JP2014108436A - プレス機械のダイオープン機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベッド13と、そのベッドに設けられ上方に延びるコラム14と、そのコラムの上方に設けられ、スライド17を連結しているクラウン15と、それらベッド、コラムおよびクラウンを上下方向に締め付けるタイロッド16とを備えたプレス機械に用いるダイオープン機構1であって、前記コラムに対してクラウンを上方に移動させる移動装置2と、前記タイロッドに締付力を付与したり、付与した締付力を解除したりする締付装置3とを備えており、移動装置が前記コラムとクラウンの間に設けられている、プレス機械のダイオープン機構。
【選択図】図1
Description
また前記締付装置が、クラウンを下方に移動させることができるものが好ましい(請求項3)。
さらに前記締付装置が、クラウンと上部タイロッドナットの間に設けられ、油圧により駆動するものであるのが好ましい(請求項4)。
また過負荷等により下死点で運転操作ができなくなった場合(スティック状態)には、締付装置による締付力を弱めたり、解除することにより金型の上下方向の圧縮力を緩和することができるので、離脱操作(アンスティッカ)の機能を兼ねることができる。
図1に示すプレス機械11はフレーム12を備えている。そのフレーム12は、ベッド13と、そのベッド13から立ち上がるコラム14と、そのコラム14の上端に設けられ、スライド17が連結されているクラウン15と、前記ベッド13、コラム14およびクラウン15に予圧をかけて(締め付け力を付して)、それらを一体に締結するタイロッド16とを備えている。
前記ダイオープン機構1は、コラム14に対してクラウン15を上方に移動させ、上型と下型の間隔を開いたり、その間隔を大きくするものである。
図1に示すプレス機械11は、高速打ち抜きの用のプレス機械の他、スライドストロークの長いタイプのプレス機械でもよい。本発明のダイオープン機構1に用いられるプレス機械としては、高速打ち抜きを行うもので、スライドストロークが短いもの、すなわち金型の間隔を開いてメンテナンスがしにくいものが好ましい。
図1のプレス機械11では、クラウン15は上昇していない。この状態を通常状態(図2aの符号S1参照)とする。なお正面図によるオープン状態の図示は省略している。コラム14に対しクラウン15が上昇した状態であるオープン状態については、図2bに記載している。
13の上面中央付近にはボルスタ18が設けられ、そのボルスタ18の上に下型19が取り付けられている。
そのクラウン15にはクランク軸20およびクラッチ、ブレーキなどのプレス駆動機構21が設けられている。前記クランク軸20にコンロッド22が回転自在に設けられ、そのコンロッド22にサスペンション23を介してスライド17が吊られている。そのスライド17の上下の移動はコラム14によってガイドされる。そのスライド17の下面に上型24が取り付けられている。
下部タイロッドナット16fは、図示しないボルトによりベッド13に固定されている。これにより締付装置が締付力を解除したときでもタイロッド16の位置を安定させることができる。
このダイオープン機構1は図1の4本のコラム14の上方付近を足場として、クラウン15を前後左右の四隅で支持している。
前記移動装置2の移動の原理は、従来からある単動の油圧シリンダのそれとほぼ同じである。具体的にその移動装置2は、前記コラム14の上端付近に設けられ、内部にタイロッド16が貫通する筒状の位置決めリング4と、その位置決めリング4の外周に沿って摺動自在で、クラウン15を上向きに加圧する筒状のピストン5と、そのピストン5を上下動させるための油圧回路6とを主要な構成として備えている。前記位置決めリング4はピストン5を昇降させるための油圧室2a(図4b参照)を形成している。その油圧室2aについては後述する。
また1つの油圧回路6により、4か所のピストン5を上向きに加圧したり、加圧力を解
除したりするための油圧が供給されている。
