JP2014098163A - 微小繊維状セルロースを含んでなる濃化界面活性剤系、及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】懸濁された微粒子を含有する透明な濃化界面活性剤系、及び多くの代替的な増粘剤が機能しない高界面活性剤系用の、懸濁助剤を提供すること。
【解決手段】細菌由来又はそれ以外由来の微小繊維状セルロース（ＭＦＣ）を用いることにより、濃化界面活性剤系、並びに、高い界面活性剤濃度を有する調製物において、微粒子を懸濁させること。また、補助剤の有無にかかわらず、ＭＦＣをこの用途に使用すること。細菌由来の微小繊維状セルロースを利用する場合、細胞破片を除去することができ、それにより、典型的な使用濃度において透明な溶液が得られる。
【選択図】図１

Description

本発明は、微小繊維状セルロースを含んでなる濃化界面活性剤系、及びその製造方法に関する。

界面活性剤ベースの製品（例えばボディウォッシュ、シャンプー、食器洗い用洗剤、洗濯用洗剤及び自動車用洗剤）は通常、高濃度の界面活性剤を利用すること、相乗的に粘性を高める界面活性剤を組み合わせること、又は界面活性剤を少量の塩（例えばナトリウム塩）と組み合わせることによって濃化（ｔｈｉｃｋｅｎｅｄ）される。これらの調製により、濃厚でありかつ滑らかな外観の高粘性製品が得られるが、それらでは、粒子が懸濁されることを可能にする程の、充分な低い剪断粘性が得られないという点で欠点を有する。かかる粒子としては、審美剤（ａｅｓｔｈｅｔｉｃ ａｇｅｎｔ）（装飾ビーズ、真珠光沢剤、気泡、芳香ビーズなど）、又は活性成分（不溶性酵素、封入された活性物質（例えば保湿剤、ゼオライト、表皮剥脱剤（例えばαヒドロキシ酸及び／若しくはグリコール酸又はポリエチレンビーズ）、ビタミン（例えばビタミンＥ）など）又はそれらの両方が挙げられる。

従来の増粘剤及び懸濁助剤（例えばキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）、ヒドロキシエチルセルロース（ＨＥＣ）、ヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ））、並びに多くの種類のポリアクリレートは、濃化界面活性剤系において良好に機能せず、しばしば曇り（ｃｌｏｕｄｉｎｇ）による透明度の低下、ゲル化及び／若しくは相分離、又は不充分な懸濁特性を生じさせる。例えば、キサンタンガムは、界面活性剤の濃化の程度が低い特定のボディウォッシュにおいては優れた懸濁特性を付与するが、当該ガムはしばしば、界面活性剤の濃化の程度が高い系においてはその懸濁特性を喪失し、通常、かすんだ、不規則な外観を生じさせ、また粒状の若しくは塊の多いテクスチャを生じさせる。セルロース製品（ＣＭＣ、ＨＥＣ、ＨＰＭＣなど）も、従来技術における増粘剤の他の例として挙げられるが、得られる懸濁液は信頼性が低く、界面活性剤との適合性に関しては重大な欠点を有する。アクリレート系は一般的であるが、しかしながらこれらの系では充分な透明度が必ずしも得られるわけではなく、また高濃度のポリマーを必要とし、また天然材料であるとはみなされない。塩は通常、濃化界面活性剤系において、剪断粘度を向上させることはできるが、長期にわたる懸濁特性を付与しない。

現在、消費財産業においては、懸濁された微粒子を含有する透明な濃化界面活性剤系に対する要望、並びに、多くの代替的な増粘剤が機能しない高界面活性剤系用の、懸濁助剤に対する要望が存在する。

細菌由来又はそれ以外由来の微小繊維状セルロース（ＭＦＣ）を用いることにより、濃化界面活性剤系、並びに、高い界面活性剤濃度を有する調製物において、微粒子を懸濁させることができることを見出した。また、補助剤の有無にかかわらず、ＭＦＣがこの用途に使用できることも見出した。細菌由来の微小繊維状セルロースを利用する場合、細胞破片を除去することができ、それにより、典型的な使用濃度において透明な溶液が得られる。

