<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10における遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とにより構成されている。
図2に示すように、外枠11は長尺状のフレーム材を四辺に連結し構成されるものであって全体として矩形枠状をなすように形成されている。この外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技ホールの島設備等に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図3及び図4参照)。
図3及び図4に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
(前扉枠14)
次に、前扉枠14について説明する。図1に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上に鑑みれば、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部にはエラー等の不具合が発生した場合に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音やBGM等などが出力されるスピーカ部29が設けられている(図3参照)。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている(図2参照)。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能及び遊技球発射機構によって発射された遊技球のうち遊技領域PE(図3参照)に到達しなかったっ遊技球が遊技者に戻された場合に当該排出された遊技球を貯留する受け皿としての機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。なお、遊技球の発射速度は、遊技球発射ハンドル41の操作量(回動量)が大きくなるに従って速くなり、この操作量が遊技者により調整されて所定の量となった場合に遊技球が遊技領域PEへ到達することとなる。
図3に示すように、前扉枠14の背面には、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と、下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有してなる。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。
次に、図5に基づき内枠13について詳細に説明する。図5は内枠13の正面図である。なお、図5においては図3と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
(内枠13)
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす内枠ベース体50を主体に構成されている。内枠ベース体50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、内枠ベース体50は外枠11の上枠部に寄せて配置され、外枠11の下枠部と内枠ベース体50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、内枠ベース体50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では内枠ベース体50が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と内枠ベース体50との間に相互干渉の防止等を目的として若干のクリアランスを設けてもよい。
内枠ベース体50の前面における回動基端側(図5の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72は軸部を有しており、それら軸部に前扉枠14に設けられた軸受け部が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
内枠ベース体50の回動先端側(図5の右側)には、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が配設されている。施錠装置75は内枠ベース体50の右端部(後述する縦フレーム部材)に沿うようにして上下に延びており、その長手方向(上下方向)に散在して配置された前扉用鉤部材76を有している。内枠ベース体50には前扉枠14の背面に設けられた鉤受け部材49(図3参照)内枠13の正面側に突出させるためのスリットが各前扉用鉤部材76にそれぞれ対応するようにして形成されている。それらスリットを通じて突出した前扉用鉤部材76が、前扉枠14に各前扉用鉤部材76に1対1で対応させて設けられた前扉用鉤部材76に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方側に延出する内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11に固定された鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
内枠ベース体50(施錠装置75)には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75の主要部分を構成する施錠ユニット(各鉤部材76,77や連動杆等)とは別体で設けられており、当該施錠ユニットと隣接して配置されている。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右(時計回り)に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り)に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように構成されている。
内枠ベース体50の中央部分には遊技盤80を収容する収容凹部51が形成されている。収容凹部は遊技盤80の外形に合わせて遊技機後方に窪んでおり、遊技盤80はこの収容凹部51に遊技機前方から嵌まった状態で手動式のロック機構によって固定されている。収容凹部51の底部には、略矩形状の窓孔52が形成されており、この窓孔52を通じて遊技盤80の背面構成が内枠13の後方に突出している。なお、この窓孔52については、内枠ベース体50に装着された遊技盤80によってそのほぼ全域が遊技機前方から覆われた状態となっている。
(遊技盤80)
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とにより構成された板体80aを有してなり、その前面には遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。ガラスユニット22は、後側のガラスパネル23と遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80(詳しくは板体80a)は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能でり、更には上記シート材に代えて各種模様が形成されるようなコーティング等を採用することも可能である。
以下、図6に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図6は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84及び可変表示ユニット85等がそれぞれ配設されている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が各入球部に対応して設けられた検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球(遊技球の払い出し)等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口89が設けられており、各種入球部等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83bへの遊技球の入球を「入賞」とも表現する。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘や風車等の各種構成によって遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット85は遊技盤80の中央に配されており、同可変表示ユニット85の周辺に作動口83a,83b等が配設されている。作動口83a,83bは、可変表示ユニット85の下方に配設された上作動口83aと、上作動口83aの直下に配設された下作動口83bとによって構成されており、特に下作動口(抽選契機入球部)83bには、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物91が設けられている。電動役物91は、左右一対の可動片と同可動片を駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、下作動口83bへの入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
この下作動口83bよりも上流側(詳しくは可変表示ユニット85の側方)には上記スルーゲート84が配置されており、遊技球のスルーゲート84の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物91が所定時間だけ閉状態から開状態に切り替えられることとなる。
なお、上作動口83aへの入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下作動口83bへの入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、上作動口83aに対する下作動口83bの有利性を高める上では、上作動口83aに係る払出個数よりも下作動口83bに係る払出個数を多く設定することが好ましい。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82には、遊技盤80の背面側へと通じる大入賞口82aが形成されているとともに、当該大入賞口82aを開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉82bが設けられている。開閉扉82bは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉82bは、遊技盤80の背面側に設けられた可変入賞駆動部82c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉82bは閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に(大当たり:通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行に当選した場合に)開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば16ラウンド)を上限とした開閉扉82b等の開放が繰り返されるように設定されているものがある。
次に、可変表示ユニット85について説明する。可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置94を有している。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御される。図柄表示装置94には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置94については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして配設されたセンターフレーム95を備えている。センターフレーム95は、遊技盤80(板体80a)に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技盤80の前面から起立した状態となることで当該センターフレーム95と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置94に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット85(詳しくはセンターフレーム95)を右側から迂回するルートと、左側から迂回するルートに大別されている。
センターフレーム95の下部には、第1保留ランプ部98a及び第2保留ランプ部98bが設けられている。左側の第1保留ランプ部98aは、上作動口83aに対応しており遊技球が上作動口83aを通過した回数は最大4回まで保留され第1保留ランプ部98aの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。右側の第2保留ランプ部98bは、下作動口83bに対応しており、遊技球が下作動口83bを通過した回数は最大4回まで保留され第2保留ランプ部98bの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
作動口83a,83bは、可変表示ユニット85寄りとなる位置に配置されている。作動口83a,83bへの入賞をトリガとして特別遊技状態に移行し得るため、遊技者は作動口83a,83bに入賞するか否かに注目するとともに、特別遊技状態に移行するか否かを把握するため図柄表示装置94に注目するものと考えられる。作動口83a,83bを可変表示ユニット85寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット85周辺に集中させるための工夫である。
遊技盤80における右側の端部(後述する遊技盤80の回動先端部)には後述する誘導レール100とともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材99が配設されている。遊技領域区画部材99には、主表示ユニット87や誘導レール100に沿って飛翔した遊技球が衝突するストッパ部材が配設されている。ストッパ部材は誘導レール100の先端付近に配置された緩衝部材であり、当該ストッパ部材に衝突した遊技球はその勢いが弱められた後、遊技領域PEを流下することとなる。つまり、ストッパ部材には衝突した遊技球の勢いを弱める減勢機能が付与されている。
ここで、主表示ユニット87について補足説明する。主表示ユニット87は遊技領域区画部材99に埋設されており、その一部がガラスユニット22と対向するように配置されている。この対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示ユニット87については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部Dの表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示部Dは、上作動口83aへの入賞に基づいた抽選結果を表示する下作動口用表示部と、下作動口83bへの入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右作動口用表示部とを有してなる。下作動口用表示部では、上作動口83aへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口83aへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。上作動口83aへの入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右作動口用表示部では、下作動口83bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下作動口83bへの入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、右作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードへ移行される。
ここで、いずれかの作動口83a,83bへの入賞に基づいて、対応する作動口用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口83a,83bへの入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とすることも可能である。
また、主表示ユニット87の主表示部Dには上記両表示部以外に、スルーゲート84への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた上記電動役物91が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
以上詳述した主表示部Dについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されているため、その視認性が担保されている。
再び図5を用いて内枠13の構成について説明すれば、内枠ベース体50における遊技盤80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。
(遊技球発射機構110)
遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が内枠ベース体50(例えば後述する横フレーム部材57)に固定されることで、同内枠ベース体50に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112には断面略V字状の溝部が形成されており、その溝状部分に遊技球が嵌ることにより当該遊技球の前後位置が規定されるように構成されている。
発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技盤80に固定された遊技領域区画部材99とともに遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。つまり、遊技領域PEへと遊技球を届けるようにして遊技球を発射した場合には誘導通路103において外レール102に沿った領域が実質的に遊技球が通過する通過領域(通過経路)を構成し、内レール101に沿う領域については実質的に遊技球が通過しない領域となる。
同図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路が配設されている。ファール球通路は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路内に入ることとなる。ファール球通路は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
内枠ベース体50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には内枠ベース体50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、内枠ベース体50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニットの受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
内枠ベース体50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124は本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢されており、前扉枠14が開放された場合には、この付勢力によって各開閉部材124が閉状態となることで、各通路122,123からの遊技球の脱落が回避されることとなる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路とが連通する。
次に、図7に基づき内枠13(内枠ベース体50及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図7は内枠13の背面図である。
内枠ベース体50の背面における回動基端側(図7の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、内枠ベース体50の背面には、裏パックユニット15を閉じた状態で同内枠ベース体50に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように内枠ベース体50における収容凹部(遊技盤収容部)51の底部分には内枠ベース体50の厚さ方向に貫通し同内枠ベース体50の背面側に開放された窓孔52が形成されており、その窓孔52が収容凹部51に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は窓孔52を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、遊技盤80の背面の構成について説明する。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85(図6参照)を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製のベース体96が固定されている。ベース体96は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。ベース体96の一部は内枠ベース体50の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94(図6参照)と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(内枠ベース体50の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置140が搭載されている。