図4aに示すように、前記タイロッド16の筒部4a内に配置されている部位は加工精度をあげるためわずかに大径(大径部16d)にされている。その大径部16dの外周と、筒部4aの内周面とが嵌合している。
また前記コラムの貫通孔14aの内部には半径方向の内向きに上向きの段部14bが形成されており、その段部14bに位置決めリング4の鍔部4bの下面が載置され、筒部4aの上端付近はコラムの貫通孔14aから突出している。
さらに前記クラウンの貫通孔15aの内部には半径方向の内向きに下向きの段部15bが形成され、その段部15bにより貫通孔15aの下方の部位は大径にされている。その貫通孔15aの大径の部位に前記位置決めリングの筒部4aの先端付近が挿入されている。その挿入されている筒部4aの外周面と大径の貫通孔15aの内周面と摺動自在であり、クラウン15の昇降をガイドしている。また前記筒部4aの先端面とクラウンの段部15bの対向する面とは接していない。
一方、図4bに示すオープン状態S2では、油は前記油圧室2aに油孔2bから油が供給され、これによりクラウンを上方へ付勢する力が締付装置3のタイロッド締付力を上回っている。このためピストン5の下面が、位置決めリング4の鍔部4bの上面から上方に移動している(符号W参照)。そしてクラウン15はコラム14の上面から符号Wの分だけ上昇している。その昇降のストロークの程度は、一般的には50〜100mmである。しかし、プレス機械に金型を取り付けたままで金型の保守・点検が容易に行えるように、金型の構造やプレス機械のスライドストロークを考慮した結果、その昇降のストロークの程度が50mm未満の場合も、100mmを超える場合もある。
前記締付装置3は、タイロッド16に締付力を付与したり、その付与した締付力を弱めたり(解除を含む)するものである。具体的に前記締付装置3は、タイロッド16のクラウン15を貫通して上方に突出する部位を内側に貫通させ、かつ、クラウン15の上面に設けられる筒状のタイロッドシリンダ7と、そのタイロッドシリンダ7とタイロッド16
との間に配置される筒状のピストン8とを主要な構成として備えている。そのピストン8の上方に上部タイロッドナット16aが設けられている。
前記クラウンの貫通孔15aは、上面近傍で上向きの段部15cを介して拡径されており、そこに前記環状突部7cが差し込まれタイロッドシリンダ7が位置決めされている。
また前記電磁弁6fを閉じた状態で後述する定量ポンプ6bから油圧室3aへ油を供給することで前記タイロッド16に締め付け力を付与してクラウン15を下降させることができる。
一方、図5bに示すオープン状態S2では、移動装置2によるクラウン15の上昇に伴って、そのストロークW分だけ油圧室3aの容積は減少し、その減少した容積分の油が前記油圧室3aから、電磁弁6f及びリリーフバルブ6kを介して排出されている。このためタイロッドシリンダ7の基部7aの上面が、ピストン基部8aの下面に接近しており、リリーフバルブ6kの設定圧によって維持される油圧室3a内の油圧により前記遠ざける力が生じている。リリーフバルブ6kの設定圧によって維持される油圧室3a内の油圧は、通常状態S1における油圧室3a内の油圧よりも小さく、前記締め付け力は通常状態S
1のときのそれよりも小さい。このとき上部タイロッドナット16aは、クラウン15に対して下方に、その止め部16cが前記タイロッドシリンダ7の筒部7bの先端にぶつかるまで移動でき、止め部16cがストッパとして作用している。このとき、ピストン8の下面とタイロッドシリンダ7の基部7aの上面とは接していない。
前記タイロッド16に加わる全体の締付力は、前記油圧室3aの油圧力により発生する、前記遠ざける力である。
前記油圧回路6は、供給回路と、戻り回路とからなる。供給回路は、油が貯油されたタンク6aと、そのタンク6aから並列に各油圧室2aへ油を送り出す4つの定量ポンプ6bとを備えており、前記タンク6aから油を油圧室2aに供給する回路である。各定量ポンプ6bと各油圧室2aとの間には逆止弁6cが設けられている。また各油圧室2aの近傍には、油圧室2aの油圧を計測するための油圧センサ6dが取り付けられている。