微小繊維状セルロースは、界面活性剤ミセル成長に影響を受けないと考えられ、これらの系の良好な懸濁状態を維持する。微小繊維状セルロースは、これらの系において、溶解するというよりはむしろ大部分が分散するため、その機能は独特なものとなり、それにより調製物中で所望の懸濁液特性が達成される。一方、代替的な可溶化ポリマーを使用した場合では通常、曇り（ｈａｚｉｎｇ）及び／又は沈殿が見られる。

本発明は、微小繊維状セルロースを含んでなる界面活性剤系の提供に関する。「界面活性剤系」には、濃化界面活性剤系及び高濃度界面活性剤系が含まれるが、これらに限定されるものではない。微小繊維状セルロース（ＭＦＣ）には、微生物発酵により調製されるＭＦＣ、又は機械的に穀物、木又は綿ベースのセルロース繊維を破壊し／加工することにより調製されるＭＦＣが含まれる。細菌由来の微小繊維状セルロースを利用するとき、細胞破片を除去でき、それにより典型的な使用濃度で透明な溶液が得られる。本発明では、界面活性剤を利用することにより、高い剪断速度で、非常に濃厚な（非常に粘稠な）系が得られ、微小繊維状セルロースを用いることにより、その中で微粒子が懸濁された状態で存在する。

これらの系における界面活性剤濃度は、約５％〜約５０％（重量／重量 活性な界面活性剤）の範囲であるが、具体的な濃度は製品により変化する。ボディウォッシュは典型的には約５％〜約１５％（重量／重量）の界面活性剤を含有し、食器洗い液体は典型的に約２０％〜約４０％（重量／重量）の界面活性剤（４０％では「超」濃縮製品）を含有し、洗濯用洗剤は典型的に約１５％〜約５０％（重量／重量）の界面活性剤を含有する。

ＭＦＣは約０．０５％〜約１．０％の濃度で存在させるが、当該濃度は所望の製品に応じて変化する。例えば、ボディウォッシュ中に小さいアルギネートビーズを懸濁させる場合には約０．０６％（重量／重量）のＭＦＣが好適であるが、ボディウォッシュ中に気泡を懸濁させる場合には約０．０７５％が好適であり、約４０％（重量／重量）の界面活性剤を含有する系中に気泡又はビーズを懸濁させる場合には約０．１５０％（重量／重量）が好適である。更に、透明度の高い系が要求される場合、当然ＭＦＣの濃度は調整される。具体的には、約０．０５５％〜約０．２５％（重量／重量 活性な界面活性剤）のＭＦＣ濃度とすることにより、約５％〜約１５％（重量／重量 活性な界面活性剤）の濃度の、非常に透明なボディウォッシュが得られる。

懸濁させる微粒子としては、審美剤（ａｅｓｔｈｅｔｉｃ ａｇｅｎｔ）（装飾ビーズ、真珠光沢剤（ｐｅａｒｌｅｓｃｅｎｔ）、気泡、芳香ビーズなど）、又は活性成分（不溶性酵素、封入された活性物質（例えば保湿剤、ゼオライト、表皮剥脱剤（例えばαヒドロキシ酸及び／若しくはグリコール酸又はポリエチレンビーズ）、ビタミン（例えばビタミンＥ）など））又はそれらの両方が挙げられる。他の適切な微粒子は、当業者に公知である。

