JP2014105126A - シリカ含有粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカ含有粒子の製造方法において、中空粒子の発生を防ぐとともに、シリカ含有粒子の収率を高める。
【解決手段】シリカ含有前駆体を含む分散相と連続相とを含み、エマルション液滴1000個中の多相エマルション液滴の個数が20個以下であるエマルションを作製する工程(A)、シリカ含有前駆体を含むエマルション液滴を固形化してシリカ含有粒子を形成する工程(B)、記シリカ含有粒子を含む液体を、撹拌部材を用いて周速7.5m/s以上で攪拌する工程(C)、及びシリカ含有粒子を回収する工程(D)を含む、シリカ含有粒子の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリカ含有粒子の製造方法に関する。
シリカ含有粒子は、その粒子径、細孔構造、表面物性の多様性から、触媒、触媒担体、化粧品用顔料、クロマトグラフィー充填剤、樹脂充填剤、吸着剤、乾燥剤、断熱材などに広く使用されている。
シリカ含有粒子の製造方法の一例としては、連続相に分散相の液滴が分散してなるエマルションを製造後、一つの液滴から粒子一つを形成する方法がある。原料組成や乳化方法を調整することで、粒子の光学特性や粒子径や粒度分布を調節することができ、また、固化条件を調整することで、粒子の細孔特性等を調節することができる。
シリカ含有粒子の製造方法では、粒子強度及び充填密度などの観点から、粒子内部に大きな空隙を有する中空粒子が生成されないことが望ましい。中空粒子の生成を防止する製造方法が特許文献1から3に提案されている。
多孔質シリカ球状体の製造方法としては、特許文献1及び特許文献2に、厚み方向に貫通した貫通孔を有する膜や多孔質ガラス物質を通して粒子原料を含有する水溶液を有機溶媒中に注入することでW/O型エマルジョンを作製し、エマルジョン粒子から無機質均一微小球体を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3に、層流状態で流れる有機液体中に、微小孔を通して無機化合物を含む水性液体を押し出してW/O型エマルジョンを形成した後、W/O型エマルジョン中の無機化合物を含む水性液体を固形化する方法が開示されている。
特許文献1から3の製造方法では、乳化段階で高剪断力を加えないようにして、多相エマルションの発生を防止することで、中空粒子の発生を防いでいる。
一方、シリカ含有粒子の製造方法では、収率を高めることも重要である。エマルションをゲル化後にシリカ含有粒子を回収する工程において、シリカ含有粒子が未回収になることで、収率が低下することがある。
ゲル化した液体からシリカ含有粒子を回収する方法としては、分散相と連続相との比重差を利用し、2相分離等で粒子を分散相側へ集め、連続相と分離後に、ろ過や遠心分離といった工程を経て、シリカ含有粒子を回収する方法がある。
2相分離においては、2相の液体がきれいに上下に分離し、分散相にシリカ含有粒子が含まれる状態が望ましい。しかし、実際には、乳化剤の影響もあり2相の液体の中間に2つの液体及びシリカ含有粒子が混在した中間相が生じる場合がある。
この中間相が生じると、2相分離が十分に行えず、シリカ含有粒子の一部が中間相に残って分散相とともに回収されず、収率が低下することがある。さらに、シリカ含有粒子が分散相に移動するまでに時間がかかり、生産性が低下することがある。
また、分散相と連続相の分離段階で、連続相の一部が分散相に混入して分散相とともに分離されることで、最終製品であるシリカ含有粒子に連続相や乳化剤等の有機物が残存して、不純物濃度が高くなり好ましくない。
特許文献4(特開2005−21884号公報)には、無機質球状体の製造方法が提案されている。特許文献4の実施例では、エマルジョンをゲル化後に、生成したシリカヒドロゲルに対し、水を加えて10分間静置させた後、比重差により2相分離してシリカヒドロゲルの水スラリーを得ている。これによって、個数平均粒子径は50μmの多孔質シリカ球状体を得ている。
しかし、特許文献4では、多孔質シリカ球状体の粒子径が比較的大きいため十分な収率を得ることができるが、多孔質シリカ球状体の粒子径が小さくなると、沈降速度が遅くなり、ゲル化後にシリカヒドロゲルを単に静置するのみでは、2相分離が十分に行えず、収率が低下することがある。
特許文献5(特許第4093691号公報)には、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液をゲル化してシリカゲル粒子を製造する方法が提案されている。特許文献5の実施例では、連続相と分散相とを攪拌機で10000rpmで攪拌しながら乳化している。しかし、乳化段階で10000rpmで攪拌を行うと、高剪断力が発生して、多相エマルションが発生し、中空粒子が生成することがある。
特許第3051945号公報 特許第2555475号公報 特許第4193626号公報 特開2005−21884号公報 特許第4093691号公報
本発明の目的としては、シリカ含有粒子の製造方法において、中空粒子の発生を防ぐとともに、シリカ含有粒子の収率を高めることである。また、シリカ含有粒子への有機物の混入を防いで、シリカ含有粒子の純度を高めることである。
本発明の一側面としては、シリカ含有前駆体を含む分散相と連続相とを含み、エマルション液滴1000個中の多相エマルション液滴の個数が20個以下であるエマルションを作製する工程(A)、前記シリカ含有前駆体を含むエマルション液滴を固形化してシリカ含有粒子を形成する工程(B)、前記シリカ含有粒子を含む液体を、撹拌部材を用いて周速7.5m/s以上で攪拌する工程(C)、及び前記シリカ含有粒子を回収する工程(D)を含む、シリカ含有粒子の製造方法である。
