JP2014095055A - 発光装置と、それに用いるβサイアロン蛍光体 - Google Patents

発光装置と、それに用いるβサイアロン蛍光体 Download PDF

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Abstract

【課題】LED用に適し、輝度の明るいβ型サイアロン蛍光体と、それを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】青または紫の波長域の光を放出する半導体発光素子と、蛍光体とを備え、該半導体発光素子が放出する光を該蛍光体で波長変換する光を発生させる、蛍光体変換型の発光装置において、該蛍光体として、少なくとも体積中央粒径d50とFSSS粒度の比(d50/FSSS)が、1.7以上4.0以下であるβサイアロンを用いた発光装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、青又は紫を励起源とする白色発光装置にと、それに用いられるβ窒化珪素型構造を有する蛍光体にかかわり、より詳しくは、粉体の輝度ではなく、LEDとして使用する場合の発光効率を向上させることができるβサイアロン蛍光体とそれを用いた発光装置に係る。
温度上昇に伴う輝度低下が小さく、耐久性に優れた蛍光体として、最近、結晶構造が安定である窒化物や酸窒化物の蛍光体が注目されている。
窒化物、酸窒化物蛍光体として、窒化ケイ素の固溶体であるサイアロンが代表的である。窒化ケイ素と同様にサイアロンには、α型、β型の二種類の結晶系が存在する。特定の希土類元素を付活させたβ型サイアロンは、有用な蛍光特性を有することが知られており、白色LED等への適用が検討されている。
特許文献1によれば、特定範囲の電子スピン密度を有し、一般式Si6−xAl8−x(zは0〜4.2)で示され、Euを含有するβ型サイアロンを主成分とする蛍光体は、紫外光から可視光の幅広い波長域で励起され、520nm以上550nm以下の範囲内に主波長を有する緑色光を高効率で発光するため、緑色の蛍光体として優れていることが開示されている。また、この蛍光体を、単独もしくは他の蛍光体と組み合わせて種々の発光素子、特に紫外LEDや青色LEDを光源とする白色LEDに好適に使用できることも開示されている。
また、特許文献1には、Euを含有するβ型サイアロンを生成させる第一の工程と、得られたEuを含有するβ型サイアロンを窒素雰囲気中、真空中、または窒素以外のガスを主成分とする不活性雰囲気中でそれぞれの最適温度及び時間で熱処理し、場合によってはさらに酸処理を行うことにより結晶欠陥密度を低減する第二の工程とを有する製造方法が開示されている。この第二の工程での効果は、結晶欠陥濃度が高く、不安定な窒化物又は酸窒化物相を分解させる等して、不対電子存在数を減少させ、発光効率を向上させることであると記載されている。また特許文献2には、αサイアロン蛍光体のD50とBET値から求めた粒径の比が、3より小さい、つまり分散度合いが高い蛍光体が発光強度が高いとする発明が記載されている。そして、特許文献3には、βサイアロン蛍光体においてD50とBET値から求めた粒径の比が、1.9未満になる蛍光体が開示されている。
WO2008/062781国際公開パンフレット 特開2012−036408号公報 特開2012−056804号公報
しかしながら、特許文献1に記載のβ型サイアロン蛍光体は実用面において、さらなる輝度向上が求められていた。
そこで本発明者らは、鋭意検討の結果、β型サイアロン蛍光体自体の改良も重要であるが、実際に用いられるのは、主にLED用途であること、その場合、樹脂中に混合されて
使用されることに着目し、蛍光体自身の輝度を向上させるという観点だけではなく、LEDからの励起光を如何にうまく使ってLEDなり光変換部材なりから取り出される際にもっと効率よくあるためには、どのような特性が必要であるかを考え、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、次の(1)〜(4)に存する。
(1)青または紫の波長域の光を放出する半導体発光素子と、蛍光体とを備え、該半導体発光素子が放出する光を該蛍光体で波長変換する光を発生させる、蛍光体変換型の発光装置において、該蛍光体として、少なくとも体積中央粒径d50とFSSS粒度の比(d5
0/FSSS)が、1.7以上4.0以下であるβサイアロン蛍光体を用いた発光装置。
(2)該発光装置が、βサイアロン蛍光体と、βサイアロン蛍光体より、発光ピーク波長が長波長である蛍光体を用いた(1)記載の発光装置。
(3)該βサイアロン蛍光体のFSSS粒度が3以上、50以下であり、d50が5μm以上、70μm以下である請求項(1)又は(2)に記載の発光装置。
(4)該βサイアロン蛍光体より、発光ピーク波長が長波長である蛍光体が、M2Si58:Eu(Mはアルカリ土類金属元素)(258)蛍光体、(Ca,Sr)AlSi47
:Eu(1147蛍光体)、CaAlSiN3:Eu(CASN蛍光体)からなる群より
選ばれる少なくとも1種を含む(1)乃至(3)記載の発光装置。
