。
このようにして、エリア出口23に最接近のプローブ情報の位置における出発時刻が決定され、その時刻がエリア出口23の推定位置からの推定出発時刻として扱われる。従って、車両30がエリア出口23を出発した時刻を検出するために、エリア出口23に無線基地局装置を配置しなくてよい。
図17A〜17Eは、それぞれ、1つの無線基地局装置(AP5)14に対して5台の車両1〜5によって送信された5つの一連のプローブ情報の例を示している。
図17A〜17Eの各表において、1つの矢印(左上)で示されているように、プローブ情報とエリア入口21の間の緯度の差の絶対値と経度の差の絶対値との間の積が最小であるプローブ情報が、エリア入口21に最近接のプローブ情報であると判定される。また、別の矢印(中央下)で示されているように、プローブ情報とエリア出口23の間の緯度の差の絶対値と経度の差の絶対値との間の積が最小であるプローブ情報が、エリア出口23に最近接のプローブ情報であると判定される。
エリア入口21とエリア出口23に最接近のその2つのプローブ情報における一方または双方の進行方位が、或る角度閾値、例えば25度を超える場合に、車両がエリア22に滞在したと、判定される。その2つのプローブ情報における一方または双方の進行方位がその角度の閾値を超えない場合は、車両がエリア22に滞在せずに付近を通過した、と判定される。車両のエリア22における推定滞在時間は、例えば、基準時刻からプローブ情報の送信時刻までの差から、基準時刻からエリア入口21の推定位置までの経過時間を減算し、さらにエリア出口23の推定位置からプローブ情報の送信時刻までの経過時間を減算した差の値で表される。
例えば、図17Cの表では、プローブ情報3は、時間的にエリア入口21とエリア出口23に最近接の両位置の間に位置するので、エリア22内での滞在中に生成されたプローブ情報として判定され、エリア入口21またはエリア出口23に最近接の位置として扱われることはない。プローブ情報3は、エリア入口21とエリア出口23に最近接の位置の2つのプローブ情報の間にあるので、車両3がエリア22で停止して滞在したことを表している。そのプローブ情報3は、プローブ情報2の位置からプローブ情報3までの車両3の走行距離が単位走行距離に達したか、または車両30の進行方位が角度閾値30度を超えたことによって、車載装置32がプローブ情報を生成したこと、を表している。
例えば、図17A、17Eの表では、各プローブ情報3は、その位置がエリア出口23に最接近の位置にあり、走行方位が25度を超えているので、車両1と車両5がエリア22からランプを経由して道路2に出たことを表している。
図9は、サーバ装置20によって実行される、一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)12、14の間の或るエリア、例えばエリア22、における車両30の推定滞在時間を求めるためのフローチャートの例を示している。
図9を参照すると、ステップ502において、サーバ装置20のプロセッサ202(またはその滞在時間推定部2230)は、エリア入口21およびエリア出口23に最近接の2つのプローブ情報の位置において、一方または双方の進行方位が角度閾値より大きいかどうかを判定する。角度閾値は、例えば25度であってもよい。一方または双方の進行方位が角度閾値より大きくないと判定された場合は、手順はステップ512に進む。一方または双方の進行方位が角度閾値より大きいと判定された場合は、手順はステップ504に進む。
エリア入口21に最近接のプローブ情報の位置において、進行方位が角度閾値より大きいことは、例えば、運転手がハンドルを切って、車両30が道路2からランプ(減速車線)を通ってエリア入口21を通過してエリア22に向かったことを表す、と考えられる。また、エリア出口23に最近接のプローブ情報の位置において、進行方位が閾値より大きいことは、例えば、運転手がハンドルを切って、車両30がエリア22からランプ(加速車線)を通ってエリア出口23を通過して道路2へ向かったことを表す、と考えられる。
ステップ504において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、エリア出口23に最接近のプローブ情報の位置の絶対時刻と、エリア入口21に最接近のプローブ情報の位置の絶対時刻とを、データベース262から取得する。エリア出口23に最近接のプローブ情報の位置の絶対時刻は、例えば図8のフローチャートによって求められたものであってもよい。エリア入口21に最近接のプローブ情報の位置の絶対時刻は、例えば図7のフローチャートによって求められたものであってもよい。
ステップ506において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、エリア出口23に最接近のプローブ情報の位置の絶対時刻から、エリア入口21に最接近のプローブ情報の位置の絶対時刻を減算して、その差の値をエリア22における車両30の推定滞在時間と決定する。
