JP2014108617A - スクリーン版、スクリーン版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細なペーストバンプを高精度に形成することができるスクリーン版およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の主面から第2の主面に貫通して該第1の主面における径として第1の径を有し該第2の主面における径として第2の径を有する第1の孔が複数穿設された、金属素材の第1の層部材と、第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、該第1の主面の側が第1の層部材の第2の主面に対向するように第1の層部材上に積層状に配置され、かつ、第1の孔に連通するように該第1の主面から該第2の主面に貫通して該第1の主面における径が第2の径よりも小でかつ該第2の主面における径よりも小である第2の孔が複数穿設された、樹脂素材の第2の層部材とを具備する。第2の孔をレーザ加工で形成し、そのあと第2の孔を利用して第1の孔をエッチング加工で形成する。
【選択図】図2
【解決手段】第1の主面から第2の主面に貫通して該第1の主面における径として第1の径を有し該第2の主面における径として第2の径を有する第1の孔が複数穿設された、金属素材の第1の層部材と、第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、該第1の主面の側が第1の層部材の第2の主面に対向するように第1の層部材上に積層状に配置され、かつ、第1の孔に連通するように該第1の主面から該第2の主面に貫通して該第1の主面における径が第2の径よりも小でかつ該第2の主面における径よりも小である第2の孔が複数穿設された、樹脂素材の第2の層部材とを具備する。第2の孔をレーザ加工で形成し、そのあと第2の孔を利用して第1の孔をエッチング加工で形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、スクリーン印刷で用いるスクリーン版およびその製造方法に係り、特に、ペースト状の導電性組成物をバンプ形状に形成するためのスクリーン版に関する。
微細な構造物を物体面上に形成するためスクリーン印刷を活用する技術が種々の場面で用いられている。スクリーン印刷を用いて、配線パターン上または金属箔上に、ペースト状の導電性組成物をバンプ形状に付着させることができる(以下、付着で形成されたバンプをペーストバンプという)。かかるペーストバンプは先細であり、その乾燥後に、半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)を貫通させ、配線板の層間接続導体として部材化することができる。この層間接続導体は、微細化や縦横両方向の高密度配置化に適しており、配線板に部材として設けて部品の高密度実装に寄与できる。
配線板への部品の高密度実装のニーズは今後さらに進むと考えられる。そこで、上記のスクリーン印刷としてこれに対応するには、より微細なペーストバンプを信頼性高く形成することが一層必要になると考えられる。より微細にペーストバンプを形成するには、一般に、スクリーン版のピット径を小径化して印刷を行えばよいが、その前提である、ピットを小径に加工、形成することにおいて難点が生じてくる。
スクリーン版の素材は多くは金属板であり、ドリル加工では100μm程度以下の小径加工が難しくなってくる。そこで、ウエットプロセスによるエッチング加工が考えられるが、等方的な加工の進行によるオーバエッチングの観点で径の寸法制御が難しい。その点ではレーザ加工が有力な候補になるが、一方でレーザ加工は金属板に熱歪みを生じさせて版の平坦性を劣化させることがあり得る。平坦性の劣化した版をスクリーン印刷に用いた場合、ペーストバンプがその周りに滲みを伴って形成されるようになるなどして、配線板製品として大きな信頼性低下の要因になると考えられる。
本発明は、ペースト状の導電性組成物をバンプ形状に形成するためのスクリーン版およびその製造方法において、微細なペーストバンプを高精度に形成することができるスクリーン版およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様であるスクリーン版は、第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、該第1の主面から該第2の主面に貫通して該第1の主面における径として第1の径を有し該第2の主面における径として第2の径を有する第1の孔が複数穿設された、金属素材の第1の層部材と、第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、該第1の主面の側が前記第1の層部材の前記第2の主面に対向するように前記第1の層部材上に積層状に配置され、かつ、前記第1の孔に連通するように該第1の主面から該第2の主面に貫通して該第1の主面における径が前記第2の径よりも小でかつ該第2の主面における径よりも小である第2の孔が複数穿設された、樹脂素材の第2の層部材とを具備する。
