JP2014095461A - ホース用継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホース端部に挿入される接続部を有するニップルと接続部との間でホース端部を挟み込んで固定するスリーブ40とを具え、スリーブ40は、スリーブ40の軸線方向の一端側に径方向内側に突出する内向きフランジ部41を有し、接続部の周囲には内向きフランジ部41の少なくとも一部が入り込む凹部25が設けられ、かつ、凹部25より軸線方向の他端側で、凹部25とホース端部の先端面との間の、凹部25に隣接する位置に凹部25より外周側に突き出る凸部26が設けられたホース用継手であって、ニップルの少なくとも接続部は強化剤を含む強化樹脂からなり、ニップルの中心軸線Aから、内向きフランジ部41の先端までの距離D1と、凹部26の底部28までの距離D2と、凸部26の頂点までの距離D3とが、D2≦D1<D3。
【選択図】図3
Description
この一方で、金属製のホース用継手は、各構成部品の重量が大きいことに起因して、輸送時に車両が排出するCO2量が増大することの他、特に水栓配管等として使用されるホース用の継手を構成するニップルが銅合金製である場合、ニップル内を通過する水に、銅合金に含まれる鉛やカドミウムが流出するおそれがあることから、環境や健康への影響が懸念されている。
本発明のホース用継手は、ホースの端部に挿入される接続部を有するニップルと、該接続部が挿入された該ホース端部の外周側に嵌め合わされて、前記接続部との間で前記ホース端部を挟み込んで固定する筒状のスリーブとを具え、前記スリーブは、該スリーブの軸線方向の一端側に、径方向内側に突出する内向きフランジ部を有し、前記接続部の周囲には、前記内向きフランジ部の少なくとも一部が入り込む凹部が設けられ、かつ、該凹部より前記軸線方向の他端側で、該凹部と前記接続部が挿入された前記ホース端部の先端面との間の、該凹部に隣接する位置に、該凹部より外周側に突き出る凸部が設けられたものであって、前記ニップルの少なくとも前記接続部は、強化剤を含む強化樹脂からなり、前記ニップルの中心軸線Aから前記内向きフランジ部の先端までの距離D1と、前記ニップルの前記中心軸線Aから前記凹部の底部までの距離D2と、前記ニップルの前記中心軸線Aから前記凸部の頂点までの距離D3とが、
D2≦D1<D3
の関係を満たすことを特徴とする。
本発明のホース用継手によれば、ニップルの少なくとも接続部を、樹脂材料のなかでも強化樹脂からなるものとし、距離D1〜D3が上記関係を満たすものとしたので、ホース用継手の軽量化および低コストを実現しつつ、加締め固定に耐え得る強度を確保することができ、またスリーブの内向きフランジ部による接続部のひび割れを防止することができる。
図1および2に示すホース用継手10は、例えば、水またはお湯を流すための水栓配管用のゴムまたは樹脂製のホース1を他の機器に接続するために用いられることのあるものであって、ホース1の端部2に挿入される部分を有するニップル20と、ニップル20の一部が挿入されたホース端部2の外周側に嵌め合わされて、ニップル20との間でホース端部2を挟み込んで固定する筒状のスリーブ40とを具える。このスリーブ40は、それの軸線方向の一端側(図1では左側)に、径方向内側に突出する内向きフランジ部41が形成されている。
したがって、このホース用継手10では、ニップル20の少なくとも接続部22を、樹脂材料の中でも強化樹脂からなるものとするので、樹脂製の接続部22の強度を高めることができる。
さらに、このホース用継手10では、ホース端部2がニップル20の軸線方向の他端側(図1では右側)に引っ張られた場合、ホース端部2の外周側を取り囲んで固定するスリーブ40の内向きフランジ部41が、ニップル20の凸部26に当接するので、加締め固定されたホース端部2がニップル20から容易に抜け出すことがない。
したがって、ニップル20の中心軸線Aからスリーブ40の内向きフランジ部41の先端44までの距離D1は、内向きフランジ部41を形成した後の図示の状態における、ニップル20の中心軸線Aから内向きフランジ部41の先端44までの距離を意味するものであり、さらに、距離D1〜D3のD2≦D1<D3の関係は、スリーブ40をニップル20に嵌め合わせて、ホース用継手10を加締め固定した後、例えば、ホース用継手10の使用の際において、満たされるものとする。