一方戻り回路は、各油圧室2aとその油圧室2aに対応する前記逆止弁6cの間から延びており、油圧室2aの油を再び前記タンク6aに戻す回路である。その戻り回路は、流量調整弁6eを通った後に1本にまとめられ、電磁弁6f及びリリーフバルブ6kを介してタンク6aに連通している。各定量ポンプ6bを停止すると共に電磁弁6fを開き、リリーフバルブ6kを介して油圧室2aから油を排出することにより、油圧室2aの圧力がリリーフバルブ6kの設定圧力以下にならない様にしている。リリーフバルブ6kの設定圧は、油圧室2aの油圧力でクラウンの重量を保持できるような圧力に調整してある。
オープン状態S2から通常状態S1への移行は、締付装置3のタイロッド締付力がリリーフバルブ6kの設定圧によるクラウンの保持力を上回ることにより、クラウンを下降させる。従ってクラウンが急激にコラム上に落下することを防止できる。
ここで図中の符号6gは排油弁、符号6hはフィルタを示している。前記逆止弁6c、排油弁6gおよびフィルタ6hは従来公知のものである。
また前記流量調整弁6eは従来公知のものであり、各流量調整弁6eは同じ流量に調整されている。
さらに前記電磁弁6fの他に、手動あるいはモータ等の駆動装置により作動する機械式の切換え弁を設けてもよい。
一方戻り回路において、電磁弁6fを開くと、前記油圧室2a内の油は前記逆止弁6cにより定量ポンプ6b側には流れず、流量調整弁6eを通って、前記電磁弁6f及びリリーフバルブ6k側に流れる。4つの流量調整弁6eの流量は等しく調整されているので、各油圧室2aから均等に油をタンク6aへ戻すことができる。
まず締付装置3の油圧回路6の電磁弁6fを開く(図6参照)。次いで、前記移動装置2の油圧回路6の定量ポンプ6b(図6参照)を作動させる。そうすると、移動装置2の各油圧室2aに油が供給され、ピストン5がクラウン15を上昇させる。そのクラウン15が上方に移動する分だけ、締付装置3のタイロッドシリンダ7は上方に移動する。これ
により各締付装置3の油圧室3aから、油が流量調整弁6eを通って、前記電磁弁6f及びリリーフバルブ6k側に流れ、タンク6a(図6参照)へ戻される。このとき油圧室3aの油圧力はリリーフバルブ6kの設定圧以下には低下しないので、オープン状態S2においてもタイロッドの締付力が消失することはない。
オープン状態S2におけるタイロッド締付力が、移動装置2によるクラウンの上昇を妨げない大きさとなるようにリリーフバルブ6kの設定圧を決定する。
オープン状態S2においてもタイロッドの一定の締付力を維持するので、通常状態S1からオープン状態S2へ移行、更に再び通常状態S1に戻す過程でのクラウン15、コラム14、タイロッド16の相互の水平方向のずれや不安定な状態が起こらない。従って通常状態S1に戻したときに、クラウン15、コラム14、タイロッド16の相互の位置関係を高い精度で再現でき、プレス機械の精度を低下させることがない。
まず移動装置2の油圧回路6の電磁弁6fを開く(図6参照)。次いで、前記締付装置3の定量ポンプ6bを作動させる。そうすると、締付装置3の各油圧室3aに油が供給され、タイロッドシリンダ7が下方に移動し、クラウン15が下降する。一方、そのクラウン15が下降すると、そのクラウン15の下面側で当接しているピストン5が下方に押動される。これにより移動装置2の各油圧室2aから油がタンク6aへ戻される。すなわち締付装置3のタイロッドシリンダ7が下方に移動する分だけ、移動装置2のピストン5が下方に移動する。
例えば移動装置2がスプリングの場合は、スプリングの反発力によりクラウン15を上方に移動させることができるが、スプリング自体は自身を圧縮させる駆動源を有していない。このため前記上昇させたクラウン15を下降させるには、自身の重力の作用に加え、前記締付装置3の供給回路の定量ポンプ6bから各油圧室3aに等量の油を供給し、タイロッドシリンダ7を下方に移動させることにより行う。
