JP2014102485A - Led用光学素子及びled照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型であり、熱変形を抑制しつつも、光の利用効率を高め、色ムラの改善を実現できる光学素子及びそれを用いた低背のLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED2の黄色蛍光体2dから出射された光は、実線で示すように、入射面1aから入射した後、出射面1bに入射した際に、全反射して底面1d側に向かう。この反射光を、凹部1gの外向き面1goで反射して、フランジ面1fもしくは出射面1bを介して出射するようになっている。これにより、光の利用効率を高め、色ムラを抑制することができる。
【選択図】図1
【解決手段】LED2の黄色蛍光体2dから出射された光は、実線で示すように、入射面1aから入射した後、出射面1bに入射した際に、全反射して底面1d側に向かう。この反射光を、凹部1gの外向き面1goで反射して、フランジ面1fもしくは出射面1bを介して出射するようになっている。これにより、光の利用効率を高め、色ムラを抑制することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、比較的大面積の面部材の背面側に設置され、前記面部材を介して光が通過するように照明を行うLED用光学素子及びLED照明装置に関する。
従来の大型の液晶ディスプレイ装置では、液晶パネル背面に配置された多数の冷陰極管からの光を拡散板や反射板等を介して、液晶パネルの背面側に導光し、バックライトとして均一に照明することで明瞭に画像が視認できるようにしていた。これに対し近年では、省エネの観点から、バックライトの光源としてLEDが使用されるようになってきた。また、液晶ディスプレイ装置に表示される画像に応じて明暗を制御することができるという観点からも、LEDは使いやすく、これにより更に液晶ディスプレイ装置の消費電力を下げることができる。
このように液晶ディスプレイ装置のバックライトとしてLEDを用いる場合、LEDのチップ自体が小さいため、かかるチップを液晶パネルの背面側に直接配置しようとすると、均一な照度を確保するためには、無数のチップが必要になって現実的でない。そこで、LEDから放出された光を均一照度の照明光に変換する光学素子が必要になる。特許文献1〜3には、LEDからの光を入射してなるべく均一照度な照明光に変換することができる、液晶用バックライト用の光学素子が開示されている。
ところで、液晶パネルで表示される画像を自然な色で発色させるために、白色光を発光させるLEDが用いられる。このように白色光を発光させるLEDとしては、現在のところ、青色光を出射する青色LEDチップと、青色LEDチップから出射された青色光によって黄色光を出射する蛍光体を組み合わせたものが広く用いられている。
しかるに、青色LEDチップと蛍光体とを用いた白色LEDの特性として、チップと蛍光体の面積差のほか、蛍光体を通過した白色光において倍率色収差や、蛍光体の厚さの不均一等によって発生する光軸を中心としたイエローリングと呼ばれる色ムラが生じる恐れがあり、このような色ムラが生じた白色光を液晶パネルの背面に照射すると、液晶パネルに表示される画像の自然な発色を損なう恐れがある。
加えて近年では、大型の液晶ディスプレイ装置用のバックライトにおいて、コストを抑えるために、LEDチップの1台あたりの使用個数を減少させることが望まれている。このようにLEDチップの数を減らした場合、LEDチップの1台あたりの光量を増大(ハイパワー化という)する必要が出てくる。さらに、LEDから出射された光をより広範囲に広げるために、光学素子にはより広範な配光特性(高配光という)を有することが望まれる。
LEDチップをハイパワー化すると、それに伴って発熱量も高くなり、光学素子の熱変形という問題点が生じてくる。耐熱性の高いガラスを光学素子に使用することもできるが、コスト高を招くため、耐熱性の高い樹脂であるポリカーボネートを使用する場合がある。ポリカーボネートは屈折率が高いため、LEDから出射された光は光学素子の出射面で全反射しやすく、出射面で全反射した光は光学素子内部で多重反射し、液晶パネル方向に向かう光が発生して色ムラが生じる恐れがある。特に、青色LEDチップから出射する光の放射角よりも蛍光体から出射する光の放射角の方が広いため、蛍光体から出射する光の方が光学素子の出射面で全反射しやすく、その結果、色ムラがより発生しやすくなる。
また、光学素子を高配光とするためには、光学素子の出射面の曲率(C=1/R)を大きくする方法があるが、光学素子の出射面に対してLEDから出射された光の入射角が大きくなるため全反射する確率が増え、色ムラが生じやすい。
