JP2014097439A - 蓄積性触媒毒吸着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用済み脱硝触媒より、蓄積性触媒毒の除去効率に優れた吸着剤を製造する方法、および、該吸着剤を用いて排ガス中の触媒毒を吸着除去する方法を提供する。
【解決手段】排ガスの浄化に使用済みの脱硝触媒に、硫酸アルミニウム溶液を含浸した後、乾燥して硫酸アルミニウム含有蓄積性触媒毒吸着剤を製造し、次いで、該吸着剤を用いて、排ガス中のヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を吸着除去する。
【選択図】なし
【解決手段】排ガスの浄化に使用済みの脱硝触媒に、硫酸アルミニウム溶液を含浸した後、乾燥して硫酸アルミニウム含有蓄積性触媒毒吸着剤を製造し、次いで、該吸着剤を用いて、排ガス中のヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を吸着除去する。
【選択図】なし
Description
本発明は、蓄積性触媒毒吸着剤、触媒毒の除去方法および排ガスの浄化方法に関する。より詳細に、本発明は、使用済みの酸化チタン系脱硝触媒を再利用して成る、リンやヒ素などの蓄積性触媒毒の除去効率に優れた吸着剤、該吸着剤でガス中の触媒毒を吸着して除去する方法、および触媒毒による脱硝触媒の活性低下が抑制された排ガスの浄化方法に関する。
アンモニアや尿素などの還元剤を用いて窒素酸化物を還元するための排煙脱硝装置は、ボイラ燃焼排ガスの処理を中心に国内外で広く用いられている。該排煙脱硝装置には、酸化チタン系脱硝触媒が主に使用されている。この酸化チタン系脱硝触媒は使用期間の経過とともに活性が低下してくるので、所定期間経過後に、新しい触媒と取り換えられる。そして、使用済みの脱硝触媒を使用可能な脱硝触媒に再生して脱硝装置に再利用することが行われている。
使用済み脱硝触媒の再生法としては、薬液洗浄と触媒活性成分の追加担持処理とを組み合わせてなる方法が知られている。例えば、特許文献5に、使用済みの酸化チタン系脱硝触媒に、アルミニウムの水酸化物または酸化物を含んだ硫酸アルミニウム水溶液を含浸させ、乾燥・焼成し、次いでバナジウムの酸化物及びチタニアを含んでなる触媒活性成分を含むスラリを該使用済み触媒の表面にコーティングし、乾燥・焼成することを含む方法で使用済み脱硝触媒を再生させ脱硝触媒として再利用することが開示されている。
ところで、石炭焚きボイラの脱硝装置においては、石炭由来の、カリウムやナトリウムなどのなどのアルカリ金属の塩、CaやSrなどのアルカリ土類金属の塩または酸化物、リン酸、亜ヒ酸、ヒ酸などの第VB族元素の酸化物などが、脱硝触媒に付着して、触媒性能を低下させることが知られている。特にリンやヒ素の含有量の多い石炭(例えば、米国東部の瀝青炭)をボイラで使用すると、触媒の寿命が大幅に短縮する。
リンやヒ素による脱硝触媒の性能劣化を防止するために、脱硝触媒の組成や成分等を改良してリンやヒ素に対する耐性を高める方法(特許文献1); 脱硝触媒の前段でアルミナやゼオライトなどの吸着剤を排ガス中に噴霧して、触媒毒を吸着除去する方法(特許文献2及び3); 脱硝触媒の前段にハニカム状に成型されたゼオライト構造体を設ける方法(特許文献4)などが提案されている。
しかしながら、アルミナやゼオライトなどの吸着剤を用いて脱硝触媒の性能劣化を防止する方法は以下のような課題がある。まず、吸着剤の噴霧は、ランニングコストが増大し、EPで除去される灰の処理費用が嵩み、吸着剤が表面に付着して脱硝触媒の性能低下や磨耗の恐れがある。また、排ガス中にSOXが含まれていると、アルミナやゼオライト中のAlと、ガス中のS分とが,例えば、式(1)に示すような反応を起こす。そのためにアルミナやゼオライトからなる吸着層を用いる方法では、吸着剤の体積膨張による粉化や細孔閉塞が引き起こされ長期に安定した性能を得ることができない。
Al2O3 + 2SO3 → Al2(SO4)2 + 1/2O2 (1)
Al2O3 + 2SO3 → Al2(SO4)2 + 1/2O2 (1)
