JP2014106123A - 移動式モニタ - Google Patents
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Abstract
【課題】海産物、農産物等の対象物に含まれる放射性物質の濃度を簡便に測定できるようにする。
【解決手段】台車型モニタ10は台車14を有し、その下部にはコンテナ収容空間13が形成されている。コンテナ収容空間13内には対象物を収容したコンテナ12が収容される。そのコンテナ12は床面11上に置かれているものである。コンテナ収容空間13の両側には案内板30,32が設けられている。コンテナ収容空間13内に収容されたコンテナ12内の対象物からの放射線が検出部16で検出される。台車14は手押し車のような形態を有しているが、それを電動カーに代えてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】台車型モニタ10は台車14を有し、その下部にはコンテナ収容空間13が形成されている。コンテナ収容空間13内には対象物を収容したコンテナ12が収容される。そのコンテナ12は床面11上に置かれているものである。コンテナ収容空間13の両側には案内板30,32が設けられている。コンテナ収容空間13内に収容されたコンテナ12内の対象物からの放射線が検出部16で検出される。台車14は手押し車のような形態を有しているが、それを電動カーに代えてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は移動式モニタに関し、特に海産物、農産物等の対象物に含まれる放射性物質の濃度を測定する移動式モニタに関する。
食品の安全性を確認するために、食品に含まれる放射性物質の濃度を測定することが求められている。そのような放射線測定機器として食品モニタあるいはフードモニタがある。そのような食品モニタは一般に放射線遮蔽部材としての鉛で完全に囲まれた測定室内に食品を収容し、その収容状態で食品から出る放射線を検出することにより、食品中の放射性物質の濃度を演算するものである。
しかし、そのような食品モニタでは、海産物、農産物等をそのまま測定室に入れることが難しい。また、漁港の水揚げ施設、農産物の集配施設等において、測定すべき対象物がコンテナに入れられた状態のまま当該対象物に対して放射線測定を行うことはできない。近時、全産品に対する放射能測定が望まれており、生産過程や流通過程で、迅速で格別な負担なく、それらの産品に対する放射能一次スクリーニングを実施することが望まれている。
特許文献1にはフロアモニタが開示されている。これは床面上の放射性汚染を調査、測定するものであり、産品の放射性汚染を調査、測定するものではない。そのフロアモニタは手押し車のような形態を有しており、そこに設けられた放射線検出器はフロア面に近接している。特許文献2には走行式放射線モニタが開示されている。そのモニタは自動車のような形態を有しており、車体下部にはフロア面上の放射性汚染を測定するプローブが設けられている。それを利用して放射線汚染を測定する場合にはプローブが下降し、フロア面に近接した状態が形成される。この走行式放射線モニタも産品の放射性汚染を調査、測定するものではない。なお、従来の食品モニタは、移動機能を具備しておらず、固定設置されるものである。
漁港において漁獲物に対して放射能測定を行う場合等、産品の生産過程、流通過程で産品に対して放射能測定を行う場合においては、それを迅速かつ簡便に行いたいという要請があるが、そのような要請に応えるモニタは実現されていない。トレイや段ボール箱等に産品が入れられている場合、その総重量は例えば数十kgにも及ぶ。よって、それを持ち上げて測定装置へセットし、測定終了後にそれを元の位置に戻すのにはかなりの労力が必要となる。コンテナ内に産品が入れられている状態で、できる限りその場所でそのまま産品に対する放射能測定を実現することが望まれる。このような要請は、産品に限られず他の物品(肥料、土壌、がれき、工具類等)に対する放射性汚染の測定においても要請されるものである。
本発明の目的は、対象物に対して簡便に放射線測定を行えるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、床面上におかれたコンテナを高い位置まで持ち上げることなしにコンテナ内の対象物に対して放射線測定を行えるようにすることにある。
本発明は、コンテナ内の海産物、農産物等の対象物に対して放射線測定を行う移動式モニタにおいて、下部にコンテナ収容空間が形成され、前記コンテナが置かれた床面上を走行可能な台車と、前記台車における前記コンテナ収容空間の上側に設けられ、前記コンテナ収容空間に前記コンテナが収容された状態で前記コンテナ内の対象物からの放射線を検出する検出ユニットと、を含むことを特徴とするものである。