すなわち、このスクリーン版は、金属素材の第1の層部材と、この上に積層状に配置された樹脂素材の第2の層部材との積層構造になっている。そして、第1の層部材に穿設された孔の第2の層部材側につながる径よりも、第2の層部材に穿設された孔の第1の層部材側につながる径が小さくなっている。加えて、第2の層部材に穿設された孔は、第1の層部材につながる側の径がより小さい。
このようにスクリーン版を構成することで、形成されるペーストバンプの形状を樹脂素材の第2の層部材に穿設された孔によって高精度に制御できる。第2の層部材が樹脂であるため、径が微小でも高精度に加工するのが容易であるためである。他方、第1の層部材は、スクリーン版としての機械的強度を確保する支持層として機能させるとともに、スクリーン印刷時に厚み方向のスペーサとして機能させる。このスペーサ層としての機能は、ペーストバンプの高さをより高く形成するうえで、スキージによってペーストバンプが擦り切られてしまう事態を避けるため必要である。
第1の層部材はペーストバンプを転写する場面では厚み方向のスペーサに過ぎないため、その穿設された孔の径は大きくてよい。このような大きな径の孔は、第2の層部材に穿設された孔を利用したエッチング加工で非常に容易に形成できると考えられるため、第1の層部材は金属素材が向いている。第1の層部材の加工が第2の層部材のそれとは異種の加工であっても、原理的にそれらの孔の位置ずれが生じない利点もある。
このスクリーン版によれば、その製造過程で、金属素材のドリル加工やレーザ加工を避けることができる一方、金属素材に対するエッチング加工が、形成されるペーストバンプの形状の精度に影響しないように行われる構成のため、微細なペーストバンプを高精度に形成できるスクリーン版になる。
また、本発明の別の態様であるスクリーン版の製造方法は、金属素材の第1の層部材と、該第1の層部材上に積層状に配置された、樹脂素材の第2の層部材とを有する積層板の前記第2の層部材に対向するようにレーザ光を照射して該第2の層部材を貫通し前記第1の層部材が底部に露出する穴を形成する工程と、前記第2の層部材に形成された前記穴を介して該穴の側から前記第1の層部材をエッチング加工し該第1の層部材に前記穴に連通する貫通孔を形成する工程とを具備する。
この製造方法は、上記のスクリーン版を製造するためのひとつの方法である。
本発明によれば、ペースト状の導電性組成物をバンプ形状に形成するためのスクリーン版およびその製造方法において、微細なペーストバンプを高精度に形成することができるスクリーン版およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施態様として、前記第2の層部材の前記第2の孔が、その縦断面形状として、等脚台形状の図形を有し、該等脚台形状の図形の下底相当部分が該第2の層部材の前記第2の主面内に含まれるように該等脚台形状の図形が位置し、前記第1の層部材の前記第1の孔が、その縦断面形状として、前記第2の層部材の前記第2の孔を介して該第1の層部材を前記第2の層部材の側からエッチングして形成された貫通部に由来する曲線含有形状の図形を有する、とすることができる。
第1、第2の孔におけるこのような縦断面形状は、第1の層部材と第2の層部材とが積層された加工前のスクリーン版素材に対して、例えば、第2の層部材の側からこの第2の層部材をレーザ加工し、そのあとレーザ加工で露出した第1の層部材に対して第2の層部材の側からエッチング加工を行うことで形成できる。これらのレーザ加工もエッチング加工も非常に加工がしやすい。
また、実施態様として、前記第1の層部材が、ステンレス、ニッケル、銅、鉄、真鍮、アルミニウムのうちのいずれかひとつの金属素材であり、前記第2の層部材が、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、4フッ化ポリエチレン樹脂、6フッ化ポリプロポレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂のうちのいずれかひとつの樹脂素材である、とすることができる。これらの素材は、実施可能な形態として使用され得る素材である。
また、実施態様として、前記第1の層部材の前記第1の孔の前記第1の径が、100μmから5mmであり、前記第2の層部材の前記第2の孔の前記第2の主面における径が、20μmから150μmである、とすることができる。これらは、形成されるべきペーストバンプの形状的な仕様から導かれた数値である。このような仕様に適合するようにスクリーン版として容易に対応できる。
