JP2014102278A - 駆動制御装置および駆動制御方法ならびに駆動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、位置センサの不要な駆動制御装置および駆動制御方法ならびに駆動システムを提供する。
【解決する手段】本発明の駆動制御装置は、構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材14と、所定の摩擦力で移動部材14と摩擦係合する駆動部材11と、移動部材14を動かす駆動力を生成する電気機械変換素子12とを備える駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置であって、音を検出する音検出部9と、音検出部9で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で生じる音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断する判断部32と、判断部32の判断結果に基づいて、駆動装置を制御する駆動制御部31とを備える。
【選択図】図1
【解決する手段】本発明の駆動制御装置は、構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材14と、所定の摩擦力で移動部材14と摩擦係合する駆動部材11と、移動部材14を動かす駆動力を生成する電気機械変換素子12とを備える駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置であって、音を検出する音検出部9と、音検出部9で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で生じる音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断する判断部32と、判断部32の判断結果に基づいて、駆動装置を制御する駆動制御部31とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置および駆動制御方法に関する。そして、本発明は、駆動装置とこの駆動制御装置を備える駆動システムに関する。
可動部分を含む機械装置には、通常、前記可動部分を動かすためにアクチュエータ(駆動装置)が組み込まれている。このアクチュエータは、入力エネルギーを機械的な運動に変換する装置である。このアクチュエータには、さまざまな態様の装置が知られているが、その一つに、移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置がある。この駆動装置の典型例として、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism、「SIDM」は登録商標)と称される、例えば圧電素子等の電気機械変換素子を用いた装置が知られている。
このSIDMの駆動装置は、通常、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子、前記電気機械変換素子の一方端部に固定され前記機械エネルギーが伝達される駆動部材、および、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合される移動部材等を備えている。このようなSIDMの駆動装置では、駆動部材を往路と復路とでその移動速度が非対称となるように電気機械変換素子を繰り返し伸縮させると、この駆動部材の非対称な往復運動により、移動部材が長手方向に沿って移動する。すなわち、駆動部材をゆっくり移動させると駆動部材の移動に伴って移動部材が移動し、駆動部材を速く移動させると移動部材の慣性によって移動部材が留まる。このような移動開始と移動終了とを繰り返すことによって移動部材が長手方向に沿って移動する。摩擦係合している移動部材は、このようなメカニズムによって移動するので、SIDMの駆動装置では、電気機械変換素子の伸縮の回数(駆動部材の往復の回数)と移動部材の移動量とが必ずしも比例しない。このため、例えば特許文献1等に開示されているように、移動部材を制御するために、移動部材の位置を検出する位置センサが必要であった。
しかしながら、位置センサを用いる場合には、位置センサの組み付け工数や、位置センサの組み付けスペースが必要となり、また位置センサのコストがかかってしまう。このため、位置センサを用いることなく駆動装置の移動部材を制御することが望まれる。このため、撮像装置の撮像光学系における合焦のための光学系を光軸方向に沿って移動させるために駆動装置が用いられる場合では、前記光学系を駆動装置によって移動させながら、合焦の良否を判定することによって駆動装置が制御される。これによって合焦の際には、位置センサが不要となる。
より詳しくは、例えば特許文献2に開示の駆動制御装置では、レンズの焦点合わせ動作で、レンズを含んで構成される被駆動部材の駆動方向に該被駆動部材を所定駆動パルス数ずつ移動させながら、その移動の都度、該レンズを介して撮像された画像より得られる所定のAF評価値が測定される。次に、この測定で得られたAF評価値の測定最大値に基づいて、AF評価値の最大値が得られると推測される最大値推測位置が算出され、当該最大値推測位置へ前記被駆動部材を戻すべき戻しパルス数が算出され、この算出された戻しパルス数に基づいて、逆方向へ戻すように前記被駆動部材が制御される。そして、前記被駆動部材を前記逆方向に移動させながらAF評価値が再測定され、この再測定で得られたAF評価値の最大値で前記レンズの焦点合わせが行われる。なお、AF(オートフォーカス)評価値は、例えば、レンズを介して撮像された画像より得られたコントラスト値のように、レンズの焦点合わせ動作にて用いられる評価値を意味し、AF評価値が高いほど、ピントの合った度合いが高いと評価される。
ところで、前記特許文献2に開示の駆動制御装置では、合焦の際には位置センサが不要とされているが、例えば特許文献2の[0024]段落や図3に記載されているように、先端側メカ端やセンサ側メカ端を検知するためのポジションセンサを備えている。このため、特許文献2に開示の駆動制御装置は、完全に位置センサが不要な構成ではない。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、位置センサの不要な駆動制御装置および駆動制御方法を提供することである。そして、本発明の目的は、この駆動制御装置を備える駆動システムを提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる駆動制御装置は、構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置であって、音を検出する音検出部と、前記音検出部で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で前記移動部材の移動に起因して生じる音に基づいて、前記移動部材が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断する判断部と、前記判断部の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御する駆動制御部とを備えることを特徴とする。上述の駆動制御装置において、移動部材の移動開始および移動終了を1回として、好ましくは、判断部は、上述における移動部材の移動開始および移動終了の1回ごとに、前記判断を行ってもよく、また好ましくは、判断部は、上述における移動部材の移動開始および移動終了の複数回ごとに、前記判断を行ってもよい。
係合部材と所定の摩擦力で係合している移動部材を移動させる駆動装置では、上述したように、摩擦係合しているために、移動部材は、目標位置に到達するまで、移動開始と移動終了とを1回としてこれを複数回繰り返す一連の移動を行っている。この際に、移動部材が1回の移動を始める移動開始の際および移動部材が留まる移動終了の際に、所定の周波数特性を持つ音が発生している。このため、移動部材が移動している間は、移動開始の際の音および移動終了の際の音が所定の間隔で生じることになる。一方、移動部材が移動範囲の端に到達して移動することができなくなると、移動開始の際の音あるいは移動終了の際の音が生じなくなる。したがって、上記構成の駆動制御装置は、音検出部で検出した前記音に基づいて、移動部材が移動範囲の端に到達したか否かを判断することができる。このため、上記構成の駆動制御装置は、位置センサを用いなくてよい。
また、他の一態様では、上述の駆動制御装置において、前記判断部は、前記目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で前記移動部材の移動に起因して生じる音の周波数特性に基づいて、前記移動部材が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断することを特徴とする。