ステップ508において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、推定滞在時間が時間閾値より長いかどうかを判定する。推定滞在時間が時間閾値より長くないと判定された場合は、手順はステップ512に進む。推定滞在時間が時間閾値より長いと判定された場合は、手順はステップ510に進む。時間閾値は、例えば180秒であってもよい。即ち、車両30が、例えば1単位走行距離の100mまたは場合によって2単位走行距離の200mを走行するのに時間閾値180秒より長くかかる場合には、車両30が停止してエリア22に滞在したことを表す、と考えられる。ここで、エリア入口21とエリア出口23に最近接の位置の2つのプローブ情報の間に別のプローブ情報が存在する場合には、例えば、その両者間の走行距離が2単位走行距離の200mであることがある。
ステップ510において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、車両30のエリア22における推定滞在時間を、エリア入口21をまたはエリア入口21に最接近の位置を通過した日時、および車両の識別情報と共にデータベース262に格納する。
ステップ512において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、車両30がエリア22に滞在することなくエリア22を通過したことを表す情報を、エリア入口21に最接近の位置を通過した日時および車両の識別情報と共にデータベース262に格納する。その通を表す情報は、例えば0(ゼロ)の値を有する滞在時間であってもよい。その後、手順は図9のルーチンを出る。
図10は、サーバ装置20によって実行される、一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)12、14の間の或るエリア、例えばエリア22、における車両30の滞在時間を推定するための別のフローチャートの例を示している。
図10を参照すると、ステップ522は図9のステップ502と同様である。ステップ522において進行方位が角度閾値より大きくないと判定された場合は、手順はステップ536に進む。ステップ522において進行方位が角度閾値より大きいと判定された場合は、手順はステップ524に進む。
ステップ524において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、エリア入口21の前にある無線基地局装置(AP2)12の基準時刻を、データベース262から取得する。プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、さらに、エリア出口23の後にある無線基地局装置(AP5)14の間の車載装置32の応答データまたは送信情報の送信時刻を、データベース262から取得する。次いで、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、無線基地局装置(AP2)12の基準時刻と、無線基地局装置(AP5)14への送信情報の送信時刻との間の差TDを求める。
ステップ526において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、一連のプローブ情報中の最初のプローブ情報からエリア入口21に最近接のプローブ情報までの各差分時刻をデータベース262から取得する。次いで、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、一連のプローブ情報中の最初のプローブ情報からエリア入口21に最近接のプローブ情報までの各差分時刻の総和を、経過時間Aとして求める。それによって、エリア入口21へ到達前の無線基地局装置(AP2)12の基準時刻から、エリア入口21に最近接のプローブ情報の位置までの、経過時間Aが得られる。
ステップ528において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、一連のプローブ情報中のエリア出口23に最近接のプローブ情報の次のプローブ情報から最後のプローブ情報までの各差分時刻をデータベース262から取得する。次いで、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、一連のプローブ情報中のエリア出口23に最近接のプローブ情報の次のプローブ情報から最後のプローブ情報までの各差分時刻の総和を、経過時間Bとして求める。それによって、エリア出口23に最近接のプローブ情報の位置から、エリア出口23を出発後の無線基地局装置(AP5)14付近の最後のプローブ情報の位置までの、経過時間Bが求められる。
ステップ530において、プロセッサ202(滞在時間推定部2230)は、2つの無線基地局装置(AP2、AP5)12と14の間の時刻の差TDから、経過時間Aを減算し、さらに経過時間Bを減算して、その差の値をエリア22での車両30の推定滞在時間と決定する。従って、エリア入口21とエリア出口23に最近接の2つのプローブ情報の位置の間の経過時間を表すプローブ情報中の差分時刻に誤りが含まれていても、エリア入口21とエリア出口23に最近接の2つのプローブ情報の位置の間の時刻の差(推定値)を求めることができる。無線基地局装置(AP5)14付近の最後のプローブ情報が生成された時刻と、無線基地局装置(AP5)14に応答データまたは送信情報が送信された時刻との間には、実際にはずれがある可能性があるが、そのずれは短いので無視できる。