また、実施態様として、前記第1の層部材が、20μmから200μmの厚みを有し、 前記第2の層部材が、5μmから100μmの厚みを有する、とすることができる。第1の層部材の厚みは、スペーサ層としての必要厚として規定され得る。第2の層部材の厚みは、印刷での耐久性などの観点から規定され得る。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態であるスクリーン版の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、このスクリーン版10は、ペーストを転写してペーストバンプを印刷、形成するためのピット(吐出孔;以下、代表してピット10aという)を複数有しており、ピット10aは、生産されるべき配線板としてのレイアウトに従った位置に配置されている。
図2は、図1中に示したA−Aa位置における矢視方向の断面であって図1に示したスクリーン版10におけるそのピットの縦断面を示す断面図である。図2に示すように、このスクリーン版10の大きな特徴点は、第1に、層部材101と層部材102との2層構造になっている点、第2に、そのピット10aがそれぞれの層部材101、102にあけた孔の連通により構成されている点である。後述するが、典型的には、図2における上側の主面がスキージの当接される面、下側の主面が被印刷物に当接される面である(しかしながら裏返しで使うこともできる)。
下側の層部材101は金属素材である一方、上側の層部材102は樹脂素材である。金属素材としては、ステンレス、ニッケル、銅、鉄、真鍮、アルミニウムなどを用いることができる。樹脂素材としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、4フッ化ポリエチレン樹脂、6フッ化ポリプロポレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などを用いることができる。ソルダーレジスト材料を用いることもできる。
樹脂素材である層部材102は、上記の素材のみの組成でもよいが、必要に応じて無機物や有機物のフィラーを含有させることができる。また、ガラスクロスやマット、有機合成繊維布やマット、紙などの補強材を含有させるようにしてもよい。これらにより、機械的、物理的な強度を増すことができる。
図2中に示す各部の寸法のうち特に重要なものは、上側の主面における径d4、ついで下側の主面における径d1、下側の層部材101の厚さt1である。これらから漏れた、上側の層部材102の下側の層部材101側の径d3は、径d4を設定することにより層部材102を加工した結果としてほぼ決まる。また、下側の層部材101の上側の層部材102側の径d2は、径d1を設定することにより層部材101を加工した結果としてほぼ決まる。製造の結果として、層部材101に穿設された孔の層部材102側につながる径d2よりも、層部材102に穿設された孔の層部材101側につながる径d3が小さくなっている。
上側の層部材102の厚さt2については、スキージの当たる耐久性を考慮してあまり薄くはできないが、目安として下側の層部材101の厚さt1よりも薄い程度の寸法であればよい。より具体的に、層部材101の厚さt1よりも薄くする条件のもと、例えば5μmから100μmとすることができる。
上側の主面における径d4は、形成すべきペーストバンプの径をほぼそのまま規定することになる重要性を有している。この実施形態では、小径のペーストバンプを形成するため、径d4として、具体的に150μm以下、例えば20μmまでを想定する。
下側の主面における径d1は、被印刷物上に転写されたペーストに対する干渉を避ける必要から、形成されるべきペーストバンプの径よりも余裕をもって大きくする必要がある。そこで、上記の径d4に応じて例えば、100μmから5mm程度とすることができる。
また、下側の層部材101の厚さt1は、スクリーン版10として必要な強度が得られる厚さでかつ形成すべきペーストバンプの高さに対して余裕のある厚さにする。形成すべきペーストバンプの高さは、配線板に適用する場合のその仕様として、底面径に比して比較できる程度以上の高さが求められる。そこで、そのような形成高さに対してもスキージが確実に当たらないようにする必要から、厚さt1は、典型的には上側の主面における径d4以上の寸法を想定するが、d4未満である場合を排除するものではない。より具体的に、例えば20μmから200μmとすることができる。
次に、図3は、図1に示したスクリーン版10についてその形成過程を断面で示す工程図である。まず、図3(a)に示すように、層部材101と層部材102とを有する積層板に対して、その層部材102に対向して例えば炭酸ガスレーザを照射することにより、層部材102を貫通し層部材101が底部に露出する穴を形成する。つまり、層部材102の側からレーザ加工を行い、レーザプロセスによる除去部LPを形成する。レーザ加工の後、必要に応じてデスミア処理を行ってもよい。