本発明はまた、補助剤及び／又は加工助剤（例えばＣＭＣ、キサンタン及び／又はグアーガム）と、微小繊維状セルロースとの、本願明細書に記載の界面活性剤系への使用に関する。微小繊維状セルロース混合物とは、補助剤を含有する、微小繊維のセルロース生産物である。ＭＦＣ、キサン及びＣＭＣを６：３：１の比率で含むもの、及び、ＭＦＣ、グアーガム及びＣＭＣを３：１：１の比率で含むもの、の２種類の混合物が挙げられる。これらの混合物の使用により、水又は他の水性溶液中で、高い剪断力又は長時間の（ｈｉｇｈ ｅｘｔｅｎｓｉｏｎａｌ）混合によって「活性化」されうる乾燥生成物として、ＭＦＣを調製することができる。ＭＦＣ混合物が水に添加され、補助剤／加工助剤が水和するときに、「活性化」がなされる。通常、上記補助剤／加工助剤の水和の後、効果的に微小繊維状セルロース繊維を分散させるために、次に高い剪断力を加え、真の降伏点を示す機能的な三次元ネットワーク構造を生じさせる必要がある。予想外にも、これらの微小繊維状セルロース混合物に存在する補助剤及び／又は加工助剤のＣＭＣ、キサンタン及び／又はグアーガムは、それらが高濃度界面活性剤系中における適合性を全般的に有さない（おそらくＭＦＣを有するこれらの調製物中では、これらのポリマーの使用濃度が低いことによる）にもかかわらず、（水中での活性化の後）多くの高濃度界面活性剤の調製物中において可溶化されたままであることが観察された。

本発明は更に、補助剤及び／又は加工助剤の有無における、上記の界面活性剤系の調製方法の提供に関する。

上記の発明の概要は、以下の発明の詳細な説明及び図１から４を参照することにより、更に詳細に理解できる。
気泡を懸濁させた界面活性剤濃化ボディウォッシュ中の、０．１２５％の微小繊維状セルロース混合物（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣ混合物（６：３：１））を示す。 アルギネートビーズを懸濁させた界面活性剤濃化ボディウォッシュ中の、０．１２５％の微小繊維状セルロース混合物（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣ混合物（６：３：１））を示す。 超濃縮タイプの食器洗い用洗剤中の、０．１２５％の微小繊維状セルロース混合物（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣ混合物（６：３：１））（水で１：１に希釈）を示す。 超濃縮タイプの洗濯用液体洗剤中の、０．１２５％の微小繊維状セルロース混合物（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣ混合物（６：３：１））（水で１：１に希釈）を示す。 超濃縮タイプの洗濯用液体洗剤中の、０．１２５％の微小繊維状セルロース（湿ケーキの形態で添加）（水で１：１に希釈、ＭＦＣ溶液）を示す。補助剤は使用しなかった。写真は、気泡が懸濁している状態を示す。

界面活性剤の濃化特性及び懸濁特性を示す、０．１２５％のＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣ混合物（６：３：１）を使用して調製したボディウォッシュを、実施例１及び２に記載する。上記ボディウォッシュは、非常に良好な透明度、並びに気泡及びビーズを懸濁する能力を示す。

手作業による食器洗い液、及び洗濯用液体洗剤（ボディウォッシュより高い界面活性剤濃度を有する）もまた記載する。アルギネートが懸濁されている手作業による食器洗い液を、実施例３に記載する。

芳香ビーズが懸濁されている洗濯用液体洗剤を、実施例４に記載する。

実施例５において、湿ケーキの形態の微小繊維状セルロースを用いて、気泡が懸濁されている、濃縮タイプの洗濯用液体石鹸を含有する高濃度界面活性剤系を調製した。

＜実施例１＞：気泡を有する液体洗剤を調製した。図１は、この系の透明度及び懸濁特性を示す。得られるボディウォッシュは、目視による試験において、非常に濃厚な界面活性剤のレオロジーを示し、気泡を懸濁する能力を有し、また約３．４Ｐａ（Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ（登録商標）Ｙｉｅｌｄ Ｒｈｅｏｍｅｔｅｒにより測定）の降伏値を示した。

＜段階Ａ＞：脱イオン水、１０％のＮａＣｌ溶液及びＫａｔｈｏｎ（登録商標）ＣＧを、小型Ｏｓｔｅｒ（登録商標）混合ジャーに添加した。微小繊維状セルロース（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣを６：３：１で混合）を水面に添加し、次にＯｓｔｅｒ（登録商標）ミキサーのブレードを設置し、５分間、最高の速度（「液化」速度）でそれらを混合した。