報知・演出制御装置140は、後述する主制御装置からの指示に従い音声の出力やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス141に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置140の下方には、ベース体96を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
ベース体96において遊技盤80の背面下部と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82、作動口83a,83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路(図示略)が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、ベース体96には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口89を介して排出通路内に導出される。
また、ベース体96には、上述した各入球部用の検知センサとして、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する一般入賞口用検知センサと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知する可変入賞装置用検知センサと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口用検知センサとが装着されており、それら各種検知センサによって入賞検知機構が構成されている。これら各種検知センサは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各検知センサから検知情報(検知信号)が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図8及び図9に基づき裏パックユニット15について説明する。図8はパチンコ機10の背面図、図9は裏パックユニット15の正面図である。
図8に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パックユニット15の本体部としての裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は、透明性を有する合成樹脂により成形されており、図9に示すように払出機構部202等が取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有してなる。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する(図8参照)。
ベース部211には、外部端子板(図示略)が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータ)に対して各種信号が出力される。また、図9に示すように、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部が形成されており、固定レバー134が挿通部に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の側方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されている。電源・発射制御基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。具体的には、遊技球発射機構110を構成しているソレノイド111の駆動制御や球送装置113の駆動制御が実行される。
また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。一方、主制御装置162に設けられたRAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
これら各種スイッチについては、遊技機主部12(内枠13)を開放して内枠13の背面部を露出させることで遊技機正面側から操作可能となる。一方で、上記施錠装置75によって遊技機主部12の開放が規制されている状態では、遊技機正面側からそれら各種スイッチを操作することができない。つまり、上記各種スイッチについては遊技機主部12を閉じた状態では操作されにくくなっており、施錠装置75用のキーを所有していないもの(例えば不正行為者)による遊技機正面側からの操作を困難なものとしている。
以上詳述したように、遊技領域PEへと発射された遊技球が各種入球部へ入球することに基づいて遊技者に遊技球の払い出しや当否抽選等の特典が付与されるタイプの遊技機においては、以下のような不正行為が行われる場合がある。すなわち、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球(以下、不正球という)を遊技領域PEに送り込み、当該糸状部材によって不正球や後続の遊技球の動きを操る不正行為(所謂糸吊りゴト)が行われる場合がある。
当該不正行為について詳しく説明すれば、不正球を他の遊技球に混ぜるようにして上皿33に入れ、当該不正球を球送装置113→発射レール112→誘導通路103を通じて遊技領域PEへと侵入させる。その後、糸状部材を手で操作して所望とする位置へ不正球を配置することにより、当該不正球を後続の遊技球を入球部へ誘導する誘導手段として利用したり、不正球を入球部へ流入させた後、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して不正球を往復させることであたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりすることが可能となる。このような行為によって特典が不正に取得され得る。当該不正行為は主制御装置162等をハッキングする等して不正に大当たり発生させるといった制御装置にかかる不正行為と比較して、不正基板への入れ替えや不正基板の追加等の大掛かりな事前準備が不要であり、更には不正に大当たりを発生させるような不正行為と比較して短期間に多量の遊技球が払い出されるわけでもないため目立ちにくい。故に、ホール管理者が不正球を用いた不正行為を目視にて発見することは困難になりやすい。
本実施の形態においては、上記不正球を用いた不正行為の抑制又は抑止に対応した防犯構造として糸状部材を巻取可能な巻取機構300を備えていることを特徴の1つとしている。そこで以下、その特徴的な構成及びそれに関連する構成について図6及び図10を参照して巻取機構300について説明する。図10(a)は巻取機構300を示す斜視図、図10(b)は巻取機構300の平面図である。
図6に示したように、遊技盤80の遊技領域PEの下側には、板体80aの前面から遊技機前方に突出するようにして装飾体86が固定されている。装飾体86はアウト口89を中心として左右に拡がっており、この装飾体86に上記一般入賞口81や可変入賞装置82が配設されている。
装飾体86においてアウト口89よりも左側となる部分は、その一側部が誘導レール100(詳しくは内レール101)に沿うようにして形成されており、アウト口89よりも右側となる部分はその側部が遊技領域区画部材99に沿うように形成されている。なお、以下の説明では装飾体86における上記左側部分を左側装飾部86aと称する。
左側装飾部86aはそのレール側の外周部が内レール101に沿って当該内レール101の下限位置から上側に延びる略弧状をなしており、その上端部については誘導レール100において左方に最も突出している部分(以下、頂部TPという)に到達するように延設されている。この上端部、すなわち頂部TPと横並びとなる部分に上述した巻取機構300が設けられている。
(巻取機構300)
図10(a)に示すように、巻取機構300は、略円柱状をなす軸体301と、軸体301から当該軸体301の中心軸線方向と交差する方向(詳しくは直交する方向)に突出するように設けられたアーム302とが一体化されてなる回転体303を有している。
軸体301には、その中心部に軸心311が嵌入された状態で固定されている。軸心311は軸体301の両端面から上下に突出しており、この軸心311の両端部が左側装飾部86aに形成された軸受け部に係合することにより、軸体301(回転体303)が中心軸線CLを中心に回転可能に保持されている。より詳しくは、軸体301は、その中心軸線CLが上記頂部TPにおける誘導レール100の接線と同じ方向を向くようにして左側装飾部86aに取り付けられている。
軸体301の上下両端部には、中心軸線CLの放射方向に拡がる円板状のフランジ部312が形成されている。これらフランジ部312は、軸体301に糸状部材が巻き付いた場合に、その糸状部材が軸体301に沿って上方又は下方に移動して当該軸体301から脱落することを妨げる阻止手段としての機能が付与されている。なお、糸状部材の脱落を阻止する機能に着目すれば、上記フランジ部312は必ずしも円板状である必要は無く、少なくとも中心軸線と交差する方向(好ましくは直交する方向)に突出していればよい。
また、巻取機構300には、軸体301の回転方向を規制する回転方向規制手段が設けられている。回転方向規制手段は、図10(b)に示すように、軸体301のフランジ部312に設けられたギア部313(所謂ワンウェイギア)と、左側装飾部86aに設けられギア部313に係合可能に形成されたストッパ片306とによって構成されている。ストッパ片306は、ギア部313と係合する係合位置と、ギア部313との係合が回避される回避位置とに変位可能となっており、付勢手段(図示略)によって係合側へ付勢されている。
軸体301が正回転(本実施の形態では上方から見て時計回り方向への回転)する場合には、ストッパ片306がギア部313の歯部の傾斜に沿って変位することにより上記付勢力に抗して回避位置へと配置される。これにより、ギア部313とストッパ片306との係合が回避され、回転体303の正回転が許容される。一方、回転体303が逆回転(本実施の形態では上方から見て反時計回り方向への回転)しようとした場合には、ストッパ片306とギア部313とが係合した状態で維持されることにより当該逆回転が妨げられることとなる。
ここで、図11を参照して、誘導通路103と巻取機構300との関係について説明する。図11(a)は巻取機構300と誘導通路103との関係を示す概略図、図11(b)は誘導通路103における遊技球の移動経路を示す概略図、図11(c)は誘導通路103における遊技球の移動経路とアーム302との関係を示す概略図である。
図11(a)に示すように誘導通路103を構成している壁面部(内レール101,外レール102,遊技盤80,ガラスユニット22)のうち隣り合う2つの壁面部、詳しくは内レール101と遊技盤80には、それら各構成80,101の厚さ方向に貫通するスリット80b,101bが形成されている。それら両スリット80b,101bは相互に連通しており、回転体303が回転した際にアーム302が通過可能となるように構成されている。つまり、回転体303が回転することでアーム302は誘導通路103を横切るようにして移動することとなる。以下説明の便宜上、誘導通路103においてスリット80b,101bが設けられている位置、すなわちアーム302の通過位置を巻取位置と称する。
ここで、遊技球発射機構110から発射された遊技球の動きについて補足説明する。既に説明したように、誘導レール100は左側に凸となる円弧状をなしている。このため、誘導レール100に沿って移動する遊技球のうち、少なくとも遊技領域PEに到達可能な強さで発射された遊技球については、遠心力によって外レール102に接触した状態を維持しながら誘導通路103内を移動する(転動又は摺動する)。内レール101側にスリット101bを形成することにより、回転体303(詳しくはアーム302)の動作領域を確保するにあたり外レール102に沿って移動する遊技球がスリット101bの縁等に接触してその挙動が乱れるといった不都合が生じにくくなっている。
誘導通路103を通路に直交する断面で見た場合に誘導通路103の全域を横切るようにしてアーム302を移動させる構成とすれば糸状部材に対するアーム302の引っ掛かりを担保することが可能である。しかしながら、このような構成とすることは巻取機構300が無駄に大型化し、その配置にかかる制約が強くなる等の各種不都合を生じさせる要因となる。
このような事情を考慮して本特徴に示すアーム302(スリット80b,101b)の長さについてはある種の制限が設定されている。遊技球が発射される際には糸状部材における不正球側の端部には同不正球に引っ張られることである程度の張力が加わることとなる。このため、遊技球の中心が通過する軌跡(経路)に沿うようにして糸状部材が動きやすいと想定される。そこで、図11(c)に示すように、遊技球の中心が通過する位置がアームの回転軌道内に収まるようにアーム302の長さを制限することにより、回転体303の大型化を抑制している。詳細については後述するが、糸状部材を絡めとる上で回転体の動きが鈍化することは好ましくなく、アーム302の長さを極力短くすることでこのような不都合の発生も抑制される。
また、糸状部材が通路内で弛み等が発生するように長めに設定されているような場合には、上述した糸状部材が自重によって垂れ下がったままになる可能性もある。特に遊技球の動きに左側への変位が含まれている場合、すなわち頂部TPよりも下側に遊技球が位置している状況下においては、糸状部材が外レール102に接触するように垂れ下がると想定される。これでは、糸状部材の巻取機能が上手く作用しなくなる可能性がある。
この点、本実施の形態における巻取機構300は頂部TP付近、詳しくは頂部TPと同じ高さ位置に配置されている。このため、糸状部材が不正球からの張力でなく自重によって垂れ下がっている場合であっても、糸状部材がアーム302に上手く引っ掛からないといった不都合は生じにくくなっている。
ここで、糸状部材が固着された不正球が発射された場合に、不正行為者が糸状部材を握り込んでいると遊技球の動きが妨げられやすくなる。故に、糸状部材については遊技球の動きを妨げないようにある程度自由に動ける状態で保持されると想定される。つまり、糸状部材に生じる張力は不正球の発射に伴う引っ張りと糸状部材の自重とが主として寄与していると想定される。故に、糸状部材を巻き取る上ではそれほど大きな回転トルクを必要としない。このような事情を考慮して、巻取機構300の動作にかかる機構が構築されている。
具体的には、本実施の形態における巻取機構300については回転体303が回転してアーム302が誘導通路103を横切ることに基づいて糸状部材を巻き取ることが可能となるように構成されているが、このような動作を実現するための動力については遊技球の運動エネルギを活用していることを特徴の一つとしている。つまり、巻取機構300を駆動するための構成を構造的側面から工夫して、発射された直後の遊技球の勢いを利用することにより、駆動にかかる構成の簡素化等が実現されている。そこで、以下、図10及び図12を参照して、そのような動きを実現するための構成について説明する。図12は巻取機構の動作態様を示す概略図であり、図12(1)群は誘導通路103の縦断面図、図12(2)群は誘導通路103の横断面図となっている。
図10(a)に示すように、遊技盤80の板体80aにおいてスリット80bが形成されている部分(詳しくはアーム302の先端に対応する部分)には複数の磁石97が埋設されている。これら各磁石97は、アーム302の先端部分に埋設された磁石321に1対1で対応させて設けられており、両磁石97,321が引き付け合うことにより、アーム302はスリット80bを埋める(塞ぐ)位置に待機するように構成されている。なお、以下の説明では当該スリット80bを埋める(塞ぐ)位置を「待機位置」、アーム302が待機位置に配置された状態を巻取機構300又は回転体303の「待機状態」と称する。
アーム302は、回転体303が待機状態となっている場合にその一部(一側部)が板体80aの前面から誘導通路103内に突出するように構成されている。誘導通路103を通過する遊技球は遊技機前方へと移動することを回避すべく、すなわちガラスユニット22に衝突することを回避すべく遊技盤80の前面に接触した状態を維持したまま移動するように誘導レール100や発射レール112遊技盤80の傾き等が調整されている。言い換えれば、遊技球は外レール102及び遊技盤80の両者に接触した状態で移動しやすい構成となっている。そのため、遊技球が誘導通路103内を通過する際には、その遊技球がアーム302の突出部分に当たり、アーム302に対して回転力が付与されることとなる。このような作用にかかる構成についての詳細は後述する。
なお、上述したようにアーム302によってスリット80bを塞いでいる。これにより、遊技球がスリット80bの縁部に衝突してその挙動が乱れるといった不都合が生じにくくなっている。因みに、遊技球及び外レール102の間に生じる圧力と遊技球及び遊技盤80の間に生じる圧力とは、前者よりも後者の方が小さい。このような事情から、外レール102側に遊技盤80のスリット80bに相当する構成を設けた場合と比較して(すなわち巻取機構300を外レール102側に設けた場合と比較して)誘導通路103における凹凸の存在が遊技球の挙動に影響を及ぼしにくくなっている。
図12(a−1),(a−2)に示すようにアーム302において誘導通路103内に突出している部分には、板体80aの前面に沿って移動する遊技球が衝突する当たり面322が形成されている。当たり面322は、上記待機状態にて誘導通路103内への突出量が誘導方向の奥側に向けて大きくなるように傾斜している。つまり、当たり面322は誘導通路103の上流側(下方)を向く成分及び遊技機前方を向く成分を有する傾斜面となっている。
発射された遊技球が当たり面322に衝突することにより上記磁石97,321の磁力に抗してアーム302が遊技盤80の後方へ押される。この衝突時には、遊技球にガラスユニット22側へ向けた反力が加わることとなるが、当たり面322(アーム302)が遊技盤80の奥側に逃げるように変位することにより、当該反力が過度に大きくなることを抑制している。つまり、遊技球の運動エネルギの一部を回転体303の回転エネルギに転換する構成としても、それに起因して遊技球がガラスユニット22に衝突しやすくなるといった不都合が生じにくくなっている。
図12(b)→図12(c)に示すように遊技球がアーム302に衝突することにより回転体303が動作する。当たり面322の傾斜角度(板体80aの前面に対する傾斜角度)については、少なくとも巻取機構300を超える位置まで到達可能な強さで遊技球が発射された場合に、同遊技球によって押されたアーム302が上記待機位置へ復帰可能となる程度の回転エネルギが得られるように設定されている。
また、回転を開始した回転体303は、図12(a)に示す待機位置へとアーム302が到達した場合に、上記各磁石97,321の磁力によって当該待機位置に留まるようにしてその動きが妨げられることとなる。具体的には、回転体303は、遊技球の衝突時に受けたエネルギが軸心311と軸受け部との摩擦とによって減衰する。このような事情を考慮して、上記磁力(保持力)は遊技球の衝突時にはその衝撃力が保持力を上回り、回転によってその勢いが低下して待機位置に復帰した際には回転体303の動きを止めることが可能となるように設定されている。
かかる構成によれば、図12(a)→図12(b)→図12(c)→図12(a)に示すように、通常の遊技球が繰り返し発射されている状況下にて、遊技球の発射の都度回転体303が待機位置から移動して一回転した後再び待機位置へ復帰することとなる。
ここで上記動作原理を利用した巻取機構300による防犯機能を図13を参照して説明する。図13は糸状部材の巻取りの様子を示す概略図であり、図13(1)群は誘導通路103の水平断面を示し、図13(2)群は回転体303と糸状部材との関係を示している。
図13(a)に示すように遊技球発射機構110から発射された不正球がスリット80b,101bが設けられた巻取位置に到達すると、不正球がアーム302(詳しくは当たり面322)に衝突する。これにより、回転体303はアーム302が誘導通路103から遠ざかる側へと移動を開始する。
図13(a)→図13(b)に示すように、不正球が巻取位置を通過した後も糸状部材は誘導通路103内に残存している。アーム302は、一旦糸状部材から後方へ遠ざかるように移動した後に、スリット101bを通じて再び誘導通路103へと復帰する。そして、糸状部材に対して遊技機前方から接触する(図13(b)→図13(c)参照)。
既に説明したように、糸状部材については不正球に引っ張られることで一定の張力を生じる。このため、糸状部材において不正球に近い部分を巻取対象とした場合には、糸状部材の巻き取りに必要な回転トルクが大きくなりやすい。一方、糸状部材の長さには不正行為者が手元(遊技機正面)にて操作することで不正球の位置調整等を行うという当該不正行為の実態からある程度の長さが担保されていると想定される。そこで、敢えて不正球に近い部分を対象として巻き取りを行うのではなく、不正球からある程度離れた部分を対象として巻き取りを行うことにより必要となる回転トルクを抑えやすくなる。
