JP2014108702A - 車両制御装置 - Google Patents

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雅行 栢野
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Abstract

【課題】アイドリングストップ制御と他の車両制御との間での制御干渉を防止する。
【解決手段】常用ブレーキが操作されて車両が停車したことを含むアイドリングストップ制御開始条件が成立するとエンジン10を停止させ、アイドリングストップ制御終了条件が成立するとエンジンを再始動させるアイドリングストップ制御手段12と、制動力保持制御開始条件が成立すると油圧式常用ブレーキの圧油の流通をバルブによって遮断して制動力を保持し車両の移動を防止し、制動力保持制御終了条件が成立するとバルブによる遮断を解除して制動力を解放する制動力保持制御手段14,15と、を備え、制動力保持制御開始条件にはエンジンが作動状態であることが含まれ、アイドリングストップ制御開始条件と制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施するように連携して制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アイドリングストップ制御と他の車両制御とを組み合わせて構成した車両制御装置に関するものである。
近年、地球環境の保護の観点から、自動車(以下、車両とも言う)の停車時にエンジンを停止させるアイドリングストップアンドスタートシステム(Idling-Stop and Start System、以下、ISSという)が開発されている。このISSによるアイドリングストップアンドスタート制御(単に、アイドリングストップ制御とも言う)は、所定の停止条件(以下、「エンジン停止条件」と言う)が成立したときにエンジンを停止させ、所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させる。これにより、燃費を向上させ、排出ガスを低減させることができる。
一方、運転操作を容易にするためや走行時や停止時の車両の安定性を確保するために、種々の車両制御が開発されている。
例えば、坂道の一時停止時にブレーキペダルを踏み込んだらその時の制動力を保持してブレーキペダルから足を離しても車両を停止させておくことにより車両のずり下がりを防止するずり下がり防止制御と、車両を発進させる際には保持していた制動力を自動的に解除して坂道を発進する坂道発進補助制御とを行なうことによって、坂道発進を容易に行なうことができるようにした坂道発進補助装置(Hill Start Assist system)が開発されている。
また、駐車ブレーキを作動させているときに、何らかの原因で万一車両が一定距離移動したら自動的に車両制動時に用いる常用ブレーキを作動させて車両を停止させる駐車補助装置も開発されている。
また、走行中にエンジン出力や各車輪のブレーキを制御して、雪道等の滑り易い路面での車両の走行安定性を確保する車両挙動制御装置(ESP(商標登録)(Electronic Stability Program))も開発されている。なお、この車両挙動制御装置では、各車輪のブレーキを個々に制御するため、ABS(anti-lock brake system)と併用することができる。
さらに、高所作業車などにおいて、駐車ブレーキを作動させて車両停車中の作業時に常用ブレーキを作動させて車両に制動力を加えて車両の移動を防止する車両移動防止制御システム(Lock Brake system)も開発されている。
そこで、アイドリングストップ制御と上記の種々の車両制御とを組み合わせたものも開発されている。特に、アイドリングストップ制御によりエンジンを停止させているときには、常用ブレーキを作動状態に保持して車両を確実に停止させておくことがより重要になる。特許文献1には、アイドリングストップ制御と常用ブレーキを利用した坂道発進補助制御とを組み合わせた技術が開示されている。
この特許文献1の技術は、油圧式ブレーキを作動させて坂道で停車した際に、圧油流路に介装された電磁バルブに電圧を印加して圧油流路を閉鎖してブレーキ油圧を保持するものに、アイドリングストップ制御を追加したものである。油圧式ブレーキを作動させ坂道での停車状態を保持した状態でエンジンを停止し、その後の車両発進要求等に応じてエンジンの再始動を行なう。この再始動時には、スタータモータに電力を消費されるためバッテリの電圧が低下して、電磁バルブに所要の電圧を印加できなくなるおそれがあるので、バッテリの電圧を昇圧コンバータで昇圧して電磁弁に印加して、電磁バルブが適正に作動するようにしている。この結果、アイドリングストップ制御を実施しても、坂道で車両のずり下がりを招くことなく支障なく車両を発進させることができる。
なお、乗用車に比べて車両重量や積載量の大きい大型車では、坂道発進や車両挙動を安定させた運転が乗用車以上に難しくなるので、上記の坂道発進補助装置や車両挙動制御装置は大型車のドライバの運転操作の負担軽減に大きく寄与する。また、駐車補助装置や車両移動防止制御システムも、車両重量や積載量の大きい大型車ほど有効である。
特開2011−247237号公報
ところで、アイドリングストップ制御と他の車両制御との間で制御干渉が発生し、各制御に支障をきたすおそれが考えられる。
例えば、アイドリングストップ制御と、常用ブレーキを用いて停車時の制動力を保持するずり下がり防止制御や車両移動防止制御とを組み合わせる場合、アイドリングストップ制御の開始条件(即ち、エンジン停止条件)と制動力保持制御の開始条件とが略同時に成立する場合や、アイドリングストップ制御の終了条件(即ち、エンジン再始動条件)と制動力保持制御の終了条件とが略同時に成立する場合がありうる。
制動力保持制御を行なう場合には、変速機をN(ニュートラルポジション)にするか或いはクラッチを遮断状態にして、駆動輪に動力が伝達しないようにしたうえで、常用ブレーキ(フットブレーキ)を作動させて停車することが条件となるが、あくまでエンジンが作動状態であることも前提条件となる。これは、制動力保持制御が完了するまでは、エンジンを作動状態にして走行駆動力を確保することにより、万が一制動力保持制御の完了前に車両のずり下がり等が生じた場合に対処できるようにするためである。しかし、この動力保持制御の直前にアイドリングストップ制御が開始されエンジンが停止してしまうと、制動力保持制御を実施できないことになる。
また、坂道発進補助制御における制動力保持状態から車両を発進させる操作、つまり、変速機を走行位置にセットしクラッチを接続しながらアクセルペダルの踏み込み操作を行なうと、同時に制動力保持を解除して坂道発進を補助するが、この場合もエンジンが作動状態であることが前提条件となる。しかし、車両を発進させる操作は、アイドリングストップ制御の終了条件(エンジン再始動条件)でもあるので、坂道発進補助制御と前後してエンジン再始動が行われることになる。しかし、この坂道発進補助制御を開始する際にエンジン再始動が行われていなければ制御条件が成立しても坂道発進補助制御を実施できないことになる。
本発明は、このような課題を解決するために創案されたもので、アイドリングストップ制御と他の車両制御との間で制御干渉が発生しないようにしながら、アイドリングストップ制御による燃費向上や排出ガス低減効果と、他の車両制御による運転操作の補助や停車時の車両の安定性確保といった効果を得ることができるようにした、車両制御装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の車両制御装置は、車両が停車し前記車両の常用ブレーキが操作されていることを含むアイドリングストップ制御開始条件が成立すると車両のエンジンを停止させ、アイドリングストップ制御終了条件が成立すると前記エンジンを再始動させるアイドリングストップ制御手段と、前記車両が停車し前記常用ブレーキが操作されていることを含む制動力保持制御開始条件が成立すると前記常用ブレーキの作動流体の流路内のバルブによって前記作動流体の流通を遮断して制動力を保持し車両の移動を防止し、制動力保持制御終了条件が成立すると前記バルブによる前記作動流体の流通遮断を解除して制動力を解放する制動力保持制御手段と、を備え、前記制動力保持制御開始条件には前記エンジンが作動状態であることが含まれ、前記アイドリングストップ制御手段及び前記制動力保持制御手段は、前記アイドリングストップ制御開始条件と前記制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施するように連携制御を行なうことを特徴としている。
(2)前記アイドリングストップ制御開始条件は、前記車両のアイドリングストップ制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、前記車両が停車したこと、前記常用ブレーキが操作されていること、前記車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、を含む各個別条件が、何れも成立することであり、前記アイドリングストップ制御終了条件は、前記常用ブレーキが作動操作された状態から前記シフトレバー,前記常用ブレーキ及び前記車両のクラッチの何れかが発進準備操作されたこと、を含む各個別条件の何れも成立することであることが好ましい。
(3)前記制動力保持制御手段は、前記車両の停車中の作業時に前記制動力保持により前記車両の移動を防止する作業用補助制動手段を構成し、前記作業用補助制動手段の前記制動力保持制御開始条件は、前記車両の車両移動防止制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、前記車両が停車したこと、前記常用ブレーキが操作されていること、前記車両の駐車ブレーキが作動操作されたこと、前記エンジンが作動状態であること、前記車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、を含む各個別条件が、何れも成立していることであり、前記作業用補助制動手段の前記制動力保持制御終了条件は、前記車両移動防止制御実施選択手段が制御不実施に切り替えられたこと、前記駐車ブレーキが非作動状態に切り替えられたこと、の何れかが成立すると共に、前記エンジンが作動状態であることを含む他の個別条件が成立することであって、前記アイドリングストップ制御手段は、前記制動力保持制御手段により前記制動力保持制御を実施している際には、前記エンジンの停止を実施しないことが好ましい。
(4)前記制動力保持制御手段は、前記車両の坂道での一時停止時に前記車両のずり下がりを防止するずり下がり防止制御手段と、前記ずり下がり防止制御手段による制動力保持状態から前記車両を発進させる際に、前記ずり下がり防止制御手段により保持していた制動力を自動的に解放して坂道の発進を補助する坂道発進補助制御手段とを構成し、前記ずり下がり防止制御手段の前記制動力保持制御開始条件は、前記車両の坂道発進補助制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、前記車両が停車したこと、前記常用ブレーキが操作されていること、前記車両の駐車ブレーキが非操作状態であること、前記エンジンが作動状態であること、前記車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、を含む各個別条件が、何れも成立していることであり、前記坂道発進補助制御手段の前記制動力保持制御終了条件は、前記坂道発進補助制御実施選択手段が制御不実施に切り替えられたこと、前記駐車ブレーキが作動状態に切り替えられたこと、前記車両の発進準備操作がされたこと、を含む各個別条件の何れかが成立すると共に、前記エンジンが作動状態であることを含む他の個別条件が成立することであって、前記アイドリングストップ制御手段及び前記ずり下がり防止制御手段は、前記アイドリングストップ制御開始条件と前記制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施し、その後アイドリングストップ制御を開始するように連携して制御し、前記アイドリングストップ制御手段及び前記坂道発進補助制御手段は、前記アイドリングストップ制御終了条件と前記制動力保持制御終了条件とが何れも成立した場合には、アイドリングストップ制御の終了によるエンジン再始動を優先して実施し、その後、制動力保持制御の終了による制動力の解放を実施するように連携して制御することが好ましい。
