以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の実施形態に係る洗濯機の斜視図であり、上蓋を開放した状態での前面側から目視した斜視図で洗濯機の上部を示す。また、図3は、図1の斜視図に対し本発明におけるイオン溶出装置のイオンカートリッジを引き出した状態を示す斜視図である。
また、図2は本発明の実施形態に係る側断面図である。この図2は、洗濯機の上蓋を閉じた状態を示すもので、本発明のイオン溶出装置部分を示す断面図である。図4は図3の断面図に対し本発明のイオン溶出装置を構成するイオンカートリッジを交換のために引き出した状態を示す断面図である。
さらに、図5は本発明の第1の実施形態にかかるイオン溶出装置の上面図である。なお、図9及び図10は交換可能とされる本発明のイオンカートリッジを示す斜視図、及び平面図である。
まず、図1において本発明にかかる洗濯機の構成について説明する。
洗濯機1は、縦型方式における全自動洗濯機を示すもので、外箱2を備える。外箱2は、略直方体形状で、金属又は合成樹脂より形成され、その上面と底面部は開口部となっている。外箱2は、上側開放部が合成樹脂製の上面板3で覆われ、ねじ3aにて固定されている。上面板3の前部、上面には洗濯運転の操作を行う操作部4が設けられる。操作部4は、洗濯操作のための印刷等が行われたパネルを除外した状態で示している。上面板3の背面側には、同じく合成樹脂製のバックパネル5が装着され、ねじ止めされている。また、外箱2の底面開口部には、合成樹脂製の図示しないベース(台盤)が設けられ、ねじ止めされている。
上面板3の中央部には洗濯機1内に洗濯物を投入するための出入口6が開設されている。出入口6はバックパネル5の前端部に設けたヒンジ部7で枢支される蓋8によって開閉される。この蓋8の外形状は、平面視で、ほぼDの字形状に形成され、直線部分がヒンジ部7で開閉可能に枢支されている。蓋8の周縁にはパッキン部(不図示)が設けられ、出入口6と蓋8との間が気密に保たれる。このパッキン部は、上面板3の出入口6上縁に設けるようにしてもよい。
外箱2の内部には、洗濯物を収容し洗濯及び脱水を行う洗濯槽である洗濯脱水槽9と、洗濯脱水槽9を収容してなる図示しない水槽が設けられている。洗濯脱水槽9は洗剤を溶かした水、またはすすぎ用の水(以下これらを総称して「洗濯水」という)を溜める。水槽および洗濯脱水槽9はともに上面が開口した有底筒状のカップの形状を呈しており、各々軸線を垂直にして水槽を外側、洗濯脱水槽9を内側とする形で同心的に配置される。
水槽は図示しないサスペンション部材によって外箱2内部に吊り下げられる。サスペンション部材は水槽の外面下部と外箱2の内面コーナー部とを連結する形で計4箇所に配備され、水槽を外箱2内で揺動できるように支持し、かつ振動を吸収している。
洗濯脱水槽9は上方にテーパ状に広がる周壁を有し、この周壁にはその最上部に環状に配置した図示しない複数個の脱水孔を除き、液体を通すための開口部はない。即ち、洗濯脱水槽9はいわゆる「孔なし」タイプに形成される。洗濯脱水槽9の上部開口部の縁には、洗濯物の脱水のため脱水槽9を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサが装着される。脱水槽9の内部底面には槽内の洗濯水を撹拌し、流動させるための撹拌翼であるパルセータが配置される。なお、洗濯脱水槽9は、孔なしタイプでなく、周壁に多数の孔を設けた孔ありタイプでもよい。
水槽の下面には図示しないが駆動ユニットが取り付けられる。駆動ユニットはモータ及びクラッチ機構、ブレーキ機構を有している。クラッチ機構、ブレーキ機構はモータの回転を、脱水軸及びパルセータ軸を介して洗濯脱水槽、パルセータを選択的に、また同時に回転させる。またブレーキ機構は、電磁力によって脱水軸の回転にブレーキを掛けるとともに、ブレーキを解除する。
バックパネル5の下の空間部には水道水、風呂水等を給水、供給するための水処理部が設けられている。水処理部は、水道水を供給するために水道蛇口と連結される水道水を供給する図示しない給水弁、また風呂水を供給するための風呂水供給部19等を含む。
上記給水弁を介して供給される水道水(以下水と記す)は、本発明にかかるイオン溶出装置(以下イオンユニットと記す)10へと供給される。以下に、本発明のイオンユニット10の構成を説明する。
(イオン溶出装置の構成)
イオンユニット10は、図2、図4、図5等に示すように、バックパネル5の下面の空間部に設けられ、洗濯機本体側にねじ止め、固定されるカバーケース20と、該カバーケース20に対して引き出し式にスライドし着脱可能に設けられるイオン溶出するためのイオンカートリッジ30とから構成される。
カバーケース20は、前面側(洗濯脱水槽9に対向する面側で、洗濯機本体の前面側に対向する側で、洗濯脱水槽9へと注水する側)が開口20aされ、その開口20aから後述するイオンが添加された水、また後述する風呂水等の洗濯水が洗濯脱水槽9へと注水する。また、この開口20aの部分を介して、上記イオンカートリッジ30が着脱可能となる。このカバーケース20は、バックパネル5に取付け固定された支持部材12に固定され、該支持部材12の前面(洗濯脱水槽9が位置する側)が開口された開口部分に、開口20aが対応して固定されている。
上記カバーケース20は、図5のA−A線の断面図(図6)、C−C線の断面図(図8)に示すように、底板20bが水、洗濯水等の注水経路として機能する。その底板20bは、下傾斜(洗濯脱水槽9側へと傾斜)で、かつ下方に湾曲するように形成されており、水、洗濯水を効率よく洗濯脱水槽9へと注水する。