上記構成によれば、対象物が入れられたコンテナが床面(コンクリート製のフロア面、地面、その他の面)上に置かれており、そのような状態において対象物に対する放射線測定を行える。すなわち、台車の下部にはコンテナ収容空間が形成されており、台車自身を移動させて、そのコンテナ収容空間内にコンテナを収容し、その状態においてコンテナ内の対象物から出た放射線がコンテナ収容空間の上側に設けられた検出ユニットで検出される。その場合、基本的にコンテナを移動させる必要がない。もっとも、複数のコンテナが左右に近接しており、台車を対象コンテナに近付けることができない場合や、外部放射線を低減させるために対象コンテナを他のコンテナから遠ざける必要がある場合等においては個々のコンテナの位置を変えるようにしてもよい。その場合でも、コンテナを高く持ち上げる必要はなく、コンテナを水平方向に移動させるだけでよいから、その作業に際して格別な労力は不要となる。コンテナは、床面上に直接的に置かれ、あるいは、床面上にすのこ状のパレット(コンテナ台)を介して間接的に置かれる。床面上に大型のパレットが設置されるような場合、台車が床面上をパレットを介して走行してもよい。
コンテナの高さに合わせて、コンテナ収容空間の高さ(例えば底板下面の高さ)及び検出ユニットの高さを定めるのが望ましい。コンテナ収容空間の高さを可変できるように構成するのが特に望ましい。またコンテナ収容空間の左右幅を可変できるように構成してもよい。コンテナ収容空間の前側をコンテナ受入開口として開放しておけば、コンテナの後側から台車を近付けて、コンテナをコンテナ収容空間に自然に取り込める。測定終了後に、コンテナ収容空間の前側からコンテナが排出されるように台車を後退させてもよいし、コンテナ収容空間の後側からコンテナが排出されるように台車を前進させてもよい。なお、コンテナ収容空間の左右にコンテナ出入口を設けることも可能である。但し、バックグランド低減のため、あるいは、測定精度を高めるため、できる限りコンテナ収容空間の周囲が遮蔽部材で覆われるように構成するのが望ましい。検査場所においてフロア面を鉛板で覆い、その上にコンテナを設置することも可能である。コンテナ自身を放射線遮蔽部材で構成してもよい。
台車は、手押し車の態様で構成されるのが望ましいが、自動走行が可能なものとして構成されてもよい。台車を4輪台車として構成するのが望ましいが、車輪の個数や配列については使用環境に応じて適宜定めればよい。通常、台車それ自体の重量はかなりのものとなるので、構造強化の観点から、コンテナを跨ぐ形態を採用するのが望ましい。検出ユニットは、放射線、特にγ線の検出を行うものであり、その場合にはシンチレータ、半導体検出器等の様々なセンサを利用可能である。コンテナ収容空間の少なくとも上側に検出器を設けるのが望ましいが、右側及び左側に検出器を設けてもよい。前側及び後側に検出器を更に付加してもよい。その場合には、コンテナ収容空間へのコンテナの出入りを確保するため開閉構造を設けるのが望ましい。コンテナ収容時にコンテナに対する台車位置が適正であることを確認するためのマーキング、透視穴等を設けるのが望ましい。
望ましくは、前記台車は、前記コンテナ収容空間の右側に設けられた右側ガイド部材と、前記コンテナ収容空間の左側に設けられた左側ガイド部材と、を有し、前記右側ガイド部材と前記左側ガイド部材との間に前記コンテナが収容される。この構成によれば、右側ガイド部材及び左側ガイド部材がそれぞれガイドレールあるいは衝突案内板のように機能し、コンテナに対して台車を正しく位置決めることが可能である。各ガイド部材を前後方向に伸長した棒状の形態で構成してもよいが、コンテナ保護、円滑なコンテナ案内等のためには各ガイド部材を前後方向に伸長した板状の形態で構成するのが望ましい。その場合、2つのガイド部材の上下方向の幅は床面の凹凸状況や段差有無等に応じて適宜定めればよい。衝突部分に弾性体を設けるようにしてもよい。
望ましくは、前記右側ガイド部材及び前記左側ガイド部材が有する一対の前端部は前方から前記コンテナを受け入れるために前方へ開いた形態を有する。この構成によれば、コンテナを前方から収容する際にコンテナを円滑に取り込むことが可能である。すなわち、コンテナに対する不必要な衝突を回避できる。
望ましくは、前記右側ガイド部材及び前記左側ガイド部材が有する一対の後端部は後方から前記コンテナを受け入れるために後方へ開いた形態を有する。この構成によれば、コンテナを後方から収容する際にコンテナを円滑に取り込むことが可能である。あるいは、前方からコンテナを受け入れた際にコンテナの位置が規定より後側になってしまい、台車を後退させる必要が生じた場合に、各ガイド部材の後端がコンテナを傷つけることを防止できる。
