JP2014109316A - 免震部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 主として地震震動発生面側と免震対象部材側との間に介在させることに依って、短周期地震動と長周期地震動の何れの地震に対しても免震作用が奏されるようにした免震部材の提供を図る。
【解決手段】
下位側筒体1を地震震動発生面側Aに立設すると共に、上位側筒体2を前記下位側筒体1と同軸状にしてかつ所定間隔Sを保って免震対象部材側Bに垂設し、当該両筒体1,2間には連係用スプリング6を介在させると共に、当該両筒体1,2はその軸線部分において制御用連桿3を介して弾力的に連結し、上記した間隔Sには横方向にスライドする既存の免震部材を介在させることに依って、当該間隙Sの存在に基づく縦揺れ的免震を停止させ、専ら横揺れ的免震に専念させるような変更可能とするように構成した免震部材。
【選択図】 図1
Description
本発明は、主として地震震動発生面側と免震対象部材側との間に介在させることに依って、地震発生時において免震作用が奏されるようにした免震部材に関する。
従来、例えば地震に対する免震化を図る機構において、横揺れ等を吸収するための部材たる柱状を呈する支持用部材(小棒状部材)は、積層ゴムなどのゴム柱とすることを通例とした(例えば、特許文献1参照。)。
上記したようなゴム柱であると、その可撓性及び伸縮性の調整が非常に困難であり、殆どゴム素材の特性に委ねざるを得ない。 従って、例えば強度的に太いゴム柱を用いた場合、その可撓性が強すぎて免震作用に齟齬をきたしてしまうこととなる。
更に、地震には短周期地震動(周期1秒前後)と長周期地震動(周期5秒以上)とがあり、上記のようなゴム柱に依存した免震装置であると、縦揺れ的振動である直下型地震と、細かな横揺れである短周期地震動に対する対応は可能であっても、極めてゆっくりとした横揺れ的な振動である長周期地震動が発生した場合は、その振幅が大きいため、ゴム柱自体の長さ不足によりその振幅に対応できず、また、対応できるだけの長さのものを用いた場合は座屈等が生じてしまうと推定された。
そのため従来、免震部材製造業者においては、短周期地震用と長周期地震動用の両免震部材の開発製造を行わなければならず、必然、開発費及び製造コストの高騰性が伴うことを余儀なくされた。
本発明はこのような従来の問題点の解消化を企図した「免震部材」、と言う新規な製品の提供を図ったものである。
本発明は請求項1に記載のように、板状ゴム材料aと板状金属材料bとを互い違いに層状化状態で合体化して可撓性及び伸縮性を具えた材料で製した下位側筒体1を、地震震動発生面側Aに立設すると共に、当該下位側筒体1と同一材料で製した上位側筒体2を、前記下位側筒体1と同軸状にしてかつ所定間隔Sを保って免震対象部材側Bに垂設し、当該両筒体1,2間には連係用スプリング6を介在させると共に、当該両筒体1,2はその軸線部分において可撓性を具えた制御用連桿3を介して弾力的に連結し、上記した間隔Sには横方向にスライドする既存の免震部材を介在させることに依って、当該間隙Sの存在に基づく縦揺れ的免震を停止させ、専ら横揺れ的免震に専念させるような変更可能とするように構成した免震部材に係る。
本発明は請求項2に記載のように、下位側及び上位側の筒体1及び2の連結を、制御用連桿3を介して弾力的に連結するための手段として、 制御用連桿3の下端及び上端にスプリング受け盤3a及び3bを設け、両筒体1及び2の内部所要箇所にリング状棚部1a及び2aを形成し、当該スプリング受け盤とリング状棚部との間に夫々支持用コイルスプリング4及び5を介在させるように構成した請求項1に記載の免震部材を実施の態様とする。
本発明は請求項3に記載のように、下位側及び上位側の筒体1及び2制御用連桿3を介して弾力的に連結する手段として、 制御用連桿3の下端及び上端にスプリング受け盤3a及び3bを設け、両筒体1及び2の内部所要箇所にリング状棚部1a及び2aを形成し、当該スプリング受け盤とリング状棚部との間に、内外二つの支持用コイルスプリング4a,4bと支持用コイルスプリング5a,5bを配するように構成した請求項1または請求項2に記載の免震部材を実施の態様とする。