カバーケース20は、前面側の開口20a、上面の上板(天板)20c、開口20aと反対側で背面となる背面板20d、さらに両側面を形成する側板20e、20fとを有する。天板20cは、中央部付近が一段低くなった段部面20g、この段部面20gに対応して天板20cから垂下する沿直面20hから成る。底板20b、天板20c、背面板20d、両側板20e、20fを含めて一体生成されており、天板20cに段部面20g、20hを有する。このカバーケース20は、前面側が開口20aを有するケース空間内に水、風呂水等の洗濯水が導入される。なお、カバーケース20を構成する上述した各板は、別体で形成し、接着剤等にて一体化することもできる。
上記カバーケース20の背面板20dは、上記給水経路に連通し、水をカバーケース内に導入するほぼ円筒形状に形成された受水管21、風呂水供給部19に連通し洗濯水を導入する略角柱形状の風呂水受水管22が設けられている。また、天板20cには洗濯機本体側にねじ止め固定すたるための複数の固定片23a、23b、23c等が設けられている。固定片23a、23bは、側板20e側、固定片23cは側板20f側に設けられている。
背面板20dには、受水管21の開口部分に、水をカバーケース内に導入し、後述するイオンカートリッジ30へ供給する導入管24が設けられている。この導入管24は、図6に示すようにカバーケース20とは別体で、開口部分を囲うように設けられ、ねじ止め片24aを介して図示しない、ビスにてカバーケース20の背面板20dに固定されている。この導入管24は、水流の下流側の先端部が閉塞され、先端部分付近の下面にイオンカートリッジ30側に設けられる後述するイオン溶出部32の貯水槽38に供給するための第1供給口24b、及び直接上述した注水経路となる底面20bへと供給する第2供給口24cが形成されている。第1供給口24bは、第2供給口24cよりも流出する流量が少なく設定されている。例えば、第1供給口24bは、小孔が2〜3個設けられているのに対し、第2供給口24cは同径の小孔が5〜10倍程度、設けられている。したがって、大量の水が第2供給口24cからカバーケース20の底面20bへと供給され、残り一部が貯水槽31へと供給される構成である。
また、カバーケース20の背面板20dには、風呂水受水管22からの風呂水(洗濯水)を導き入れる導入口26が形成されており、風呂水受水管22がカバーケース20の注水経路と直接連通している。この導入口26は、その下縁がカバーケース20の底板20bと連接し、同一平面となるように形成されている。
さらに、カバーケース20には、イオンカートリッジ30を引き出し式に出し入れする時のガイドとして機能するガイド片25a、25bが設けられている。ガイド片25a、25bは、カバーケース20の天板20cから下方に垂下し、かつ背面板20dから延びたL字形状に形成されている。図8に示すように、ガイド片25aと側板20eとの間、及びガイド片25bと天板20cの沿直面20hとの間に形成された隙間は、イオンカートリッジ30に設けられるガイド壁を案内するガイド孔として機能する。
上記カバーケース20において、図8に示すように風呂水受水管22に対応する部分が先に説明したように一段低く形成された段部を有する。この段部を構成する段部面20gの下部に対応する部分に、イオンカートリッジ30の金属イオン生成にかかる電源供給を行う後述する電気接続部が位置する。
また、カバーケース20には、図8に示すように底板20bと両側板20e、20fと連結する部分に段部20i、20iが形成されている。この段部20iは、後述するイオンカートリッジ30の着脱時における支持部として形成されている。
(イオン溶出装置を構成するイオンカートリッジ)
次に、カバーケース20に対して着脱可能となるイオンカートリッジ30の構成について説明する。このイオンカートリッジ30は、電気接続部31とイオン溶出部32とを区分して設けている。イオンカートリッジ30は、図7、図9、図10に示すようにカバーケース20の開口20aの面に対応し、該開口20aの隠すように覆う前壁30a、イオン溶出を行うイオン溶出部32と、イオン溶出部に設けられる電極に電圧を供給する電気接続部31とを区分する隔壁30b、隔壁30bとほぼ同一の大きさで一方の側面を構成するイオン溶出部32側の側壁30c、他方の側面を構成する電気接続部31側の側壁30d、隔壁30bと側壁30cとの間に位置する底壁30eで区画される空間部を形成している。
上記側壁30cと隔壁30bの上部は、図8に示すように、カバーケース20側に設けられる側板20eとガイド片25aとの隙間と、鉛直面20hとガイド片25bとの隙間とをガイド孔として、スライド可能となり、イオンカートリッジ30の位置決めと共に、引き出し式に着脱を確実、容易にするガイド部として機能する。また、側板30cと他の側板30dの下部は、図8に示すようにカバーケース20の底板20bの両側に形成された段部20iに支持されるように当接し、スライド式に着脱作用を容易にするガイド部として機能する。ここで、イオン溶出部32は、隔壁30bとカバーケース20の沿直面20hの壁とで、図8に示すように電気接続部31を仕切った格好となり、電気接続部31をカバーケース20に供給される水から分離した構造となっている。