(5)前記バルブは前記エンジンの始動時のスタータモータに給電するバッテリの電力により閉鎖状態を保持する電磁バルブであって、前記エンジンの前記再始動時に前記バッテリの電圧を昇圧して前記電磁バルブに出力する昇圧コンバータを更に備えていることが好ましい。
(6)前記アイドリングストップ制御手段及び前記制動力保持制御手段は別々のハードウェアに備えられ、前記の各ハードウェアは互いに通信手段により情報を授受して、前記連携した制御を実施することが好ましい。
(1)本発明の車両制御装置によれば、アイドリングストップ制御手段及び制動力保持制御手段は、車両が停車し常用ブレーキが操作されていることを含むアイドリングストップ制御開始条件と制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施するように連携して制御するので、両制御の制御干渉が回避される。
つまり、制動力保持制御開始条件にはエンジンが作動状態であることが含まれるため、アイドリングストップ制御開始条件と制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合に、先にアイドリングストップ制御を開始してエンジンを停止させてしまうと、制動力保持制御は開始することができない。一方、制動力保持制御を開始した後に、アイドリングストップ制御を開始してエンジンを停止させることは可能である。また、制動力保持という車両を安定して静止させる制御をアイドリングストップ制御よりも優先させることは、制御の重要性の観点からも適切である。
(2)アイドリングストップ制御開始条件を、車両のアイドリングストップ制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、車両が停車したこと、常用ブレーキが操作されていること、車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、を含む各個別条件が、何れも成立することとすると、支障なくエンジンを停止することができる。
アイドリングストップ制御終了条件を、常用ブレーキが作動操作された状態からシフトレバー,常用ブレーキ及び車両のクラッチの何れかが発進準備操作されたこと、を含む各個別条件が何れか成立することとすると、車両を発進させるに際して、遅れることなくエンジン駆動力を得ることができる。
(3)制動力保持制御手段が作業用補助制動手段を構成し、その制動力保持制御開始条件を、車両移動防止制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、車両が停車したこと、常用ブレーキが操作されていること、駐車ブレーキが作動操作されたこと、エンジンが作動状態であること、車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、を含む各個別条件が、何れも成立していることとすると、操作された常用ブレーキの制動力を保持し、この常用ブレーキの制動力で駐車ブレーキの制動力をアシストすることができ、作業中の車両を確実に静止させておくことができる。
また、作業用補助制動手段の制動力保持制御終了条件を、車両移動防止制御実施選択手段が制御不実施に切り替えられたこと、駐車ブレーキが非作動状態に切り替えられたこと、を含む各個別条件の何れかが成立すると共に、エンジンが作動状態であることとすると、常用ブレーキの制動力を支障なく解放することができる。特に、アイドリングストップ制御手段は、制動力保持制御を実施している際には、アイドリングストップ制御によるエンジンの停止を実施しないので、制動力保持制御終了条件が成立すれば速やかに常用ブレーキの制動力を解放することができる。
(4)制動力保持制御手段が、車両の坂道での一時停止時にずり下がりを防止するずり下がり防止制御手段と、この状態から車両を発進させる際に、ずり下がり防止制御手段により保持していた制動力を自動的に解放して坂道の発進を補助する坂道発進補助制御手段とを構成し、その制動力保持制御開始条件を、坂道発進補助制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、車両が停車したこと、常用ブレーキが操作されていること、駐車ブレーキが非操作状態であること、エンジンが作動状態であること、車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、を含む各個別条件が、何れも成立していることとすると、操作された常用ブレーキの制動力を保持し、この常用ブレーキの制動力で坂道での車両のずり下がりを確実に防止することができ、ドライバの操作負担を軽減することができる。
また、坂道発進補助制御手段の制動力保持制御終了条件を、坂道発進補助制御実施選択手段が制御不実施に切り替えられたこと、駐車ブレーキが作動状態に切り替えられたこと、車両の発進準備操作がされたこと、を含む各個別条件の何れかが成立すると共に、エンジンが作動状態であることとすると、常用ブレーキの制動力を支障なく解放することができる。特に、アイドリングストップ制御終了条件と制動力保持制御終了条件とが何れも成立した場合には、アイドリングストップ制御の終了によるエンジン再始動を優先して実施し、その後、制動力保持制御の終了による制動力の解放を実施するので、坂道発進補助制御とアイドリングストップ制御とが同時に実施されても、支障なく制動力保持制御を終了し、常用ブレーキの制動力を解放することができる。
(5)バルブが、エンジンの始動時のスタータモータに給電するバッテリの電力により閉鎖状態を保持する電磁バルブであって、エンジンの再始動時にバッテリの電圧を昇圧して電磁バルブに出力する昇圧コンバータを備えていると、エンジンの再始動時にスタータモータに給電することでバッテリの電圧が降下した場合であっても、バッテリの電圧が昇圧コンバータで昇圧されて電磁バルブに出力されるので、電磁バルブに電力供給する際の電圧降下が回避され、電磁バルブが確実に閉鎖状態に保持される。
(6)アイドリングストップ制御手段及び制動力保持制御手段が別々のハードウェアに備えられ、これらの各ハードウェアは互いに通信手段により情報を授受して連携した制御を実施すれば、既存のハードウェアを組み合わせて使用しながら連携制御を実施することができ、各制御手段をオプションで備える場合に好適である。
本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置を示す構成図である。 本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置による制御にかかるエンジン始動時の電圧降下を説明するタイムチャートである。 本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置によるアイドリングストップ制御の開始判定及び終了判定を説明するフローチャートであり、(a)は開始判定を説明するフローチャート、(b)は終了判定を説明するフローチャート、(c)は終了判定後のエンジン始動の完了判定を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置による作業用補助制動にかかる制動力保持制御の開始判定及び終了判定を説明するフローチャートであり、(a)は開始判定を説明するフローチャート、(b)は終了判定を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置によるずり下がり防止制御及び坂道発進補助制御にかかる制動力保持制御の開始判定及び終了判定を説明するフローチャートであり、(a)は開始判定を説明するフローチャート、(b)は終了判定を説明するフローチャート、(c)は開始判定後の制動力保持の完了判定を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置による制御の概要を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態にかかる車両制御装置を示す構成図である。 本発明の第3実施形態にかかる車両制御装置を示す構成図である。 本発明の第4実施形態にかかる車両制御装置を示す構成図である。
以下、図面により本発明の実施形態を説明する。
ここでは、図1〜図6を用いて本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置を説明し、図7を用いて本発明の第2実施形態にかかる車両制御装置を説明し、図8を用いて本発明の第3実施形態にかかる車両制御装置を説明し、図9を用いて本発明の第4実施形態にかかる車両制御装置を説明する。
いずれの実施形態も、トラックやバスといった車体重量や載貨重量の大きい大型車両(大型自動車)に本発明を適用した場合を説明するが、本発明は大型車両に限らず、乗用車等の小型中型車両(小型中型自動車)に広く適用しうるものである。また、いずれの実施形態も、クラッチが自動クラッチであり且つ変速機が自動変速機である場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、クラッチがマニュアルクラッチであり且つ変速機がマニュアル変速機である場合も適用しうるものである。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態を説明する。図1〜図6は第1実施形態を説明する図であり、図1はその構成図、図2はその制御にかかるエンジン始動時の電圧降下を説明するタイムチャート、図3はそのアイドリングストップ制御の開始判定及び終了判定を説明するフローチャート、図4はその作業用補助制動にかかる制動力保持制御の開始判定及び終了判定を説明するフローチャート、図5はそのずり下がり防止制御及び坂道発進補助制御にかかる制動力保持制御の開始判定及び終了判定を説明するフローチャート、図6はその制御の概要を説明するフローチャートである。
(構成)
本実施形態にかかる車両制御装置は、図1に示すように、エンジンを制御するエンジンECU11と、アイドリングストップアンドスタート制御(以下、単に、アイドリングストップ制御と言う)を行なうアイドリングストップ用ECU(ISSECU)12と、アンチロックブレーキ制御(ABS制御)を行なうABS制御用ECU(ABSECU、車両挙動制御手段)13Aと、油圧式常用ブレーキ(フットブレーキ)20の制動力を保持し車両の移動を防止する制動力保持制御用ECU(ロックブレーキECU(Rock Brake ECU)、制動力保持手段)14と、坂道での一時停止時にブレーキペダルを踏み込んだ際に油圧式常用ブレーキ20の制動力を保持し車両の移動を防止し車両を発進させる際に制動力を自動的に解除する坂道発進補助制御用ECU(ヒルホールダーECU(Hill Holder ECU)、坂道発進補助制御手段)15と、を備えている。
各ECU(Electronic Control Unit)11,12,13A,14,15は、マイクロプロセッサやROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等を集積したLSI(Large Scale Integration)デバイスや組み込み電子デバイスとして構成される電子制御装置であり、車載ネットワークを介して互いに接続されるとともに各種デバイスと接続される。ここでは、車載ネットワークとしてCAN(Controller Area Network)を例に挙げて説明するが、FlexRayなどの他の規格の車載ネットワークを用いてもよい。