本発明の課題は、使用済みの酸化チタン系脱硝触媒を再利用して成る、蓄積性触媒毒の除去効率に優れた吸着剤、該吸着剤でガス中の触媒毒を吸着して除去する方法、および触媒毒による脱硝触媒の活性低下が抑制された排ガスの浄化方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕 酸化チタン系脱硝触媒及び硫酸アルミニウムを含有する蓄積性触媒毒吸着剤。
〔2〕 酸化チタン系脱硝触媒に硫酸アルミニウムを担持して成る蓄積性触媒毒吸着剤。
〔3〕 酸化チタン系脱硝触媒が、排ガスの浄化に使用済みの酸化チタン系脱硝触媒である、〔1〕又は〔2〕に記載の蓄積性触媒毒吸着剤。
〔2〕 酸化チタン系脱硝触媒に硫酸アルミニウムを担持して成る蓄積性触媒毒吸着剤。
〔3〕 酸化チタン系脱硝触媒が、排ガスの浄化に使用済みの酸化チタン系脱硝触媒である、〔1〕又は〔2〕に記載の蓄積性触媒毒吸着剤。
〔4〕 排ガス浄化に使用済みの脱硝触媒に、硫酸アルミニウム溶液を含浸させて、乾燥させることを含む蓄積性触媒毒吸着剤の製造方法。
〔5〕 排ガス中に含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を前記〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着することを含む触媒毒の除去方法。
〔6〕 排ガス中に含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を前記〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着し、
次いで、前記排ガス中に含まれる窒素酸化物をアンモニア若しくは尿素で接触還元することを含む排ガスの浄化方法。
〔5〕 排ガス中に含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を前記〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着することを含む触媒毒の除去方法。
〔6〕 排ガス中に含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を前記〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着し、
次いで、前記排ガス中に含まれる窒素酸化物をアンモニア若しくは尿素で接触還元することを含む排ガスの浄化方法。
本発明の蓄積性触媒毒吸着剤は、排ガス中に含まれるヒ素、リン、アルカリ金属を含む化合物などを効果的に吸着除去することができる。また、本発明の蓄積性触媒毒吸着剤は、使用済みの酸化チタン系脱硝触媒を原料とし且つ複雑な工程を要しない方法によって、低いコストで製造することができる。
本発明の排ガス浄化方法によれば、脱硝触媒の触媒毒による劣化が防止されるので、長期間の安定した排ガスの浄化処理を行うことができる。
本発明の排ガス浄化方法によれば、脱硝触媒の触媒毒による劣化が防止されるので、長期間の安定した排ガスの浄化処理を行うことができる。
本発明に係る吸着剤においては、排ガス中の触媒毒の除去が、以下のようなメカニズムにより行われている、と推測される。
燃料中のヒ素は、炉内での燃焼時に、As2O3の形態で存在する。そして、本発明の蓄積性触媒毒吸着剤が設置されている温度領域(約300℃〜約450℃)では、熱力学的にAs2O5の形態となって存在していると推測される。As2O5は蓄積性触媒毒吸着剤に含まれている硫酸アルミニウムと式(A)で表される反応をして吸着剤に固定化される。
Al2(SO4)3 + As2O5 → 2AlAsO4 + 3SO3 (A)
燃料中のヒ素は、炉内での燃焼時に、As2O3の形態で存在する。そして、本発明の蓄積性触媒毒吸着剤が設置されている温度領域(約300℃〜約450℃)では、熱力学的にAs2O5の形態となって存在していると推測される。As2O5は蓄積性触媒毒吸着剤に含まれている硫酸アルミニウムと式(A)で表される反応をして吸着剤に固定化される。