(5)該βサイアロン蛍光体より、発光ピーク波長が長波長である蛍光体が、Caの少なくとも一部をSrで置換した(Sr,Ca)AlSiN3:Euである(1)乃至(4)
に記載の発光装置。
(6)該発光装置が白色を発光する(1)乃至(5)の発光装置。
(7)該βサイアロン蛍光体が、下記一般式で表されるものである。(1)乃至(6)に記載のβサイアロン蛍光体の製造方法。
Si6−xAl8−x:Eu [1]
(式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
(8)少なくとも体積中央粒径d50とFSSS粒度の比(d50/FSSS)が、1.7
以上4.0以下であり、FSSS粒度が3以上、50以下であり、d50が5μm以上、70μm以下であるβサイアロン蛍光体。
本発明の蛍光体は、粉体としての輝度には大差ないが、発光装置として用いられると、従来のβ型サイアロン蛍光体を用いた発光装置よりも、発光効率を高く出来る。よって、本発明のβサイアロンを用いることにより、高い発光効率を有する発光装置を実現できる。
図1は、本発明の実施例と比較例で得たd50/FSSSと、発光装置の発光効率に非常によい相関があることを説明する図である。 図2は、本発明の実施例と比較例で得た蛍光体の相対効率と、白色LEDとしての相対効率が単純に比例しないことを説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の技術的特徴は、使用するβサイアロン蛍光体の体積中央粒径d50と、FSSS粒度(フィッシャーサブシーブサイザーの測定値、通常No.といわれるが、ここでは判
りやすいように粒度と読み替えた)の数値としての比d50/FSSSが、1.7以上、
4.0以下であることである。この時のd50の値は、ミクロンで表される数値である。
この範囲のβサイアロン蛍光体を用いると、なぜ発光装置として明るくなるのかについては、以下のような理由が考えられる。
まず、体積中央粒径d50は、レーザー粒度計にて測定され、見かけ上の投影面積より換算された粒径、すなわちある程度の凝集を含む2次粒子径を示している。一方FSSS粒径は、一定体積の蛍光体が詰まった円筒の中をガスが流通する際の抵抗を利用して、表面積から求められた粒度に相当する値であり、一般に1次粒子径を表していると考えられる。そしてこのd50/FSSSは、1次粒子径と2次粒子径の比であるため、蛍光体の
凝集度合いを表していると考えられる。
このときBET値のような、表面のガス吸着量を測定するような方法で求めた表面積からの見かけ粒径より、ガスの流通の抵抗から測定したFSSS値を選ぶ理由は、媒体中での運動性を考慮した本発明の思想に対しては、ガス吸着量を測定するBET値より、ガスの流通抵抗を測定して表面積を求めるFSSS値の方が、より実情にあったものになるためである。
また、過去の文献においては、蛍光体がなるべく分散する方向、つまりレーザー粒度等の凝集した状態での粒度を、BET値から求めた粒度のように、表面積から求めた粒度が、小さい方が良いことを示唆しているが、本発明は、逆にある程度凝集していることが好ましいこと、そして蛍光体表面の微細な凹凸に影響を受けやすいBET値から求めた値ではなく、上述の通りカ゛スの流通抵抗から求めたFSSSを使用することにより、発光装置にした場合の相対効率が向上することに着目したものである。
この蛍光体の凝集度合いは、蛍光体が分散させられる媒体中での挙動に影響を与える、例えば比較的抵抗の少ない媒質中での沈降を考えると、凝集している方が早く沈降する。しかしながら、媒質が樹脂のような粘度の高いものである(こと、そしてβサイアロンのように、本来の結晶の形が六角円柱状であり、比較的球状から外れた形になりやすい蛍光体の場合には、むしろ凝集の大きい方が、沈降が遅くなるという現象を生じる。
この結果、常識とは逆に、凝集して重い粒子の方が沈降が遅くなるという現象を生じる。
その結果として、単色で使用する場合には,LED上に短時間で沈降して、励起光源の近くに蛍光体が集中して、励起光から遠い蛍光体が発光をさえぎってしまうことを防止することが出来る。
また、他の色の蛍光体と混合して使用する場合(青又は紫の励起光と、βサイアロンの緑発光では白色を作ることが難しいため、黄色から赤の蛍光体を混合して使用することが一般的である。)には、自分より長波長に発光する蛍光体に、βサイアロンの緑の発光が吸収され、カスケード発光することにより、エネルギーを無駄にすることを減らすことが出来、結果として明るくなると考えられる。そしてそのような効果が得られる範囲として下限として1.7以上であり、より好ましくは2.0以上である。一方大きすぎると、発光装置の中で、蛍光体の多い部分と少ない部分が生じてしまいやすく、少ない部分では励起光などが無駄になるため、上限は4.0以下、より好ましくは3.6以下にすることが好ましい。
尚、FSSS粒径は、1次粒子径を表しているので、焼成時の原料の粒径を変更したり
、あるいはフラックスを使用することなどにより、調整することが出来る。また、分散工程でも小さくすることができ、この場合d50よりFSSSの粒径の変化の方が小さいので、両者の比を調整することができる。