車載ネットワークには、図示しない車速センサからの車速情報と、図示しない車輪速センサからの車輪速情報と、図示しないブレーキスイッチからの油圧式常用ブレーキ(フットブレーキ)の操作情報と、図示しない油圧センサからの常用ブレーキの作動油圧の情報(油圧式常用ブレーキの作動状態情報)と、図示しないブレーキスイッチからの駐車ブレーキの操作情報と、図示しないクラッチセンサからのクラッチの断接情報と、図示しないシフトポジションセンサからのシフトポジション情報と、図示しない回転センサからのエンジン回転数情報と、Gセンサ等からの車両挙動情報と、その他の信号(エンジンの冷却水温情報,車両のドア開け,シートベルト外し,PTO使用,キャブチルト等の信号)が入力される。
なお、ここでは、各センサからの検出信号が、車載ネットワークの信号線に直接入力され、車載ネットワークに接続された各ECUがこれを受信するものとして図示するが、これらの各センサからの検出信号は、何れかのECUに入力され、この入力されたECUを介して車載ネットワークに接続された他のECUに送信されるものであってもよい。
ISSECU12は、アイドリングストップ制御開始条件(エンジン停止条件)が成立するとエンジンを停止させ、その後、アイドリングストップ制御終了条件(エンジン再始動条件)が成立するとエンジンを再始動させる。このため、ISSECU12では、車両が所定の減速状態になったらアイドリングストップ制御開始条件が成立したか否かを判定し、アイドリングストップ制御実施中にはアイドリングストップ制御終了条件が成立したか否かを判定する。
ISSECU12には、車両に装備されたISSカットスイッチ(アイドリングストップ制御実施選択手段)からのISS禁止/許可信号(制御実施,不実施選択情報)が入力され、さらに、常用ブレーキの操作情報、車速情報、クラッチの断接情報、シフトポジション情報、常用ブレーキの作動状態情報、及びその他の情報(エンジンの冷却水温情報,車両のドア開け,シートベルト外し,PTO使用,キャブチルト等の情報)が入力され、これらの入力された情報に基づいて上記の各判定を行なう。
ここで、アイドリングストップ制御開始条件(エンジン停止条件)について説明する。
本実施形態では、クラッチが自動クラッチであり且つ変速機が自動変速機なので、エンジン停止条件には、下記の(1)〜(5)の条件(各条件を個別条件とも言う)が設定され、これらの各条件がいずれも成立した場合に、エンジン停止条件が成立する。
なお、このアイドリングストップ制御は、下記の(1)の個別条件が成立していて、車速Vが所定車速V1速(例えば、10km/h)以上まで上昇し明らかな走行状態となったら開始する。したがって、このアイドリングストップ制御開始条件の判定は、下記の(1)の個別条件が成立していること及び車速Vが所定車速V1に達したことを前提条件とする。
(1)ISSカットスイッチがオフとされていること、即ち、ISS許可(ISS制御実施)が選択されていること。
(2)車両が停車したこと。
(3)常用ブレーキが操作されていること。
(4)D位置(Dレンジ)が選択され自動クラッチが動力伝達遮断状態であること。
(5)その他の条件が成立していること。
上記の(1)のISSカットスイッチがオフの条件は、ISSカットスイッチが操作されていないことである。ISSカットスイッチは操作されない限りオフであり、この場合、ISS制御はカット(禁止)されない。したがって、この場合、ISS制御は許可され、ISS制御実施が選択される。
上記の(2)の車両停車の条件は、具体的には、車速Vが停止判定車速V2(例えば、2km/h)以下、即ち、車速0km/h近傍になっていることとする。
上記の(3)の条件は、ブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
また、上記の(4)の条件は、シフトポジションセンサから入力された選択位置(選択レンジ)信号がD位置に対応する信号であって、且つ、自動クラッチが動力遮断側に自動操作されてクラッチセンサからのクラッチの遮断信号が入力されていれば成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(5)の条件としては、急減速停止でないこと、エンジンの冷却水温が標準領域内であること、ドアが開放されていないこと、シートベルトが外されていること、PTO(Power Take Off)装置が作動していないこと、キャブチルト時でないことなどが挙げられる。
なお、クラッチがクラッチペダルの操作により作動するマニュアルクラッチであり且つ変速機がマニュアル変速機であれば、上記の(4)の条件は、シフトポジションセンサから入力された選択変速段がN位置に対応する信号であり、且つ、クラッチペダルが踏み込まれた状態から踏み込みが解除された状態に移行したこと(クラッチが動力遮断状態から動力伝達態に移行したこと)がクラッチセンサの検出信号から判定されれば成立し、そうでなければ成立しない。
上記の制御開始条件によって、支障なくエンジンを停止することができるが、このようなアイドリングストップ制御開始条件は例示であり、制御開始条件はこれらに限るものでなはない。
次に、アイドリングストップ制御終了条件(エンジン再始動条件)について説明する。
アイドリングストップのためのエンジン停止中に、常用ブレーキが作動操作された状態(ブレーキペダルが踏み込まれた状態)から、シフトレバー,常用ブレーキ及びクラッチの何れかが発進準備操作された場合に、エンジン再始動条件が成立する。
本実施形態では、クラッチが自動クラッチであり且つ変速機が自動変速機なので、発進準備操作は、次の各場合があり、何れの場合もエンジン再始動条件が成立する。
(a)シフトレバーがD位置又はN位置のときに、ブレーキペダルの踏み込みを解除した場合。
(b)エンジン停止中に、シフトレバーをD位置からN位置又はP位置に切り替え、その後、ブレーキペダルを踏み込んだままシフトレバーをD位置又はR位置に切り替えた場合。
なお、シフトレバーにマニュアルモード位置があれば、(c)ブレーキペダルを踏み込んだまま、シフトレバーをD位置からマニュアルモード位置に切り替えた場合も、エンジン再始動条件が成立するものとする。
また、クラッチがマニュアルクラッチであり且つ変速機がマニュアル変速機の場合には、発進準備操作は、(d)シフトレバーがN位置であり、クラッチペダルが踏み込まれた状態から離された状態に遷移した場合であり、この場合にエンジン再始動条件が成立する。
このような制御終了条件(エンジン再始動条件)によって、車両を発進させるに際して、遅れることなくエンジン駆動力を得ることができる。ただし、これらのエンジン再始動条件は例示であり、制御終了条件はこれらに限るものでなはない。
ABSECU13Aは、油圧式常用ブレーキ20を各制動輪単位で制御し、制動時の車輪のロックを防止する。このため、油圧式常用ブレーキ20には、圧油流路の途中に、ホイールシリンダ23を個別に制御するハイドロリックユニット(油圧ユニット)22が介装され、ブレーキブースタ21に接続されたマスターシリンダ21aからハイドロリックユニット22までは二系統の油路24a,24bにより構成され、ハイドロリックユニット22から各車輪のホイールシリンダ23まではそれぞれの車輪毎に合計4本の油路25a〜25dで構成されている。ABSECU13Aは、制動時の車輪のロックを防止することにより、車両挙動を安定化させるので車両挙動制御手段(車両挙動制御用ECU)としても機能する。
ロックブレーキECU14は、高所作業車などにおいて、駐車ブレーキを作動させて車両停車中の作業時に常用ブレーキ20を作動させて車両に加えられた制動力を保持して車両の移動を防止する車両移動防止制御システム(Lock Brake system)を構成する。常用ブレーキ20による制動力を保持するために、油圧式常用ブレーキ20の圧油(作動流体)の流路内にバルブ26を介装し、各車輪のホイールシリンダ23の供給された圧油の流通を遮断する。
本実施形態では、マスターシリンダ21aからハイドロリックユニット22までは二系統の油路24a,24bにそれぞれバルブ26が介装されている。
バルブ26は、車両に搭載された補機バッテリ30から電力を供給されて油路24a,24bを閉鎖するノーマルオープンの電磁バルブであり、ロックブレーキECU14から指令により、補機バッテリ30から電力を供給され作動し油路24a,24bを閉鎖する。
ロックブレーキECU14では、制動力保持制御を実施していない場合には、制動力保持制御開始条件が成立したか否かを判定し、制動力保持制御を実施している場合には、制動力保持制御終了条件が成立したか否かを判定し、これらの判定結果に基づいて、制動力保持制御開始条件が成立したらバルブ26に電力を供給し、油路24a,24bを閉鎖して加えられた制動力を保持し、その後、制動力保持制御終了条件が成立したらバルブ26への電力供給を停止し、油路24a,24bを開放して加えられていた制動力を解除する。
ここで、ロックブレーキ制御の制動力保持制御開始条件について説明する。
本実施形態では、車両に、下記の条件(1)にかかる図示しないロックブレーキスイッチ(車両移動防止制御実施選択手段)が装備されており、下記の(1)〜(7)の条件が設定され、これらの各条件がいずれも成立した場合に、制動力保持制御開始条件が成立する。なお、制動力保持制御開始条件の判定は、下記の(1)のロックブレーキがオンの条件が成立している、つまり、ロックブレーキ制御の実施を選択している場合に、実施する。
(1)ロックブレーキスイッチがオンであること。
(2)車両が停車したこと。
(3)常用ブレーキが操作されていること。
(4)駐車ブレーキが作動操作されたこと。
(5)エンジンが作動状態であること。
(6)車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること。
(7)その他の条件が成立していること。
上記の(2)の車両停車の条件は、アイドリングストップの開始条件と同一であり、具体的には、車速が停止判定車速(例えば、2km/h)以下、即ち、車速0km/h近傍になっていることとする。
上記の(3)の条件は、アイドリングストップの開始条件と同一であり、ブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
また、上記の(4)の条件は、駐車ブレーキのブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
上記の(5)の条件は、エンジン回転数センサからのエンジン回転数Neがエンジン作動を示す閾値(エンジン完爆判定閾値を流用できる)Ne0以上ならエンジンが作動状態であり成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(6)の条件は、クラッチセンサからのクラッチの遮断信号が入力されているか或いはシフトレバーがN位置にあれば成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(7)の条件としては、キャブチルト時でないことなどが挙げられる。
このようなロックブレーキ制御の制動力保持制御開始条件により、操作された常用ブレーキの制動力を保持し、この常用ブレーキの制動力で駐車ブレーキの制動力をアシストすることができ、作業中の車両を確実に静止させておくことができる。ただし、これらの制動力保持制御開始条件は例示であり、制御開始条件はこれらに限るものでなはない。
次に、ロックブレーキ制御の制動力保持制御終了条件について説明する。
