以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るアクチュエータAは、図1に示すように、所定の空間において相互に直交するようにX軸、Y軸、Z軸の3軸を設定し、X軸周りに回転可能な第1可動子1及びY軸周りに回転可能な第2可動子2を有する可動子Rと、可動子Rの内側に配置される固定子Sと、第1可動子1をX軸周りに回転可能に支持するとともに、第2可動子2をY軸周りに回転可能に支持するガイド支持機構Gとを備え、固定子Sに設けたコイルCに交流電流を流すことによって、第1可動子1及び第2可動子2の何れか一方または両方を固定子Sに対してそれぞれ相対回転させ、これら第1可動子1及び第2可動子2の回転動作に伴って第1可動子1に設けた出力部15を所定の球面内で自在に動作させるものである。
本実施形態のアクチュエータAは、X軸、Y軸及びZ軸の交点である原点(以下では、単に「原点」と称す)を中心とする所定の球面内において出力部15を移動自在に動作させるものであり、例えば図示しないロボットの目や関節、或いは監視カメラの目、ステージの駆動部などに適用可能なものである。ここで、図1に示すアクチュエータAをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向から見た状態をそれぞれ図2、図3、図4に示す。また、図5には、図4のa−a線断面を示し、図6、図7には、それぞれ図4のb−b線断面、図2のc−c線断面を示している。
固定子Sは、図1乃至図12(図8は図1に示すアクチュエータAのうち可動子Rを省略した図であり、図9は図8のa方向(Y軸と同じ方向)矢視図であり、図10は図8に示すアクチュエータAの平面図であり、図11は図10のb−b線断面図であり、図12は図10のc−c線断面である)に示すように、原点を円中心としてX軸周りに設定される所定の円弧上に複数配置した第1固定磁極31を有する第1固定子3と、原点を円中心としてY軸周りに設定される所定の円弧上に複数配置した第2固定磁極41を有する第2固定子4とを備えている。
第1固定子3は、第1固定磁極31と、第1固定磁極31に磁気的に連続する第1固定ヨーク32と、第1固定ヨーク32を保持する第1保持部33とを有する。
本実施形態では、図10等に示すように、第1固定ヨーク32及び第1保持部33を一体の磁性体によって構成している。一体成形したこの磁性体のうち、原点に近い領域が第1保持部33として機能し、相対的に原点から遠い領域が第1固定ヨーク32として機能する。
第1固定磁極31は、原点を円中心とするX軸周りの所定の円弧上に複数配置されるものである。各第1固定磁極31は、第1固定ヨーク32のうち原点から遠い面(外向き面)からX軸周りに等ピッチで放射状に突出する円柱状の磁性体(突極)であり、突出端を他の部分よりも直径を大きく設定したものである。そして、各第1固定磁極31の突出端が、原点を円中心とするX軸周りの所定の円弧上に複数並ぶように配置される。本実施形態では、図11に示すように、第1固定ヨーク32及び第1保持部33として機能する磁性体を、後述するZ軸方向に延伸する支柱Pを境に2分割し、各磁性体のうち相対的に原点から離れた部分(第1固定ヨーク32として機能する部分)に、X軸周りに一定の角度ピッチで複数の第1固定磁極31を一体的に組み付けている。
具体的に、本実施形態のアクチュエータAは、各第1固定ヨーク32に、Z軸方向に直交する第1固定磁極31を含めて合計5本の第1固定磁極31をX軸周りに30度間隔で配置している。したがって、一対の第1固定ヨーク32を備えた第1固定子3全体では、合計10本の第1固定磁極31を有している。
各第1固定磁極31には、それぞれコイルCを巻回している(図1参照)。本実施形態では、各第1固定磁極31に円錐型のコイルCが巻かれている。ここで、第1固定磁極31の本数は、第1固定子3が備えるスロット数と同じである。
第2固定子4は、第1固定子3と比較して、構成する部品をX軸周りに配置するかY軸周りに配置するかという点でのみ異なっているが、その他の基本的な構成は同じである。すなわち、第2固定子4は、第2固定磁極41と、第2固定磁極41に磁気的に連続する第2固定ヨーク42と、第2固定ヨーク42を保持する第2保持部43とを有する。
本実施形態では、図11等に示すように、第2固定ヨーク42及び第2保持部43を一体の磁性体によって形成している。一体成形したこの磁性体のうち、相対的に原点に近い領域が第2保持部43として機能し、相対的に原点から遠い領域が第2固定ヨーク42として機能する。