そこで、図13(a)→図13(b)→図13(c)に示したように、不正球が巻取位置を通過した場合にアーム302が直ちに糸状部材に向けて移動するのではなく、一旦糸状部材から離れた後に再び糸状部材に近づくように移動させることにより、糸状部材の巻き取り(接触)にある程度のタイムラグを生じさせることが可能となっている。これにより、上述した糸状部材を巻き取る際に必要な回転トルクの低減とういう目的を達成可能としている。
その後、図13(c)→図13(d)に示すように、回転体303が待機状態に復帰することにより、糸状部材が回転体303に引っ掛かり、不正球の移動が妨げられることとなる。
本実施の形態に示すように回転によって糸状部材の巻き取りを行う構成においては、糸状部材の張力と回転時の回転トルクとの関係が巻取機構300の動作に大きな影響を及ぼす。つまり、アーム302の先端部分にて糸状部材を押す(巻き取る)のと、アーム302の基端部分にて糸状部材を押す(巻き取る)のとでは必要となる回転トルクに大きな差が生じる。そこで、本実施の形態に示すアーム302には、回転体303の動作に伴って糸状部材をアーム302の先端側から基端側へと誘導する誘導手段が設けられている。
具体的には、図10(b)に示すように、アーム302において上記当たり面322が設けられている側とは反対側には、糸状部材をアーム302の基端側(回転中心側)に誘導する誘導傾斜面323が形成されている。誘導傾斜面323は待機状態にて板体80aの前面からの距離が先端部分では相対的に大きく、基端部分では相対的に小さくなるように形成されている。かかる構成によれば、アーム302(誘導傾斜面323)によって押された糸状部材は、アーム302の回転と相まって回転体303の回転中心側に誘導されることとなる(図13(d)参照)。
図13(d)に示す状態では糸状部材が誘導通路103外に引き寄せられた状態となり、糸状部材と回転体303との引っ掛かり(摩擦等)によってそれ以上の移動(流下)が妨げられることとなる。
既に説明したように、不正球が巻取位置を通過した図13(a)のタイミングから糸状部材の巻き取りが実行されて不正球の移動が妨げられる図13(d)のタイミングまで当該不正球の移動は継続されることとなる。そして、図13(d)のタイミングでは遊技球が既に遊技領域PEへ到達した状態となるように、巻取機構300の動作態様が定められている。
つまり、遊技領域PEに流入した遊技球は自重による流下が妨げられた状態となり、不正行為者が糸状部材を引っ張る等して遊技球を遊技領域PE内にて一旦引き上げ再度の流下を促そうとしても、遊技球の自重による流下が上手く行われなくなる。これにより、遊技領域PEにて不正球の位置の調整を自由に行うことが困難となる。
また、本実施の形態においては、後続の遊技球が巻取位置を通過することで回転体303が再び回転し、糸状部材が更に巻き取られることとなる(図13(e)参照)これにより、軸体301及びアーム302の双方に糸状部材が絡み付くこととなり、不正行為者が糸状部材を引っ張る等した場合であっても、糸状部材が回転体303上を滑るように移動すること自体を困難にすることができる。また、アーム302によって中心軸線方向への糸状部材の移動が妨げられるため、軸体301から糸状部材が脱落することを回避できる。
誘導通路103については、その大部分が前扉枠14によって視認不可となるように覆われている。そして、遊技球の発射間隔が0.6secとなるように設定されている点を鑑みると、実際に不正球が遊技領域PEへ到達して不正行為者がその遊技球を目視で確認したタイミングでは次の遊技球が発射されていると想定され、上記図13(e)に示した状態が発生しやすいと想定される。確かに、遊技球を1つずつ発射すれば、図13(e)に示す状態への移行は回避される。しかしながら、このような発射操作は所謂変則打ちと言われるものであり、周囲の注意を引きやすい。故に、不正球の移動自由度が図13(e)よりも高いと想定される図13(d)の状態に留めるようにして発射操作を行うこと自体がやりづらくなり、不正行為の抑制効果を好適に発揮させることができる。
また、不正球を遊技領域PEに流入させた後に遊技球の発射操作を止めて糸状部材の操作に専念することは周囲から見ると非常に違和感のある行為になるため、実際に不正行為を行う場合には、糸状部材の操作と合わせて遊技球の発射を継続すると想定される。この理由からも、糸状部材の巻き取りが促進され、結果として不正行為自体が困難になり、防犯機能が好適に発揮されると想定される。
以上例示した動作態様については、糸状部材の巻き取りに成功した場合であるが、実際には張力が強い場合等に巻取機能が上手く作用しない可能性がある。しかしながら、このような場合であってもアーム302が誘導通路103内、詳しくは糸状部材と接触した位置又は糸状部材を少しスリット80b側へ押し込んだ位置に留まることとなり、後続の遊技球によって、アーム302の回転が促進されることとなる。また、仮に遊技球がアーム302の当たり面322に上手く当たらない等して、上記回転促進効果を享受できない場合であっても、アーム302が誘導通路103における防壁として機能することで後続の遊技球が遊技領域PEへ到達することを妨げることが可能となる。
また、後続の遊技球によって押されたアーム302が待機位置を越えて移動し、例えばスリット80b内に留まる等した場合には、図13(d)と同様に糸状部材の動きが妨げられた状態となり、不正球を所望とする位置へと移動させることが困難になる。更には、スリット80bが開放されて、後続の遊技球がスリット80bの縁部に衝突することでその挙動が乱れることとなり、当該後続の遊技球を遊技領域PEへ到達させること自体を困難にすることができる。
以上の理由から、糸状部材が固着された不正球を用いて不正行為を試みた場合には、糸状部材が巻取機構300によって巻き取られることで、糸状部材を操って不正球を移動させることが困難となる。また、ある程度の回数巻取りが行われた状態では、証拠を隠蔽すべく不正行為者が糸状部材を無理やり引っ張って糸状部材を切ったとしても、遊技領域PE内に糸状部材が付いた不正球がぶら下がったまま残存することとなり、不正行為の痕跡を隠蔽することも困難となる。
本実施の形態においては、巻取機構300を遊技機前方から視認可能な位置に配置することにより、不正行為自体が困難であることをアピールすることができ、不正行為の抑制に貢献できる。
また、巻取機構300が視認可能な位置に配置されているため、何らかの理由で巻取機構300が動作不良を起こした場合であっても、ホール管理者が目視にてその事実を容易に把握することができ、更には、前扉枠14を開放しさえすれば軸体301にアクセスすることができるため、軸体301を指等で回転させてアーム302を待機位置に復帰させることも容易である。
ここで、不正球が遊技領域PE内に流入した状態で上記糸状部材を操作して不正球の位置を調整する場合には、糸状部材が少なくとも上記頂部TPよりも下流側(上方)では内レール101に沿う位置に存在することとなる。このように糸状部材が内レール101に添って存在している状態であれば、糸状部材の巻き取り機能を発揮する上で、アーム302の長さは誘導通路103の幅の凡そ半分もあれば十分となる。つまり、不正球そのものではなく、後続して発射された遊技球によって糸状部材を巻き取る上ではアーム302(詳しくは当たり面322)とそれら後続の遊技球との衝突が担保さればよいため、アーム302の長さをより短くして巻取機構300の小型化に貢献することができる。
<第2の実施の形態>
以上詳述した第1の実施の形態においては遊技球の運動エネルギを利用して巻取機構300を動作させる構成とすることにより巻取機構300にかかる構造の簡素化を実現したが、防犯機能の更なる向上を重視する上では、本実施の形態に示すように巻取機構300を動作させるための動力源を別途設けることが有効である。かかる構成とした場合には、遊技球の発射に基づいて巻取機構300を動作させるという思想レベルでは上記第1の実施の形態と同一であるが、それを構造的側面ではなく電気的側面から実現している点で構成が相違することとなる。
以下、図14を参照して本実施の形態における巻取機構300の駆動にかかる構成について説明する。図14は第2の実施の形態における遊技機において巻取機構に関連した電気的構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態における巻取機構300については基本的に上記第1の実施の形態と同様であるため、それら共通の構成については説明を援用し、相違する構成を中心に説明を行う。
巻取機構300は、回転体303を回転させる回転用駆動手段として駆動モータ351を備えている。駆動モータ351は左側装飾部86aに内蔵されており、駆動力伝達手段を構成するギア等(図示略)を介してその動力が軸心311(軸体301)に伝達される構成となっている。
駆動モータ351は、電源・発射制御装置243における電源・発射制御基板248の出力ポートに接続されており、電源・発射制御基板248から駆動信号が入力されることにより動作する。このように、駆動源を別途用意することに併せてアーム302の当たり面322不要となっており、当該当たり面322が省略されている。但し、アーム302については待機位置に配置された状態にてスリット80bを塞いでおり、巻取位置を通過する遊技球がスリット80bの縁部に接触してその挙動が乱れることを回避している点については上記第1の実施の形態と同様である。
なお、駆動モータ351はステッピングモータとなっており、回転体303(アーム302)の回転位置がパルス数によって管理される構成となっている。詳しくは、出力される駆動信号のパルス数については、駆動モータ351に信号が入力されることにより回転体303が1回転するように設定されている。このため、通常は駆動信号が出力される都度、回転体303が待機位置から離れ再び待機位置に復帰する。
巻取機構300は、アーム302が待機位置に配置されているか否かを監視する監視手段として位置検知センサ352を備えている。位置検知センサ352は、電源・発射制御基板248の入力ポートに接続されており、アーム302の位置情報(検知信号)が電源・発射制御基板248に入力される。これにより、電源・発射制御装置243では巻取機構300が待機状態であるか否かを把握することが可能となっている。
また、電源・発射制御基板248の入力ポートには、上記遊技球発射ハンドル41が接続されており、当該遊技球発射ハンドル41の操作情報(操作信号)が電源・発射制御基板248に入力される構成となっている。なお、操作情報としては、遊技球発射ハンドル41に遊技者が触れているか否かの情報と、回動操作量にかかる情報とが含まれている。
ここで、図15(a)のフローチャートを参照して電源・発射制御装置243のMPU249(図14参照)にて実行される発射制御処理について説明する。発射制御処理は、電源・発射制御装置243にて定期的(例えば0.4sec毎)に実行される通常処理の一環として実行される処理である。
発射制御処理においては、先ずステップS101にて先の遊技球発射から所定の期間(本実施の形態においては0.6sec)を経過したか否かを判定する。ステップS101にて肯定判定をした場合には、ステップS102にて発射操作が行われているか否かを判定する。具体的には遊技球発射ハンドル41からの操作情報に基づいて当該判定を実行する。
ステップS101,S102の何れかにて否定判定をした場合には、遊技球の発射条件が成立していないと判断し、そのまま本発射制御処理を終了する。
一方、ステップS102にて肯定判定をした場合には遊技球の発射条件が成立することとなる。そこで、ステップS103にて遊技球の発射強度(発射速度)の決定処理を実行する。具体的には、遊技球発射ハンドル41から受信した操作量にかかる情報に基づいて、ソレノイド111へ出力する駆動信号の電圧レベルを決定する。
続くステップS104では、ステップS103における決定事項に応じて遊技球の発射処理を実行する。すなわち、ソレノイド111に設定された電圧レベルの駆動信号を出力する。その後、ステップS105では巻取機構駆動タイミングの設定処理を実行して本発射制御処理を終了する。
巻取機構の駆動タイミングについては遊技球発射ハンドル41の操作量に対応付けられた状態で記憶されており、この記憶された情報(タイミング決定用テーブル)を参照して、駆動タイミングの決定を行う。具体的には、遊技球の発射強度によって、遊技球が発射されてから上記巻取位置を通過するまでに要する期間が変化し得る。そこで、タイミング決定用テーブルでは、遊技球が巻取位置を通過した後のタイミングにて巻取機構が動作を開始するように設定された駆動信号の出力タイミングが記憶されている。なお、タイミング決定用テーブルに記憶されたタイミング情報及び駆動信号の出力期間については、後続する遊技球が巻取位置に到達するまでに先の遊技球の発射に基づく巻取機構300の動作が完了し得るように設定されている。これにより、通常の遊技中に巻取機構300のアーム302が遊技球と干渉することが回避されている。
次に、図15(b)のフローチャートを参照して巻取機構駆動処理について説明する。巻取機構駆動処理についても、上記発射制御処理と同様に通常処理の一環として実行される処理である。
巻取機構駆動処理においては先ず、ステップS201にて巻取機構300の駆動タイミングであるか否かを判定する。具体的には、ステップS105にて決定された駆動タイミングとなったか否かを判定する。
ステップS201にて肯定判定をした場合にはステップS202に進み、巻取機構駆動処理を実行する。具体的には、巻取機構300の駆動モータ351に駆動信号を出力する。これにより、回転体303が回転することとなる。
一方、ステップS201にて否定判定をした場合にはステップS203に進み、アーム302が待機位置に存在しているか否かを判定する。具体的には、予め設定された期間内にアーム302が待機位置に復帰しているか否かを、位置検知センサ352からの検知情報に基づいて判定する。
通常は回転体303の回転を妨げるものが存在しない状況下では、動作終了後に伴いアーム302が待機位置へと復帰する。故に、多くの場合にはステップS203にて肯定して、そのまま本巻取機構駆動処理を終了する。
一方、上述した糸状部材付きの不正球が使用される等して、回転体303の回転を妨げるような抗力が発生した場合には、その抗力が回転体303の回転トルクを上回る可能性がある。このような場合には、回転体303の待機位置への復帰が完了しない可能性が生じる。
このような場合には、ステップS203にて否定判定してステップS204に進む。その後、ステップS204にて再駆動処理を実行し、本巻取機構駆動処理を終了する。
再駆動処理においては、アーム302が待機位置へと復帰するように、駆動モータ351へ駆動信号を出力する。この駆動信号については、アーム302が待機位置に復帰するまで継続して出力されるが、アーム302の初期位置への復帰が叶わない場合には、駆動モータ351へ出力する駆動信号の電圧レベルが順次高くなるように、駆動信号の出力態様を変更する。そして、アーム302が待機位置に復帰した場合に、駆動信号の出力を停止する。
駆動方式を電動式のものに変更した本実施の形態においては、糸状部材の巻取過程で駆動モータ351にかかる負荷が増大することとなる。言い換えれば、負荷が増大した場合には、不正球が使用されている可能性がある。そこで、このような状況が発生した場合には、その旨の報知を行う構成が採用されている。以下、図16(a)のフローチャートを参照して、当該報知を実行するための準備処理(負荷検出処理)について説明する。なお、負荷検出処理についても上記発射制御処理と同様に電源・発射制御装置243にて定期的(例えば0.4sec毎)に実行される通常処理の一環として実行される処理である。
負荷検出処理においては先ず、ステップS301にて駆動モータ351が駆動中であるか否かを判定する。ステップS301にて否定判定をした場合にはそのまま本負荷検出処理を終了する。
一方、ステップS301にて肯定判定をした場合にはステップS302に進み、負荷検出処理を実行する。具体的には、上記巻取機構駆動処理の再駆動処理(ステップS204)にて駆動モータ351に出力する電圧が高くなったことに基づいて負荷を検出する。
続くステップS303では、ステップS302にて検出した負荷が予め設定されている閾値を超えているか否かを判定する。実際には、ステップS202の巻取機構駆動処理により回転体303は一回転して待機状態に復帰するように設定されているが、誤作動等により復帰が完了しない場合も想定される。そこで、ステップS303においては、負荷の大きさに基づいて(閾値を基準として)このような単なる誤作動による負荷の増加と不正行為に基づく負荷の増加とを判別する。
ここで、図16(b)のタイミングチャートを参照して、不正行為が行われた場合の負荷の増加態様について例示する。
既に説明したように、本実施の形態においては、遊技球発射ハンドル41が操作されていることを条件として、所定の周期で遊技球の発射が繰り返されることとなる。通常の遊技球が発射されている場合には、ta1のタイミング〜ta3のタイミングに示すように、巻取機構300を動作させるために駆動モータ351に生じる負荷は予め設定された閾値よりも十分に低くなっている。一方、不正球が発射された場合には、当該発射タイミングが僅かに遅れたta4のタイミングにて駆動モータ351に駆動信号が出力される。この際、回転初期すなわち糸状部材に対してアーム302が接触するまでは負荷が増大することはない。ここで、糸状部材によってアーム302の移動が妨げられ、当該アーム302が待機位置に復帰できなかった場合には、ta5のタイミングにて駆動モータ351の出力を順次増大させる。これにより、糸状部材を巻き取りながらアーム302が待機位置へと移動する。このようにして、駆動モータ351の出力が増大するとステップS302の負荷検出処理にて検出される負荷が増大し、その負荷が上記閾値を超えると(ta6のタイミング参照)、ステップS303にて肯定判定をする。つまり、単なる誤作動ではなく不正行為が行われた可能性があると判定する。ステップS303にて肯定判定をした場合には、ステップS304に進む。
ステップS304では異常信号出力処理を実行する。具体的には、主制御装置162に対して異常発生に対応した情報を出力する。主制御装置162のMPU169では、この情報に基づいて、報知・演出制御装置140に異常報知コマンドを出力する。報知・演出制御装置140ではこのコマンドを受信したことに基づいて、エラー表示ランプ部27を点灯させる処理を実行し、同異常報知コマンドを表示制御装置150に送信する。表示制御装置150では、異常報知コマンドを受信したことに基づいて表示画面94aに「係員を呼んでください」等のメッセージを表示する。これにより、不正行為の早期発見に貢献することができる。
巻取機構300によって糸状部材を巻き取る場合には、上述の如く回転体303の回転を妨げる抗力が増大すると想定される。このような抗力の発生は、アーム302の待機位置への復帰を妨げる要因になり得る。確かに、誤作動によってアーム302が待機位置に上手く復帰しない場合も生じ得るが、この場合には回転体303を再度駆動させることで容易に解消される。一方、上述したように糸状部材を巻き取る場合には、糸状部材の張力や巻き取り数によって負荷が大きく変化し、当該負荷が容易に解消されるものではない。そこで、このような場合には、予め設定された閾値と負荷との比較によって不正行為の有無を判別することが可能となる。これにより、ホール管理者等に不正が行われている可能性があることを報知することができ、防犯機能の更なる向上に貢献できる。
また、駆動モータ351によってアーム302を待機位置へと強制復帰させる構成とすることにより、アーム302が誘導通路103内に残ることを回避できる。これにより、遊技球がアーム302に対して衝突する機会を減らすことができ、巻取機構300の保護に貢献できる。
なお、上記第1の実施の形態に示した変形例を本実施の形態に適用することも可能である。すなわち、不正球が遊技領域PE内に流入した状態で上記糸状部材を操作して不正球の位置を調整する場合には、糸状部材が少なくとも上記頂部TPよりも下流側(上方)では内レール101に沿う位置に存在することとなる。このように糸状部材が内レール101に添って存在している状態であれば、糸状部材の巻き取り機能を発揮する上で、アーム302の長さは誘導通路103の幅の凡そ半分もあれば十分となる。ここで、本実施の形態においては、遊技球の運動エネルギを利用して回転体303を回転させる必要がないため、当該変形例の適用にあたっては、アーム302の長さを更に短することが可能である。これにより、回転時の応答性の向上等が可能となり、巻取動作を一層合理的なものとすることができる。
<第3の実施の形態>
誘導通路103を経由して遊技球を遊技領域PEへと導く構成においては、遊技球が誘導レール100や遊技盤80(板体80a)の前面と擦れることにより帯電し得る。電荷を帯びた遊技球はノイズを発生し、当該ノイズは上述した検知センサや制御装置等の各種電気機器の動作に影響を与える恐れがある。特に遊技球が遊技球発射機構110から発射された直後は、遊技球が勢いよく移動するため上記帯電が発生しやすいと想定され、更には金属性の誘導レール自体も帯電すると懸念される。つまり、遊技領域PEに放たれる遊技球及び誘導レール100については上記ノイズを発生しやすい状態となりやすい。
本実施の形態においては、このような不都合を解消するための構成が採用されていることを特徴の1つとしている。以下、図17〜図18を参照して、当該特徴的な構成について説明する。図17は第3の実施の形態における内枠ベース体50の構造を示す正面斜視図、図18は第3の実施の形態における遊技盤80の構造を示す正面図、図19は図18のD−D線部分断面図である。なお、パチンコ機10の基本構造については上記第1の実施の形態と同様であるため、以下の説明では第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
先ず、遊技盤80の取り付けにかかる構成について説明し、その後、本実施の形態における特徴的な構成について説明する。
(遊技盤80の取付構造)