望ましくは、前記右側ガイド部材及び前記左側ガイド部材は外来放射線に対して遮蔽作用を発揮する材料で構成される。この構成によれば、左右方向からの外来放射線を遮蔽又は減衰させて、測定精度を高められる。更に、可動式の遮蔽板を前側に設けるようにしてもよい。後側にも固定式の遮蔽板又は可動式の遮蔽板を設けることが可能である。台車における下部(コンテナ収容空間の周囲面)を洗浄するための器具を台車に搭載するようにしてもよいし、床面のいずれかの場所に洗浄ステーションを設け、そこで台車下部の洗浄を行えるようにしてもよい。例えば、コンテナ収容空間に何も入れずにバックグランド測定を行って、その測定値から洗浄の要否を判断することも可能である。
望ましくは、前記台車は前記検出ユニットを搭載したベースプレートを有し、前記ベースプレートの中央部には前記コンテナ内の対象物からの放射線を通過させる検出開口が形成され、前記検出ユニットは、前記検出開口を通過した放射線を検出するシンチレータプレートと、前記シンチレータプレートで生じた光を検出する光検出器と、を有する。ベースプレートが遮蔽機能を有するものであってもよい。あるいは、そこに多数の貫通孔を形成し、水抜きを容易にすることも可能である。検出ユニットを遮蔽ケースで覆うようにしてもよい。
望ましくは、前記台車には、前記検出ユニットからの信号を処理する制御ユニットと、前記検出ユニット及び前記制御ユニットに電力を供給するバッテリと、が設けられ、前記検出ユニット、前記制御ユニット及び前記バッテリが防水構造を有する。この構成によれば外部電源なしに移動しながら測定を行える。測定結果は通常、単位体積当たりの放射能量であるが、放射能総量等が演算されてもよいし、可食部分についての放射能量等が演算されてもよい。重量データは、手入力されあるいは無線通信等により入力される。同様に、測定結果データは、手で検査シートに記入されあるいは無線通信等により他の装置へ伝送される。コンテナに対して測定結果を印刷又は貼付するようにしてもよい。
本発明によれば、対象物に対して簡便に放射線測定を行える。あるいは、本発明によれば、床面上に置かれたコンテナを高い位置まで持ち上げることなしにコンテナ内の対象物に対して放射線測定を行える。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る移動式モニタの好適な実施形態が示されており、図1は移動式モニタとしての台車型モニタ10を示す斜視図である。この台車型モニタ10は本実施形態において魚貝モニタを構成しており、すなわち漁港施設において漁獲物の処理、保管、加工等を行う場合において漁獲物に対して放射能測定を行うためのものである。具体的には、後に説明するコンテナ内に収容された漁獲物に対して放射能の測定が実行される。測定対象となる海産物としては、例えば、鰺、鯖、秋刀魚等が挙げられ、また貝類が挙げられ、更に蛸、イカ等が挙げられる。昆布、わかめ等が測定対象となってもよい。また、切り身、加工品が測定対象となってもよい。
ちなみに、台車型モニタ10を利用して農産物等の他の対象物に対して放射能測定を行うことも可能である。その場合において、農産物としては、コンテナ内に収容された大根、人参、キャベツ等の野菜の他、リンゴ、ミカン等の果物等が挙げられる。またコンテナ内に収容された土壌や人工物等が測定対象となってもよい。
図1において、台車型モニタ10は、台車14を有している。台車14は床面11上を走行するものであり、手押し車のような形態を有している。台車14の下部には後に詳述するコンテナ収容空間13が形成されており、そのコンテナ収容空間13内には床面11上に置かれたコンテナ12が収容される。コンテナ12内には本実施形態において漁獲物が収容されており、コンテナ12を移動させることなくコンテナ12をそのままコンテナ収容空間13に取り込んでその内部の漁獲物に対して測定を行うことが可能である。もっとも、床面11上にパレット等のコンテナ台を配置した上でその上にコンテナ12が設置されてもよい。コンテナ12は本実施形態においてプラスチック製で上方から見て四角形の形態を有している。
台車14は枠体を構成するベースフレーム18を有している。ベースフレーム18は水平方向に広がったベースプレート20の周囲を保持している。ベースプレート20は上下方向に貫通する複数の貫通孔20aを有している。各貫通孔20aは水抜き穴として機能するものである。もちろん、ベースプレート20の上側に防水構造が設けられる場合、そのような水抜き穴20aの形成は不要となる。