第2固定磁極41は、原点を円中心とするY軸周りの所定の円弧上に複数配置されるものである。各第2固定磁極41は、第2固定ヨーク42のうち原点から遠い面(外向き面)からY軸周りに等ピッチで放射状に突出する円柱状の磁性体(突極)であり、突出端を他の部分よりも直径を大きく設定したものである。そして、各第2固定磁極41の突出端が、原点を円中心とするY軸周りの所定の円弧上に複数並ぶように配置される。本実施形態では、複数の第2固定磁極41が並ぶ円弧の半径と、複数の第1固定磁極31が並ぶ円弧の半径を同じ値に設定している。また、本実施形態では、図12に示すように、第2固定ヨーク42及び第2保持部43として機能する磁性体を、後述するZ軸方向に延伸する支柱Pを境に2分割し、各磁性体のうち相対的に原点から離れた部分(第2固定ヨーク42として機能する部分)に、Y軸周りに一定の角度ピッチで複数の第2固定磁極41を一体的に組み付けている。
具体的に、本実施形態のアクチュエータAは、各第2固定ヨーク42に、Z軸方向に直交する第2固定磁極41を含めて合計5本の第2固定磁極41をY軸周りに30度間隔で配置している。したがって、一対の第2固定ヨーク42を備えた第2固定子4全体では、合計10本の第2固定磁極41を有している。
各第2固定磁極41には、それぞれコイルCを巻回している。本実施形態では、各第2固定磁極41に円錐型のコイルCが巻かれている(図1参照)。ここで、第2固定磁極41の本数は、第2固定子4が備えるスロット数と同じである。
なお、複数の第1固定磁極31が配置されるX軸周りの円弧と、複数の第2固定磁極41が配置されるY軸周りの円弧は、原点(X軸とY軸の交点)を中心とする略同一径の円弧となるように設定している。
第1固定子3の第1保持部33及び第2固定子4の第2保持部43は、図11及び図12に示すように、所定位置に固定配置された支柱Pに支持されるものである。本実施形態では、支柱PをZ軸に沿って起立姿勢で配置している。また、本実施形態のアクチュエータAでは、支柱Pの基端部をベースBに固定し、支柱Pの先端側領域に第1固定子3の第1保持部33及び第2固定子4の第2保持部43を適宜の手段で組み付けた状態で支持している。
第1可動子1は、図1乃至図7、図13乃至図16(図13は第1可動子1の全体図であり、図14は図13のa方向(X軸と同じ方向)矢視図であり、図15は図14のb方向(Y軸と同じ方向)矢視図であり、図16は図14のc方向(Z軸と同じ方向)矢視図である)に示すように、第1固定子3の第1固定磁極31と所定のギャップを隔てて対面する円弧状の第1可動ヨーク11と、第1可動ヨーク11の内周面に複数設定した第1可動磁極12とを備えたものである。本実施形態のアクチュエータAは、第1固定磁極31を等ピッチで配置した円弧の円中心、つまり原点を円中心とし且つ第1固定磁極31が並ぶ円弧よりも大きい径に設定した部分円弧状をなす一対の第1可動ヨーク11を、原点を挟む位置に対向するように配置している。そして、各第1可動ヨーク11の内周面に第1可動磁極12として機能する永久磁石M1を複数整列させて配置している。具体的には、第1可動磁極12として部分円弧状の永久磁石M1(例えば厚さ1mmのセグメント型磁石)を適用し、この永久磁石M1を第1可動ヨーク11の内周面にX軸周りに並べて固定配置している。各永久磁石M1は、S極またはN極が第1可動ヨーク11の径方向を向く姿勢でX軸周りに所定ピッチで複数配置され、X軸周り(第1可動ヨーク11の周方向)に隣り合う永久磁石M1は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。
本実施形態では、各第1可動ヨーク11の内周面に、4枚の永久磁石M1をX軸周りに整列配置している。ここで、円中心(原点)を挟んで向かい合う第1可動磁極12のギャップに面する極が相互に異なるように、永久磁石M1の配列を設定している。本実施形態のアクチュエータAでは、図5に示すように、各第1可動ヨーク11のX軸周りの寸法(円弧の長さ)を、X軸周りに複数配置した第1固定磁極31のうち3本以上の第1固定磁極31(図示例では3本の第1固定磁極31)と対面可能な長さに設定している。
また、本実施形態の第1可動子1は、一対の第1可動ヨーク11同士を連結する第1フレーム13を備えている。この第1フレーム13は、第1可動ヨーク11が第1固定子31に対してX軸周りに回転した場合に、第1可動ヨーク11と一体にX軸周りに回転可能に構成されたものである。また、第1フレーム13は、一対の第1可動ヨーク11と同様に原点を円中心とし且つ第1可動ヨーク11よりも大きい径に設定した部分円弧状をなし、一端部を対をなす第1可動ヨーク11のうち一方の第1可動ヨーク11に軸受14を介して取り付けるとともに、他端部を対をなす第1可動ヨーク11のうち他方の第1可動ヨーク11に軸受14(図示例では転がり軸受)を介して取り付けている。各軸受14は、各第1可動ヨーク11のうち原点を通ってX軸と直交する方向に対向する所定の位置に設けられ、第1フレーム13をX軸と直交する方向に回転可能な状態で支持している。本実施形態では、各軸受14をそれぞれ第1可動ヨーク11のX軸周り中央部に設けている。