これに対し、特許文献1の技術によれば、光学素子の光出射面で反射した光を、底面に設けた楔形の複数の凹部で反射させて光軸から離れる方向に出射することができる。しかしながら、半径方向内側にある楔形の凹部で反射した光は、それより半径方向外側にある楔形の凹部に入射することで、液晶パネル方向に向かう光が発生して色ムラとなる恐れがあり、本願発明のような色ムラを解決することはできない。さらに、楔形の複数の凹部で反射させた光を出射光として用いることができないため、本願発明のような光の利用効率を高くすることができない。
次に、特許文献2の技術によれば、光学素子の内面反射した光を、半径方向外側にある反射面で反射させて光軸から離れる方向に出射することができる。しかしながら、特許文献2の反射面は、光学素子の入射面側を光軸中心に突出して形成したものであり、凸状になっている。そのため厚さが通常より厚い特注のLEDを用いざるをえず、コスト高を招く。これに対し、より薄い汎用のLEDを用いると、反射面が基板と接触してしまうので、反射面形状を変更しなくてはならず、反射光の向きが限定されるという問題がある。また、特許文献2では反射面を光軸方向と周辺方向に対して厚くする形状で設計している。そしてレンズ中心の光軸付近においては、出射面、入射面によって構成される厚みが最薄部となっている。これらレンズ構成により、レンズの中心と周辺で偏肉比が悪くなるため、レンズの成形が非常に困難になる。更に特許文献2では、凸状の反射面が光軸から外側に向かって厚くなる形状のため、仮に反射面を内側に持ってきた場合最外周部はレンズ厚みが更に増して薄型化するのが困難になってしまう。つまり引用文献2の技術では反射面の配置について設計自由度が少ないことがわかる。また仮に周辺に向かって厚みが一定になるような形状にしたとしてもレンズの全体の体積を増やすことになり成形性が悪化する。更に、レンズの体積を抑えるために周辺に向かって厚みが薄くなるように設計しようとすると、今度は反射面の一部が光軸方向に向いてしまい、反射面で複数回、反射して光軸方向に進む光が発生してしまい、色ムラなく設計を行うのが非常に困難となる。つまり反射面を凸状の形状とするには種々の問題点が有ることがわかる。
加えて、特許文献2では、光学素子を支持する為LED上に光学素子を直接当接させているので、LEDチップをハイパワー化すると大量の熱が光学素子に伝わって、光学素子の熱変形等を生じさせる恐れがある。
更に、特許文献3の技術によれば、光学素子の光出射面で反射した光を、底面に設けた光軸直交方向断面が直角三角形である光散乱部により反射させている。しかしながら、光散乱部を設けることで色ムラはある程度改善できるものの、特許文献3のような光散乱部の反射面が平面である構造では積極的に色ムラの制御を行うことは困難である。
更に、LEDから出射された光が光入射面を通過したあと、光散乱部に直接、入射した場合、それらの光は光出射面方向に向かう場合がある。つまり特許文献3のように、入射面と底面の交点と、外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、光散乱部の頂点が出射側にあるように構成されている場合、光源からほぼ真横に出射される80〜90°の光は光入射面を通過したあと、光散乱部の斜面部を介して光出射面方向に向かう光となり、その結果、迷光となって色ムラの原因になるといった問題が生じる。
更に、いずれの特許文献でも、光学素子の光出射面で反射する光は、LEDの中心から出射した光を想定しているが、本発明者の研究結果によれば、LEDの蛍光体から出射した光が、光学素子の出射面で反射することで色ムラをより発生しやすくすることがわかっており、その対策については、いずれの特許文献にも記載されていない。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、薄型であり、熱変形を抑制しつつも、光の利用効率を高め色ムラの改善を実現できる光学素子及びそれを用いた低背のLED照明装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光学素子は、LEDの光放出面側に前記LEDに非接触の状態で配置され、前記LEDから出射された光が入射する光学素子であって、前記LEDから出射された光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を出射する出射面と、前記入射面の光軸直交方向で外側に配置された底面と、前記底面の縁と繋がる外周面とを有し、前記底面には、くぼんだ単一の凹部が設けられ、前記凹部は曲率を持ち連続した面からなり、前記凹部の頂点は、光軸直交方向からみたとき、前記入射面と底面の交点と、前記外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、前記底面側に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、前記LEDに対して非接触であるから、前記LEDをハイパワー化しても前記光学素子への伝熱を極力抑制できる。