以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また「X方向」、「Y方向」及び「Z方向」の語は、図示する方向に基づいており便宜的なものである。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る減衰装置1の設置状態の一例について説明する。図1に示すように、減衰装置1は、例えば地震や風などによって柱2や梁3といった部材に加わるエネルギを吸収して減衰させる装置である。減衰装置1は、柱2,2及び梁3,3で囲まれる空間部分において、柱2の上端側と上側の梁3との交差部分から対角線に沿って延びる一対の斜材4Aの先端部分と、柱2の下端側と下側の梁3との交差部分から対角線に沿って延びる一対の斜材4Bの先端部分同士を連結するように設置されている。なお、一対の柱2が対向する水平方向を「X方向」とし、当該X方向と直交する水平方向を「Y方向」とし、鉛直方向を「Z方向」とする。なお、紙面右方向をX正方向とし、紙面前方向をY正方向とし、上方向をZ正方向とする。なお、図1に示す設置状態は一例に過ぎず、あらゆる設置状態にて減衰装置1を使用してよい。例えば、減衰装置1が取り付けられる構造物の構成は特に限定されず、柱2、梁3、斜材4A,4Bの構成は図1に示すものに限定されない。また、X方向が鉛直方向となってもよく、Y方向が鉛直方向となってもよい。
次に、図2〜図6を参照して、減衰装置1の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明においては、X方向に対して直交する基準平面CP1と、Y方向に対して直交する基準平面CP2と、Z方向に対して直交する基準平面CP3とを仮想的に設定して減衰装置1の構成を説明する。基準平面CP1は、減衰装置1のX方向における中央位置に設定され、基準平面CP2は、減衰装置1のY方向における中央位置に設定され、基準平面CP3は、減衰装置1のZ方向における基準位置に設定される。
図2〜図6に示すように、減衰装置1は、上側の斜材4Aに固定される一対の第1の板材11A,11Bと、下側の斜材4Bに固定される第2の板材12と、第1の板材11A及び第2の板材12に対してY方向(厚さ方向)に対向配置される第3の板材13Aと、第1の板材11B及び第2の板材12に対してY方向(厚さ方向)に対向配置される第3の板材13Bと、第1の板材11Aと第3の板材13Aとの間に配置される一対の粘弾性体(減衰部材)14A,16Aと、第1の板材11Bと第3の板材13Bとの間に配置される一対の粘弾性体(減衰部材)14B,16Bと、第2の板材12と第3の板材13Aとの間に配置される摩擦部材17Aと、第2の板材12と第3の板材13Bとの間に配置される摩擦部材17Bと、を備えている。本実施形態では、粘弾性体14A,14B,16A,16Bの変形方向、すなわち上側の斜材4Aと下側の斜材4Bの相対移動方向がX方向に該当する。減衰装置1の厚さ方向、すなわち各板材が積層される方向がY方向に該当する。減衰装置1の上下方向がZ方向に該当する。
減衰装置1は、上述の構成要素の組み合わせによって、四カ所に粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bと、二か所に摩擦ダンパ23A,23Bと、を備える。詳細な構造については後述するが、粘弾性ダンパ21A,21Bと、摩擦ダンパ23A,23Bと、粘弾性ダンパ22A,22Bは、この順でX正方向に並んでいる。すなわち、摩擦ダンパ23A,23Bは、粘弾性ダンパ21A,21Bと、粘弾性ダンパ22A,22BにX方向において挟まれるように配置されている。
第2の板材12は、例えばメッキ処理された鋼板や、ショットブラスト処理された鋼板やパーカー処理された鋼板などによって矩形状に形成されている。本実施形態では、第2の板材12は、X方向に延びる長方形状をなしている。第2の板材12は、X方向(長手方向)の中央位置が基準平面CP1上に設定され、Y方向(厚さ方向)の中央位置が基準平面CP2上に設定され、Z方向(短手方向)における所定位置が基準平面CP3上に設定されるように配置される。第2の板材12は、Z方向において、ダンパ領域26を上端部12a側に有し、固定領域27を下端部12b側に有している(特に、図5を参照)。ダンパ領域26は、摩擦ダンパ23A,23Bを構成するための領域である。固定領域27は、下側の斜材4Bに減衰装置1を固定するための領域である。特に限定されないが、本実施形態では、ダンパ領域26は、固定領域27よりも広い範囲を占めている。ダンパ領域26のZ方向における略中央位置が、基準平面CP3上に設定される。第2の板材12の固定領域27には、斜材4Bの先端に固定された接続部材5(図2参照)とボルト接合するための貫通孔29がX方向に複数形成されている。