上記の積層板は、あらかじめ例えば次のようにして得ることができる。すなわち、例えば、(1)金属素材の層部材101上に、半硬化状態の熱硬化性の樹脂層(プリプレグフィルム)を積層しこれを熱硬化して両層を一体化する、(2)金属素材の層部材101にエポキシ接着フィルムを張り付ける、(3)熱硬化性樹脂および硬化剤を有機溶剤に希釈した溶液を金属素材の層部材101上に例えばダイコータを用いて塗工し乾燥、硬化させる、などである。積層板の層部材102は樹脂であるため、径が微小でも高精度に加工するのが容易である。つまり、金属素材に対してレーザ加工を行うのとは異なり、樹脂素材に対するレーザ加工はその強度が顕著に小さて済み加工後の熱歪みもほぼなく高精度である。
レーザ加工で形成される除去部LPは、その断面形状が等脚台形状の図形になる。つまり、図2においてd4>d3である。このように等脚台形状の断面形状になるのは、レーザスポットのエネルギー密度がその中心で周縁より高いことにより、レーザ光を照射する側の径がその底部の径よりも多少大きく形成されるというレーザ加工特有の事情による。ここで、等脚台形の下底とは平行辺のうちの長い側の辺である。
なお、レーザ加工による除去部LPは、これに代えて樹脂素材をウエットプロセスによって加工した除去部として設けることも一応は可能である。ウエットプロセスによる除去部は、上側の層部材102上に、形成されるべきピットの位置に相当する除去部を有するレジストマスクを形成し、これをマスクに上側の層部材102を所定の薬液でエッチングすることで形成できる。ウエットプロセスでも、フォトリソグラフィ技術を利用しているため、微小な径の穴を高精度に形成できる。ただし、横方向にも等方的なエッチングの進行が避けられないため、径d4の寸法に対して層部材102の厚さt2の寸法が相対的に大きい場合は向いていないと考えられる。
除去部LPを形成したら次に、図3(b)に示すように、層部材102に形成された除去部LPを介して層部材101をエッチング加工し、層部材101に除去部LPに連通する貫通孔(ウエットプロセスによる除去部WP)を形成する。すなわち、このウエットプロセスでは、樹脂素材である上側の層部材102がマスクとして機能して、金属素材である下側の層部材101が等方的な進行でエッチングされる。このとき、下側の層部材101の加工が上側の層部材102のそれとは異種の加工であっても、原理的にそれらの孔の位置ずれが生じないという大きな利点が得られる。
加えて、このようなウエットプロセスは非常に容易な工程であり、その加工時間を調整することで下側の主面における径d1を微調整できる。なお、図3(b)中に示すレジストマスクRMは、下側の主面の側に直接エッチング液が接触するのを防止するためウエットプロセスに先立ち下側の主面上全面に形成したものである。除去部WPを形成したら、レジストマスクRMを除去する。以上により、図2に示したような断面図形を有するピット10aを形成することができる。
このピット10aは、以上説明した形成工程により、その縦断面形状として、スクリーン版10の上側の主面の側が当脚台形状の図形を有し、スクリーン版10の下側の主面の側が、層部材102に形成された穴を介し層部材101を層部材102の側からエッチングして形成された貫通部に由来する曲線含有形状の図形を有することになる。そして、等脚台形状の図形の下底相当部分が層部材102の上側の主面内に含まれるように等脚台形状の図形が位置することになる。
このスクリーン版10によれば、以下の作用、効果を奏する。すなわち、スクリーン版10は、金属素材の層部材101と、この上に積層状に配置された樹脂素材の層部材102との積層構造になっている。そして、層部材101に穿設された孔の層部材102側につながる径d2よりも、層部材102に穿設された孔の層部材101側につながる径d3が小さくなっている。加えて、層部材102に穿設された孔は、典型的に、層部材101につながる側の径d3がより小さく径d4がより大きい。
このようにスクリーン版10を構成することで、形成されるペーストバンプの形状を樹脂素材の層部材102に穿設された孔によって高精度に制御できる。層部材102が樹脂であるため、径が微小でも高精度に加工するのが容易であるためである。他方、層部材101は、スクリーン版10に機械的強度を与えるとともに、後述するように、スクリーン印刷時に厚み方向のスペーサとして機能させる。このスペーサ層としての機能は、ペーストバンプの高さをより高く形成するうえで、スキージによってペーストバンプが擦り切られてしまう事態を避けるため必要である。