本発明は請求項4に記載のように、連係用スプリング6に代えて、制御用連桿3の中央部分をスプリングまたはダンパーのような伸縮体Mを設けるように構成した請求項1乃至請求項3の何れかに記載の免震部材を実施の態様とする。
本発明は請求項5に記載のように、地震震動発生面側Aを地盤とし、免震対象部材側Bとして建物等構築部材として成る請求項1または請求項2の何れかに記載の免震用部材を実施の態様とする。
本発明は請求項1に記載のような構成を採用したから、構成が極めてシンプルな形態にも関わらず、良好なる免震作用を奏させることができる。 そして、間隔Sの存在に基づき強い直下型地震(縦揺れ)に対する免震作用(間隔Sの増減的動きに基づく縦揺れ吸収に基づく)も良好に果たされる。
更に、両筒体1,2はその軸線部分において可撓性を具えた制御用連桿3を介して弾力的に連結してあるから、その振れ動きに基づき(図5参照)長周期地震動に対する免震作用の対応が可能化される。 また、間隔Sには横方向にスライドする既存の免震部材を介在させることに依って、当該間隙Sの存在に基づく縦揺れ的免震を停止させ、専ら横揺れ的免震に専念させるような変更可能も可能化される。
そして、本発明は、建物または橋の橋脚等、地表上の各種構築物に対する免震部材としての使用、または、墓石または石灯篭の中間材または土台に対する免震材としての使用、更には、ショーケース、各種棚、フロアー上の美術品或いはコンピュータ等に対する免震用部材としての利用を図ることも可能化される。
本発明は請求項2記載のような構成を採用したから、下位側及び上位側の筒体1及び2の連結している制御用連桿3が、地震発生時の揺れ動き(図5参照)が極めてスムーズに行われ、極めて安定した免震作用を奏することができる。
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、スプリング受け盤とリング状棚部との間に、内外二つの支持用コイルスプリング4a,4bと5a,5bを配するように構成したから、地震発生時における下位側及び上位側の筒体1及び2の連結している制御用連桿3の揺れ動き(図5参照)が極めて安定かつスムーズに行われるばかりでなく、当該内外の支持用コイルスプリングの強さを適宜変更することに依り、地震の強さに即応した免震作用を奏させるような調節設定が可能化される。
本発明は請求項4に記載のような構成、すなわち、連係用スプリング6に代えて、制御用連桿3の中央部分をスプリングまたはダンパーのような伸縮体Mを設けるように構成することに依り、構造的簡略性と組立作業の容易性が図られることとなる。
本発明は請求項5に記載のような構成、すなわち、地震震動発生面側Aを地盤とし、免震対象部材側Bとして建物等構築部材とすることに依り、一般の建築用免震部材として広くその実施が図られる。
図1乃至図5は本発明の第1の実施例を表し、本発明に係る免震部材を、地震震動発生面側Aと免震対象部材側Bとの間に取付けた状態を表したものである。 同図において、1は可撓性及び伸縮性を具えた下位側筒体であって、地震震動発生面側Aに立設固定してある。 2は可撓性及び伸縮性を具えた上位側筒体であって、免震対象部材側Bに垂設固定してある。 そして、当該下位側筒体1と上位側筒体2の端部は、所定間隔Sを保った状態で同軸的に対向させてある。
ところで、上記した下位側筒体1と上位側筒体2の形成材料であるが、これは図4に示すように板状ゴム材料aと板状金属材料bとを互い違いに層状化状態で合体化したものである。 このような形態の材料は公知技術に属し、ゴム材に依る上下方向のクッション性と、金属材による強度性とを兼ね備えている。
また、上記した両筒体1,2の地震震動発生面側Aと免震対象部材側Bに対するそれぞれの固定手段は、主として接着剤に依る固定を図るものである。 然し乍、これに限定されるものではなく、例えば螺子止め、楔止め、その他適宜な固定手段に依存する様に構成しても良い。