このような駆動制御装置は、周波数特性を用いるので、移動開始の際の音とノイズとを区別することができ、移動終了の際の音とノイズとを区別することができる。このため、このような駆動制御装置は、より精度よく、前記音を検出することができるから、より適切に駆動装置の駆動を制御することができる。
また、他の一態様では、これら上述の駆動制御装置において、前記駆動制御部は、前記移動部材の初期位置を決定する初期処理において、前記判断部の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御することを特徴とする。
位置センサを用いることなく、移動部材の初期位置を決定するために、位置が予め既知な基準位置が利用される。この基準位置として、例えば、移動範囲の端の位置が用いられる。この移動範囲の端に、位置センサを用いることなく移動部材を確実に到達させるためには、移動部材が移動範囲を越えるように駆動力生成部を制御することが考えられる。この方法では、移動中に移動範囲の端に到達しても、駆動制御が続行され、駆動力生成部に駆動信号が与え続けられることになる。上記構成の駆動制御装置は、移動部材の初期位置(基準位置)として移動範囲の端を用いる場合に、音で移動部材が移動範囲の端に到達したか否かを判断するので、過剰に駆動装置を駆動する必要がない。
また、他の一態様では、これら上述の駆動制御装置において、前記駆動装置は、合焦のための光学系を前記移動部材によって光軸方向に沿って移動させる装置であり、前記駆動制御部は、前記光学系を合焦させるオートフォーカス処理において、前記判断部の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御することを特徴とする。
オートフォーカス処理において、合焦位置の探索中に、移動部材が移動範囲の端に到達してしまうことがある。このような場合、位置センサを備えない駆動制御装置では、オートフォーカス処理における合焦位置の探索中に移動範囲の端に到達しても、駆動制御が続行され、駆動力生成部に駆動信号が与え続けられることになる。上記構成の駆動制御装置は、音で移動部材が移動範囲の端に到達したか否かを判断するので、オートフォーカス処理中に、過剰に駆動装置を駆動することを防止することが可能となる。
また、他の一態様では、これら上述の駆動制御装置において、前記駆動装置の駆動力生成部は、伸縮する機械エネルギーに電気エネルギーを変換する電気機械変換素子であり、前記駆動装置の前記係合部材は、前記電気機械変換素子における伸縮方向の一方端に固定され、前記機械エネルギーが伝達される駆動部材であることを特徴とする。
この構成によれば、上記構成の駆動制御装置を用いたいわゆるSIDMの提供が可能となる。
そして、他の一態様にかかる駆動制御方法は、構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置の駆動を制御する駆動制御方法であって、音を検出する音検出工程と、前記音検出工程で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で前記移動部材の移動に起因して生じる音に基づいて、前記移動部材が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断する判断工程と、前記判断工程の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御する駆動制御工程とを備えることを特徴とする。
このような駆動制御方法は、音検出工程で検出した前記音に基づいて、移動部材が移動範囲の端に到達したか否かを判断することができる。このため、このような駆動制御方法は、位置センサを用いなくてよい。
そして、他の一態様にかかる駆動システムは、構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置と、前記駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置とを備える駆動システムであって、前記駆動制御装置は、上述のいずれかに記載の駆動制御装置であることを特徴とする。
このような駆動システムは、上述のいずれかに記載の駆動制御装置を用いるので、位置センサを用いなくてよい。
本発明にかかる駆動制御装置および駆動制御方法ならびに駆動システムは、位置センサを用いることなく駆動装置を制御することができる。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における駆動システムを備えたカメラ機能付き携帯電話機の構成を示すブロック図である。図2は、前記カメラ機能付き携帯電話に用いられるカメラモジュールの構成を示す断面図である。図3は、前記カメラ機能付き携帯電話機の外観構成を示す図である。図3(A)は、正面図を示し、図3(B)は、背面図を示す。
実施形態における駆動システムは、駆動力を出力する駆動装置と、前記駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置とを備える。駆動装置は、構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える装置である。そして、本実施形態では、駆動装置は、合焦のための光学系を前記移動部材によって光軸方向に沿って移動させるオートフォーカス機能(AF機能)を実現するために用いられている。このため、ここでは、この駆動システムがカメラ機能付き携帯電話機に用いられている場合について説明するが、これに限定されるものではなく、駆動システムが搭載される装置は、駆動装置の使用用途に応じて適宜に選択される。
本実施形態におけるカメラ機能付き携帯電話機SPは、図1ないし図3に示すように、カメラモジュール1と、画像処理部2と、制御部3と、音出力部4と、入力部5と、タッチパネル6と、表示部7と、通信部8と、音検出部9と、これら各部1〜9を収納する薄い板状の筐体HSとを備えている。
カメラモジュール1は、物体(被写体)の光学像を撮像光学系によって撮像素子17の受光面上に結像させ、この受光面上に結像させた光学像を撮像素子17によって電気的な信号に変換し、光学像の電気信号(RAW信号)を生成するものである。カメラモジュール1は、例えば、前記撮像光学系と、駆動装置と、赤外線カットフィルタ16と、撮像素子17と、これら前記撮像光学系、駆動装置、赤外線カットフィルタ16および撮像素子17を収容する筐体CSとを備える。
前記撮像光学系は、撮像素子17の受光面上に、物体(被写体)の光学像を結像させて形成するものであり、例えば、1または複数の例えばレンズやプリズム等の光学素子を備えている。前記撮像光学系には、合焦を行うために光軸方向に沿って移動する光学系(フォーカスレンズ)15を含む。この合焦のための光学系15は、一枚のレンズから構成された単レンズであってもよく、また複数のレンズから構成されたレンズ群であってもよい。なお、図1および図2には、前記撮像光学系のうちの光学系15が図示されており、他の光学素子は、省略されている。
撮像素子17は、前記撮像光学系によって結像された被写体の光学像における光量に応じてR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分の画像信号に光電変換して後述の画像処理部2へ出力する素子である。撮像素子17は、例えば、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ等の固体撮像素子である。
赤外線カットフィルタ16は、赤外線波長領域の光をカットするフィルタであり、一般に、固体撮像素子が赤外線波長領域に受光感度を有するために用いられている。また、赤外線カットフィルタ16は、撮像素子17の受光面に例えば塵やゴミ等の侵入を防止する防塵機能も兼ねている。
筐体CSは、有底有蓋短高の中空柱状体である。筐体CSは、例えば円柱状体であってもよく、多角柱状体であってもよく、適宜な柱状体であってよいが、本実施形態は、四角柱状体、すなわち、直方体(箱形形状体)である。筐体CSの蓋部CSaには、略中央部分に円形の第1貫通開口AP1が形成されている。筐体CSの側壁部CScには、軸方向における、蓋部CSaの内面(天井面)の位置から底部CSbの内面(底面)の位置までの途中位置であって底部CSbの内面に寄った前記途中位置に、側壁部CScの内面から、径方向中央へ延びる板状のフランジ部CSdが立設されている。フランジ部CSdには、蓋部CSaの第1貫通開口AP1と同心で略同直径の第2貫通開口AP2が形成されている。前記軸方向は、蓋部CSa(底部CSb)から底部CSb(蓋部CSa)へ向かう方向であり、光軸方向である。また、筐体CSの側壁部CScには、軸方向における、蓋部CSaの内面の位置からフランジ部CSdにおける蓋部CSaに対向する面の位置までの途中位置に、互いに所定の間隔を空けて凸片状の一対の支持部材CSe1、CSe2が、側壁部CScの内面から径方向中央へ延びるように、立設されている。この支持部材CSe1、CSe2は、貫通開口をそれぞれ備え、各貫通開口に駆動装置の駆動部材11を挿通することで、駆動部材11を支持し、そして、駆動部材11に摩擦係合する移動部材14の移動範囲を規定する構造部材である。そして、赤外線カットフィルタ16は、フランジ部CSdの第2貫通開口AP2を閉塞するように、底部CSbの内側面に対向するフランジ部CSdの面に配設されている。撮像素子17は、フランジ部CSdの第2貫通開口AP2に臨むように、すなわち、第2貫通開口AP2を通過した光を、赤外線カットフィルタ16を介して受光することができるように、底部CSbの内側面上に配設されている。なお、蓋部CSaの第1貫通開口AP1には、例えば防塵のために、カバーガラスが配設されてもよい。