ベースプレート20の中央部には検出部16が配置されている。本実施形態において検出部16は、水平方向に広がったシンチレータプレートと、そのシンチレータプレートにおいて生じた光を検出する一対の光電子増倍管(PMT)と、を有している。コンテナ12内の対象物からの放射線(γ線)がシンチレータプレートに到達すると、そこで発光が生じ、その光が一対の光電子増倍管で検出される。一対の光電子増倍管の出力信号に対しては同時計数処理が施されており、これによって真のパルスのみが抽出される。ベースプレート20の中央部には後に説明するように放射線通過開口が形成されており、その放射線通過開口の上側にシンチレータプレートが設けられている。ちなみに、ベースプレート20は例えば厚さ数ミリメートルを持った鉄の板によって構成されている。
ベースフレーム18の右側には脚部22が設けられており、ベースフレーム18の左側には脚部24が設けられている。脚部22と脚部24は互いに対称の構成を有している。脚部22を代表させてその説明を行うと、脚部22は前キャスタ26と後キャスタ28とを有している。それらのキャスタ26,28は脚部フレーム23に設けられている。その脚部フレーム23は上記のベースフレーム18に固定されている。ただし、ベースフレーム18に対して脚部22の高さを段階的に切り替えることが可能となっており、例えばベースフレーム18の床面11からの高さを5cm程度にわたって可変させることが可能である。もちろん、脚部22,24を取り替えることにより、大きな段ボール箱に収容された対象物の測定等を行うことも可能である。脚部22において、前キャスタ26と後キャスタ28の内で一方が旋回可能なキャスタであり、また、本実施形態においては後キャスタ28に対してロック機構が設けられている。そのようなロック機構は車輪の回転を禁止し、また必要に応じて旋回を禁止するものである。漁港における陸揚げ設備においては、床面11が傾斜面として構成されている場合が多く、そのような場合に台車14が自然に動き出さないように確実なロック状態を形成できるロック機構を設けるのが望ましい。また必要に応じて複数の車輪に挟み込むための複数の楔を用意するようにしてもよい。
台車14の下部には上述したようにコンテナ収容空間13が形成されており、実際には、コンテナ収容空間13は右側案内板30及び左側案内板32の間の空間であって、ベースプレート20の下面より下側の空間である。右側案内板30及び左側案内板32は台車型モニタ10を対象コンテナ12に対して位置決める際に両者の位置関係を適正にするためのガイド部材あるいはガイドレールとして機能する。
本実施形態において、右側案内板30及び左側案内板32は垂直に起立した板状の部材として構成されている。それらの前端部30a,32aは前方に開いておりテーパー面形態が採用されている。このように前方へ開いた入口開口を構成することによりコンテナ12を傷つけることになくコンテナ12に対して台車14を位置決めることが可能である。後に説明するように、右側案内板30及び左側案内板32のそれぞれの後端部は後方へ開いており、その部分にもテーパー面が構成されている。このように台車14の下部には右側案内板30及び左側案内板32を含む案内構造29が構成されている。
台車14の後方には起立した取っ手34が設けられている。取っ手34は右側及び左側に設けられた一対の支柱部分と、それらの上端部を繋ぐハンドル34aとを有するものである。ハンドル34aが使用者の両手によって握られ、それによって台車14の移動及び位置決めが行われる。取っ手34の中間位置には中間台座36が設けられている。中間台座36上には2つのバッテリユニット38が設けられている。もちろん、電力容量が十分であれば1つのバッテリユニットのみを設けてもよいし、また必要に応じて3つ以上のバッテリユニットを設けるようにしてもよい。複数のバッテリユニットを設ければ、一部のバッテリユニットを交換している最中において残りのバッテリユニットを利用して電力の供給を行える。それらのバッテリユニット38は、後に説明する制御部42及び検出部16と同様に防水構造を有している。すなわち、部材間の接合部分にはパッキン等のシール部材が設けられており、それらの内部に水が浸入しないように構成されている。本実施形態においては、中間台座36上に2つのバッテリユニット38が設けられているため、それらに対して水がかかり難いという利点が得られる。もちろん、それらに水がかかったような場合においてもそれらは防水型として構成されているためそれらの動作に支障はない。