FSSS粒径の範囲としては、あまり小さくても結晶性が低くなりやすく、またあまり大きいと、上述の蛍光体の多い部分と少ない部分を生じやすくなるため、下限値といては3以上、より好ましくは5以上であり、最も好ましくは7以上である。一方、上限値としては50以下、より好ましくは40以下、最も好ましくは35以下である。
一方のd50に関しては、これは2次粒子径であり、蛍光体は焼成後、必ず凝集しているので、これを分散させるための分散工程の分散強度や時間を変更することにより、自由に変更することが出来る。d50の好ましい範囲としては、5μm以上であり、好ましくは8μm以上、最も好ましくは10μm以上である。又上限値としては、通常70μm以下、好ましくは50μm以下、最も好ましくは、40μm以下である。
特に好ましくは、FSSS粒径が殆ど低下しない、弱い分散により、d50を大きく変化させ、本発明の範囲内になるd50/FSSS比にすることである。
また、分散前にd50/FSSSの値が、本発明の下限値を下回っている場合には、焼成時より低い温度に再加熱することにより凝集させたり、あるいは焼成前の原料の粒径を変える事により、凝集度合いを上げることができる。
〔本発明の発光装置〕
本発明の発光装置は、その発光の励起源として、青または紫の波長域の光を放出する半導体発光素子を用いる。このような半導体発光素子は、公知の発光素子を用いればよい。本発明の発光装置では、励起源からの光を受け、それを別の波長の光に変換する波長変換部材が用いられており、これは、通常蛍光体が分散した樹脂が用いられる。用いられる樹脂は、公知のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が使用でき、この樹脂中に蛍光体を分散させる。
変換後の光と、波長変換前の光が交じり合うことにより、本発明の発光装置は、目的とする任意の光を発光することが出来る。そして発光する光として特に好ましくは白色光でありその白色光の色は、その用途等に応じて任意に設定することができる。通常白色は、JIS Z8110の色区分に規定する白色のことを指す。また、白色光の色は、色彩輝
度計、放射輝度計などで測定することができる。
さらに、CIE色度図との関係で言えば、白色光の色は、CIE色度図において、色度座標(x,y)が(0.33,0.33)の通常の白色光はもとより、例えば、色座標(x,y)が(0.28,0.25)、(0.25,0.28)、(0.34,0.40)及び(0.40,0.34)で囲まれた領域内となる色にして用いてもよい。
分散させる蛍光体は、後で詳述する特定の特性を有するβサイアロン蛍光体を必須とし、これに必要に応じ、白色などを得るための黄色から赤色の蛍光体を添加するとよい。このとき使用される蛍光体としては、βサイアロン蛍光体に比べて、ピーク波長が長波長側にある蛍光体が好ましく、具体的には、いわゆるYAG蛍光体や、La3Si611:Ce(LSN蛍光体)、M2Si58:Eu(Mはアルカリ土類金属元素)(258)蛍光体
、(Ca,Sr)AlSi47:Eu(1147蛍光体)、CaAlSiN3:Eu(C
ASN蛍光体)などが好ましく使用でき、特に好ましくはCASN蛍光体のCaを、一部Srで置換した(Ca,Sr)AlSiN3:Eu蛍光体、酸素を添加して発光波長を短
波長にしたCaAlSi(O,N)3:Eu蛍光体、それにMとしてCaを蛍光体に対し
、0.04から0.08モル含有するM2Si58:Eu(258)蛍光体である。CA
SN蛍光体は、その一部元素が置換したものも含め、その粒子形状が比較的球に近いため、本発明の効果が顕著に現れやすく、好ましい。Caを含む258蛍光体も、粒子形状が球に近くなるため好ましい。この粒子形状が球に近い258蛍光体は、例えばWO2012/073117A1パンフレットに詳しい。もちろんこれら蛍光体には、さらに波長調
整のため、少量の添加物質を加えてもよいし、フラックス等から微量のハロゲン等が混入していても問題なく使用される。
また、もちろん演色性を向上させるなどの目的のため、βサイアロン蛍光体よりピーク波長が短い蛍光体を併用してもよい。
[蛍光体の製造方法]
本発明の製造方法においては、原料、焼成条件、洗浄、分級など、これまで公知のβサイアロン蛍光体の製造方法を使用すればよい。βサイアロンの一般式は、下記一般式で表されるものである。
Si6−xAl8−x:Eu [1]
(式中、x及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
本発明の特徴は、前述のとおり、焼成工程でFSSSを、分散工程でd50を調整し、所望のd50/FSSS比にするとよい。しかしながら、水篩などの方法を用いて、所望の比を持つ蛍光体を選び出すこともできる。
(蛍光体原料)
本発明の蛍光体の製造方法において使用される蛍光体原料としては、公知のものを用いることができ、例えば、窒化ケイ素(Si)と窒化アルミニウム(AlN)と酸化ケイ素(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)と、更にはEuの金属、酸化物、炭酸塩、塩化物、フッ化物、窒化物又は酸窒化物などのEu含有化合物を用いることができる。また、βサイアロン自体を原料としてもよいことは言うまでもない。