本発明によれば、シリカ含有粒子の製造方法において、中空粒子の発生を防ぐとともに、シリカ含有粒子の収率を高めることができる。また、シリカ含有粒子への有機物の混入を防いで、シリカ含有粒子の純度を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態による乳化装置の一例としてマイクロミキサーの概略断面図を示す。 図2は、実施例1のシリカ粒子の透過型光学顕微鏡写真を示す。 図3は、実施例2のシリカ粒子の透過型光学顕微鏡写真を示す。 図4は、比較例3のシリカ粒子の透過型光学顕微鏡写真を示す。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本実施形態における例示が本発明を限定することはない。
本発明の一実施形態によるシリカ含有粒子の製造方法としては、シリカ含有前駆体を含む分散相と連続相とを含み、エマルション液滴1000個中の多相エマルション液滴の個数が20個以下であるエマルションを作製する工程(A)、シリカ含有前駆体を含むエマルション液滴を固形化してシリカ含有粒子を形成する工程(B)、シリカ含有粒子を含む液体を、攪拌部材を用いて周速7.5m/s以上で攪拌する工程(C)、及びシリカ含有粒子を回収する工程(D)を含むことを特徴とする。
このような製造方法によれば、中空粒子の発生を防ぐとともに、シリカ含有粒子の収率を高めることができる。さらには、シリカ含有粒子への有機物の混入を防いで、シリカ含有粒子の純度を高めることができる。
ここで、中空粒子としては、大きな空隙を有する粒子であり、例えば、粒子の直径方向長さに対し10%以上の直径方向長さを有する空隙部を有する形状の粒子、または、直径0.3μm以上の長さを有する空隙部を有する形状の粒子である。中空粒子の形状としては、空隙部全体が粒子の内部にある形状はもちろん、空隙部の一部が粒子から露出して粒子表面の一部が欠けた形状も含まれる。
工程(B)で得られたシリカ含有粒子を含む液体を、工程(C)において高速攪拌することで、シリカ含有粒子の収率を高めることができる。さらに、シリカ含有粒子の純度を高めることができる。
これは、固形化工程で得られたシリカ含有粒子を含む液体は、シリカ含有粒子が分散相液滴に内包されて細かく分散されている。これを高速攪拌しないで分散相と連続相とを分離すると、シリカ含有粒子を含む分散相液滴が連続相から分離されにくく、分散相液滴が連続相に残って、シリカ含有粒子の回収率が低下することがある。また、シリカ含有粒子の沈降に時間がかかり、生産性が低下することがある。
固形化工程に続いて高速攪拌を行うことで、シリカ含有粒子を含む分散相液滴同士が合一して、大きな分散相液滴の中に複数のシリカ含有粒子が含まれるようになると考えられる。この大きな分散相液滴の形態となることで、分散相液滴の沈降速度が高まり、連続相から分散相を分離しやすくなり、連続相へのシリカ含有粒子の残存を防いで、収率を高めることができる。また、分離速度も高まるため、分離のための静置時間を短縮でき、生産性を向上することができる。
また、分離段階において、シリカ含有粒子が分散相へ移動したように見えた場合でも、分散相に連続相が含まれて同伴して移動している場合がある。この同伴の現象が起こると、分散相に同伴された連続相をさらに分離・洗浄するための工程が必要となることがあり、また、乳化剤を含む連続相を分離しきれないまま乾燥することにより、シリカ含有粒子中の不純物濃度の上昇や粒子の着色につながることがある。また、連続相に引火点が低い有機溶媒を使用している場合には、連続相がシリカ含有粒子に残存すると、乾燥時に引火する危険性がある。
本実施形態によれば、分散相と連続相とを分離の際に、連続相や乳化剤等に含まれる有機物が分散相に混入することを防ぐことができ、これによって、分散相に残存した有機物に起因してシリカ含有粒子に不純物が混入することを防止することができる。有機物の混入を防ぐことで、シリカ含有粒子の着色を防ぐこともできる。
また、工程(A)において多相エマルションの個数を制限してエマルションを作製し、このエマルションの形態を保ったまま工程(B)において固形化してシリカ含有粒子を形成することで、固形化されたシリカ含有粒子中に中空粒子が発生することを防止することができ、最終製品においても中空粒子の発生を防止することができる。
(工程(A))
工程(A)としては、シリカ含有前駆体を含む分散相と連続相とを含み、エマルション液滴1000個中の多相エマルション液滴の個数が20個以下であるエマルションを作製する工程である。多相エマルション液滴の個数が少ないエマルションを作製して、このエマルションを用いてシリカ含有粒子を製造することで、最終製品であるシリカ含有粒子において中空粒子の発生を防ぐことができる。工程(A)としては、多相エマルションの発生をより防ぐために、連続層において攪拌によるせん断力が発生しないことが好ましく、一例としてマイクロミキサー法や膜乳化法を用いることができる。
工程(A)で作製されるエマルションにおいて、エマルション液滴1000個中の多相エマルション液滴の個数としては20個以下であればよく、より好ましくは10個以下であり、さらには、エマルションに多相エマルション液滴が含まれないことが一層好ましい。
ここで、多相エマルションとしては、シリカ含有前駆体を含む分散相液滴内部にシリカ前駆体を含まない連続相の液滴が包含されたエマルションであり、W/O/W型エマルション及びO/W/O型エマルションのいずれかの型である。多相エマルションが存在すると、これを固形化してシリカ含有粒子を得る段階で、多相エマルションの内部の連続相が乾燥して空隙部を形成し、中空粒子となることがある。そのため、工程(A)で、多相エマルションの発生を防ぐことが重要である。これより、多相エマルションの個数は上記範囲内とすることが好ましい。
また、多相エマルション由来のシリカ含有粒子は、その乾燥工程において、内部に含有される連続相の蒸発を伴うことになるが、溶解していた乳化剤の蒸発残分が不純分として粒子に残留して着色の原因になることがあり、さらに、連続相の引火点が低い場合には、大量の粒子を乾燥させると引火さらには爆発の危険性が生じることがある。このためにも、多相エマルション液滴の個数は上記範囲内とすることが好ましい。