上記電気接続部31は、上面が開口され側壁30dを含めて区画形成された断面が矩形状のボックス33を有し、その空間内部に、後述するイオン溶出のための銀電極の接続端子31a、31b(図7参照)、該接続端子へと電圧供給を行うリード線34が設けられている。リード線34の他端側は、ボックス33外の前壁30aに設けられるコネクタ35を構成するリセプタクル部35aに接続される。このリセプタクル部35aに電気的に接離可能な他方のプラグ部35bは、図示しないリード線を介して洗濯機本体側の電圧供給回路に接続されている。コネクタ35を構成するリセプタクル部35a及びプラグ部35bは、電気接続部分以外の周囲は絶縁部材で覆われており、プラグ及びリセプタクルが互いに電気的に接続されることで、周囲が絶縁部材で覆われ、絶縁と同時に気密性が保たれ、水等の浸入が阻止される。
上記ボックス33の開口面には、その上面を覆う密閉蓋33aが設けられている。この密閉蓋33aの周囲には密閉するためのパッキン33bが嵌め込まれる凹部33cが形成されている。また密閉蓋33aの前側の一側端部には、ねじ止めするための固定片33dが設けられている。この固定片33dに対応して前壁30aにはねじ止め用のボス部30f(図9参照)が設けられている。これにより密閉蓋33aをボックス33の上面に取り付け、ボス部30fに固定片33dを図10に示すようにねじ止めすることで、パッキン33bがボックス33の上縁に圧着(密着)され、ボックス内の空間が水密状態で保たれる。
なお、リード線34は、ボックス33の前面の側壁部分に設けられた切欠き部より導出されている。その導出部分は弾性絶縁部材34a(図7参照)で束ねられ、密閉蓋33aを固定することでパッキン33bともども切欠き部も閉塞され、ボックス33内の水密性が確保される。
また、接続端子31a、31bは、周囲が絶縁部材31c、31dで覆われており、絶縁を高め、安全性をさらに確保するようにしている。この接続端子31a、31bの一端は、イオン溶出部32に導くために、ボックス33とイオン溶出部32との間を連通する連通部33eが両者間に設けられている。連通部33eには、絶縁ゴム33f等が充填された格好で接続端子31a、31bの一端がイオン溶出部32に達している。絶縁ゴム33fは、イオン溶出時にイオン溶出部32に設けられる貯水槽に溜められた水がボックス33内に流入するのを阻止するために設けられている。
図7を参照すれば、電気接続部31のボックス33は、カバーケース20の風呂水導入口26に対向する部分を、傾斜面となる形状に形成している。こにより、図7において右側の図示しない導入口26から風呂水が供給される際の水の抵抗を大幅に軽減させている。これにより、風呂水は電気接続部31のボックス33の存在で邪魔されることなく、洗濯脱水槽9へとスムーズに注水することができる。
イオンカートリッジ30は、図9において前壁30aにコネクタ35のリセプタクル部35aを保持し固定する保持部、密閉蓋33aを固定するためのねじ止めボス部30fの他、該イオンカートリッジ30自体を洗濯機本体に固定するためのねじ穴30gが一段低く形成された凹部30hに設けられている。このねじ穴30gは図3、図4に示すように洗濯機本体のバックパネル5の下部に設けられた支持部材12に設けられている固定部12aに対応するように設けられている。固定部12aは、カバーケース20の天板20cの開口20a端縁から下方へ垂下し、前面側に突出するように形成されている。この突出した固定部12aに対応して、イオンカートリッジ20の前壁30a上面に、上述した凹部30hを設け、この凹部に上記ねじ穴30gが設けられている。
従って、図1に示すように、イオンカートリッジ30の前壁30aでカバーケース20の開口20aを覆うようにイオンカートリッジ30をカバーケース20に挿入することで、固定部12aが前壁30aに設けられた凹部30hに嵌り、ねじ穴30gを介してビス等でねじ止めし、イオンカートリッジ30を支持部材12に固定している。この支持部材12に、先に説明したようにカバーケース20が各固定片23を介してビス等で固定されている。
なお、イオンカートリッジ30の前壁30aの下部30iは、図6等に示されるように、カバーケース20の底板20bの端縁との間に手の指を挿入できる程度の間隔が形成され、水の注水給路となる下縁部分を隠し、且つイオンカートリッジ30を引き出し、挿入するための取っ手(30i)として機能している。そのため、取っ手30iに手を掛けることで、イオンカートリッジ30をカバーケース20から引き出すことができる。
また、図2には、イオンカートリッジ30がカバーケース20に挿入され、固定された状態において、イオンカートリッジ30の前面をカバーする化粧板13を取り付けた状態を示している。この化粧板(カバー)13は、上記支持部材12に着脱可能に取り付けられる。これによりイオンカートリッジ30の前壁30aの前面を覆い隠す。これにより、外観が綺麗に見え、意匠面でも優れるものとなる。この化粧板13は、イオンカートリッジ30側に直接設けるようにしてもよい。
続いて、イオンカートリッジ30のイオン溶出部32の構成について詳細に説明する。イオン溶出部32は、イオン溶出のための金属電極、例えば2枚の銀電極37(37a、37b)を設けている。このイオン溶出部32には、例えば図10に示すように、底壁30eの中央付近に仕切板36を設け、該仕切板36、前壁30a、隔壁30b、側壁30c、底壁30eに区画され、上面が開口する貯水槽38が形成されている。
この貯水槽38内には、銀電極37が配置される。この銀電極37は、それぞれの電極37a、37bが先に説明した接続端子31a、31bの一端に電気的に接続されている。また上記仕切板36は、貯水槽38に一定の水を貯める機能を有し、一定を越える水は仕切板36の上縁を乗り越え(オーバーフローし)、底壁30eへと流出する。