Al2(SO4)3 + As2O5 → 2AlAsO4 + 3SO3 (A)
排ガスに含まれるリン化合物(例えば、P2O5)は硫酸アルミニウムと式(B)で表わされる反応をして吸着剤に固定化される。
Al2(SO4)3 + P2O5 → 2AlPO4 + 3SO3 (B)
Al2(SO4)3 + P2O5 → 2AlPO4 + 3SO3 (B)
排ガスに含まれるKやNaなどのアルカリ金属は、ガス中では炭酸塩、硫酸塩、酸化物などの化合物となって存在していると推測される。これらのアルカリ金属化合物、例えば硫酸カリウムは、硫酸アルミニウムと式(C)で表わされる反応をして吸着剤に固定化される。
Al2(SO4)3 + K2SO4 → 2KAl(SO4)2 (C)
Al2(SO4)3 + K2SO4 → 2KAl(SO4)2 (C)
本発明に係る吸着剤においては、上記のような反応によって、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)中のSO4がAsO4やPO4と置き換わる形で反応が進行するので、吸着剤に大きな体積変化を生じさせずに、触媒毒を固定化できる。
硫酸アルミニウムは、燃焼排ガスに含有することがある硫黄分と反応し難いので、アルミナの硫酸塩化という不都合が生じない。
硫酸アルミニウムは、燃焼排ガスに含有することがある硫黄分と反応し難いので、アルミナの硫酸塩化という不都合が生じない。
ダスト中の鉄分が酸化チタン上に吸着すると酸化活性を示すようになる。これが排ガス中のSO2をSO3に酸化する。そのため、例えば米国の高S炭のような鉄含有量の多い炭種の燃焼排ガスでは、脱硝触媒への鉄の付着によるSO2酸化率の上昇が問題となる。本発明の吸着剤はダスト中に鉄分が含まれる場合であっても鉄の吸着によるSO2酸化率の上昇を引き起こさない。それは、鉄分と硫酸アルミニウムとが式(D)で表わされる反応をして鉄明礬を形成し、鉄の酸化活性を抑制するからである。このため、燃焼排ガス流れの前段に本発明に係る吸着剤を設置すると、後段の脱硝触媒への鉄の付着が抑制され、SO2酸化率の上昇が抑制される。
Al2(SO4)3 + FeSO4 → FeSO4Al2(SO4)3 (D)
Al2(SO4)3 + FeSO4 → FeSO4Al2(SO4)3 (D)
また、本発明に係る吸着剤は、Asを吸着し固定化した後に、水や酸で洗浄すると、固定化されていたヒ酸アルミニウムを式(E)で表わされる反応によって溶出させることができる。使用済みの本発明に係る吸着剤は、上記のように洗浄した後、硫酸アルミニウムを再度含浸させることによって吸着剤として再利用することができる。
AlAsO4 + 3H+ → Al3+ + 3H+ + AsO4 3- (E)
AlAsO4 + 3H+ → Al3+ + 3H+ + AsO4 3- (E)
本発明の蓄積性触媒毒吸着剤は、酸化チタン系脱硝触媒及び硫酸アルミニウムを含有するものである。本発明の蓄積性触媒毒吸着剤においては硫酸アルミニウムが酸化チタン系脱硝触媒に担持されていることが好ましい。
本発明に用いられる酸化チタン系脱硝触媒は、酸化チタンを主成分として含有し、さらに触媒活性成分である、鉄、モリブデン、タングステン、バナジウムなどの元素を含有するものである。また触媒の強度や接触面積を広げるなどのために無機繊維を含有していてもよい。酸化チタン系脱硝触媒は、その形状において特に制限されない。例えば、粒状、ハニカム状、板状に成形したものが挙げられる。板状触媒は、例えば、酸化チタンまたはその前駆体、触媒活性成分および無機繊維などを混練して触媒ペーストを得、この触媒ペーストをステンレス鋼製やガラス繊維製の網状基板に押し付けて担持させ、次いで乾燥し、焼成することによって得られる。板状触媒には、重ねた時にガスが通り抜け得る程度の通路を確保するために、スペーサ部が形成される。このような板状触媒を重ねてなる触媒構造体は圧力損失が小さく、かつダスト等による磨耗に対しても強いという利点がある。