なお、中間部43は、例えば、図4(a)に例示するように、加締め部42から内向きフランジ部41に向かって、加締め部42の大径部分46とほぼ同じ径で加締め部42から延び、そして内向きフランジ部41へ湾曲する曲面で滑らかに繋いで形成されることや、図4(b)に例示するように、加締め部42から内向きフランジ部41に向かって、中間部43の内周面とニップル20の凸部26の頂点29とが離間した状態で、加締め部43の大径部分46より小さい径で加締め部42から延び、そして内向きフランジ部41へ繋いで形成されることもある。
なお、本発明のホース用継手10は、ニップル20の接続部22とスリーブ40との間でのホース端部2の挟込み固定が、加締め固定以外に、バンド締め固定も採用することができる。
表1に示す諸元で、ガラス繊維を強化剤として含有する強化樹脂のニップルと、金属(ステンレス製)のスリーブとを有するホース用継手を試作し、ガラス繊維の含有率に依存する性質を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
また、各ホース用継手と共に用いたホースは、表1の評価の条件に対し十分な耐久性を有するホース、すなわち内管がポリブテンと熱可塑性エラストマーとの2層からなり、補強層がPETとステンレスワイヤとからなり、及び外被がPP製からなるホースである。
なお、実施例1〜6、比較例1〜3のそれぞれのホース用継手において、ニップルの中心軸線Aから内向きフランジ部の先端までの距離D1は8.9mm、凹部の底部までの距離D2は8.4mm、凸部の頂点までの距離D3は10.5mmである。
実施例1〜6、および比較例1〜3のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、ホース用継手を72日間90℃で加熱した。そして、ホース用継手を空気で加圧し、空気が漏洩したか否かを確認して官能評価した。結果が○であれば、加熱に対して寸法安定性があることを指す。
〈耐引張り性〉
実施例1〜6、および比較例1〜3のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、ホースが継手から抜ける方向に1000Nの負荷を加えた状態で5分間保持し、継手割れがないか確認して官能評価した。
〈耐衝撃性〉
実施例1〜6、および比較例1〜3のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、ホースを曲率半径25mm以下に屈曲させ、U字状にした状態で試験機に取り付け、次いで、ホース用継手およびホースに水を封入し、雰囲気温度(ホース用継手、ホースおよび水)を90℃にした。そして、ホース用継手およびホースに対し、水により衝撃圧を加え(ゲージ圧力を0MPaから3.45MPaに、そして0MPaへ変化させる衝撃を1サイクルとして、そのサイクルを毎分30サイクルの頻度で、総サイクル数20万回行う)、継手割れがないか確認して官能評価した。
〈生産性〉
実施例1〜6、および比較例1〜3のそれぞれのホース用継手のニップルの、一日当たりの良品生産数、およびニップル(特に接続部)の寸法安定性に基づいて生産性を評価した。
表2に示す諸元で、強化剤としてガラス繊維を40重量%含有するポリフェニレンスルフィド(PPS)の強化樹脂製のニップルと、金属(ステンレス製)のスリーブとを有するホース用継手を試作した。また、各ホース用継手と共に用いたホースは、実施例1〜6と同様である。
なお、表2に示す各距離D1、D2、D3は、ニップルの中心軸線Aから10.5mmとなる距離を100として、指数で表した。例えば、実施例7の各距離D1、D2、D3の実測値(括弧内に指数を記載)は、ニップルの中心軸線Aから内向きフランジ部の先端までの距離D1が8.9mm(85)、凹部の底部までの距離D2が8.4mm(80)、凸部の頂点までの距離D3が10.5mm(100)である。
(比較例4〜7)
ニップルの材料を金属(黄銅)とし、各距離D1、D2、D3を表2に示す値としたことを除いて、実施例7〜8と同様の構成を有するホース用継手を試作した。なお、比較例7は、スリーブの内向きフランジ部がニップルの凹部に押し当てられるように内向きフランジ部の寸法を選択したものである。
(比較例8〜9)
各距離D1、D2、D3を表2に示す値としたことを除いて、実施例7〜8と同様の構成を有するホース用継手を試作した。
これら実施例7〜8および比較例4〜9のそれぞれのホース用継手を、下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