前記駆動装置は、駆動部材11と、電気機械変換素子12と、錘13と、移動部材14とを備えている。
電気機械変換素子12は、入力の電気エネルギーを、伸縮する機械エネルギー、すなわち、機械的な運動に変換する素子である。電気機械変換素子12は、例えば、入力の電気エネルギーを圧電効果によって機械的な伸縮運動に変換する圧電素子等である。このような圧電素子は、例えば、積層体と、一対の外部電極とを備えている。積層体は、圧電材料から成る薄膜状(層状)の圧電層と導電性を有する薄膜状(層状)の内部電極層とを交互に複数積層して成るものである。積層体は、本実施形態では、四角柱形状となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、多角柱状や円柱形状等であってよい。複数の内部電極層は、その一部が互いに対向する一対の外周側面で外部に臨むようにそれぞれ構成されている。一対の外部電極は、積層体における前記一対の外周側面上に積層方向に沿って形成されている。この一対の外部電極は、前記電気エネルギーを積層体に供給するものであり、前記複数の内部電極と順次交互に接続されている。圧電材料は、例えば、いわゆるPZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等の無機圧電材料である。
駆動部材11は、電気機械変換素子(本実施形態では圧電素子)12における伸縮方向の一方端の端面に例えば接着剤によって固定され、この電気機械変換素子12で電気エネルギーから変換された機械エネルギーが伝達される部材である。より具体的には、駆動部材11は、本実施形態では、圧電素子における前記積層体の一方端の端面に固定された柱状(軸状)の部材である。駆動部材11は、筐体CSから延長された前記一対の支持部材CSe1、CSe2によって軸方向に平行に移動自在に支持されている。これら一対の支持部材CSe1、CSe2は、所定の間隔を空けて配置されており、これら一対の支持部材CSe1、CSe2の間で駆動部材11に摩擦係合する移動部材14の移動範囲を規定している。駆動部材11の材料は、例えば、金属、樹脂およびカーボン等の任意の材料を用いることができる。駆動部材11の長手方向に直交する断面は、例えば、矩形、多角形、楕円および円形等の任意の形状でよいが、本実施形態では、前記移動部材14が駆動部材11の長手方向に沿って容易に相対移動可能となるように、この断面は、円形となっている。なお、この断面が矩形または多角形である場合には、前記観点から、面取りされていることが好ましい。
錘13は、電気機械変換素子12における伸縮方向の他方端の端面に固定される部材である。より具体的には、錘13は、電気機械変換素子12の外形形状に合わせた直径を持つ円柱形状となっており、電気機械変換素子12に例えば接着剤で固定されることによって電気機械変換素子12を支持している。錘13は、その電気機械変換素子12が固定されていない面で前記筐体CSのフランジ部CSdに例えば接着剤によって固定される。このように錘13は、前記筐体CSのフランジ部CSdに固定されることによって、電気機械変換素子12の伸縮運動に対して静止しており、電気機械変換素子12の伸縮運動は、主に、駆動部材11に伝達されることになる。なお、前記筐体CSのフランジ部CSd自体が錘13であってもよく、この場合では、電気機械変換素子12は、その伸縮方向の他方端の端面で、直接、前記筐体CSのフランジ部CSdに固定される。要は、電気機械変換素子12は、その伸縮運動を主に駆動部材11に伝達するために、駆動部材11の慣性質量よりも大きな部材に固定されていればよい。
移動部材14は、駆動部材11に所定の摩擦力で係合される部材であり、駆動部材11に対して摺動するものである。本実施形態では、移動部材14は、光学素子の一例であるフォーカスレンズ15を支持して保持するレンズ保持枠とされている。
このようなカメラモジュール1では、起動の際に前記駆動装置の移動部材14は、初期位置に移動される。また、撮像の際には、前記駆動装置によってフォーカスレンズ15が合焦され、物体側の被写体の光学像が、前記撮像光学系によってその光軸に沿って所定の倍率で、赤外線カットフィルタ16を介して撮像素子17の受光面まで導かれて前記受光面で結像される。そして、撮像素子17によって前記被写体の光学像が撮像される。なお、前記駆動装置における初期処理およびAF処理の各処理は、後述する。
画像処理部2は、撮像素子17に接続され、撮像素子17で得られたR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分の画像信号に対し、所定の画像処理を行って画像データを生成する回路であり、例えば、DSP(Digital Signal Processor)およびその周辺回路を備えている。前記所定の画像処理は、例えば、撮像素子17からのアナログ出力信号に対して行う増幅処理およびデジタル変換処理、画像全体に対して適正な黒レベルの決定処理、γ補正処理、ホワイトバランス調整(WB調整)処理、輪郭補正処理および色ムラ補正処理等の周知の画像処理である。そして、画像処理部2は、AF処理を行うために、AF評価値を求めるAF検波処理も行う。AF評価値は、AF処理においてどの程度ピントが合っているかを表す指標である。AF評価値は、例えば、画像データから得られるコントラスト値である。コントラスト値は、画像全体の一部にAF用として設定された領域内の画像データから生成される。AF評価値が高いほど、すなわち、コントラスト値が大きいほど、ピントの合った度合いが高いと評価される。
音出力部4は、音を出力する装置であり、例えば、スピーカ等である。表示部7は、その表示面に所定の情報を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等である。入力部5は、音の入力および所定の指示を受け付ける装置であり、例えばマイクロフォン、および、電源ボタンや決定ボタン等の操作スイッチ等である。タッチパネル6は、表示部7の表示面に設けられ、前記表示面に指先あるいはペンで触れることによって入力を受け付ける装置である。入力部5で入力することができない指示の入力が、タッチパネル6と表示部7に表示される情報と合わせることによって実現されている。例えば、表示部7には、画像撮影モードの起動ボタン、静止画撮影と動画撮影との切り替えを行う画像撮影ボタンおよびシャッタボタン等が表示され、表示されたボタンの位置の表示面を触れることで、当該ボタンの示す指示が携帯電話機SPに入力される。なお、タッチパネル6は、いわゆる静電容量方式等の公知の方式のものであってよい。通信部8は、携帯電話網を用いて通信を行って電話機能を実現する装置である。音検出部9は、音を検出する装置であり、例えばマイクロフォンである。
制御部3は、これらカメラモジュール1における前記駆動装置の電気機械変換素子12、画像処理部2、音出力部4、入力部5、タッチパネル6、表示部7、通信部8および音検出部9のそれぞれに接続される。制御部3は、これらカメラモジュール1における前記駆動装置の電気機械変換素子12、画像処理部2、音出力部4、入力部5、タッチパネル6、表示部7、通信部8および音検出部9の各部の動作をその機能に従って制御し、カメラ付き携帯電話機SPの全体の制御を司る装置であり、例えばマイクロプロセッサ、メモリおよびその周辺回路などを備えて構成される。
そして、制御部3は、カメラモジュール1における前記駆動装置の駆動を制御するために、駆動制御部31と、判断部32とを機能的に備えている。
判断部32は、音検出部9で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で移動部材14の移動に起因して生じる音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断するものである。なお、判断部32は、音検出部9で検出した音に加えて、入力部5で検出した音も用いてもよい。なお、判断部32は、移動部材14の移動によって移動部材14から生じた音で前記判断を行ってもよく、また、判断部32は、移動部材14の移動によって移動部材14から生じ、移動部材14から前記駆動装置や筐体等に伝播した音で前記判断を行ってもよい。