第2の板材12のダンパ領域26には、摩擦部材17Aからの摩擦を受容する摩擦受容部28Aが形成され、摩擦部材17Bからの摩擦を受容する摩擦受容部28Bが形成される。摩擦受容部28Aは、第2の板材12のY正方向側の表面12eに板材を固定することによって形成される。摩擦受容部28Bは、第2の板材12のY負方向側の表面12fに板材を固定することによって形成される。摩擦受容部28A,28Bの材料として、第2の板材12自体の材料よりも耐摩耗性の高い材料が適用され、例えば、SUSやメッキ加工された鋼板や鋼板素地などを適用してよい。なお、第2の板材12全体を耐摩耗性の高い材料で構成した場合、コストが高くなってしまうため、摩擦を受容する部分のみを耐摩耗性の高い材料で構成している。摩擦受容部28A,28Bの板材を第2の板材12の表面12e,12fに固定するときの固定方法は特に限定されないが、略全面で摩擦を受容できるように(例えばボルト締めなどの場合、突出部が形成される)、溶接によって固定してよい。
摩擦受容部28A,28Bは、X方向における中央位置が基準平面CP1上に設定され、Z方向における中央位置が基準平面CP3上に設定されるような矩形状をなしている。摩擦受容部28A,28Bの厚さは、第2の板材12自体の厚さよりも薄い。摩擦受容部28Aと摩擦受容部28Bは、基準平面CP2に対して面対称となるような形状・配置となっている。ただし、面対称となっていなくともよい。摩擦受容部28A,28Bは、X方向及びZ方向においてダンパ領域26の略全域を覆うように形成されている。ただし、溶接代を確保するために、摩擦受容部28A,28BのX方向における端部は、第2の板材12のX方向における端部12c,12dから僅かに離間していてよく、摩擦受容部28A,28Bの上端部は、第2の板材12の上端部12aから僅かに離間していてよい(特に図5参照)。
第2の板材12には、摩擦部材17A,17Bをガイドするガイド孔31A,31Bが形成される。ガイド孔31A,31Bは、第2の板材12のダンパ領域26において、基準平面CP3と平行となるようにX方向に延在している。ガイド孔31A,31Bは、Z方向において互いに平行に対向するように形成されている。本実施形態では、ガイド孔31Aは基準平面CP3よりZ正方向側(上端部12a側)に形成され、ガイド孔31Bは基準平面CP3よりZ負方向側(下端部12b側)に形成されている。ガイド孔31Bガイド孔31A,31Bは、X方向に延びる長円状の形状を有している。ただし、形状は特に限定されず、長方形状であってもよい。ガイド孔31A,31Bは、摩擦受容部28A,28B及び第2の板材12をY方向に貫通している。ガイド孔31A,31BのX方向に延在する縁部31a,31b同士の間の距離は、摩擦部材17A,17Bを支持するボルト41の軸部41aの直径に対して僅かに隙間が形成される程度の大きさに設定されている(特に図5参照)。従って、縁部31a,31bは、ボルト41の軸部41aをガイドすることによって、摩擦部材17A,17BのX方向における移動をガイドする。また、ガイド孔31A,31BのX負方向側(端部12c側)の端部31cは、ボルト41の軸部41aと接触することで、摩擦部材17A,17BのX負方向側の移動を規制し、ガイド孔31A,31BのX正方向側(端部12d側)の端部31dは、ボルト41の軸部41aと接触することで、摩擦部材17A,17BのX正方向側の移動を規制する(特に図5参照)。ガイド孔31A,31Bの端部31cは、後述の粘弾性体配置領域44に配置されており、端部31dは、後述の粘弾性体配置領域47に配置されている。このような構成により、X方向が、摩擦部材17A,17Bのストローク方向に該当する。なお、本実施形態では、ガイド孔31Aとガイド孔31Bは、基準平面CP3に対して面対称な形状・位置に形成されている。ただし、面対称となっていなくともよく、ガイド孔31A,31Bの基準平面CP3からの距離が互いに異なっていてもよい。また、ガイド孔が二つ形成されているが、一つでもよく三つ以上でもよい。以上のように摩擦受容部28A,28Bを有する第1の板材11A,11Bは、基準平面CP1に対して面対称な形状を有している。
摩擦部材17A,17Bは、摩擦ダンパ23A,23Bを構成する部材であり、摩擦受容部28A,28Bと面接触した状態で移動することにより、摩擦力を発生する部材である。摩擦部材17A,17Bの材料として、一般的に用いられている摩擦材、鋼板自体、ステンレスなどを適用してよい。摩擦部材17A,17Bは、矩形板状の形状をなしている。なお、本実施形態では、同形状の部材をZ方向に一対並べることで一つの摩擦部材を構成しているが、一枚の部材で一つの摩擦部材を構成してよい。摩擦部材17A,17Bは、X方向における中央位置が基準平面CP1上に設定され、Z方向における中央位置が基準平面CP3上に設定されるように、摩擦受容部28A,28Bの表面内に配置される。摩擦部材17A,17Bには、X方向における中央位置であって、第2の板材のガイド孔31A,31Bに対応する位置に、ボルト41の軸部41aを挿通するための貫通孔17aが形成されている(特に図5及び図6参照)。