ここで、図5等に示す第1可動子1の姿勢、つまり、原点を経由して相互に対向する第1可動ヨーク11のX軸周り中央部(軸受14の取付箇所)同士を結ぶ仮想直線がY軸に一致している第1可動子1の姿勢を標準姿勢(St)とすると、この標準姿勢(St)において、第1フレーム13はY軸周りに回転可能な状態で第1可動ヨーク11に取り付けられているといえる。
また、部分円弧状をなす第1フレーム13の周方向中央部に、標準姿勢(St)において突出方向がZ軸方向に一致する出力部15を設けている。本実施形態では、軸状の出力部15(出力軸)を採用している。本実施形態の第1可動子1では、第1フレーム13をX軸周りに二等分する一対の第1フレーム要素の一端同士を接触させた状態で連結ベース16を介して連結することによって第1フレーム13を構成し、この連結ベース16上に出力部15を設けている。第1フレーム13に対する出力部15の相対位置は固定されている。そして、第1固定子3に対する第1可動ヨーク11のX軸周りの回転に伴ってX軸周りに回転する第1フレーム13の動きや、軸受14によって第1可動ヨーク11から独立してX軸と直交する方向に単独で回転する第1フレーム13の動きに応じて出力部15の位置も変化する。
第2可動子2は、図1乃至図7、図17乃至図20(図17は第2可動子2の全体図であり、図18は図17のa方向(Y軸と同じ方向)矢視図であり、図19は図18のb方向(X軸と同じ方向)矢視図であり、図20は図18のc方向(Z軸と同じ方向)矢視図である)に示すように、第2固定子4の第2固定磁極41と所定のギャップを隔てて対面する円弧状の第2可動ヨーク21と、第2可動ヨーク21の内周面に複数配置した第2可動磁極22とを備えたものである。本実施形態のアクチュエータAは、第2固定磁極41を等ピッチで配置した円弧の円中心、つまり原点を円中心とし且つ第2固定磁極41が並ぶ円弧よりも大きい径に設定した部分円弧状をなす一対の第2可動ヨーク21を、円中心を挟む位置に対向するように配置している。本実施形態では、第2可動ヨーク21の半径を第1可動ヨーク11の半径と同じ値に設定している。そして、各第2可動ヨーク21の内周面に複数の第2可動磁極22を設定している。具体的には、第2可動磁極22として部分円弧状の永久磁石M2(例えば厚さ1mmのセグメント型磁石)を適用し、この永久磁石M2を第2可動ヨーク21の内周面にY軸周りに並べて固定配置している。各永久磁石M2は、S極またはN極が第2可動ヨーク21の径方向を向く姿勢でY軸周りに所定ピッチで複数配置され、Y軸周り(第2可動ヨーク21の周方向)に隣り合う永久磁石M2は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。ここで、原点から第2可動磁極22までの距離は、原点から第1可動磁極12までの距離と略同一になる。
本実施形態では、各第2可動ヨーク21の内周面に、4枚の永久磁石M2をY軸周りに整列配置している。ここで、円中心(原点)を挟んで向かい合う第2可動磁極22のギャップに面する極が相互に異なるように、永久磁石M2の配列を設定している。本実施形態のアクチュエータAでは、図6に示すように、各第2可動ヨーク21のY軸周りの寸法(円弧の長さ)を、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41のうち3本以上の第2固定磁極41(図示例では3本の第2固定磁極41)と対面可能な長さに設定している。
ここで、図6等に示す第2可動子2の姿勢、つまり、原点を経由して相互に対向する第2可動ヨーク21のY軸周り中央部同士を結ぶ仮想直線がX軸に一致している第2可動子2の姿勢を標準姿勢(St)とする。
このように、本実施形態に係るアクチュエータAでは、第2可動子2のうち、第2可動ヨーク21及び第2可動磁極22の具体的な形状や構成が、第1可動子1の第1可動ヨーク11及び第1可動磁極12と同じであり、上述の第1固定子3及び第2固定子4と同様に、部品の共通化とコイルCに通電する電流制御系の共通化を図ることができる。そして、第1可動子1と第2可動子2とでは、一対の可動ヨーク同士を連結するフレームの形状及び構成が異なる。
本実施形態の第2可動子2において、一対の第2可動ヨーク21同士を連結してこれら第2可動ヨーク21と一体にY軸周りに回転可能な第2フレーム23は、第1可動子1の第1フレーム13とは非接触の状態で、第1フレーム13に設けた出力部15が貫通し且つこの出力部15をY軸を含む平面内にのみ移動可能に規制する移動規制部24を有するものである。