駆動制御部31は、判断部32の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御するものである。駆動制御部31は、前記駆動装置を制御する一局面では、前記駆動装置における移動部材の初期位置を決定する初期処理において、判断部32の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御するものである。また、駆動制御部31は、前記駆動装置を制御する他の局面では、カメラモジュール1のフォーカスレンズ15を合焦させるオートフォーカス処理(AF処理)において、判断部32の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御するものである。
そして、これら各部1〜9を収納する筐体HSにおいて、筐体HSの一方主面(表面)には、図3(A)に示すように、表示部7における長方形の表示面が臨み、前記表示面上にはタッチパネル6が配置され、前記表示面の一方端側(上側)には、音出力部4が外部に臨み、前記表示面の他方端側(下側)には、入力部5が配設されている。そして、筐体HSの他方主面(裏面)には、図3(B)に示すように、カメラモジュール1が外部に臨み、カメラモジュール1の近傍(近い位置)には、音検出部9が配置されている。
なお、このようなカメラ付き携帯電話機SPにおいて、一例としての駆動装置は、移動部材14と、駆動部材11とを備えており、本実施形態では、さらに、電気機械変換素子12および錘13を備えている。一例としての駆動制御装置は、音検出部9と、判断部32と、駆動制御部31とを備えている。一例としての駆動システムは、移動部材14と、駆動部材11と、音検出部9と、判断部32と、駆動制御部31とを備えており、本実施形態では、さらに、電気機械変換素子12および錘13を備えている。
次に、カメラ付き携帯電話機SPの各処理について説明する。このカメラ付き携帯電話機SPの各処理には、前記駆動制御装置の処理が含まれる。まず、駆動装置で発生する音について説明し、次に、初期処理について説明し、そして、AF処理について説明する。
図4は、前記駆動システムにおける駆動装置で発生する音の周波数特性を示す図である。図4の横軸は、Hz単位で表す周波数であり、その縦軸は、音の強度である。図4において、実線は、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際の音および移動終了の際の音の周波数特性を示し、破線は、移動部材が移動範囲の端で構造部材にぶつかった際に生じる音の周波数特性を示す。
上述した電気機械変換素子12、駆動部材11および移動部材14を含む前記駆動装置では、電気機械変換素子12が例えば圧電素子12である場合、圧電素子12に鋸歯状または矩形状の駆動電圧(駆動パルス)が印加されると、圧電素子12が積層方向に伸縮する。そして、この圧電素子12の伸縮に従い駆動部材11がその長手方向に往復動する。ここで、駆動部材11を往路と復路とでその移動速度が非対称となるように電気機械変換素子12(ここでは圧電素子12)を繰り返し伸縮させると、この駆動部材11の非対称な往復運動により、移動部材14が長手方向に沿って移動し、電気エネルギーが移動部材14の運動に変換される。より具体的には、時間経過に伴って相対的にゆっくりとピークまで昇圧しピークを過ぎると相対的に急激に降圧する鋸波状の駆動パルス、または、デューティ比7:3の矩形状の駆動パルスを圧電素子12が印加されると、駆動部材11は、ゆっくりと移動し、この駆動部材11の移動に伴って移動部材14も移動し、その後、駆動部材11が速く移動すると移動部材14の慣性によって移動部材14は、留まる。このような移動開始と移動終了とを1回としてこれを複数回繰り返すことによって、移動部材14は、目標位置へ向い始める最初の位置(目標位置移動開始位置)から長手方向に沿って目標位置(目標位置移動終了位置)まで一連の移動を行う。なお、移動部材14を上記と逆方向に移動させる場合には、逆形状の鋸波状の駆動パルス、または、デューティ比3:7の矩形状の駆動パルスが用いられる。
この移動部材14の一連の移動中における圧電素子12の1回の伸縮で、駆動部材11と移動部材14とは、上述のように動作するが、駆動部材11と移動部材14とは、所定の摩擦力で係合しているので、圧電素子12の1回の伸縮における移動部材14が移動を始める移動開始の際および移動部材14が留まる移動終了の際に、所定の周波数特性を持つ音(駆動音)が発生する。したがって、移動部材14の一連の移動中では、前記移動開始の際の駆動音および前記移動終了の際の駆動音が所定の時間間隔でパルス状に生じることになる。この移動開始の際の駆動音および移動終了の際の駆動音における周波数特性の一例が図4に実線で示されている。この図4に示す例では、移動開始の際における駆動音の周波数特性と移動終了の際における駆動音の周波数特性とは、同じであるが、異なる場合もある。なお、図4には、移動部材14が移動範囲の端に到達した場合に、移動部材が支持部材CSe1(または支持部材CSe2)に衝突した際に生じる音(衝突音)の周波数特性も破線で示されている。
一方、移動部材14は、上述したように、所定の間隔を空けて配設された一対の支持部材CSe1、CSe2によって移動範囲が規定されている。駆動部材11は、上述したように、これら一対の支持部材CSe1、CSe2によって軸方向に平行に移動自在に支持されているので、圧電素子12の伸縮に伴って往復動することができる。このため、移動部材14が移動範囲の端に到達していると、圧電素子12に駆動パルスが印加されているにもかかわらず移動部材14が移動しない場合が生じ得る。このような場合、移動部材14における前記移動開始の際の駆動音および前記移動終了の際の駆動音は、生じない。
したがって、音検出部9で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で生じる駆動音に基づいて、移動部材14が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断することが可能となる。より具体的には、移動部材14の移動開始の際の駆動音および移動終了の際の駆動音のうちの少なくとも一方の駆動音が用いられる。移動部材14の一連の移動中において、前記駆動音が音検出部9で検出されている場合、移動部材14は、移動範囲の端に到達せずに、移動範囲内に在ると判断される。一方、移動部材14の一連の移動中において、前記駆動音が音検出部9で検出されない場合、移動部材14は、移動範囲の端に到達したと判断される。
このように本実施形態のカメラ付き携帯電話機SPに搭載された前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、音検出部9で検出した駆動音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断することができ、このため、位置センサを用いなくてよい。
また、本実施形態では、前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、カメラ付き携帯電話機SPに搭載されている。このため、本実施形態では、携帯電話機用に入力部5を備えたが、前記駆動システムおよび前記駆動制御装置のための音検出部9が、携帯電話機用と兼用されてもよい。
次に、初期処理について説明する。図5は、前記カメラ機能付き携帯電話機のカメラ機能における初期処理を示すフローチャートである。図6は、前記初期処理を説明するための図である。図6(A)は、経過時間に対する、フォーカスレンズ15、すなわち、移動部材14の変位を示し、図6(A)の横軸は、経過時間であり、その縦軸は、変位である。図6(B)は、電気機械変換素子12に供給される駆動パルスのタイムチャートであり、そして、図6(C)は、駆動音のタイムチャートである。
カメラにおいて、起動されるとフォーカスレンズ15を所定の位置(ホームポジション)HPに移動させる初期処理が一般に行われる。本実施形態の駆動部材11と移動部材14とを摩擦係合させた前記駆動装置では、起動時には、フォーカスレンズ15、すなわち、移動部材14の位置が通常不明である。このため、位置センサレスでフォーカスレンズ15(移動部材14)の位置を知る必要がある。そこで、移動範囲の端の位置は、既知であるため、移動範囲の端の位置が基準位置とされ、初期処理では、フォーカスレンズ15(移動部材14)をこの基準位置(初期位置)まで移動させる処理が行われる。
本実施形態では、上述したように、一対の支持部材CSe1、CSe2の構造部材によって移動部材14の移動範囲が規定されている。そして、例えば、物体側に位置する支持部材CSe1は、近接(MACRO)側であり、第1規制端(物体側メカ端)とされ、像側に位置する支持部材CSe2は、無限遠(INF)側であり、第2規制端(像側メカ端)とされる。第1規制端は、撮像光学系1の仕様によって規定された最近接距離の合焦位置に、物体側へ所定のマージンを加えた位置である。第2規制端は、撮像光学系1の仕様によって規定された無限遠距離の合焦位置に、像側へ所定のマージンを加えた位置である。