本実施形態では、下記の(1)〜(4)の条件が設定され、(1),(2)の条件の何れかが成立し且つ(3),(4)の各条件がいずれも成立した場合に、制動力保持制御終了条件が成立する。なお、制動力保持制御終了条件の判定は、当然ながら制動力保持制御中に実施する。
(1)ロックブレーキスイッチがオフであること。
(2)駐車ブレーキが非作動操作されたこと。
(3)エンジンが作動状態であること。
(4)その他の条件が成立していること。
上記の(2)の条件は、駐車ブレーキのブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
上記の(3)の条件は、エンジン回転数センサからのエンジン回転数Neがエンジン作動を示す閾値(エンジン完爆判定閾値を流用できる)Ne0以上ならエンジンが作動状態であり成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(4)の条件としては、PTO等の作業用装置が作動可能状態でないことなどが挙げられる。
このようなロックブレーキ制御の制動力保持制御終了条件により、ロックブレーキ制御時の常用ブレーキの制動力を支障なく解放することができる。ただし、これらの制動力保持制御開始条件は例示であり、制御開始条件はこれらに限るものでなはない。
ヒルホールダーECU15は、坂道での一時停止時に、ブレーキペダルを踏み込んだ際に油圧式常用ブレーキ20の制動力を保持して、車両のずり下がりを防止するずり下がり防止制御(この機能を、ずり下がり防止制御手段とする)を実施し、その後の坂道発進時に、ずり下がり防止制御により保持していた制動力を自動的に開放して坂道の発進を補助する坂道発進補助制御(この機能を、坂道発進補助制御手段とする)を実施する。この油圧式常用ブレーキ20の制動力保持は、油圧式常用ブレーキ20の圧油(作動流体)の流路内に介装された上記バルブ26を作動させ、各車輪のホイールシリンダ23の供給された圧油の流通を遮断することで実施する。
ここで、ずり下がり防止制御の制動力保持制御開始条件について説明する。
本実施形態では、車両に、下記の条件(1)にかかる図示しない坂道発進補助制御用坂道発進補助スイッチ(坂道発進補助制御実施選択手段)が装備されており、下記の(1)〜(7)の条件が設定され、これらの各条件がいずれも成立した場合に、制動力保持制御開始条件が成立する。なお、この制動力保持制御開始条件の判定は、下記の(1)の坂道発進補助スイッチがオンの条件が成立している、つまり、坂道発進補助スイッチが坂道発進補助制御の実施を選択している場合に、実施する。
(1)坂道発進補助スイッチがオンであること。
(2)車両が停車したこと。
(3)常用ブレーキが操作されていること。
(4)駐車ブレーキが非操作状態であること。
(5)エンジンが作動状態であること。
(6)車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること。
(7)その他の条件が成立していること。
上記の(2)の車両停車の条件は、アイドリングストップの開始条件と同一であり、具体的には、車速が停止判定車速(例えば、2km/h)以下、即ち、車速0km/h近傍になっていることとする。
上記の(3)の条件は、アイドリングストップの開始条件と同一であり、ブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
また、上記の(4)の条件は、駐車ブレーキのブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
上記の(5)の条件は、エンジン回転数センサからのエンジン回転数Neがエンジン作動を示す閾値(エンジン完爆判定閾値を流用できる)Ne0以上ならエンジンが作動状態であり成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(6)の条件は、クラッチセンサからのクラッチの遮断信号が入力されているか或いはシフトレバーがN位置にあれば成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(7)の条件としては、急減速による停車でないこと、車輪をロックさせて停車したのでないことなどが挙げられる。
このようなずり下がり防止制御の制動力保持制御開始条件によって、操作された常用ブレーキの制動力を保持し、この常用ブレーキの制動力で坂道での車両のずり下がりを確実に防止することができ、ドライバの操作負担を軽減することができる。ただし、これらの制動力保持制御開始条件は例示であり、制御開始条件はこれらに限るものでなはない。
次に、坂道発進補助制御の制動力保持制御終了条件について説明する。
本実施形態では、下記の(1)〜(5)の条件が設定され、(1),(2),(3)の条件の何れかが成立し且つ(4),(5)の各条件がいずれも成立した場合に、制動力保持制御終了条件が成立する。なお、制動力保持制御終了条件の判定は、当然ながら制動力保持制御中に実施する。
(1)坂道発進補助スイッチがオフであること。
(2)駐車ブレーキが作動操作されたこと。
(3)エンジンが作動状態であること。
(4)車両の発進準備操作されたこと。
(5)その他の条件が成立していること。
上記の(2)の条件は、駐車ブレーキのブレーキスイッチからON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
上記の(3)の条件は、エンジン回転数センサからのエンジン回転数Neがエンジン作動を示す閾値(エンジン完爆判定閾値を流用できる)Ne0以上ならエンジンが作動状態であり成立し、そうでなければ成立しない。
上記の(4)の条件は、本実施形態のように、クラッチが自動クラッチであり且つ変速機が自動変速機の場合、シフトレバーがD位置等の走行位置にセットされアクセルペダルが踏み込まれた場合に、エンジン再始動条件が成立する。一方、マニュアルクラッチ且つマニュアル変速機の場合、クラッチペダルを踏み込んでシフトレバーを発進ギヤ段に入れる操作をした場合に、エンジン再始動条件が成立する。
上記の(5)の条件としては、ロックブレーキスイッチがオン操作されないことなどが挙げられる。
このような坂道発進補助制御の制動力保持制御終了条件により、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御時の常用ブレーキの制動力を支障なく解放することができる。ただし、これらの制動力保持制御開始条件は例示であり、制御開始条件はこれらに限るものでなはない。
なお、ロックブレーキ制御や、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御で用いるバルブ26に電力を供給するバッテリ30は、エンジン10のスタータモータ(図示略)にも給電する。本装置は、坂道発進補助制御と共にアイドリングストップ制御も行なうので、バルブ26に電力を供給して油路24a,24bを閉鎖している状態でエンジン10のスタータモータ(図示略)に給電してエンジン10の再始動を行なう場合がある。
この場合、図2に一点鎖線で示すように、バッテリ30の電力がスタータモータに給電され電圧低下を招くので、この電圧低下によりバルブの供給電圧が低下し、閉鎖状態が保持されなくなるおそれがある。そこで、バッテリ30と各バルブ26との間の給電系統に、DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)31を介装し、ISSECU12のアイドリングストップ制御により、エンジン10の再始動時には、DC/DCコンバータータ31がバッテリ30の電圧を、図2に破線で示すように、昇圧して電磁バルブ26に出力し、電圧低下を回避し電磁バルブ26の閉鎖状態を保持するようになっている。
ところで、本装置では、ロックブレーキ制御、坂道発進補助制御、アイドリングストップ制御を実施することができるが、ロックブレーキ制御とアイドリングストップ制御とを実施する場合、或いは、坂道発進補助制御とアイドリングストップ制御とを実施する場合に、互いに制御干渉を招くおそれがあるので、これらの制御を連携して実施することにより、制御干渉を防止するように制御ロジックを構成している。
なお、ロックブレーキ制御では駐車ブレーキが作動操作されていることを制御開始条件とし、坂道発進補助制御では駐車ブレーキが作動操作されていないことを制御開始条件としているので、これらの制御間では制御干渉は生じない。
つまり、ロックブレーキ制御の開始条件と、アイドリングストップ制御の開始条件とが、共に成立した場合には、ロックブレーキ制御の制動力保持制御を優先して実施し、この場合、アイドリングストップ制御は実施しない。なお、ロックブレーキ制御の制動力保持制御を実施しているときには、坂道発進補助制御の制動力保持制御は実施されない。
また、坂道発進補助制御にかかるずり下がり防止制御の開始条件と、アイドリングストップ制御の開始条件とが、共に成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施し、その後アイドルストップ制御を開始するように連携して制御する。さらに、ずり下がり防止制御の制動力保持制御終了条件とアイドルストップ制御終了条件とが何れも成立した場合には、アイドルストップ制御の終了によるエンジン再始動を優先して実施し、その後、制動力保持制御の終了による制動力の解放を実施するように連携して制御する。
つまり、坂道発進補助制御の制動力保持制御により車両の停止状態が確保されるまでは、アイドルストップ制御は開始しないでエンジンは作動状態とし、坂道発進補助制御を開始してからアイドルストップ制御を実施した場合には、坂道発進補助制御の制動力保持制御を終了する際には、アイドルストップ制御はすでに終了しエンジンが作動状態となっているように、連携して制御する。
(作用及び効果)
本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置は上述のように構成されているので、アイドリングストップ制御、ロックブレーキ制御、坂道発進補助制御の各開始及び終了にかかる判定を、例えば図3〜図5のフローチャートに示すように行なうことができる。
なお、これらのフローチャート及び後述の図6のフローチャートは、車両のキースイッチがオンになっている際に、車速Vが所定車速V1(例えば、10km/h)以上まで上昇し明らかな走行状態となったら開始し、いずれも共通の所定の制御周期で繰り返して実施され、車両のキースイッチがオンになったら終了する。
アイドリングストップ制御の開始及び終了にかかる判定は、ISSECU12により行われる。
アイドリングストップ制御の開始判定は、図3(a)に示すように行われる。まず、ISSカットスイッチがオフか否かを判定し(ステップA10)、ISSカットスイッチがオフでなければリターンし、ISSカットスイッチがオフならば常用ブレーキが作動操作されているか否かを判定する(ステップA20)。常用ブレーキが作動操作されていなければリターンし、常用ブレーキが作動操作されていれば、車速Vが停車判定車速V2以下か否かを判定する(ステップA30)。
車速Vが停車判定車速V2以下でなければリターンし、車速Vが停車判定車速V2以下ならば、車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であるか否かを判定する(ステップA40)。この条件は、本実施形態の場合には、シフトレバーによりD位置が選択され自動クラッチが動力伝達遮断状態であることである。
動力伝達系が動力伝達遮断状態でなければリターンし、車動力伝達系が動力伝達遮断状態であれば、急減速停止でないこと、エンジンの冷却水温が標準領域内であること、ドアが開放されていないこと、シートベルトが外されていること、PTO装置が作動していないこと、キャブチルト時でないことなどの、その他の条件が成立しているか否かを判定する(ステップA50)。