第1の板材11A,11Bは、第2の板材12と同様に、例えばメッキ処理された鋼板や、ショットブラスト処理された鋼板やパーカー処理された鋼板などによって形成されている。本実施形態では、第1の板材11A,11Bは、Y方向視において、X方向に延びる長方形の一部が切り欠かれた、略U字状の形状をなしている。第1の板材11A,11Bは、Z方向において、固定領域32を上端部11a側に有し、ダンパ領域33を下端部11b側に有している(特に、図5を参照)。特に限定されないが、本実施形態では、ダンパ領域33は、固定領域32よりも広い範囲を占めている。また、第1の板材11Aは、折れ曲ることによって、ダンパ領域33が、固定領域32よりもY正方向に離間しており、第1の板材11Bは、折れ曲ることによって、ダンパ領域33が、固定領域32よりもY負方向に離間している(特に図4及び図6参照)。ダンパ領域33と固定領域32とは平行をなしており、当該ダンパ領域33と固定領域32は、第1の板材11A,11Bを屈曲することによって形成された傾斜領域35によって接続されている。
第1の板材11A,11Bの固定領域32はX方向に延びる長方形をなしている。固定領域32には、斜材4Aの先端に固定された接続部材5(図2参照)とボルト接合するための貫通孔30がX方向に複数形成されている。
第1の板材11A,11Bのダンパ領域33におけるX負方向の端部11c側には、固定領域32からZ負方向(下方)へ延びて、粘弾性体14A、14Bを支持する矩形状の支持部34が形成されている。第1の板材11A,11Bのダンパ領域33におけるX正方向の端部11d側には、固定領域32からZ負方向(下方)へ延びて、粘弾性体16A,16Bを支持する支持部36が形成されている。支持部34は、粘弾性ダンパ21A,21Bを構成する位置に配置されており、支持部34は、粘弾性ダンパ22A,22Bを構成する位置に配置されている。支持部34と支持部36との間には、摩擦ダンパ23A,23Bを設けるために、第1の板材11A,11Bが当該摩擦ダンパ23A,23Bの構成要素と干渉しないように、スペースSPが確保されている。なお、スペースSPの形状や大きさについては後述する。
第1の板材11Aと第1の板材11Bとは、互いの固定領域32が重ね合されて当該固定領域32が第2の板材12よりもZ正方向側(上側)に配置されると共に、それぞれのダンパ領域33で、第2の板材12のダンパ領域26をY方向に挟むように配置される。第1の板材11A,11Bは、X方向(長手方向)の中央位置が基準平面CP1上に設定され、Z方向(短手方向)におけるダンパ領域33の略中央位置が基準平面CP3上に設定されるように配置される。また、第2の板材12側における第1の板材11Aの表面11fと第2の板材11Bの表面11fとは、固定領域32で互いに面接触するように接合されており、当該面接触位置が基準平面CP2上に設定されるように配置される(特に図4及び図6参照)。第1の板材11Aは、基準平面CP1に対して面対称な形状を有している。ただし、面対称となっていなくともよい。また、第1の板材11Aと第1の板材11Bは、基準平面CP2に対して面対称となるような形状・配置となっている。ただし、面対称となっていなくともよい。
本実施形態における第1の板材11A,11Bと第2の板材12との、Y方向視における(例えば、図2及び図5参照)位置関係を説明する。第1の板材11A,11Bの下端部11bは、第2の板材12の摩擦受容部28A,28Bの下端部と略一致するように配置されているが、一致していなくともよく、上側に配置されていてもよく下側に配置されていてもよい。第1の板材11A,11Bの傾斜領域35の下端部は、第2の板材12の上端部12aと略一致するように配置されているが、一致していなくともよく、上側に配置されていてもよく下側に配置されていてもよい(ただし、第1の板材11A,11Bが第2の板材12と接触しないようにする)。第1の板材11A,11BのX方向における端部11c,11dは、第1の板材12のX方向における端部12c,12dよりも基準平面CP1に対して内側に配置されているが、一致していてよく、外側に配置されていてよい。
支持部34の中央側の端部であってスペースSPのX負方向の端部を規定する端部11gと、支持部36の中央側の端部であってスペースSPのX正方向の端部を規定する端部11hは、少なくとも摩擦部材17A,17BよりもX方向外側に配置される。支持部34と支持部36との間でX方向に延びてスペースSPの上端部を規定する端部11kは、少なくとも摩擦部材17A,17BよりもZ正方向側(上端部11a側)に配置され、本実施形態では、傾斜領域35に配置されている。スペースSPの下端部側は開放されている。ただし、摩擦ダンパ23A,23Bと干渉せず、且つ、貫通孔29に固定されるボルトと干渉しない限り、支持部34と支持部36とを下端部側で接続するようにX方向に延びる部分が形成されていてよい。
