JP2014101778A - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】NOx浄化率とアンモニアのスリップとの最適化を図ることができる排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】ディーゼルエンジン1から排出された排気ガスが流通する排気管2に、酸化触媒3と、DPF4と、アンモニアを還元剤としてNOxを選択的に還元する第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6と、第2SCR触媒6を通過してきたアンモニアを酸化するアンモニアスリップ触媒7とが設けられている。ECU10には、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6それぞれについてのアンモニア吸着量に関するマップが組み込まれ、各マップには、第1目標吸着量及び第2目標吸着量が設定されている。第1目標吸着量は第2目標吸着量よりも大きい。
【選択図】図1

Description

この発明は、排気ガス浄化装置に係り、特に、アンモニアを還元剤として用いて窒素酸化物(NOx)を選択的に還元する排気ガス浄化装置に関する。
ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるNOxを低減するために、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが開発されている。従来の尿素SCRシステムでは、排気管中に噴射された尿素水を加水分解することでアンモニアを生成し、SCR触媒内において、アンモニアとNOxとを反応させ、NOxを窒素と水とに還元している。アンモニアがSCR触媒をスリップすることを防止しながらNOxを的確に除去しようとするシステムが特許文献1に記載されている。このシステムは、SCR触媒を2つ設けると共にそれぞれのSCR触媒に独立に尿素水やアンモニアを供給し、それぞれのSCR触媒に供給される尿素水やアンモニアの供給量を、それぞれのSCR触媒に流入するNOx量に基づいて決定するものである。
特表2009−517210号公報
しかしながら、SCR触媒に流入したアンモニアの一部はSCR触媒に吸着するので、SCR触媒に流入するNOx量に基づいて各SCR触媒に供給する尿素水やアンモニアの供給量を決定しても、NOx浄化率とアンモニアのスリップとの最適化を図ることは不十分であるといった問題点があった。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、NOx浄化率とアンモニアのスリップとの最適化を図ることができる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
この発明に係る排気ガス浄化装置は、内燃機関から排出された排気ガスが流通する排気管に設けられた第1SCR触媒と、第1SCR触媒よりも下流側で前記排気管に設けられた第2SCR触媒と、第1SCR触媒及び第2SCR触媒のそれぞれの上流側で排気管内にアンモニアまたはアンモニア原材料を供給する第1供給手段及び第2供給手段と、第1SCR触媒及び第2SCR触媒のそれぞれに吸着したアンモニアの量を算出する第1アンモニア吸着量算出手段及び第2アンモニア吸着量算出手段と、第1SCR触媒に流入する排気ガスの温度を検出する第1温度検出手段と、第2SCR触媒に流入する排気ガスの温度を検出する第2温度検出手段と、第1温度検出手段及び第2温度検出手段のそれぞれによって検出された温度に対して第1SCR触媒及び第2SCR触媒のそれぞれに吸着するアンモニアの吸着量についての第1目標吸着量及び第2目標吸着量が予め設定された制御手段とを備え、第1供給手段から供給されるアンモニアまたはアンモニア原材料の供給量は、第1アンモニア吸着量算出手段による算出値が第1温度検出手段によって検出された温度における第1目標吸着量となるように制御手段によって制御されると共に、第2供給手段から供給されるアンモニアまたはアンモニア原材料の供給量は、第2アンモニア吸着量算出手段による算出値が第2温度検出手段によって検出された温度における第2目標吸着量となるように制御手段によって制御され、第1目標吸着量は第2目標吸着量よりも大きい。第1SCR触媒に流入する排気ガスの温度が上昇する場合に、第1SCR触媒に吸着しているアンモニアの一部が脱離して第2SCR触媒に流入しても、第1目標吸着量は第2目標吸着量よりも大きいので、第1SCR触媒から脱離したアンモニアが第2SCR触媒に吸着される。
第1SCR触媒に流入する排気ガスの温度が上昇して第1SCR触媒に吸着しているアンモニアの一部が脱離する場合、第2温度検出手段によって検出された温度において、第2SCR触媒の飽和吸着量と第2目標吸着量との差が、第1SCR触媒から脱離するアンモニアの量以上であってもよい。
第2供給手段から供給されるアンモニアまたはアンモニア原材料の供給量はさらに、第1アンモニア吸着量算出手段による算出値及び第1温度検出手段による検出値に基づいて制御してもよい。