本実施形態において第2フレーム23は、第1可動子1の第1フレーム13を跨ぐ姿勢で配置され、一端部を対をなす第2可動ヨーク21のうち一方の第2可動ヨーク21に固定するとともに、他端部を対をなす第2可動ヨーク21のうち他方の第2可動ヨーク21に固定した第2フレーム本体25と、第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸して、原点を円中心とし且つ第1フレーム13よりも大きい径に設定した部分円弧状の移動規制フレーム26とを備えたものである。移動規制フレーム26の延伸方向中心部分を第2フレーム本体25に固定している。
第2フレーム本体25は、第2可動ヨーク21のうち対応する何れかの第2可動ヨーク21に固定し且つ標準姿勢(St)においてZ軸方向と平行な方向に延伸する基端側領域と、基端側領域の延伸端から標準姿勢(St)においてX軸と平行な方向に延伸する先端側領域とを一体に備えた略L字形状をなす一対の第2フレーム本体要素251を用いて構成したものである。移動規制フレーム26に固定される各第2フレーム本体要素251の先端部同士の間には、出力部15が挿通可能であり且つ後述する出力部ガイド孔27に通じる空間を確保している。
移動規制フレーム26は、第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸し且つ第1フレーム13に設けた出力部15が挿通可能な出力部ガイド孔27を形成している。出力部ガイド孔27は、第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸する長孔である。この出力部ガイド孔27に挿通した出力部15は、出力部ガイド孔27内で移動可能になる。つまり、この出力部ガイド孔27は、出力部15の移動方向及び移動範囲を規制する移動規制部24として機能する。そして、第2フレーム本体25のうち、出力部ガイド孔27に重なり得る領域を、出力ガイド孔27に連通する空間(本実施形態では、各第2フレーム本体要素251の先端部同士の間に確保した空間)に設定しているため、第2フレーム本体25及び移動規制フレーム26よりも原点に近い位置に配置される第1フレーム13に設けた出力部15を、この出力部ガイド孔27、第2フレーム本体25に形成した空間の順に原点側から挿し通せば、出力部15の突出端側領域を第2フレーム23よりも原点から遠い位置に露出させることができるとともに、出力部ガイド孔27内における出力部15の移動を第2フレーム本体が妨げる事態を防止することができる。
本実施形態のアクチュエータAでは、第1可動子1が標準姿勢(St)にあり、且つ第2可動子2が標準姿勢(St)にある初期姿勢(I)において、出力部15の突出方向がZ軸と一致している(図1参照)。
このような初期姿勢(I)をとるアクチュエータAにおいて、第1可動子1及び第2可動子2はガイド支持機構GによってX軸周り、Y軸周りにそれぞれ単独又は同時に回転可能に支持されている。
ガイド支持機構Gは、図1及び図4等に示すように、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースにおいて、第1可動子1のX軸周りの回転を所定範囲で案内する第1固定ガイド部5と、第2可動子2のY軸周りの回転を所定範囲で案内する第2固定ガイド部6とを固定配置し、第1可動ヨーク11に設けられ且つ第1固定ガイド部5に案内される第1可動ガイド部7と、第2可動ヨーク21に設けられ且つ第2固定ガイド部6に案内される第2可動ガイド部8とを備えた構成である。
第1可動ガイド部7は、図13等に示すように、第1可動ヨーク11からX軸に向かって突出する非磁性体の第1軸受保持部71と、第1軸受保持部71に保持された第1軸受72とを備えたものである。この第1可動ガイド部7は、第1可動ヨーク11のX軸周りの回転に伴ってX軸周りに移動するものである。
第1可動ヨーク11のうちX軸周り中央部分には、第1軸受保持部71を固定するための第1フランジ部11fを設け、この第1フランジ部11fに第1軸受保持部71の基端部を固定している。第1軸受保持部71は、Y軸と平行な方向に延伸する板状のものであり、先端部又は先端部近傍に第1軸受72をX軸と平行な軸周りに回転可能に保持している。本実施形態では、原点を円中心とし且つ第1可動ヨーク11のX軸周りの回転軌跡の円弧よりも小さい円弧上に複数(図示例では2つ)の第1軸受72を配置している。
また、本実施形態のアクチュエータAでは、各第1可動ヨーク11をY軸方向に挟む位置に第1可動ガイド部7を対向配置している。具体的には、各第1可動ヨーク11のうち、第1フレーム13を連結している軸受14の取付箇所を挟んで対向する位置に一対の第1軸受保持部71を設け、これら各第1軸受け保持部71にそれぞれ第1軸受72を回転可能に保持させている。本実施形態では、第1軸受72として転がり軸受(以下、「第1ベアリング72」と称す)を適用している。