そして、その他の条件が成立していなければリターンし、その他の条件が成立していれば、アイドリングストップ制御フラグF3を1に設定する(ステップA60)。なお、このアイドリングストップ制御フラグF3は、アイドリングストップ制御について、非制御と判定されたら0に設定され、制御実施と判定されたら1に設定され、制御終了を判定したら制御が実際に終了する(エンジンが再始動する)までは2に設定される。また、制御が実際に終了したら非制御となり0に設定される。
このように、ISSカットスイッチがオフであること、常用ブレーキが作動操作されていること、車速Vが停車判定車速V2以下である(停車している)こと、動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、その他の条件が成立していること、の各条件が何れも満たされる場合に、アイドリングストップ制御フラグF3が、制御実施に対応する1に設定される。
なお、上記のステップA10〜A50の順序は変更可能である。
アイドリングストップ制御中には、例えば図3(b)に示すように、アイドリングストップ制御の終了判定が行われる。まず、シフトレバーが非走行段(例えば、P位置或いはN位置)から走行段(例えば、D位置)にシフトチェンジされたか否かを判定し(ステップA110)、走行段にシフトチェンジされなければ常用ブレーキが非作動に操作されたか否かを判定する(ステップA120)。
常用ブレーキが非作動に操作されなければその他の条件が成立しているか否かを判定する(ステップA130)。その他の条件も成立していなければ、リターンする。
なお、その他の条件とは、例えば、シフトレバーにマニュアルモード位置があれば、ブレーキペダルを踏み込んだまま、シフトレバーをD位置からマニュアルモード位置に切り替えた場合が挙げられる。
一方、走行段にシフトチェンジされるか、常用ブレーキが非作動に操作されるか、その他の条件が成立していれば、アイドリングストップ制御を終了することを判定する(ステップA140)。アイドリングストップ制御の終了を判定したら、アイドリングストップ制御フラグF3を2に設定する。
なお、上記のステップA110〜A130の順序は変更可能である。
アイドリングストップ制御の終了を判定したら、例えば図3(c)に示すように、エンジンの始動完了を判定する。この判定は、他の制御である坂道発進補助制御との連携制御に当たり、エンジンの始動完了を確認してから坂道発進補助制御の制動力保持制御を終了するために行なうものであり、エンジン回転数Neをエンジン完爆判定閾値Ne0と比較して(ステップA210)、エンジン回転数Neがエンジン完爆判定閾値Ne0以上なら、エンジンの始動が完了したと判定する(ステップA220)。エンジンの始動完了を判定したら、アイドリングストップ制御フラグF3を0に設定する(ステップA220)。
ロックブレーキ制御の開始及び終了にかかる判定は、ロックブレーキECU14により行われる。
ロックブレーキ制御の開始判定は、図4(a)に示すように行われる。まず、ロックブレーキスイッチがオンか否かを判定し(ステップB10)、ロックブレーキスイッチがオンでなければリターンし、ロックブレーキスイッチがオンならば常用ブレーキが作動操作されているか否かを判定する(ステップB20)。常用ブレーキが作動操作されていなければリターンし、常用ブレーキが作動操作されていれば、車速Vが停車判定車速V2以下か否かを判定する(ステップB30)。
車速Vが停車判定車速V2以下でなければリターンし、車速Vが停車判定車速V2以下ならば、駐車ブレーキが作動操作されているか否かを判定する(ステップB40)。駐車ブレーキが作動操作されていなければリターンし、駐車ブレーキが作動操作されていれば、
エンジンが作動中であるか否かを判定する(ステップB50)。このエンジンが作動中であるかの判定は、ここでは、エンジンの始動完了判定と同様に、エンジン回転数Neをエンジン完爆判定閾値Ne0と比較して、エンジン回転数Neがエンジン完爆判定閾値Ne0以上なら、エンジンが作動中であると判定する。もちろん、エンジンが作動中であることの判定はこれに限らず周知の技術を用いることができる。
エンジンが作動中であれば、車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であるか否かを判定する(ステップB60)。本実施形態の場合には、シフトレバーによりN位置が選択されているか、或いは、クラッチが動力伝達遮断状態であれば、動力伝達系が動力伝達遮断状態であると判定する。
動力伝達系が動力伝達遮断状態でなければリターンし、動力伝達系が動力伝達遮断状態であれば、キャブチルト時でないことなどのその他の条件が成立しているか否かを判定する(ステップB70)。
そして、その他の条件が成立していなければリターンし、その他の条件が成立していれば、ロックブレーキ制御フラグF1を1に設定する(ステップB80)。なお、このロックブレーキ制御フラグF1は、ロックブレーキ制御について、非制御と判定されたら0に設定され、制御実施と判定されたら1に設定される。
このように、ロックブレーキスイッチがオンであること、常用ブレーキが作動操作されていること、車速Vが停車判定車速V2以下である(停車している)こと、駐車ブレーキが作動操作されていること、エンジンが作動中であること、動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、駐車ブレーキが作動操作されていること、その他の条件が成立していること、の各条件が何れも満たされる場合に、ロックブレーキ制御フラグF1が、制御実施に対応する1に設定される。
なお、上記のステップB10〜B70の順序は変更可能である。
ロックブレーキ制御中には、例えば図4(b)に示すように、ロックブレーキ制御の終了判定が行われる。まず、ロックブレーキスイッチがオフに切り替えられたか否かを判定し(ステップB110)、ロックブレーキスイッチがオフに切り替えられなければ駐車ブレーキがオフ(非作動)に操作されたか否かを判定する(ステップB120)。駐車ブレーキが非作動に操作されなければ、リターンする。
一方、ロックブレーキスイッチがオフに切り替えられるか、或いは、駐車ブレーキがオフ(非作動)に操作されたらば、エンジンが作動中であるか否かを判定し(ステップB130)、エンジンが作動中でなければ、リターンする。このエンジンが作動中であるか否かの判定は、ステップB50と同様に、エンジン回転数Neをエンジン完爆判定閾値Ne0と比較して行なう。
ここで、エンジンが作動中であれば、PTO等の作業用装置が作動可能状態でないかなど、その他の終了条件が成立しているか否かを判定し(ステップB140)、その他の条件が成立していなければ、リターンする。
一方、その他の条件も成立していれば、ロックブレーキ制御を終了することを判定し、ロックブレーキ制御フラグF1を0に設定する(ステップB150)。
なお、上記のステップB110,B120の順序や、ステップB130,B140の順序は変更可能である。
坂道発進補助制御の開始及び終了にかかる判定は、ヒルホールダーECU15により行われる。
坂道発進補助制御の開始判定は、図5(a)に示すように行われる。まず、坂道発進補助制御スイッチがオンか否かを判定し(ステップC10)、坂道発進補助制御スイッチがオンでなければリターンし、坂道発進補助制御スイッチがオンならば常用ブレーキが作動操作されているか否かを判定する(ステップC20)。常用ブレーキが作動操作されていなければリターンし、常用ブレーキが作動操作されていれば、車速Vが停車判定車速V2以下か否かを判定する(ステップC30)。
車速Vが停車判定車速V2以下でなければリターンし、車速Vが停車判定車速V2以下ならば、駐車ブレーキがオフ(非作動)であるか否かを判定する(ステップC40)。駐車ブレーキがオフでなければリターンし、駐車ブレーキがオフであれば、エンジンが作動中であるか否かを判定する(ステップC50)。この判定は、ロックブレーキ制御の開始や終了の判定と同様に、エンジン回転数Neをエンジン完爆判定閾値Ne0と比較して、エンジン回転数Neがエンジン完爆判定閾値Ne0以上なら、エンジンが作動中であると判定する。
エンジンが作動中であれば、車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であるか否かを判定する(ステップC60)。この条件は、本実施形態の場合には、シフトレバーによりN位置が選択されているか、或いは、クラッチが動力伝達遮断状態であることである。動力伝達系が動力伝達遮断状態でなければリターンし、急減速による停止でないことや車輪をロックさせての停止でないことなどその他の条件が成立しているか否かを判定する(ステップC70)。
そして、その他の条件が成立していなければリターンし、その他の条件が成立していれば、坂道発進補助制御フラグF2を1に設定する(ステップC80)。なお、この坂道発進補助制御フラグF2は非制御と判定されたら0に設定され、制御実施と判定されてから制御を開始し制動力保持が完了するまでの間は1に設定され、制動力保持が完了したら2に設定される。
このように、坂道発進補助スイッチがオンであること、常用ブレーキが作動操作されていること、車速Vが停車判定車速V2以下である(停車している)こと、駐車ブレーキがオフであること、エンジンが作動中であること、動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、その他の条件が成立していること、の各条件が何れも満たされたら、坂道発進補助制御フラグF2が制御開始に対応する1に設定され、その後、制動力保持が完了したら、2に設定される。
なお、上記のステップC10〜C70の順序は変更可能である。
ロックブレーキ制御フラグF1が1に設定されると、図5(c)に示すように制動力保持が完了したか否かを判定する。この判定は、制御指令開始時に、タイマを起動し(ステップC210)、その後、ブレーキ圧PBFが停車時近傍の閾値PBF0以上を保持しているか否かを判定する(ステップC220)、タイマTが所定時間T1を過ぎたか否かを判定し(ステップC230)、タイマTが所定時間T1を過ぎても、ブレーキ圧PBFが停車時近傍の閾値0PBF0以上を保持していれば、制動力保持が完了したと判定する(ステップC240)。
制動力保持が完了したら、坂道発進補助制御フラグF2を2に設定する(ステップB240)。なお、途中で、ブレーキ圧PBFが停車時近傍の閾値PBF0未満に低下したら、制動力保持ができていない旨をドライバに知らせるためにアラームを鳴らす(ステップC250)、又はディスプレイ表示や音声表示により警告メッセージを発する。
坂道発進補助制御中には、例えば図5(b)に示すように、坂道発進補助制御の終了判定が行われる。まず、坂道発進補助スイッチがオフに切り替えられたか否かを判定し(ステップC110)、坂道発進補助スイッチがオフに切り替えられなければ駐車ブレーキがオン(作動)に操作されたか否かを判定する(ステップC120)。駐車ブレーキが作動に操作されなければ、リターンする。
一方、坂道発進補助スイッチがオフに切り替えられるか、或いは、駐車ブレーキがオン(作動)に操作されたらば、ステップC50と同様の手法でエンジンが作動中であるか否かを判定し(ステップC130)、エンジンが作動中でなければ、リターンする。エンジンが作動中であれば、ロックブレーキスイッチがオンでないかなど、その他の終了条件が成立しているか否かを判定し(ステップC140)、その他の条件が成立していなければ、リターンする。
一方、その他の条件も成立していれば、坂道発進補助制御を終了するために、坂道発進補助制御F2を0に設定する(ステップC150)。
なお、上記のステップC110,C120の順序や、ステップC130,C140の順序は変更可能である。
このように、ISSECU12,ロックブレーキECU14,ヒルホールダー15ECUにより、アイドリングストップ制御、ロックブレーキ制御、及び坂道発進補助制御の開始や終了にかかる判定がされる一方で、自際のアイドリングストップ制御、ロックブレーキ制御、及び坂道発進補助制御の開始や終了は、各制御を連携されて統合して実施される。なお、本実施形態では、ISSECU12が連携制御を実施する構成としているが、かかる連携制御を実施する主体は、これに限らない。