ステップ532は、図9のステップ508と同様である。ステップ532において推定滞在時間が時間閾値より長くないと判定された場合は、手順はステップ536に進む。ステップ532において推定滞在時間が時間閾値より長いと判定された場合は、手順はステップ534に進む。
ステップ534は、図9のステップ510と同様である。また、ステップ536は、図9のステップ512と同様である。その後、手順は図10のルーチンを出る。
このようにして、或るエリア22における車両30の推定滞在時間が求められる。従って、車両30がエリア入口21およびエリア出口23を通過したことを検出するために、エリア入口21およびエリア出口23に無線基地局装置を配置してなくてよい。
例えば、図17Aの表では、車両1のエリア22での推定滞在時間は、エリア入口21とエリア出口23に最接近の2つのプローブ情報の絶対時刻の差(23時29分27秒−20時40分19秒)を計算することによって、2時間49分18秒となる。代替形態として、車両1のエリア22での推定滞在時間は、次のようにして求めてもよい。先ず、送信日時23時30分0秒と基準時刻20時40分0秒と間の差2時間50分を求める。次いで、その差2時間50分から、エリア入口21に最近接の位置の絶対時刻20時40分19秒と基準時刻20時40分0秒の間の差19秒を減算し、さらに送信日時23時30分0秒とエリア出口23に最近接の位置の絶対時刻23時29分27秒の間の差33秒を減算する。それによって、差2時間49分18秒が得られる。
エリア22における車両30の推定滞在時間には、エリア入口21とエリア出口23に最接近の2つのプローブ情報の位置の間の距離を移動するのにかかる車両30の走行時間が含まれる。しかし、その走行時間は、1単位走行距離が例えば100m程度なので、1〜2単位走行距離であっても、およそ3〜20秒程度であり、エリア22での車両30の実際の滞在時間と比較すると無視できる。
例えば、図17Cの表では、プローブ情報3は、エリア入口21とエリア出口23の最近接の位置の2つのプローブ情報の間にあるので、その差分時刻は誤りを含んでいる可能性があり、車両3のエリア22における推定滞在時間の計算には使用されない。代替形態として、プローブ情報3は、プローブ情報3の絶対緯度経度をエリア22の領域の絶対緯度経度の範囲と比較して、プローブ情報3の絶対緯度経度がエリア22の領域の範囲内に位置することに基づいて、エリア22における推定滞在時間の計算から除外してもよい。
例えば、図17Bの表では、エリア入口21およびエリア出口23に最近接のプローブ情報の各位置では、進行方位が角度閾値25度を超えていないので、車両2はエリア22に滞在せずにエリア22を通過したものと判定される。
図11は、サーバ装置20によって実行される、複数の一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)12、14の間の或るエリア、例えばエリア22、に滞在する車両の推定数を求めるためのフローチャートの例を示している。
図11を参照すると、ステップ552において、サーバ装置20のプロセッサ202(またはその統計処理部2240)は、或る時間期間において複数の車載装置32から無線基地局装置(AP)14に送信された各一連のプローブ情報をデータベース262から取得する。或る時間期間は、例えば或る時刻から12分間経過後までの期間であってもよい。
ステップ554において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、受信した全ての車両のプローブ情報を処理したかどうかを判定する。全てのプローブ情報の処理が完了したと判定された場合は、手順は図11のルーチンを出る。全ての車両のプローブ情報が処理されていないと判定された場合、手順はステップ556に進む。最初は、未処理のプローブ情報が存在するので、手順はステップ556に進む。
ステップ556において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、各車載装置32から送信された各一連のプローブ情報について、エリア入口21とエリア出口23に最接近の絶対緯度経度を有する2つのプローブ情報を、データベース262から取得する。代替形態として、既知の緯度経度を有するエリア入口21の直前およびエリア出口23の直後にそれぞれ位置する2つのプローブ情報が取得されてもよい。
ステップ558において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、1つの一連のプローブ情報について、エリア入口21に最接近のプローブ情報と、エリア出口23に最接近のプローブ情報における一方または双方の進行方位の角度が、角度閾値、例えば25度以下かどうかを判定する。その一方または双方の進行方位の角度が角度閾値以下であると判定された場合は、手順はステップ560に進む。その一方または双方の進行方位の角度が閾値以下でない、即ち閾値より大きいと判定された場合は、手順はステップ562に進む。