本実施の形態においては、遊技盤80の取付構造に関して特徴的な構成を備えている。既に説明したように、遊技盤80は、内枠13の収容凹部51に対して同内枠13の正面側から嵌まっている(図5参照)。図17に示すように、収容凹部51は、内枠ベース体50に設けられ遊技盤80の背面に対向する平板状の対向部53と、遊技盤80の周縁に沿って延びる周壁部54とによって構成されており、これら対向部53及び周壁部54によって囲まれた領域が遊技盤80(詳しくは板体80a)の収容領域となっている。
対向部53には、その略中央に上述した窓孔52が形成されており、内枠13の正面視において略矩枠状をなしている。周壁部54は、遊技盤80における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部61,下側壁部62,左側壁部63,右側壁部64が連なってなり、全体として遊技盤80を囲む環状をなしている。なお、周壁部54は窓孔52を囲むようにして形成されているとも言える。
内枠ベース体50は合成樹脂材料用いて形成されており、その左右の枠部には金属性の縦フレーム部材55,56が固定されている。両縦フレーム部材55,56は内枠ベース体50の上端部と下端部とに跨るようにして延びており、それら両フレーム部材55,56の中間部分が左右に延びる金属性の横フレーム部材57によって連結されている。金属製の各フレーム部材55〜57を用いることで内枠ベース体50の肉厚を減らすことが可能となり、内枠ベース体50の軽量化と強度担保との両立が図られている。なお、横フレーム部材57について補足説明すれば、当該横フレーム部材57は下側壁部62に沿って配置されており、当該下側壁部62に固定されることで、下側壁部62用の補強部材として機能している。
左側の縦フレーム部材55は、板面が左側壁部63を向き当該左側壁部63に沿うようにして上下に延びる長板部と、長板部の前後の端部に形成された(遊技機内包に折り曲げて形成された)フランジ部とを有してなり、水平断面が窓孔52側に開放された略コ字状をなしている。対向部53において前扉枠14の回動基端側となる部位については、縦フレーム部材55において対向部53に面当たりするように構成されたフランジ部55aによって遊技機前方から覆われている。このフランジ部55aが対向部53にねじ止めされることで、縦フレーム部材55と内枠ベース体50とが一体化されている。
内枠ベース体50の左側壁部63には、遊技盤80の前面に対して当接することで同遊技盤80の同付勢方向への変位を抑えるストッパ68が設けられている。ストッパ68は、左側壁部63の内壁面から収容凹部51内に張り出しており、ストッパ68と対向部53との間隔寸法が遊技盤80の厚み寸法と同等となるように形成されている(より詳しくは若干小さくなるように形成されている)。
なお、ストッパ68の配置に関して補足すれば、これらストッパ68は上記誘導レール100において遊技盤80の回動基端側に凸となっている部分(頂部TP)の上方及び下方に配置されている。これにより、遊技盤80の前面に対して当接するストッパ68と、遊技盤80の前面にて遊技領域PEを区画する誘導レール100とを遊技盤80の前面側にて好適に共存させることが可能となっている。
以上詳述したフランジ部55aと上下に配された一対のストッパ68とによって、遊技盤80の一側部を挿入可能な挿入部69が構築されている。挿入部69は、前扉枠14の回動基端側に配されているとともに、内枠13の回動先端側からの遊技盤80の挿入を許容すべく同内枠13の回動先端側に開放されている。
挿入部69の下方、詳しくは内枠13において左側壁部63と下側壁部62とが交わる位置には、挿入部69に挿入された遊技盤80を仮置き可能な仮置き部66が設けられている。仮置き部66の上端面は、下側壁部62における他の部位よりも上側に位置しているとともに、遊技盤80の下端部に対して対向する平面状をなしている。一方、遊技盤80における回動基端側の下隅部にはこの仮置き部66に対応した切欠き部90が形成されている(図18参照)。遊技盤80を挿入部69に挿入し回動開始する初期段階では、この仮置き部66に対して遊技盤80の切欠き部90が仮置き(一時的に載置)されることで同遊技盤80の重量の少なくとも一部が内枠ベース体50によって支えられることとなる。これにより、作業負担を減らし、遊技盤80の回動操作の容易化を図っている。
遊技盤80が装着完了位置に配置されている状態では、遊技盤80の下端部が下側壁部62、すなわち下側壁部62の上面に載り、上述した仮置き部66と切欠き部90との間には僅かな隙間が生じる。遊技盤80は、下側壁部62上に載ることとで、同下側壁部62によって支えられ、その上下位置が規定されることとなる。このように、載置された遊技盤80を下側から支える点に着目すれば、下側壁部62を「載置部」又は「支持部」と称することも可能である。
下側壁部62の前端部分には、遊技盤装着時に同遊技盤80を下側壁部62の上面に案内する案内部が形成されている(図示略)。案内部は、遊技盤回動時に当該遊技盤80の下端縁が当接し得る位置に配され、内枠13の正面側に向けて下り傾斜している。遊技盤80を仮置き部66に載せた状態から装着完了位置に向けて回動させると、その途中段階にて遊技盤80の下端部が案内部に当たり、同遊技盤80が案内部の傾斜に沿って押し上げられる。これにより切欠き部90が仮置き部66から離間するとともに遊技盤80の下端部が下側壁部62上に載った状態となり、遊技盤80の重量負荷が仮置き部66から下側壁部62に移ることとなる。
下側壁部62は、遊技球発射機構110と遊技盤80との間に位置しており、遊技球発射機構110に近い位置にて遊技盤80の上下位置が規定される。既に説明したように、誘導レール100の入口部分104と遊技球発射機構110との両者は下側壁部62に添って配されている。これにより、遊技球発射機構110から発射された遊技球の誘導レール100における着地位置のばらつきを抑えやすくなっている。
既に説明したように下側壁部62は合成樹脂によって形成されている。このため、下側壁部62により遊技盤80の荷重を支えようとした場合には、下側壁部62の肉厚を大きくするといった対策が必要となる。
この点、本実施の形態に示すパチンコ機10においては、下側壁部62を下方から支える金属製の横フレーム部材57を別途設け下側壁部62と横フレーム部材57とを併用することにより上記不都合の発生を抑えつつ支持強度の担保が実現されている。既に説明したように、横フレーム部材57は左右に延びる長尺状の部材であり、その左右の各端部が両縦フレーム部材55,56に連結されている。これにより、下側壁部62のサポート機能(遊技盤80の支持強度の強化)のみならず内枠ベース体50全体での強度向上が実現されている。
ここで、図18を参照して、本実施の形態における遊技盤80及びそれに関連する構成について説明する。
上記各実施の形態における遊技盤80については板体80aが木製の板材とシート材とによって構成されていたが、本実施の形態における板体80aは透明性を有する合成樹脂材料によって構成されている。これにより、遊技盤80の背後を板体80aを通じて視認可能となっている。このような変更に併せて、板体80aの背後に発光部等の各種装飾体を配置することで遊技領域PEの背後を利用して遊技盤80の見栄えを向上することが可能となっている。
遊技盤80の前方には前扉枠14が配置されており、遊技盤80が前扉枠14によって遊技機前方から覆われている。既に説明したように前扉枠14には窓部21が形成されており、この窓部21を通じて遊技領域PEが視認可能となっている。しかしながら、前扉枠14において窓部21の左右両側には遊技機前方に突出するようにして環状電飾部26(詳しくは側方ランプ部26a)が設けられており、環状電飾部26の存在により窓部21を通じて遊技盤80の前面が一部視認不可となっている(図18(a)の2点鎖線参照)。
確かに、窓部21は遊技領域PEの拡張に合わせて大型化されており、窓部21の側部における環状電飾部26の薄型化が実現されているものの遊技盤80の一部は環状電飾部26の背後に隠れている。詳しくは、誘導レール100は、遊技盤80の縁部が左限位置となるように左側に寄せて配置されているが、誘導通路103の全域が視認可能となっているのではなく、上述した頂部TP付近では誘導通路103が側方ランプ部26aによって遊技機前方から覆われている。
(帯電防止構造)
上述した遊技球等の帯電を防止する帯電防止構造は、その大部分が遊技盤80(詳しくは誘導通路103に対応する部分)において前扉枠14の環状電飾部26や枠体20により覆われている部分に配設されている。
図18(b)に示すように各レール101,102において環状電飾部26によって覆われている頂部TP付近には、後方に延びる脚部101a,102aが形成されている。脚部101a,102aは、遊技盤80の正面視して誘導通路103を挟んで対峙するように配置されている(頂部TP付近での誘導通路103の通路方向と直交する方向に並ぶようにして配置されている)。これら脚部101a,102aの先端部分は、板体80aに形成された貫通孔を通じて板体80aの背面側に突出している。板体80a(詳しくは誘導通路103)の背後、において側方ランプ部26aに覆われている部分には金属製の導電部材400が設けられており、この導電部材400は脚部101a,102aを繋ぐようにして配置されている。
つまり、導電部材400に各脚部101a,102aが接続されることにより、各レール101,102と導電部材400とが電気的に繋がった状態となっている。導電部材400の端部には配線401が取り付けられており、この配線が金属製のセンターフレーム95に接続されている。そして、センターフレーム95が図示せぬ配線を介して上記横フレーム部材57に電気的に接続されることで誘導レール100に発生した電荷や遊技球に蓄えられた電荷が、導電部材400→配線401→センターフレーム95を通じて横フレーム部材57へと放出される(アースされる)構成が実現されている。これにより、上述した帯電による不都合の発生を回避することが可能となっている。
また、図19に示すように、導電部材400は板状をなしており、板体80aの背面には、この導電部材400に合わせて形成された凹部が形成されている。凹部の深さ寸法は導電部材400の板圧寸法と同じになっており、板体80aはその背面が板体80aの背面と同一面上に位置している。導電部材400は板体80aの左側端部に配置されることで、その板面の一部が立てフレーム部材55のフランジ部55aと対向している。
このため、遊技盤80を内枠ベース体50に対して装着した状態では、縦フレーム部材55のフランジ部55aと導電部材400とが接触することとなる。これにより、誘導レール100や遊技球に蓄えられた電荷は導電部材400から縦フレーム部材55へと放出される(アースされる)構成が実現されている。このように、電荷放出のルートを複数設定することで、帯電防止機能を好適に発揮させることが可能となっている。なお、上述した2つのアース経路のうち前者は遊技盤80の取外時に配線と横フレーム部材57との接続を解除する作業が必要であるが、後者は遊技盤80の取外作業自体によって解除される。
板体80aを透明とすることにより遊技盤80の見栄えの向上を図った場合、帯電防止にかかる構成(導電部材400や縦フレーム部材55)が視認可能となることは遊技機の見栄え低下の要因になるため好ましくない。この点、本実施の形態に示したように、帯電防止にかかる構成(導電部材400や縦フレーム部材55)を遊技機前方から視認不可又は困難となる位置(側方ランプ部26aの背後)に配置することで、上述した見栄えの低下を抑制することができる。
<第4の実施の形態>
上記第3の実施の形態においては、帯電防止用の導電部材400を誘導レール100の頂部TP付近に配置したが、遊技球の帯電防止機能を向上する上でその配置には改善の余地がある。本実施の形態においては導電部材500の配置を工夫することにより、更なる帯電防止機能の向上を実現している。以下、図20及び図21を参照して本実施の形態における帯電防止構造について説明する。図20は第4の実施の形態における遊技盤の構造を示す正面図、図21は誘導通路103の出口部分105付近を示す図20の部分拡大図である。なお、遊技盤80の取付構造等の各種構成については上記第3の実施の形態と同様であるため説明を援用し、上記第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。
遊技領域PEへ流入する遊技球の多くは、誘導通路103の出口部分105を越えた位置で外レール102から離れることとなる。言い換えれば、遊技を行う上では誘導通路103を通過する遊技球は少なくとも出口部分105付近までは誘導レール100(詳しくは外レール102)との接触状態が維持される。このため、第3の実施の形態に示したアース機能を一層好適に発揮させようとすれば、誘導通路103においてできるだけ下流側となる部分(出口部分105に近い部分)でアースさせることが好ましい。
このような事情を考慮して、本実施の形態における導電部材500は、誘導レール100の出口部分105に配置されている(図20参照)。
ここで、図20の部分拡大図(図21)を参照して導電部材500の配置について補足説明する。
(導電部材500)
図21に示すように、内レール101において出口部分105を構成している側の端部(先端部)には、遊技盤80の板体80aに形成された貫通孔を通じて板体80aの背面側に延びる脚部101aが形成されている。一方、外レール102において出口部分を構成している部分、詳しくは出口部分を挟んで内レール101と対峙している部分には、板体80aに形成された貫通孔を通じて板体80aの背面側に延びる脚部102aが形成されている。板体80aの背面側には、導電部材500が取り付けられており、この導電部材500に上記各脚部101a,102aが接続されている。
より詳しくは、導電部材500は、板体80aの背面に対向する板状の取付ベース501を有している。取付ベース501は略矩形状をなしておりその中央部分に上記脚部101aが接続されている。また、取付ベース501は、その4隅の1つが外レール102側を向くように配置されており、この隅部には外レール102へと延びる延出部502が形成されている。この延出部の先端部分が上記脚部102aとの接続部分を構成している。
板体80aには上記第3の実施の形態と同様に導電部材500(詳しくは取付ベース501及び延出部502)を収容可能な凹部が形成されており、導電部材500の背面は板体80aの背面と同一平面上に位置している。図示は省略するが、遊技盤80を内枠ベース体50に装着した状態では、上記第3の実施の形態と同様に導電部材500と縦フレーム部材55のフランジ部55aとが面接触し、アース機能が担保されることとなる。
このように、誘導通路103の出口部分105付近にてアースさせることにより、遊技球や誘導レール100の帯電を一層好適に抑制することができる。
なお、本実施の形態においても板体80aは透明性を有する合成樹脂材料によって構成されており、更には、誘導通路103の出口部分105は前扉枠14の窓部21を通じて遊技機前方から視認可能な箇所となっている。故に、導電部材500の存在は遊技機前方から視認可能であり、遊技機の見栄え向上の点では上記第3の実施の形態に示した構成の方が有利である。
但し、本実施の形態においては、このように導電部材500が視認可能なって目立ちやすくなることを逆手に取った工夫が施されている。以下、図21及び図22(a)〜(c)を参照して、当該工夫にかかる構成について説明する。図22(a)は導電部材500の正面斜視図、図22(b)は図22(a)のE−E線部分断面図、図22の(c)は図22(a)のF−F線部分断面図である。
図21に示すように、内レール101において出口部分105を構成している先端部の上記誘導方向における延長上には、逆戻り防止部材106が配置されている。逆戻り防止部材106は、遊技盤80(板体80a)の前面に固定される板状のベース体107とベース体107に対して回動可能に設けられた可動片108とを有してなる。
内レール101において出口部分105を構成している先端部と逆戻り防止部材106と間には若干の隙間が形成されている。板体80aには、この隙間を含む範囲に、板体80aの前後に貫通する貫通孔80cが形成されている。
取付ベース501には、遊技機前方に起立する起立部503が一体成形されており、導電部材500が板体80aに固定された状態では、当該起立部503の一部が貫通孔80cを通じて遊技盤80の前面側に突出している。
起立部503は、取付ベース501において隣合う二つの端部に跨るように形成されており、誘導通路103の出口部分105における遊技球の誘導方向に対して交差するように形成された第1板部511と、内レール101に対して遊技領域PE側から対向するように形成された第2板部521とが連結部分531を境界として略L字状となるように繋がってなる。
図21及び、図22(b),(c)に示すように、第1板部511はその板面が上記誘導方向における側を向くように当該誘導後方に対して傾いている。具体的には、第1板部511における連結部分531とは反対側の端部が当該連結部分531よりも誘導方向奥側になるように当該誘導方向に対して斜めを向くように形成されている。また、図22(a),(c)に示すように、第1板部511は遊技盤80(板体80a)の前面に対して誘導方向における奥側に傾斜するように傾いている。
図22(a),(b)に示すように、第1板部511において連結部分531とは反対側の端部512には上述した糸状部材が当たった状態に当該糸状部材が押し引きされることで当該糸状部材を切断可能な第1刃部513が形成されている。第1刃部513は、遊技機後方から遊技機前方に向けて斜めに傾斜している。より詳しくは、遊技盤80の前面から離れるにつれて遊技盤80の中央側に近づくように傾斜している。
また、図22(a),(c)に示すように、第1板部511の先端部514(遊技機前方を向いている部分)にも上述した糸状部材が当たった状態に当該糸状部材が押し引きされることで当該糸状部材を切断可能な第2刃部515が形成されている。第2刃部515は遊技盤80の前面からの起立量が上記端部512から連結部分531に近づくにつれて小さくなるように傾斜している。
以上詳述した各刃部513,515によって糸状部材が固着された不正球を用いた上記不正行為を困難なものとしている。以下、図22(d)及び図23を参照して糸状部材の切断を実現するための構成についてより詳しく説明する。図22の(d)は図21のG−G線部分断面図、図23は誘導通路103と糸状部材及び切断部との関係を示す概略図である。
図23に示すように、誘導通路103の幅寸法については、遊技球の直径寸法よりも大きく設定されておりある程度の余裕代が付与されている。しかしながら、遊技領域PEへと流入する遊技球は誘導通路103を通過する際に、外レール102に沿って移動するため、普通に遊技を行っている場合には、遊技球の通過経路については外レール102に沿う所定領域PRとなる。ここで、導電部材500が有する第1板部511については、その端部512が所定領域PRの延長上から外れた位置となるように形成されており、当該所定領域PRを通過する遊技球の動きを妨げることが回避されている。
なお、第2板部521については、内レール101に対して遊技領域PE側から対向する位置に配置されており、当然のことながら誘導通路103の延長上にさえ位置しない。このため、第2板部521の存在が遊技領域PEへの遊技球の流入を妨げる要因になることはない。
図23を参照して逆戻り防止部材106について補足説明すると、逆戻り防止部材106の可動片108は、初期状態では上記所定領域PRの延長領域と重なる位置に配置されており、遊技領域PEへ向かう遊技球に押されることで、当該延長領域と重ならない位置へと変位する。また、当該可動片108は上記重なる位置へ向けて付勢されており、遊技球の通過後はその付勢力によって初期状態に復帰する。
不正球が遊技領域PEへと流入した状態では、糸状部材は逆戻り防止部材106の可動片108との接触部位を中心として、内レール101に沿う位置に存在することとなる。ここで、糸状部材に張力が加わった状態にて同糸状部材が通過する領域と干渉するようにして、上記第1板部511が配置されていることで、上述した切断機能が有効に作用する構成が実現されている。
図22(d)を参照して遊技盤80の前面からの第1板部511の起立量について補足説明すると、当該起立量は遊技球の半径寸法よりも大きくなるように設定されている。このため、糸状部材と第1板部511との干渉が回避されるといった不都合は生じにくくなっている。また、遊技盤80の前面とガラスパネル23との隙間については遊技球の直径寸法よりも大きく設定されており、遊技球の前後動がある程度許容されている。但し、このような前後の動きが許容されているが、実際に遊技球がガラスパネル23に衝突することは、打音の発生やガラスパネル23の破損の原因となるため、遊技盤80には遊技球が遊技盤80の前面に沿ってい移動するよう各種工夫が施されている。このような事情を考慮して、上記起立量の最大値は遊技球が遊技機前方に移動した場合、すなわち遊技盤80の前面から浮き上がった場合に、その最大突出部分(第1刃部513と第2刃部515との境界部分)を超えることができるように設定されている。なお、遊技球を遊技盤80の前面に沿うようにして移動させるための構成については周知慣用であるため説明を省略する。
図23に示すように、不正球が糸状部材によって逆戻り防止部材106にぶら下がった状態では、不正球の重さによって可動片108が初期位置から動作位置へ移動し、その状態のまま維持される。ここで、遊技者が糸状部材を引っ張って不正球の位置を調整しようとすれば、当該糸状部材が第1刃部513に食い込むこととなる。ここで、第1刃部513については、引っ張り操作に伴う糸状部材の移動方向と直交しているわけではなく、当該移動方向に近づくように斜めに傾斜している。このため、糸状部材は上記引っ張り操作によって第1刃部513に沿って遊技機前方へ移動が促されることとなる。この際、糸状部材において第1刃部513と接触している部分をできるだけ維持しながら糸状部材が移動することで、第1刃部513の切断機能が好適に発揮される。