本実施形態における第1の板材11A,11Bと第2の板材12との、Y方向における(例えば、図3及び図4参照)位置関係を説明する。第1の板材11A,11Bのダンパ領域33、すなわち支持部34,36は、第1の板材12の摩擦受容部28A,28BからY方向(厚さ方向)において平行に対向すると共に、隙間を形成するように離間している。支持部34,36と摩擦受容部28A,28Bとの間に隙間が形成されることによって、摩擦受容部28A,28Bと支持部34,36との間に設計外の摩擦力が発生することを防止する。当該隙間の大きさT1(図3参照)は、特に限定されないが、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bでの減衰装置1の厚さを極力薄くすると共に、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bを基準平面CP2に極力近づけることでバランスよく振動を減衰できるように、隙間の大きさT1を摩擦部材17A,17Bの厚さより小さくしてよい。
粘弾性体14A,14B,16A,16Bは、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bを構成する部材であり、振動に伴って変形することによって、振動エネルギを吸収する部材である。粘弾性体14A,14B,16A,16Bの材料として、アクリル樹脂やゴム系樹脂などの粘弾性材料を適用してよい。粘弾性体14A,14B,16A,16Bは、矩形板状の形状をなしている。なお、本実施形態では、一枚のシートによって一つの粘弾性部材を構成しているが、複数のシートを組み合わせて一つの摩擦部材を構成してよい。粘弾性体14A,14Bは、第1の板材11A,11Bの支持部34に固定され、粘弾性体16A,16Bは、第1の板材11A,11Bの支持部36に固定されている。当該固定は接着や粘着によってなされている。支持部34,36の接着面には、例えばショットブラスト処理、皮膜処理、または溶融亜鉛めっき処理といった接着力の強化等の所望の効果を発揮させるための表面処理を施してよい。第3の板材13A,13B側の接着面も同様である。粘弾性体14A,14Bは、支持部34の表面11e(基準平面CP2に対して外側の表面)の略全域を覆うように、当該表面11eに固定されている。粘弾性体16A,16Bは、支持部36の表面11e(基準平面CP2に対して外側の表面)の略全域を覆うように、当該表面11eに固定されている。ただし、本実施形態では、粘弾性体14A,14B,16A,16BのX方向及びZ方向における各端部は、支持部34,36の各端部から内側へ離間するように配置されている。粘弾性体14A,14B,16A,16BのZ方向における中央位置は、基準平面CP3上に設定されてよい。本実施形態では、X方向が粘弾性体14A,14B,16A,16Bの変形方向に該当する。
第3の板材13A,13Bは、板材11A,11B,12と同様に、例えばメッキ処理された鋼板や、ショットブラスト処理された鋼板やパーカー処理された鋼板などによって形成されている。本実施形態では、第3の板材13A,13Bは、Y方向視において、X方向に延びる長方形をなしている。第3の板材13A,13Bは、Y方向(厚さ方向)にから見て、粘弾性体14A,14Bが配置される粘弾性体配置領域44と、摩擦部材17A,17Bが配置される摩擦部材配置領域46と、粘弾性体16A,16Bが配置される粘弾性体配置領域47と、を有している。第3の板材13A,13Bは、粘弾性体配置領域44をX方向における端部13c側に有し、粘弾性体配置領域47をX方向における端部13d側に有し、摩擦部材配置領域46を粘弾性体配置領域44と粘弾性体配置領域47との間に有する(特に、図5を参照)。また、第3の板材13Aでは、折れ曲ることによって、粘弾性体配置領域44,47が、摩擦部材配置領域46よりもY正方向に離間しており、第3の板材13Bでは、折れ曲ることによって、粘弾性体配置領域44,47が、摩擦部材配置領域46よりもY負方向に離間している(特に図3参照)。粘弾性体配置領域44,47と摩擦部材配置領域46とは平行をなしている。粘弾性体配置領域44と摩擦部材配置領域46は、第3の板材13A,13Bを屈曲することによって形成された傾斜領域48によって接続されている。粘弾性体配置領域47と摩擦部材配置領域46は、第3の板材13A,13Bを屈曲することによって形成された傾斜領域49によって接続されている。
第3の板材13Aと第3の板材13Bとは、第1の板材11A,11Bのダンパ領域33及び第2の板材12のダンパ領域26をY方向に挟むように配置される。すなわち、第3の板材13Aは、第1の板材11Aのダンパ領域33及び第2の板材12のダンパ領域26を、Y正方向側から(基準平面CP2に対して外側から)覆うように配置される。第3の板材13Bは、第1の板材11Bのダンパ領域33及び第2の板材12のダンパ領域26を、Y正方向側から(基準平面CP2に対して外側から)覆うように配置される。第3の板材13A,13Bは、X方向(長手方向)の中央位置が基準平面CP1上に設定され、Z方向(短手方向)における略中央位置が基準平面CP3上に設定されるように配置される。第3の板材13Aは、基準平面CP1に対して面対称な形状を有している。ただし、面対称となっていなくともよい。また、第3の板材13Aと第3の板材13Bは、基準平面CP2に対して面対称となるような形状・配置となっている。ただし、面対称となっていなくともよい。