第1固定ガイド部5は、第1可動ガイド部7のX軸周りの移動を支持するものである。この第1固定ガイド部5は、図4等に示すように、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースのうち第1軸受保持部71とX軸方向に対面する位置に配置した第1支持部51に、第1可動ヨーク11の回転時における第1ベアリング72の移動軌跡に沿って延伸し且つ第1ベアリング72を収容可能な第1ガイド凹部52を形成したものである。本実施形態のアクチュエータAでは、各第1可動ヨーク11をY軸方向に挟む位置に第1可動ガイド部7を対向配置し、これら一対の第1可動ガイド部7に応じて第1固定ガイド部5を、ベースB上の前記スペースにおいて第1固定子3をY軸方向に挟む位置に固定配置している。
本実施形態では、板状をなす第1支持部51のうち相対的に第1ベアリング72に近い面に形成した第1ガイド溝53と、第1支持部51のうち相対的に第1ベアリング72から遠い面に形成され且つ第1ガイド溝53に連通する第1ガイド孔54とで構成した第1ガイド凹部52を適用している。
第1ガイド溝53は、第1ベアリング72の外周面の少なくとも一部が常に接触し、転動しながらX軸周りに移動する第1ベアリング72の移動方向及び移動範囲を規制するものである。第1ガイド溝53は、図8等に示すように、第1ベアリング72の移動方向両端部をそれぞれ閉じた半円弧状に設定して第1ベアリング72の移動範囲を規制するとともに、第1ベアリング72の移動方向中央部分を円中心から離間する方向へ開放した形状に設定し、この開放した領域を利用して、アクチュエータAの組立時または第1ベアリング72の交換時や分解時等に第1ベアリング72を第1ガイド凹部52内に収容したり、第1ベアリング72を第1ガイド凹部52内から抜き出す作業をスムーズに行えるように構成している。
第1ガイド孔54は、第1ベアリング72の外径よりも小さい開口幅を有する部分円弧状の長孔であり、第1ガイド溝53に沿って転動する第1ベアリング72と第1支持部51との接触面積を減らすことで摩擦抵抗を低減する機能を発揮するとともに、転動する第1ベアリング72が第1ガイド溝53を超えて第1支持部51の厚み方向に抜け外れることを防止するストッパとして機能する。
このような第1ガイド凹部52内に第1ベアリング72を収容した状態では、アクチュエータAの径方向に向き合う第1固定子3と第1可動子1の間に生じる吸引力が与圧として第1ベアリング72に作用し、第1ベアリング72の外周面を第1ガイド凹部52(具体的には第1ガイド溝53)に接触させながら第1ベアリング72の適切な転がり動作を得ることができる。そして、第1ベアリング72が第1ガイド凹部52内において転動しながら移動することによって、第1ベアリング72を取り付けている各第1可動ヨーク11のX軸周りの回転を支えることができる。
また、第1支持部51は、上述の支柱Pと共に共通のベースB上に基端部を固定し、先端部側領域の形状を、第1可動ヨーク11の回転軌跡の円弧と同心円であって(つまり原点を円中心とし)且つ第1可動ヨーク11よりも小さい径の部分円弧状に設定している。
第2可動ガイド部8は、図17等に示すように、第2可動ヨーク21からY軸に向かって突出する非磁性体の第2軸受保持部81と、第2軸受保持部81に保持された第2軸受82とを備えたものである。この第2可動ガイド部8は、第2可動ヨーク21のY軸周りの回転に伴ってY軸周りに移動するものである。
第2可動ヨーク21のうちY軸周り中央部分には、図17乃至図19に示すように、第2軸受保持部81を固定するための第2フランジ部21fを設け、この第2フランジ部21fに第2軸受保持部81の基端部を固定している。第2軸受保持部81は、Y軸と平行な方向に延伸する板状のものであり、先端部又は先端部近傍に第2軸受82をY軸と平行な軸周りに回転可能に保持している。本実施形態では、原点を円中心とし且つ第2可動ヨーク21のY軸周りの回転軌跡の円弧よりも小さい円弧上に複数(図示例では2つ)の第2軸受82を配置している。
また、本実施形態のアクチュエータAでは、各第2可動ヨーク21をX軸方向に挟む位置に第2可動ガイド部8を対向配置している。具体的には、各第2可動ヨーク21のY軸周り中央部分をX軸方向に挟む位置に一対の第2軸受保持部81を設け、これら各第2軸受け保持部81にそれぞれ第2軸受72を回転可能に保持させている。本実施形態では、第2軸受82として転がり軸受(以下、「第2ベアリング82」と称す)を適用している。