代替形態として、既知の緯度経度を有するエリア入口21の直前およびエリア出口23の直後にそれぞれ位置する2つのプローブ情報の一方または双方の進行方位の角度が、角度閾値以下かどうかが判定されてもよい。その一方または双方の進行方位の角度が角度閾値以下であると判定された場合は、手順はステップ560に進む。その一方または双方の進行方位の角度が閾値以下でない、即ち閾値より大きいと判定された場合は、手順はステップ562に進む。
代替形態としてまたは追加形態として、進行方位の代わりにまたは進行方位に加えて、エリア入口21に最接近のプローブ情報の時刻と、エリア出口23に最接近のプローブ情報の時刻との間の差の時間が時間閾値、例えば180秒以下かどうかを判定してもよい。この場合、その一方または双方の差の時間が時間閾値以下であると判定された場合は、手順はステップ560に進む。その一方または双方の差の時間が時間閾値以下でない、即ち時間閾値より大きいと判定された場合は、手順はステップ562に進む。その進行方位と角度閾値の比較と、その差の時間と時間閾値の比較を、論理和で組み合わせてまたは論理積で組み合わせて、通過車両とエリア滞在車両とを識別することができる。
ステップ560において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、1つ車両の一連のプローブ情報について、エリア22を通過した車両数に1を加算する。その後、手順はステップ554に戻る。その通過車両の数は、車両種別毎に求められてもよい。
ステップ562において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、1つ車両の一連のプローブ情報について、エリア22に滞在する車両数に1を加算する。その滞在車両の数は、車両種別毎に求められてもよい。その後、手順はステップ554に戻る。
このようにして、或る期間において、エリア入口21に到達しエリア22に滞在しエリア出口23を出発した車両の数を求め、またエリア22に滞在せずにエリア22を通過した車両の数を求めることができる。従って、車両30がエリア22に到達しエリア22から出発したことを検出するために、エリア入口21およびエリア出口23に無線基地局装置が配置されなくてよい。
また、複数の車両がエリア22に滞在したそれぞれの時刻および時間期間から、或る一日の或る時刻または時間帯においてエリア22に滞在した車両種別毎の車両の数を求めることもできる。
図12は、サーバ装置20によって実行される、複数の一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)の間の例えばエリア22における車両種別毎の車両の推定混雑度を求めるためのフローチャートの例を示している。
図12を参照すると、ステップ582において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、全ての車両種別について、車両の推定混雑度を求めるための処理を完了したかどうかを判定する。全ての車両種別について処理が完了したと判定された場合は、手順は図12のルーチンを出る。全ての車両種別について未だ処理を完了していないと判定された場合は、手順はステップ584に進む。最初は、処理が完了していないので、手順はステップ584に進む。
ステップ854において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、或る時刻または時間帯におけるエリア22における滞在する各車両種別毎の車両数と、エリア22の駐車可能台数または容量とを、データベース262から取得する。その車両種別毎の車両数は、例えば、図11のフローチャートで得られたものであってもよい。
ステップ586において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、車両種毎に、滞在車両数を駐車可能台数で除算し、その商をエリア22の混雑度としてデータベース262に格納する。その後、手順はステップ582に進む。
このようにして、或る期間において、エリア22に滞在する車両の混雑度を求めることができる。従って、車両30がエリア22に入りエリア22から出たことを検出するために、エリア入口21およびエリア出口23に無線基地局装置が配置されなくてよい。
図18は、サーバ装置20に予め登録されてデータベース262に格納された車両識別情報(ID)と車両種別の関係の例を示している。従って、サーバ装置20は、受信したプローブ情報の車両識別ステップ情報(ID)からその車両種別を識別することができる。
図19は、サーバ装置20に予め登録されてデータベース262に格納されたエリア22における車両種別毎の駐車可能台数の例を示している。従って、サーバ装置20は、受信した一連のプローブ情報の経度緯度に基づいてその範囲内または付近にあるエリア22における車両種別毎の駐車可能台数を、データベース262から取得することができる。