第1供給手段から供給されるアンモニアまたはアンモニア原材料の供給量はさらに、第2アンモニア吸着量算出手段による算出値及び第2温度検出手段による検出値に基づいて制御してもよい。
この発明によれば、第1SCR触媒に流入する排気ガスの温度が上昇する場合に、第1SCR触媒に吸着しているアンモニアの一部が脱離して第2SCR触媒に流入しても、第1目標吸着量は第2目標吸着量よりも大きいので、第1SCR触媒から脱離したアンモニアが第2SCR触媒に吸着される。これにより、NOx浄化率とアンモニアのスリップとの最適化を図ることができる。
この発明の実施の形態に係る排気ガス浄化装置の構成模式図である。 この実施の形態に係る排気ガス浄化装置の第1SCR触媒についてのアンモニア吸着量に関するマップである。 この実施の形態に係る排気ガス浄化装置の第2SCR触媒についてのアンモニア吸着量に関するマップである。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この実施の形態に係る排気ガス浄化装置の構成を図1に示す。内燃機関であるディーゼルエンジン1から排出された排気ガスが流通する排気管2に、酸化触媒3と、ディーデルパティキュレートフィルタ(DPF)4と、アンモニアを還元剤としてNOxを選択的に還元する第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6と、第2SCR触媒6を通過してきたアンモニアを酸化するアンモニアスリップ触媒7とが設けられている。第1SCR触媒5と第2SCR触媒6とは、それぞれのサイズ及び触媒成分並びにその担持量は同じである。
また、排気管2には、DPF4と第1SCR触媒5との間と、第1SCR触媒5と第2SCR触媒6との間とのそれぞれに、排気管2内へアンモニアを供給する第1供給手段である噴射ノズル8と、第2供給手段である噴射ノズル9とが設けられている。噴射ノズル8,9それぞれに一端が接続するアンモニア供給枝管11,12の他端は振り分けバルブ13に接続されている。振り分けバルブ13には、アンモニア供給管14の一端が接続され、アンモニア供給管14の他端は、アンモニア供給源15、例えば、アンモニアガスを充填したボンベに接続されている。アンモニア供給源15は、アンモニア供給源15から放出されるアンモニアの流量を制御する制御弁15aを有している。尚、アンモニア供給源15には、液化アンモニアを充填したボンベや、アンモニアを吸蔵した塩化マグネシウムや塩化カルシウム等を充填したボンベ等を使用してもよい。振り分けバルブ13は、アンモニア供給管14を流通してきたアンモニアを、任意の割合でアンモニア供給枝管11,12のそれぞれに振り分けるものである。
さらに、排気管2には、DPF4と第1SCR触媒5との間と、第1SCR触媒5と第2SCR触媒6との間と、第2SCR触媒6とアンモニアスリップ触媒7との間とのそれぞれに、排気ガス中のNOx濃度を検出するNOxセンサ16,17,18が設けられている。また、DPF4と第1SCR触媒5との間と、第1SCR触媒5と第2SCR触媒6との間とのそれぞれに、排気ガスの温度を検出する第1温度検出手段である温度センサ19と、第2温度検出手段である温度センサ20とが設けられている。振り分けバルブ13と、制御弁15aと、NOxセンサ16,17,18と、温度センサ19,20とはそれぞれ、制御手段であるECU10に電気的に接続されている。また、ECU10には、ディーゼルエンジン1に吸引される吸気量を検出する吸気量センサ21が電気的に接続されている。
また、ECU10には、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6それぞれについてのアンモニア吸着量に関するマップが組み込まれている。図2に、第1SCR触媒5についてのアンモニア吸着量に関するマップを示す。このマップの横軸には、第1SCR触媒5の触媒床温、実際には、第1SCR触媒5に流入する排気ガスの温度、すなわち温度センサ19による検出値をとり、縦軸には、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量をとっている。このマップ上に、第1SCR触媒5の触媒床温と第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの飽和吸着量との関係(以下、第1SCR触媒5の飽和曲線という)が実線で表わされると共に、第1SCR触媒5の飽和曲線よりも下側の位置に、すなわち、第1SCR触媒5の触媒床温に対して第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの飽和吸着量よりも少ない量となるように、第1SCR触媒5の触媒床温と第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの目標吸着量との関係(以下、第1目標吸着量という)が破線で表わされている。