貯水槽38を構成する仕切板36は、先に説明した導入管24の第1供給口24bから供給される水道水を堰き止め、一定量の水が常に溜まるようにしており、銀イオンの溶出を確実に、かつ安定させ、電極の減りを部分的でなく先端部から確実に減耗するようにしている。そのため、仕切板36は、その上端縁を銀電極37の全てが水に浸ることができる高さに形成されている。また、第1供給口24bから供給される水は、図6に示すとおり、銀電極37と前壁30aとの間に供給される。これにより、貯水槽38には一定量の水が常に溜まると同時に、銀電極37の間を流れ、仕切板36をオーバーフローし流出する。そのため、銀電極37は、全てが水に浸った状態で銀イオンが水に溶出され、仕切板36側から流出し、溶出量を安定させることができると同時に、電極が部分的に減耗することもなくなる。
さらに、イオンカートリッジ30の底壁30eは、仕切板36からオーバーフローし流出する側の底壁30eには、矩形状の多数の孔30jが形成されている。この多数の孔30jは、供給される水が跳ね、飛び散るのを防止する整流板として機能する。この多数の孔が形成された部分を以下整流板30kとして説明する。この整流板30kに対応して、上記導入管24の第2供給口24cが位置付けられる構成としている。従って、第2供給口24cより多量の水が供給されても、整流板30kの多数の孔30jにより水が跳ねて、飛び散るのが防止され、供給される水を整流してカバーケース20の底板20bへと流出させることができる。なお、整流板30kの孔30jの形状は、矩形状に限らず、正方形状、六角形状、円形状等であってもよい。このような形状であれば、孔を整然と配列することが可能である。しかし、整然と配列できない形状の孔でも十分に目的を達成できる。
上記イオン溶出部32を構成する貯水槽38に設けられる銀電極37a、37bは、接続端子側と反対側の端面側の間隔が狭くなるように位置決め配置さている。つまり接続端子側から端面側に向かった徐々に間隔は狭くなるようにハの字状で銀電極37a、37bが位置付けられている。この位置決めについては、イオンカートリッジ30の底壁30eから突出させたリブを設け、そのリブに電極を沿わせるようにすることで位置決めすることができる。また、これと同時に、この位置付けを確実にする目的で、銀電極37を囲うように樹脂製の電極カバー39が設けられている。
上記電極カバー39は、図6に示すように下面が前面開口となる直方体形状に形成され、電極の平板面に対応する両側壁39a、39bの上縁間に橋渡しされた複数の桟39c(図10参照)を設けている。また、隔壁30b側に対向する一端面側には電極カバー39を貯水槽38に取付け(係止)るための断面がほぼU字形状の受け部39d、これと反対側の他端面側には、図8に示すように貯水槽38の底壁30eに設けられた係止孔30lに挿入され底壁30eに係止される係止爪39eが一体成形されている。また、電極カバー39の桟39cには、下方に垂下する両電極37の間を保つ調整片39f(図6、図8参照)を含めて一体成形されている。
一方、隔壁30bには、電極カバー39の一端面側に設けられている受け部39dに対応し、該受け部39dに係止し受けられる突出部30mを設けている。したがって、係止爪39eを係止孔30lに挿入し、弾性変形させ、受け部39dを隔壁30bの突出部30mを乗り越えることで、受け部39dが突出部30mを受ける格好で係止され、電極カバー39が貯水槽38に取り付けられる。これより、図6に示されているように調整片39fにて銀電極37a、37bは、間隔が一定に保たれ、ハの字状態に確保される。電極カバー30の取外しは、底壁30eに係止されている係止爪39eを解除することで電極カバー39を簡単に取外すことができる。
また上記貯水槽38は、イオン溶出時に水を溜める。そのため、イオン溶出を行わない状態でも水が溜まったままとなれば、電極としては好ましくはない。そのために、貯水槽38の底壁30eには、水抜き穴30nが形成されている。この水抜き穴30kは、水抜きを良好にするためにも漏斗形状に形成されている。従って、水道水の供給が止まれば、貯水槽38内の水は、水抜き穴30nを介して全てが排出される。しかし、イオン溶出を行う場合、水抜き穴30nは、排水される水の量が、導入管24より第1供給口24bから貯水槽38へと供給される水量よりも少ないように穴の開口径が設定されている。従って、水抜き穴30nより水が排水されようとも、供給される水は貯水槽38に溜まり、仕切板36より流出することになる。
以上説明した構成のイオンユニット10を有する洗濯機において、以下に洗濯機の動作説明に合わせてイオンユニット10の動作説明を行う。
洗濯機1において、出入口6から洗濯脱水槽9に洗濯物が入れられ、上蓋8が閉じられる。操作部4により洗濯条件を選択して洗濯の開始を指示されると蓋開閉センサにより上蓋部8が閉じたことを検知して洗濯工程及び乾燥工程が実行される。
(洗濯水の供給動作)
洗濯工程では図示しない給水弁が開かれ、洗濯脱水槽9に、上述したイオンユニット10を経由して水道水がカバーケース20の底板20bの注水経路を介して注水される。このとき、水道水は、イオンユニット10のカバーケース20に設けられている受水管21を通り、カバーケース内の導入管24を経て、第1および第2供給口24b、24cを介してイオンカートリッジ30へと流れ込み、一部がイオン溶出部32を経由して整流板30kで水流が整流され、カバーケース20の底板20bの注水経路を介して開口20aより洗濯脱水槽9へと注水される。イオン溶出部32は、洗濯工程時、また銀イオンボタン等が操作されていなければ、銀電極37には電圧が供給されない。また、説明が後になったが、ユーザは洗濯脱水槽9に洗剤を投入している。