第2固定ガイド部6は、第2可動ガイド部8のY軸周りの移動を支持するものである。この第2固定ガイド部6は、図4等に示すように、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースのうち第2軸受保持部81とY軸方向に対面する位置に配置した第2支持部61に、第2可動ヨーク21の回転時における第2ベアリング82の移動軌跡に沿って延伸し且つ第2ベアリング82を収容可能な第2ガイド凹部62を形成したものである。本実施形態のアクチュエータAでは、各第2可動ヨーク21をX軸方向に挟む位置に第2可動ガイド部8を対向配置し、これら一対の第2可動ガイド部8に応じて第2固定ガイド部6を、ベースB上の前記スペースにおいて第2固定子4をX軸方向に挟む位置に固定配置している。
本実施形態では、板状をなす第2支持部61のうち相対的に第2ベアリング82に近い面に形成した第2ガイド溝63と、第2支持部61のうち相対的に第2ベアリング82から遠い面に形成され且つ第2ガイド溝63に連通する第2ガイド孔64とで構成した第2ガイド凹部62を適用している。
第2ガイド溝63は、第2ベアリング82の外周面の少なくとも一部が常に接触し、転動しながらY軸周りに移動する第2ベアリング82の移動方向及び移動範囲を規制するものである。第2ガイド溝63は、第2ベアリング82の移動方向両端部をそれぞれ閉じた半円弧状に設定して第2ベアリング82の移動範囲を規制するとともに、第2ベアリング82の移動方向中央部分を円中心から離間する方向へ開放した形状に設定し、この開放した領域を利用して、アクチュエータAの組立時または第2ベアリング82の交換時や分解時等に第2ベアリング82を第2ガイド凹部62内に収容したり、第2ベアリング82を第2ガイド凹部62内から抜き出す作業をスムーズに行えるように構成している。
第2ガイド孔64は、第2ベアリング82の外径よりも小さい開口幅を有する部分円弧状の長孔であり、第2ガイド溝63に沿って転動する第2ベアリング82と第2支持部61との接触面積を減らすことで摩擦抵抗を低減する機能を発揮するとともに、転動する第2ベアリング82が第2ガイド溝63を超えて第2支持部61の厚み方向に抜け外れることを防止するストッパとして機能する。
このような第2ガイド凹部62内に第2ベアリング82を収容した状態では、アクチュエータAの径方向に向き合う第2固定子4と第2可動子2の間に生じる吸引力が与圧として第2ベアリング82に作用し、第2ベアリング82の外周面を第2ガイド凹部62(具体的には第2ガイド溝63)にさせながら第1ベアリング72の適切な転がり動作を得ることができる。そして、第2ベアリング82が第2ガイド凹部62内において転動しながら移動することによって、第2ベアリング82を取り付けている各第2可動ヨーク21のY軸周りの回転を支えることができる。
また、第2支持部61は、上述の支柱P及び第1支持部51と共に共通のベースB上に基端部を固定し、先端部側領域の形状を、第2可動ヨーク21の回転軌跡の円弧と同心円であって(つまり原点を円中心とし)且つ第2可動ヨーク21よりも小さい径の部分円弧状に設定している。より具体的に、これら第1支持部51及び第2支持部61は、Z軸方向から見て相互に直交する角度となるように、原点に近い内向き側の部分同士を接触させた状態で共通のベースB上に固定されている。
このように、ガイド支持機構Gのうち、第1可動子1をX軸周りに回転可能に支持する第1固定ガイド部5及び第1可動ガイド部7と、第2可動子2をY軸周りに回転可能に支持する第2固定ガイド部6及び第2可動ガイド部8の組み合わせや具体的な構成は同じであり、部品の共通化を図ることができる。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、ガイド支持機構Gを構成する各ガイド部5,6及び各被ガイド部7,8の全部または略全部を、Z軸方向から見て第1可動子1及び第2可動子2のうち原点から最も離れた点から原点までの距離を半径とする円内に配置している。
次に、このような構成を有する本実施形態のアクチュエータAの作動及び作用について説明する。
本実施形態に係るアクチュエータAにおいて、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理と、第2固定子4に対して第2可動子がY軸回りに回転する動作原理は同じである。ここで、図21及び図22に、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理を示す。なお、図21及び図22では、説明の便宜上、第1可動子1の一部を省略するとともに、断面の切り口を示す平行斜線(ハッチング)を省略している。