第1刃部513の傾斜に沿って糸状部材が移動を継続すると、上記最大突出部を乗り越えて第2刃部515へと移る。既に説明したように遊技球は遊技盤80の前面側に戻るような力が加わることで、第2刃部515に押圧された状態が維持され、第2刃部515による切断機能が上手く発揮されることとなる。
ここで、不正行為者が糸状部材を強く引っ張った場合には、第1板部511に生じる負荷が大きくなり、糸状部材を切断する際には第1板部511が変形することが懸念される。この点、本実施の形態に示すように、糸状部材を第2板部521との連結部分531に近づくように誘導しておくことで、第1板部511に生じる負荷を第2板部521へと分散させることが可能となり、第1板部511を保護することが可能となっている。
また、遊技盤80に形成された貫通孔80cは各板部511,521と係合するように構成されているため、第1板部511に生じる負荷については遊技盤80側へ分散させることも可能となっている。以上の構成により、第1板部511の変形を抑制し、糸状部材の切断する機能の保護を図っている。
本実施の形態における糸状部材の切断構造については、その要部たる刃部513,515が遊技機正面側を向いているこのため、不正行為を実行しようとするものに糸状部材が固着された不正球を用いて不正行為を行うことが困難であるとの印象を与えることができ、不正行為の抑止力を高めることができる。特に、糸状部材の切断に成功した場合であっても、糸状部材付きの不正球が島設備に返却されると、当該糸状部材が何らかの対象に絡む等して故障等を誘発する可能性があるため、上述した抑止力の向上には技術的意義がある。
以上詳述した本実施の形態における導電部材500については、上記第3の実施の形態に示した導電部材400とは異なり、視認可能となることで見栄えの低下が生じることは回避できない。しかしながら、金属部材であることが前提である導電部材500について効率よくアース機能を発揮させつつ防犯機能を向上できる点を考慮すれば、当該導電部材500を積極的に見せるようにすることは見栄えの低下を払拭できる効果を奏する上で有利である。
<第5の実施の形態>
上記各実施の形態においては糸状部材が固着された遊技球(不正球)を用いた不正行為に対する各種防犯構造が採用されていたが、本実施の形態においてはこの防犯構造にかかる構成が特徴的なものとなっている。具体的には上記各実施の形態においては不正球が遊技領域PEに到達することを規制するのではなく、遊技球が遊技領域PEに到達した場合にその位置調整が不可又は困難となるようにすることで防犯機能の向上を図ったが、本実施の形態においては不正球の遊技領域PEへの到達自体を困難又は不可とすることを目的としてなされたものであり、そのような前提とする課題の違いに基づいて防犯構造に違いが生じている。以下、図24及び図25を参照して本実施の形態における防犯構造(不正球に対する防犯構造)の前提構成について説明し、その後、防犯構造の要部について説明する。図24は第5の実施の形態における遊技球発射機構を示す正面図、図25(a)は球送装置の内部構造を示す概略図、図25(b)は球送装置における通路構造を示す側面図である。
図24に示すように遊技球発射機構110Xは、遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技球を1つずつ発射レール112に供給する球送装置113Xを備えている。球送装置113Xは、発射レール112の下端部(上流側の端部)よりも上側に配置されており、球送装置113Xから流出した遊技球(発射レール112に供給された遊技球)は、発射レール112に沿って流下し、発射レール112の下端上方にソレノイド111の動作領域を確保するように同発射レール112と離間して配置されたストッパ部材115に当たることでそれ以上の流下が阻止された状態となる。このようにストッパ部材115によって流下が阻止された位置が遊技球の発射待機位置である(図24の二点鎖線参照)。
ここで、図25を参照して球送装置113Xの構造について補足説明する。球送装置113Xは合成樹脂材料からなり、その内部には複数の遊技球を貯留可能な球送通路601Xが形成されている。
図25(a)に示すように球送通路601Xは、前扉枠14に設けられた上皿33から遊技球が順次流入する入口部分604Xを有してなる上流側通路部602Xと、発射レール112側に開放された出口部分605Xを有する下流側通路部603Xとを備えている。上流側通路部602X及び下流側通路部603Xは、前者が遊技機前方、後者が遊技機後方となるように前後に並べて配置しており、前後に延びる連結通路部を介して連続している。これら各通路部は緩やかに下り傾斜しており、入口部分604Xから球送通路601Xに流入した遊技球は、自重及び後続の遊技球からの圧力によって入口部分604X→上流側通路部602X→下流側通路部603Xを移動し、出口部分605Xを通じて上記発射レール112へと排出されることとなる。
なお、球送通路601Xはその通路幅(縦幅及び横幅)が同一箇所を複数の遊技球が同時に通過できないように遊技球の直径寸法よりも僅かに大きく設定されている。このため、球送通路601X内に複数の遊技球が貯留されている状態では、一条の遊技球列が形成されることとなる。
上述したように、後続の遊技球の球圧を利用して遊技球を移動させる構成においては、当該球圧が過剰となることで、遊技球の供給機能が上手く作用しなくなる可能性がある。そこで、本実施の形態における球送通路601Xについては上流側通路部602X及び下流側通路部603Xを中間通路部を中心として折り返すようして形成することで、球送通路601X内での球圧の軽減を図り、後続の遊技球からの球圧が球送動作に強く作用しないように工夫されている。
通路構造についてより詳しく説明すると、上流側通路部602Xについては発射レール112よりも前側に位置しており、下流側通路部603Xについては発射レール112の直上に位置している。また、上流側通路部602Xと下流側通路部603Xとを比較した場合には、下流側通路部603Xの通路長は上流側通路部602Xの通路長よりも短く設定されており、上方から見た場合の発射レール112と下流側通路部603Xとの重なりが大きくならないように工夫されている。これにより、発射レール112の上方に後述する遊技球の移動を許容する空隙が確保されている。
なお、図25(b)に示すように、上流側通路部602X及び下流側通路部603Xは遊技機前方から見てだ重なるように形成されており、球送通路601Xにおける入口/出口間での高低差が極力小さくなるように工夫されている。
球送装置113Xの出口部分605Xには、球送通路601Xからの遊技球の流出を許容する許容状態と、遊技球の流出を阻止する阻止状態とに切替可能な可動式のシャッタ620Xが設けられている。シャッタ620Xは図示せぬ駆動部に接続されており、この駆動部に電源・発射制御装置243から駆動信号が出力されることで阻止状態から許容状態への切替が行われる。なお、シャッタ620Xは通常は阻止状態となるように付勢されており、駆動信号が出力されている期間だけ同付勢力に抗して許容状態となる。
ここで、図26を参照してシャッタ620Xと出口部分605Xとの関係について説明する。図26(a)は球送装置113Xの出口部分605Xを示す斜視図、図26(b)は球送通路601Xとシャッタ620Xとの関係を示す概略図である。
図26(a)に示すように、シャッタ620Xは、出口部分605Xを覆う板状の覆い部621Xと、覆い部621Xの前後の両端部から通路上流側に延びるアーム部622Xとを有してなる。アーム部622Xは、下流側通路部603Xを構成する側壁部613Xに形成された突起によって軸支されており、これら突起を中心として回動可能となっている。上記駆動部からシャッタ620Xに動力が伝達されることにより、当該シャッタ620Xが上記突起を中心として回動し、上述した阻止状態→許容状態への切り替えが実現される。かかる状態では、シャッタ620Xの覆い部のほぼ全域が底板部612Xの下方に位置することとなり、出口部分605Xが完全に開放される。
また、許容状態となった後に動力の伝達が停止すると、上記付勢力によってシャッタ620Xが逆方向に回動し、上述した許容状態→阻止状態への切り替えが実現される。これにより、出口部分605Xが再び覆い部621Xによって覆われた状態(例えば塞がれた状態となり)出口部分からの遊技球の流出が阻止されることとなる。
ここで、図26(b)に示すように、下流側通路部603Xの天板部611Xと底板部612Xとの間隔寸法は下流側に進むにつれて小さくなっている。詳しくは天板部611Xの傾斜角度が底板部612Xの傾斜角度よりも大きく設定されており、出口部分605X付近では遊技球の上下方向への移動がほぼ不可となるように規制されている。
このような天板部611Xの傾斜によって側壁部613Xの上端縁と天板部611Xの上面との間に段差が生じている。この段差を補うようにして天板部611Xにおいて出口部分605Xを構成している部分には上方に起立し、両側壁部613Xを繋ぐ開口フランジが形成されている。この開口フランジは、シャッタ620Xが阻止状態となっている状況下にて覆い部621Xに僅かな隙間を隔てて対向する対向部615Xを構成している。
以下、図27を参照して球送装置113Xによる遊技球の供給と発射の流れについて説明する。図27は遊技球の発射の様子を示す概略図であり、遊技球発射機構110X(球送装置113X及びソレノイド111)は遊技者による発射操作に基づいて図27(a)→図27(b)→図27(c)→図27(a)の順に動作する。なお、図27においては説明の便宜上、球送通路601を一部平面視で示しているが、実際の構造については図25等に示したとおりである。
図27(a)に示すように、発射待機位置に遊技球が配置されている場合には、遊技者により遊技球発射ハンドル41(図1等参照)が操作されていることに基づいて、ソレノイド111に駆動信号が出力され、ソレノイド111が例示されることで出力軸がストッパ部材115と発射レール112との間を通過して発射待機位置に待機中の遊技球に当たる。これにより、遊技球が発射レール112の移動し、発射レール112から誘導レール100(詳しくは誘導レール100の入口部分104)へと移る。
遊技球の発射が行われた直後は、ソレノイド111への駆動信号の出力が停止するとともに、シャッタ620X用の駆動部への駆動信号の出力が開始される。これにより、図27(b)に示すように、シャッタ620Xが阻止状態から許容状態に切り替わる。シャッタ620Xが許容状態に切り替わると、球送通路601Xの出口部分605Xが開放され、球送通路601Xから遊技球が流出する(図27(b)→図27(c)参照)。
出口部分605Xについては、発射待機位置よりも僅かに発射レール112における下流側に位置しているため、出口部分605Xから発射レール112に落下した遊技球は、発射レール112の傾斜に沿って自重により上流側(下方)へ移動し、上記ストッパ部材115に当たる。これにより、当該遊技球が発射待機位置に配置された状態、すなわち発射準備状態となる。
ここで、図27(c)→図27(a)に示すように、シャッタ620Xについては、1の遊技球が出口部分605Xから流出した直後のタイミングにて上記付勢力に基づいて阻止状態へと復帰する。このため、後続の遊技球が続けて出口部分605Xに流出して、複数の遊技球が発射レール112上に待機するような状況は生じない。
以上詳述した球送装置113X(詳しくはシャッタ620X)とソレノイド111の動作によれば、糸状部材が固着された上記不正球が発射されることを妨げることができる。以下、図28を参照して発射規制の具体例について説明する。図28は不正球の発射規制の様子を例示した概略図である。なお、図28においても図27と同様に説明の便宜上、球送通路601を一部平面視で示しているが、実際の構造については図25等に示したとおりである。
図28(a)に示すように、発射待機位置に配置された遊技球の中心部分については、ソレノイド111の出力軸の延長上に位置しており、発射レール112についても出力軸の動作方向と平行となるように配置されている。かかる構成によれば、出力軸からの力を遊技球に効率よく伝えることが可能となり、出力軸によって押された遊技球が発射レール112に沿ってスムーズに移動することができる。
ここで、上皿33を通じて球送装置113Xに不正球が送りこまれた場合には、遊技球の発射操作を継続することで、当該不正球が順次下流側へと移動し、最終的に出口部分605Xに到達する(図28(a)参照)。
ここで、遊技球が発射されシャッタ620Xが阻止状態から許容状態へと切り替わると、図28(b)に示すように出口部分605Xから不正球が流出する。この際、糸状部材の一部も出口部分605Xから発射レール112側へと流出することとなる。
ここで、図28(b)→図28(c)に示すように、シャッタ620Xが阻止状態から許容状態に切り替わると、糸状部材がシャッタ620X(詳しくは覆い部621X)と対向部615Xとによって挟まれる。この状態にて不正球を発射すべくソレノイド111が動作したとしてもシャッタ620X及び対向部615Xとによって糸状部材が挟持されているため、不正球の移動は上手く行われない。つまり、糸状部材の存在が邪魔になって不正球の発射が規制され、発射レール112から不正球が飛び出すことが阻止される。
なお、本実施の形態においては、シャッタ620Xを許容状態から阻止状態に切り替える場合に、シャッタ620Xの動作終了手前では、当該シャッタ620Xの覆い部621X(図26参照)が対向部615Xと対向したまま両者の隙間が徐々に小さくなるようにして移動する。このような構成とすることにより、糸状部材にある程度の張力が生じている場合であっても、糸状部材の存在がシャッタ620Xの動作を妨げる要因になることを抑制可能となっている。
ここで、本実施の形態においてはシャッタ620Xと対向部615Xによって糸状部材の一部がクランク状に折り曲げることにより、更には、挟持位置を発射軌道から外れた位置とすることにより、糸状部材の移動を妨げる抗力を大きくすることが可能となっている。但し、このような抗力が過度に大きくなるとシャッタ620Xや対向部615Xに加わる負荷が大きくなり、出口部分605Xの閉じきり機能に支障をきたすと懸念される。そこで、本実施の形態においてはこのような不都合を回避するための各種工夫が施されている。
先ず、上述したようにシャッタ620Xを回動式とし、阻止状態に固定するのではなく付勢手段による付勢力によって阻止状態に維持する構成とした。このため、不正球の発射時に過度の大きな力がシャッタ620Xに加わった場合には、シャッタ620Xが許容状態側へと付勢力に抗して回動することにより、当該負荷を逃がすことが可能となっている。この場合であっても、少なくとも糸状部材の移動が妨げられるため、不正球が発射レール112から飛び出すことはなく、発射規制機能は担保されることとなる。
また、図28(b)→図28(c)に示すように、シャッタ620Xが許容状態から阻止状態に切り替わる場合には、シャッタ620X(覆い部621X)の上端部が上方へと変位する。ここで、上述した付勢力については、遊技球の自重よりも十分に大きく設定されており、球送通路601が蛇行するとともに複数の後続球が存在するため、糸状部材において不正球に近い部分が上方へと押され、不正球が発射待機位置へ到達することが妨げられることとなる。これにより、ソレノイド111の出力軸が動作した場合に、当該ソレノイド111と遊技球とが上手く当たることが回避され、出力が100%不正球に伝わることを回避することが可能となっている。
更には、図28(c)に示すように、不正球は発射レール112から浮いた状態となることで、上述した出力軸の動作軌道に対して不正球が上方にずれた状態となる。これにより、上述の如くソレノイド111の出力が発射レール112のレール方向と上方向とに分散され、遊技球を遊技領域PEへと到達させるだけのエネルギが不正球に伝わらなくなる。
このように、不正球の動きを規制した場合には、遊技球が糸状部材の挟持位置を中心として上側に回転又は浮き上がるように移動する可能性があるが、発射レール112の上方(球送装置113Xが配置されている部分も含む)には、遊技球の動きを許容する空隙が確保されており、上述した遊技球の動きが許容されることとなる(図28(d)参照)。
以上詳述したように、不正球の発射を糸状部の動きを妨げることで規制したとしても、ソレノイドから不正球に伝わる力が上手く分散されるため、シャッタ620Xを含む遊技球発射機構110Xに破損や変形等の不都合が生じることを回避することができる。
また、不正球の発射が規制された状態では不正行為者は不正の証拠を隠蔽すべく当該不正球の回収を試みると想定される。この方法としては、糸状部材を手繰りようにして引っ張る方法と、遊技球の発射操作を継続して不正球を下皿34へ返却させる方法が想定されるが、いずれの方法を試みたとしても、不正球の回収は困難である。
先ず、糸状部材を手繰り寄せるには、シャッタ620Xを開放させて糸状部材の挟持状態を解消する必要があるが、仮に発射操作を継続してシャッタ620Xを開放させたとしても、後続の遊技球の球圧によって不正球の引き戻しは困難になる。確かに、上皿33に設けられた球抜き機構を利用して、後続の遊技球の数を減らすことは可能であるが、このような行為は周囲の注意を引きやすい上、仮に同行為によって後続球の数を減らしたとしても、少なくとも球送装置113Xの球送通路601X内には遊技球が残ったままとなる。これにより、当該隠蔽行為が困難になる。
次に、不正球をそのままにし、遊技球の発射操作を継続した場合、発射操作の都度後続の遊技球が発射レール112へと供給されるため、ソレノイド111の力では不正球ごとそれら後続の遊技球を回収通路へと導くにはかなりの時間を要する。特に、遊技球同士の位置関係については、後続の遊技球が下流側(発射方向における先側)に位置しやすいため、当該後続の遊技球が邪魔になって不正球の発射レール112からの離脱が困難になると想定される。
以上の理由から不正球の回収を困難なものとし更には当該行為が通常の遊技と異なり不自然なものとなることで、不正行為の抑止力の向上が期待できる。
なお、本実施の形態におけるシャッタ620Xについては、回動式としたがスライド式とすることも可能である。但し、不正球の発射操作に伴って発生する負荷や状態切替機能の担保を考慮すると、少なくともシャッタに相当する構成が動作する際には、その最終段階にて対向部615Xとの隙間が徐々に小さくなるように工夫することが好ましい。
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記第1の実施の形態では、回転体303のアーム302を磁石97,321の磁力によって「所定位置」としての待機位置に待機させる構成としたが、アーム302を所定位置に待機させることができるのであればその手段は磁力に限定されるものではない。
例えば、中心軸線を左右に傾けることにより、アーム302の自重を利用して当該アーム302を所定位置に待機させる構成とすることが可能となる。
また、アーム302の所定位置からの移動を阻止する阻止状態と、所定位置からの移動を許容する許容状態とに切替可能な可変式のストッパ手段を設け、このストッパ手段の動力を阻止状態/許容状態に切り替えることにより、所定位置での待機状態と回転状態とを実現してもよい。この場合、ストッパ手段を駆動する駆動手段として、駆動用のモータ等を別途も受けてもよいし、回転体の運動とリンクしてストッパ手段を動作させるリンク機構を設けてもよい。
更には、所定位置に待機させる機能と、回転を停止させる機能とを別々の構成で実現することも可能である。具体的には、アーム302が所定位置に到達する前に所定位置を越えて回転体303が回転することを阻止する阻止位置へ移動し、アーム302が所定位置に到達した後に上記阻止位置からアーム302の移動を許容する許容位置に移動するストッパ手段を設けてもよい。この場合、阻止位置にて一旦停止した後は、上記磁石97,321等の磁力によって所定位置に待機させればよい。
(2)上記第1の実施の形態では、誘導レール100に沿って下流側に移動する遊技球が当たることにより回転体303が回転するように当たり面322を形成したが、これに限定されるものではなく、遊技球が誘導レール100に沿って上流側に移動する場合(逆戻りする場合)に同遊技球が当たることにより回転体303が回転するように、当たり面322を誘導レール100における上流側及び下流側の両方に傾斜させることも可能である。
(3)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、軸体301の中間位置にアーム302を形成したが、少なくとも軸体301とアーム302とに相当する構成を有していればよく、アーム302の配置は任意である。例えば、軸体の端部のアームを形成することも可能である。
なお、巻き取った糸状部材を所定位置に集約する集約部(例えば凹部や溝部)を軸体301に設けてもよい。かかる構成によれば、糸状部材が巻き取られる都度、前に巻き取った糸状部材の上に重ねて糸状部材が積みあがることにより巻き取った糸状部材同士が絡みやすくなる。因みに、上記集約部へ糸状部材を誘導する誘導部を併設することにより、上記機能を好適に発揮させることができる。
(4)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、軸体301を回動可能に取り付けることで軸体301とアーム302とが一体となって回転する構成としたが、これに限定されるものではなく、軸体301を固定し、その固定された軸体301に対してアーム302を回動可能に取り付けてもよい。例えば、軸体を中央部分が凹む段付き円柱状に形成し、その凹んだ部分に係合するリング部をアームに形成することで、アームが単体で回転する構成(軸体301に対してアーム302が相対変位する構成)を実現できる。