ここで、ロックブレーキ制御と、坂道発進補助制御と、アイドリングストップ制御との連携制御の各判定手順の概要を説明する。
本実施形態にかかる連携制御では、制御開始時には、ロックブレーキ制御,坂道発進補助制御,アイドリングストップ制御の順に制御開始を判定し、ロックブレーキ制御の開始が判定された場合には、ロックブレーキ制御が終了するまでは、坂道発進補助制御,アイドリングストップ制御の制御開始の判定は行わない。したがって、ロックブレーキ制御を実施しているときには、坂道発進補助制御,アイドリングストップ制御は実施しない。
また、本実施形態にかかる連携制御では、制御開始時には、ロックブレーキ制御,坂道発進補助制御,アイドリングストップ制御の順に制御開始を判定し、ロックブレーキ制御の開始が判定されずに坂道発進補助制御の開始が判定された場合には、坂道発進補助制御による制動力保持を開始する。そして、坂道発進補助制御による制動力保持が完了するまでは、アイドリングストップ制御の開始判定を行なわず、坂道発進補助制御による制動力保持が完了したら、アイドリングストップ制御の開始判定を行なう。
坂道発進補助制御による制動力保持を実施しているとき、アイドリングストップ制御の開始条件が成立し、アイドリングストップ制御によるエンジン停止が実施されているときには、坂道発進補助制御及びアイドリングストップ制御の終了を判定する必要があるが、この際には、まず、アイドリングストップ制御の終了を判定し、アイドリングストップ制御の終了が実施されエンジンが再始動したら、坂道発進補助制御の終了を判定する。
制御の開始判定を、上記のように順序付けることにより、坂道発進補助制御による制動力保持が完了しない限り、エンジンの作動は継続されることになる。また、制御の終了判定を、上記のように順序付けることにより、エンジンが再始動されない限り、坂道発進補助制御による制動力保持は継続されることになる。したがって、これにより、常用ブレーキによる制動力保持が実施されない状態でエンジンが停止する状況が回避される。
ここで、ロックブレーキ制御と、坂道発進補助制御と、アイドリングストップ制御との連携制御を、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6では、フラグF1,F2,F3に関し、F1(n−1),F2(n−1),F3(n−1)は前回の制御周期の各フラグF1,F2,F3の値を示し、F1(n),F2(n),F3(n)は今回の制御周期の各フラグF1,F2,F3の値を示す。また、初回の制御周期に用いるF1(0),F2(0),F3(0)はいずれもフラグF1,F2,F3の各初期値に相当する0とする。
図6に示すように、まず、前回のロックブレーキ制御フラグF1(n−1)が0であるか否か(ステップS10)、前回の坂道発進補助制御フラグF2(n−1)が0であるか否か(ステップS20)、前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が0であるか否か(ステップS30)、を判定する。当然ながら、車両が明らかな走行状態となって制御を開始してから車両の停止が判定されるまではフラグF1(n−1),F2(n−1),F3(n−1)はいずれも初期値0を保持する。
前回のロックブレーキ制御フラグF1(n−1),坂道発進補助制御フラグF2(n−1),アイドリングストップ制御フラグF3(n−1)がいずれも0であれば、今回のロックブレーキ制御フラグF1(n)が1であるか否かを判定する(ステップS40)。今回のロックブレーキ制御フラグF1(n)が1でなければ、今回の坂道発進補助制御フラグF2(n)が1であるか否かを判定する(ステップS50)。今回の坂道発進補助制御フラグF2(n)が1でなければ、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が1であるか否かを判定する(ステップS60)。
車両の停止が判定され且つ常用ブレーキが操作されていることが判定されると、ロックブレーキ制御,坂道発進補助制御,及びアイドリングストップ制御の開始条件にかかる個別条件の2つが成立するので、ロックブレーキ制御,坂道発進補助制御,及びアイドリングストップ制御の開始条件にかかる他の個別条件によっては、何れかの制御開始条件が成立する場合がある。
この場合、上記のように、まず、ロックブレーキ制御フラグF1(n)が1であるか否かを判定し、ロックブレーキ制御フラグF1(n)が1であればロックブレーキ制御を開始する(ステップS70)。つまり、バルブ26を閉鎖して常用ブレーキのブレーキ油圧を保持して常用ブレーキの制動力を保持する。
ロックブレーキ制御フラグF1(n)が1でなく、坂道発進補助制御フラグF2(n)が1であれば坂道発進補助制御のずり下がり防止制御を開始する(ステップS80)。つまり、バルブ26を閉鎖して常用ブレーキのブレーキ油圧を保持して常用ブレーキの制動力を保持する。
さらに、ロックブレーキ制御フラグF1(n)も坂道発進補助制御フラグF2(n)もが1でなく、アイドリングストップ制御フラグF3(n)が1であればアイドリングストップ制御を開始する(ステップS90)。つまり、エンジンを停止する。この場合のアイドリングストップ制御によるエンジン停止状態では、このエンジン停止が解除(つまり、エンジンが再始動)されない限り、ロックブレーキ制御及び坂道発進補助制御は実施されない。
このようにして、ロックブレーキ制御フラグF1(n)が1となって、ロックブレーキ制御が開始されると、次の制御周期では、ステップS10からステップS260に進んで、ロックブレーキ制御フラグF1(n)が0か否か、即ち、ロックブレーキ制御の終了が判定されているか否かを判定する。ここで、ロックブレーキ制御フラグF1(n)が0とならなければリターンし、ロックブレーキ制御フラグF1(n)が0となったらロックブレーキ制御を終了する(ステップS270)。つまり、バルブ26を開放して常用ブレーキのブレーキ油圧保持を終了して常用ブレーキの制動力を解除する。
また、坂道発進補助制御フラグF2(n)が1となって、坂道発進補助制御が開始されると、次の制御周期では、ステップS10,S20からステップS150に進んで、前回の坂道発進補助制御フラグF2(n−1)が1であるか否か、即ち、坂道発進補助制御の開始が判定されたか否かが判定される。前回の坂道発進補助制御フラグF2(n−1)が1ならば、今回の坂道発進補助制御フラグF2(n1)が2であるか否か、即ち、坂道発進補助制御による制動力保持が完了したか否かが判定される(ステップS160)。
ここで、今回の坂道発進補助制御フラグF2(n1)が2でなければリターンし、今回の坂道発進補助制御フラグF2(n1)が2であれば、制動力保持が完了したと判定し(ステップS170)。この場合、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が1であるか否か、即ち、今回のアイドリングストップ制御の開始条件が成立しているか否かが判定される(ステップS180)。今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が1でなければリターンし、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が1であればアイドリングストップ制御を開始する(ステップS190)。
一方、ステップS150において、前回の坂道発進補助制御フラグF2(n−1)が1でないならば、前回の坂道発進補助制御フラグF2(n−1)は2であり、坂道発進補助制御による制動力保持が完了しており、前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が1であるか否か、即ち、前回の制御周期で、アイドリングストップ制御を開始しているか否かがが判定される(ステップS200)。
前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が1であり、前回の制御周期で、アイドリングストップ制御を開始していれば、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が2であるか否か、即ち、前回の制御周期で、アイドリングストップ制御の終了を判定しているか否かがが判定される(ステップS210)。ここで、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が2でなければ、フラグF3(n)は1のままでありリターンし、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が2であれば、アイドリングストップ制御の終了(ISSオフ)即ちエンジン再始動を指示する(ステップS220)。
また、ステップS200において、前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が1でなければ、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が0であるか否か、即ち、エンジン再始動が完了したか否かが判定される(ステップS230)。前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が1でなければ、前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)は0か2である。前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が2であれば、今回の制御周期で、エンジン再始動が完了していればF3(n)は0となる。
今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が0であればエンジン再始動が完了しているので、坂道発進補助制御の終了(制動力保持の終了)は可能であり、今回の坂道発進補助制御フラグF2(n)が0であるか否か、即ち、今回の制御周期で坂道発進補助制御の終了が判定されているか否かが判定される(ステップS240)。今回の坂道発進補助制御フラグF2(n)が0でなければリターンし、今回の坂道発進補助制御フラグF2(n)が0ならば、坂道発進補助制御を終了する(ステップS250)。つまり、バルブ26を開放して常用ブレーキのブレーキ油圧保持を終了して常用ブレーキの制動力を解除する。
また、ステップS60で、アイドリングストップ制御フラグF3(n)が1となって、アイドリングストップ制御が開始されると、次の制御周期では、ステップS10,S20,S30からステップS100に進んで、前回のアイドリングストップ制御フラグF3(n−1)が1であるか否か、即ち、アイドリングストップ制御の開始が判定されて実施されているか否かが判定される。
当初は、フラグF3(n)は1であり、ステップS110に進んで、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が2であるか否か、即ち、アイドリングストップ制御の終了が判定されたか否かが判定される。今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が2でなければリターンする。この場合は、アイドリングストップ制御の実施が継続される。また、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が2であれば、アイドリングストップ制御の終了、即ち、エンジンの再始動を指示する(ステップS130)。