本実施形態では、第3の板材13A,13BのX方向における端部13c,13dは、第1の板材11A,11Bの端部11c,11dと一致するように配置されているが、一致していなくともよく、外側または内側に配置されていてよい。第3の板材13A,13BのZ方向における上端部13aは、第2の板材12の上端部12aと一致するように配置されているが、一致していなくともよく、上側または下側に配置されてよい。第3の板材13A,13BのZ方向における下端部13bは、第2の板材12の摩擦受容部28A,28Bの下端部と一致するように配置されているが、一致していなくともよく、上側または下側に配置されてよい。傾斜領域48の粘弾性体配置領域44側の端部は第1の板材11A,11Bの端部11gよりも基準平面CP1に対して内側に配置されているが、少なくとも粘弾性体14A,14BのX方向における端部より内側であればよく、端部11gと一致していてもよく外側に配置されていてもよい。傾斜領域48の摩擦部材配置領域46側の端部は摩擦部材17A,17BのX方向における端部よりも基準平面CP1に対して外側に配置される。傾斜領域49の粘弾性体配置領域47側の端部は第1の板材11A,11Bの端部11hよりも基準平面CP1に対して内側に配置されているが、少なくとも粘弾性体16A,16BのX方向における端部より内側であればよく、端部11hと一致していてもよく外側に配置されていてもよい。傾斜領域49の摩擦部材配置領域46側の端部は摩擦部材17A,17BのX方向における端部よりも基準平面CP1に対して外側に配置される。
本実施形態における第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域44は、Z方向へ延びる長方形状であって、粘弾性体14A,14Bを支持する領域である。粘弾性体配置領域44は、粘弾性ダンパ21A,21Bを構成する位置に配置されており、第1の板材13A,13Bのダンパ領域33における支持部34に対して平行に対向している。Y方向において、粘弾性体配置領域44は、第1の板材11A,11Bの支持部34よりも、第2の板材12から離間した位置に配置されている(特に、図3参照)。これによって、第1の板材11A,11Bの支持部34は、第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域44に対して、第2の板材12側で対向するような構成となる。粘弾性体配置領域44は、支持部34との間に配置される粘弾性体14A,14Bの全域を覆っており、表面13f(基準平面CP2に対して内側の表面)に粘弾性体14A,14Bが固定されている。
第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域47は、Z方向へ延びる長方形状であって、粘弾性体16A,16Bを支持する領域である。粘弾性体配置領域47は、粘弾性ダンパ22A,22Bを構成する位置に配置されており、第1の板材13A,13Bのダンパ領域33における支持部36に対して平行に対向している。Y方向において、粘弾性体配置領域47は、第1の板材11A,11Bの支持部36よりも、第2の板材12から離間した位置に配置されている(特に、図3参照)。これによって、第1の板材11A,11Bの支持部36は、第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域47に対して、第2の板材12側で対向するような構成となる。粘弾性体配置領域47は、支持部36との間に配置される粘弾性体16A,16Bの全域を覆っており、表面13f(基準平面CP2に対して内側の表面)に粘弾性体16A,16Bが固定されている。
本実施形態における第3の板材13A,13Bの摩擦部材配置領域46は、Z方向へ延びる長方形状であって、摩擦部材17A,17Bを摩擦受容部28A,28Bへ押圧する領域である。摩擦部材配置領域46は、摩擦ダンパ23A,23Bを構成する位置に配置されており、第2の板材12のダンパ領域26における摩擦受容部28A,28Bに対して平行に対向している。Y方向において、摩擦部材配置領域46は、粘弾性体配置領域44,47よりも、第2の板材12に近い位置に配置されている(特に、図3参照)。摩擦部材配置領域46は、第2の板材12の摩擦受容部28A,28Bとの間に配置される摩擦部材17A,17Bの全域を覆っており、表面13f(基準平面CP2に対して内側の表面)に摩擦部材17A,17Bがボルト41及びナット42で締め付けられることによって、固定されている。摩擦部材配置領域46には、摩擦部材17A,17Bの貫通孔17aと連通するように、ボルト41の軸部41aを挿通するための貫通孔51が形成されている(図6参照)。