また、前記凹部が曲率を持ち連続した面からなるので、特に前記LEDの蛍光体から出射される光が、前記光学素子の出射面で反射した際に、かかる反射光を比較的広い前記凹部の曲面で反射させ、制御した方向に出射することができ、これにより光の利用効率を高めることができ、もって色ムラを抑制できる。又、前記凹部は単一であるので、前記凹部の面で反射した光を、遮ることなく前記光学素子の外部へと有効に出射させることができる。更に、前記凹部が、前記LEDの光放出面より前記出射面側にくぼんでいるので、前記光学素子を薄型化することができる。そして凹部の頂点が光軸直交方向からみたとき、前記入射面と底面の交点と、前記外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、前記底面側に設けられているので、LEDから80〜90°とほぼ真横に出射し入射面で屈折した光が凹部よりも出射面側を通るため、凹部で反射して迷光となり色ムラとなるのを抑えることができる、低背のLED照明装置を提供できる。
ここで、入射面とはLEDから出射された光が入射する面ではあるが、1面にかぎらず光軸に対して外側に複数面あってもよい。この場合の入射面とは複数面を含む概念であり、入射面のもっとも外周部は底面と接する位置である。更に出射面とは入射面から入射した光を出射する出射面であるが、複数の面を有していてもよい。また底面とは、LEDから出射された光に対して光軸直交方向で前記LEDの光放出面より前記出射面から遠ざかって配置された面ではあるが、レンズを支える複数の脚部などを有してもよい。また外周面とは、光学素子の最外周部に位置しており、直接、出射面と繋がっていても良いし、その間につなぎ面を有しても良いし、底面との間につなぎ面を有してもよい。これら外周面(つなぎ面含む)は光軸方向に対して交差するような角度を持って設けられていてもよい。このように角度を持っている場合、積極的に外周面に入光した光を利用して光量を増やすこともできる。これらの場合、つなぎ面をフランジとして用いても良い。さらに外周面は鏡面にして光学面として用いても良く、その場合曲率をもっていても良い。好ましくは抜きテーパーのために0〜3°の角度がついていても良い。また単一の凹部とは、光学素子の光軸方向における断面において、入射面を中心として左右に1つずつ(計2つ)存在する底面に、それぞれ一つだけ(断面において計2つ)凹部が存在していることを言う。また入射面側から底面を光軸方向に見た場合、ドーナッツ状に凹みが設けられている事を言う。更に凹部の頂点とは、光軸方向において凹部の面のうち最も出射面側となる点のことをいい、レンズを入射面から見た場合では凹部のなかで、一番深い点で構成される円形状の部位である。
請求項2に記載の光学素子は、請求項1に記載の発明において、前記凹部は非球面形状を有することを特徴とする。
前記凹部が非球面形状を有していると、前記光学素子の入射面で反射した光を、より高精度に、制御した方向に出射することができ、色ムラを抑制できる。
請求項3に記載の光学素子は、請求項1又は2に記載の発明において、前記凹部の光軸直交方向の幅は、前記光学素子の半径の10%以上であって、50%以下であることを特徴とする。
これにより、前記凹部で反射できる光の量を増大させて、光の利用効率を高めることができるとともに、光学素子を安定して固定できる。
請求項4に記載の光学素子は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記光学素子の光軸方向断面において、前記凹部の頂点から前記入射面側の凹部の面の長さは、前記凹部の頂点から前記外周面側の凹部の面の長さより短いことを特徴とする。
これにより、前記凹部の光軸直交方向外向き面で反射できる光の量を増大させて、光の利用効率を高めることができる。
請求項5に記載の光学素子は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記LEDから出射され前記光学素子の入射面から入射した光のうち、前記凹部の光軸直交方向外向き面で反射する光は、光軸直交方向より前記出射面側に向かうことを特徴とする。
これにより、高配光を実現できるとともに、前記凹部の光軸直交方向外向き面で反射した光を用いて、色ムラを抑制することができる。また、前記凹部の光軸直交方向内向き面で反射した光を用いて、色ムラ抑制制御を行うこともできる。
請求項6に記載の光学素子は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記LEDから出射され前記光学素子の入射面から入射した光のうち、前記凹部の光軸直交方向外向き面で反射する光は、前記光学素子の前記外周面を通過することを特徴とする。