この初期処理において、図5に示すように、まず、無限遠端の方向、すなわち、支持部材CSe2へ向かう方向へ、予め設定されたAパルス数分だけ移動部材14を移動させるために、駆動制御部31は、移動部材14の移動を開始する(S11)。ここで、Aパルス数は、A個のパルス数を意味し、移動部材14の移動範囲全体における一部の移動距離だけ移動部材14を移動させる駆動パルス数である。例えば、Aパルス数は、移動範囲の1/3や1/4や1/5や1/10等に適宜に設定される。
次に、判断部32は、この移動部材14の移動において、音検出部9によって駆動音を検出したか否かを判断する(S12)。ここでは、移動開始の際の駆動音および移動終了の際の駆動音は、略同一であり、判断部32は、移動開始の際の駆動音および移動終了の際の駆動音を区別することなく、検出するものとする。この処理S12の判断において、駆動音を検出した場合(Yes)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端に到達していないと判断し、次の処理S13が行われる。一方、処理S12の判断において、駆動音を検出しない場合(No)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端(この例ではINF端)に到達した判断し、この旨を駆動制御部31に通知する。この通知を受けた駆動制御部31は、移動部材14、すなわち、フォーカスレンズ15が基準位置であるINF端に到達したと判断し、初期処理を終了する。
処理S13において、駆動制御部31は、前記駆動装置11〜14にAパルス分の移動を行わせる。例えば、駆動制御装置31は、前記駆動装置における図略のドライブ回路に、Aパルス分の移動を行う命令を送り、駆動制御装置31は、前記駆動装置のドライブ回路からAパルス分の移動の終了を表す信号の受信を待機する。次に、駆動制御部31は、Aパルス数分の移動を完了したか否かを判断する(S14)。この処理S14の判断の結果、Aパルス数分の移動を完了していない場合には、駆動制御部31は、処理を処理S14に戻す。一方、処理S13の判断の結果、Aパルス数分の移動を完了している場合には、駆動制御部31は、次の処理S15を実行する。
処理S15において、判断部32は、Aパルス数分の移動完了の後において、音検出部9によって駆動音を検出したか否かを判断する。この処理S15の判断において、駆動音を検出した場合(Yes)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端に到達していなと判断し、次の処理S16が行われる。一方、処理S15の判断において、駆動音を検出しない場合(No)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端(この例では第2規制端)に到達した判断し、この旨を駆動制御部31に通知する。この通知を受けた駆動制御部31は、移動部材14、すなわち、フォーカスレンズ15が基準位置である第2規制端に到達したと判断し、初期処理を終了する。
処理S16において、駆動制御部31は、駆動パルスの合計数が予め設定されたBパルス数を越えたか否かを判断する。ここで、Bパルス数は、B個のパルス数を意味し、移動部材14が移動範囲の一方端(例えば第1規制端)から他方端(例えば第2規制端)まで移動するために必要な数値以上の数値に設定される。このBパルス数の設定には、前記駆動装置の製品バラツキ等が考慮される。なお、Aパルス数は、Bパルス数より小さい(Aパルス数<Bパルス数)。この処理S16の判断の結果、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えていない場合(No)には、駆動制御部31は、処理を処理S11に戻す。一方、処理S16の判断の結果、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えている場合(Yes)には、駆動制御部31は、初期処理を終了する。
このような初期処理を、一例を挙げて説明すると、例えば、図6(A)に示すように、フォーカスレンズ15(移動部材14)が起動時に移動範囲の途中に在る場合、図5に示す初期処理が開始されると、1回目の処理S11で移動部材14は、移動するので、時刻t1で実行される処理S12では、図6(C)に示すように、駆動音が検出される。このため、処理S13が実行され、Aパルス数分の駆動を行うまで、図6(B)に示すように、処理S14が繰り返される。このAパルス数分の駆動中には、移動部材14は、移動範囲内に在り、第2規制端に到達していない。このため、Aパルス分の駆動が終了した時刻t2で実行される処理S15では、図6(C)に示すように、駆動音が検出される。このため、処理S16が実行され、ここでは、Bパルス数分の駆動を行っていないので、処理が処理S11に戻され、2回目の処理S11が実行される。
この2回目の処理S11が実行されると、時刻t3では時刻t1と同様に処理が行われ、時刻t4では時刻t2と同様に処理が行われる。このため、処理が処理S11に戻され、3回目の処理S11が実行される。この3回目の処理S11が実行されると、時刻t5では時刻t1と同様に処理が行われ、時刻t6では時刻t2と同様に処理が行われる。このため、処理が処理S11に戻され、4回目の処理S11が実行される。
4回目の処理S11が実行された場合に、移動部材14が移動範囲の端(ここでは第2規制端)に当たっており、移動できなかったので、時刻t7で実行される処理S12では、図6(C)に示すように、駆動音が検出されない(NG1)。したがって、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端(この例では第2規制端)に到達した判断し、この旨を駆動制御部31に通知する。この通知を受けた駆動制御部31は、移動部材14、すなわち、フォーカスレンズ15が基準位置である第2規制端に到達したと判断し、初期処理を終了する。なお、図9(B)には、このような初期処理におけるレンズ位置の一例が示されている。
このように初期処理において、本実施形態のカメラ付き携帯電話機SPに搭載された前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、音検出部9で検出した駆動音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断することができ、このため、位置センサを用いなくてよい。
また、位置センサを用いることなく、さらに、本実施形態のように音検出部9、駆動制御部31および判断部32を備えることなく初期処理を実行する場合、移動部材を確実に移動範囲の端に到達させるために、移動部材が移動範囲を越えるように移動部材を移動させることが考えられる。例えば、Bパルス数分の駆動を必ず行う初期処理が考えられる。このような初期処理では、移動部材の移動中に、移動部材が移動範囲の端に到達したとしても、電気機械変換素子12の駆動は、続行され、駆動パルスが電気機械変換素子12に与え続けられる。このため、初期処理の時間を短縮することができず、駆動パルスのエネルギーが無駄に消費されてしまう。一方、本実施形態のカメラ付き携帯電話機SPに搭載された前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、音で移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断するので、過剰に電気機械変換素子12を駆動する必要がない。このため、初期処理の時間を短縮することが可能な場合があり、駆動パルスのエネルギーを節約することができる。
次に、AF処理について説明する。図7は、前記カメラ機能付き携帯電話機のカメラ機能におけるAF処理の粗探索処理を示すフローチャートである。図8は、前記カメラ機能付き携帯電話機のカメラ機能におけるAF処理の詳細探索処理を示すフローチャートである。図9は、前記AF処理中におけるAF評価値を示す図である。図9の横軸は、経過時間であり、その縦軸は、AF評価値(FV、focus value)である。図10は、前記AF処理を説明するための図である。図10(A)は、経過時間に対する、フォーカスレンズ15、すなわち、移動部材14の変位を示し、図10(A)の横軸は、経過時間であり、その縦軸は、変位である。図10(B)は、電気機械変換素子12に供給される駆動パルスのタイムチャートであり、そして、図10(C)は、駆動音のタイムチャートである。
本実施形態では、カメラモジュール1で撮像した動画を表示部7に表示する場合におけるAF処理について、説明する。本AF処理は、動画撮影の場合だけでなく、静止画撮影の場合にも同様に用いることができる。本実施形態のAF処理は、まず、相対的に大きな間隔で合焦位置を大まかに探索する粗探索処理(図7)が実行され、次に、相対的に小さな間隔で合焦位置を細かく探索する詳細探索処理(図8)が実行される。
この粗探索処理では、図7において、まず、駆動制御部31は、制御部3が行う動画撮影処理および動画表示処理におけるフレーム同期信号を制御部3から受領したか否かを判断する(S21)。処理S21の判断の結果、フレーム同期信号を受領していない場合(No)には、駆動制御部31は、処理を処理S21に戻す。一方、処理S21の判断の結果、フレーム同期信号を受領した場合(Yes)には、駆動制御部31は、処理S22を実行する。