ここで、多相エマルション液滴の個数の評価方法としては、次の通りである。エマルションからシリカ含有粒子を得て、これを透過型光学顕微鏡によって観察した際に、粒子の外形を示す円の内側にさらに小さな円が認められる粒子、あるいは、内部が空洞である粒子が割れた破片状の粒子として観察されるものが大きな空隙を有するシリカ含有粒子が、エマルション中で多相エマルションとして存在するものである。多相エマルション液滴の個数としては、得られるシリカ含有粒子を透過型光学顕微鏡によって合計1000個の粒子を撮影し、このようにして粒子1000個を観察した際の大きな空隙を有するシリカ含有粒子の個数とすることができる。
エマルションの多相エマルション液滴の個数を測定するためのシリカ含有粒子のサンプルは、後述する工程(C)の固形化工程と同様に固形化を行って、後述する(D)の回収工程と同様に回収を行うことで得ることができる。
「エマルション作製例」
以下、シリカ含有前駆体を含む分散相としてシリカ前駆体を含む水性液体を用い、連続層として有機液体を用いて、W/O型エマルションを作製する例について説明する。なお、シリカ含有前駆体を含む分散相を有機液体とし、連続相を水性液体とし、O/W型エマルションを作製することも可能である。
シリカ前駆体を含む水性液体としては、固形化によって沈殿物を形成することができるものであれば、いずれも適用可能である。具体的には、水溶性シリカが溶解した水溶液、有機ケイ素化合物を加水分解して得られたシリカゾル及び市販のシリカゾルなどの固体シリカが分散した水性分散液が挙げられる。特に、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好ましく使用される。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられ、中でも入手の容易さ、経済的理由によりナトリウムが最も好ましい。ナトリウムとケイ酸の割合は、NaO/SiO(モル比)で2.0〜3.8が好ましく、さらには2.0〜3.5が好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO濃度として5〜30質量%が好ましく、さらには5〜25質量%が好ましい。
また、シリカ前駆体を含む水性液体中に、他の金属酸化物等を混合することで、複合粒子を得ることも可能である。他の金属酸化物としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化銅、酸化鉄、酸化錫等が挙げられる。
有機液体としては、特に限定されず、水性液体に不溶性のものを使用することができ、例えば、以下に挙げるもののうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクテン、イソオクテン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、スチレン等の芳香族炭化水素類、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−プチル、酢酸イソプチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、乳酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル等のエステル類等である。
有機液体としては、炭素数9〜12の飽和炭化水素が好ましく、操作性、火気への安全性、固形化した粒子と有機液体との分離性、シリカ含有粒子の形状特性、水への有機液体の溶解性などを総合的に考慮して選定される。炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、単独で使用してもよいし、このうちの二種以上を混合して使用してもよい。また、炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、その化学的安定性が良好であれば、直鎖状炭化水素であってもよいし、側鎖を有する炭化水素であってもよい。
炭素数9〜12の飽和炭化水素の引火点としては、20〜80℃のものが好ましく、より好ましくは30〜60℃のものが好ましい。引火点が20℃未満の飽和炭化水素を有機液体とした場合、引火点が低すぎるため、防火上、作業環境上の対策が必要である。また、引火点が80℃を超えるものは、揮発性が小さいことから、得られるシリカ含有粒子に付着する炭化水素の量が多くなるおそれがある。
本実施形態では、エマルションを固形化した後に得られるシリカ粒子と有機液体とは固液分離される。分離後のシリカ粒子に付着又は吸着している有機液体は、濾過操作、洗浄操作、乾燥操作などにより分離するのが好ましい。
本実施形態では、W/O型エマルションの形成にあたり、乳化剤として界面活性剤を使用するのが好ましい。界面活性剤としては、例えば、以下に挙げるもののうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル系、
ポリオキシエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレングリコールモノオレート等のポリオキシエチレン脂肪族エステル系、
ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル系等を挙げることができる。
さらに、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル系、ショ糖脂肪酸エステル系、ポリグリセリン脂肪酸エステル系ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系等を用いてもよい。