図3に、第2SCR触媒6についてのアンモニア吸着量に関するマップを示す。このマップにも図2と同様に、第2SCR触媒6の触媒床温と第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの飽和吸着量との関係(以下、第2SCR触媒6の飽和曲線という)が実線で表わされると共に、第2SCR触媒6の触媒床温と第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの目標吸着量との関係(以下、第2目標吸着量という)が破線で表わされている。尚、第2SCR触媒6の飽和曲線と第2目標吸着量との差は、第1SCR触媒5の飽和曲線と第1目標吸着量との差よりも大きくなっている。すなわち、第1目標吸着量は第2目標吸着量よりも大きくなっている。
ここで、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量Aを算出する方法について説明する。図1に示されるように、ECU10は、吸気量センサ21による検出値、すなわち吸気量Qの信号を受信する。この実施の形態では、ディーゼルエンジン1に吸引される吸気量Qとディーゼルエンジン1から排出される排出量とがおおよそ等しいとみなすことにより、排気管2を流通する排気ガスの流量として吸気量Qを用いる。また、ECU10は、NOxセンサ16,17による検出値(X,X)の信号を受信する。
続いて、ECU10は、第1SCR触媒5において還元されたNOxの量を、Q(X−X)と算出する。ここで、噴射ノズル8から1回の噴射動作で噴射されるアンモニアの供給量をF(通常は、体積または質量等)とし、モル単位に変換するための係数をαとする。尚、アンモニアの供給量Fは、後述する式(7)のようになる。第1SCR触媒5においてNOxとアンモニアとが一対一で反応するものと仮定すると、アンモニアの消費量は還元されたNOxの量と等しくなり、第1SCR触媒5において、アンモニアの供給量からアンモニアの消費量を差し引いたものが、第1SCR触媒5に吸着する量であるとみなすことができるから、ECU10は、以下の式(1)から、噴射ノズル8から1回の噴射動作でアンモニアが噴射されたときに第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの量A’を算出する。
’=α・F−ΣQ(X−X) ・・・(1)
ここで、式(1)の右辺の第2項は、Q(X−X)を時間積算したものである。尚、一般的にはNOxとアンモニアとが一対一で反応しないことを考慮して、NOxとアンモニアとの反応率をβ(=アンモニアの消費量/還元されるNOxの量)とすると、式(1)の代わりに、以下の式(2)を用いてもよい。
’=α・F−βΣQ(X−X) ・・・(2)
式(1)または(2)により算出されたA’を、噴射ノズル8によるアンモニアの噴射ごとに積算することにより、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量Aが算出される。したがって、ECU10及びNOxセンサ16,17は、第1SCR触媒5に吸着したアンモニアの量を算出する第1アンモニア吸着量算出手段を構成する。尚、第1SCR触媒5に吸着しているアンモニアの一部が離脱して第1SCR触媒5からスリップすると、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量は低下する。第1SCR触媒5から離脱する量をf(モル単位)とすると、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量は、上記Aからfを差し引いたものになる。第1SCR触媒5に吸着しているアンモニアの一部が離脱する原理については後述する。
次に、第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの吸着量Aを算出する方法について説明する。図1に示されるように、ECU10は、吸気量センサ21による検出値と共にNOxセンサ17,18による検出値(X,X)の信号を受信する。噴射ノズル9から噴射されるアンモニアの供給量をF(通常は、体積または質量等)とすると、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量Aを算出する方法と同様にして、以下の式(3)から、噴射ノズル9から1回の噴射動作でアンモニアが噴射されたときに第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの量A’を算出する。
’=α・F−ΣQ(X−X) ・・・(3)
ここで、式(3)の右辺の第2項は、Q(X−X)を時間積算したものである。尚、アンモニアの供給量Fは、後述する式(8)のようになる。また、同様にして、NOxとアンモニアとが一対一で反応しないことを考慮して、NOxとアンモニアとの反応率をβとすることにより、式(3)の代わりに、以下の式(4)を用いてもよい。
’=α・F−βΣQ(X−X) ・・・(4)