層部材101はペーストバンプを転写する場面では厚み方向のスペーサに過ぎないため、その穿設された孔の径d1、d2は大きくてよい。このような大きな径の孔は、層部材102に穿設された孔を利用したエッチング加工で非常に容易に形成できる。層部材101が金属素材であるためである。層部材101の加工が層部材102のそれとは異種の加工であっても、原理的にそれらの孔の位置ずれが生じない利点もある。
このスクリーン版10によれば、その製造過程で、金属素材のドリル加工やレーザ加工を避けることができる一方、金属素材に対するエッチング加工が、形成されるペーストバンプの形状の精度に影響しないように行われる構成のため、微細なペーストバンプを高精度に形成できるスクリーン版になる。
次に、図4は、図1に示したスクリーン版10を用いてスクリーン印刷を行う態様図である。このスクリーン印刷は、スクリーン版10を用い、その穿設された複数のピット10a、10b、…(以下、まとめて「ピット10a等」という)を介して導電性組成物のペースト40を被印刷物50上に転写してペーストバンプ60を形成しようとするものである。スクリーン版10は、スキージ30により押し下げられていない状態では、スクリーン版張持部21、22で張持されていることにより、被印刷物50から例えば1mmから3mm程度離間している。
ピット10a等は、言うまでもなくペースト40をスクリーン版10の上側の主面上から下側の主面の側に向けて通過させさらに被印刷物50上に吐出、付着させるための貫通孔である。
図4に示すように、スクリーン版10は、その下側の主面の側が被印刷物50に対向するように配置され、そしてスクリーン版10の上側の主面上にはペースト40が投入される。続いて、ペースト40が投入されたスクリーン版10の下側の主面の側が線状に被印刷物50に接するように、スクリーン版10の上側の主面の側にスキージ30が当接される。さらに、スクリーン版10の被印刷物50と接する線状の位置が進行するように、スクリーン版10の上側の主面に対するスキージ30の当接位置を移動させる(図示で右から左方向)。
以上の工程により、被印刷物50上には、ペースト40の転写によりペーストバンプ60が先細の形状で形成される。このようなスクリーン印刷では、形成されるペーストバンプ60の径(底面径、以下同)は、ピット10a等の上側の主面における径に従って小径化されている。これは、すでに説明したように、下側の主面における径は、被印刷物50上に転写されたペーストに対する干渉を避ける必要から、形成されるべきペーストバンプ60の径よりも余裕をもって大きくされているためである。
また、印刷の実行時にペーストバンプ60の頭部がスキージ30に擦り切られてしまうような状態は生じない。ペーストバンプ60の径に比してその高さを高く形成することは、部品を高密度に実装するための配線板に適用する層間接続導体としての要求事項である。このスクリーン印刷では、スクリーン版10の下側の層部材101がスペーサとして被印刷物50上に転写されたペーストに対する干渉を避けさせる機能を有しており、これにより、小径でより高さの高いペーストバンプ60を形成することができる。
以上のスクリーン印刷工程を、配線板の製造工程の一部であるという点を加味して補足する。図4において導電性組成物のペースト40は、例えば熱硬化性のペースト状樹脂の中に微細な金属粒(銀、金、銅、はんだなど)を分散させ、加えて揮発性の溶剤を混合させて調製したものである。これ自体は周知である。
図4において被印刷物50は、例えば金属箔(銅箔)またはパターン形成された配線を具有している絶縁板であり、ペーストバンプ60の形成時には、不図示の印刷台の上にセットされる。後者の、パターン形成された配線を具有している絶縁板の場合には、電気的接続のため配線パターン上にペーストバンプ60が形成される。また、後者の場合、絶縁板自体がすでに多層配線基板としての必要部分構成(複数の絶縁層や内層配線層のほか層間接続導体など)を有している場合もあり得る。
所望の高さのペーストバンプ60が被印刷物50上に形成されたあとは、これを例えば百数十℃で乾燥させ塑性変形可能な程度に硬化する。乾燥後の被印刷物50に対しては、半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)が積層プレスされ、このプリプレグに乾燥後ペーストバンプが貫通される。
プリプレグに乾燥後ペーストバンプが貫通されたら、そのペーストバンプの頭部に対向して、例えば金属箔(銅箔)またはパターン形成された配線を具有している絶縁板の配線の側が向けられて積層配置される。そして、全体を加熱かつプレスしてプリプレグを硬化させ一体化する。このとき、乾燥後ペーストバンプの頭部が塑性変形しその対向された導体部位と電気的な接続状態を確立する。これにより層間接続導体としての構造ができあがる。