界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、界面活性剤の親水性あるいは疎水性の程度を表す指標であるHLB(Hydrophile−lipophile balance)、目的とするシリカ含有粒子の粒子径などの条件により異なるが、上記有機液体中に500〜20000ppm、好ましくは1000〜10000ppm含有させるのが好ましい。500ppm未満であると、エマルションが不安定になるおそれがある。また、20000ppmを超えると、製品であるシリカ含有粒子に付着する界面活性剤の量が多くなり好ましくない。
シリカ前駆体を含む水性液体と有機液体との室温(20〜23℃)における体積比は、得られるエマルション中のW/O比として1〜100、より好ましくは1〜10程度とすることが望ましい。
エマルション作製工程(A)の一実施形態としては、対向する一対の面の少なくとも一方に微小孔部が形成され、前記一対の面の面間距離が1mm以下である流路(マイクロチャネル)を流れる有機液体に、シリカ前駆体を含む水性液体を、微小孔部を通して押し出すことにより、有機液体が連続相となり、この中にシリカ前駆体を含む水性液体の液滴が分散相となったエマルション、すなわちW/O型エマルションを作製することができる。
ここで、流路の面間距離としては、微小孔部が形成される面と、この面と対向する面との最小距離である。流路の面間距離は1mm以下であることが好ましいが、流路の面間距離は有機液体を流すことができる範囲であればよく、例えば0.8mm以下、さらに0.5mm以下とすることができる。流路の面間距離の下限値としては、例えば0.05mm以上、さらに0.1mm以上とすることができる。
流路の幅、ここでは流路の断面形状(有機液体の流れ方向に直交する方向の断面形状、以下同じ)の最大長さとしては、特に制限されず、例えば0.5〜5mmの範囲とすることができる。
流路の断面形状は限定されないが、例えば、矩形、円形、楕円形等とすることができる。また、流路の長さは限定されないが、例えば0.5〜50cmとすることができる。また、流路全体の形状としては、水平方向または傾斜して直線状の流路が形成されてもよく、垂直方向に形成されてもよく、また、流路に屈曲部があったり流路全体が弧を描いていてもよい。
微小孔部は、面間距離が1mm以下の一対の面の一方面に形成されることが好ましいが、一対の面の両面に形成されていてもよい。また、流路を構成する隔壁の全面にわたって微小孔部が形成されていてもよく、この場合、流路の面間距離は流路の断面形状の最小長さとする。
上記した流路において、有機液体の流速は限定されないが、例えば0.01〜3m/sとすることができる。
上記した範囲内で流路及び流速を調整することで、液滴径分布の狭いエマルション液滴が形成され、得られるシリカ含有粒子の液滴径分布も狭くすることができる。
図1は、エマルション作製工程(A)で使用可能な乳化装置の一例としてマイクロミキサーを示す概略断面図である。図1において、1及び2はアクリル樹脂製部品、3はエッチング処理にて流路3aを形成したステンレス鋼板、4は複数の微小孔部4aが形成された表面を疎水化処理してあるステンレス鋼板である。そして、有機液体がノズル5から供給されノズル6から排出されるように流路3aを層流状態で流れ、シリカ前駆体を含む水性液体がノズル7から供給され微小孔部4aを介して有機液体中に圧入される。ステンレス鋼板3の流路3aは、複数本の流路3aが液体の流れ方向に沿って形成されていてもよい。
図1において、流路3aの断面形状は矩形であり、一例として、流路の面間距離、すなわち図中において垂直方向の高さは1mm以下、流路の幅、すなわち図中において奥行き方向の長さは0.5〜5mm、流路の長さ、すなわち図中水平方向の長さは0.5〜50cmの範囲で調整可能である。
図1に示す例では、有機液体の流路を隔壁で区画して形成し、隔壁の厚さ方向に貫通した微小孔部を通して水性液体を圧入する。これにより、水性液体と有機液体とが直交流で混合するため、有機液体の流れによりエマルション液滴が切り離される効果が得られやすくなるため、粒子径の小さいシリカ含有粒子が安定して得られやすくなる。
また、微小孔部は1流路あたりに複数設けた方が好ましい。この場合、微小孔部は、有機液体の流路上に、微小孔部の断面形状に外接する円の直径の1/2以上の間隔を設けて複数個設置するのが好ましい。さらに好ましくは微小孔部の断面形状に外接する円の直径以上の間隔を設ける。外接する円の直径の1/2より短い間隔しか設けずに微小孔部を設置すると、エマルションの液滴が合一し、その結果、液滴径が不均一になる可能性があるため好ましくない。ただし、合一しない範囲でなるべく密接して設置したほうが、生産性を向上できるので好ましい。
本実施形態において、微小孔部が設けられる隔壁の材料としては、シリカ前駆体を含む水性液体及び有機液体に対する耐性を有するものを使用することが好ましい。金属を主体とするものであると加工性及び強度に優れるため好ましいが、その他、樹脂を主体とするものも好適に用いられる。樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエステル及びフッ素樹脂からなる1種以上を用いると加工性、寸法安定性に優れるため好ましい。
また、微小孔部が設けられる隔壁の材料としては、親連続相(この場合、親有機液体)性であることが好ましい。したがって、金属材質の場合は、油を焼き付ける、あるいは疎水化処理剤との反応、疎水性ポリマーでのコートなどの方法で親有機液体性をもたせる処理を施すことが望ましい。これは、シリカ前駆体を含む水性液体が微小孔部を通過した後の隔壁からの液離れを促すためであり、隔壁が親水性の場合、微小孔部を通過後、隔壁に沿って水性液体が流れてしまい、大きなエマルションを生成しやすいことが、高速度カメラでの観察により明らかになっている。