フラグF3(n)が2となると、次の制御周期のステップS100において、ステップS120に進んで、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が0であるか否か、即ち、アイドリングストップ制御制御の終了(エンジン再始動)が完了したか否かが判定される。今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が0でなければリターンし、今回のアイドリングストップ制御フラグF3(n)が0であれば、アイドリングストップ制御が終了した、即ち、エンジンの再始動が完了したと判定する(ステップS140)。
本装置によれば、このようにして、アイドリングストップ制御の制御開始条件と、ロックブレーキ制御や坂道発進補助制御の制動力保持制御の制御開始条件とが、ともに成立した場合に、ロックブレーキ制御や坂道発進補助制御の制動力保持制御を優先して実施するように連携して制御するので、両制御の制御干渉が回避される効果がある。
つまり、ロックブレーキ制御や坂道発進補助制御の制動力保持制御開始条件や制動力保持制御終了条件にはエンジンが作動状態であることが含まれるため、アイドリングストップ制御開始条件と制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合に、アイドリングストップ制御を開始する前に、制動力保持制御を開始すれば、制動力保持制御を支障なく開始することができる。また、制動力保持制御を開始した後であれば、アイドリングストップ制御を開始してエンジンを停止させることも可能である。また、制動力保持という車両を安定して静止させる制御をアイドリングストップ制御よりも優先させることは、制御の重要性の観点からも適切である。
また、アイドリングストップ制御の制御開始条件と、ロックブレーキ制御の制動力保持制御の制御開始条件とが、ともに成立した場合には、ロックブレーキ制御は実施するがアイドリングストップ制御は行わない。これにより、実質的な支障を伴わずに、制御ロジックをシンプルに構成することができる。つまり、ロックブレーキ制御は車両による作業時に使用するが、作業時には基本的に車両に装備された作業機械でエンジンの駆動力を使用する。エンジンの駆動力により作業機械を作動させる場合、アイドリングストップ制御は禁止される。したがって、ロックブレーキ制御時には、アイドリングストップ制御を実施しないのは、こうした事情に対応しており、支障なく、制御ロジックをシンプルに構成することができる。
また、アイドリングストップ制御の制御開始条件と、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御の制御開始条件とが、ともに成立した場合には、まず、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御を開始して、常用ブレーキの制動力を停止操作時のままに保持し、この保持が完了した後に、アイドリングストップ制御のエンジン停止を行なうので、常用ブレーキの制動力が確保されない状態でエンジン停止が行われることが防止され、車両操作性を確保することができる。
また、アイドリングストップ制御の制御終了条件と、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御の制御終了条件とが、ともに成立した場合には、まず、アイドリングストップ制御の終了、即ち、エンジンの再始動を実施し、このエンジンの再始動が完了した後に、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御の終了、即ち、常用ブレーキの制動力の解除を行なうので、エンジン駆動力が確保されない状態で常用ブレーキの制動力が解除されることが防止され、車両操作性を確保することができる。もちろん、アイドリングストップ条件が成立するとアイドリングストップ制御が実施されエンジン10が停止されるので、燃費を向上させ、排出ガスを低減させることができる。
また、本実施形態では、ノーマルオープンの電磁バルブ26を閉鎖状態としながら、エンジン10のスタータモータ(図示略)に給電してエンジン10の再始動を行なう場合があり、図2に一点鎖線で示すように、バッテリ30の電力がスタータモータに給電され電圧低下を招くが、バッテリ30と各バルブ26との間の給電系統に、DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)31を介装しており、エンジン10の再始動のためのスタータモータへの給電時には、DC/DCコンバータータ31がバッテリ30の電圧を、図2に破線で示すように、昇圧して電磁バルブ26に出力し、電磁バルブ26の給電電圧の低下を回避し電磁バルブ26の閉鎖状態を保持することができる。
さらに、本実施形態では、別々のハードウェアであるISSECU12,ロックブレーキECU14,ヒルホールダー15ECUが、CANによってネットワーク化されており、このネットワークにより互いに情報を授受して連携した制御を実施するので、既存のハードウェアを組み合わせて使用しながら連携制御を実施することができ、各制御機能をオプションで備える場合に好適である。
〔第2実施形態〕
(構成)
本実施形態にかかる車両制御装置は、図7に示すように、エンジンECU11と、第1実施形態にかかる車両制御装置のうち、ロックブレーキECU14を省いて、アイドリングストップ用ECU(ISSECU)12と、ABS制御用ECU(ABSECU、車両挙動制御手段)13Aと、坂道での一時停止時にブレーキペダルを踏み込んだ際に油圧式常用ブレーキ20の制動力を保持し車両の移動を防止し車両を発進させる際に制動力を自動的に解除する坂道発進補助制御用ECU(ヒルホールダーECU(Hill Holder ECU)、坂道発進補助制御手段)15と、を備えている。第1実施形態と同符号は同様のものを示しており、詳細な説明は省略する。
図示するように、第1実施形態と同様に、バッテリ30と各電磁バルブ26との間の給電系統に、DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)31が介装されており、エンジン10の再始動のためのスタータモータへの給電時には、バッテリ30の電圧降下が生じるが、ISSECU12がDC/DCコンバータ31を作動させ、電磁バルブ26に給電する電圧を昇圧するので、電磁バルブ26の給電電圧の低下を回避し電磁バルブ26の閉鎖状態を保持するようになっている。
そして、第1実施形態と同様に、坂道発進補助制御とアイドリングストップ制御とを実施することができるが、坂道発進補助制御とアイドリングストップ制御とを実施する場合に、第1実施形態と同様に、これらの制御を連携して実施することにより、互いに制御干渉を招かないように制御ロジックを構成している。
(作用及び効果)
本実施形態にかかる車両制御装置は、上述のように構成されているので、第1実施形態のものと同様に、各制御の開始及び終了が判定される。つまり、図6において、ステップS10,S70,S260,S270が削除され、ステップS30の肯定ルートはステップS50に進むように構成する。
これにより、第1実施形態のものと同様に、アイドリングストップ制御の制御開始条件と、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御の制御開始条件とが、ともに成立した場合には、まず、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御を開始して、常用ブレーキの制動力を停止操作時のままに保持し、この保持が完了した後に、アイドリングストップ制御のエンジン停止を行なうので、常用ブレーキの制動力が確保されない状態でエンジン停止が行われることが防止され、車両操作性を確保することができる。
また、アイドリングストップ制御の制御終了条件と、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御の制御終了条件とが、ともに成立した場合には、まず、アイドリングストップ制御の終了、即ち、エンジンの再始動を実施し、このエンジンの再始動が完了した後に、坂道発進補助制御のずり下がり防止制御の終了、即ち、常用ブレーキの制動力の解除を行なうので、エンジン駆動力が確保されない状態で常用ブレーキの制動力が解除されることが防止され、車両操作性を確保することができる。もちろん、アイドリングストップ条件が成立するとアイドリングストップ制御が実施されエンジン10が停止されるので、燃費を向上させ、排出ガスを低減させることができる。
〔第3実施形態〕
(構成)
本実施形態にかかる車両制御装置は、図8に示すように、第1実施形態にかかる車両制御装置のうち、ヒルホールダーECU15を省いて、エンジンECU11と、アイドリングストップ用ECU(ISSECU)12と、ABS制御用ECU(ABSECU、車両挙動制御手段)13Aと、油圧式常用ブレーキ(フットブレーキ)20の制動力を保持し車両の移動を防止する制動力保持制御用ECU(ロックブレーキECU(Rock Brake ECU)、制動力保持手段)14と、を備えている。第1実施形態と同符号は同様のものを示しており、詳細な説明は省略する。
また、アイドリングストップ制御とロックブレーキ制御とは同時に実施しないので、電磁バルブ26への給電時に、エンジン10の再始動のためのスタータモータへの給電はないため、第1,2実施形態において、バッテリ30と各電磁バルブ26との間の給電系統に介装されているDC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)31も省略されている。
そして、第1実施形態と同様に、ロックブレーキ制御とアイドリングストップ制御とを実施することができるが、ロックブレーキ制御とアイドリングストップ制御とを実施する場合に、第1実施形態と同様に、これらの制御を連携して実施することにより、互いに制御干渉を招かないように制御ロジックを構成している。
(作用及び効果)
本実施形態にかかる車両制御装置は、上述のように構成されているので、第1実施形態のものと同様に、各制御の開始及び終了が判定される。つまり、図6において、ステップS20,S50,S80,S150〜S250が削除され、ステップS10の肯定ルートはステップS30に進み、ステップS40の否定ルートはステップS60に進むように構成する。
これにより、第1実施形態のものと同様に、アイドリングストップ制御の制御開始条件と、ロックブレーキ制御の制動力保持制御の制御開始条件とが、ともに成立した場合には、ロックブレーキ制御は実施するがアイドリングストップ制御は行わない。これにより、実質的な支障を伴わずに、制御ロジックをシンプルに構成することができる。
〔第4実施形態〕
(構成)
本実施形態にかかる車両制御装置は、図9に示すように、第1実施形態にかかる車両制御装置のうち、ABS制御用ECU(ABSECU、車両挙動制御手段)13Aが、車両挙動制御(ESP制御)及びABS制御を行なう車両挙動制御用ECU(ABS/ESPECU、車両挙動制御手段)13に変更され、さらに、制動力を保持するための電磁バルブ26を介装する位置がハイドロリックユニット22よりも下流の油路25a〜25dに変更されている。また、第1実施形態と同符号は同様のものを示しており、詳細な説明は省略する。
ABS/ESPECU13には、常用ブレーキ(フットブレーキ)の操作情報や、ブレーキ各車輪の車輪速センサ(図示略)からの車輪速情報や、ヨーレイトセンサや横Gセンサや前後Gセンサや車速センサなど(図示略)の車両挙動センサからの車両挙動情報が入力される。そして、ABS/ESPECU13は、制動時にいずれかの車輪がロック傾向になったら、ハイドロリックユニット22を制御してその車輪のホイールシリンダ23の油圧を低下させて制動力を抑制し車輪のロックを回避する(ABS制御)。また、車両が横滑りを生じたり横滑りや横転等のおそれが生じたりしたら、ハイドロリックユニット22を制御して各車輪のホイールシリンダ23の油圧を個々に調整して横滑りや横転を回避する(ESP制御)。