3はワイヤー等可撓性材料で製した制御用連桿であって、その下端寄り及び上端寄りには夫々支持用スプリング4及び5が設けられている。 3a及び3bは制御用連桿3の下端及び上端に設けたスプリング受け盤、1a及び2aは前記両筒体1,2の内部所要箇所に形成したリング状棚部である。 上記した支持用スプリング4及び5は、当該受け盤3a及び3bとリング状棚部1a及び2aの間に夫々介在させることに依って、制御用連桿3を弾力的かつ昇降自在に支持している。
6は連係用スプリングであって、両筒体1,2を所定の間隔Sを保って弾力的に対向連係化させるように、上記したリング状棚部1a及び2a間に介在させてある。 そして、当該支持用スプリング6は、間隙Sの範囲内で直下型地震すなわち縦揺れの震動に対する免震作用を奏するように構成してある。 また、当該縦揺れと横揺れに対する免震作用は、下位側筒体1と上位側筒体2の形成材料からも奏されると共に、支持用スプリング6の横揺れに基づき吸収されるように構成してある。
また、上記した間隙Sであるが、この部分には、横方向にスライドする既存の免震部材(図示してない)を介在させることによって、本発明に係る免震部材を専ら短周期地震動と長周期地震動の横揺れに対する免震用として機能させるような形態に固定化させることができる。 すなわち、上記免震部材(図示してない)の介在にもとづき当該間隙Sを固定化することに依り、当該間隙Sの存在に基づく縦揺れ的免震を停止させ、専ら横揺れ的免震に専念させるような変更がなされる訳である。
図1に示すような状態において、直下型地震における縦揺れを感知した場合、連係支持用スプリング6の上下方向の震動に基づく免震な作用が奏され、また、短周期地震動を感知した際は支持用スプリング4及び5の揺れ動きに基づく免震作用が奏される。
そして、長周期地震動を感知した場合は、制御用連桿3の揺れ動きにより上下の筒体1,2が横方向に大きくズレ動き(図5参照)、これに基づく各スプリングの伸縮作用によって、長周期地震動に対する免震作用が奏される。
更に、前述したように間隙Sを埋めるように所要のスライド式の免震具を介在させた場合、全体が横揺れに対する免震用として機能し、短周期地震動及び長周期地震動の横振れに対する強弱きめの細かな免震作用が奏されることとなる。
ところで、本発明は地震震動発生面側Aを地表とし、免震対象部材側Bを建物等構築部材とすることに依り一般的な構築物に対する免震部材としての利用を主たる目的とするものである。 すなわち、本発明を例えばビル等の構築物に対する免震用部材として用いる場合は、図3に示すように地震震動発生面側A及び免震対象部材側B間に介在させ、このような介在点を所要数にして所要箇所に配置することに依り、当該構築物に対する免震作用が奏されることとなる。
また、地震震動発生面側Aを建物のフロアーとし、免震対象部材側Bを美術品またはコンピュータ等保護対象物とすることに依り、これらに対する免震部材としての利用を図ることができる。
すなわち、本発明は建物等の構築部材に対する免震用としての使用以外、例えばフロアー上に載置する美術品、コンピュータ機具等に対する免震用部材として用いることができる。
図5は本発明の第2の実施例を表したものであって、前述した第1の実施例の場合の支持用スプリング4及び5として、内外二つの支持用コイルスプリング4a,4bと5a,5bを配し、前述した第1の実施例の場合の連係用スプリング6に代えて、制御用連桿3としてその中央部にスプリングまたはダンパーのような伸縮体Mを設けるように構成したものである。
そして、上記第2の実施例の作動は、上記した変更部材が第1実施例の該当部と同様に作動してその免震作用が奏される。 然し乍、第2の実施例にあっては、内外二つの支持用コイルスプリング4a,4bと5a,5bの強さを適宜設定することに依り、地震の強さに即応させた免震作用を得ることが可能化される。
A 地震震動発生面側
B 免震対象部材側
a 板状ゴム材料
b 板状金属材料
1 下位側筒体
1a リング状棚部
2 上位側筒体
2a リング状棚部
3 制御用連桿
3a スプリング受け盤
