JP2014109214A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率低下を抑えて、効果的に安定作動範囲を広げることが可能な圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】圧縮機は、インペラ12と、インペラ12を収容し、インペラ12によって導かれる流体の主流路21を形成するケーシング20と、ケーシング20の内面にて主流路21を分岐して形成された溝24とを備え、溝24は、ケーシング20の内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機に関するものである。
圧縮機では、ケーシング内部に設置された羽根車(インペラ)が回転することによって流体が吸引され、吸引された流体は、下流側へ導かれる。ケーシングの内周面のうちインペラの入口近傍に、ケーシングトリートメント、エアセパレータ又は抽気口等を形成することによって、旋回失速やサージングの発生を抑制して、作動範囲を拡大する技術が知られている。
図14及び図15に示すように、一般に、圧縮機の回転数を一定のもとで流量を減少させていくと、旋回失速と呼ばれる流れ場の自励振動が発生する。また、旋回失速とは、圧縮機内に発生した局所的な失速域が、羽根車とは異なる速度で周方向に伝播する現象である。旋回失速が生じると、圧縮機性能は大幅に低下すると共に、翼に断続的な振動応力が加わることで疲労破壊の発生にも繋がるおそれが生じる。
旋回失速が発生した後、更に流量を減少させていくと、強い音響を伴う流れの脈動(サージング)が発生し、運転限界に達する。
こうした旋回失速やサージングの発生によって、圧縮機の作動範囲が限定されてしまう。
特許文献1では、圧縮機内の空気流を制御する方法であって、周方向非対称パターンで高圧空気を抽出することによって、旋回失速のような周期性を持つ流れの擾乱を打ち消す技術が開示されている。
特開2008−111435号公報
ケーシングトリートメントは、例えば、ケーシングのうち翼列が存在する位置と重なる場所に設けられた溝であり、溝内に再循環流れを形成する。翼列内で比較的圧力の高い領域にある流体が溝を通過することによって、低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が噴出する。これにより、失速セルの発生が抑制される。
また、エアセパレータは、翼列の上流側に、ケーシングの周方向に沿ってリング状部材を設置することによって、ケーシングに設けられた溝内に再循環流れを形成するのではなく、主流路内に再循環流れを形成する。
ケーシングトリートメントやエアセパレータは、圧縮機の安定作動範囲を広げるために有効である。しかし、依然として周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)が発生する場合があり、圧縮機の効率低下を招いていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、効率低下を抑えて、効果的に安定作動範囲を広げることが可能な圧縮機を提供することを目的とする。
発明者は、従来のケーシングトリートメントやエアセパレータが、ケーシングの内面全周に設けられていることに着目し、その結果、ケーシングトリートメントやエアセパレータによって、ある程度失速セルの発生を抑制できるものの、依然として失速セルが発生する場合があるという知見を得た。
本発明に係る圧縮機は、インペラと、前記インペラを収容し、前記インペラによって導かれる流体の主流路を形成するケーシングと、前記ケーシングの内面にて前記主流路を分岐して形成されたバイパス流路とを備え、前記バイパス流路は、前記ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されている。
この構成によれば、圧縮機の主流路を流れる流量を減少させたとき、インペラの翼列内で比較的圧力の高い領域にある流体がパイパス流路を通過することによって、低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が噴出する。これにより、失速セルの発生が抑制される。また、バイパス流路が内面にて周方向に非均一に形成されていたり、周方向に非対称に形成されていたりすることから、例えば、周方向にバイパス流路が形成されている領域と形成されていない領域が存在する。更に、バイパス流路は、例えば、幅、高さや長さ、バイパス流路間の間隔などが一定ではない。旋回失速は、周期性を持った流れの擾乱であるが、バイパス流路が不均一又は非対称に形成されることによって、旋回失速の発達や成長を抑制したり、擾乱波の発生周期が失速セルの旋回周期と一致又は近い状態になることを避け、旋回失速の成長を助長することを防いだりする。
上記発明において、周方向に複数本の前記バイパス流路が並列して設けられている領域と、前記パイバス流路が設けられていない領域とが、前記ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されてもよい。
この構成によれば、周方向に複数本のバイパス流路が並列して設けられている領域で旋回失速の発生を抑制することができる。また、周方向にバイパス流路が形成されている領域と形成されていない領域が存在することによって、旋回失速の発達や成長を抑制したり、擾乱波の発生周期が失速セルの旋回周期と一致又は近い状態になることを避け、旋回失速の成長を助長することを防いだりする。