なお、操作部4にて洗濯時に風呂水を利用する選択操作がなされている場合、図示していない周知の風呂水供給ポンプが動作する。これにより、風呂水供給部19へと風呂水が汲み上げられ、カカバーケース20の風呂水受水管22を通り、導入口26から底板20bを経て開口20aから洗濯脱水槽9へと注水される。このとき、風呂水は水道水を洗濯脱水槽9へと注水する共通(同一)のカバーケース20を経て注水されることになる。しかし、風呂水はイオンカートリッジ30が装着されている状態では、イオン溶出部32側へと流入することはなく、風呂水で銀電極37を汚す心配はない。
このように、水道水の供給、あるいは風呂水の供給を同一、且つ共通の部位、箇所(カバーケース)で行えるため、水道水を含めた洗濯水(風呂水等を含め)の経路が簡略化でき、その分洗濯水の供給経路をコンパクトに構成できるメリットがある。
従来ではイオン溶出部は、水道水の密閉状態の給水路中に洗濯水の供給経路とは全く別の箇所で、水道水のみを処理できる部位に設ける必要があり、イオン溶出後に風呂水等の洗濯水を洗濯脱水槽9へと注水する供給箇所へと送り込む流路とを個別に設ける必要があった。そのため、イオン溶出部の箇所では、全く個別の給水路等を設ける必要があったため、給水路及び供給路等の多くの流路を区分けするためのスペース等が必要となるだけでなく、洗濯水を含む供給経路が複雑化し、嵩張る傾向にあった。このような問題点を本発明のイオン溶出装置(イオンユニット10)では一挙に解消できた。
上述のようにして水道水、または風呂水による洗濯水が洗濯脱水槽9に注水され、所定量の水が溜まると水位センサの検知によって給水弁が閉じられる(又は風呂水供給ポンプの動作が停止される)。次に、パルセータ(撹拌翼)が回転し、洗濯脱水槽9の中の水を攪拌して洗濯動作が行われる。
洗濯動作を開始して所定時間が経過すると排水弁を開いて洗濯脱水槽9内の水が排水される。この排水後、洗濯用のモータの駆動によって洗濯脱水槽9が高速回転して脱水動作が行われる。洗濯脱水槽9の高速回転によって洗濯物から飛散した水は脱水孔から流出し、洗濯脱水槽9の外部へと排水弁を介して排出される。
(イオン溶出にける動作)
脱水動作を開始して所定時間が経過するとモータが停止され、排水弁を閉じて給水弁が開かれる。洗濯脱水槽9に所定量の水が溜まると水位センサの検知によって給水弁が閉じられる。次に、パルセータが回転し、洗濯脱水槽30の中の水を攪拌してすすぎ動作が行われる。
このすすぎ動作において、本発明のイオンユニット10が動作し、供給される水に銀イオンが溶出され、洗濯脱水槽9へと注水されることになる。この動作を以下に詳細に説明する。
まず、給水弁が開かれると、水道水が給水弁を介してイオンユニット10の受水槽21を経てカバーケース20へと導入される。受水された水は導入管24を経て、第1供給口24bよりイオンカートリッジ30の貯水槽38へと供給される。また、残りの水道水は全て第2供給口24cからイオンカートリッジ30の整流板30kに直接供給される。この整流板30kに供給される水は、貯水槽38へと供給される水の量よりも多く、落下時等に跳ね返り、飛び散るなどして大きな脈流となりカバーケース20の底板20bの注水経路を経て洗濯脱水槽9へと注水される。上蓋8が開かれていれば、洗濯機1を載置している床や、ユーザに飛び散ることが危惧される。
この点、本発明によれば、整流板30kの作用により落下する水道水は、多数の孔30jで跳ね返り、飛び散るのを防止し、水流を整流した形で底板20bへ送られ、開口20aより洗濯脱水槽9へと注水される。これにより大量の水道水が落下供給されようとも水流が整流され洗濯脱水槽9へと注水される。また、飛び散るのを防止できるため、飛び散った水が他へと流出し、漏れ出すこともなくない。したがって、整流板30kをイオンカートリッジ30に設けることで、イオンカートリッジ30内に実装される銀電極37に電圧を供給するための供給端子や接続線等の電気接続部への水の浸入等の心配を排除できる。
上記貯水槽38へと水が供給されれば、この貯水槽38を構成する仕切板36の高さまで水が溜まる。溜まった水は、仕切板36を超えてオーバーフローし、上記整流板30k側へと流出する。このとき、銀電極37は、溜まった水に全てが浸され、電圧供給により電極間に電流が流れる。これにより(電気分解により)銀イオンが溶出される。溶出された銀イオンを含む水は、継続して供給される水道水により仕切壁36をオーバーフローし(乗り越え)、貯水槽38から流出する。流出した銀イオンを含む水(銀イオン添加水)は、整流板30k、カバーケース20の底板20bを流れ、開口20aから洗濯脱水槽9へと注水される。
上記銀電極37は、供給される水道水で常に一定量に満たされた水に浸かった状態で、イオン溶出が行われる。この銀イオンが溶出された水は、仕切板36から決まった量でオーバーフローし、流出する。そのため、イオンの溶出が安定、かつ確実に行われ、所望する濃度の銀イオンの添加水を洗濯脱水槽9へと供給できる。
また、銀電極37間を決まった量の水が流れ、流出るため、銀電極が部分的にランダムに減耗し、途中で銀電極が破断される不具合も解消できる。本発明によれば、先端部の間隔が狭くなるようにハの字状に銀電極37を配置しており、先端部より徐々に減耗される。そのため、高価な銀電極37の寿命を延長できる。