本実施計形態のアクチュエータAは、上述したように、X軸周りに複数配置した第1固定磁極31のうち3以上(図示例では3本)の第1固定磁極31が、第1可動ヨーク11の内周面にX軸回りに並べて固定した4以上(図示例では4個)の第1可動磁極12(永久磁石)と対面するように設定するとともに、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41のうち3以上(図示例では3本)の第2固定磁極41が、第2可動ヨーク21の内周面にY軸回りに並べて固定した4以上(図示例では4個)の第2可動磁極22(永久磁石)と対面するように設定している。そして、第1固定子3の各第1固定磁極31及び第2固定子の各第2固定磁極に巻回した各コイルCを、それぞれの軸(X軸、Y軸)周りにU、V、Wの三相に分けて、これら各コイルCに適宜の電流を励磁することで第1可動子1及び第2可動子2を各軸(X軸、Y軸)周りに回転させることができる。
図21を参照して具体的に説明すると、各第1固定磁極31に巻回したコイルCに電流を励磁していない無通電時には、ギャップを介してアクチュエータAの径方向に対面する第1固定子3の第1固定磁極31と第1可動子1の第1可動磁極12の間に磁束が流れるものの、第1可動子1をX軸周りに回転させる回転磁界は発生せず、回転トルクは発生しない。同様に、第2固定子4の各第2固定磁極41に巻回した各コイルCに電流を励磁していない無通電時では、第2固定磁極41と第2可動磁極22の間にも磁束が流れるものの、第2可動子2をY軸周りに回転させるトルクは発生しない(図示省略)。
一方、本実施形態に係るアクチュエータAにおいて、第1固定磁極31に設けたコイルCをU、V、Wの三相に分けて、図23に示すような電流パターン、すなわち、コイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、図22に示すように、第1可動子1をX軸周りに回転させる回転磁界が発生し、回転トルクTを得ることができる。その結果、第1可動子1がX軸周りに回転する。この際、第1可動ガイド部7の第1ベアリング72が第1固定ガイド部5の第1ガイド凹部52に案内されながら第1ガイド凹部52内を移動し、第1可動子1の第1フレーム13に設けた出力部15が、第2可動子2に設けた第2フレーム23の移動規制部24(出力部ガイド孔27)に沿って滑りながら移動規制部24内で動くことにより、第2可動子2を動かすことなく、第1可動子1のみをX軸周りに回転させることができる。つまり、本実施形態に係るアクチュエータAは、出力部15の移動方向を、移動規制部24(出力部ガイド孔27)によってY軸を含む平面内にのみ規制している。より具体的には、移動規制部24(出力部ガイド孔27)が、出力部15の移動方向を、Y軸を含む平面内であって且つ原点を中心とするX軸周りの円弧の弧の方向(出力部ガイド孔27の延伸方向)にのみ規制している。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図2に示す標準姿勢(St)の第1可動子1を、X軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。本実施形態では、第1可動子1を、標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えば35度回転させた角度姿勢(X+)(図24及び図25参照)と、標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えばマイナス35度回転させた角度姿勢(X−)(図26参照)との間で回転させることができる。なお、図25及び図26では、第1可動子1の動きを容易に理解できるようにガイド機構G及びベースBを省略している。
同様に、本実施形態に係るアクチュエータAでは、Y軸周りに複数配置した第2固定磁極41にそれぞれ設けたコイルCをU、V、Wの三相に分けて、これらのコイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、第2可動子2をY軸周りに回転させる回転磁界が発生し、回転トルクを得ることができる(図示省略)。その結果、第2可動子2がY軸周りに回転する。この際、第2可動ガイド部8の第2ベアリング82が第2固定ガイド部6の第2ガイド凹部62に案内されながら第2ガイド凹部62内を移動する。そして、第2可動子2の第2フレーム23も第2可動ヨーク21と一体にY軸周りに回転する。ここで、第2フレーム23のうち移動規制フレーム26に形成した出力部ガイド孔27には出力部15が挿通しており、この出力部ガイド孔27が第2可動子2の標準姿勢(St)においてX軸周りに延伸するものであることから、第2フレーム23がY軸周りに回転すると、出力部15にもY軸周りに回転する力が作用する。本実施形態のアクチュエータAでは、出力部15を固定支持している第1フレーム13と第1可動ヨーク11の連結箇所に軸受14を設け、軸受14によって第1フレーム13をX軸と直交する方向に回転可能に支持しているため、第1可動磁極12を内周面に整列配置した第1可動子1の第1可動ヨーク11を動かすことなく、第1フレーム13を軸受14を中心にY軸周りに回転させることができ、第1フレーム13のY軸周りの回転に伴って出力部15もY軸周りに移動する。