上記発明において、前記バイパス流路は、前記ケーシングの内面に形成された溝状の流路でもよい。
この構成によれば、翼列内で比較的圧力の高い領域にある流体が溝を通過することによって、低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が噴出し、溝状の流路内に再循環流れが形成される。その結果、失速セルの発生を抑制できる。
上記発明において、前記バイパス流路は、前記主流路の上流側に形成された第1の開口と、前記主流路の下流側に形成された第2の開口とを有し、前記第1の開口又は前記第2の開口が、前記ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されていてもよい。
この構成によれば、翼列内で比較的圧力の高い領域にある流体が第2の開口からバイパス流路内に流入し、バイパス流路を通過したのち、第1の開口から低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が噴出することによって、バイパス流路内に再循環流れが形成される。その結果、失速セルの発生を抑制できる。また、第1の開口又は第2の開口が、ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されていることによって、旋回失速の発達や成長を抑制したり、擾乱波の発生周期が失速セルの旋回周期と一致又は近い状態になることを避け、旋回失速の成長を助長することを防いだりする。
上記発明において、前記バイパス流路は、前記ケーシングのうち前記インペラの翼列が存在する位置と重なる場所であって前記ケーシングの内部に形成されている、又は、前記インペラよりも上流側にてリング状に形成されていてもよい。
この構成によれば、バイパス流路が、ケーシングのうちインペラの翼列が存在する位置と重なる場所であってケーシングの内部に形成されている場合、バイパス流路に形成される再循環流れは、ケーシングの内部を流れる。また、バイパス流路が、インペラよりも上流側にてリング状に形成されている場合、バイパス流路に形成される再循環流れは、主流路内に形成される。
本発明によれば、圧縮機において、効率低下を抑えて、効果的に安定作動範囲を広げることができる。
本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のインペラ及びケーシングを示す部分縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のケーシングに設けられたケーシングトリートメントを示す部分拡大縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のケーシング内面を示す展開図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のケーシング内面を示す概略展開図である。 本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機のケーシング内面を示す概略展開図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のインペラ及びケーシングを示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のインペラ及びケーシングを示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のインペラ及びケーシングを示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機のケーシング内面を示す展開図である。 本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機のケーシングトリートメントを示す部分拡大縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機のケーシングトリートメントを示す部分拡大縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る遠心圧縮機のエアセパレータを示す部分拡大縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る遠心圧縮機のエアセパレータを示す部分拡大縦断面図である。 圧縮機の吐出圧力と流量の関係を示すグラフである。 ケーシング面で計測された圧力変動波形を示すグラフである。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機について説明する。
図1に示すように、遠心圧縮機は、図示しないモータまたはタービンなどの駆動装置により回転駆動される回転軸11と、回転軸11に固定され軸線回りに回転するインペラ12と、回転軸11及びインペラ12を収容するとともに流体の主流路を形成するケーシング20と、を具備している。