(混合工程)
本発明の製造方法においては、通常、目的組成が得られるように蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて充分に混合し、蛍光体原料混合物を得る(混合工程)。
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)の手法が挙げられる。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の蛍光体原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、上記湿式混合法又は乾式混合法のいずれでもよいが、水分による蛍光体原料の汚染を避けるために、乾式混合法や非水溶性溶媒を使った湿式混合法がより好ましい。
(焼成工程)
焼成温度については、所望する蛍光体の組成により異なるので、一概に規定できないが、一般的には1800℃以上2200℃以下の温度範囲で、安定して蛍光体が得られる。好ましい焼成温度としては、1820℃以上が好ましく、1900℃以上が特に好ましく、また、2150℃以下が好ましく、2100℃以下が特に好ましい。
焼成工程における焼成雰囲気は、本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常は、窒素含有雰囲気である。具体的には、窒素雰囲気、水素含有窒素雰囲気が挙げられ、中でも窒素雰囲気が好ましい。
なお、焼成雰囲気の酸素含有量は、通常10ppm以下、好ましくは5ppm以下にするとよい。
また、昇温速度は、通常2℃/分以上、好ましくは3℃/分以上、また、通常20℃/分以下、好ましくは15℃/分以下である。昇温速度がこの範囲を下回ると、焼成時間が長くなる可能性がある。また、昇温速度がこの範囲を上回ると、焼成装置、容器等が破損する場合がある。
焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは1時間以上、また、通常48時間以下、好ましくは36時間以下、特に好ましくは24時間以下である。
焼成時の圧力は、焼成温度等によっても異なるが、通常0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上であり、また、上限としては、通常2MPa以下、好ましくは1.5MPa以下である。このうち、工業的には0.6MPa〜1.2MPa程度がコスト及び手間の点で簡便であり好ましい。
得られる焼成物は、粒状又は塊状となる。これを解砕、粉砕及び/又は分級操作を組み合わせて所定のサイズの粉末にする。
(熱処理工程)
焼成工程で得られた蛍光体を、さらに焼成温度より低い温度で熱処理することが好ましい(熱処理工程)。酸窒化物の不純物相、あるいは不安定な酸窒化物相を熱分解させるためである。
適切な熱処理温度は、雰囲気等によっても異なるが、1200℃以上1550℃以下の温度範囲が好ましい。1200℃以上で不純物相の分解が進行する傾向にあり、1550℃以下でβ型サイアロンの急激な分解が抑制できる。
熱処理の雰囲気としては、窒素雰囲気、水素含有窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、水素含有アルゴン雰囲気、真空雰囲気等が挙げられ、アルゴン雰囲気が好ましい。
熱処理時の圧力は、熱処理温度等によっても異なるが、通常0.05MPa以上、好ましくは0.09MPa以上であり、また、上限としては、通常1MPa以下、好ましくは0.5MPa以下である。このうち、工業的には0.09MPa〜0.3MPa程度がコスト及び手間の点で簡便であり好ましい。
熱処理時間は、熱処理時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは1時間以上、また、通常48時間以下、好ましくは24時間以下である。
(尚、焼成工程と熱処理工程とは、本発明の製造方法の場合、焼成物を所定の粒度まで調整した後に、熱処理を行った方が効果的である。これは、賦活剤量の少ない1回目焼成後
に粒度調整を行った場合でも、2回目焼成時に賦活剤元素によるフラックス効果が想定したよりも強く、目標粒径とずれが生じた場合には再度の粉砕等が必要になることがあり、このような場合には、焼成時に形成させる結晶欠陥だけではなく、粒径調整に要する解砕や粉砕時に形成させる結晶欠陥も取り除くことができるからである。)
(洗浄工程)
一般的に、β型サイアロン蛍光体は、焼成工程や熱処理工程において、熱分解により蛍光体表面にSi金属が生成する傾向にある。蛍光体の特性向上のためには、このSi金属をできる限り除去する必要がある。本発明においては、不純物を除去することができれば洗浄方法に特に制限はない。例えば、フッ化水素酸と硝酸とを用いて洗浄することができるが、安全性、環境負荷等を考慮する場合は、(i)20℃において固体であり、かつ、20℃における溶解度が0.01g/水100ml以上、400g/水100ml以下で