前記外周面を通過した光を用いて、色ムラを抑制する制御を行うことができる。なお、外周面にはLEDから出射された光が光学素子の入射面に入射した後、光学素子の出射面を通過せず、外周面を通過することもある。
請求項7に記載の光学素子は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、光軸方向断面において前記外周面の出射面側の縁からなる点をAと、前記外周面の出射面側の縁からなる点から、底面に向かって光軸と平行に伸ばした時に底面又はその延長面と交差する点をBとし、前記点Aと前記点Bを結んだ線分をhとした場合であって、前記凹部の頂点は、光軸直交方向からみたとき、h/2に該当する点と、前記入射面と底面の交点と、を結んだ線よりも前記底面側に設けられていることを特徴とする。
これにより、前記出射面から出射された光で、光学素子の出射面を通過する光を前記凹部で直接反射することが抑制され、かつ一部の出射面から直接外周面に入光することが可能となるため、外周面で屈折した光も光源として利用でき、更に光の利用効率を高めることができる。
請求項8に記載の光学素子は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記光学素子は、アクリル又はポリカーボネートから形成されていることを特徴とする。
アクリル又はポリカーボネートは光透過性に優れる。特に、ポリカーボネートは耐熱性に優れ、高屈折率であるため、特に本発明に効果がある。
請求項9に記載のLED照明装置は、LEDと、前記LEDの光放出面側に該LEDに非接触の状態で配置され、前記LEDから出射された光が入射する光学素子とを有するLED照明装置であって、前記LEDは、第1の色の光を出射するLEDチップと、前記LEDチップから出射された前記第1の色の光によって前記第1の色とは異なる第2の色を出射する蛍光体を有し、前記光学素子は、前記LEDから出射された光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を出射する出射面と、前記LEDから出射された光の光軸に対して光軸直交方向で前記LEDの光放出面より前記出射面から遠ざかって配置された底面と、前記底面の縁と繋がる外周面と、を有し、前記底面には、前記LEDの光放出面より前記出射面側にくぼんだ単一の凹部が設けられており、前記凹部は曲率を持ち連続した面からなり、前記凹部の頂点は、光軸直交方向からみたとき、前記入射面と底面の交点と、前記外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、前記底面側に設けられており、前記蛍光体から出射した光は、前記入射面から入射して前記出射面で反射した後、前記凹部で反射することを特徴とする。
本発明によれば、前記LEDに対して非接触であるから、前記LEDをハイパワー化しても前記光学素子への伝熱を極力抑制できる。また、前記凹部が曲率を持ち連続した面からなるので、特に前記LEDの蛍光体から出射した光が、前記光学素子の出射面で反射した際に、かかる反射光を比較的広い前記凹部の曲面で反射させ、制御した方向に出射することができ、これにより光の利用効率を高めることができ、もって色ムラを抑制できる。又、前記凹部は単一であるので、前記凹部の面で反射した光を、遮ることなく前記光学素子の外部へと有効に出射させることができる。更に、前記凹部が、前記LEDより前記出射面側にくぼんでいるので、前記光学素子を薄型化することができる。そして凹部を光軸直交方向からみたとき、前記入射面と底面の交点と、前記外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、前記底面側に設けられているので、LEDから80〜90°とほぼ真横に出射し入射面で屈折した光が凹部よりも出射面側の通るため凹部で反射して迷光となり色ムラとなるのを抑えることができる低背のLED照明装置を提供できる。
本発明に係るLED(Light Emitting Diode)照明装置は、LEDと、光学素子と、を有するものである。
LEDとしては、様々なものを用いることが出来るが、光放出面がフラットな形状を有し、更に白色光を出射する白色LEDを用いることが好ましい。
白色LEDとしては、青色LEDチップと青色LEDチップから出射される青色光によって黄色光を出射するYAG蛍光体等の蛍光体を組み合わせたものが好ましく用いられる。白色LEDとしては、例えば特開2008−231218号公報に記載されたものを用いることができるが、これに限られない。