図20は、サーバ装置20によって複数の一連のプローブ情報に基づいて計算されてデータベース262に格納されたエリア22における車両種別毎の車両の混雑度の例を示している。従って、サーバ装置20は、受信した一連のプローブ情報の経度緯度に基づいてその範囲内にあるエリア22における車両種別毎の車両の混雑度を、データベース262から取得し、例えばエリア22の管理者、運営者、ドライバ等に提供することができる。
図13は、サーバ装置20によって実行される、複数の一連のプローブ情報を処理して、隣接する2つの無線基地局装置(AP)の後の或るエリア、例えばエリア22、26、における将来の時刻での車両種別毎の車両の予測混雑度を求めるためのフローチャートの例を示している。
図21は、サーバ装置20に予め登録されてデータベース262に格納された各位置識別情報(ID)を有する位置の間の距離の例を示している。
図13を参照すると、ステップ592において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、無線基地局装置(AP2)12において各車載装置32から或る時間期間中に送信された複数の一連のプローブ情報をデータベース262から取得する。その各一連のプローブ情報は、例えば、駐車場を含むエリアが間に存在しない2つの無線基地局装置(AP1、AP2)10、12の間の1区間に関するプローブ情報であってもよい。また、プロセッサ202(統計処理部2240)は、2つの無線基地局装置(AP1、AP2)10、12の間の1区間の既知の距離と、無線基地局装置(AP2)12とエリア入口21の間の既知の距離とを、データベース262から取得する(図21参照)。
ステップ594において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、無線基地局装置(AP2)12において各車載装置32から受信した一連のプローブ情報に基づいて、或る時間期間に無線基地局装置(AP1、AP2)10と12の双方を通過した車両の数を求める。各一連のプローブ情報における基準データの時刻および送信日時が、或る時間期間内にあれば、その車両が或る時間期間に無線基地局装置(AP1、AP2)10と12の双方を通過したことを表す。
ステップ596において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、無線基地局装置(AP1、AP2)10と12の双方を通過した車両30のプローブ情報に基づいて、基準時刻から無線基地局装置(AP2)12に応答データまたは送信情報を送信した時刻までの間の経過時間を求める。次いで、プロセッサ202(統計処理部2240)は、各車両30の無線基地局装置(AP1、AP2)10と12の間の1区間の距離を、その経過時間で除算して、各車両30の速度を求める。
ステップ598において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、無線基地局装置(AP2)12とエリア入口21の間の既知の距離と、各車両の速度とに基づいて、各車両30が、無線基地局装置(AP2)12を通過した後でエリア入口21付近を通過する予測時刻を求める。また、プロセッサ202(統計処理部2240)は、無線基地局装置(AP2)12とエリア入口25の間の既知の距離と、各車両の速度とに基づいて、各車両30が、無線基地局装置(AP2)12を通過した後でエリア入口25付近に到達するまたはその付近を通過する予測時刻を求める。次いで、プロセッサ202(統計処理部2240)は、単位時間毎に、エリア入口21付近を通過する車両種別毎の車両の数、およびエリア入口25付近を通過する車両種別毎の車両の予測数を求める。その単位時間は、例えば、1分、5分、10分または15分であってもよい。
図22は、車両1〜5の、2つの無線基地局装置間を移動するのに掛かった時間、速度、およびエリア入口24付近に到達する予測時刻の例を示している。
ステップ600において、プロセッサ202(統計処理部2240)は、単位時間毎に、エリア22、26付近を通過する車両種別毎の車両の予測数を、それぞれのエリア22、26の同じ車両種別毎の駐車可能台数で除算して、予測混雑度を求めて、データベース262に格納する。より適切な予測混雑度を求めるために、車両種別毎に、車両の予測数に或るエリア滞在確率または割合を乗じて予測エリア滞在数を求め、その予測エリア滞在数を駐車可能台数で除算することによって、予測混雑度が求められてもよい。確率または割合は、例えば、0.02乃至0.1の或る値であってもよい。エリア22、26における車両種別毎の駐車可能台数は、図19と同様の形態で表される。エリア22、26における車両種別毎の混雑度は、図20と同様の形態で表される。
このようにして、将来の或る期間における、エリア22、25に滞在する車両種別毎の車両の混雑度を求めることができる。