式(3)または(4)により算出されたA’を、噴射ノズル9によるアンモニアの噴射ごとに積算することにより、第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの吸着量Aが算出される。したがって、ECU10及びNOxセンサ17,18は、第2SCR触媒6に吸着したアンモニアの量を算出する第2アンモニア吸着量算出手段を構成する。
ただし、この算出方法は、第1SCR触媒5をスリップしたアンモニアが存在しない場合の方法であり、第1SCR触媒5をスリップしたアンモニアが存在する場合には、式(3)または(4)の右辺にfを加算すればよい。さらに、第2SCR触媒6に吸着しているアンモニアの一部が離脱して第2SCR触媒6からスリップする場合には、上記Aから、第2SCR触媒6から離脱する量f(モル単位)を差し引いたものになる。尚、第2SCR触媒6に吸着しているアンモニアの一部が離脱する原理については、後述するように、第1SCR触媒5に吸着しているアンモニアの一部が離脱する原理と同じである。
第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに吸着するアンモニアの吸着量A及びAを算出する方法について、第1供給手段及び第2供給手段である噴射ノズル8,9のそれぞれからアンモニアが間欠的に噴射される形態を前提に説明したが、第1供給手段及び第2供給手段がアンモニアを連続的に供給するようなものである場合には、吸着量A及びAを算出する方法は次のようになる。
以下の式(5)及び(6)のそれぞれから、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6それぞれの単位時間当たりの吸着量A”及びA”が算出される。
”=α・F’−Q(X−X) ・・・(5)
”=α・F’−Q(X−X) ・・・(6)
ここで、F’及びF’は、第1供給手段及び第2供給手段のそれぞれから供給されるアンモニアの流量(通常は、体積流量または質量流量等)である。尚、式(5)及び(6)のそれぞれの第2項にNOxとアンモニアとの反応率βを乗算してもよい。
”及びA”を時間積算することにより、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに吸着するアンモニアの吸着量A及びAが算出される。
次に、この実施の形態に係る排気ガス浄化装置の動作について説明する。
ディーゼルエンジン1の始動後、排出された排気ガスは、排気管2を流通する。排気ガスが酸化触媒3を流通することにより、排気ガス中の一酸化窒素(NO)の一部が二酸化窒素(NO)に酸化され、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)も酸化される。続いて排気ガスがDPF4を流通することにより、排気ガス中のパティキュレートマター(PM)がDPF4に捕捉される。DPF4から流出した排気ガスは、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6に順次流入する。後述する動作で、制御弁15aの開度に相当する流量のアンモニアがアンモニア供給源15から放出されてアンモニア供給管14を流通し、振り分けバルブ13に基づいて、アンモニアがアンモニア供給枝管11,12のそれぞれに振り分けられて、噴射ノズル8,9それぞれから排気管2内にアンモニアが供給される。アンモニアは、排気ガスとともに第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに流入し、アンモニアの一部と排気ガス中のNOxとが反応して、窒素及び水となる。NOxと反応しないアンモニアは、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに吸着する。反応も吸着もしないアンモニアは、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれをスリップする。第1SCR触媒5をスリップしたアンモニアは、第2SCR触媒6に流入する。第2SCR触媒6をスリップしたアンモニアは、アンモニアスリップ触媒7において酸化される。このようにしてNOxが浄化された排気ガスは、排気管2を流通して大気中へ排気される。
次に、噴射ノズル8,9それぞれから供給されるアンモニアの供給量を制御する動作について説明する。
ディーゼルエンジン1の始動後、ECU10は、NOxセンサ16,17,18、温度センサ19,20及び吸気量センサ21のそれぞれによる検出値の信号を受信する。ECU10は、制御弁15aの開度を制御すると共に振り分けバルブ13の開度を制御して、アンモニア供給管14を流通するアンモニアの全量がアンモニア供給枝管11を流通するようにする。その後、ECU10は、既に説明した動作で、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量Aを算出する。
NOxセンサ18が排気ガス中のNOxを検出し始めたら、ECU10は、供給量Fのアンモニアが噴射ノズル9からも噴射されるように、ECU10は、制御弁15aの開度を制御すると共に振り分けバルブ13の開度を制御して、アンモニア供給枝管11,12それぞれを流通するアンモニアの供給量を制御する。その後、ECU10は、既に説明した動作で、第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの吸着量Aを算出する。