インペラ12は、回転軸11と一体に設けられたハブ13と、ハブ13の外周面に設けられた複数のブレード14と、が備えられている。ハブ13は、回転軸11の一端側の端部13aから他端側の端部13bに向けて、その外径が漸次拡大する湾曲面13cが形成されている。複数のブレード14は、ハブ13の湾曲面13cに、周方向に等間隔に配置されている。
ケーシング20は、インペラ12の上流側からインペラ12に向けて、回転軸11の軸線方向に沿って連続する主流路21と、インペラ12の外周側に円環状をなして形成されたディフューザ23と、ディフューザ23の外周(下流)側に周方向に連続して形成され、周方向に直交する断面における断面積が周方向に沿って漸次拡大する渦巻き状のボリュート(図示せず。)などを備えている。
次に、図1〜図3を参照して、本実施形態の圧縮機に形成されるケーシングトリートメントについて説明する。
ケーシングトリートメントは、例えば、ケーシング20の内面22にて形成される複数本の溝24である。溝24は、バイパス流路の一例である。溝24は、図1及び図2に示すように、一端側がケーシングのうち翼列が存在する位置にあり、他端側がインペラ12より上流側に位置する。圧縮機の主流路21を流れる流量を減少させたとき、溝24内には、図2に示すように、再循環流れが形成される。インペラ12の翼列内で比較的圧力の高い領域にある流体が溝24を通過することによって、インペラ12の上流側の低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が噴出する。
溝24は、図3に示すように、複数本が互いに平行に並列して設けられる。これにより、旋回失速やサージングの発生を効果的に抑制できる。溝は、図9(A)に示すように、軸方向に対して平行に形成されてもよいし、図9(B)に示すように、周方向に対して平行に(軸方向に対して垂直に)形成されてもよい。また、溝は、図9(C)に示すように、軸方向(又は周方向)に対して斜め方向に形成されてもよい。さらに、図9(D)に示すように、溝の代わりに複数のハニカム形状の開口を並べて配置してもよい。なお、ケーシングトリートメントは必ずしも図3又は図9(A)、(B)、(C)のような複数の溝で形成されるものでなく、分割されない単一の溝として形成される場合もある。
また、ケーシングトリートメントは、図4に示すように、周方向に複数本の溝24が並列して設けられている設置領域Aと、溝24が設けられていない非設置領域Bとが、ケーシング20の内面22にて周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されている。
ここで、ケーシングトリートメントが周方向に不均一(又は非一様)に形成されているとは、例えば、周方向に1箇所以上、溝24が設けられていない非設置領域Bが設けられていることをいう。
また、ケーシングトリートメントが周方向に非対称に形成されているとは、例えば、周方向に複数本の溝24が並列して設けられている設置領域A周方向に2箇所以上に分割して設ける場合において、複数の設置領域Aの設置間隔、設置幅(例えば、図4のW、W、W)又は設置深さ等を異ならせることをいう。例えば、複数の設置領域Aにおいて、少なくとも一つの設置領域Aが残りの設置領域Aに対して設置間隔、設置幅又は設置深さ等が異なればよい。
例えば、図6では、周方向に複数の設置領域Aが設けられる場合において、各設置領域Aの設置間隔θが異なり、ケーシングトリートメントが周方向に非対称である例を示している。また、図7では、周方向に複数の設置領域Aが設けられる場合において、各設置領域Aの設置幅Wが異なり、ケーシングトリートメントが周方向に非対称である例を示している。さらに、図8では、周方向に複数の設置領域Aが設けられる場合において、各設置領域Aの設置深さDが異なり、ケーシングトリートメントが周方向に非対称である例を示している。
上述したとおり、ケーシングトリートメントにおいて、設置領域Aと非設置領域Bとが、ケーシング20の内面22にて周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されていることによって、単純に全周にケーシングトリートメントを施した場合(溝24を全周に設けた場合)に比べて、圧縮機効率の低下を抑制できる。
すなわち、ケーシングトリートメントを周方向に不均一(又は非一様)に形成することによって、周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)を打ち消す乱れパターンを生じさせ、旋回失速の発達や成長を効果的に抑制できる。
また、ケーシングトリートメントを周方向に非対称に形成することによって、単純に周方向に対称にケーシングトリートメントを形成する場合に比べて、周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)を効果的に打ち消すことができる。擾乱波の発生周期(周波数)が、旋回失速セルの旋回周期(周波数)と一致した状態又は近い状態になることを避けることができ、旋回失速の成長を助長することを防げる。