取っ手34の上部には上側台座40が設けられている。その上側台座40は後に図2を用いて説明するように、傾斜した台座面を有し、その台座面上に制御部42が設けられている。図示の例では、箱状の制御部42が示されており、その上面には表示器が設けられ、その内部には信号処理部及び制御用コントローラ等が設けられている。更に上面には操作部が設けられている。
図1においては、ベースプレート20を覆うカバーについては示されていないが、必要に応じて、ベースプレート20が遮蔽部材で構成されたカバーあるいは蓋によって覆われる。ちなみに、コンテナ収容空間13の右側及び左側に設けられた案内板30,32はそれぞれ放射線遮蔽機能をもった部材で構成されるのが望ましく、例えば厚み数ミリメートルを持った鉄板あるいは鉛板として各案内板30,32が構成されるのが望ましい。そのような構成によれば、右側あるいは左側から飛来する外来放射線を遮蔽又は低減することが可能である。もちろん、コンテナ収容空間13の後側にもそのような遮蔽部材を設けてもよい。またコンテナ収容空間13の前側については開閉可能な遮蔽板を設けるようにしてもよい。
図2には図1に示した台車型モニタ10の他の斜視図が示されている。図示されるように制御部42は箱状の形態を有し、その上面は斜め上方を向いている。すなわち取っ手を把持している使用者の頭部側に上面が向けられている。その上面には表示部44が設けられ、また複数のボタン等からなる操作部46が設けられている。ちなみに台車型モニタ10の下部に設けられた案内板30の後端部30bは外側に開いており斜面を構成している。それとは反対側の案内板においてもその後端部が外側に開いている。
図3には、図1に示した台車型モニタ10の左側面図が示されている。床面11上に直接的にコンテナ12が置かれている。そのコンテナ12内には例えば漁獲物としての魚が満載されている。その重量は例えば40kgである。したがってそのようなコンテナ12を持ち上げて放射線測定装置にセットする等の手作業をコンテナごとに行うことは非常に困難である。そのような状況に鑑み、本実施形態においては台車型モニタ10を移動させて、その下部に形成されたコンテナ収容空間内にコンテナ12を収容し、その状態において対象物について放射能測定を実行することが可能である。その場合における測定時間は例えば1分間であるが、放射能レベル等に応じて測定時間を適宜可変することが可能である。測定中において台車型モニタ10が自然に移動しないようにするために上述したロック機構52が設けられており、そのようなロック機構52を作動させることにより台車型モニタ10の位置が固定される。ちなみに、台車型モニタを移動する際においては上述した取っ手34に設けられたハンドル34aを握って、例えば符号50で示される前方方向へ押し出すことにより、台車型モニタ10を任意の位置へ移動させることが可能である。もちろん、手前側に引くことも可能である。
図4には、図1に示した台車型モニタ10の上面図が示されている。ベースプレート20は水平板を構成しており、その中央部には放射線通過用の開口20Aが形成されている。すなわち上下に貫通する開口20Aが中央部に形成されている。そのような開口20Aを覆うように検出部16が設けられている。具体的には、開口20Aを覆うようにシンチレータプレートが設けられている。このシンチレータプレートの後側に左右方向に並んで2つの光電子増倍管が配置されている。
図5には、図1に示した台車型モニタ10の背面図が模式的に示されている。図5においては、コンテナ収容空間内にコンテナ12が収容されている。コンテナ収容空間は上述したように右側案内板30と左側案内板32とに挟まれる空間であり、且つ、床面とベースプレートの下面との間に挟まれる空間である。前後方向のサイズは格別規定されていないが、概ね台車型モニタ10をはみ出さない空間として定義される。いずれにしても放射線検出を行える範囲内の空間として構成されるのが望ましい。ベースプレート20上には上述したように検出部16が設けられ、それはシンチレータプレート54を有している。
図5においては、案内板30,32の間の幅がW1で示され、コンテナ12の左右方向の幅がW2で示されている。コンテナ12を収容するという条件の下においては、W1はW2よりも若干ながら大きい。もちろん、W1を可変できるように構成してもよい。また図5において、床面からのコンテナ12の高さがh1で示され、ベースプレートの下面までの高さがh2で示され、シンチレータプレート54の中心高さまでがh3で示されている。図示されるように、h1よりもh2の方が大きく、そのh2よりもh3の方が大きくなっている。ただし、シンチレータプレート54をより下方に引き下げるように構成してもよい。