また、本発明に使用される酸化チタン系脱硝触媒は、排ガスの浄化に使用済みのものであることが好ましい。従来、殆ど再利用されずに廃棄されていた使用済みの酸化チタン系脱硝触媒の有効活用が図れる。また、使用済みの酸化チタン系脱硝触媒を利用するので、低コストで蓄積性触媒毒吸着剤を製造することができる。使用済みの酸化チタン系脱硝触媒は、一度でも排ガスの浄化に使用したものであれば、使用期間、使用環境などによって特に制限されない。使用済み脱硝触媒にはダストなどが付着して汚れている場合がある。使用済み脱硝触媒は汚れたままで使用していもよいし、ダストなどの除去や水洗、酸洗などの処理を行ってから使用してもよい。
本発明の蓄積性触媒毒吸着剤は、例えば、酸化チタン系脱硝触媒に、硫酸アルミニウム溶液を含浸させ、次いで乾燥させることによって得られる。硫酸アルミニウムとしては、工業用の硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3・13〜14H2O)を使用することができる。硫酸アルミニウム溶液は水溶液であることが好ましい。硫酸アルミニウム溶液の濃度は、硫酸アルミニウムの溶解度以下ならば特に制限されないが、一回の含浸で担持される硫酸アルミニウムが触媒重量に対して無水硫酸アルミニウムとして4重量%〜6重量%となる濃度であることが好ましい。大量に硫酸アルミニウムを担持する必要がある場合は、硫酸アルミニウム溶液の含浸と乾燥を複数回繰り返すことができる。硫酸アルミニウムの担持量が少ないと吸着剤としての使用期間や脱硝触媒の劣化抑止効果を奏する期間が短くなる傾向がある。
本発明に係る排ガス浄化方法は、排ガスに含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物(以下、触媒毒成分、と呼ぶことがある。)を、本発明の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着し、次いで排ガスに含まれる窒素酸化物をアンモニア若しくは尿素で接触還元することを含むものである。本発明の蓄積性触媒毒吸着剤によって触媒毒成分が固定化されるので、蓄積性触媒毒吸着剤を設置した層の後段にある接触還元反応用の脱硝触媒の劣化を防止することができ、脱硝触媒の長寿命化を図ることができる。さらに、脱硝触媒にヒ素やリン化合物などの吸着が抑制されるので、使用済み脱硝触媒の再生も容易になる。
排ガスはボイラなどから排出される燃焼排ガスである。ボイラに用いられる燃料(石炭、重油等の石油類、燃料ガスなど)によって排ガスに含まれる成分が異なるが、本発明の排ガス浄化方法は、ボイラに用いられる燃料の種類に影響されない。また、産業廃棄物、生活廃棄物、等を含む燃料を用いたボイラの燃焼排ガスにも適用することができる。
次に、実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、ボイラの燃焼排ガス中に含まれるヒ素の吸着除去を例にして、本発明の蓄積性触媒毒吸着剤の効果を具体的に示した。リンやアルカリ金属の吸着除去は、実施例として特に示さないが、上述したとおり、ヒ素の吸着除去と同様のメカニズムで進み、ヒ素の吸着除去と同様の結果が得られた。
以下の実施例及び比較例では、ボイラの燃焼排ガス中に含まれるヒ素の吸着除去を例にして、本発明の蓄積性触媒毒吸着剤の効果を具体的に示した。リンやアルカリ金属の吸着除去は、実施例として特に示さないが、上述したとおり、ヒ素の吸着除去と同様のメカニズムで進み、ヒ素の吸着除去と同様の結果が得られた。
実施例1
石炭の燃焼排ガスの浄化装置で20000時間使用された、使用済み酸化チタン系脱硝触媒(SUS430製メタルラス基板にチタン、タングステン、及びバナジウムの各酸化物を主成分とする触媒活性成分(Ti/W/V原子比=94/5/1)が塗布された板状触媒)を用意した。
純水に硫酸アルミニウム13〜14水和物(Al2(SO4)3として56〜59%含有)を溶解させて濃度20質量%の硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