＜段階Ｂ＞：内容物を、塗料混合用のブレードを有する４００ｍＬの長型ビーカーへ移した。ラウレス硫酸ナトリウム（ＪＥＥＬＡＴＥ（登録商標）ＥＳ−３）を、段階Ａに記載の溶液に添加し、約１０００回転／分で５分間混合した。次にナトリウムコカミドプロピルベタイン（ＪＥＥＴＥＲＩＣ（登録商標）ＣＡＢ−ＬＣ）を混合物に添加し、更に１０００回転／分で５分間混合した。次に芳香剤を添加した。

＜段階Ｃ＞：コカミドＤＥＡを、段階Ｂに記載の溶液に添加した。更にＤＥＡを添加することにより、濃化が生じた。次にクエン酸を５０％の溶液として添加し、ｐＨを所望のレベル（このケースではｐＨ５．５）に低下させた。内容物をミキサーから取り出した。混合の間に取り込まれた空気は、ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣの６：３：１の混合物の存在下で安定であった。

＜表１＞：ボディウォッシュシャワーゲル

＜実施例２＞：実施例１で説明したようにボディウォッシュを調製したが、気泡の代わりにビーズによる懸濁液を組み込んだ。アルギネートビーズを、段階Ｃの最終工程として添加した。この実施態様の視覚的表示を図２に示す。

＜実施例３＞：手作業による食器洗い用液体洗剤及び洗濯用洗剤を使用して、高濃度界面活性剤系を調製した。アルギネートビーズ又は空気を溶液中に懸濁させた。Ｐａｌｍｏｌｉｖｅ Ｕｌｔｒａ（登録商標）食器洗い用洗剤を２倍に希釈し、「通常の」濃度の食器洗い用洗剤を調製した。最初に、脱イオン水中に０．２５％の微小繊維状セルロース混合物（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣを６：３：１で混合）を含んでなる、濃縮物を調製した。Ｏｓｔｅｒ（登録商標）ブレンダで、５分間「液化」速度（最高速度）で溶液を混合することにより、濃縮物を調製した。微小繊維状セルロース混合物を次に、塗料混合用の、又はプロペラ状のブレードを使用して、Ｐａｌｍｏｌｉｖｅ Ｕｌｔｒａ（登録商標）洗剤又はＤａｗｎ Ｕｌｔｒａ（登録商標）洗剤（Ｐａｌｍｏｌｉｖｅ（登録商標）は０．１％のトリクロサンを含有する）で１：１に希釈した。混合しながら、食器洗い用洗剤を微小繊維状セルロース溶液に添加した。Ｐａｌｍｏｌｉｖｅ Ｕｌｔｒａ（登録商標）洗剤及びＤａｗｎ Ｕｌｔｒａ（登録商標）洗剤サンプルにおいて、優れた透明度、並びに空気及び／又はアルギネートビーズの懸濁が実現された。塗料混合用又はプロペラ混合ブレードの剪断力は相対的に低いにも関わらず、微小繊維状セルロースは良好に希釈された。これらの溶液の降伏点は約２．５Ｐａであった。視覚的表示を、図３に示す。

＜実施例４＞：濃縮タイプの洗濯用液体洗剤を使用して、高濃度界面活性剤系を調製した。「Ａｌｌ Ｓｍａｌｌ ａｎｄ Ｍｉｇｈｔｙ（登録商標）」（３倍濃縮）洗剤を用いた。０．２５％の微小繊維状セルロース混合物（ＭＦＣ／キサンタン／ＣＭＣを６：３：１で混合）濃縮物を、最高（液化）速度で設定されたＯｓｔｅｒ（登録商標）ブレンダを用いて、蒸留水中で活性化した。混合時間は５分間であった。微小繊維状セルロース溶液を、Ａｌｌ Ｓｍａｌｌ ａｎｄ Ｍｉｇｈｔｙ（登録商標）（３倍濃縮）洗剤で１：１に希釈した。希釈剤は非常に良好な透明度及び懸濁性が実現され、０．６２Ｐａの降伏点を示した。熱安定性を評価するため、４５℃のオーブンに洗剤を入れた結果、４週間のエージング期間中、透明度又は懸濁性の損失もなく、優れた安定性を示した。視覚的表示を図４に示す。