なお、上述した例では、遠心圧縮機のケーシング20の内面22にケーシングトリートメントを設置する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ケーシングトリートメントは、軸流圧縮機のケーシングの内面に設けられてもよい。図9は、ケーシングの展開図であり、ケーシングトリートメントを構成する複数の溝又は開口部と軸流圧縮機の翼の関係を示している。そして、上述したとおり、複数の溝又は開口が設けられている設置領域Aと、溝又は開口が設けられていない非設置領域Bとが、ケーシングの内面にて周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されることによって、遠心圧縮機で説明した場合と同様の作用効果が得られる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機のケーシングトリートメントについて説明する。遠心圧縮機の回転軸11、インペラ12及びケーシング20の構成のうち重複する説明は省略する。
ケーシング20の内面には、周方向に凹状の溝33又は段差部34が形成される。そして、ケーシング20から離隔して、ケーシング20よりも内側に筒状の内筒部材30が設置される。これにより、主流路21の上流側に形成された第1の開口31と、主流路21の下流側に形成された第2の開口32とを有するパイパス流路35が形成される。ケーシングトリートメントは、複数のバイパス流路35から構成される。
第2の開口32は、図10及び図11に示すように、ケーシング20のうち翼列が存在する位置にあり、第1の開口31は、インペラ12より上流側に位置する。圧縮機の主流路21を流れる流量を減少させたとき、バイパス流路35内には、図10及び図11に示すように、再循環流れが形成される。インペラ12の翼列内で比較的圧力の高い領域にある流体が第2の開口32からバイパス流路35内に流入し、バイパス流路35を通過したのち、第1の開口31から低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が噴出する。
バイパス流路35は、複数本が周方向に沿って並列して設けられる。これにより、旋回失速やサージングの発生を効果的に抑制できる。
また、バイパス流路35を有するケーシングトリートメントは、図5に示すように、ケーシング20の内面22にて、第1の開口31及び第2の開口32が周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されている。なお、本発明では、第1の開口31と第2の開口32が共に非対称である場合に限定されず、第1の開口31及び開口32のいずれか一方が非対称である場合も、同様の効果が得られる。
ここで、ケーシングトリートメントが周方向に不均一(又は非一様)に形成されているとは、例えば、周方向に1箇所以上、第1の開口31及び第2の開口32が設けられていない非設置領域が設けられていることをいう。
また、ケーシングトリートメントが周方向に非対称に形成されているとは、例えば、周方向に複数のバイパス流路35を設ける場合において、複数の第1の開口31又は第2の開口32の設置間隔又は設置幅(例えば、図5のW、W、W)を異ならせることをいう。
上述したとおり、ケーシングトリートメントがケーシング20の内面22にて周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されていることによって、単純に全周にケーシングトリートメントを施した場合(バイパス流路を全周に設けた場合)に比べて、圧縮機効率の低下を抑制でき、かつ、加工コストを低減できる。
例えば、ケーシングトリートメントを周方向に不均一(又は非一様)に形成することによって、周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)を打ち消す乱れパターンを生じさせ、旋回失速の発達や成長を効果的に抑制できる。
また、ケーシングトリートメントを周方向に非対称に形成することによって、単純に周方向に対称にケーシングトリートメントを形成する場合に比べて、周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)を効果的に打ち消すことができる。擾乱波の発生周期(周波数)が、旋回失速セルの旋回周期(周波数)と一致した状態又は近い状態になることを避けることができ、旋回失速の成長を助長することを防げる。
さらに、高圧領域にある流体がバイパス流路35を通過して低圧力部(失速域)に噴出する再循環流れによって、失速セルが発生することを抑制でき、圧縮機の作動範囲が広くなる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る遠心圧縮機のエアセパレータについて説明する。遠心圧縮機の回転軸11、インペラ12及びケーシング20の構成のうち重複する説明は省略する。
ケーシング20の内面には、周方向に溝又は段差部等が形成されずに、ケーシング20から離隔して、ケーシング20よりも内側に筒状の内筒部材40が設置される。これにより、主流路21の上流側に形成された第1の開口41と、主流路21の下流側に形成された第2の開口42とを有するパイパス流路45が形成される。エアセパレータは、複数のバイパス流路45から構成される。
第1の開口41及び第2の開口42は、図12及び図13に示すように、インペラ12より上流側であって、ハウジング20によって形成される主流路21内に位置する。圧縮機の主流路21を流れる流量を減少させたとき、バイパス流路45内には、図12及び図13に示すように、再循環流れが形成される。インペラ12の翼列の端部で比較的圧力の高い領域にある流体が第2の開口42からバイパス流路45内に流入し、バイパス流路45を通過したのち、第1の開口41から低エネルギー流れ領域(翼列の入口の領域)に流体が流れる。これにより、インペラ12の上流側にて、流体の流れを順流部と再循環部に分離できる。