処理S22において、第1規制端へ向かう方向、すなわち、支持部材CSe1へ向かう方向へ、予め設定されたCパルス数分だけ移動部材14を移動させるために、駆動制御部31は、移動部材14の移動を開始する。ここで、Cパルス数は、C個のパルス数を意味し、合焦位置を大まかに探索するために、合焦位置を探索する間隔(粗探索間隔)を設定する数値であり、前記粗探索間隔だけ移動部材14を移動させる駆動パルス数である。また、後述のDパルス数は、D個のパルス数を意味し、合焦位置を細かく探索するために、合焦位置を探索する間隔(詳細探索間隔)を設定する数値であり、前記詳細探索間隔だけ移動部材14を移動させる駆動パルス数である。Cパルス数およびDパルス数は、例えばAF処理の処理時間と合焦精度等に応じて適宜に設定されるが、Cパルス数は、少なくとも、Dパルス数よりも大きい(Cパルス数>Dパルス数、粗探索間隔>詳細探索間隔)。また、Dパルスは、焦点深度以下の値、好ましくは、焦点深度よりも小さい値に設定される。
次に、判断部32は、この移動部材14の移動において、音検出部9によって駆動音を検出したか否かを判断する(S23)。この処理S23の判断において、駆動音を検出した場合(Yes)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端に到達していないと判断し、次の処理S24が行われる。一方、処理S23の判断において、駆動音を検出しない場合(No)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端(この例では第1規制端)に到達した判断し、この旨を駆動制御部31に通知し、処理S30が行われる。
処理S24において、駆動制御部31は、前記駆動装置11〜14にCパルス分の移動を行わせる。例えば、上述したように、駆動制御装置31は、前記駆動装置における図略のドライブ回路に、Cパルス分の移動を行う命令を送り、駆動制御装置31は、前記駆動装置のドライブ回路からCパルス分の移動の終了を表す信号の受信を待機する。次に、駆動制御部31は、Cパルス数分の移動を完了したか否かを判断する(S25)。この処理S25の判断の結果、Cパルス数分の移動を完了していない場合には、駆動制御部31は、処理を処理S25に戻す。一方、処理S25の判断の結果、Cパルス数分の移動を完了している場合には、駆動制御部31は、次の処理S26を実行する。
処理S26において、判断部32は、Cパルス数分の移動完了の後において、音検出部9によって駆動音を検出したか否かを判断する。この処理S26の判断において、駆動音を検出した場合(Yes)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端に到達していなと判断し、次の処理S27が行われる。一方、処理S26の判断において、駆動音を検出しない場合(No)には、判断部32は、移動部材14が移動範囲の端(この例では第1規制端)に到達した判断し、この旨を駆動制御部31に通知し、処理S30が行われる。
処理S27において、駆動制御部31は、画像処理部2にAF検波処理を行わせる。このAF検波処理では、合焦の度合い(ピントの合っている程度)を評価するために、画像処理部2は、AF評価値FVを求め、この求めたAF評価値FVを駆動制御部31に通知する。例えば、本実施形態では、画像処理部2は、AF処理を行うために予め設定された画像データの一部におけるコントラスト値(前記一部中における最大輝度値と最小輝度値との差)を求める。
次に、駆動制御部31は、先に求めた最大AF評価値FVmaxと、今回求めたAF評価値FVtempとを比較する。この比較の結果、先に求めた最大AF評価値FVmaxより、今回求めたAF評価値FVtempの方が大きい場合(FVtemp>FVmax)には、駆動制御部31は、今回求めたAF評価値FVtempで最大AF評価値FVmaxを置き換えて記憶し、今回求めたAF評価値FVtempを最大AF評価値FVmaxとする(FVtemp→FVmax)。なお、AF処理を始めた際に、駆動制御部31は、最大AF評価値FVmaxを0にリセットし、初期化しておく(0→FVmax)。一方、この比較の結果、今回求めたAF評価値FVtempが先に求めた最大AF評価値FVmax以下である場合(FVtemp≦FVmax)には、駆動制御部31は、今回求めたAF評価値FVtempが、先に求めた最大AF評価値FVmaxから、予め設定された第1閾値FVth1を減算した値以下であるか否かを判断する(FVtemp≦(FVmax−FVth1)?、S28)。この判断の結果、今回求めたAF評価値FVtempが、先に求めた最大AF評価値FVmaxより、第1閾値FVth1以下に減少している場合(FVtemp≦(FVmax−FVth1)、Yes)には、駆動制御部31は、処理S34を実行し、一方、この判断の結果、今回求めたAF評価値FVtempが、先に求めた最大AF評価値FVmaxより、第1閾値FVth1以下に減少していない場合(FVtemp>FVmax−FVth1、No)には、駆動制御部31は、処理S29を実行する。このような処理S28を実行することによって、ローカルマキシマムを避けることができ、この結果、より真の最大AF評価値FVmaxを見つけることができる。
前記処理S34において、駆動制御部31は、最大AF評価値FVmaxの方へ移動部材14を予め設定された所定距離だけ移動させる。より具体的には、駆動制御部31は、前記所定距離に対応するEパルス数の駆動パルスであって、逆方向(第2規制端へ向かう方向)に移動する駆動パルスを前記駆動装置の圧電素子12へ出力し、移動部材14を移動させる。そして、駆動制御部31は、後述する詳細探索処理を実行する(S35)。
一方、前記処理S29において、駆動制御部31は、駆動パルスの合計数が予め設定されたBパルス数を越えたか否かを判断する。この処理S29の判断の結果、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えていない場合(No)には、駆動制御部31は、処理を処理S21に戻す。一方、処理S29の判断の結果、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えている場合(Yes)には、駆動制御部31は、処理S30を実行する。
この処理S30において、駆動制御部31は、先に求めた最大AF評価値FVmaxが、予め設定された第2閾値FVth2以上であるか否かを判断する(FVmax≧FVth2?)。この判断の結果、先に求めた最大AF評価値FVmaxが、第2閾値FVth2以上である場合(FVmax≧FVth2、Yes)には、駆動制御部31は、処理S31を実行する。一方、この判断の結果、先に求めた最大AF評価値FVmaxが、第2閾値FVth2以上ではない場合(FVmax<FVth2、No)には、最大AF評価値FVmaxが小さすぎるため、駆動制御部31は、移動部材14をいわゆる過焦点位置へ移動させ(S36)、AF処理を終了する。この処理S36を実行することによって、撮像画像のコントラストが小さすぎるか、あるいは、ノイズによる、偽の最大AF評価値FVmax(真ではない最大AF評価値FVmax)に合焦することを防ぐことができる。
前記処理S31において、駆動制御部31は、AF評価値FVが連続的に降下しているか否かを判断する。例えば、駆動制御部31は、最大AF評価値FVmaxを求めた後の各AF評価値FVnを時系列で記憶しておき、各AF評価値FVnを時系列順に比較することによって、AF評価値FVが連続的に降下しているか否かを判断する。AF評価値FVが第2閾値FVth2に達していないが連続降下中である場合では、合焦位置が粗探索処理の最終位置における近傍にあると推定される。このため、前記判断の結果、AF評価値FVが連続的に降下している場合(Yes)には、駆動制御部31は、現在位置から第2規制端へ向かう方向へ、最大AF評価値FVmaxが得られる位置を再探索するために、前記処理S34のような所定距離だけ戻す処理を行うことなく、詳細探索処理を実行する(S32)。このため、最大AF評価値FVmaxが得られた位置が移動範囲の端付近にあった場合でも、移動部材14が、最大AF評価値FVmaxが得られた位置を越えて戻されることを防止することができ、処理S31の後に実行される詳細探索処理によって、移動部材14を合焦位置に移動させることができる。
一方、この処理S31の判断の結果、AF評価値FVが連続的に降下していない場合(No)には、駆動制御部31は、合焦位置が見つからなかったとして、AF処理を終了する。
このような各処理を実行することによって、駆動制御部31は、粗探索処理を実行する。
次に、詳細探索処理では、図8において、INF端へ向かう方向、すなわち、支持部材CSe2へ向かう方向へ、予め設定されたDパルス数分だけ移動部材14を移動させるために、駆動制御部31は、移動部材14の移動を開始する(S41)。