また、本実施形態では、ハイドロリックユニット22よりも上流の上流側圧油流路24a,24bの流路断面積は、ハイドロリックユニット22よりも下流で各車輪のホイールシリンダ23に至る下流側圧油流路25a〜25dの流路断面積よりも大きく設定されている。これは、ESPによる車両挙動安定制御を行なうには、各車輪の制動力を速やかに変更することが必要となる場合があり、このため、ハイドロリックユニット22の上流側油路24a,24bは、ハイドロリックユニット22よりも下流の油路25a〜25dのそれぞれに要求される圧油供給を速やかに行えるように、油路25a〜25dよりも大幅に大径の配管が適用されているのである。
そして、制動力を保持するための電磁バルブ26は、上流側油路24a,24bよりも流路断面積の小さい下流側油路25a〜25dのそれぞれに介装されている。下流側油路25a〜25dは比較的流路断面積が小さいため、ここに介装する各電磁バルブ26も比較的流路断面積が小さい小型のものを適用することができる。制動力保持制御のための制御信号に応じてバッテリ(車載の補機バッテリ)30からの電力を供給されることにより油路25a〜25dを閉鎖して、各車輪のホイールシリンダ23の油圧を保持し制動力を保持する。
(作用及び効果)
本実施形態にかかる車両制御装置は、上述のように構成されているので、第1実施形態のものと同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を得ることができる。
つまり、制動力を保持する電磁バルブ26は、ハイドロリックユニット22の下流の各車輪のホイールシリンダ23に至る下流側圧油流路25a〜25dにそれぞれ介装されており、流路断面積が大きい上流側圧油流路24a,24bにはバルブが介装されないので、上流側圧油流路24a,24b内を圧油が円滑に流通する。また、下流側圧油流路25a〜25dは上流側圧油流路24a,24bよりも流路断面積が小さいので、上流側圧油流路に介装する場合よりも小型の電磁バルブ26を適用しても、流路抵抗を招きにくい。
したがって、ハイドロリックユニット22による各車輪のホイールシリンダ23内の油圧調整も応答性の遅れを招くことなく行なうことができ、ABS/ESPECU13による車両挙動制御に際して、ハイドロリックユニット22により各車輪のホイールシリンダ23内の油圧を速やかに調整することができ、各車輪の制動力をタイミングよく個別制御でき、車両の走行安定性制御を適切に行なうことができる。
また、電磁バルブ26に比較的小型のバルブを適用できるので、既存の電磁バルブを適用しやすい。このため、電磁バルブ26の数が増えても個々の電磁バルブ26のコストを大きく削減することができるので、電磁バルブ26に要するコストを全体としても大幅に削減することができる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を適宜変更して実施しうるものである。
例えば、上記実施形態では、常用ブレーキの制動力を保持して制動力保持制御をロックブレーキ制御と坂道発進制御のずり下がり防止制御に適用する例を説明したが、制動力保持制御はこれらに限らない。
また、上記実施形態では、常用ブレーキの制動力を保持するために、上記実施形態では、油圧式常用ブレーキ20が全て油圧(液圧)を用いる構成としたが、部分的にエア圧等を用いる構成であっても良い。
また、上記実施形態では、アイドリングストップ制御や、ロックブレーキ制御,坂道発進制御の制動力保持制御といった各制御機能を、別々のハードウェアであるISSECU12,ロックブレーキECU14,ヒルホールダー15ECUに組み込んでいるが、これらを1つのハードウェアに組み込んでもよい。
また、別々のハードウェアに組み込む場合も、上記実施形態のように各ECU12,13,14,15は、CANによってネットワーク化されており、このネットワークにより互いに情報を授受して連携した制御を実施するので、既存のハードウェアを組み合わせて使用しながら連携制御を実施することができ、各制御機能をオプションで備える場合に好適である。
また、上記実施形態では、車両挙動制御用ECU13がABS及びESPの両者を実施する構成になっているが、ABS及びESPの一方のみを実施する構成にしてもよい。
10 エンジン
11 エンジンECU
12 アイドリングストップ用ECU(ISSECU)
13 車両挙動制御用ECU(ABS/ESPECU、車両挙動制御手段)
13A 車両挙動制御用ECU(ABSECU、車両挙動制御手段)
14 制動力保持制御用ECU(ロックブレーキECU、制動力保持手段)
15 坂道発進補助制御用ECU(ヒルホールダーECU、坂道発進補助制御手段)
20 油圧式常用ブレーキ
21 ブレーキブースタ
21a マスターシリンダ
22 ハイドロリックユニット(油圧ユニット)
23 ホイールシリンダ
24a,24b 上流側圧油流路
25a〜25d 下流側圧油流路
26 制動力を保持するための電磁バルブ
30 バッテリ
31 DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)

Claims (6)

  1. 車両が停車し前記車両の常用ブレーキが操作されていることを含むアイドリングストップ制御開始条件が成立すると車両のエンジンを停止させ、アイドリングストップ制御終了条件が成立すると前記エンジンを再始動させるアイドリングストップ制御手段と、
    前記車両が停車し前記常用ブレーキが操作されていることを含む制動力保持制御開始条件が成立すると前記常用ブレーキの作動流体の流路内のバルブによって前記作動流体の流通を遮断して制動力を保持し車両の移動を防止し、制動力保持制御終了条件が成立すると前記バルブによる前記作動流体の流通遮断を解除して制動力を解放する制動力保持制御手段と、を備え、
    前記制動力保持制御開始条件には前記エンジンが作動状態であることが含まれ、
    前記アイドリングストップ制御手段及び前記制動力保持制御手段は、前記アイドリングストップ制御開始条件と前記制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施するように連携制御を行なう
    ことを特徴とする、車両制御装置。
  2. 前記アイドリングストップ制御開始条件は、
    前記車両のアイドリングストップ制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、
    前記車両が停車したこと、
    前記常用ブレーキが操作されていること、
    前記車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、
    を含む各個別条件が、何れも成立することであり、
    前記アイドリングストップ制御終了条件は、
    前記常用ブレーキが作動操作された状態から前記シフトレバー,前記常用ブレーキ及び前記車両のクラッチの何れかが発進準備操作されたこと、
    を含む各個別条件が何れも成立することである
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両制御装置。
  3. 前記制動力保持制御手段は、前記車両の停車中の作業時に前記制動力保持により前記車両の移動を防止する作業用補助制動手段を構成し、
    前記作業用補助制動手段の前記制動力保持制御開始条件は、
    前記車両の車両移動防止制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、
    前記車両が停車したこと、
    前記常用ブレーキが操作されていること、
    前記車両の駐車ブレーキが作動操作されたこと、
    前記エンジンが作動状態であること、
    前記車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、
    を含む各個別条件が、何れも成立していることであり、
    前記作業用補助制動手段の前記制動力保持制御終了条件は、
    前記車両移動防止制御実施選択手段が制御不実施に切り替えられたこと、
    前記駐車ブレーキが非作動状態に切り替えられたこと、
    の何れかが成立すると共に、前記エンジンが作動状態であることを含む他の個別条件が成立することであって、
    前記アイドリングストップ制御手段は、前記作業用補助制御手段により前記制動力保持制御を実施している際には、前記エンジンの停止を実施しない
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両制御装置。
  4. 前記制動力保持制御手段は、前記車両の坂道での一時停止時に前記車両のずり下がりを防止するずり下がり防止制御手段と、前記ずり下がり防止制御手段による制動力保持状態から前記車両を発進させる際に、前記ずり下がり防止制御手段により保持していた制動力を自動的に解放して坂道の発進を補助する坂道発進補助制御手段とを構成し、
    前記ずり下がり防止制御手段の前記制動力保持制御開始条件は、
    前記車両の坂道発進補助制御実施選択手段により制御実施が選択されていること、
    前記車両が停車したこと、
    前記常用ブレーキが操作されていること、
    前記車両の駐車ブレーキが非操作状態であること、
    前記エンジンが作動状態であること、
    前記車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること、
    を含む各個別条件が、何れも成立していることであり、
    前記坂道発進補助制御手段の前記制動力保持制御終了条件は、
    前記坂道発進補助制御実施選択手段が制御不実施に切り替えられたこと、
    前記駐車ブレーキが作動状態に切り替えられたこと、
    前記車両の発進準備操作がされたこと、
    の何れかが成立すると共に、前記エンジンが作動状態であることを含む他の個別条件が成立することであって、
    前記アイドリングストップ制御手段及び前記ずり下がり防止制御手段は、前記アイドリングストップ制御開始条件と前記制動力保持制御開始条件とが何れも成立した場合には、制動力保持制御を優先して実施し、その後アイドリングストップ制御を開始するように連携して制御し、
    前記アイドリングストップ制御手段及び前記坂道発進補助制御手段は、前記アイドリングストップ制御終了条件と前記制動力保持制御終了条件とが何れも成立した場合には、アイドリングストップ制御の終了によるエンジン再始動を優先して実施し、その後、制動力保持制御の終了による制動力の解放を実施するように連携して制御する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  5. 前記バルブは、前記エンジンの始動時のスタータモータに給電するバッテリの電力により閉鎖状態を保持する電磁バルブであって、
    前記エンジンの前記再始動時に前記バッテリの電圧を昇圧して前記電磁バルブに出力する昇圧コンバータを備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  6. 前記アイドリングストップ制御手段及び前記制動力保持制御手段は別々のハードウェアに備えられ、前記の各ハードウェアは互いに通信手段により情報を授受して、前記連携した制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の車両制御装置。
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CN105128859A (zh) * 2015-08-28 2015-12-09 芜湖伯特利汽车安全系统股份有限公司 一种发动机启停系统的熄火防溜坡保护控制方法

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