第3の板材13A,13Bの摩擦部材配置領域46では、Y方向(厚さ方向)に軸力を発生させる軸力発生部材であるボルト41及びナット42によって、第2の板材12、摩擦部材17A,17B及び第3の板材13A,13Bが支持される。ボルト41及びナット42は、摩擦部材配置領域46に対して基準平面CP1の位置に一対設けられている。上側のボルト41の軸部41aは、第3の板材13Aの貫通孔51、摩擦部材17Aの貫通孔17a、第2の板材12のガイド孔31A、摩擦部材17Bの貫通孔17a、及び第3の板材13Bの貫通孔51を挿通され、先端側にナット42が固定される(図6参照)。下側のボルト41の軸部41aは、第3の板材13Aの貫通孔51、摩擦部材17Aの貫通孔17a、第2の板材12のガイド孔31B、摩擦部材17Bの貫通孔17a、及び第3の板材13Bの貫通孔51を挿通され、先端側にナット42が固定される(図6参照)。これによって、ボルト41の頭部41bとナット42に挟まれて押圧されることによって、第3の板材13A、13B、摩擦部材17A、17B、及び第2の板材12にY方向(厚さ方向)の軸力が発生する。
以上のような構成により、減衰装置1は、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22B及び摩擦ダンパ23A,23Bを備えることとなる。具体的に、粘弾性ダンパ21Aは、第1の板材13Aの支持部34と、当該支持部34に対向する第3の板材13Aの粘弾性体配置領域44と、支持部34及び粘弾性体配置領域44で挟まれた粘弾性体14Aと、によって構成される。粘弾性ダンパ21Bは、第1の板材13Bの支持部34と、当該支持部34に対向する第3の板材13Bの粘弾性体配置領域44と、支持部34及び粘弾性体配置領域44で挟まれた粘弾性体14Bと、によって構成される。粘弾性ダンパ22Aは、第1の板材13Aの支持部36と、当該支持部36に対向する第3の板材13Aの粘弾性体配置領域47と、支持部36及び粘弾性体配置領域47で挟まれた粘弾性体16Aと、によって構成される。粘弾性ダンパ22Bは、第1の板材13Bの支持部36と、当該支持部36に対向する第3の板材13Bの粘弾性体配置領域47と、支持部36及び粘弾性体配置領域47で挟まれた粘弾性体16Bと、によって構成される。粘弾性ダンパ21A,22Aは、第1の板材11Aと、第2の板材12に固定された第3の板材13Aとが相対的に往復移動して粘弾性体14A,16Aが繰り返し変形することによって、振動エネルギを吸収する。粘弾性ダンパ21B,22Bは、第1の板材11Bと、第2の板材12に固定された第3の板材13Bとが相対的に往復移動して粘弾性体14B,16Bが繰り返し変形することによって、振動エネルギを吸収して減衰させる。粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bによる減衰力は、粘弾性体14A,14B,16A,16Bの材質や大きさや厚さによって調整される。
摩擦ダンパ23Aは、第2の板材12の摩擦受容部28Aと、第3の板材13Aの摩擦部材配置領域46と、摩擦受容部28A及び摩擦部材配置領域46で挟まれた摩擦部材17Aと、軸力を発生する軸力発生部材としてのボルト41及びナット42と、によって構成される。また、摩擦ダンパ23Bは、第2の板材12の摩擦受容部28Bと、第3の板材13Bの摩擦部材配置領域46と、摩擦受容部28B及び摩擦部材配置領域46で挟まれた摩擦部材17Bと、軸力を発生する軸力発生部材としてのボルト41及びナット42と、によって構成される。摩擦ダンパ23Aと摩擦ダンパ23Bは、ボルト41及びナット42を共有しているため、摩擦ダンパ23Aの第3の板材13A及び摩擦部材17Aと、摩擦ダンパ23Bの第3の板材13B及び摩擦部材17Bとは、一体化された状態で移動する。摩擦ダンパ23A,23Bは、第3の板材13A,13B及び摩擦部材17A,17Bが移動し、摩擦部材17A,17Bと摩擦受容部28A,28Bとの間で摩擦力を発生させることによって、振動エネルギを減衰させる。摩擦部材17A,17Bの移動が開始される力(滑り荷重)は、摩擦部材17A,17B及び摩擦受容部28A,28Bの摩擦係数、両部材の接触面積、ボルト41及びナット42による軸力の大きさなどによって設定される。すなわち、摩擦ダンパ23A,23Bの滑り荷重は、ボルト41及びナット42による軸力を調整することにより、所望の値に設定することができる。本実施形態では、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bの粘弾性体14A,14B,16A,16Bが変形上限値(すなわち、粘弾性体14A,14B,16A,16Bが破壊されることなく振動エネルギを吸収することができる変形量の上限値)を超える前に摩擦ダンパ23A,23Bによる減衰が開始されるように、ボルト41及びナット42による軸力が設定される。
次に、本実施形態に係る減衰装置1の作用・効果について説明する。
地震などによって梁3に対して柱2が傾くように変位する場合、その変位は斜材4A,4Bを介して減衰装置1に伝達される。このとき、減衰装置1では、図7(a)に示すように、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bのみによって減衰が行われる。すなわち、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bでは粘弾性体14A,14B,16A,16Bが変形することで振動エネルギの吸収を行う一方で、摩擦ダンパ23A,23Bでは摩擦部材17A,17Bがボルト41及びナット42の軸力によって第2の板材12の摩擦受容部28A,28Bに固定された状態が維持される。