あるフッ化物の水溶液Aと、(ii)硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液Bとを用いて洗浄するとよい。
即ち、洗浄工程に用いる混酸の成分として、従来、フッ化水素酸と硝酸が使用されていたが、急性毒性物質であるフッ化水素酸の使用量を減らすため、例えば、フッ化ナトリウム(融点が993℃の安定な固体である。)の水溶液と硝酸とを用いることが好ましい。これにより、前記Si金属を含む不純物を安全に、かつ、効率よく除去することができ、さらに、洗浄工程における歩留まりも向上させることができるので産業的利便性が向上する。水溶液Aは、フッ化水素酸に比べ、人体に対して安全であり環境に対する負担が小さく、保管・運搬などの作業工程においても取扱が容易である。
前記水溶液Aに用いられるフッ化物の20℃における溶解度は、通常0.01g/水100ml以上、好ましくは0.1g/水100ml以上であり、より好ましくは0.5g/水100ml以上であり、また、通常400g/水100ml以下、好ましくは100g/水100ml以下である。常温で固体であるがゆえに、取り扱い性、作業性が良好であり、安全に製造作業を行うことができる。また、このようなフッ化物を含む水溶液Aは、Si、SiOなどの不純物について腐食性を示すので、単独でもこれらの化合物を除去することができるが、Si、SiOなどの不純物が、酸窒化物の不純物相で皮膜されている場合には、前記の水溶液A単独では除去することが難しい傾向にあるため、硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液Bを併用することで、酸窒化物の不純物相を除去し、Si、SiOなどの不純物も効率よく除去することができる。
上記フッ化物を具体的に例示すれば、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、NHF、NaHF、KHF、RbHF、NH、AlF、ZnF・4HO、ZrF、NaTiF、KTiF、(NHTiF、NaSiF、KSiF、ZnSiF・6HO、MgSiF・6HO、NaZrF、KZrF、(NHZrF、KBF、NHBF、Mg(BF)2・6HO、KPF、KAlF、NaAlF、SrF等が挙げられる。例示した中でも、溶解度が適度高く、潮解性が低いことから、NaFが好ましい。
また、前記水溶液Bとして用いることができる酸としては、フッ化水素酸以外の無機酸であり、具体的には、硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、およびリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、これらの酸を「水溶液Bの無機酸」と称する。)である。中でも、酸化力が高いことから、硝酸が好ましい。
水溶液Bの無機酸の濃度としては、水溶液Aと水溶液Bとの合計量に対し、合計で通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、通常70重量%以下である。水溶液Aと水溶液Bとの合計量に対する、水溶液Bの無機酸の濃度が前記範囲となれば、水溶液Bにおける水溶液Bの無機酸の濃度に特に制限はなく、例えば、希硝酸でも濃硝酸でも用いることができる。
水溶液Aと水溶液Bとの組み合わせとしては、NaFと硝酸との組み合わせが好ましい。これらの混合水溶液による溶解処理は、速やかにSiを除去して蛍光体の特性を向上することができるとともに、環境負担を減らしながら、作業性、産業的利便性が向上させることができることから好ましい。
本発明の洗浄工程においては、焼成工程で得られた蛍光体を、水溶液Aと水溶液Bとの混合液に浸漬することにより行われる。この際、水溶液Aと水溶液Bとを合わせることができればその混合方法に特に制限はなく、水溶液Aに水溶液Bを加えても、水溶液Bに水溶液Aを加えてもよい。
ここで、浸漬している間、静置することにしても構わないが、作業効率の観点から、洗浄時間を短縮することができる程度に攪拌することが好ましい。また、通常、室温で作業を行うが、必要に応じて水溶液を加熱してもよい。
蛍光体を、水溶液Aと水溶液Bとの混合液に浸漬する時間は、攪拌条件等によっても異なるが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
洗浄工程において、水溶液Aと水溶液Bとの混合液に蛍光体を浸漬する作業を行った後、一般的な水洗、ろ過を行うことが好ましい。水洗における洗浄媒としては、通常、室温(25℃程度)の水を用いるが、必要に応じて加熱してもよい。
上述した蛍光体の水洗は、洗浄後の蛍光体について、次のような水分散試験を行い、その時の上澄み液の電気伝導度が所定の値以下となるまで行うことが好ましい。 即ち、洗
浄後の蛍光体を、必要に応じて乾式ボールミル等で解砕ないし粉砕し、篩又は水簸により分級を行って所望の重量メジアン径に整粒する。その後、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させる。このときの上澄み液の電気伝導度を測定し、その電気伝導度が通常100μS/cm以下、好ましくは50μS/cm以下、最も好ましくは10μS/cm以下となるまで、必要に応じて上述の洗浄操作を繰り返す。