このように、実施形態によれば、既存の無線基地局装置と車載装置の間の通信によって収集される少ない一連のプローブ情報をサーバ装置で処理することによって、或るエリアにおける車両の滞在時間を求めることができる。従って、車両、道路、および既存の設備に、新たな車載装置、例えば無線基地局装置のような新たな装置、またはゲートのような新たな設備を設けなくてよい。また、車両の走行中に車載装置と無線基地局装置の間で短い間隔で頻繁に通信を行わなくてよい。従って、車両の或るエリアでの推定滞在時間、統計情報、等を低コストで求めることができる。また、上述の各情報を得るために、各エリアの利用状況に関して、その付近を走行した車両の運転手等に対して聞き取り調査したりしなくてよい。
また、実施形態によれば、エリアにおける車両種別毎の滞在車両の数と車両の滞在時間を容易に算出できるので、各エリアの利用時間、利用状況を容易に推定することができる。従って、例えば、各エリアにおける車両種別毎の、推定混雑度、および長時間駐車する車両による駐車場の推定占有情報を容易に得ることができる。また、各エリアに関して得られた情報は、各エリアのための、事業企画、サービス企画、出店企画、商品販売企画、統計的な予測、その他のエリア運営に役立てることができる。また、各エリアにおける、長時間滞在する車両、不審車両、長時間利用者の識別にも利用できる。また、個々の車両のエリア滞在時間に基づいて、各車両に対して追加的な課金を行うこともできる。
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない、と理解される。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる、と理解される。
以上の実施例を含む実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)道路側に配置された複数の無線基地局装置であって、前記複数の無線基地局装置の中の第1の無線基地局装置に関連付けられた第1の時刻データおよび第1の緯度経度データと、前記複数の無線基地局装置の中の第2の無線基地局装置に関連付けられた第2の時刻データと、前記第1の無線基地局装置と前記第2の無線基地局装置の間の複数の位置における緯度経度、時間および進行方位に関するデータを含む一連のプローブ情報と、を含む送信情報が、前記第2の無線基地局装置によって車載装置から受信される、複数の無線基地局装置と、
前記第2の無線基地局装置から前記送信情報を受信し、前記一連のプローブ情報の中で、或るエリアに関連する第1の位置の緯度経度に接近した位置を有する第1のプローブ情報と、前記或るエリアに関連する第2の位置の緯度経度に接近した位置を有する第2のプローブ情報とを決定する情報処理装置と
を含む、プローブ情報を処理するためのシステム。
(付記2)道路側に配置された複数の無線基地局装置の中の第1の無線基地局装置に関連付けられた第1の時刻データおよび第1の緯度経度データと、前記複数の無線基地局装置の中の第2の無線基地局装置に関連付けられた第2の時刻データと、前記第1の無線基地局装置と前記第2の無線基地局装置の間の複数の位置における緯度経度、時間および進行方位に関するデータを含む一連のプローブ情報と、を含む送信情報を、前記第2の無線基地局装置から受信してデータベースに格納する格納処理部と、
前記一連のプローブ情報の複数の位置の中で、或るエリに関連する第1の位置の緯度経度に接近した位置を有する第1のプローブ情報と、前記或るエリアに関連する第2の位置の緯度経度に接近した位置を有する第2のプローブ情報とを決定する近接位置決定部と
を有する情報処理装置を含む、プローブ情報を処理するためのシステム。
(付記3)前記情報処理装置またはその時刻推定部は、
前記第1の時刻データの時刻と、前記一連のプローブ情報中の最初のプローブ情報から前記第1のプローブ情報までの各差分時間とに基づいて、前記第1のプローブ情報の時刻を求め、
前記第2の時刻データの時刻と、前記一連のプローブ情報中の前記第2のプローブ情報の次のプローブ情報から最後のプローブ情報までの各差分時間とに基づいて、前記第2のプローブ情報の時刻を求めるものであることを特徴とする、付記1または2に記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記4)前記情報処理装置またはその近接位置決定部は、
前記第1の緯度経度データと、前記一連のプローブ情報の各プローブ情報の差分緯度経度と、前記第1の位置の緯度経度とに基づいて、前記第1のプローブ情報を決定し、
前記第1の緯度経度データと、前記一連のプローブ情報の各プローブ情報の差分緯度経度と、前記第2の位置の緯度経度とに基づいて、前記第2のプローブ情報を決定するものであることを特徴とする、付記1乃至3のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記5)前記情報処理装置またはその時刻推定部は、
前記第1の時刻データの時刻と、前記一連のプローブ情報中の最初のプローブ情報から前記第1のプローブ情報までの差分時間の総和との間の和に基づいて、前記第1のプローブ情報の時刻を求め、