エマルション作製工程の他の実施形態として、上記した微小孔部に代えて、複数の穴部分が連結した多孔質膜を用いてもよい。シリカ前駆体を含む水性液体を多孔質膜を介して有機液体に供給することで、微小孔部と同様に、多層エマルションの発生を防いで、ある程度均一な液滴径のエマルションを作製することができる。多孔質膜は、表面が疎分散相(この場合、疎水性)としてあることが好ましい。これによって、シリカ前駆体を含む水性液体が均一な液滴となって有機液体中に分散される。
多孔質膜の一例としては、多孔質ガラス、高分子材料のフィルター、金属焼結フィルター等が挙げられる。
(工程(B))
工程(B)としては、シリカ含有前駆体を含むエマルション液滴を固形化してシリカ含有粒子を形成する工程である。固形化工程(B)では、エマルション液滴1個からシリカ含有粒子1個を形成することが好ましい。例えば、シリカ含有前駆体を含むエマルションをゲル化して、シリカ含有粒子を得る方法がある。
固形化工程では、固形化中に高剪断力を加えると多相エマルションが発生することがあるため、攪拌工程(C)の前に固形化工程を行って固形化を完了しておくことが好ましい。
また、固形化工程では、エマルションを攪拌して固形化反応を促進させてもよいが、この際の攪拌は攪拌部材の先端速度7.5m/s未満で行うことが好ましく、より好ましくは3m/sであり、さらに好ましくは1m/s以下である。原料となるエマルションの液滴径や乳化剤濃度にもよるが、先端速度がこの範囲であることで、エマルション液滴が攪拌によって破壊されて多相エマルションになることを防止して、固形化が完了し、結果としてシリカ含有粒子において中空粒子の発生を防止することができる。
工程(B)で形成されるシリカ含有粒子において、シリカ含有粒子1000個中の中空粒子の個数としては、上記した工程(A)での多相エマルションの個数に対応して、20個以下であればよく、より好ましくは10個以下であり、さらには、中空粒子が含まれないことが一層好ましい。工程(A)で多相エマルションの個数を制限することで、工程(B)での中空粒子の個数を制限することができる。また、この際、工程(B)において固形化が完了するまで高速攪拌を行わないで高剪断力を加えないことが好ましい。
ここで、工程(B)で形成されるシリカ含有粒子の個数の評価方法としては、工程(B)で得たシリカ含有粒子を含む液体から、後述する工程(D)と同様にしてシリカ含有粒子を回収し、このシリカ含有粒子について、上記した工程(A)でのエマルション液滴の個数と同様に透過型光学顕微鏡によって観察して評価することができる。
エマルションをゲル化することにより、水溶液中の球状である分散液滴は、この球状を保持したままゲル化され、球状のシリカヒドロゲルが得られる。ゲル化には、エマルション中にゲル化剤を導入するのが好ましい。ゲル化剤としては、無機酸や有機酸などの酸が用いられ、特に無機酸である硫酸、塩酸、硝酸、炭酸などが好ましい。操作の容易性などの点で、最も簡便で好ましいのは、炭酸ガスを用いる方法である。炭酸ガスは、100%濃度の純炭酸ガスを導入してもよいし、空気や不活性ガスで希釈した炭酸ガスを導入してもよい。ゲル化に要する時間は、通常4〜30minが好ましく、ゲル化時の温度は5〜30℃が好ましい。また、熱や光を加えて固形化を促進させてもよい。
(工程(C))
工程(C)としては、シリカ含有粒子を含む液体を、攪拌部材を用いて周速7.5m/s以上の攪拌速度で攪拌する工程である。工程(C)では、工程(B)で形成されたシリカ含有粒子を含む液体を、攪拌部材を用いて周速7.5m/s以上の攪拌速度で攪拌することで、シリカ含有粒子の収率を高めることができる。さらに、シリカ含有粒子の純度を高めることができる。
ここで、シリカ含有粒子を含む液体は、工程(B)で固形化されたシリカ含有粒子を含む分散相と連続相とを含む液体であって、液状ないしゲル状のものである。
工程(C)において、攪拌部材の周速としては7.5m/s以上であればよいが、好ましくは12m/s以上であり、一層好ましくは15m/s以上である。また、攪拌部材の周速の上限値としては、エネルギー効率の観点から、50m/s以下であり、より好ましくは30m/s以下である。
工程(A)で作製されたエマルション液滴1個は、工程(B)の固形化を経て、1個のシリカ含有粒子を内包する1個の分散相液滴となる。そして、分散相液滴の周囲には連続相が存在し、必要であれば乳化剤によって安定化されている。工程(C)において攪拌部材の周速が遅いと、シリカ含有粒子、分散液滴及び乳化剤等の影響で、分散相液滴の合一は起きにくいが、攪拌部材の周速が速くなると、分散相液滴の合一が起こり、分散相液滴1個に複数のシリカ含有粒子が内包されて、分散相液滴が大きくなる。分散相液滴が大きくなると、沈降速度が速くなり、連続相から分離しやすくなる。この作用を得るためには、攪拌部材の周速を上記範囲内とすることが好ましい。
工程(C)では、乳化剤の濃度を薄めてその作用を低減するために、乳化剤を含まない連続相を添加し、分散相液滴の合一を促進することができる。
さらに、目的とするシリカ含有粒子の平均粒子径をA(μm)とする場合、攪拌部材の周速B(m/s)は次式を満たすことが好ましい。ここで、Aは20μm以下とする。
B≧(10.0/A+7.0)
攪拌部材の周速B(m/s)が上記式を満たすことによって、十分な分離効率を得ながら、粒子径に応じてより適正な周速で攪拌することができ、エネルギー効率を低減することができる。例えば、粒子径が大きい場合に周速を上式の範囲内で低くしても分離効率を十分に得ることができる。
工程(C)において、攪拌部材の形状としては、特に制限はされず、攪拌部材の周速が上記範囲であれば、分散液滴の合一が促進されると考えられる。攪拌部材のタイプとしては、例えば、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等を挙げることができる。また、攪拌翼の羽数としては、任意の数でよく、好ましくは2〜50枚である。また、攪拌部材は、攪拌軸の軸方向に複数個設けてもよく、もちろん1個であってもよい。