＜実施例５＞：濃縮タイプの洗濯用液体洗剤を使用した高濃度界面活性剤系を、湿ケーキ状の微小繊維状セルロースを使用して調製した。「Ａｌｌ Ｓｍａｌｌ ａｎｄ Ｍｉｇｈｔｙ（登録商標）」（３倍濃縮）洗剤を用いた。１．５６％の湿ケーキ状の微小繊維状セルロース濃縮物を、最高（液化）速度で設定されたＯｓｔｅｒ（登録商標）ブレンダを用いて、蒸留水中で活性化した。混合時間は５分間であった。この湿ケーキ状のＭＦＣの活性（％固体）は約１６％であったため、活性なＭＦＣレベルは、濃縮物中で約０．２５％であった。微小繊維状セルロース溶液を、Ａｌｌ Ｓｍａｌｌ ａｎｄ Ｍｉｇｈｔｙ（登録商標）（３倍濃縮）洗剤で１：１に希釈した。希釈剤は非常に良好な懸濁性が実現され、１３Ｐａの降伏点を示した。視覚的表示を図５に示す。

Claims (17)

1. 約０．０５％〜約１．０％（重量／重量）の濃度の微小繊維状セルロースと、
   約５％〜約５０％（重量／重量 活性な界面活性剤）の濃度の界面活性剤と、
   微粒子と、を含んでなる界面活性剤系。
2. 前記微小繊維状セルロースが約０．０６％で存在する、請求項１記載の界面活性剤系。
3. 前記微小繊維状セルロースが約０．０７５％で存在する、請求項１記載の界面活性剤系。
4. 前記微小繊維状セルロースが約０．０９％で存在する、請求項１記載の界面活性剤系。
5. 前記界面活性剤が約５％〜約１５％（重量／重量 活性な界面活性剤）で存在する、請求項２記載の界面活性剤系。
6. 前記界面活性剤が約４０％（重量／重量 活性な界面活性剤）で存在する、請求項４記載の界面活性剤系。
7. 懸濁された気泡を更に含んでなる、請求項５記載の界面活性剤系。
8. 懸濁されたビーズを更に含んでなる、請求項５記載の界面活性剤系。
9. 懸濁されたビーズを更に含んでなる、請求項６記載の界面活性剤系。
10. 懸濁された気泡を更に含んでなる、請求項６記載の界面活性剤系。
11. 界面活性剤系の調製方法であって、
    微小繊維状セルロースと水とを組み合わせ、混合するステップと、
    界面活性剤を添加し、更に混合するステップと、
    微粒子を添加し、続いて混合するステップと、を有してなり、
    得られる系が透明であり、前記微粒子がそこに懸濁される方法。
12. 前記微小繊維状セルロースが約０．０５％〜約１．０％（重量／重量）の濃度で存在し、かつ、前記界面活性剤が約５％〜約５０％（重量／重量 活性な界面活性剤）で存在する、請求項１１記載の方法。
13. 前記微小繊維状セルロースが約０．０６％で存在する、請求項１１記載の方法。
14. 前記微小繊維状セルロースが約０．０７５％で存在する、請求項１１記載の方法。
15. 前記微小繊維状セルロースが約０．０９％で存在する、請求項１１記載の方法。
16. 前記界面活性剤が約５％〜約１５％（重量／重量 活性な界面活性剤）で存在する、請求項１１記載の方法。
17. 前記界面活性剤が約４０％（重量／重量 活性な界面活性剤）で存在する、請求項１１記載の方法。