このような構成において、コンテナ12内の対象物からのγ線100がシンチレータプレート54に到達すると、そこで発光が生じ、その光が一対の光電子増倍管にて検出される。本実施形態においては、2つの案内板30,32が左右方向から飛来する外来放射線(すなわちノイズ源となるγ線)102を遮蔽又は低減する機能を発揮している。これによりバックグランドノイズを低減することが可能である。漁港施設においては床面上に多数のコンテナ12が並べられることになり、近隣のコンテナ内の対象物からの放射線が上記構成により効果的に遮蔽される。もっとも、各案内板30,32はベースプレートの下面レベルからフロア面に向けて伸長しているが、その途中までしか伸長しておらず、それらの案内板30,32の下側には隙間が生じている。そのような隙間の大きさはフロア面に形成された凹凸や段差等に応じて適宜調整することが可能である。また上下方向に可動式の案内板30,32を採用するようにしてもよい。本実施形態においては、ベースプレートが上方から飛来する外来放射線104を遮蔽する作用も発揮している。もっとも、そのような作用は上述したカバーあるいは蓋部材によって達成するようにしてもよい。いずれにしてもγ線の検出を行うシンチレータプレート54の周囲において対象物以外からの放射線ができるだけ到達しないように遮蔽構造体を設けるのが望ましい。
図6には、図1に示した台車型モニタ10の底面図が概略的に示されている。上述したようにベースプレート20の下面側には2つの案内板30,32が設けられ、案内板30,32は前方に開いた先端部30a,32aを有し、また後方に開いた後端部30b,32bを有している。そのような構成により、前方からあるいは後方からコンテナ12をコンテナ収容空間に取込み易くなっている。またそのような収容時においてコンテナへの損傷が防止されている。ちなみに破線14は検出部を示しており、破線20Aはベースプレートに形成された放射線通過用の開口を示している。ちなみに、2つの案内板30,32において、前端部30a,32aと後端部30b,32bとの間はそれぞれ前後方向に伸長した案内板本体30c,32cである。
図7にはコンテナ収容空間の他の構成例が示されている。この構成例においては、コンテナ収容空間の左右が案内板56,58で画定されており、それらの前端部56a,58aは前方に開いた形態となっているが、それらの後端部にはストッパ60が連結されている。ストッパ60は左右方向において伸長した平板状の部材である。そのストッパ60によってコンテナ収容空間の後側が事実上塞がれている。前方からコンテナ12を収容すると、コンテナ12がストッパ60に衝突し、これによって台車の位置決めを行い得る。この場合においてストッパ60は後方から飛来する外来放射線を遮蔽する機能を発揮する。
上述した実施形態において、台車型モニタの下部に放射性汚染が生じた場合には、速やかに水洗いするのが望ましい。その場合においては、例えばコンテナ収容空間内にコンテナを収容しない状態においてバッググランド測定を行い、その測定値に基づいて放射性汚染の有無を判断してもよい。水洗いにあたっては、台車型モニタ10の下部にスプレー機構等を設けるようにしてもよいし、あるいは施設のいずれかの場所に水洗い箇所を設け、そこで台車型モニタ10の下部を水洗いするようにしてもよい。上記実施形態においては、使用者によって台車型モニタ10の移動が行われていたが、もちろんモータ等の動力を設け、電動で台車型モニタ10が移動するように構成してもよい。上記実施形態においては、コンテナ12の右側及び左側に跨がった姿態で放射能測定が実行されており、検出部16を片持ちするような態様に比べて安定化が図られている。
本実施形態においては、制御部において、単位重量当たりの放射能量が演算されている。その場合において、コンテナ内の対象物の重量は手入力されているが、そのよな情報が通信回線等を介して自動的に入力されるように構成してもよい。また制御部42において演算されたデータが表示器に表示されるだけではなく、外部の装置に対して伝送されるように構成されてもよい。例えば無線通信設備を設けるようにしてもよい。更に、測定結果を表すラベルを発行する機能を設け、発行されたバーコードラベルを測定後直ちにコンテナ12の外面に貼付するように構成してもよい。
10 台車型モニタ、11 床面、12 コンテナ、13 コンテナ収容空間、14 台車、16検出部(検出ユニット)、18 ベースフレーム、20 ベースプレート、22,24 脚部、29 案内構造、30,32 案内板、42 制御部(ユーザーインターフェース部)。
Claims (7)
- コンテナ内の海産物、農産物等の対象物に対して放射線測定を行う移動式モニタにおいて、
下部にコンテナ収容空間が形成され、前記コンテナが置かれた床面上を走行可能な台車と、