また、攪拌部材の寸法としては、対象となる液体量に応じて設定可能であり、特に制限されないが、攪拌槽内を全体的に攪拌可能であることが好ましい。また、攪拌を行う攪拌槽としては特に制限されず、攪拌部材によって液体を全体的に攪拌可能な容量であることが好ましい。例えば、1,000〜400,000cmの攪拌槽に対して、攪拌部材としての攪拌部材径の長さは、1〜30cmの範囲とすることができる。
また、液体の温度は、安全性の観点から、50℃以下であることが好ましい。また、攪拌時間は、液体量や攪拌部材の形状等に応じて調整可能であり、例えば1〜10分とすることができる。
攪拌部材による攪拌は、ホモミキサー等の攪拌装置によって行うことができる。
攪拌後は、攪拌槽から液体を全量取り出して、後工程の回収工程(D)の分液ロート等の回収装置に移動させることが好ましい。必要に応じて、攪拌槽を水洗する等して残存する液体を洗い流して取り出すことができる。
(工程(D))
工程(D)としては、シリカ含有粒子を回収する工程である。回収工程では、分散相と連続相とを分離して、さらに分散相を除去してシリカ含有粒子を得ることができる。
攪拌工程(C)において、分散相液滴が合一して大きくなっていることから、シリカ含有粒子を含む分散相と連続相とを効率よく分離することができる。そして、分離後の状態で、連続相側にシリカ含有粒子が混入することを防止することができ、さらに、分散相側に連続相や乳化剤が混入することを防止することができる。そのため、シリカ含有粒子が連続相溶媒に残存することを防止して収率を高めることができ、また、シリカ含有粒子に連続相や乳化剤に含まれる有機物が残存することを防止して最終製品の純度を高めることができる。
連続相に有機液体を用いて分散相にシリカ前駆体を含む水性液体を用いた場合では、攪拌工程の後に、反応系を静置して、有機液体の相とシリカヒドロゲルを含む水性相とに2相分離させてシリカゲルを分離するのが好ましい。静置時間としては、0.5〜20分間の間で調節することができる。本実施形態では、シリカゲルの分離速度が速いため、静置時間を短縮して、生産性を高めることができる。
有機液体として飽和炭化水素を用いた場合は、上層に有機液体の相が、下部にシリカヒドロゲルを含む水性液体の相が分離するので、両者を公知の手段により分離することができる。
シリカヒドロゲルの水スラリーは、所望により硫酸などの酸を添加してpHを1〜5程度に調整してゲル化を完結させ、水スラリーをろ過してシリカヒドロゲルを得、これを100〜150℃程度の温度で、1〜30h程度乾燥することにより、シリカ含有粒子を得ることができる。
なお、シリカ前駆体を含む水性液体としてケイ酸アルカリ水溶液を用い、ゲル化剤として酸を用いた場合、アルカリ金属塩(例えばゲル化剤が炭酸であれば炭酸ナトリウムなど)を副生するので、この塩がシリカ含有粒子へ混入することを防止するため、ろ過した際のシリカヒドロゲル(ウエットケーキ)は十分水洗することが好ましい。場合によっては、水洗後のウエットケーキに再度水を添加してスラリーとして、再度ろ過、水洗を繰り返してもよい。なお、この際、所望により当該スラリーのpHを1〜5程度に調整して再度熟成する操作を行ってもよい。
攪拌後の液体からのシリカ含有粒子の分離は、2相分離やろ過などの公知の固液分離方法でも分離は可能である。
得られるシリカ含有粒子としては、シリカ含有粒子1000個に対し、中空粒子の個数が20個以下であることが好ましく、より好ましくは10個以下である。さらに、シリカ含有粒子に中空粒子が実質的に含まれないことが好ましい。
(シリカ物性等)
本実施形態による製造方法によれば、シリカ含有粒子の収率を高めることができる。例えば、原料であるシリカ含有前駆体のうち固形分に相当する質量に対し、最終製品であるシリカ含有粒子の質量の割合(収率)を、80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、一層好ましくは95%以上にすることができる。
また、本実施形態による製造方法によれば、中空粒子の発生を防止してシリカ含有粒子を製造することができる。例えば、最終製品であるシリカ含有粒子1000個中の中空粒子の個数を20個以下、より好ましくは10個以下にすることができる。さらには、中空粒子を実質的に含まないシリカ含有粒子を提供することができる。
また、本実施形態による製造方法は、シリカ含有粒子の平均粒子径(D50:50%体積換算粒子径)に制限なく、その効果を得ることができる。シリカ含有粒子の平均粒子径(D50)はベックマンコールター社製のコールターカウンタを用いて測定することができる。
本実施形態による製造方法に適したシリカ含有粒子の平均粒子径(D50)としては、0.5μm以上であり、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは1.5μm以上である。この範囲のシリカ含有粒子は分離段階で合一が進みやすく、攪拌工程(C)によって分散相と連続相とを分離する効果を効率よく得ることができる。
また、本実施形態による製造方法に適したシリカ含有粒子の平均粒子径(D50)としては、100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下であり、一層好ましくは10μm以下である。この範囲のシリカ含有粒子は分離段階で沈降速度が比較的遅く、分離効率が比較的低いため、攪拌工程(C)によって分散相と連続相とを分離する効果を効率よく得ることができる。
また、シリカ含有粒子の大きさの分布を表す指標として、体積換算粒子径の90%粒子径(D90)と10%粒子径(D10)の比(D90/D10)を用いることができる。D90は、粒子の体積を粒子径の小さな側から積算していった場合に合計体積の90%となるときの粒子径であり、D10は同様に積算体積が10%となる粒子径である。シリカ含有粒子のD90及びD10はベックマンコールター社製のコールターカウンタを用いて測定することができる。