すすぎ動作時に銀イオンによる抗菌処理を所望する銀イオンボタンが操作されることで、上述したように銀イオン添加水が供給され。そして、洗濯物の量に応じて決められた水が洗濯脱水槽9に注水されれば、水位センサがそれを検知し、給水弁が閉じられる。これと同時に、銀イオン溶出動作も停止、つまり銀電極37への電圧供給が停止する。なお、銀電極37へ電圧供給を停止するタイミングは、給水弁を閉じる動作と同時ではなく、それ以前に停止するようにしてもよい。
給水弁が閉じられると、洗濯物のすすぎを行うためパルセータを回転駆動し、すすぎを行う。このすすぎ動作のためにパルセータの動作が開始して所定時間が経過すると、洗濯時の脱水動作と同様に脱水動作が行われる。そして、脱水動作が所定時間行われると、洗濯工程が終了する。これにより、洗濯物に銀イオンが浸透し、抗菌処理が行われる。
またすすぎ工程時、上記給水弁が閉じられ水道水の供給が停止しても、貯水槽38には供給された水道水で満たされたままとなる。しかし、貯水槽38には、水抜き穴30nが設けられているため、貯水された水は水抜き穴30nから排出される。そのため、貯水槽38には、水が常時溜められることはなく、全てが排水され、銀電極37が水に常時晒されるのを防止できる。
従来では給水路中に密閉して銀電極を設ける必要があるため、少なくとも銀電極の配置部分を流れる方向に傾斜形状にし、水道水の供給が停止しても水が滞留するのを防止していた。そのため、傾斜形状が逆になれば、水が滞留したままとなり、給水路の精密な設計が要求されていた。しかし、本発明によれば、貯水槽38を設け、そこに水抜き穴30kを設けるため、傾斜形状に構成する必要がない。その結果、設計上自由度が増すことになる。つまり、従来では、本発明のように水抜き穴30nを設けることが不可能であり、水の滞留を防止する構成が必須となっていた。
(本発のイオンカートリッジの交換)
以上、説明したように洗濯機1による洗濯を行うときに、銀イオンによる抗菌処理のための操作が行われた場合、銀電極がその都度、減耗していく。
銀電極が減耗することで、所望する濃度の銀イオン添加水を供給することができない状態に陥る。このような状態を検知するための方法は周知であり、その周知の方法、手段を利用して銀電極を交換するための報知を行えばよい。
例えば、特許文献2に開示されているような方法、手段を設ければよい。そのため、銀電極37に流れる電流を検知する電流検知回路、この検知電流に基づき、銀電極37に供給する電圧を制御する電圧制御回路を設ける。電圧制御回路は、銀電極37の減耗により電流量が少なくなると、これに基づいて電圧を高めに設定し、決められた濃度の銀イオン添加水を供給できる一定の電流が流れるように制御する。しかし、電極37のさらなる減耗により、設定する電圧が閾値を越える場合、一定の電流を流すことができないとして、銀電極37の交換を促す報知を行う。銀電極37の効果を促す報知は、操作部4に設けられた表示部で表示させる。これと同時に報知音等を同時に出力すれば、ユーザへの報知を確実に行える。
以上の報知によりイオンカートリッジ30の交換を行う。この交換は当然として、ユーザ自身で交換可能であり、サービスマンコールを必要としない。イオンカートリッジ30を交換するために、図2に示す状態において、上蓋8を開放する。図1に示すように上蓋8を開放した状態で、図2で示したイオンカートリッジ30の前面を覆い隠すようにした化粧板15を支持部材12より取外す。
化粧板(カバー)13を取外すと、図1の示す状態で、イオンカートリッジ30の前壁30aの上面が露出することになる。その前壁30aの上部に位置する支持部材12の突出部12aのビスを除去する。ビスが除去されると、イオンカートリッジ30の取っ手30iに指を掛け、少し手前にイオンカートリッジ30を引き出す。引き出されたイオンカートリッジ30は、その前壁30aに位置するコネクタ35の取外しが可能となる。このコネクタ35の上部のプラグ部35bを、前壁30aに保持固定されたリセプタクル部35aより取外す。これにより、イオンカートリッジ30がカバーケース20より完全に取外すことができる。
以上、取外したイオンカートリッジ30に代えて、新しいイオンカートリッジ30を準備し、これを隔壁30b、側壁30cを、カバーケース20側のガイド孔(図8に示すカバーケース20の側板20eとガイド片25aとの隙間、沿直面20hとガイド片25bとの隙間)に合わせる。そしてイオンカートリッジ30をカバーケース20へと押し入れる。途中まで押し入れた状態で、リセプタクル部35aに洗濯機本体側のプラグ部35b電気的に接続した後、イオンカートリッジ30を完全に押し入れる。これにより、支持部材12の突出部12aがイオンカートリッジ30の前壁30aの凹部30hに嵌り、外したビスにてねじ止めする。そして、イオンカートリッジ30の前面を覆う化粧板13を支持部材12に取り付け、イオンカートリッジ30の交換が完了する。
以上のように、イオンカートリッジ30の交換については、水道水、風呂水の洗濯水を洗濯脱水槽(洗濯槽)9へと注水する位置に交換可能とされ、簡単にユーザ交換できる構成とすることができる。
また、イオンカートリッジ30は洗濯水を洗濯脱水槽9へと注水する注水経路であり、特許文献2記載のように洗濯機1本体の上部、つまりバックパネル部の給水弁からの密閉状態の給水路中に設ける必要がないため、イオンカートリッジ30が上部に突出することはない。そのため、該イオンカートリッジ30に邪魔され、洗濯機1を設置する位置が制約されることもなくなる。しかも、突出部分が存在しないので、梱包時の梱包外観の高さ方向も嵩張ることもなくなり、輸送、搬送時の積み重ね等を行う場合にも有利に作用する。