ECU10は、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに吸着するアンモニアの吸着量A及びAが、温度センサ19,20による検出値に対応する第1目標吸着量及び第2目標吸着量となるように、噴射ノズル8,9のそれぞれから噴射されるアンモニアの供給量を制御する。例えば、図2において、温度センサ19による検出値がTの場合には、第1目標吸着量はMT(T)となり、図3において、温度センサ20による検出値がTの場合には、第2目標吸着量はMT(T)となる。したがって、噴射ノズル8,9のそれぞれから次の噴射動作で噴射されるアンモニアの供給量F,Fはそれぞれ、以下の式(7)及び(8)のようになる。
=MT(T)−A ・・・(7)
=MT(T)−A ・・・(8)
尚、式(7)及び(8)により、FまたはFがゼロ以下になった場合には、噴射ノズル8または9からの噴射は行われない。
ここで、例えば、ディーゼルエンジン1の稼働状態から、今後排気ガスの温度が上昇して、図2に示されるように、第1SCR触媒5に流入する排気ガスの温度、すなわち温度センサ19による検出値がTからTに上昇すると予想した場合を仮定する。排気ガスの温度上昇前に、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量が第1目標吸着量のMT(T)であったとすると、温度センサ19による検出値がTのときには、温度Tにおける第1目標吸着量のMT(T)と温度Tにおける飽和吸着量MS(T)との差ΔMだけ第1SCR触媒5の飽和吸着量MS(T)を超えているので、ΔMの量のアンモニアが第1SCR触媒5から脱離して、第2SCR触媒6に流入する。
ここでさらに、排気ガスの温度が上昇して温度センサ19による検出値がTからTに上昇した場合に、図3に示されるように、温度センサ20による検出値がTからTに上昇したとすると共に、排気ガスの温度上昇前に、第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの吸着量が温度Tにおける第2目標吸着量のMT(T)であったとする。この実施の形態では、第2SCR触媒6の飽和曲線と第2目標吸着量との差は、第1SCR触媒5の飽和曲線と第1目標吸着量との差よりも大きいので、温度センサ20による検出値がTに上昇したとしても、吸着量MT(T)は、温度Tにおける第2SCR触媒6の飽和吸着量MS(T)よりも少なく、その結果、第1SCR触媒5から脱離して第2SCR触媒6に流入するアンモニアの少なくとも一部を第2SCR触媒6は吸着することができる。
第2SCR触媒6の飽和曲線と第2目標吸着量との差を適切に設定して、
[MS(T)−MT(T)]≧ΔM ・・・(9)
とすれば、第1SCR触媒5から脱離したアンモニアを第2SCR触媒6で吸着することができる。この場合、噴射ノズル9から噴射されるアンモニアの供給量は、第1SCR触媒5から流出するアンモニアの量ΔMを考慮して決定される。すなわち、ECU10は、噴射ノズル9から噴射されるアンモニアの供給量を、第1SCR触媒5に吸着するアンモニアの吸着量及び温度センサ19による検出値をも考慮して制御する。
上記(7)式が成り立たない場合、すなわち第1SCR触媒5から脱離するΔMの量のアンモニアを全量は第2SCR触媒6が吸着できない場合には、第1SCR触媒5から脱離するアンモニアの量が、第2SCR触媒6が吸着可能な量になるように、噴射ノズル8から噴射されるアンモニアの供給量を制御する。すなわち、ECU10は、噴射ノズル8から噴射されるアンモニアの供給量を、第2SCR触媒6に吸着するアンモニアの吸着量及び温度センサ20による検出値をも考慮して制御する。
このような動作で噴射ノズル8,9のそれぞれから供給されるアンモニアの供給量を制御することにより、第2SCR触媒6をスリップしてアンモニアスリップ触媒7によって酸化されるアンモニアの量をできる限り少なくしながら、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに吸着するアンモニアの吸着量を制御できる。また、排気ガスに同伴されて第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに流入するアンモニアだけではなく、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれに吸着するアンモニアによってNOxが浄化されるので、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6のそれぞれにおけるNOx浄化率が最大化される。
このように、第1SCR触媒5に流入する排気ガスの温度が上昇する場合に、第1SCR触媒5に吸着しているアンモニアの一部が脱離して第2SCR触媒6に流入しても、第1目標吸着量は第2目標吸着量よりも大きいので、第1SCR触媒5から脱離したアンモニアが第2SCR触媒6に吸着される。これにより、NOx浄化率とアンモニアのスリップとの最適化を図ることができる。