この蛍光体の水分散試験に用いられる水としては、特に制限はないが、洗浄媒の水と同様に脱塩水又は蒸留水が好ましく、特に電気伝導度は、通常0.01μS/cm以上、好ましくは0.1μS/m以上、また、通常10μS/cm以下、好ましくは1μS/cm以下である。また、上記蛍光体の水分散試験に用いられる水の温度は、通常、室温(25℃程度)である。
このような洗浄を行うことにより得られる蛍光体は、これを重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気伝導度が通常10μS/cm以下である。
なお、上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度の測定は、例えば株式会社堀場製作所製、電気伝導度計「ES−12」等を用いて行うことができる。
また、上記洗浄工程後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供する。また、さらに、必要に応じて、凝集をほぐすために分散・分級処理を行ってもよい。
このとき、FSSS(フィッシャー粒度)は、フィッシャーサブシーブサイザーを用いて測定すればよく、またd50はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を使用して、重量基準粒度分布曲線を得たあと、積算値が50%のときの粒径値として算出した
[蛍光体の用途]
本発明により得られる蛍光体は、蛍光体を使用する任意の用途に用いることができる。
また、本発明により得られる蛍光体は、本発明により得られる蛍光体を単独で使用することも可能であるが、本発明により得られる蛍光体を2種以上併用したり、本発明により得られる蛍光体とその他の蛍光体とを併用したりした、任意の組み合わせの蛍光体混合物として用いることも可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.198, y=0.0185となるように、宇部興産社製α型窒化ケイ素粉末(「SN−E10」グレード、酸素含有量1.2質量%、β相含有量4.5質量%、炭素含有量0.2質量%未満)、トクヤマ社製窒化アルミニウム粉末(「E」グレード、酸素含有量0.9質量%、炭素含有量0.03質量%)、信越化学工業社製
酸化ユーロピウム粉末(「RU」グレード)、アドマテック社製酸化ケイ素(SO−E5)を秤量し、充分に均一になるまで混合した。
得られた蛍光体原料混合物を、窒化ホウ素製ルツボに充填し、加圧窒素雰囲気下で焼成することにより焼成粉体を作製した。次いで、焼成粉体をアルゴン雰囲気下で熱処理し、ナイロンメッシュ(N―No.305T、目開き48μm)をパスさせて、熱処理粉体を得た。
得られた熱処理粉体を洗浄、乾燥することにより、実施例1の蛍光体を得た。
実施例1の蛍光体は色度(x, y)=(0.365, 0.619)、d50/FSSS=2.29を示した。
[実施例2]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0170となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の蛍光体を得た。
実施例2の蛍光体は色度(x, y)=(0.361, 0.622)、d50/FSSS=2.36を示した。
[比較例1]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0170となるように秤量し、洗浄、乾燥後の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の蛍光体を得た。
比較例1の蛍光体は色度(x, y)=(0.357, 0.625)、d50/FSSS=1.59を示した。
0.356〜x〜0.365の色値を示す、実施例1、2、比較例1の試料を樹脂、赤色蛍光体(
三菱化学製BR-102C)と混練し、青LEDの上に設置し、色度(x, y)=(0.255,0.235)近傍を示す白色LEDを作製した。比較例1の白色LED効率の値を100%とし、白色LED相対効率を計算した。
d50/FSSSを横軸にとり、白色LED相対効率を縦軸にとったグラフを図1中に示す。d50/FSSSの増加に対して、白色LED相対効率は直線的に上昇することがわかる。最小2乗法による直線性評価によると、R2=0.9688であり、直線性は良好である。
d50/FSSSの範囲は1.59以上2.36以下であり、効率は最高で7.0%向上した。
また、比較例1の試料の輝度を100%とし、実施例1、実施例2、比較例1の蛍光体相対輝度を計算した。
蛍光体相対輝度を横軸にとり、白色LED相対効率を縦軸にとったグラフを図2に示す。
輝度の増加に対して、白色LED相対効率は低下することがわかる。最小2乗法による直線
性評価によると、R2=0.2216であり、直線性は低い。
蛍光体相対輝度の範囲は95.4%以上100.8%以下であり、蛍光体相対輝度が最も低い実