前記台車における前記コンテナ収容空間の上側に設けられ、前記コンテナ収容空間に前記コンテナが収容された状態で前記コンテナ内の対象物からの放射線を検出する検出ユニットと、
を含むことを特徴とする移動式モニタ。 - 請求項1記載の移動式モニタにおいて、
前記台車は、
前記コンテナ収容空間の右側に設けられた右側ガイド部材と、
前記コンテナ収容空間の左側に設けられた左側ガイド部材と、
を有し、
前記右側ガイド部材と前記左側ガイド部材との間に前記コンテナが収容される、ことを特徴とする移動式モニタ。 - 請求項2記載の移動式モニタにおいて、
前記右側ガイド部材及び前記左側ガイド部材が有する一対の前端部は前方から前記コンテナを受け入れるために前方へ開いた形態を有する、
ことを特徴とする移動式モニタ。 - 請求項3記載の移動式モニタにおいて、
前記右側ガイド部材及び前記左側ガイド部材が有する一対の後端部は後方から前記コンテナを受け入れるために後方へ開いた形態を有する、
ことを特徴とする移動式モニタ。 - 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の移動式モニタにおいて、
前記右側ガイド部材及び前記左側ガイド部材は外来放射線に対して遮蔽作用を発揮する材料で構成された、
ことを特徴とする移動式モニタ。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の移動式モニタにおいて、
前記台車は前記検出ユニットを搭載したベースプレートを有し、
前記ベースプレートの中央部には前記コンテナ内の対象物からの放射線を通過させる検出開口が形成され、
前記検出ユニットは、
前記検出開口を通過した放射線を検出するシンチレータプレートと、
前記シンチレータプレートで生じた光を検出する光検出器と、
を有する、ことを特徴とする移動式モニタ。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移動式モニタにおいて、
前記台車には、
前記検出ユニットからの信号を処理する制御ユニットと、
前記検出ユニット及び前記制御ユニットに電力を供給するバッテリと、
が設けられ、
前記検出ユニット、前記制御ユニット及び前記バッテリが防水構造を有する、
ことを特徴とする移動式モニタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012259333A JP2014106123A (ja) | 2012-11-28 | 2012-11-28 | 移動式モニタ |
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Publications (1)
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ID=51027735
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014106123A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5836465B1 (ja) * | 2014-10-20 | 2015-12-24 | 株式会社日立パワーソリューションズ | 放射線計測装置および放射線計測方法 |
JP2020041930A (ja) * | 2018-09-12 | 2020-03-19 | 独立行政法人国立高等専門学校機構 | 放射能測定装置、放射能測定方法、放射能情報処理サーバおよび放射能情報処理システム |
-
2012
- 2012-11-28 JP JP2012259333A patent/JP2014106123A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5836465B1 (ja) * | 2014-10-20 | 2015-12-24 | 株式会社日立パワーソリューションズ | 放射線計測装置および放射線計測方法 |
JP2016080586A (ja) * | 2014-10-20 | 2016-05-16 | 株式会社日立パワーソリューションズ | 放射線計測装置および放射線計測方法 |
JP2020041930A (ja) * | 2018-09-12 | 2020-03-19 | 独立行政法人国立高等専門学校機構 | 放射能測定装置、放射能測定方法、放射能情報処理サーバおよび放射能情報処理システム |
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