但し、糸状部材を巻き取った場合には、糸状部材を通じて張力がアームの付け根部分に応力が生じやすくなるため、結果としてアームの回転機能が低下する可能性が生じる。このような事情を鑑みれば、上記実施の形態に示したように軸体とアームとが一体となって回転する構成とすることが好ましい。
(5)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、巻取機構300を遊技機前方から視認可能な位置に配置することにより、不正球を用いた不正行為に対する抑止力を向上させたが、巻取機構300の配置についてはこれに限定されるものではない。好ましくは上記実施の形態に示したように遊技機前方から視認可能となる位置がよいが、遊技機前方から視認不可又は困難となる位置であってもよい。例えば、外レール102側(前扉枠14の枠体20の背後)や、遊技盤80の背面側に配置してもよい。
また、誘導レールに対応させて配置する必要は必ずしも無く、遊技球が通過する通路(壁面部によって区画された通路)であればその適用対象は任意である。例えば、第5の実施の形態に示した球送装置113Xや上皿33に設けられた各種誘導通路、更には入球部に入球した遊技球を排出する排出通路等に適用することも可能である。
(6)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、遊技球が誘導通路103から遊技領域PEへと流入した後のタイミングにて糸状部材を巻き取る構成としたが、遊技球が誘導通路103から流出する前のタイミングにて糸状部材を巻き取る構成とすることも可能である。
但し、このような構成とした場合には、後続の遊技球を発射してもその移動が不正球によって妨げられることとなり、遊技球の連続発射が見込めなくなる。このため、糸状部材の巻数も少なくなると想定される。故に、巻取機構300によって糸状部材の動きを規制する上では、上記実施の形態に示したように遊技球が遊技領域PEへ流入した後に巻き取りが完了するように構成することが好ましい。
(7)上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態ではアーム302を棒状に形成したが、例えばアーム302の先端部分等に回転方向における先側に凸となる鉤状部を形成することも可能である。かかる構成によれば、糸状部材を巻き取る際に同糸状部材がアーム302の先端からすり抜けてしまうことを抑制できる。
糸状部材のすり抜けを防止する上では、誘導傾斜面323に自身の長手方向へ並ぶように複数の凹凸(すなわち引っ掛け部)を形成することも有効である。しかしながら、このような構成では糸状部材を回転中心側へ誘導する機能が上手く発揮されなくなり、回転トルクの低下を抑えることが難しくなる。故に、好ましくは、回転中心側へ誘導する機能と糸状部材のすり抜け防止機能とが共存できるように上記変形例を採用することが好ましい。
(8)上記1の実施の形態及び第2の実施の形態では、誘導通路103における巻取位置での誘導方向(誘導レール100の接線方向)と回転体303の中心軸線方向とが同一方向となるように構成したが、それら各方向が必ずしも一致している必要は無く、同誘導方向に対して中心軸線方向を傾けてもよい。
(9)上記1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ストッパ片306及びギア部313によって回転体303の回転方向が1の方向となるように規制したが、かかる構成を省略し、回転体303の正逆両方向への回転を許容してもよい。少なくとも糸状部材を巻き取ることが可能であれば、糸状部材を操作して不正球を移動させることを妨げることが可能である。
(10)上記第2の実施の形態では、遊技球の発射操作に基づいて巻取機構300を回転させる構成としたが、少なくとも遊技球の発射に基づいて巻取機構300が動作するのであれば足り、例えば遊技球の発射位置から巻取位置までの区間に遊技球の通過を検知する通過検知センサを設け、当該通過検知センサからの情報に基づいて巻取機構300を動作させてもよい。
(11)上記第2の実施の形態では、糸状部材の巻き取りに伴って発生する負荷が閾値を超えた場合に、アーム302が待機位置へ復帰したことを条件として、それ以上の巻き取りを行わない構成としたが、これを変更し、負荷が閾値を超えた場合には、所定の解除操作が行われるまで巻取機構300による糸状部材の巻き取りを継続させてもよい。
また、負荷が閾値を超えた場合に巻取りモードを変更し、都度の遊技球の発射に基づいて回転体303が1度回転するのではなく、複数回回転するようにしてもよい。
(12)上記第3の実施の形態では、遊技盤80を内枠ベース体50に装着することにより導電部材400と縦フレーム部材55とが接触することでアースがなされる自動接続経路と、導電部材400に接続された配線401→センターフレーム95→図示せぬ配線→横フレーム部材57を用いた手動接続経路との2系統により、誘導レール100及び遊技球の帯電を抑える構成としたが、必ずしも帯電防止経路を2系統用いる必要はなく、何れか一方のみを備える構成とすることも可能である。但し、遊技盤80を着脱する度に別途アース用の接続作業(配線と横フレーム部材57との接続作業)を行う必要が生じることは作業性の低下を招く要因となり得る。故に、好ましくは自動接続経路を備える構成とすることが好ましい。
(13)上記第3の実施の形態では、誘導レール100のアースを一箇所のみに限定して設けたが、アース対象となる箇所については複数個所であってもよい。複数個所でアースを取ることで、帯電防止機能を一層向上できる。
この場合「本体部」に相当する部分を内レール101又は外レール102に沿って延びる円弧状のレール部分とし、当該レール部分を内レール101又は外レール102の一方の背後に配置するとともにこのレール部分から他方のレール101,102側に延出する延出部を設けて両レールから延びる脚部を連結することにより、本体部分が見栄え低下の要因となることを抑制しつつ帯電防止機能の向上に貢献できる。
(14)上記第4の実施の形態では、糸状部材が取り付けられた不正球について導電部材500を用いて糸状部材を切断することで防犯機能の向上を図った。しかしながら、このような構成においては、糸状部材を切断した後は、同糸状部材が付属する不正球が遊技機から排出されて島設備へ返却されることにより、遊技球の配給機構等にて球詰まり等の不都合が生じやすくなると想定される。つまり、糸状部材の付属する不正球をそのままにすることは遊技ホールにとって好ましくない。
そこで、遊技機における遊技球の排出口に可動式の蓋体を設けるとともに、逆戻り防止部材106の可動片108用の位置検知センサを設け、位置検知センサにより可動片108が通過許容位置に所定の期間に亘って留まり続けていると判定した場合には糸状部材により押圧されていると判定し、蓋体を閉めて遊技機からの遊技球の排出を不可とするとよい。これにより、上述した糸状部材の切断が実行された時点では、遊技球の排出が不可となっているため、切断後に糸状部材の付いた不正球が島設備に戻ることを回避できる。これにより、防犯機能の向上と上記不都合の回避とを両立することが可能となる。
(15)上記第4の実施の形態では、導電部材500に形成された「切断部」としての刃部513,515が遊技機正面側を向いている。かかる構成は、刃部513,515の存在を不正行為者に知らしめて不正行為を抑止する上では優れているものの、遊技盤80の清掃等のメンテナンス作業を行う場合に前扉枠14を開放した場合には刃部513,515が遊技機正面側に露出することとなるため、作業中にこれら刃部513,515に触れないように注意を払う必要が生じ作業性向上の妨げとなる可能性がある。
そこで、刃部513,515を覆う位置と刃部を覆わない位置とに変位可能な可動式のカバーを設け、前扉枠14が開放された場合にカバーが上記覆う位置から覆わない位置へと変位し、前扉枠14が閉鎖された場合にカバーが上記覆わない位置から覆う位置へと変位する構成とするとよい。これにより、抑止力の向上効果と作業性の低下回避とを両立することが可能となる。
(16)上記第4の実施の形態では、「切断部」として刃部513,515を設けたが、糸状部材の変位(不正行為者による引っ張り操作)に基づいて当該糸状部材を切断できるのであれば、必ずしも「切断部」を刃部とする必要はない。例えば、刃部に替えて細かな凹凸を有するヤスリ等を用いてもよい。
(17)上記第4の実施の形態では、刃部513が遊技機正面側に向けて下り傾斜するように構成することにより、刃部513の切断機能の向上を図ったが必ずしもその傾斜方向に限定されるものではない。刃部513が遊技機後方に向けて下り傾斜する構成とすることも可能である。
但し、刃部を遊技機正面側から視認可能とすることで不正球を用いた不正行為の抑止力の向上を図る上では、上記変形例では刃部の視認性が低下することで抑止力向上効果が上手く発揮されなくなる可能性がある。故に、好ましくは上記第4の実施の形態に示したように刃部513を遊技機正面側に向けて下り傾斜させる構成とするとよい。
(18)上記第5の実施の形態では、糸状部材の移動を妨げて不正球の発射を困難にすることにより防犯機能の向上を図ったが、糸状部材の移動を妨げて遊技領域PEへの不正球の到達を妨げることができるのであればよい。このような機能を考慮した場合には、シャッタ620Xの覆い部621Xと対向部615Xと間に隙間を設ける必要はなく、例えば対向部とシャッタとを当接させることも可能である。
また、上記隙間についても遊技領域PEへの不正球の到達を妨げることが可能な抗力を発生させることができる範囲であれば任意に調整してよい。
(19)上記第5の実施の形態では、対向部615Xとシャッタ620Xとを球送通路601Xの出口部分605Xを挟んで上下に配置したが、これら各構成の配置については、少なくとも出口部分605Xを挟んだ両側となるように離して配置されていればよい。
例えば上下の構成を逆にすることも可能である。但し、発射レール112における遊技球の待機位置よりも上方に球送通路601Xの出口部分605Xが存在している必要があること、更には不正球が発射に伴って不規則な動きをした場合の移動スペースを確保することを考慮した場合には、シャッタ620Xと対向部615Xとの位置関係については上記第5の実施の形態に示す構成とすることが好ましい。
(20)上記第5の実施の形態では、シャッタ620Xを球送通路601Xによる遊技球の案内方向において対向部615Xよりも下流側に配置したが、これら両構成の配置を逆にすることも可能である。但し、この場合には、対向部の下流側へ向けた弾性変形を許容し、不正球発射時に対向部に生じる衝撃を逃がす構成とすることが好ましい。
また、シャッタと対向部との関係については上流/下流で対向させるのであればよく、例えば、シャッタの先端部が凹部に嵌る構成としてもよい。この場合には、凹部においてシャッタに上流・下流から対向する2つの面が対向部を形成することとなる。
(21)上記第5の実施の形態では、シャッタ620Xを回動式としたが、これに限定されるものではなくスライド式とすることも可能である。但し、対向部615Xとの間に糸状部材を挟む際にシャッタの動きが糸状部材によって妨げられることは好ましくない。そこで、糸状部材を上手く挟むにはシャッタが阻止状態となる場合に、対向部615Xに向かっていく動き(隙が徐々に小さくなる動き)をするように構成することが好ましい。
(22)上記第5の実施の形態では、不正球に付属する糸状部材の動きを規制するホールド機構として対向部615X及びシャッタ320Xを採用し、かかる構成を球送通路601の出口部分に配置したが、当該ホールド機構をどの位置に配置するかは任意であり、例えば、球送通路601Xの入口部分604Xに配置することも可能である。但し、不正行為者が不正球の発射が困難であることを察知した場合には、当該不正行為の証拠隠蔽を図るべく糸状部材を引っ張って不正球の回収を試みると想定される。このような隠蔽行為を困難にする上では、ホールド機構の配置位置よりも上流側に存在している他の遊技球が障害物として機能し得る。そこで、ホールド機構を配置する場合には、その上流側に遊技球が待機した状態となるように構成することが好ましい。特に、上皿等に球抜き用の開閉式の返却口が設けられている場合には、当該返却口から後続の遊技球が取り除かれた場合であっても、少なくとも1の遊技球がホールド機構の直上流に残存するように配慮してホールド機構を配置するとよい。
(23)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
以下の特徴A群は、「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技者の発射操作に基づいて発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部に入球(入賞)することにより、当該入賞が検知センサによって検知される。この検知された情報は制御装置に送信され、制御装置ではこの情報に基づいて遊技者に遊技球の払出し等の特典を付与するための処理を実行する(例えば特開2003−190511号公報参照)。このような入球部への入賞を契機として特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入賞発生率(入賞頻度)によって遊技を有利に進めることができるか否かに差が生じ得る。このため、入球部への入球が多く発生することを期待して遊技が行われる。近年、多くの特典を享受することを目的とした遊技機への様々な不正行為が報告されている。例えば、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球を遊技領域に送り込み、当該糸状部材によって遊技球を操る不正行為(所謂糸吊りゴト)がある。この不正行為によれば、糸状部材を手で操作することにより、例えば後続の遊技球を入球部へと誘導したり、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して糸状部材が固着された遊技球を往復させることであたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりし、特典を不正に取得されることがある。このような不正行為は不正に当たりを連続させるといった不正行為と比較して目立ちにくくホール管理者が目視にて不正行為を発見することが困難になりやすい。但し、現時点ではそのような不正行為に対する有効な対策がなされていないのが実情であり、このような不正を抑制する上で遊技機の防犯機能には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴A1.遊技球が通過する球通路(誘導通路103)と、
前記球通路を区画形成している通路壁部(内レール101や遊技盤80の板体80a)に設けられ、当該球通路の内外に貫通する開放部(スリット80b,101b)と、
前記球通路外に設けられた軸体(軸体301)と、
前記軸体を中心として回転することにより、前記開放部を通じて前記球通路内に突出する位置及び同球通路内への突出が回避された位置に前記球通路の球通過領域を横切るようにして変位する可動体(アーム302)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
パチンコ機等の遊技機においては例えば、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球(以下、不正球ともいう)を遊技領域に送り込み、糸状部材を操作することにより不正球を所望とする位置へ移動させる不正行為(所謂糸吊りゴト)が行われている。不正行為者は、糸状部材を操作することにより、例えば流下経路の一部を通行止めにする等して後続の遊技球を入球部へと誘導したり、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して不正球を往復させることによりあたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりして特典を不正に取得する。このような不正行為については、例えば制御装置を不正なものと入れ替える等の大掛かりな準備作業が不要であり、その発見が困難になりやすい。
ここで、本特徴に示す遊技機にて上記不正行為を試みた場合には不正行為中は糸状部材が球通路内に存在することとなる。ここで、可動体が、軸体を中心として回転して球通路内に突出する位置及び球通路内への突出が回避された位置に球通路の球通過領域を横切るようにして変位と糸状部材が可動体に引っ掛かり、当該回転によって糸状部材が軸体側に引き寄せられて当該軸体に絡みつくこととなる。この結果、糸状部材は可動体及び軸体の両方に絡みつき、糸状部材の変位等が抑制されることとなる。これにより、不正球の流下が妨げられることとなる。また、不正行為者が糸状部材を引っ張っる等して遊技球を手元側に引き戻そうとした場合であっても、糸が巻き付いている状況下ではそのような操作自体が妨げられることとなり、不正球を自由に移動させることが困難となる。これにより、遊技機の防犯性の向上に貢献することができる。
なお、軸体を球通路に並設することにより、可動体が無駄に大きくなることを回避することができ、糸状部材の巻き取りにかかる構成(防犯構造)の占有領域が無駄に大きくなることを抑制できる。また、球通路において上記開放部が形成されている部分の通路方向と軸体の長手方向(軸線方向)とが同一方向となるように構成することにより、上記占有領域の広がりを一層好適に抑えることができる。ちなみに、軸体と球通路とが「並設」されていることは、必ずしも軸体の軸線方向と球通路の通路方向とが一致しているものに限定されるものではなく、それら両構成が並んで設けられていると認識されるものであればよい。つまり、湾曲している球通路や、通路方向と軸線方向とのずれ等を否定するものではない。
特徴A2.前記通路壁部は、向きの異なる複数の壁面部(レール101,102及び遊技盤80の板体80a)を有してなり、
前記開放部は、前記複数の壁面部のうち隣り合う壁面部に亘って形成されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A1に示したように球通路を複数の通路壁部によって区画する構成においては、上述した糸状部材が開放部周辺にて球通路のどの部分に位置するかにばらつきが生じ得る。ここで、複数の壁面部のうち一部の隣り合う通路壁部に亘って開放部を形成することにより、回動変位する可動体についてできるだけ広い範囲を当該可動体が横切るようにすることができ、特徴A1に示した機能を上手く発揮させることが可能となる。
なお、遊技球が自重等によって特定の通路壁部に押し付けられた状態で当該特定の通路壁部上を転動又は摺動する構成においては、開放部の配設対象を上記特定の通路壁部を除く他の通路壁部とすることが好ましい。この構成によれば、開放部が遊技球の動きを乱す要因になることを抑制することができる。
特徴A3.前記可動体は、前記軸体に一体化され当該軸体の回転に追従して変位するように形成されていることを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
特徴A1等に示した巻取機能が発揮される場合には、糸状部材が可動体と軸体との繋ぎ部に絡みつきやすい。このため、遊技球の重さや不正行為者の操作(糸状部材の引っ張り)に起因して生じる負荷は可動体と軸体との繋ぎ部にて大きくなると想定される。
例えば、軸体によって可動体が回転可能に保持されている構成では、両者の繋ぎ部の強度の確保が難しくなり、上記変形等の不都合により、変形機能が損なわれやすくなると懸念される。この点、本特徴に示すように可動体と軸体とを一体化(例えば一体成形)すれば、可動体と軸体との繋ぎ部分を容易に強化することができ、上記繋ぎ部に生じる負荷によって可動体や軸体に曲がりや破損等の不都合が生じることを抑制することが可能となる。
なお、本特徴に示したように可動体を軸体と一体化する場合には、可動体を軸体の軸方向と交差方向に突出するようにして一体成形するとよい。
特徴A4.前記軸体は、前記開放部に対して前記球通路の上流及び下流の両側に延びており、
前記可動体は、前記軸体の中間部分に設けられていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A3のいずれか1つに記載の遊技機。
可動体に引っ掛かった糸状部材は、開放部を通じて軸体へ引き寄せられることとなる。ここで、本特徴に示すように軸体を開放部よりも上流及び下流側の方向に延びる構成とし且つ可動体を軸体の中間部分に配する構成とすれば、軸体へ引き寄せられた糸状部材が軸体において可動体を中心とした両側部分に巻き付くこととなる。このようにして、巻き数を稼ぐことで不正球操作の自由度を好適に低下させることができる。また、糸状部材が通過する部分を可動体の動作領域を構成する開放部に限定することにより、糸状部材が引っ張られる等した場合であっても、その力を通路壁部側に分散させることができ、糸状部材の絡まりを解除しづらくすることができる。
なお、軸体の両側に当該軸体の放射方向(例えば軸体の軸線方向と交差する方向)に突出するフランジ部を形成することにより、糸が軸体の上下に抜けやすくなることを回避でき、巻取機能の更なる向上に期待できる。
特徴A5.前記可動体には、当該可動体に触れている糸を同可動体の変位に伴って前記軸体側へと誘導する誘導部(誘導傾斜面323)が形成されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A5によれば、可動体に触れた糸状部材については、可動体の変位に伴って誘導部により軸体側へと誘導される。このように、糸状部材を軸体側へと誘導することにより、可動体が変位する際の抵抗(糸状部材の張力等)を軽減でき、巻取り動作の円滑化に貢献できる。また、糸状部材を軸体側へと誘導することにより糸状部材の巻取機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴A6.前記球通路は、当該球通路を通過する遊技球が前記通路壁部のうち特定の通路壁部に接触した状態で移動するように構成されており、