施例1の白色LED相対効率が最も高かった。
[実施例3]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0170となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の蛍光体を得た。
実施例3の蛍光体は色度(x, y)=(0.354, 0.628)、d50/FSSS=2.44を示した。
[実施例4]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量し、洗浄、乾燥後の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の蛍光体を得た。
実施例4の蛍光体は色度(x, y)=(0.354, 0.626)、d50/FSSS=1.77を示した。
[実施例5]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量し、洗浄、乾燥後の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の蛍光体を得た。
実施例5の蛍光体は色度(x, y)=(0.354, 0.627)、d50/FSSS=1.73を示した。
[実施例6]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の蛍光体を得た。
実施例6の蛍光体は色度(x, y)=(0.352, 0.629)、d50/FSSS=2.17を示した。
[実施例7]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の蛍光体を得た。
実施例7の蛍光体は色度(x, y)=(0.350, 0.630)、d50/FSSS=2.49を示した。
[実施例8]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量し、洗浄、乾燥後の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の蛍光体を得た。
実施例8の蛍光体は色度(x, y)=(0.349, 0.631)、d50/FSSS=2.30を示した。
[比較例2]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量し、洗浄、乾燥後の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の蛍光体を得た。
比較例2の蛍光体は色度(x, y)=(0.354, 0.627)、d50/FSSS=1.66を示した。
[比較例3]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.248, y=0.0130となるように秤量し、洗浄、乾燥後の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の蛍光体を得た。
比較例3の蛍光体は色度(x, y)=(0.352, 0.627)、d50/FSSS=1.62を示した。
[比較例4]
実施例5の蛍光体を湿式ボールミルによりd50を調整して、比較例4の蛍光体を得た。
比較例4の蛍光体は色度(x, y)=(0.349, 0.631)、d50/FSSS=1.59を示した。
0.356〜x〜0.365の色値を示す、実施例3、4、5、6、7、8、比較例2,3、4を
用いて、実施例1、2、比較例1と同様に白色LEDを作製した。比較例4の白色LED効率の値を100%とし、白色LED相対効率を計算した。d50/FSSSを横軸にとり、白色LED相対効率を縦軸にとったグラフを図1中に示す。
d50/FSSSの増加に対して、白色LED相対効率は直線的に上昇することがわかる。最小2乗法による直線性評価によると、R2=0.9615であり、直線性は良好である。
d50/FSSSの範囲は1.59以上2.49以下であり、効率は最高で9.9%向上した。
また、比較例4の試料の輝度を100%とし、実施例3,4,5,6,7,8、比較例2,3、4の蛍光体相対輝度を計算した。
蛍光体相対輝度を横軸にとり、白色LED相対効率を縦軸にとったグラフを図2中に示す
。輝度の増加に対して、白色LED相対効率は上昇することがわかる。しかし最小2乗法に
よる直線性評価によると、R2=0.2178であり、直線性は低い。
蛍光体相対輝度の範囲は92.5%以上109.2%以下であり、蛍光体相対輝度が最も低い実
施例7の白色LED相対効率は9試料の中で3番目に高かった。
[実施例9]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.149, y=0.0090となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の蛍光体を得た。
実施例9の蛍光体は色度(x, y)=(0.336, 0.640)、d50/FSSS=3.16を示した。
[実施例10]