白色LEDは、具体的には、LEDチップと、LEDチップを覆うようにしてその上に形成された蛍光体層から構成されている。LEDチップは、第1の所定波長の光(第1の色の光)を出射するものであり、本実施の形態においては青色光を出射するようになっている。但し、本発明のLEDチップから出射される光の波長、及び、蛍光体から出射される光の波長は限定されず、LEDチップから出射される光と蛍光体から出射される光とで混色された光が、白色光となる組合せであればものであれば、使用可能である。
なお、このようなLEDチップとしては、公知の青色LEDチップを用いることができる。青色LEDチップとしては、InxGa1-xN系をはじめ既存のあらゆるものを使用することができる。青色LEDチップの発光ピーク波長は440〜480nmのものが好ましい。また、LEDチップの形態としては、基板上にLEDチップを実装し、そのまま上方または側方に放射させるタイプ、又は、サファイア基板などの透明基板上に青色LEDチップを実装し、その表面にバンプを形成した後、裏返して基板上の電極と接続する、いわゆるフリップチップ接続タイプなど、どのような形態のLEDチップでも適用することが可能である。
蛍光体層は、LEDチップから出射される第1の所定波長の光を第2の所定波長の光(第2の色の光)に変換する蛍光体を有している。後述する実施の形態では、LEDチップから出射される青色光を黄色光に変換するようになっている。
このような蛍光体層に用いられる蛍光体は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La及びGaの原料として酸化物、又は高温で容易に酸化物になる化合物を使用し、それらを化学量論比で十分に混合して原料を得る。又は、Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈したものを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して混合原料を得る。これにフラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して加圧し成形体を得る。成形体を坩堝に詰め、空気中1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成して、蛍光体の発光特性を持った焼結体を得ることができる。
LEDは、高出力LEDであることが好ましい。ここで、高出力LEDとしては、出力が0.5ワット以上のLEDにより構成することができる。
光学素子は、プラスチックで構成されていると好ましい。光学素子を構成するプラスチックとしては、例えばポリカーボネートを用いることで、射出成形により製造でき、製造コストを大幅に低減させることができる。ただし、素材はこれに限られない。
本発明によれば、薄型であり、熱変形を抑制しつつも、光の利用効率を高め、色ムラの改善を実現できる光学素子及びそれを用いた低背のLED照明装置を提供することができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1(a)は、本実施の形態にかかるLED照明装置の光軸方向断面図である。本実施の形態にかかるLED照明装置は、光学素子1と、回路基板3上に形成されたLED2を有している。図1(b)に示すように、LED2は、青色光を放出する中央のLEDチップ2cと、その光放出側を覆うように設けられた円形の黄色蛍光体2dとを積層してなるフラットな光放出面2aを有している。光放出面2aの周囲は、全体的に矩形状であるヒートシンク2bとなっている。光学素子1はLED2に対して非接触であるから、LED2をハイパワー化しても光学素子1への伝熱を極力抑制できる。
光学素子1は、プラスチックとしてポリカーボネート又はアクリルを用いて成形により形成されている。さらに、光学素子1は、LED2の光放出側に配置されており、LED2からの発光光が入射する凹状の入射面1aと、入射面1aから入射した光を外部に放出する全体的に凸状の出射面1bと、LED2の光軸直交方向外側で基板3に対向する底面1dと、出射面1bの外周に設けられた円筒面もしくは円錐面である外周面1fとつなぎ面f2を有する。これらフランジ面としての外周面1fとつなぎ面f2は、光学素子1を射出成形する際に、ゲートが設けられる部位である。
入射面1aは、光軸OAを含む凹状の非球面形状である内側面1a1と、テーパ状の外側面1a2と、それらをつなぐ平面1a3とからなる。出射面1bは、光軸付近が凹状であって、周囲が凸状であるが、全体として凸状でもよい。