実施例7〜8、および比較例4〜9のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、各ホース用継手を分解しニップルの凹部の外観を調査した。割れ等の損傷が存在すれば、ニップルの強度低下の原因になる。
〈引抜強度〉
実施例7〜8、および比較例4〜9のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、ホース用継手からホースを引き抜くために要する力を評価した。そして、比較例5のホース用継手についての引抜強度を100として、指数評価した。
〈繰返し加圧試験〉
実施例7〜8、および比較例4〜9のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、3.5MPa、90℃の条件でホース用継手を繰返し加圧し、ホースが抜けるまでの加圧回数を計測した。ホースが抜けるまでの加圧回数が多いほど、繰返し加圧に対して耐久性があることを指す。
〈クリープ試験〉
実施例7〜8、および比較例4〜9のそれぞれのホース用継手を用いてホースを加締め固定した後、3.5MPa、90℃の条件でホース用継手を加圧し、ホースが抜けるまでの時間を評価した。ホースが抜けるまでの時間が長いほど、耐クリープ性があることを指す。
2 端部(ホース端部)
10 ホース用継手
20 ニップル
21 内部
22 接続部
23 アダプター部
24 胴部
25 凹部
26 凸部
27 接触域
28 凹部底部(底面)
29 頂点
30 段差
31 凸部壁面
32 胴部壁面
33 (アダプター部の)先端部分
34 環状溝
35 ストッパー部
36 挟込み固定部
40 スリーブ
41 内向きフランジ部
42 加締め部
43 (スリーブ)中間部
44 (内向きフランジ部の)先端
45 (加締め部の)小径部分
46 (加締め部の)大径部分
A 中心軸線
D1 ニップルの中心軸線から内向きフランジ部の先端までの距離
D2 ニップルの中心軸線から凹部の底部までの距離
D3 ニップルの中心軸線から凸部の頂点までの距離
D4 ニップルの中心軸線からスリーブの中間部の内側までの距離
P (ホース端部の)先端面
Claims (7)
- ホースの端部に挿入される接続部を有するニップルと、該接続部が挿入された該ホース端部の外周側に嵌め合わされて、前記接続部との間で前記ホース端部を挟み込んで固定する筒状のスリーブとを具え、
前記スリーブは、該スリーブの軸線方向の一端側に、径方向内側に突出する内向きフランジ部を有し、
前記接続部の周囲には、前記内向きフランジ部の少なくとも一部が入り込む凹部が設けられ、かつ、該凹部より前記軸線方向の他端側で、該凹部と前記接続部が挿入された前記ホース端部の先端面との間の、該凹部に隣接する位置に、該凹部より外周側に突き出る凸部が設けられたホース用継手であって、
前記ニップルの少なくとも前記接続部は、強化剤を含む強化樹脂からなり、
前記ニップルの中心軸線Aから前記内向きフランジ部の先端までの距離D1と、前記ニップルの前記中心軸線Aから前記凹部の底部までの距離D2と、前記ニップルの前記中心軸線Aから前記凸部の頂点までの距離D3とが、
D2≦D1<D3
の関係を満たすホース用継手。 - 前記強化剤がガラス繊維である、請求項1に記載のホース用継手。
- 前記ガラス繊維の含有率が、前記ニップルの、前記強化樹脂からなる部分の全重量に対して20〜50重量%である、請求項2に記載のホース用継手。
- 前記強化樹脂が、ポリフェニレンスルフィドまたはポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のホース用継手。
- 前記ニップルの前記接続部と前記スリーブとの間での前記ホース端部の挟込み固定が、加締め固定である、請求項1〜4のいずれかに記載のホース用継手。
- 前記スリーブと前記ニップルとの間への前記ホース端部の加締め固定により、前記スリーブが、部分的に縮径変形して塑性変形した小径部分と、該小径部分より径の大きな大径部分とを有し、
前記ニップルが、前記接続部の、前記凸部より前記軸線方向の他端側の前記ホース端部との接触域に、前記スリーブの前記小径部分の径方向内側に位置して、前記小径部分との間で前記ホース端部を挟み込んで固定する挟込み固定部を有し、
前記ホース端部との前記接触域のうち、少なくとも前記挟込み固定部の厚さが、0.5〜3.0mmである、請求項5に記載のホース用継手。 - 前記ホース用継手が、給水用ホースまたは給湯用ホースに用いるホース用継手である、請求項1〜6のいずれかに記載のホース用継手。
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