Si6-xAlOxN8-x:Euyとしたときに、x=0.198, y=0.0090となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の蛍光体を得た。
比較例5の蛍光体は色度(x, y)=(0.335, 0.638)、d50/FSSS=2.47を示した。
0.331〜x〜0.340の色値を示す、実施例9、実施例10を用いて、実施例1、2、比較
例1と同様に白色LEDを作製した。比較例5の白色LED効率の値を100%とし、白色LED相対効率を計算した。d50/FSSSを横軸にとり、白色LED相対効率を縦軸にとったグラフを図1中に示す。
d50/FSSSの増加に対して、白色LED相対効率は上昇することがわかる。2点しか
ないため最小2乗法による直線性評価によると、R2=1になりるが、他の相関と比較すると、その傾きに大きな差はなく、d50/FSSSが非常によい相関を示すことが予想され
る。
d50/FSSSの範囲は2.47以上3.16以下であり、効率は最高で6.2%向上した。
また、実施例10の試料の輝度を100%とし、実施例9、実施例10の蛍光体相対輝度を計算した。
蛍光体相対輝度を横軸にとり、白色LED相対効率を縦軸にとったグラフを図2に示す。
輝度の増加に対して、白色LED相対効率は上昇することがわかる。最小2乗法による直線
性評価によると、R2=1である。
蛍光体相対輝度の範囲は100.0%以上116.3%以下であった。
図1から、d50/FSSSの増加により直線的に白色LEDの効率が向上することがわかる。また、3種類の色度範囲全てにおいて効率が向上していることから、白色LEDの効率が向上する効果は使用する蛍光体の色度に制限されないことがわかる。加えて、3種類の色
度範囲において、d50/FSSSに対する白色LED相対効率の変化率がほとんど同等であることから、白色LEDの効率が向上する効果は、蛍光体の色度にかかわらず同等であるこ
とがわかる。
図2から、蛍光体相対輝度が向上する際に相対白色LED効率が必ずしも向上するわけで
はなく、蛍光体の輝度と白色LEDの効率の相関は低いことがわかる。つまり、蛍光体の輝
度の向上が白色LEDの効率を向上させるという従来の考え方は必ずしも常に正しいわけ適
切ではないことがわかる。
表1に実施例1〜10、比較例1〜4のSi6-xAlOxN8-x:Euyとしたときの原料秤量時
のx, y、色度(x, y)、蛍光体相対輝度、d50/FSSS、白色LED相対効率を示す。
Figure 2014095055
図1、図2で示した通り、白色LEDの効率向上に強く相関するのは蛍光体のd50/FSSSの値であり、かつ、この効果は蛍光体の色度によって制限されない。したがって、組成は得たい色度範囲を選択する上で、適宜調整すればよい。すなわち、組成の選択に特に制限はない。
本発明の発光装置は輝度が高いため、光を用いる任意の分野において用いることができ、例えば屋内及び屋外用の照明などのほか、携帯電話、家庭用電化製品、屋外設置用ディスプレイ等の各種電子機器の画像表示装置などに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 青または紫の波長域の光を放出する半導体発光素子と、蛍光体とを備え、該半導体発光素子が放出する光を該蛍光体で波長変換する光を発生させる、蛍光体変換型の発光装置において、該蛍光体として、少なくとも体積中央粒径d50とFSSS粒度の比(d50/
    FSSS)が、1.7以上4.0以下であるβサイアロン蛍光体を用いた発光装置。
  2. 該発光装置が、βサイアロン蛍光体と、βサイアロン蛍光体より、発光ピーク波長が長波長である蛍光体を用いた請求項1記載の発光装置。
  3. 該βサイアロン蛍光体のFSSS粒度が3以上、50以下であり、d50が5μm以上、70μm以下である請求項1又は2に記載の発光装置。
  4. 該βサイアロン蛍光体より、発光ピーク波長が長波長である蛍光体が、M2Si58
    Eu(Mはアルカリ土類金属元素)(258)蛍光体、(Ca,Sr)AlSi47:Eu(1147蛍光体)、CaAlSiN3:Eu(CASN蛍光体)からなる群より選ば
    れる少なくとも1種を含む請求項1乃至3記載の発光装置。
  5. 該βサイアロン蛍光体より、発光ピーク波長が長波長である蛍光体が、Caの少なくとも一部をSrで置換した(Sr,Ca)AlSiN3:Euである請求項1乃至4のいず
    れか1項に記載の発光装置。
  6. 該発光装置が白色を発光する請求項1乃至5記載の発光装置。
  7. 該βサイアロン蛍光体が、下記一般式で表されるものである。請求項1乃至6に記載のβサイアロン蛍光体の製造方法。
    Si6−xAl8−x:Eu [1]
    (式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
  8. 少なくとも体積中央粒径d50とFSSS粒度の比(d50/FSSS)が、1.7以上
    4.0以下であり、FSSS粒度が3以上、50以下であり、d50が5μm以上、70μm以下であるβサイアロン蛍光体。
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