使用済み酸化チタン系脱硝触媒から100mm角の平板を切り出した。該平板を、前記の硫酸アルミニウム水溶液に30分間浸漬した。平板を水溶液から引き上げ、150℃で1時間乾燥させ、更に350℃で1時間乾燥させて、蓄積性触媒毒吸着剤Aを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Aに含まれる硫酸アルミニウムの量は6質量%であった。
石炭の燃焼排ガスの浄化装置で20000時間使用された、使用済み酸化チタン系脱硝触媒(SUS430製メタルラス基板にチタン、タングステン、及びバナジウムの各酸化物を主成分とする触媒活性成分(Ti/W/V原子比=94/5/1)が塗布された板状触媒)を用意した。
純水に硫酸アルミニウム13〜14水和物(Al2(SO4)3として56〜59%含有)を溶解させて濃度20質量%の硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
使用済み酸化チタン系脱硝触媒から100mm角の平板を切り出した。該平板を、前記の硫酸アルミニウム水溶液に30分間浸漬した。平板を水溶液から引き上げ、150℃で1時間乾燥させ、更に350℃で1時間乾燥させて、蓄積性触媒毒吸着剤Aを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Aに含まれる硫酸アルミニウムの量は6質量%であった。
蓄積性触媒毒吸着剤Aから20mm幅×100mm長さの帯片を切り出した。帯片3枚を流通式反応管に充填した。反応管を350℃に維持して、表1に示す成分を含む石炭燃焼模擬排ガスを17m/hにて50時間反応管に供給した。その後、蓄積性触媒毒吸着剤Aをメタルラス基板から剥がして、乾燥し、粉末状にして、蛍光X線分析装置によって、吸着剤に蓄積されたバルクの砒素量を定量した。結果を表3に示す。
蓄積性触媒毒吸着剤Aから20mm幅×100mm長さの帯片を切り出した。帯片3枚を流通式反応管に充填した。反応管を350℃に維持して、表2に示す成分を含む石炭燃焼模擬排ガスを120L/hにて反応管に供給した。蓄積性触媒毒吸着剤の脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
実施例2
硫酸アルミニウム水溶液の濃度を15質量%に変えた以外は実施例1と同じ方法で蓄積性触媒毒吸着剤Bを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Bに含まれる硫酸アルミニウムの量は4質量%であった。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Bにおける、ヒ素化合物の蓄積量および脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
硫酸アルミニウム水溶液の濃度を15質量%に変えた以外は実施例1と同じ方法で蓄積性触媒毒吸着剤Bを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Bに含まれる硫酸アルミニウムの量は4質量%であった。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Bにおける、ヒ素化合物の蓄積量および脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
実施例3
実施例1と同じ方法で得られた平板を硫酸アルミニウム水溶液に30分間浸漬し、水溶液から引き上げ、150℃で1時間乾燥させた。その後、前記平板を濃度20質量%の硫酸アルミニウム水溶液に30分間浸漬し、水溶液から引き上げ、150℃で1時間乾燥させて、蓄積性触媒毒吸着剤Cを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Cに含まれる硫酸アルミニウムの量は10質量%であった。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Cにおける、ヒ素化合物の蓄積量および脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