前記第2の時刻データの時刻と、前記一連のプローブ情報中の前記第2のプローブ情報の次のプローブ情報から最後のプローブ情報までの差分時間の総和との間の差に基づいて、前記第2のプローブ情報の時刻を求めるものであることを特徴とする、付記1乃至4のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記6)前記情報処理装置またはその滞在時間推定部は、前記第1のプローブ情報の時刻と前記第2のプローブ情報の時刻との間の差の時間に基づいて、前記或るエリアにおける車両の推定滞在時間を求めるものであることを特徴とする、付記1乃至5のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記7)前記情報処理装置またはその滞在時間推定部は、前記第2のプローブ情報の時刻と前記第1の時刻データの時刻の間の差と、前記一連のプローブ情報中の最初のプローブ情報から前記第1のプローブ情報までの差分時間の総和と、前記一連のプローブ情報中の前記第2のプローブ情報の次のプローブ情報から最後のプローブ情報までの差分時間の総和とに基づいて、前記或るエリアにおける車両の推定滞在時間を求めるものであることを特徴とする、付記1乃至5のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記8)前記情報処理装置またはその滞在時間推定部または統計処理部は、前記第1のプローブ情報および/または前記第2のプローブ情報の進行方位に基づいて、前記或るエリアに車両が滞在したかまたは前記或るエリアを車両が通過したかを判定するものであることを特徴とする、付記1乃至7のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記9)前記情報処理装置またはその滞在時間推定部または統計処理部は、前記第1のプローブ情報の時刻と前記第2のプローブ情報の時刻の間の差の時間に基づいて、前記或るエリアに車両が滞在したかまたは前記或るエリアを車両が通過したかを判定するものであることを特徴とする、付記1乃至8のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記10)前記情報処理装置またはその統計処理部は、或る時間における前記或るエリアにおける滞在車両数および駐車可能数に基づいて、前記或るエリアの混雑度を求めるものであることを特徴とする、付記1乃至9のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記11)前記情報処理装置またはその統計処理部は、前記第1の無線基地局装置より前の第3の無線基地局装置に関連付けられた第3の時刻データと、前記第1の無線基地局装置に関連付けられた第4の時刻データと、前記第3の無線基地局装置と前記第1の無線基地局装置の間の距離とに基づいて、前記或るエリアの前記第1の位置付近に車両が到達する予測時刻を求め、或る時間に前記第1の位置付近に到達する車両の予測数を求めるものであることを特徴とする、付記1乃至10のいずれかに記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記12)前記情報処理装置またはその統計処理部は、或る時間における記第1の位置付近に到達する車両の予測数および前記或るエリアの駐車可能数に基づいて前記或るエリアの予測混雑度を求めるものであることを特徴とする、付記11に記載のプローブ情報を処理するためのシステム。
(付記13)道路側に配置された複数の無線基地局装置の中の第1の無線基地局装置に関連付けられた第1の時刻データおよび第1の緯度経度データと、前記複数の無線基地局装置の中の第2の無線基地局装置に関連付けられた第2の時刻データと、前記第1の無線基地局装置と前記第2の無線基地局装置の間の複数の位置における緯度経度、時間および進行方位に関するデータを含む一連のプローブ情報と、を含む送信情報を、前記第2の無線基地局装置から受信してデータベースに格納し、
前記一連のプローブ情報の複数の位置の中で、或るエリアに関連する第1の位置の緯度経度に接近した位置を有する第1のプローブ情報と、前記或るエリアに関連する第2の位置の緯度経度に接近した位置を有する第2のプローブ情報とを決定する
処理を、情報処理装置に実行させるためのプログラム。
(付記14)道路側に配置された複数の無線基地局装置の中の第1の無線基地局装置に関連付けられた第1の時刻データおよび第1の緯度経度データと、前記複数の無線基地局装置の中の第2の無線基地局装置に関連付けられた第2の時刻データと、前記第1の無線基地局装置と前記第2の無線基地局装置の間の複数の位置における緯度経度、時間および進行方位に関するデータを含む一連のプローブ情報と、を含む送信情報を、前記第2の無線基地局装置から受信してデータベースに格納し、
前記一連のプローブ情報の複数の位置の中で、或るエリアに関連する第1の位置の緯度経度に接近した位置を有する第1のプローブ情報と、前記或るエリアに関連する第2の位置の緯度経度に接近した位置を有する第2のプローブ情報とを決定する
処理を、情報処理装置が実行する方法。