バイパス流路45は、複数本が周方向に沿って並列して設けられる。これにより、旋回失速やサージングの発生を効果的に抑制できる。
また、バイパス流路45を有するエアセパレータは、ケーシング20の内面22にて、第1の開口41及び第2の開口42が周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されている。
ここで、エアセパレータが周方向に不均一(又は非一様)に形成されているとは、例えば、周方向に1箇所以上、第1の開口31及び第2の開口32が設けられていない非設置領域が設けられていることをいう。
また、エアセパレータが周方向に非対称に形成されているとは、例えば、周方向に複数のバイパス流路45を設ける場合において、複数の第1の開口41又は第2の開口42の設置間隔、設置幅又は設置高さを異ならせることをいう。
上述したとおり、エアセパレータがケーシング20の内面22にて周方向に不均一又は周方向に非対称に形成されていることによって、単純に全周にエアセパレータを施した場合(バイパス流路を全周に設けた場合)に比べて、圧縮機効率の低下を抑制でき、かつ、加工コストを低減できる。
例えば、エアセパレータを周方向に不均一(又は非一様)に形成することによって、周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)を打ち消す乱れパターンを生じさせ、旋回失速の発達や成長を効果的に抑制できる。
また、エアセパレータを周方向に非対称に形成することによって、単純に周方向に対称にエアセパレータを形成する場合に比べて、周期性を持った流れの擾乱(旋回失速)を効果的に打ち消すことができる。擾乱波の発生周期(周波数)が、旋回失速セルの旋回周期(周波数)と一致した状態又は近い状態になることを避けることができ、旋回失速の成長を助長することを防げる。
さらに、インペラ12の上流側にて、流体の流れを順流部と再循環部に分離することによって、再循環流れがスパン方向に拡大して成長することを防止し、失速セルが発生することを抑制でき、圧縮機の作動範囲が広くなる。
図15は、ケーシング面で計測された圧力変動波形を示したもので、細線は計測された圧力変動波形データそのものの波形を示しており、太線はローパスフィルタを通じて計測されたデータから翼通過周波数成分を除外したフィルタリング波形を示している。
失速初生後、旋回失速セルは、周方向に数を増やしながら徐々に成長し、最終的に周期性を持った周方向に複数個の失速セルとして安定する。本発明は、失速セルが、図15に示すような周期性をもった安定状態に成長することを阻害する。この結果、失速セルは、周期性を持たない初生状態において抑制され、旋回失速成長に伴う大幅な性能低下が抑えられ、作動レンジの拡大が図られる。
なお、安定した旋回失速セルの旋回周期(周波数)は、圧縮機毎に固有の物である。すなわち、本発明で示すケーシングトリートメントやエアセパレータを含む再循環流路の非対称化は、非対称化によって生じる強制振動的な流れ場の変動周期が、安定した旋回失速セルの旋回周期の整数倍(高調波)となることで、旋回失速を助長することがないよう定める必要がある。
11 回転軸
12 インペラ
20 ケーシング
21 主流路
24 溝(バイパス流路)
35,45 バイパス流路

Claims (5)

  1. インペラと、
    前記インペラを収容し、前記インペラによって導かれる流体の主流路を形成するケーシングと、
    前記ケーシングの内面にて前記主流路を分岐して形成されたバイパス流路と、
    を備え、
    前記バイパス流路は、前記ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されている圧縮機。
  2. 周方向に複数本の前記バイパス流路が並列して設けられている領域と、前記パイバス流路が設けられていない領域とが、前記ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されている請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記バイパス流路は、前記ケーシングの内面に形成された溝状の流路である請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記バイパス流路は、前記主流路の上流側に形成された第1の開口と、前記主流路の下流側に形成された第2の開口とを有し、
    前記第1の開口又は前記第2の開口が、前記ケーシングの内面にて周方向に不均一に形成されている、又は周方向に非対称に形成されている請求項1に記載の圧縮機。
  5. 前記バイパス流路は、前記ケーシングのうち前記インペラの翼列が存在する位置と重なる場所であって前記ケーシングの内部に形成されている、又は、前記インペラよりも上流側にてリング状に形成されている請求項1に記載の圧縮機。
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