実施例1と同じ方法で得られた平板を硫酸アルミニウム水溶液に30分間浸漬し、水溶液から引き上げ、150℃で1時間乾燥させた。その後、前記平板を濃度20質量%の硫酸アルミニウム水溶液に30分間浸漬し、水溶液から引き上げ、150℃で1時間乾燥させて、蓄積性触媒毒吸着剤Cを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Cに含まれる硫酸アルミニウムの量は10質量%であった。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Cにおける、ヒ素化合物の蓄積量および脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
比較例1
実施例1と同じ方法で得られた平板を硫酸アルミニウム水溶液に浸漬せずに、そのまま、蓄積性触媒毒吸着剤Dとした。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Dにおける、ヒ素化合物の蓄積量を測定した。結果を表3に示す。
実施例1と同じ方法で得られた平板を硫酸アルミニウム水溶液に浸漬せずに、そのまま、蓄積性触媒毒吸着剤Dとした。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Dにおける、ヒ素化合物の蓄積量を測定した。結果を表3に示す。
比較例2
酸化チタン、ゼオライト、シリカゾル、シリカアルミナ系セラッミク繊維、及び水を混練して水分30%の混合ペーストを得た。
厚さ0.2mmのSUS430製鋼板をメタルラス加工して厚さ0.7mmのラス基板を用意した。
ラス基板の上に混合ペーストを置き、これらを2枚のフッ素樹脂製メッシュクロス(平織り、目開き1000μm、糸径400μm)間に挟み、1対の加圧ローラに通して、ラス基板の網目を埋めるように塗布して板状成型体を得た。これを乾燥し、450℃で2時間焼成して、蓄積性触媒毒吸着剤Eを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Eに含まれるゼオライトと酸化チタンとの重量比は7/100であった。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Eにおける、ヒ素化合物の蓄積量および脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
酸化チタン、ゼオライト、シリカゾル、シリカアルミナ系セラッミク繊維、及び水を混練して水分30%の混合ペーストを得た。
厚さ0.2mmのSUS430製鋼板をメタルラス加工して厚さ0.7mmのラス基板を用意した。
ラス基板の上に混合ペーストを置き、これらを2枚のフッ素樹脂製メッシュクロス(平織り、目開き1000μm、糸径400μm)間に挟み、1対の加圧ローラに通して、ラス基板の網目を埋めるように塗布して板状成型体を得た。これを乾燥し、450℃で2時間焼成して、蓄積性触媒毒吸着剤Eを製造した。蓄積性触媒毒吸着剤Eに含まれるゼオライトと酸化チタンとの重量比は7/100であった。
実施例1と同じ方法で、蓄積性触媒毒吸着剤Eにおける、ヒ素化合物の蓄積量および脱硝率を測定した。結果を表3に示す。
本発明に係る吸着剤は、ヒ素などの触媒毒成分の吸着能と、使用済み酸化チタン系脱硝触媒が元来有していた脱硝性能とを合わせ持つものであった。
実施例4
酸化チタン、三酸化モリブデン、メタバナジン酸アンモニウム、シリカゾル、シリカアルミナ系セラッミク繊維、及び水を混練して水分30%の触媒ペーストを得た。
厚さ0.2mmのSUS430製鋼板をメタルラス加工して厚さ0.7mmのラス基板を作製した。
ラス基板の上に触媒ペーストを置き、これらを2枚のフッ素樹脂製メッシュクロス(平織り、目開き1000μm、糸径400μm)間に挟み、1対の加圧ローラに通して、メタルラス基板の網目を埋めるように塗布して板状成型体を得た。これを乾燥し、450℃で2時間焼成して、脱硝触媒Fを製造した。脱硝触媒Fの成分と組成は、原子比でTi/Mo/V=93.5/5/1.5であった。