振動が大きく、粘弾性体14A,14B,16A,16Bの変形が大きくなり所定の閾値(変形上限値を超えない値に設定される)まで至ると、摩擦ダンパ23A,23Bによる減衰が開始される。すなわち、図7(b)に示すように、ボルト41及びナット42の軸力による摩擦部材17A,17Bと摩擦受容部28A,28Bとの固定状態が解除される。これにより、ボルト41がガイド孔31A,31Bでガイドされながら、ボルト41及び第3の板材13A,13Bと共に摩擦部材17A,17BがX方向に移動する。これによって、摩擦部材17A,17Bと摩擦受容部28A,28Bとの間で摩擦力が発生し、振動エネルギを減衰させることができる。これによって、粘弾性体14A,14B,16A,16Bが過剰に変形することによって破壊されることを防止できる。
ここで、本実施形態の減衰装置1との比較のために、図8(a)を参照して比較例に係る減衰装置80について説明する。図8(a)に示すように、比較例に係る減衰装置80は、上側の構造物に固定される第1の板材81と、下側の構造物に固定される第2の板材82と、第1の板材81に設けられる粘弾性体86と、第2の板材82に設けられる摩擦部材87と、第1の板材81との間で粘弾性体86を挟み、第2の板材82との間で摩擦部材87を挟む第3の板材83と、を備えている。粘弾性体86によって構成される粘弾性ダンパ84と、摩擦部材87によって構成される摩擦ダンパ85は、上下方向(Z方向)に並んでおり、粘弾性体86の変形方向(X方向)には並んでいない。このような構成では、第3の板材83が回転するような動きが発生し、摩擦ダンパ85にモーメントが作用する。従って、当該モーメントに対応するために、当該摩擦ダンパ85のボルトの締め付け力が余分に必要となる。従って、所望の性能を発揮するためには、ボルト及びナットによる軸力を設定する際に当該モーメントを考慮する必要が生じる。
一方、本実施形態に係る減衰装置1では、第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域44,47は、粘弾性体14A,14B,16A,16Bの変形方向であるX方向において、摩擦部材配置領域46と並んでいる。すなわち、粘弾性ダンパ21A,21B,22A,22Bと摩擦ダンパ23A,23Bとが、粘弾性体14A,14B,16A,16Bの変形方向(X方向)において並んだ構成となる。これにより、摩擦ダンパ23A,23Bに作用するモーメントが抑制されるため、第2の板材12、摩擦部材17A,17B及び第3の板材13A,13Bを支持するボルト41及びナット42による軸力を設定する際に、当該モーメントを考慮する必要が無くなり、軸力の設定が容易となる。このように軸力の設定が容易となることで、所望の性能を安定的に発揮することができるため、減衰装置1としての性能が向上する。なお、本実施形態では、粘弾性体14A,14B,16A,16B及び摩擦部材17A、17BのZ方向における中央位置が基準平面CP3上に設定されるように配置されているため、摩擦ダンパ23A,23Bに作用するモーメントを一層抑制できる。
また、第1の板材11A,11Bのダンパ領域33は、第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域44,47に対して、第2の板材12側で対向するように配置される。すなわち、一方の斜材4Aに固定される第1の板材11A,11Bと他方の斜材4Bに固定される第2の板材12とを厚さ方向(Y方向)に近づけるような配置とすることで、より安定的に振動を減衰させることができる。例えば、第1の板材11A,11Bのダンパ領域33が、第3の板材13A,13Bの粘弾性体配置領域44,47に対して、第2の板材12とは反対側で対向するような構成とした場合(すなわち、第1の板材11A,11Bと第2の板材12との間に第3の板材13A,13Bが配置されるような構成)、第1の板材11A,11Bを傾斜領域35において大きく外側に屈曲させる必要があり、上側からの振動エネルギの伝達経路が第2の板材12から遠ざかる。
ここで、減衰装置の性能を向上させることが要請される一方で、設置場所の制約を受けないように、減衰装置の厚さを薄くすることも要請されている。減衰装置の厚さは、厚さ方向に最も突出した部分の位置によって規定され、図8(b)に示すように、各部材をボルト96及びナット97で固定している場合は、当該ボルト96の端部同士の寸法L2が減衰装置の厚さとなる。従って、図8(b)に示すように、第1の板材91、第2の板材92、第3の板材93、粘弾性体94及び摩擦部材95の厚さの影響を受けるボルト96及びナット97を、減衰装置が有している場合、当該減衰装置の厚さの寸法L2が大きくなる。