本実施形態による製造方法は、シリカ含有粒子のD90/D10に制限なくその効果を得ることができる。本実施形態による製造方法に適した範囲としては、2.5以下であり、好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.8以下である。この範囲のシリカ含有粒子は、分離段階で分散相が沈降するときに連続相が混入しやすく、また、分散相と連続相との間に中間相を生成しやすいため、攪拌工程(C)によって分散相と連続相とを分離する効果を効率よく得ることができる。
また、本実施形態による製造方法は、多孔質シリカ球状粒子の製造に適している。ここで、多孔質シリカ球状粒子の形状としては、球状であれば特に限定されず、真球体及び楕円体を含めた球状とすることができる。多孔質シリカ球状粒子は、見かけ比重が小さく沈降速度が遅いため、本実施形態による分離効果を効率よく得ることができる。
また、本実施形態の製造方法に適したシリカ含有粒子の細孔容積としては、特に制限されないが、0.1〜5cm/gであり、より好ましくは0.3〜3cm/gである。この範囲のシリカ含有粒子は、見かけ比重が小さく沈降速度が遅いため、攪拌工程(C)によって分散相と連続相とを分離する効果を効率よく得ることができる。細孔容積が大きい方が沈降しにくく、本発明の効果をより大きく発揮可能である。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明において「質量%」を単に「%」とする。
(実施例1)
(1)分散相及び連続相の調製
分散相として、ケイ酸ナトリウム水溶液として3号ケイ酸ソーダ(AGCエスアイテック株式会社製、NaO/SiO(モル比):3.09)を水で薄めて、SiO濃度を24%としたものを使用した。このときの比重は1.34であった。連続相の有機液体としてn−デカン(C1022、密度730kg/m)を使用した。また、あらかじめ界面活性剤としてモノオレイン酸ソルビタン(三洋化成工業株式会社製、イオネットS80)を0.7%溶解したものを準備した。
(2)乳化装置の作製
使用した乳化装置の模式図を図1に示す。
厚さ50μmのSUS304製のシートに対し、流路(マイクロチャネル)に相当する幅1.7mmの複数本の貫通孔(3a)をエッチング加工してあるマイクロチャネル形成シート3(それぞれが幅1.7mm×面間距離50μm×長さ20mmのマイクロチャネルを形成)と、シート3と重ね合わせた際に流路3aの中央部に微小孔部4aが重なるような位置に微小孔部4aを有し表面を疎水化処理したSUS304製のステンレス鋼板4を図1のように重ね、分散相流路形成用のアクリル製部品2及び、連続相入口−エマルション出口それぞれの流路を保有するアクリル製部品1で挟みこみ、図1のような乳化装置を作製した。微小孔部4aは各流路の中央部に1.23mm×10.05mmの面積に14112個の出口側(下側)の孔径が3.5μmである貫通孔が30μmピッチで格子状に加工してある。
(3)工程(A)「エマルション作製工程」
上記(2)で作製した乳化装置(A)を水平に置いて使用し、開口部5より上記(1)で調製した界面活性剤を溶解したn−デカンを、分散相入口7より微小孔部4aを通して上記(1)で調製した3号ケイ酸ソーダを1流路あたり12.8ml/hで供給することで、3号ケイ酸ソーダが界面活性剤を溶解したn−デカン中に分散したW/O型エマルション(a)を連続的に製造した。このときn−デカンの供給量は1流路あたり0.31L/hであり、流路における流れ方向の流速は0.5m/sであった。このエマルション作製方法は、低剪断力の攪拌方法である。
得られたエマルションについて、一部を取り出し、後述する工程(B)でゲル化し、工程(D)でシリカ粒子を回収し、得られたシリカ粒子を透過型光学顕微鏡によって観察し、粒子1000個中に粒子の外形を示す円の内側にさらに小さな円が認められる粒子、あるいは、内部が空洞である粒子が割れた破片状の粒子として観察されるもの、すなわち中空粒子の個数を求めた。この中空粒子の個数は多相エマルションの個数として評価され、無しであった。
(4)工程(B)「ゲル化工程」
エマルション(a)を、外径5cmで羽数6枚のパドル翼を用いて200rpmで攪拌(攪拌翼の周速0.5m/s)しながら15分間炭酸ガスを供給し、シリカ粒子を析出させた。
(5)工程(C)「攪拌工程」
上記(4)で得たシリカ粒子を含む液体を、特殊機化工業株式会社製ホモミキサー「T.K.AUTO HOMOMIXER」(攪拌翼外径3.3cm、羽数6枚)で13000rpm(攪拌翼の周速22m/s)にて3分間攪拌した。攪拌後は、容器底および、壁にシリカ粒子が凝集し付着している状態であった。
(6)工程(D)「回収工程」
容器に水を添加し、さらに容器壁に洗浄瓶を使用して水をかけ、シリカ粒子を水相へ移動させた後に、分液ロートに移液し15分間静置させた。この後、沈降したシリカ相と少量の水相のみを分離した。
この際に、シリカ粒子中に含まれる有機物液体を評価するため、分離したシリカ相と水相の一部を遠心分離器(3000rpm、15分)にかけて、浮いてくる有機液体量を計量した。分離後のシリカについては、(8)以降と同様の操作を経てシリカ重量を求め、シリカ重量あたりに同伴されていた有機液体量を算出した。
分液ロートから回収したシリカ粒子及び水相に、硫酸を添加し、COを除去した後、水洗及び120℃で8時間乾燥し、シリカ粒子を得た。得られたシリカ粒子の外観は白色であった。
本試料および、有機液体量測定用に処理した試料の合計量から、本実施例での収率を計算したところ、99%であった。