次に、駆動制御部31は、前記駆動装置11〜14にDパルス分の移動を行わせる(S42)。次に、駆動制御部31は、Dパルス数分の移動を完了したか否かを判断する(S43)。この判断の結果、Dパルス数分の移動を完了していない場合には、駆動制御部31は、処理を処理S43に戻す。一方、この判断の結果、Dパルス数分の移動を完了している場合には、駆動制御部31は、次の処理S44を実行する。
処理S44において、駆動制御部31は、前述の処理S27と同様に、画像処理部2にAF検波処理を行わせ、画像処理部2からAF評価値FVの通知を受ける。
次に、駆動制御部31は、AF評価値FVが降下したか否かを判断する(S45)。より具体的には、駆動制御部31は、前回求めたAF評価値FVlastを記憶しておき、前回求めたAF評価値FVlastと今回求めたAF評価値FVtempとを比較することによって、AF評価値FVが降下したか否かを判断する。この判断の結果、AF評価値FVが降下していない場合(No)には、駆動制御部31は、処理S46を実行する。一方、この判断の結果、AF評価値FVが降下している場合(Yes)には、駆動制御部31は、移動部材14を合焦位置に戻すために、逆方向、すなわち、第1規制端へ向かう方向へ、Dパルス数分だけ移動部材14を移動させ(S48)、AF処理を終了する。
処理S46において、駆動制御部31は、駆動パルスの合計数が予め設定されたBパルス数を越えたか否かを判断する。この処理S46の判断の結果、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えていない場合(No)には、駆動制御部31は、処理を処理S41に戻す。一方、処理S46の判断の結果、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えている場合(Yes)には、駆動制御部31は、移動部材14を前記過焦点位置へ移動させ(S47)、AF処理を終了する。
このような各処理を実行することによって、駆動制御部31は、詳細探索処理を実行する。
このようなAF処理を、一例を挙げて説明する。この例では、フォーカスレンズ15(移動部材14)がAF処理を始めた時点で移動範囲の途中に在って、図9(A)に示すように、AF評価値FVが最大値ではない場合に、図7に示す粗探索処理が実行される。この図9(A)に示す例では、1回目の粗探索処理では、移動部材14は、MACRO端に到達せず、そして、AF評価値FVが最大値とならない。このため、1回目の粗探索処理における処理S23および処理S26では音が検出され、処理S29では、駆動パルスの合計数がBパルス数を越えていないので、図9(C)に示すように、2回目の粗探索処理が実行される。
2回目の粗探索処理では、この図9(A)に示す例では、1回目と同様に、移動部材14は、第1規制端に到達せず、そして、AF評価値FVが最大値とならない。このため、図9(C)に示すように、3回目の粗探索処理が実行される。
3回目の粗探索処理では、この図9(A)に示す例では、移動部材14は、第1規制端に到達せずに、そして、AF評価値FVが最大値を越えている。しかしながら、この例では、3回目の粗探索処理における処理S28において、今回求めたAF評価値FVtempが、先に求めた最大AF評価値FVmaxより、第1閾値FVth1以下に減少していないと判断され、図9(C)に示すように、4回目の粗探索処理が実行される。
4回目の粗探索処理では、この図9(A)に示す例では、移動部材14は、第1規制端に到達せずに、そして、AF評価値FVが最大値を越え、さらに、4回目の粗探索処理における処理S28において、今回求めたAF評価値FVtempが、先に求めた最大AF評価値FVmaxより、第1閾値FVth1以下に減少していると判断される。このため、4回目の粗探索処理において、処理S34が実行され、図9(D)に示すように、移動部材14が所定距離だけ逆方向の第2規制端へ向かい方向へ移動され、図9(E)に示すように、図8に示す詳細探索処理が実行される。
1回目の詳細探索処理では、この図9(A)に示す例では、処理S45において、AF評価値FVが降下していないと判断され、図9(E)に示すように、2回目の詳細探索処理が実行される。2回目の詳細探索処理でも、この図9(A)に示す例では、処理S45において、AF評価値FVが降下していないと判断され、図9(E)に示すように、3回目の詳細探索処理が実行される。
この3回目の詳細探索処理では、この図9(A)に示す例では、処理S45において、AF評価値FVが降下していると判断され、3回目の詳細探索処理における処理S48で、移動部材14が3回目の詳細探索処理を始めた時点の位置(すなわち、2回目の詳細探索処理を終了した時点の位置)に戻され、AF処理が終了する。
図9に示す例では、移動部材14の移動範囲内で合焦位置が探索されたが、移動部材14の移動範囲内で合焦位置が探索されない場合には、図7に示す粗探索処理における処理S21から処理S29が繰り返され、例えば、図10に示すようにフォーカスレンズ15および移動部材14が移動する。そして、この各処理の繰り返しの途中において、移動部材14が移動範囲の端(ここでは第1規制端)に当たり、移動できない場合には、この各処理の繰り返しの途中における処理S23および処理S26の少なくとも一方で、駆動音が検出されない(NG2)。したがって、この場合では、処理S32以降の各処理が実行されることになる。
このようにAF処理において、本実施形態のカメラ付き携帯電話機SPに搭載された前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、音検出部9で検出した駆動音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断することができ、このため、位置センサを用いなくてよい。
また、オートフォーカス処理において、合焦位置の探索中に、上述したように、移動部材14が移動範囲の端に到達してしまうことがある。このような場合、位置センサを備えない駆動制御装置では、オートフォーカス処理における合焦位置の探索中に移動範囲の端に到達しても、駆動制御が続行され、駆動力生成部に駆動信号が与え続けられることになる。本実施形態の前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、音検出部9で検出した駆動音に基づいて、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断するので、オートフォーカス処理中に、過剰に前記駆動装置を駆動することを防止することが可能となる。
なお、上述の実施形態において、判断部32は、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で移動部材14の移動に起因して生じる音の周波数特性に基づいて、移動部材14が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断するように、構成されてもよい。このような前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、周波数特性を用いるので、移動開始の際の音とノイズとを区別することができ、移動終了の際の音とノイズとを区別することができる。このため、このような前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、より精度よく、前記音を検出することができるから、より適切に前記駆動装置の駆動を制御することができる。
例えば、上述の実施形態において、カメラ付き携帯電話機SPに搭載された前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、音検出部9で検出した検出結果から、移動部材14の一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で移動部材14の移動に起因して生じる音における最大音量を生じる周波数を含む所定の周波数範囲を取り出すバンドパスフィルタをさらに備えるように構成される。バンドパスフィルタは、例えばLCフィルタ回路等のバンドパスフィルタを行うハードウェアによって構成されてもよく、また例えば、情報処理でバンドパスフィルタを行うソフトウェアによって構成されてもよい。このような構成では、ノイズを除去した、前記所定の周波数範囲の音で判断部32は、前記判断を行うことができる。
また例えば、上述の実施形態において、カメラ付き携帯電話機SPに搭載された前記駆動システムおよび前記駆動制御装置は、移動部材14の一連の移動における移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で移動部材14の移動に起因して生じる音の周波数特性を周波数特性情報として予め記憶した周波数特性記憶部と、前記周波数特性記憶部に記憶された周波数特性情報と前記音検出部で検出した音との相関を求める相関部とをさらに備えるように構成される。このような構成では、相関処理によってノイズを除去することができ、判断部32は、前記相関部で得られた相関値の高低によって前記判断を行うことができる。例えば、判断部32は、前記相関部で得られた相関値が予め設定された第3閾値より大きい場合に、移動部材14の一連の移動における開始の際および終了の際の少なくとも一方で生じる音を検出したと判断することができる。