(本発明によるイオン溶出装置の別の形態、及び態様)
本発明は、イオン溶出装置においては、貯水槽38を設け、この貯水槽38よりオーバーフローさせてイオン添加水を洗濯脱水槽9へと供給する構成である。そのため、溶出されるイオン濃度を安定させることができる。
つまり、従来の給水路中に密閉状態でイオン発生部を配置する場合、全ての水道水がそのイオン発生部を通過するため、通過時にイオン発生部が障害となり十分な量の給水が望めず、洗濯脱水槽9への洗濯水の流量が抑制される。これを解消するためには給水路の流路をイオン発生部で阻害される分だけ大きく形成することが強要される。
そのため、イオンを溶出のための電極間を通過する水の量が制限され少なくなり、そのイオン溶出部を避けて、イオン溶出されずにそのまま供給される水の量が多くなる。そのため、目的のイオン溶出の濃度とするために、供給電圧を高く、電流量を多くする傾向にある。このようにすれば、絶縁性の問題、また安全性の問題をクリアするためのハードルが高くなる。
これに対し、本発明のイオン溶出装置によれば、イオン溶出部を貯水槽38に設ける構成であるため、常に決められた量の水量内でイオン溶出が行われ、決められた濃度のイオン添加水を容易に供給することができる。また、電圧を高く、電流量を多くすることなく、十分な濃度のイオン添加水を供給できる。
(本発明の貯水槽の他の形態)
そこで、貯水槽38に供給される水道水(水)が、両電極37a、37b間を効率よく流れ、イオン溶出を良好に行える別の形態について以下に説明する。
貯水槽38を構成する仕切板36は、電極37が水で浸る高さに設定されており、その上端縁は水平状態に設定されている。このような形態について、先の実施形態において説明した。このような形態によれば、図10において貯水槽38に供給される水道水は、時仕切板36の上端縁の全域を均等にオーバーフローして流出し、銀電極37を跨ぐようにして貯水槽38から流出する。そのため、両銀電極37を横切る方向への流れが形成され、イオン溶出された水が、貯水槽38より流出している。
そこで、以下に示す形態においては、貯水槽38を流出するまでの水路を長くするようにしている。図8に示すように、貯水槽38は、銀電極37の長手方向に一致する方向に長く形成されている。また、銀電極37の先端と側壁30cとの間には相当の間隔が形成されている。この間隔が水路として機能する構成を以下に説明する。
図8において、仕切板36は、銀電極37の上端縁よりも多少高く形成されている。この仕切板36の側壁30c側の上端を、反対側の隔壁30b側より少し高くなるように仕切板36の上端縁を傾斜形状に形成する。
以上のように仕切板36を形成することで、図10において導入管24の第1供給口24bを介して水が供給されると、水の流れとしては、例えば隔壁31b側から反対の側壁30cへと流れ、銀電極37先端と側壁30cとの間の間隔を流路として流れ、さらに側壁30cから隔壁30bへと流れる。その流れの途中で仕切板36の上端縁から順次オーバーフローして流出する。そのため、銀電極37の長手方向を往復するような水路が形成される。これにより流れる水が銀電極37を通過する時間が長くなり、イオン溶出が良好に行われることになる。
また、電極37の長手方向への水の流路を確実に形成するために、仕切板36の上端縁を、接続端子31側に対向する側の方を高くなるように傾斜させて形成する。これは、上述した仕切板36の構成とは逆になる。このような構成とすることで、貯水槽38に供給される水は、反対側の側壁30c側へと流れる水路(流路)が形成され、上記間隔を経てその流れに沿って仕切板36をオーバーフローし、流出される。これにより電極の長手方向に沿う方向への水路が形成される。
なお、この形態によれば、銀電極37の長手方向の一方向の水路構成となる。そのため、銀電極37先端と側壁30cとの間隔を狭めることができる。このようにすれば、イオンカートリッジ30全体を小さく構成できる。
以上説明したように、仕切板36の上端縁の形状を工夫、つまり傾斜形状にすることで、貯水槽38内で銀電極37の長手方向への水路(流路)が形成される。これにより貯水槽38に供給される水道水が、銀電極37を通過する時間が長くなり、電圧が低くても十分な溶出されるイオン濃度を高めることができる。
(洗濯水を洗濯脱水槽へと注水する構造)
本発明は、イオン溶出装置の上述した特徴的な構成により、風呂水を洗濯水として注水する構造も一つの特徴的な構造を有する。
つまり、洗濯水として水道水を直接導入し洗濯脱水槽へと注水する経路と、風呂水を直接導入し洗濯脱水槽へと注水する経路とを共通にしている。そのための構成として、イオン溶出装置のカバーケース20の背面板20dに、給水弁を介してそのまま水道水を導入する受水管21、汲み上げた風呂水を導入する風呂水受水管22を設けている。そして、カバーケース20内で、供給される水道水を風呂水とは区別しイオン溶出を行う貯水槽38へと供給する構成としている。そのため、風呂水は直接カバーケース20を介して洗濯脱水槽9へと注水され、水道水はイオン溶出装置を構成するイオンユニット10のイオンカートリッジ30を介して風呂水の供給と同一注水経路、つまりカバーケース20を介して洗濯脱水槽9へと供給される。その水道水を供給する際に、イオン溶出のための制御が行われ、必要時にイオン添加水として供給される。