前記可動体は、前記特定の通路壁部に接触した状態で移動する遊技球の中心部分が通過する軌道と、前記軸体の回転に伴って当該可動体が通過する軌道とが交差するように構成されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
通常、球通路については遊技球の円滑な移動を担保すること等を目的としてその幅寸法等にある程度の余裕代が付与されている。これは、遊技球の円滑な移動を担保する上では有益であるが、その余裕代が遊技球の通過経路を多様化させる要因となり得る。そこで、遊技球を特定の通路壁部に接触した状態で移動させる構成とすれば、上記通過経路のばらつきが少なくなる。
ここで、本特徴においては可動体が特定の通路壁部に接触した状態で移動する遊技球の中心部分が通過する軌道と軸体の回転に伴って当該可動体が通過する軌道とが交差するように構成されているため、可動体と糸状部材との引っ掛かりを担保しつつ、可動体やその動作領域が無駄に大きくなることを抑制し、糸状部材の巻取機能を享受することが可能となる。
特徴A7.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
遊技者の発射操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、
前記遊技盤の前面から起立して設けられ、遊技球発射手段によって発射された遊技球を遊技領域へと導く誘導レール(誘導レール100)と
を備え、
前記誘導レールは相対向する一組のレール部材(内レール101及び外レール102)によって構成されており、
前記両レール部材及び前記遊技盤の前面によって囲まれた領域が前記球通路を構成していることを特徴とする特徴A1乃至特徴A6のいずれか1つに記載の遊技機。
上述した不正球に固着された糸状部材については、その張力があまり強くなると特徴A1等に示した巻取機能が上手く発揮されなくなり、張力が極端に弱くなっている状態では糸状部材が撓む等してその位置が多様になり糸状部材を上手く巻き取ることが難しくなると想定される。
この点、遊技盤に設けられた誘導レールについては、遊技球がある程度の勢いを持って移動する。この際、糸状部材を強く握っていると遊技球の発射の妨げとなるため、不正行為者は糸状部材が自由に移動できるように糸状部材の動きに任せるようにし、握り込み等を行わないものと想定される。このため、不正球が発射された場合には、糸状部材がそれに追従して移動し、上述した張力が過度に強くなったり過度に弱くなったりすることがない。故に、巻取機能を上手く発揮させることが可能となる。
特徴A8.前記レール部材は、前記遊技盤の中央から外側に向けて凸となる円弧状をなす内レール部材及び外レール部材からなり、
前記軸体及び可動片は、内レール部材側に配置されており、
前記開放部は、前記内レール部材に設けられていることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8に示すように、円弧状をなす内外のレール部材によって誘導レールが構成されている遊技機においては、遊技球発射手段によって発射された遊技球は、自身に働く遠心力によって外レール部材に沿って(外レール部材に接触した状態で)移動する。ここで、開放部を外レール部材に形成すると、遊技球が当該開放部を通過する際に開放部の端部等に引っ掛かる等してその挙動が乱れる可能性がある。これは、遊技球の円滑な移動の妨げとなり得るため好ましくない。この点、本特徴に示すように、可動体及び軸体を内レール部材側に配置して開放部を内レール部材に設けることにより、そのような不都合を生じにくくすることができる。故に、巻取機能の付与に起因して遊技球の円滑な誘導が困難になることを抑制することができる。
特徴A9.前記遊技領域を遊技機前方から覆い、同遊技領域を視認可能となるように形成された遊技機前面部(前扉枠14)を備え、
前記開放部は前記遊技盤と前記内レール部材とに跨るようにして形成されており、
前記開放部において前記遊技盤に形成されている遊技盤側開放部(スリット80b)には、少なくとも当該遊技盤側開放部に遊技球が到達した状況下においては当該遊技盤側開放部を覆った状態となる覆い部(アーム302)が設けられていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
遊技機においては遊技機前面部(例えばガラスパネル)によって遊技領域が覆われており、遊技球が遊技機前面部に衝突すること回避するために様々な工夫が施されている。このため、遊技球は遊技盤の前面に沿うようにして移動する可能性が高い。ここで、糸状部材の巻取機能を上手く発揮させようとした場合には、内レール部材と遊技盤とに跨るようにして開放部を形成することが好ましいが、この場合には、遊技盤側開放部に遊技球が接触する可能性が生じる。確かに、誘導レールの傾きや遊技球の打ち出し角度を調整することで、遊技球が遊技盤に触れないようにして移動するように工夫することも可能であるが、上述した理由からこのような構成とすることは、遊技球と遊技機前面部との干渉を招く要因となり得る。
本特徴においては、遊技盤側開放部を覆う覆い部を設けることにより、遊技球が遊技盤側開放部の縁部分に引っ掛かることを抑制し、上記不都合の発生を抑制することが可能となっている。
特徴A10.前記可動体を、遊技球の発射に基づいて前記球通過領域を横切るようにして回転させる回転手段(駆動モータ351)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A10によれば、遊技球が発射されることに基づいて可動体が回転する。かかる構成によれば、遊技球を発射すればするほど糸状部材が巻き取られることとなる。例えば不正球によって後続の遊技球を入球部へと誘導しようとした場合には、後続の遊技球の発射によって巻き付き度合いが強くなり、不正球の位置調整が難しくなるばかりか不正行為の痕跡(軸体等に巻き付いた糸状部材)が残りやすくなる。また、不正球を入球部にて往復運動させることで不正な入賞を発生させようとするにあたり、そのカモフラージュとして遊技球の発射操作を行えば、上述したケースと同様に、糸状部材の巻き付き度合いが強くなり、不正球の操作が困難になるばかりかその痕跡が残りやすくなる。以上の理由から、本特徴に示す回転手段を採用することにより、更なる防犯機能の強化に貢献することができる。
特徴A11.前記可動体には、前記球通路内へ突出し、当該球通路を通過する遊技球が当たる当たり面(当たり面322)が形成されており、
前記回転手段は、前記当たり面を有してなり、当該当たり面が遊技球によって押されることにより前記可動体を回転させるように構成されていることを特徴とする特徴A10に記載の遊技機。
特徴A11によれば、遊技球の運動エネルギを利用して可動体を回転させることができるため、可動体を変位(回転)させるためのアクチュエータ等が不要となる。これにより、巻取機能を実現するための構成が大型化することを抑制し、当該構成の配置にかかる制約を低減させることができる。
なお、遊技球が当たり面に当たった際には、当然遊技球に反力が加わることとなるが、可動体が変位することにより(逃げることにより)この反力が軽減される。故に、移動不可となるように形成された開放部の縁部等に遊技球が衝突する場合と比較して、遊技球の挙動が大きく乱れるといった不都合を生じにくくすることが可能である。
特徴A12.前記球通路は、発射操作に基づいて遊技領域(遊技領域PE)へ発射された遊技球が同該遊技領域へ到達するまでに通過する通路であり、
前記回転手段は、
前記可動体を回転させる駆動手段と、
遊技球の発射に基づいて前記軸体が回転するように前記駆動手段を駆動制御する駆動制御手段と
を有していることを特徴とする特徴A10に記載の遊技機。
特徴A12によれば、駆動手段によって可動体を回転させることが可能である。かかる構成によれば、巻取機能を好適に向上することができる。
例えば、遊技球を一定の期間毎に発射する遊技機においては、先の遊技球が発射されて前記開放部を通過した後、次の遊技球が前記開放部を通過するまでの期間に前記回転を終了し待機状態に復帰している構成とすればよい。
特徴A13.前記軸体を回転させる際の負荷を検出する負荷検出手段(電源・発射制御装置243のMPU249)と、
前記負荷検出手段によって検出された負荷が、予め設定された所定の値よりも大きいか否かを判定する負荷判定手段(電源・発射制御装置243のMPU249)と、
前記負荷判定手段によって前記検出された負荷が前記所定の値よりも大きいと判定された場合に、異常報知を実行する異常報知実行手段(報知・演出制御装置140)と
を備えていることを特徴とする特徴A12に記載の遊技機。
特徴A13によれば、可動体や軸体に糸状部材が絡み付いた場合には、可動体を回転させる際に生じる回転負荷が上昇する。そこで、回転負荷が所定の値を超えた場合に異常報知を実行することにより、不正行為が行われている可能性あることを遊技ホールの管理者等に知らせることが可能となる。これにより、不正行為の早期発見に貢献できる。
特徴A14.前記可動体における回転方向が一方向となるように規制する規制手段(ギア部313及びストッパ片306からなるワンウェイロック機構)が設けられていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A13のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A14によれば、可動体や軸体に糸状部材が絡み付いている状況下においては、当該状況を解消しようとして不正行為者が糸状部材を引っ張ったとしても、可動体が反転することが無く、そのような行為により糸状部材が可動体等から外れることを回避できる。
また、無理に強く糸状部材を引っ張った場合には、糸状部材が切れる等して糸状部材が可動体や軸体に絡み付いたまま残存することとなり、不正行為の痕跡が残ることとなる。これにより、不正行為が行われた事実が発覚しやすくなり、防犯機能の強化に貢献できる。
特徴A15.上記開放部は、遊技球が通過不可となる大きさに形成されていることを特徴とする特徴A14に記載の遊技機。
糸状部材がかなりの強度と滑らかさを併せ持つ素材によって構成されている場合には、糸状部材を引っ張ることで、遊技球が開放部側へと引き戻される可能性がある。このような場合であっても、遊技球が開放部を通過できない構成としておくことで、球通路にて遊技球が詰まった状態となり、不正行為者による遊技の継続が困難となる。
特徴A16.遊技球が通過する球通路(誘導通路103)と、
前記球通路を区画形成している通路壁部(内レール101や遊技盤80の板体80a)に設けられ、当該球通路の内外に貫通する開放部(スリット80b,101b)と、
前記球通路外に設けられた軸体(軸体301)と、前記軸体を中心として回転することにより、前記開放部を通じて前記球通路内に突出する位置及び同球通路内への突出が回避された位置に前記球通路の球通過領域を横切るようにして変位する可動体(アーム302)と、を有する巻込機構(巻取機構300)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
パチンコ機等の遊技機においては例えば、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球(以下、不正球ともいう)を遊技領域に送り込み、糸状部材を操作することにより不正球を所望とする位置へ移動させる不正行為(所謂糸吊りゴト)が行われている。不正行為者は、糸状部材を操作することにより、例えば流下経路の一部を通行止めにする等して後続の遊技球を入球部へと誘導したり、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して不正球を往復させることによりあたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりして特典を不正に取得する。このような不正行為については、例えば制御装置を不正なものと入れ替える等の大掛かりな準備作業が不要であり、その発見が困難になりやすい。
ここで、本特徴に示す遊技機にて上記不正行為を試みた場合には不正行為中は糸状部材が球通路内に存在することとなる。ここで、可動体が軸体を中心として回転して球通路内に突出する位置及び球通路内への突出が回避された位置に球通路の球通過領域を横切るようにして変位することで糸状部材が可動体に引っ掛かり、当該回転によって糸状部材が軸体側に引き寄せられて当該軸体に絡みつくこととなる。この結果、糸状部材は可動体及び軸体の両方に絡みつき、糸状部材の変位等が抑制されることとなる。これにより、不正球の流下が妨げられることとなる。また、不正行為者が糸状部材を引っ張っる等して遊技球を手元側に引き戻そうとした場合であっても、糸が巻き付いている状況下ではそのような操作自体が妨げられることとなり、不正球を自由に移動させることが困難となる。これにより、遊技機の防犯性の向上に貢献することができる。
なお、軸体を球通路に並設することにより、可動体が無駄に大きくなることを回避することができ、糸状部材の巻き取りにかかる構成(防犯構造)の占有領域が無駄に大きくなることを抑制できる。また、球通路において上記開放部が形成されている部分の通路方向と軸体の長手方向(軸線方向)とが同一方向となるように構成することにより、上記占有領域の広がりを一層好適に抑えることができる。
<特徴B群>
以下の特徴B群は、「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技盤には、遊技者の発射操作に基づいて発射された遊技球を遊技領域へ導く誘導レールや遊技領域を流下する遊技球が入球する入球部等の各種遊技部品が配設されている。入球部への入球(入賞)は、入球部に併設された検知センサによって検知され、この検知された情報は制御装置に送信される。制御装置ではこの情報に基づいて遊技者に遊技球の払出し等の特典を付与するための処理を実行する(例えば特開2003−190511号公報参照)。遊技球が動いている状況下においては、これら遊技球が例えば上記遊技部品や遊技盤と擦れることで帯電し得る。電荷を帯びた遊技球はノイズを発生し、当該ノイズは上述した検知センサや制御装置等の各種電気機器の動作に影響を与える恐れがある。特に上述したレール部材のように遊技球が接触した状態で勢いよく移動する構成については、遊技球が帯電する要因になりやすいと想定され、更には誘導レール自体も帯電する可能性もある。つまり、遊技領域に放たれる遊技球及び誘導レールについては誘導レールと遊技球との関係によって上記ノイズを発生しやすい状態となりやすく、結果として当該ノイズが電気機器に何らかの影響を与える可能性も高くなると懸念される。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴B1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技盤を支持する支持枠(内枠ベース体50)と、
遊技者の発射操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、
前記遊技盤の前面から起立するようにして設けられ、前記遊技球発射手段から発射された遊技球を前記遊技領域へと誘導する誘導レール(誘導レール100)と
を備え、
前記遊技盤には当該遊技盤の厚さ方向に貫通する貫通孔が形成され、前記誘導レールは当該貫通孔を通じて遊技盤の背面側に突出する脚部(脚部101a,102a)を有し、
前記脚部は、前記遊技盤の背面部に設けられた導電性を有する遊技盤側導電部材(導電部材400,500)に電気的に接続されており、
前記支持枠は、当該支持枠を補強するフレーム部として導電性を有する支持枠側導電部材(フレーム部材55,57)を有し、
前記遊技盤側導電部材は、前記支持枠に前記遊技盤が支持された状態にて前記当該支持枠の支持枠側導電部材に電気的に接続されていることを特徴とする遊技機。
発射された遊技球が誘導レールによって遊技領域へと導かれるタイプの遊技機においては、遊技球が誘導レールに接触した状態で移動することにより、遊技球及び誘導レールの両者が帯電する可能性がある。仮に遊技球が電荷を帯びたまま遊技領域を流下すると、その電荷によって遊技機に搭載された電気機器等(例えば無線タイプの通信機器)に影響が及ぶ可能性がある。そこで、本特徴に示すように、遊技盤が支持枠に装着された状態にて遊技球又は誘導レールに電荷が生じた場合に、当該電荷が誘導レールの脚部→遊技盤側導電部材→支持枠側導電部材に流れる構成(アースされる構成)とすれば、誘導レール及び遊技球の帯電を抑制することができる。これにより、上記電気機器等への影響を抑えることが可能となる。
特徴B2.前記誘導レールは、遊技球の通過領域を隔てて相対向する一組のレール部材(内レール101及び外レール102)を有し、
それらレール部材によって挟まれた部分が球通路(誘導通路103)となっており、
前記各レール部材にそれぞれ設けられた前記脚部は、遊技機正面視にて前記球通路を挟んで対峙するようにして配設されており、
前記遊技盤側導電部材は、これら両脚部を繋ぐ繋ぎ部(例えば延出部502)を有していることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、相対峙する脚部を繋ぎ部によって繋ぐ構成とすることにより、一組のレール部材をまとめてアースさせることができる。かかる構成によれば、各レール部材を個別にアースする場合と比較して、アースにかかる構成(遊技盤側導電部材)の簡略化に貢献することができる。
特徴B3.前記遊技盤は、透明性を有する合成樹脂材料を用いて形成され、遊技機前方から当該遊技盤を通じてその背後が視認可能となるように構成されており、
前記繋ぎ部は、前記遊技盤側導電部材において前記支持枠側導電部材との通電機能が付与された本体部(取付ベース501)から延出するようにして形成されており、
前記遊技盤側導電部材は、前記本体部が前記一組のレール部材のうち何れかの背後に位置するようにして配置されていることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3に示すように遊技盤を透明としその背後に配置された構成が視認可能とすれば、遊技盤の背後領域を遊技機の見栄え向上用のスペースとして活用することができる。しかしながら、このような構成に特徴B2に示したアース構造を適用した場合には、電気機器等への影響を抑える上では好ましいものの、遊技盤側導電部材が視認可能となることで上記見栄えの向上が妨げられやすくなると懸念される。この点、本特徴に示すように遊技盤側導電部材の本体部をレール部材の背後に配置する構成とすれば、遊技盤側導電部材を目立ちにくくし、特徴B1に示した効果等を発揮させつつ見栄え向上の妨げとなることを抑制することができる。
なお、例えば各レール部材が複数の脚部を有する構成とすれば、アース機能の更なる向上が期待できる。この場合、遊技盤側導電部材の本体部が何れかのレール部材に沿って延びる構成とするとよい。かかる構成によれば、遊技盤側導電部材の大型化及び機能強化に起因した見栄えの低下を抑制することができる。
特徴B4.前記一組のレール部材は、前記遊技領域の外方に凸となる円弧状に形成された内レール部材(内レール101)及び外レール部材(外レール102)によって構成されており、
前記外レール部材は、前記内レール部材よりも誘導方向における奥側に延びるようにして延設されており、
前記誘導レールの前記球通路には、前記内レール部材における前記誘導方向における奥側の端部が位置する箇所に前記遊技領域へと開放された出口部分(出口部分105)が形成されており、
前記内レール部材の前記脚部は当該内レール部材における前記出口部分側の端部に設けられており、前記外レール部材の前記脚部は前記内レール部材の脚部と対峙する位置に配されていることを特徴とする特徴B2又は特徴B3に記載の遊技機。
特徴B1に示したように誘導レールを脚部を通じてアースさせる構成においては、脚部(アース部分)よりも遠い位置ではその機能が低下しやすい。誘導レールの出口部分から飛び出した遊技球は、外レールから離間して自重により遊技領域を流下する。このような遊技の実情を考慮し、アースにかかる構成を出口部分に配置することにより、遊技領域へと流れ込む直前に遊技球に蓄積された電荷を放出させることができ、特徴B1等に示した効果を好適に発揮させることができる。
なお、内レール部材における出口部分側の端部については、他の部位と比較して強度が低下しやすいと懸念される。そこで、この端部に脚部を設けて両レールを遊技盤側導電部材(詳しくは繋ぎ部)によって一体化することにより、上述した強度にかかる懸念を払拭することができる。
特徴B5.前記遊技盤側導電部材は金属製部材であり、その一部が前記内レールの先端部に隣接する位置にて前記遊技盤の前面側に突出する突出部となっており、
前記突出部には、前記誘導レールによる誘導方向とは逆となる方向に移動する糸状部材が接触した場合に当該糸状部材を切断可能な切断手段(例えば刃部513,515)が設けられていることを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
パチンコ機等の遊技機においては例えば、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球(以下、不正球ともいう)を遊技領域に送り込み、糸状部材を操作することにより不正球を所望とする位置へ移動させる不正行為(所謂糸吊りゴト)が行われている。不正行為者は、糸状部材を操作することにより、例えば流下経路の一部を通行止めにする等して後続の遊技球を入球部へと誘導したり、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して不正球を往復させることによりあたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりして特典を不正に取得する。このような不正行為については、例えば制御装置を不正なものと入れ替える等の大掛かりな準備作業が不要であり、その発見が困難になりやすい。