底面1dには、LED2より出射面1b側にくぼんだ単一の凹部(ここでは光軸OAを中心とした環状溝)1gが設けられており、凹部1gは曲率を持つ非球面であって連続した面からなる。凹部1gは、頂点Pで光軸方向外向き面1goと内向き面1gnとに分けられており、外向き面1goの幅Aは、内向き面1gnの幅Bより長くなっており、B/Aは0.8以上であると好ましい。更に、光学素子の半径(R)に対する凹部1gの幅(A+B)は、10%以上であって50%以下である。尚、凹部1gは、テーパ状の外側面1a2の縁(底面1dと接する点D)と出射面1bの縁とを結ぶ面TPよりもLED側に存在する。更に、図1の断面において外周面1fの出射面1b側の縁からなる点をAとし、点Aから、底面1dに向かって光軸OAと平行に伸ばした時に底面1dの延長面と交差する点をBとし、点Aと点Bを結んだ線分をhとした場合、凹部1gの頂点Pは、光軸直交方向からみたとき、h/2に該当する点Cと、入射面(外側面1a2)と底面1dの交点Dと、を結んだ線TP’よりも底面1d側に設けられている。
平面状の底面1dは、金型の対応する転写面の粗度を高めることで、拡散作用を持つ粗し面(面粗さがRa0.2μm以上のもの)とできる。粗し面以外にシボ加工や粗し加工を施した面、或いは図6に示すような、微小なピラミッド構造を2次元的に並べた形状でも拡散作用を持たせることができる。また、外周面1fも、金型の対応する転写面の粗度を高めることで、拡散作用を持つ粗し面とできる。ただし、凹部1gは鏡面であることが好ましい。一般的に鏡面はRa0.025μm以下をいう。
本実施の形態では、底面1dは、周方向に等間隔に3つの脚部1cを有しており、脚部1cを基板3の表面に当接させて取り付けられている。脚部1cを周方向に不連続に配置することで、LED2を密封することが抑制され、LED2の配線の引き出しや通気性、放熱性の確保を行える。脚部1c全体は、底面1dと同様に、金型の対応する転写面の粗度を高めることで、拡散作用を持つ粗し面とできる。なお、本発明は脚部を持つものに限るものではなく、脚部を持たなくても良い。
本実施の形態では、LED2の黄色蛍光体2dから出射された光は、実線で示すように、入射面1aから入射した後、出射面1bに入射した際に、全反射して底面1d側に向かう。この反射光を、凹部1gの外向き面1goで反射して、フランジ面1fもしくは出射面1bを介して出射するようになっている。これにより、光の利用効率を高め、色ムラを抑制することができる。なお、LED2の黄色蛍光体2dから出射された黄色光に限るものではなく、LEDチップ2cから出射される青色光でもあてはまる。
(実施例1)
図2は、凹部を設けていない比較例にかかる光学素子の断面図であり、図3は、凹部を設けた実施例1にかかる光学素子の断面図であり、両者は凹部の有無以外は共通している。図2に示す比較例では、LED2の黄色蛍光体2dから出射され入射面から入射した光は、出射面で反射した後に、底面やフランジ面などで反射を繰り返し、制御されない状態で光学素子の外部に出射する。特に底面と出射面で反射した光線は光軸側に向かうものがあるため、配光が狭くなるという問題がある。これに対し、図3に示す実施例では、LED2の黄色蛍光体2dから出射され入射面から入射した光は、出射面で反射した後に、凹部で反射して、直ちに光学素子の外部へと出射するようになる。これにより光軸側に向かう光が減り、配光を広く確保できる。
図2は、凹部を設けていない比較例にかかる光学素子の断面図であり、図3は、凹部を設けた実施例1にかかる光学素子の断面図であり、両者は凹部の有無以外は共通している。図2に示す比較例では、LED2の黄色蛍光体2dから出射され入射面から入射した光は、出射面で反射した後に、底面やフランジ面などで反射を繰り返し、制御されない状態で光学素子の外部に出射する。特に底面と出射面で反射した光線は光軸側に向かうものがあるため、配光が狭くなるという問題がある。これに対し、図3に示す実施例では、LED2の黄色蛍光体2dから出射され入射面から入射した光は、出射面で反射した後に、凹部で反射して、直ちに光学素子の外部へと出射するようになる。これにより光軸側に向かう光が減り、配光を広く確保できる。
図4は、本発明者がシミュレーションで求めたLED照明装置の照度分布であり、縦軸に照度をとり、横軸に光軸からの半径をとって示すグラフであり、凹部を設けていない比較例(図2参照)の特性を実線で示し、凹部を設けた実施例(図3参照)の特性を一点鎖線で示す。図4から明らかなように、凹部を設けない比較例に比べ、本実施例では照度分布が均一に近づいており、凹部を設けることで、配光が広がるとともに光の利用効率が高まることがわかる。
図5は、本発明者がシミュレーションで求めた、図2,3の光学素子を持つLED照明装置から出射される光の色の特性を示す図であり、図5(a)は比較例1におけるCIE表色系のX軸に関するグラフであり、図5(b)は、比較例1におけるCIE表色系のY軸に関するグラフであり、図5(c)は実施例1におけるCIE表色系のX軸に関するグラフであり、図5(d)は、実施例1におけるCIE表色系のY軸に関するグラフである。
図5において、(a)と(c)は縦軸にCIE表色系でのx値、(b)と(d)は縦軸にCIE表色系でy値をとっている。また、(a)から(d)の横軸には光軸を0としたときの被照射面の位置をとって示している。図5のグラフがフラットに近づくほど、被照射面の位置に関わらず出射光の色が均一に近づき、バックライトとしての特性に優れる。