これに対し、本実施形態に係る減衰装置1は、性能を向上させることができる構造であると共に、装置の厚さも薄くすることができる構造である。減衰装置1では、図3に示すように、第3の板材13A,13Bが折れ曲がることによって、粘弾性体配置領域44,47が、摩擦部材配置領域46よりも第2の板材12から厚さ方向(Y方向)において離間している。すなわち、第3の板材13A,13Bの摩擦部材配置領域46は、粘弾性体配置領域44,47よりも第2の板材12へ近づく。また、軸力を発生させるボルト41及びナット42が、摩擦力を発生させるのに必要な第2の板材12、摩擦部材17A,17B及び第3の板材13A,13Bを支持している。例えば、第3の板材13A,13Bが折れ曲ることなく平板であった場合、摩擦部材配置領域46と粘弾性体配置領域44,47のY方向の位置は同じとなる。従って、摩擦部材17A,17Bと摩擦部材配置領域46との間にスペーサなどを配置した状態で、ボルト41及びナット42で支持する必要性が生じる。しかしながら、本実施形態に係る減衰装置1では、ボルト41及びナット42は、摩擦力を発生させるのに必要な部材のみを支持しており、粘弾性体14A,14B,16A,16Bや第1の板材11A,11Bの厚さの影響を受けていない。すなわち、減衰装置1の厚さを規定する寸法である、ボルト41の端部同士の寸法L1は、摩擦ダンパ23A,23Bを構成するために必要最小限の寸法に設定することが可能となる。従って、減衰装置1の厚さを薄くすることができる。
また、本実施形態に係る減衰装置1において、第2の板材12には、摩擦部材17A,17Bからの摩擦を受容する摩擦受容部28A,28Bが形成される。摩擦受容部28A,28Bは、厚さ方向(Y方向)から見て、粘弾性体配置領域44,47まで延びている。これによって、摩擦部材17A,17Bが移動するためのストロークを長くすることができ、摩擦ダンパ23A,23Bの性能を向上させることができる。単に粘弾性ダンパと摩擦ダンパを、粘弾性体の変形方向(X方向)に並べた場合、粘弾性ダンパと干渉してしまうため摩擦部材のストロークを十分に確保することができない。あるいは、ストロークを確保するために、装置の変形方向の大きさや厚さ方向の大きさを大きくする必要がある。しかしながら、本実施形態に係る減衰装置1では、粘弾性体配置領域44,47と重なる位置まで摩擦受容部28A,28Bを延ばすことで、装置の変形方向(X方向)の大きさを大きくすることなく、十分なストロークが確保されている。また、摩擦受容部28A,28Bを粘弾性体配置領域44,47と重なる位置まで延ばしていても、粘弾性体配置領域44,47における第3の板材13A,13Bの外側の表面13eは、ボルト41の突出部よりも外側へはみ出ないように構成されている。従って、減衰装置1の厚さをボルト41の長さによって規定される寸法L2の範囲内に抑えることが可能となっている。
また、本実施形態に係る減衰装置1において、粘弾性体配置領域44,47は、変形方向(X方向)において、摩擦部材配置領域46の両側に形成されている。従って、摩擦受容部28A,28Bを変形方向(X方向)における両側へ延ばすことができるため、摩擦部材17A,17Bのストロークを一層長くすることができる。なお、本発明の変形例として、図11に示すような減衰装置300も採用可能である。減衰装置300は、第3の板材313A,313Bの摩擦部材配置領域344,347が、変形方向(X方向)において、粘弾性体配置領域346の両側に配置されている。すなわち、中央位置にて第1の板材311A,311Bと第3の板材313A,313Bで粘弾性体14Aを挟み込んだ粘弾性ダンパが形成され、その両側で第2の板材312と第3の板材313A,313Bで摩擦部材17A,17Bを挟み込んだ摩擦ダンパが形成される。このような減衰装置300の場合、両側の摩擦部材17A,17Bのストロークが上述の実施形態に係る減衰装置1に比して小さく、ストロークを大きくしようとする場合は、第2の板材312をX方向に更に延ばす必要がある。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、第2の板材12に対して一対の第1の板材11A,11B及び一対の第3の板材13A,13Bが設けられていた。これに代えて、図9に示す減衰装置100のように、第2の板材12に対して一の第1の板材11A及び一の第3の板材13Aを設けてもよい。
また、上述の実施形態では、摩擦部材配置領域46の両側に粘弾性体配置領域44,47が設けられていた。これに代えて、図10に示す減衰装置200のように、摩擦部材配置領域46の一方のみに粘弾性体配置領域47が設けられていてよい。なお、図10に示す減衰装置200について、第2の板材12に対して一の第1の板材11A及び一の第3の板材13Aを設けてもよい。
また、上述の実施形態では、減衰部材として粘弾性体を使用した部材を例示したが、これに限らず、ゴム材を使用した部材などを採用してもよい。なお、減衰部材とは、部材が変形することによって振動エネルギを吸収することができるものである。
また、摩擦部材の変形方向(X方向)のストロークは自由に設定可能であり、上述の実施形態に限定されない。例えば、摩擦受容部28A,28Bは粘弾性体配置領域44,47の略全域と重なるように延びていたが、一部が重なるように延びていてよく、重なっていなくともよい。