ここで、本特徴に示す遊技機にて上記不正行為を試みた場合には不正行為中は糸状部材が球通路の出口部分を通じて不正球と繋がっている。ここで、不正球の位置を調整すべく糸状部材を引っ張った場合には、糸状部材が誘導方向とは逆方向に移動することで切断手段により切断されることとなる。これにより、不正球を自由に操作すること(移動させること)が困難となり、遊技機の防犯性の向上に貢献することができる。
そもそも、誘導レールのアースを行うために遊技盤側導電部材を設けた場合には、当該遊技盤側導電部材として金属製部材が採用され、ある程度の強度が担保される。特に、内外2つのレール部材を繋ぐことで、遊技盤側導電部材はある程度の大きさを有し、その固定強度の担保も容易である。このような部材が特徴B4に示したように誘導レールの出口部分に存在している点を考慮して、同遊技盤側導電部材に切断手段を設けることにより、切断手段の強度担保を容易に実現できる。
なお、本特徴に示す技術的思想を具現化する上では、遊技盤に当該遊技盤の背面側から前面側に貫通する貫通孔を形成し、同貫通孔を通じて突出部を遊技盤の前面側に突出させるとよい。
因みに、本特徴に示す「切断手段」としては、例えばエッジ等によって構成される刃部や細かい溝等の凹凸が複数形成されてなるヤスリ部を含む。
特徴B6.前記球通路は、前記外レール部材に接触した状態で遊技球が移動する場合に通過する通過領域(所定領域PR)と、当該通過領域に対して内レール部材側に位置し、前記外レール部材に接触した状態で遊技球が移動する場合に当該遊技球が通過しない拡張領域とによって構成されており、
前記切断手段は、前記球通路の延長上に位置する領域のうち、前記拡張領域の延長上となる位置であって、前記通過領域の延長上とならない位置に配されていることを特徴とする特徴B5に記載の遊技機。
特徴B6によれば、遊技球が外レール部材に沿って誘導方向へと勢いよく移動している際には、当該遊技球が切断手段と接触することを抑制することができる。一方、遊技球が外レール部材から離間し遊技領域を流下した場合には、糸状部材が球通過領域の延長上から離れ拡張領域へと下がることとなる。これにより、切断手段の存在が遊技領域への遊技球の誘導機能を担保しつつ特徴B6に示した防犯機能を上手く発揮させることが可能となる。
特徴B7.前記突出部は、前記遊技盤の前面に対して起立し且つ板面が前記出口部分と同じ側を向くように形成された第1板状部(第1板部511)を有してなり、
前記第1板状部は前記出口部分における誘導方向に対して前記誘導方向における奥側に傾くように傾斜しており、この第1板状部における上端部(端部512)に前記切断手段を構成する第1切断部(第1刃部513)が形成されていることを特徴とする特徴B6に記載の遊技機。
特徴B7によれば、遊技盤の前面に対して誘導側に傾くように傾斜する第1板状部の上端部に第1切断部が形成されている。このように傾斜させておくことにより、仮に発射された遊技球の勢いが十分でなく同遊技球が第1板状部(特に切断部)に当たった場合であっても、切断部や遊技球が傷付いたり破損したりすることを抑制することができる。
特徴B8.前記突出部は遊技機前方から視認可能となるように構成されており、
前記第1切断部は刃部であり、遊技機前方又は遊技機後方に下り傾斜していることを特徴とする特徴B7に記載の遊技機。
特徴B8によれば、糸状部材を引っ張ることで、同糸状部材が切断部の傾斜に沿って移動し得る(ずれる)。このように糸状部材の刃部に沿った移動を促すことにより、切断機能を好適に発揮させることができる。
特に、遊技機前方へと刃部が下り傾斜している場合には、不正行為を行おうとする者が刃部の存在を目視にて把握しやすくなる。これにより、不正球を用いた不正行為が困難であるとの印象を与えることが可能となり、不正行為の抑止力の向上に貢献することができる。
特徴B9.前記突出部は遊技機前方から視認可能となるように構成され、前記第1切断部は刃部となっており、
前記第1板状部は、前記遊技盤の前面に対して傾くようにして形成されていることを特徴とする特徴B7又は特徴B8に記載の遊技機。
特徴B7に示したように刃部に沿った糸状部材の移動を促すことで切断機能を上手く発揮させようとした場合には、本特徴に示すように第1板状部を遊技盤の前面に対して傾けるとよい。これにより、糸状部材において第1切断部に接触している部分が不正行為者による引張操作に伴って第1切断部上を移動しやすくなり、上記切断機能の更なる向上に貢献できる。
また、第1板状部が遊技盤の前面に対して傾いていることにより、垂直に起立している場合と比較して、不正行為を行おうとする者が刃部の存在を目視にて把握しやすくなる。これにより、不正球を用いた不正行為が困難であるとの印象を与えることが可能となり、不正行為の抑止力の向上に貢献することができる。
特徴B10.前記突出部は、前記遊技盤の前面に対して起立し且つ板面が前記第1板状部とは異なる方向を向くように形成されその一端にて当該第1板状部と連結している第2板状部(第2板部521)を有しており、
前記第1板状部における遊技機正面側の端部には前記第1切断部に連なる第2切断部(第2刃部515)が形成されており、
前記第2切断部は、前記第1切断部とともに前記切断手段を構成し、前記第2板状部との連結部分に向けて前記遊技盤の前面からの突出量が小さくなるように下り傾斜していることを特徴とする特徴B7乃至特徴B9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B10によれば、糸状部材の引張操作に基づいて同糸状部材を切断する場合には、切断部に負荷がかかることとなる。このような負荷は糸状部材の強度が高くなることで大きくなると想定される。本特徴に示すように、第1板状部と第2板状部とが連なっている構成においては、それら両板状部の連結部分にて第1板状部の強度が高くなる。そこで、糸状部材を上記連結部分側へと誘導することにより、切断部への負荷によって当該切断部が変形する等の不都合を生じにくくし、切断機能の担保に貢献することができる。
なお、本特徴に示す技術的思想の一部を特徴B5等に適用し、「前記突出部は、前記第1板状部とは異なる方向を向き、その一端にて当該第1板状部と連結している第2板状部を有している」構成とすることも可能である。
特徴B11.前記遊技盤には、前記突出部が挿通される挿通孔が形成されており、前記突出部は前記挿通孔に係合していることを特徴とする特徴B5乃至特徴B10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B11によれば、糸状部材を切断する際に突出部に生じる負荷を遊技盤に分散でき、突出部の変形を抑制することができる。これにより、切断機能の担保に貢献することができる。
特徴B12.前記誘導レールの出口部分には、前記遊技領域へと流入した遊技球が前記通過領域へ戻ることを規制する規制手段(逆戻り防止部材106)が設けられており、
前記規制手段は、
遊技球が前記出口部分から流出した後に衝突する当接部を有し、
前記当接部は、前記遊技球の衝突に基づいて弾性変形することで遊技球の通過を許容し、衝突によって蓄積された弾性力によって元の状態に復帰する構成となっており、
前記突出部は、前記内レールの前記先端部と前記規制手段との間に配されており、前記当接部が元の状態から最大に変位した状態でその上端を通過して前記内レール部材と接する仮想接線よりも前記外レール側に前記切断手段の少なくとも一部が位置するように構成されていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B11のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B13によれば、糸状部材付きの遊技球が規制手段を超えて遊技領域に到達し、遊技球の重みによって糸状部材に押された当接部が最大変位した状況下では、糸状部材が切断部に当たることとなる。
糸状部材には、遊技球の重みと不正行為者による引張操作によって上記接線と重なる位置へと変位しようとする応力が生じ、この応力によって糸状部材が切断手段に押し付けられることとなる。これにより、特徴B5等に示した切断機能を上手く作用させることができる。
なお、規制手段に切断機能を付与した場合には、規制手段に大きな力が加わることで当該規制手段に変形等の不具合が生じえる。これは、規制手段が本来有する遊技球の逆流を規制機能を低下させる要因となるため好ましくない。以上の理由から、本特徴に示すように、規制手段と出口部分との間に切断手段を配置することが好ましい。
特徴B13.前記規制手段及び前記遊技盤側導電部材は、前記当接部と前記突出部とが近接するようにして配置されており、
前記当接部は、前記最大変位状態となった場合に、当該当接部上に載った遊技球が前記突出部を乗り越えて誘導レールに沿って逆戻りするように構成されていることを特徴とする特徴B12に記載の遊技機。
特徴B13によれば、突出部に遊技球が引っかかって滞留することを回避できる。
特徴B14.前記遊技盤を遊技機前方から覆う扉体(前扉枠14)と、
前記扉体が閉位置に配置されている状態では前記切断手段の露出を許容し、前記扉体が開放されることにより前記切断手段の露出を阻止する阻止状態に切り替わるカバー部と
を備えていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B13のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B14によれば、メンテナンス作業等によって扉体を開放した場合には、切断手段の露出が阻止される。これにより、作業者が切断手段に触れるといった不都合を生じにくくすることができる。
なお、前記カバー部は、前記切断手段が元の状態から予め定められた範囲を超えて変形している場合には、前記阻止状態への切り替わりが回避される構成とすることが好ましい。
<特徴C群>
以下の特徴C群は、「パチンコ機等の遊技機には、前面に遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技者の発射操作に基づいて発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部に入球(入賞)することにより、当該入賞が検知センサによって検知される。この検知された情報は制御装置に送信され、制御装置ではこの情報に基づいて遊技者に遊技球の払出し等の特典を付与するための処理を実行する(例えば特開2003−190511号公報参照)。このような入球部への入賞を契機として特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入賞発生率(入賞頻度)によって遊技を有利に進めることができるか否かに差が生じ得る。このため、入球部への入球が多く発生することを期待して遊技が行われる。近年、多くの特典を享受することを目的とした遊技機への様々な不正行為が報告されている。例えば、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球を遊技領域に送り込み、当該糸状部材によって遊技球を操る不正行為(所謂糸吊りゴト)がある。この不正行為によれば、糸状部材を手で操作することにより、例えば後続の遊技球を入球部へと誘導したり、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して糸状部材が固着された遊技球を往復させることであたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりし、特典を不正に取得されることがある。このような不正行為は不正に当たりを連続させるといった不正行為と比較して目立ちにくくホール管理者が目視にて不正行為を発見することが困難になりやすい。但し、現時点ではそのような不正行為に対する有効な対策がなされていないのが実情であり、このような不正を抑制する上で遊技機の防犯機能には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴C1.遊技領域(遊技領域PE)に向けて遊技球を発射する遊技球発射機構(遊技球発射機構110)を備えた遊技機であって、
前記遊技球発射機構は、
遊技球の発射方向を規定する発射レール(発射レール112)と、
前記発射レールにおける下側の端部よりも上側に配置され、前記発射レールへ遊技球を送る球送装置(球送装置113)と、
前記発射レールにおける所定の発射位置に配置された遊技球を打ち出す発射部(ソレノイド111)と
を有してなり、
前記球送装置は、
遊技球を前記発射レールへと案内する案内通路(球送通路601X)と、
前記案内通路の出口部分(出口部分605X)に設けられ、遊技球の発射ごとに前記案内通路から前記発射レールの発射位置への遊技球の送りを許容する送り状態及び遊技球の送りを阻止する阻止状態に切替可能な可動片(シャッタ620X)と、
前記案内通路の出口部分であって当該案内通路において遊技球が通過する通過経路よりも外側となる位置に設けられ、前記可動片が前記阻止状態となった場合に当該可動片の一部と球送り方向において対向する対向部(対向部615X)と
を有していることを特徴とする遊技機。
パチンコ機等の遊技機においては例えば、釣り糸やピアノ線等の糸状部材の先端が固着された遊技球(以下、不正球ともいう)を遊技領域に送り込み、糸状部材を操作することにより不正球を所望とする位置へ移動させる不正行為(所謂糸吊りゴト)が行われている。不正行為者は、糸状部材を操作することにより、例えば流下経路の一部を通行止めにする等して後続の遊技球を入球部へと誘導したり、入球部に設けられた検知センサの検知領域に対して不正球を往復させることによりあたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤認させたりして特典を不正に取得する。このような不正行為については、例えば制御装置を不正なものと入れ替える等の大掛かりな準備作業が不要であり、その発見が困難になりやすい。
ここで、上述した不正行為を行う場合、不正行為者は通常の遊技球に混ぜて不正球を遊技球発射機構へ案内させ、発射部による発射操作によって遊技領域への送り込み行うものと想定される。この場合、不正球及び糸状部材は案内通路→出口部分→発射レールへと移動する。糸状部材については、不正球が遊技領域に到達した後にその移動先を調整するために、その他端側となる部分が不正行為者の手元に残されることとなる。つまり、不正球が球送装置によって発射レールへ供給された状態では糸状部材が案内通路内に存在することとなる。ここで、球送装置を構成する可動片は、阻止状態から不正球を発射レールへと送る送り状態となった後は後続の遊技球の移動を阻止すべく阻止状態へと復帰する。この際、可動片と対向部との間に糸状部材が挟まれることにより、糸状部材の動きが制限されることとなる。
つまり、このような状態で不正球を発射しようとしても、可動片と対向部とが糸状部材の動きを妨げることにより、不正球が上手く発射されなくなる。仮に、可動片と対向部との隙間が糸状部材の直径(太さ)よりも大きい場合であっても、少なくとも不正球の動きを妨げるような抵抗が生じるため、不正球が遊技領域へと到達することを抑制できる。実際の遊技場にて上記不正球を使用しようとした場合には、糸状部材が目立つことを回避すべく、不正球よりも上流側に遊技球が配されると想定される。この場合には、次の遊技球が発射レールへと送り込まれることで、複数の遊技球が発射レール上に存在することとなり、不正球を繰り返し打ち出すことで遊技領域へ近づけるといった行為も困難となる。
以上の理由から、不正球を用いて特典を不正に享受するといった行為を困難なものとし、防犯機能の向上に貢献することができる。
特徴C2.前記案内通路を通過する遊技球は、当該案内通路の底面に沿って移動する構成となっており、
前記可動片は前記案内通路の底面側に設けられており、前記対向部は前記通過経路を挟んで前記可動片とは反対側に設けられていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、可動片を阻止状態に切り替える際に、対向部との重なりを徐々に大きくすることができ、糸状部材に張力が加わっている状態及び加わっていない状態のいずれであっても、同糸状部材を可動片と対向部との間に円滑に誘導することができる。
特徴C3.前記発射レールは、斜め上方に上り傾斜するように形成され、その上面に前記球送装置から供給された遊技球が載置される構成となっており、当該発射レールの上方には遊技球の移動(糸付き状態の遊技球の移動)を許容する空隙が形成されていることを特徴とする特徴C1又は特徴C2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、糸状部材のホールド部分は、所定の発射位置よりも上方に位置することとなる。このため、発射部によって打ち出された遊技球は発射レールから浮き上がるようにして移動しやすくなる。このように不正球が移動し得る方向に遊技球の移動を許容する空隙を形成しておくことで、遊技球の勢いが減勢され、発射部に過度の負荷がかかることを回避できる。
また、不正球の発射が困難であると判断した不正行為者が不正球を回収しようとした場合、遊技球の発射操作を継続したり、糸状部材を引っ張ったりしても、遊技球を手元に戻すことは困難となる。このように、不正球の回収を困難とすることで、不正行為の発見の容易化に貢献することができる。
特徴C4.前記可動片は、前記阻止状態となっている状況化においては前記対向部よりも前記案内通路の下流側に位置するように配置されていることを特徴とする特徴C3に記載の遊技機。
特徴C4によれば、不正球の発射時に同不正球に上向きの力が加わった場合に、糸状部材は可動片と対向部との合わせ面に沿った上方への移動が生じ得る。この際、可動片と対向部とによって形成されるクランク部の境界部分が上方を向いている。これにより、糸状部材の移動に起因して可動片に加わる負荷が大きくなるといった不都合を生じにくくし、可動片の保護を図ることができる。
特徴C5.前記可動片は昇降可能に保持されており、当該可動片が上昇することにより前記阻止状態となるように構成されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
糸状部材については、不正行為者が上記他端部(遊技機前面側に引き出されている側の端部)を手で持っていることや、後続の遊技球の存在、更には、球送り装置に至る通路が球圧の軽減等を目的として蛇行していることが一般的である等の理由からある程度の張力が加わっていると想定される。また、遊技球の発射の応答性向上の観点から、出口部分と発射レールとは近づけて配されるのが一般的である。このため、阻止状態に切り替わる前に遊技球が上記所定の発射位置に到達している可能性がある。ここで、本特徴に示すように可動片が上昇することで阻止状態に切り替わる構成においては、可動片の上端部に当たった糸状部材は上方に持ち上げられるため、それに伴って不正球も上側へ引っ張られることとなる。このようにして、不正球を上方に持ち上げることで、発射部が不正球を押した際に打点がずれる。故に、不正球が上方に逃げやすくなり、不正球及び発射部の双方に生じる負荷が軽減される。これにより、不正球の発射規制機能を担保しつつ、発射部、可動片、対向部の保護機能を向上することができる。
特徴C6.前記可動片が前記送り状態及び前記阻止状態となるように当該可動片を駆動制御する駆動制御手段(電源・発射制御装置243)を備え、
前記駆動制御手段は、前記出口部分から流出した遊技球が前記所定の発射位置に到達する前に前記送り状態から前記阻止状態となるように前記駆動制御を実施することを特徴とする特徴C1乃至特徴C5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C6によれば、糸状部材が付いてない通常の遊技球については、出口部分から流出した後問題なく所定の発射位置に到達できる一方、糸状部材が固着された不正球については糸状部材によって所定の発射位置への到達が阻害される。仮に、所定の発射位置の近くまで到達できたとしても、発射部による打点がずれることで、発射レールに沿って移動することなく、その場からの移動が困難となる。
また、仮に発射操作を継続した場合には、次々と遊技球が発射レールへと送り込まれると想定されるが、そもそも発射部については複数の遊技球を一度に発射することを想定して設定されているものではないため、不正球が発射レールに留まり、出口部分にて遊技球の渋滞が発生しやすくなる。
以上の理由から、不正球の発射を困難にするだけでなく、遊技領域への到達自体を不可とし、更には不正球の回収をも困難にすることができる。
特徴C7.前記駆動制御手段は、発射操作が行われていない通常状態においては、前記可動片を阻止状態に維持することを特徴とする特徴C6に記載の遊技機。
特徴C7によれば、糸状部材を引っ張って不正球を解消しようとしても、不正球の案内通路への復帰が可動片と対向部とによって妨げられることとなる。これにより、不正球を回収してその場から立ち去るためにある程度の時間を要することとなり、不正行為の発見の容易化に貢献することができる。
なお、発射レールよりも下流側に、発射レールから打ち出された遊技球であって遊技領域へ到達できなかった遊技球を遊技機前面部へと排出する排出口が設けられているタイプの遊技機においては、不正球がこの排出口を介して不正行為者の手元に戻ることとなる。しかしながら、この種の遊技機においても、本特徴に示すように案内通路の出口部分が通常時には閉じている構成においては、遊技球が発射される直前のタイミングにおいてのみ可動片と対向部との重なりが解除される。糸状部材がある程度の長さを有していることを考慮すれば、直ちに糸状部材を引き抜いて不正行為の隠蔽を図ることは困難になる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。