3b スプリング受け盤
4 支持用スプリング
5 支持用スプリング
6 連係用スプリング
S 間隙
B 免震対象部材側
a 板状ゴム材料
b 板状金属材料
1 下位側筒体
1a リング状棚部
2 上位側筒体
2a リング状棚部
3 制御用連桿
3a スプリング受け盤
3b スプリング受け盤
4 支持用スプリング
5 支持用スプリング
6 連係用スプリング
S 間隙
Claims (5)
- 板状ゴム材料(a)と板状金属材料(b)とを互い違いに層状化状態で合体化して可撓性及び伸縮性を具えた材料で製した下位側筒体(1)を、地震震動発生面側(A)に立設すると共に、当該下位側筒体(1)と同一材料で製した上位側筒体(2)を、前記下位側筒体(1)と同軸状にしてかつ所定間隔(S)を保って免震対象部材側(B)に垂設し、当該両筒体(1,2)間には連係用スプリング(6)を介在させると共に、当該両筒体(1,2)はその軸線部分において制御用連桿(3)を介して弾力的に連結し、上記した間隔(S)には横方向にスライドする既存の免震部材を介在させることに依って、当該間隙(S)の存在に基づく縦揺れ的免震を停止させ、専ら横揺れ的免震に専念させるような変更を可能化したことを特徴とする免震部材。
- 下位側及び上位側の筒体(1及び2)の連結を、制御用連桿(3)を介して弾力的に連結するための手段として、 制御用連桿(3)の下端及び上端にスプリング受け盤(3a及び3b)を設け、両筒体(1及び2)の内部所要箇所にリング状棚部(1a及び2a)を形成し、当該スプリング受け盤とリング状棚部との間に夫々支持用コイルスプリング(4及び5)を介在させるように構成した請求項1に記載の免震部材。
- 下位側及び上位側の筒体(1及び2)を、制御用連桿(3)を介して弾力的に連結する手段として、 制御用連桿(3)の下端及び上端にスプリング受け盤(3a及び3b)を設け、両筒体(1及び2)の内部所要箇所にリング状棚部(1a及び2a)を形成し、当該スプリング受け盤とリング状棚部との間に、内外二つの支持用コイルスプリング(4a,4b)と支持用コイルスプリング(5a,5b)を配するように構成した請求項1または請求項2に記載の免震部材。
- 連係用スプリング(6)に代えて、制御用連桿(3)の中央部分をスプリングまたはダンパーのような伸縮体(M)を設けるように構成した請求項1乃至請求項3の何れかに記載の免震部材。
- 地震震動発生面側(A)を地盤とし、免震対象部材側(B)として建物等構築部材として成る請求項1または請求項2の何れかに記載の免震用部材。
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5988546U (ja) * | 1982-12-06 | 1984-06-15 | 株式会社キヨ−ワ | 防振支持装置 |
JPS6469842A (en) * | 1987-09-10 | 1989-03-15 | Hitachi Plant Eng & Constr Co | Vibration absorbing and vibration isolating device |
-
2012
- 2012-11-30 JP JP2012263753A patent/JP2014109316A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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JPS5988546U (ja) * | 1982-12-06 | 1984-06-15 | 株式会社キヨ−ワ | 防振支持装置 |
JPS6469842A (en) * | 1987-09-10 | 1989-03-15 | Hitachi Plant Eng & Constr Co | Vibration absorbing and vibration isolating device |
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