従って、洗濯水を供給する経路が簡略化し、コンパクトに構成できる。つまり、従来ではイオン溶出部を、水道水の給水路を一部分岐し、洗濯水として供給する経路とは全く別の経路を密閉状態にした箇所に設ける必要がある。そして、風呂水等の洗濯水を洗濯脱水槽9へと供給する供給箇所へ、イオン溶出後のイオン添加水を送り込む流路を設ける必要があった。そのため、イオン溶出部の給水路とは全く個別の給水路等を設ける必要があったため、給水路及び供給路等の多くの流路を区分けするためのスペース等が必要となるだけでなく、洗濯水を含む供給部が複雑化し、嵩張る傾向にあった。このような問題点を本発明のイオン溶出装置(イオンユニット10)を備えることで、一挙に解消できる。
(洗濯機自体の構成の特徴)
本発明のイオン溶出装置(イオンユニット10)は、洗濯水として洗濯脱水槽へと直接注水する注水経路となる洗濯脱水槽9の上部のバックプレート5に対応する部分に設けている。そのため、洗濯脱水槽9へと洗濯物を投入するために、上蓋8を閉じればイオン溶出装置自身は洗濯機本体より、突出、または露出することはない。
以上のことから、洗濯工程が実施されているときには、上蓋8が閉じられた状態で、該上蓋8は開放することができない状態にロックされるのが現状である。したがって、洗濯動作中、またすすぎ、脱水の動作中には閉じられた上蓋8はロックされ、開放できない。
そのため、洗濯機の動作中に不意にイオンカートリッジ30が取外されることはない。また、イオンカートリッジ30が取外された状態であっても、洗濯水の供給には全く影響はない。つまり、イオンカートリッジ30は、密閉状態での給水路中に設けられるものではなく、洗濯脱水槽9へ注水する注水経路に設けられているため、洗濯水の供給には全く影響されない。
本発明のイオンカートリッジ30が取り付けられない状態では、イオン溶出が行えない状態となり、抗菌処理以外の通常での洗濯運転を行える。この運転においては、全く不都合なく行える。
また、イオンカートリッジ30が取り付けられていない状態で運転し、抗菌処理運転を選択している場合、イオンカートリッジ30がないことを簡単に知ることができ、それを報知することが可能である。つまり、電極間を流れる電流を検知する既存の回路を用い、電流が流れていないことを検知することで、イオンカートリッジ30が存在していないことを、検知でき、これに基づき報知するようにすればよい。
この点、特許文献2によれば、洗濯機本体の外部にイオン溶出装置(水処理ユニット)が突出している。そのため、動作に関係なく取外し可能となる。そのイオン溶出装置が取外されることで、給水弁が開かれていれば、水道水が噴出し、洗濯水の供給等に支障をきたすことになる。このような不具合は上述したように本発明の洗濯機では解消できる。
また、本発明によれば、洗濯を行うために上蓋8を開放し、ユーザが直接洗剤を洗濯脱水槽9へ投入する構成として説明した。このように直接洗剤を投入するのではなく、洗剤を収容しておく洗剤ケースを設ける。この洗剤ケースへカバーケース20から注水される洗濯水等を流しこみ、洗濯水共々洗剤を洗濯脱水槽へと注水する構成とすることができる。
また、本発明の実施形態において説明した洗濯機は、縦型の洗濯機の構造について説明した。この洗濯機でなく、ドラム式洗濯機においても当然本発明を実施できる。ドラム式洗濯機は、外装の外箱の上部ではく、一側面側が開口され、該開口を開閉する蓋を設けている。この開口に対応して開口され有底の円筒形状の水槽、該水槽内に収容され回転駆動される洗濯物を収容する回転ドラム(洗濯脱水槽)を設けている。ドラム及び水槽は同軸上に設けられ水槽は、上記外箱内に複数の緩衝部材(ダンパー等)にて支持さている。回転ドラムは、水槽の開口と対応して開口された有底の円筒形状であり、駆動モータ(DDモータ等)の回転軸に直結されている。ドラム及び水槽の軸は水平、または傾斜状態であって、開口部分を前面、有底側を背面となり、蓋を開放することで洗濯物を出し入れする。
このような構成のドラム式洗濯機においても、洗濯水として水道水、また風呂水が供給されドラム内に注水される。水道水の注水経路に先に説明したイオンユニット10を設け、そのイオンユニット10に水道水の受水管21、また風呂水の受水管22を設けるようにすればよい。このようなドラム式洗濯機においても、先に説明した洗濯機同様の作用効果が期待できる。
(イオンカートリッジの別の形態)
本発明の交換可能となるイオンカートリッジ30は、銀電極37に電圧を供給することで、供給される水に銀イオンを溶出させる構成である。そのため、貯水槽38を設けることが必須の構成となる。
この貯水槽38、電極37、この電極37に電圧供給を行う電気接続部31を設ける必要がある。そのため、整流板30kは、設ける必要はなく、必要とする場合には、カバーケース20側に設けるようにしてもよい。
なお、抗菌処理を行うため本発明においては、イオン溶出部材として、電気分解より水に銀イオンを溶出させる銀電極を設ける構成として説明した。この抗菌処理ため、銀イオンに限定させるものでなく、その他の金属イオンであってもよい。先に説明したように電極37の部材としては、銀以外に、銅、亜鉛、その他の金属であってもよい。
また、イオン溶出を行うためにイオン溶出部材として、電気分解による金属電極を設けている。このようなイオン溶出方式でなく、例えば銀酸化物等が含有された抗菌剤を貯水槽38に浸るように設ける。このようにしても、イオン溶出部材である抗菌剤を水に浸ることで抗菌処理のための銀イオン等を溶出することができる。このような抗菌剤をイオン溶出部材として構成するものであれば、上述した電気接続部等を設ける必要がなくなり、イオンカートリッジを非常に簡素化でき、取扱等が簡単になる。