例えば、上述の実施形態において、判断部32は、移動部材14の一連の移動において、移動部材14の移動に起因して、所定の間隔で生じる移動部材14の移動開始の際の音の有無によって、あるいは、移動部材14の一連の移動において、移動部材14の移動に起因して、所定の間隔で生じる移動部材14の移動終了の際の音の有無によって、あるいは、移動部材14の一連の移動において、移動部材14の移動に起因して、所定の間隔で生じる移動部材14の移動開始の際および移動終了の際の各音の有無によって、移動部材14が移動範囲の端に到達したか否かを判断するように構成されてもよい。このような構成では、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で生じる音の周期性を利用することによって、ノイズを除去することができる。
また、上述の実施形態では、前記駆動制御装置および前記駆動システムは、いわゆるSIDMの駆動装置に適用されたが、これに限定されるものではない。前記駆動制御装置および前記駆動システムは、移動部材が所定の摩擦力によって係合(保持)される駆動装置に適用することができ、例えば、いわゆるSSA(Shaft Slide Actuator)の駆動装置に適用することができる。このSSAの駆動装置は、移動部材と、前記移動部材に形成された一対の貫通開口にそれぞれ挿通され、所定の摩擦力で前記移動部材とそれぞれ摩擦係合する一対のガイドシャフトと、前記移動部材を動かす駆動力を精製するバイアス部とを備える。前記移動部材には、前記ガイドシャフトの軸方向に沿って順にS極(N極)およびN極(S極)となるように側面(周面)に配置された磁石を備え、前記バイアス部は、前記移動部材を囲周するように、そして、前記ガイドシャフトの軸方向に重ねられるように、巻回されたコイルを備える。すなわち、前記移動部材は、前記バイアス部におけるコイルの芯部内に配置される。そして、前記移動部材は、いわゆるフレミングの左手の法則による電磁力で、摩擦係合する前記ガイドシャフトで案内されながら駆動される。
また、上述の実施形態では、判断部32は、移動部材14における一連の移動の前後で1回ずつ移動部材14に起因する音の有無を判断したが、これに限定されるものではない。例えば、判断部32は、移動部材14における一連の移動の前後のうちの一方で前記判断を行ってもよく、また例えば、より確実に前記判断を行うために、判断部32は、前記判断の際に、音検出部9の出力を複数回参照して前記判断を複数回行ってもよい。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
SP 携帯電話機
CSe1、CSe1 支持部材
1 カメラモジュール
11 駆動部材
12 電気機械変換素子
13 錘
14 移動部材
15 フォーカスレンズ
31 駆動制御部
32 判断部
CSe1、CSe1 支持部材
1 カメラモジュール
11 駆動部材
12 電気機械変換素子
13 錘
14 移動部材
15 フォーカスレンズ
31 駆動制御部
32 判断部
Claims (7)
- 構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置であって、
音を検出する音検出部と、
前記音検出部で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で前記移動部材の移動に起因して生じる音に基づいて、前記移動部材が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御する駆動制御部とを備えること
を特徴とする駆動制御装置。 - 前記判断部は、前記目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で前記移動部材の移動に起因して生じる音の周波数特性に基づいて、前記移動部材が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断すること
を特徴とする請求項1に駆動制御装置。 - 前記駆動制御部は、前記移動部材の初期位置を決定する初期処理において、前記判断部の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動制御装置。 - 前記駆動装置は、合焦のための光学系を前記移動部材によって光軸方向に沿って移動させる装置であり、
前記駆動制御部は、前記光学系を合焦させるオートフォーカス処理において、前記判断部の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御すること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動制御装置。 - 前記駆動装置の駆動力生成部は、伸縮する機械エネルギーに電気エネルギーを変換する電気機械変換素子であり、前記駆動装置の前記係合部材は、前記電気機械変換素子における伸縮方向の一方端に固定され、前記機械エネルギーが伝達される駆動部材であること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の駆動制御装置。 - 構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置の駆動を制御する駆動制御方法であって、
音を検出する音検出工程と、
前記音検出工程で検出した、目標位置に到達するまでの一連の移動における移動部材の移動開始の際および移動終了の際の少なくとも一方で前記移動部材の移動に起因して生じる音に基づいて、前記移動部材が前記移動範囲の端に到達したか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程の判断結果に基づいて、前記駆動装置を制御する駆動制御工程とを備えること
を特徴とする駆動制御方法。 - 構造部材によって規制された移動範囲内を移動する移動部材と、所定の摩擦力で前記移動部材と摩擦係合する係合部材と、前記移動部材を動かす駆動力を生成する駆動力生成部とを備える駆動装置と、
前記駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置とを備える駆動システムであって、
前記駆動制御装置は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の駆動制御装置であること
を特徴とする駆動システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012252169A JP2014102278A (ja) | 2012-11-16 | 2012-11-16 | 駆動制御装置および駆動制御方法ならびに駆動システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012252169A JP2014102278A (ja) | 2012-11-16 | 2012-11-16 | 駆動制御装置および駆動制御方法ならびに駆動システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014102278A true JP2014102278A (ja) | 2014-06-05 |
Family
ID=51024869
Family Applications (1)
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JP2012252169A Pending JP2014102278A (ja) | 2012-11-16 | 2012-11-16 | 駆動制御装置および駆動制御方法ならびに駆動システム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014102278A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113311642A (zh) * | 2021-05-31 | 2021-08-27 | 新思考电机有限公司 | 透镜驱动装置、摄像装置及电子设备 |
-
2012
- 2012-11-16 JP JP2012252169A patent/JP2014102278A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113311642A (zh) * | 2021-05-31 | 2021-08-27 | 新思考电机有限公司 | 透镜驱动装置、摄像装置及电子设备 |
CN113311642B (zh) * | 2021-05-31 | 2022-11-18 | 新思考电机有限公司 | 透镜驱动装置、摄像装置及电子设备 |
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