流通式反応管の前段に実施例1で製造された蓄積性触媒毒吸着剤Aの帯片(20mm幅×100mm長さ)3枚を充填し、後段に脱硝触媒Fの帯片(20mm幅×100mm長さ)3枚を充填した。反応管を350℃に維持して、表1に示す成分を含む石炭燃焼模擬排ガスを17m/hにて50時間反応管に供給した。脱硝触媒Fの脱硝率を測定した。
その後、脱硝触媒Fをメタルラス基板から剥がして、乾燥し、粉末状にして、蛍光X線分析装置によって、脱硝触媒Fに蓄積されたバルクの砒素量を定量した。結果を表4に示す。
酸化チタン、三酸化モリブデン、メタバナジン酸アンモニウム、シリカゾル、シリカアルミナ系セラッミク繊維、及び水を混練して水分30%の触媒ペーストを得た。
厚さ0.2mmのSUS430製鋼板をメタルラス加工して厚さ0.7mmのラス基板を作製した。
ラス基板の上に触媒ペーストを置き、これらを2枚のフッ素樹脂製メッシュクロス(平織り、目開き1000μm、糸径400μm)間に挟み、1対の加圧ローラに通して、メタルラス基板の網目を埋めるように塗布して板状成型体を得た。これを乾燥し、450℃で2時間焼成して、脱硝触媒Fを製造した。脱硝触媒Fの成分と組成は、原子比でTi/Mo/V=93.5/5/1.5であった。
流通式反応管の前段に実施例1で製造された蓄積性触媒毒吸着剤Aの帯片(20mm幅×100mm長さ)3枚を充填し、後段に脱硝触媒Fの帯片(20mm幅×100mm長さ)3枚を充填した。反応管を350℃に維持して、表1に示す成分を含む石炭燃焼模擬排ガスを17m/hにて50時間反応管に供給した。脱硝触媒Fの脱硝率を測定した。
その後、脱硝触媒Fをメタルラス基板から剥がして、乾燥し、粉末状にして、蛍光X線分析装置によって、脱硝触媒Fに蓄積されたバルクの砒素量を定量した。結果を表4に示す。
比較例3
蓄積性触媒毒吸着剤Aの帯片3枚を充填しなかった以外は実施例4と同じの方法で、脱硝触媒Fの脱硝率を測定した。また、実施例4と同じ方法で、脱硝触媒Fに蓄積されたバルクの砒素量を定量した。結果を表4に示す。
蓄積性触媒毒吸着剤Aの帯片3枚を充填しなかった以外は実施例4と同じの方法で、脱硝触媒Fの脱硝率を測定した。また、実施例4と同じ方法で、脱硝触媒Fに蓄積されたバルクの砒素量を定量した。結果を表4に示す。
上記の結果から、本発明の、蓄積性触媒毒吸着剤及びこれを用いた排ガス浄化方法は、ボイラの燃焼排ガス中に含まれるヒ素、リン、アルカリ金属、及びこれ等の化合物を効果的に吸着除去できること、従来、利用されなかった使用済みの酸化チタン系脱硝触媒を、蓄積性触媒毒吸着剤として活用できること、および接触還元に用いられる脱硝触媒をヒ素などの触媒毒から守り、長期に安定して使用することができることが判る。
本発明の蓄積性触媒毒吸着剤を用いることによって、脱硝装置の高性能化を図ることができる。
本発明の蓄積性触媒毒吸着剤を用いることによって、脱硝装置の高性能化を図ることができる。
Claims (6)
- 酸化チタン系脱硝触媒及び硫酸アルミニウムを含有する蓄積性触媒毒吸着剤。
- 酸化チタン系脱硝触媒に硫酸アルミニウムを担持して成る蓄積性触媒毒吸着剤。
- 酸化チタン系脱硝触媒が、排ガスの浄化に使用済みの酸化チタン系脱硝触媒である、請求項1又は2に記載の蓄積性触媒毒吸着剤。
- 排ガスの浄化に使用済みの脱硝触媒に、硫酸アルミニウム溶液を含浸させて、乾燥させることを含む蓄積性触媒毒吸着剤の製造方法。
- 排ガス中に含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を請求項1〜3のいずれかひとつに記載の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着することを含む触媒毒の除去方法。
- 排ガス中に含まれるヒ素、リン、およびアルカリ金属からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む化合物を請求項1〜3のいずれかひとつに記載の蓄積性触媒毒吸着剤で吸着し、
次いで、前記排ガス中に含まれる窒素酸化物をアンモニア若しくは尿素で接触還元することを含む排ガスの浄化方法。
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