ここで、図5で(a)と(c)、(b)と(d)をそれぞれ比較してみると、(a)と(b)のP−Vはそれぞれ0.11、0.18に対して、(c)と(d)のP−Vはそれぞれ0.08、0.14となっている。これは、出射面で全反射した光を凹部で反射して直ちに外部へと出射させたため、黄色成分が減ったことによるものと考えられる。つまり図5(c)、(d)に示す特性を持つ、図3の実施例にかかる光学素子を用いることで、光軸を中心としたイエローリングと呼ばれる色ムラが抑制されることがわかる。
(実施例2)
図7に、実施例2にかかる光学素子を示す図である。上述した実施例1と同様な構成要素については同じ符号を用いる。図中の数字は、寸法(mm)である。出射面1bや凹部1gの形状によって、凹部1gと外周面1fとの間の面が底面1d(凹部1gと入射面1aとの間の面)より基板3に対して出射面1b側にシフトする場合があるが、そのような場合でも、凹部1gで反射した光線は更に外周面1fを通過することで、色ムラを有効に抑制できる。又、底面1d(凹部1gと入射面1aとの間の面)を、拡散作用を持つ面としても良い。これにより、出射面1bで全反射して底面1dに入射する光線、基板3から反射して底面1dに入射する光線等に拡散効果を付与することで、色ムラを抑制することができる。
図7に、実施例2にかかる光学素子を示す図である。上述した実施例1と同様な構成要素については同じ符号を用いる。図中の数字は、寸法(mm)である。出射面1bや凹部1gの形状によって、凹部1gと外周面1fとの間の面が底面1d(凹部1gと入射面1aとの間の面)より基板3に対して出射面1b側にシフトする場合があるが、そのような場合でも、凹部1gで反射した光線は更に外周面1fを通過することで、色ムラを有効に抑制できる。又、底面1d(凹部1gと入射面1aとの間の面)を、拡散作用を持つ面としても良い。これにより、出射面1bで全反射して底面1dに入射する光線、基板3から反射して底面1dに入射する光線等に拡散効果を付与することで、色ムラを抑制することができる。
実施例2において、入射面1aの内側面1a1は単一の非球面であり、出射面1bは、光軸を含む第1領域1b1,その外側の第2領域1b2、その外側の第3領域1b3の3領域からなる非球面形状である。より具体的には、出射面1bは、光軸OAの周囲の、光軸を中心としてくぼんだ第1領域1b1と、その外側の第2領域1b2と、最も外側の第3領域1b3とからなる。実施例2では、第1領域1b1と第2領域1b2との段差は約4um、第2領域1b2と第3領域1b3との段差は約20umであるが、領域間を連続としても良い。表1に実施例2のレンズデータを示す。
尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−3)を用いて表す場合がある。LED光源の光出射面の中心部の座標を原点とし、原点を通る、出射面に垂直な線を光軸とした時、光学素子の光学面は、それぞれ数1式に表に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。
ここで、X(H)は原点から光軸方向の距離、κは円錐係数、Aiは非球面係数、Hは光軸垂直方向の光軸からの距離(半径)、rは曲率半径である。
表2A,2Bに、実施例2の入射面と出射面におけるサグ量のデータを示す。表中、SAG(H)は、半径Hにおける光軸方向の座標(単位:mm)である。図8に、縦軸にSAG(H)をとり、横軸に光軸からの距離をとって、実施例2の入射面と出射面のサグ量の値を示す。
図9は、本発明者がシミュレーションで求めた、図7の光学素子を持つLED照明装置から出射される光の色の特性を示す図であり、図9(a)は実施例2におけるCIE表色系のX軸に関するグラフであり、図9(b)は、実施例2におけるCIE表色系のXYに関するグラフである。図10(a)は、比較例2におけるCIE表色系のX軸に関するグラフであり、図10(b)は、比較例2におけるCIE表色系のXYに関するグラフである。それぞれ、実線が図7(a)に示す座標軸のY方向断面、点線がX方向断面に相当する。尚、比較例2は、実施例2の凹部1gを底面と同じレベルで平面に置換したものであり、それ以外の形状は実施例2と同じである。
図9,10を比較すると明らかであるが、比較例2の場合、光軸付近に小さなピーク波形が生じており、これが色ムラの要因になる。これに対し、実施例2の場合、同ピークが目立たなくなっている。これにより凹部1gを設ける効果が確認された。