上記シリカ粒子を透過型光学顕微鏡によって観察し、粒子1000個中に粒子の外形を示す円の内側にさらに小さな円が認められる粒子、あるいは、内部が空洞である粒子が割れた破片状の粒子として観察されるもの、すなわち中空粒子の個数を求めたところ、無しであった。
また、上記シリカ粒子をコールターカウンタ(ベックマンコールター社製)にて測定したところ、50%体積換算粒子径(D50)は9.2μm、90%体積換算粒子径(D90)と10%体積換算粒子径(D10)の比(D90/D10)は1.42であった。また、窒素吸着法により測定したシリカ粒子の細孔容積は1.0cm/gであった。
実施例1のシリカ粒子を走査型電子顕微鏡によって表面形状を観察したところ、きれいな真球状であった。
(実施例2)
実施例2では、小粒径のシリカ粒子をSPG膜を用いて作製した。上記実施例1の(3)と同様の条件にて得られたエマルションを、さらにギアポンプを使用して、70L/hrにてエスピージーテクノ株式会社製の表面疎水化多孔質膜「SPG膜」(φ1cm×乳化使用領域10cm)に通液したエマルションを使用した以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子を作製した。
工程(D)で分離したシリカ相と水相の一部に含まれる有機液体量は1.01ml/gであった。シリカ粒子のD50は2.9μm、D90/D10は1.70、細孔容積は1.0cm/gであった。実施例2のシリカ粒子を走査型電子顕微鏡によって表面形状を観察したところ、きれいな真球状であった。
(比較例1)
上記実施例1において工程(C)を行わない以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子を作製した。
(比較例2)
上記実施例2において工程(C)を行わない以外は、実施例2と同様にしてシリカ粒子を作製した。
(比較例3)
SUS製の2Lの容器に、上記実施例1の(1)で作製した連続相を1.5L入れ、実施例1の工程(C)と同じホモミキサーを用いて13000rpm(攪拌翼の周速22m/s)で攪拌しながら、実施例1の(1)と同様の水ガラスを、実施例1の水ガラス、連続相比となるよう62ml添加した後、添加終了後から10分間同条件にて乳化を行った。次いで、同攪拌条件のまま炭酸ガスを添加し、さらに15分間攪拌した。上記以外は、実施例1の(6)以降と同等の処理を行った。
各比較例のシリカ粒子を実施例1と同様に評価し、結果を表1に併せて示す。また、比較例1〜3のシリカ粒子を走査型電子顕微鏡によって表面形状を観察したところ、きれいな真球状であった。
Figure 2014105126
表1に示すように、実施例の製造方法では、中空粒子の発生を防いで、シリカ粒子の収率が高く、また、シリカ粒子への有機液体の混入が防げた。実施例2では小粒径のシリカ粒子であっても収率が高かった。
比較例1及び2は、ゲル化後に高速攪拌をしない製造方法であり、収率が低下し、また、シリカ粒子へ有機液体が混入した。比較例3は、乳化工程から高速攪拌をする製造方法であり、中空粒子が発生した。
また、各実施例のゲル化後の攪拌の周速は、(10.0/A+7.0)で表されるBの値よりもいずれも大きく、適正な範囲であった。
図2は、実施例1のシリカ粒子の透過型光学顕微鏡写真を示し、図3は、実施例2のシリカ粒子の透過型光学顕微鏡写真を示し、図4は、比較例3のシリカ粒子の透過型光学顕微鏡写真を示す。各図中のスケール表示は20μmである。図2及び3に示すように、実施例1及び2のシリカ粒子はきれいな真球状の粒子であり、中空粒子が確認されなかった。図4に示すように、比較例3のシリカ粒子には中空粒子が多数確認された。
1 アクリル樹脂製部品
2 アクリル樹脂製部品
3 ステンレス鋼板(マイクロチャネル形成シート)
3a 流路(マイクロチャネル)
4 ステンレス鋼板
4a 微小孔部

Claims (7)

  1. シリカ含有前駆体を含む分散相と連続相とを含み、エマルション液滴1000個中の多相エマルション液滴の個数が20個以下であるエマルションを作製する工程(A)、
    前記シリカ含有前駆体を含むエマルション液滴を固形化してシリカ含有粒子を形成する工程(B)、
    前記シリカ含有粒子を含む液体を、撹拌部材を用いて周速7.5m/s以上で攪拌する工程(C)、及び
    前記シリカ含有粒子を回収する工程(D)を含む、シリカ含有粒子の製造方法。
  2. 前記工程(A)は、対向する一対の面の少なくとも一方に微小孔部が形成され、前記一対の面の面間距離が1mm以下である流路を流れる連続相に、シリカ含有前駆体を含む分散相を、前記微小孔部を通して押し出すことにより前記エマルションを作製する、請求項1に記載のシリカ含有粒子の製造方法。
  3. 目的とするシリカ含有粒子の平均粒子径をAμmとする場合、前記撹拌部材の周速Bm/sがB≧(10.0/A+7.0)を満たすように撹拌する、請求項1または2項に記載のシリカ含有粒子の製造方法。
  4. 得られるシリカ含有粒子の平均粒子径が1〜20μmである、請求項1から3のいずれか1項に記載のシリカ含有粒子の製造方法。
  5. 得られるシリカ含有粒子の体積換算粒子径の90%粒子径(D90)と10%粒子径(D10)の比(D90/D10)が1.8以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のシリカ含有粒子の製造方法。
  6. 得られるシリカ含有粒子において1000個中の中空粒子の個数が20個以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載のシリカ含有粒子の製造方法。
  7. 前記分散相がケイ酸ナトリウム水溶液を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のシリカ含有粒子の製造方法。
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