また本実施形態では、移動装置2および締付装置3のそれぞれの油圧回路6に、供給用の定量ポンプ6bと戻り用の流量調整弁6eを備えている。しかし、移動装置2および締付装置3の供給回路の定量ポンプ6bで流量を調整すれば、移動装置2および締付装置3の油圧回路6の流量調整弁6eを省略でき、戻り時の油量を調整しないでもよい。
逆に、移動装置2および締付装置3のそれぞれの油圧回路6に、定量ポンプ6bを用い
ないで通常のポンプを用い、戻り時の油量を流量調整弁6eで調整することにより、供給時の油量を間接的に調整してもよい。
前記油圧回路9の供給回路は、油が貯油されたタンク6aから1つの定量ポンプ6bにより4つの油圧室2aに油を供給している。具体的には、定量ポンプ6bから延びる配管は逆止弁6cを介して途中で分流弁6iによって2つに分岐され、それら分岐された各配管を再度分流弁6iによって2つに分岐することにより、全体として合計4つに分岐されている。これら分流弁6iは2つに分岐する配管に等しい量の油を分配供給する。
一方油圧室2aから油が排出されるときは、前記分流弁は集流弁6iとして機能し、2つに分岐された配管から等量の油を分岐前の配管に戻す。タンク6aへの戻り回路は、逆止弁6cと最初の分岐点(分流弁6i)の間から延びており、油圧室2aの油を電磁弁6f及びリリーフバルブ6kを介して再び前記タンク6aに戻す回路である。
この油圧回路9を用いると、1つの定量ポンプ6bですむし、配管をまとめることができる。
また過負荷等により下死点で運転操作ができなくなった場合に、スライド17に上型24を固定した状態で上下の金型24、19を開くことができるので、離脱操作(アンスティッカ)の機能を兼ねることができる。
2 移動装置
2a 油圧室
2b 油孔
3 締付装置
3a 油圧室
3b 油孔
4 位置決めリング
4a 筒部
4b 鍔部
5 ピストン
5a スクレーバ
5b ピストンシール
5c ウェアリング
6 油圧回路
6a タンク
6b 定量ポンプ
6c 逆止弁
6d 油圧センサ
6e 流量調整弁
6f 電磁弁
6g 排油弁
6h フィルタ
6i 分流弁、集流弁
6k リリーフバルブ
7 タイロッドシリンダ
7a 基部
7b 筒部
7c 環状突部
8 ピストン
8a ピストン基部
8b 案内部
8c スクレーバ
8d ピストンシール
8e ウェアリング
8f ピストンシール
9 油圧回路
11 プレス機械
12 フレーム
13 ベッド
13a 貫通孔
14 コラム
14a コラムの貫通孔
14b 段部
15 クラウン
15a クラウンの貫通孔
15b 段部
15c 段部
16 タイロッド
16a 上部タイロッドナット
16b 円柱状部
16c 止め部
16d 大径部
16e タイロッドのオネジ
16f 下部タイロッドナット
17 スライド
18 ボルスタ
19 下型
20 クランク軸
21 プレス駆動機構
22 コンロッド
23 サスペンション
24 上型
S1 通常状態
S2 オープン状態
W 距離
Claims (4)
- ベッドと、そのベッドに設けられ上方に延びるコラムと、そのコラムの上方に設けられ、スライドを連結しているクラウンと、それらベッド、コラムおよびクラウンを上下方向に締め付けるタイロッドとを備えたプレス機械に用いるダイオープン機構であって、
前記コラムに対してクラウンを上方に移動させる移動装置と、
前記タイロッドに締付力を付与したり、付与した締付力を弱めたりする締付装置とを備えており、
前記移動装置が前記コラムとクラウンの間に設けられている、プレス機械のダイオープン機構。 - 前記移動装置が、油圧により駆動するものである請求項1記載のプレス機械のダイオープン機構。
- 前記締付装置が、クラウンを下方に移動させることができる請求項1または2記載のプレス機械のダイオープン機構。
- 前記締付装置が、クラウンと上部タイロッドナットの間に設けられ、油圧により駆動するものである請求項1から3のいずれかに記載のプレス機械のダイオープン機構。
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