この実施の形態では、噴射ノズル8,9のそれぞれからアンモニアが噴射されるが、この形態に限定するものではない。噴射ノズル8,9から噴射された後に、排気ガス中で加水分解等の化学変化によってアンモニアを生成するアンモニア原材料を噴射ノズル8,9のそれぞれから供給するようにしてもよい。このようなアンモニア原材料としては、尿素水等が挙げられる。
この実施の形態では、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6それぞれのサイズ及び触媒成分並びにその担持量を同じにしているが、サイズ、触媒成分、担持量を異なるようにしてもよい。この場合には、第1SCR触媒5及び第2SCR触媒6それぞれの飽和吸着量に応じて、第1目標吸着量及び第2目標吸着量を設定すればよい。また、第1SCR触媒5については、その触媒成分をDPF4に担持することにより、第1SCR触媒5とDPF4とを一体化してもよい。
この実施の形態では、NOx量を算出する際に、吸気量センサ21による検出値を用いているが、この形態に限定するものではない。排気ガス流量を実際に測定するセンサを設けたり、ディーゼルエンジン1の稼働状態(回転数やアクセル開度等)から排気ガス流量を推定したりするような形態であってもよい。
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)、2 排気管、5 第1SCR触媒、6 第2SCR触媒、8 噴射ノズル(第1供給手段)、9 噴射ノズル(第2供給手段)、10 ECU(制御手段,第1アンモニア吸着量算出手段,第2アンモニア吸着量算出手段)、16 NOxセンサ(第1アンモニア吸着量算出手段)、17 NOxセンサ(第1アンモニア吸着量算出手段,第2アンモニア吸着量算出手段)、18 NOxセンサ(第2アンモニア吸着量算出手段)、19 温度センサ(第1温度検出手段)、20 温度センサ(第2温度検出手段)。

Claims (4)

  1. 内燃機関から排出された排気ガスが流通する排気管に設けられた第1SCR触媒と、
    該第1SCR触媒よりも下流側で前記排気管に設けられた第2SCR触媒と、
    前記第1SCR触媒及び前記第2SCR触媒のそれぞれの上流側で前記排気管内にアンモニアまたはアンモニア原材料を供給する第1供給手段及び第2供給手段と、
    前記第1SCR触媒及び前記第2SCR触媒のそれぞれに吸着したアンモニアの量を算出する第1アンモニア吸着量算出手段及び第2アンモニア吸着量算出手段と、
    前記第1SCR触媒に流入する排気ガスの温度を検出する第1温度検出手段と、
    前記第2SCR触媒に流入する排気ガスの温度を検出する第2温度検出手段と、
    前記第1温度検出手段及び前記第2温度検出手段のそれぞれによって検出された温度に対して前記第1SCR触媒及び前記第2SCR触媒のそれぞれに吸着するアンモニアの吸着量についての第1目標吸着量及び第2目標吸着量が予め設定された制御手段と
    を備え、
    前記第1供給手段から供給される前記アンモニアまたは前記アンモニア原材料の供給量は、前記第1アンモニア吸着量算出手段による算出値が前記第1温度検出手段によって検出された温度における前記第1目標吸着量となるように前記制御手段によって制御されると共に、前記第2供給手段から供給される前記アンモニアまたは前記アンモニア原材料の供給量は、前記第2アンモニア吸着量算出手段による算出値が前記第2温度検出手段によって検出された温度における前記第2目標吸着量となるように前記制御手段によって制御され、前記第1目標吸着量は前記第2目標吸着量よりも大きい排気ガス浄化装置。
  2. 前記第1SCR触媒に流入する排気ガスの温度が上昇して前記第1SCR触媒に吸着しているアンモニアの一部が脱離する場合、前記第2温度検出手段によって検出された温度において、前記第2SCR触媒の飽和吸着量と前記第2目標吸着量との差が、前記第1SCR触媒から脱離するアンモニアの量以上である、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
  3. 前記第2供給手段から供給される前記アンモニアまたは前記アンモニア原材料の供給量はさらに、前記第1アンモニア吸着量算出手段による算出値及び前記第1温度検出手段による検出値に基づいて制御される、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
  4. 前記第1供給手段から供給される前記アンモニアまたは前記アンモニア原材料の供給量はさらに、前記第2アンモニア吸着量算出手段による算出値及び前記第2温度検出手段による検出値に基づいて制御される、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
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