次に、図5は、図1に示したスクリーン版10を用いてペーストバンプが形成される過程を断面で描いた説明図である。図5において、すでに説明した図中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。それらの構成自体の説明は省略する。
図5(a)は、図示右方向からスキージ30が進行してきて同時にスクリーン版10を押し下げることにより、スクリーン版10と被印刷物50とが接せられた状態を示している。この状態においてスキージ30下のピットにはペースト40が図示するように貫入される。すなわち、下側の層部材101でのピット径は上側の層部材102でのピット径より有意に大きいため、上側の層部材102でのピット径に従ったペースト40として被印刷物50上に降りてくる。
図5(b)は、スキージ30がさらに左方向に進行することにより、スクリーン版10が被印刷物50から離間し始めている状態を示している。この状態において、スクリーン版10上のペースト40は、被印刷物50に付着した部分から千切られて離脱する。そして、図5(c)に示すように、被印刷物50上にペーストバンプ60がペースト40からの離脱物として形成される。
この過程を通じて下側の層部材101は、スクリーン印刷時に厚み方向のスペーサとして機能しており、これにより、ペーストバンプ60の高さをより高く形成することに寄与している。すなわち、ペーストバンプ60の形成高さをより高くするため複数回の重ね印刷を行った場合であっても、スキージ30によってペーストバンプ60の頭部が擦り切られてしまう事態が避けられている。このような作用により、ペーストバンプ60として形成高さを例えば100μm程度にすることは容易である。
次に、図6は、図5に示したものとは異なる、図1に示したスクリーン版10を用いてペーストバンプが形成される過程を断面で描いた説明図であり、特にスクリーン版10を裏返して使用した態様である。図6において、すでに説明した図中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。それらの構成自体の説明は省略する。
図6(a)は、図示右方向からスキージ30が進行してきて同時にスクリーン版10を押し下げることにより、スクリーン版10と被印刷物50とが接せられた状態を示している。この状態においてスキージ30下のピットにはペースト40が図示するように充填される。すなわち、この場合、ピット内に隙間なくペースト40が充填される。下側の層部材102でのピット径が上側の層部材101でのピット径より有意に小さいためである。
図6(b)は、スキージ30がさらに左方向に進行することにより、スクリーン版10が被印刷物50から離間し始めている状態を示している。この状態において、スクリーン版10上のペースト40は、被印刷物50に付着した部分から千切られて離脱する。そして、被印刷物50上にペーストバンプ60がペースト40からの離脱物として形成される。
このスクリーン印刷は、図5に示した方法に比べると、1回の印刷あたりのペーストバンプの形成高さを高くすることはできない。上側の層部材101でのピットの側壁面上にもペースト40が位置することにより、ペースト40の通過時にその側壁面からの干渉を受けるためである。しかしながら、上側の層部材101でのピット径は、より強い干渉を起こす下側の層部材102でのピット径よりは有意に大きな径を有しているので、目詰まりを起こすほどの作用までには至らない。
ペーストバンプ60は、その形成高さをより高くするため複数回の重ね印刷により形成され得る点をすでに説明したが、このためには、1回の印刷ごとに乾燥工程(便宜上、仮乾燥工程という)を行って、次回のペースト40の印刷に備えることができる。このようにすれば、図6(c)に示すように、印刷されたペースト40が崩れることなく積み重なって、所望の高さのペーストバンプ60を形成できる。
このとき、複数回の重ね印刷を行っても、ペーストバンプ60の頭部がスキージ30に擦り切られてしまうような状態はやはり生じない。この意味で層部材101は、図5に示した印刷方法での説明とは多少異なる意味ではあるがやはりスペーサとして機能している。所望の高さのペーストバンプ60が被印刷物50上に形成されたあとは、これを例えば百数十℃で乾燥させ(これを便宜上、本乾燥工程という)塑性変形可能な程度に硬化する。
このスクリーン印刷方法では、金属素材にレーザ加工を行わず、その結果、金属素材をレーザ加工した面が被印刷物50に当たらないことに起因して次のような効果もある。すなわち、金属素材をレーザ加工すると、熱歪みを生じさせて版の平坦性を劣化させる。平坦性の劣化した版を被印刷物50に向けてスクリーン印刷に用いた場合、形成されるペーストバンプがその周りに滲みを伴って形成されるようになる。これは、配線板製品として大きな信頼性低下の要因になる。