尚、図11に示す変形例のように、より熱の対流を促進させるべく、底面1d(入射面1aと凹部1gとの間の面)を、基板3に対して出射面1b側にシフトするようにして、基板3との隙間を広げることができる。かかる場合、底面1dを、拡散作用を持つ面とすることで、LED光源2から直接、入射面1aと凹部1gとの間の面に入射しても色ムラを抑制できる。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。例えば、本発明は液晶ディスプレイのバックライト用だけでなく、看板照明用の照明装置等としても用いることができる。
1 光学素子
1a 入射面
1b 出射面
1c 脚部
1d 底面
1f 外周面
1g 凹部
2 LED
2a 光放出面
2b ヒートシンク
3 回路基板
1a 入射面
1b 出射面
1c 脚部
1d 底面
1f 外周面
1g 凹部
2 LED
2a 光放出面
2b ヒートシンク
3 回路基板
Claims (9)
- LEDの光放出面側に前記LEDに非接触の状態で配置され、前記LEDから出射された光が入射する光学素子であって、
前記LEDから出射された光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を出射する出射面と、前記入射面の光軸直交方向で外側に配置された底面と、前記底面の縁と繋がる外周面とを有し、
前記底面には、くぼんだ単一の凹部が設けられ、
前記凹部は曲率を持ち連続した面からなり、
前記凹部の頂点は、光軸直交方向からみたとき、前記入射面と底面の交点と、前記外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、前記底面側に設けられていることを特徴とする光学素子。 - 前記凹部は非球面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記凹部の光軸直交方向の幅は、前記光学素子の半径の10%以上であって50%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
- 前記光学素子の光軸方向断面において、前記凹部の頂点から前記入射面側の凹部の面の長さは、前記凹部の頂点から前記外周面側の凹部の面の長さより短いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子。
- 前記LEDから出射され前記光学素子の入射面から入射した光のうち、前記凹部の光軸直交方向外向き面で反射する光は、光軸直交方向より前記出射面側に向かうことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子。
- 前記LEDから出射され前記光学素子の入射面から入射した光のうち、前記凹部の光軸直交方向外向き面で反射する光は、前記光学素子の前記外周面を通過することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子。
- 光軸方向断面において前記外周面の出射面側の縁からなる点をAと、前記外周面の出射面側の縁からなる点から、底面に向かって光軸と平行に伸ばした時に底面又はその延長面と交差する点をBとし、前記点Aと前記点Bを結んだ線分をhとした場合であって、前記凹部の頂点は、光軸直交方向からみたとき、h/2に該当する点と、前記入射面と底面の交点と、を結んだ線よりも前記底面側に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子。
- 前記光学素子は、アクリル又はポリカーボネートから形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学素子。
- LEDと、前記LEDの光放出面側に該LEDに非接触の状態で配置され、前記LEDから出射された光が入射する光学素子とを有するLED照明装置であって、
前記LEDは、第1の色の光を出射するLEDチップと、前記LEDチップから出射された前記第1の色の光によって前記第1の色とは異なる第2の色を出射する蛍光体を有し、
前記光学素子は、前記LEDから出射された光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を出射する出射面と、前記LEDから出射された光の光軸に対して光軸直交方向で前記LEDの光放出面より前記出射面から遠ざかって配置された底面と、前記底面の縁と繋がる外周面と、を有し、前記底面には、前記LEDの光放出面より前記出射面側にくぼんだ単一の凹部が設けられており、前記凹部は曲率を持ち連続した面からなり、
前記凹部の頂点は、光軸直交方向からみたとき、前記入射面と底面の交点と、前記外周面の出射面側の縁と、を結んだ線よりも、前記底面側に設けられており、
前記蛍光体から出射した光は、前記入射面から入射して前記出射面で反射した後、前記凹部で反射することを特徴とするLED照明装置。
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