しかしながら、図6に示したスクリーン印刷においては、このような信頼性の劣化は大きく改善できる。ペーストバンプ60を微細化するほどにこの点の効果は非常に大きく、例えば、金属素材をレーザ加工した面が被印刷物50に当たるスクリーン印刷に比べて、図6に示したスクリーン印刷では、滲みの発生確率を1/60程度に低下できることが確かめられた。
10…スクリーン版、10a,10b,10c,10d,10e…ピット(吐出孔)、101…層部材(第1の層部材)、102…層部材(第2の層部材)、21、22…スクリーン版張持部、30…スキージ、40…ペースト(導電性組成物)、50…被印刷物、60…ペーストバンプ、LP…レーザプロセスによる除去部、WP…ウエットプロセスによる除去部、RM…レジストマスク。
Claims (7)
- 第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、該第1の主面から該第2の主面に貫通して該第1の主面における径として第1の径を有し該第2の主面における径として第2の径を有する第1の孔が複数穿設された、金属素材の第1の層部材と、
第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、該第1の主面の側が前記第1の層部材の前記第2の主面に対向するように前記第1の層部材上に積層状に配置され、かつ、前記第1の孔に連通するように該第1の主面から該第2の主面に貫通して該第1の主面における径が前記第2の径よりも小でかつ該第2の主面における径よりも小である第2の孔が複数穿設された、樹脂素材の第2の層部材と
を具備するスクリーン版。 - 前記第2の層部材の前記第2の孔が、その縦断面形状として、等脚台形状の図形を有し、該等脚台形状の図形の下底相当部分が該第2の層部材の前記第2の主面内に含まれるように該等脚台形状の図形が位置し、
前記第1の層部材の前記第1の孔が、その縦断面形状として、前記第2の層部材の前記第2の孔を介して該第1の層部材を前記第2の層部材の側からエッチングして形成された貫通部に由来する曲線含有形状の図形を有する
請求項1記載のスクリーン版。 - 前記第1の層部材が、ステンレス、ニッケル、銅、鉄、真鍮、アルミニウムのうちのいずれかひとつの金属素材であり、
前記第2の層部材が、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、4フッ化ポリエチレン樹脂、6フッ化ポリプロポレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂のうちのいずれかひとつの樹脂素材である
請求項1記載のスクリーン版。 - 前記第2の層部材が、無機物もしくは有機物のフィラーを含有しているか、またはガラスクロス、ガラスマット、有機合成繊維布、有機合成繊維マット、紙のうちのいずれかの補強材を含有している請求項1記載のスクリーン版。
- 前記第1の層部材の前記第1の孔の前記第1の径が、100μmから5mmであり、
前記第2の層部材の前記第2の孔の前記第2の主面における径が、20μmから150μmである
請求項1記載のスクリーン版。 - 前記第1の層部材が、20μmから200μmの厚みを有し、
前記第2の層部材が、5μmから100μmの厚みを有する
請求項1記載のスクリーン版。 - 金属素材の第1の層部材と、該第1の層部材上に積層状に配置された、樹脂素材の第2の層部材とを有する積層板の前記第2の層部材に対向するようにレーザ光を照射して該第2の層部材を貫通し前記第1の層部材が底部に露出する穴を形成する工程と、
前記第2の層部材に形成された前記穴を介して該穴の側から前記第1の層部材をエッチング加工し該第1の層部材に前記穴に連通する貫通孔を形成する工程と
を具備するスクリーン版の製造方法。
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JP2012265597A JP2014108617A (ja) | 2012-12-04 | 2012-12-04 | スクリーン版、スクリーン版の製造方法 |
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2012
- 2012-12-04 JP JP2012265597A patent/JP2014108617A/ja active Pending
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WO2019176933A1 (ja) | 2018-03-14 | 2019-09-19 | 株式会社Nbcメッシュテック | メッシュ部材、篩及びスクリーン版 |
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