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図に示す標準姿勢(St)の第2可動子2を、Y軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。本実施形態では、第2可動子2を、標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えば35度回転させた角度姿勢(Y+)(図27及び図28参照)と、標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えばマイナス35度回転させた角度姿勢(Y−)(図29参照)との間で回転させることができる。なお、図28及び図29では、第2可動子2の動きを容易に理解できるようにガイド機構G及びベースBを省略している。
そして、本実施形態に係るアクチュエータAは、第1可動子1の第1フレーム13に設けた出力部15を、第2可動子2に設けた第2フレーム23の移動規制部24(出力部ガイド孔27)内で移動規制部24の延伸方向(長手方向)に移動可能であるため、第1可動子1及び第2可動子2を同時または時間差でそれぞれ回転させた場合に、第1可動子1の回転によるX軸周りの回転出力と、第2可動子2の回転によりY軸周りの回転出力の合成を、第1可動子1に設けた出力部15の位置として取り出すことができる。図30には、一例として、第1可動子1が標準姿勢(St)に対してX軸周りに例えばマイナス35度回転した角度姿勢(X−)にあり、第2可動子2が標準姿勢(St)に対してY軸周りに例えば35度回転した角度姿勢(Y+)にあるアクチュエータAを示している。図30でもガイド機構G及びベースBを省略している。なお、各可動子(第1可動子1、第2可動子2)を目標角度まで回転させる制御は、オープンループ制御またはフィードバック制御の何れであってもよい。
このように、本実施形態に係るアクチュエータAは、相互に直交するX軸及びY軸の各軸周りに第1可動子1、第2可動子2をそれぞれ個々に独立して回転させることができ、これら第1可動ヨーク11及び第2可動ヨーク21の各軸(X軸,Y軸)周りの回転を案内しながら支持するガイド支持機構Gを、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4のスペースを利用して配置することによって、Z軸方向から見て第1可動ヨーク11や第2可動ヨーク21の外側にガイド支持機構Gを配置するための専用スペースを確保する必要がなく、アクチュエータA全体の小型化を図ることができる。このようなメリットは、可動対象部の回転を支持するジンバル枠を可動対象部の外側に配置せざるを得ないジンバル機構と比較した場合に顕著に現れる。
さらに、第1可動ヨーク11のX軸周りの回転を所定範囲で案内する第1固定ガイド部5と、第2可動ヨーク21のY軸周りの回転を所定範囲で案内する第2固定ガイド部6を相互に直交する位置に個別に設け、これら第1固定ガイド部5と第2固定ガイド部6の相対位置を固定しているため、第1可動ヨーク11のX軸周りの回転に伴って第2可動ヨーク21の回転軸であるY軸が移動する(連れ回る)事態や、第2可動ヨーク21のY軸周りの回転に伴って第1可動ヨーク11の回転軸であるX軸が移動する(連れ回る)事態を防止することができ、第1可動子1や第2可動子2の回転動作中に、X軸とY軸が同一平面上において一致して回転の自由度が減ってしまうジンバルロック現象またはジンバルロックに近い現象が起こり得ず、動作の安定性及び実用性の向上を実現することができる。
特に、本実施形態に係るアクチュエータAでは、ガイド支持機構Gとして、第1可動ヨーク11の所定箇所にX軸に平行な軸周りに回転可能な第1ベアリング72を設けた第1可動ガイド部7と、第1可動ヨーク11の回転時における第1ベアリング72の移動軌跡に沿って延伸し且つ第1ベアリング72を収容可能な第1ガイド凹部52を形成した第1固定ガイド部5とを備えたものを適用しているため、第1ガイド凹部52に第1ベアリング72を収容した状態で、相互に向かい合う第1固定子3と第1可動子1の間に生じる吸引力が与圧として第1ベアリング72に作用し、第1ベアリング72を第1ガイド凹部52に接触させながらX軸と平行な軸周りに適切に回転させることができ、良好なガイド支持状態を得ることができるともに、第1可動ヨーク11がX軸周りに回転する際に、第1ベアリング72が第1ガイド凹部52の延伸方向に沿って移動することになり、第1可動ヨーク11の安定した回転動作を確保することができる。
また、本実施形態のガイド支持機構Gは、第1可動ヨーク11からX軸に向かって突出する非磁性体の第1軸受保持部71の先端部又は先端部近傍に第1ベアリング72を回転可能に保持させた構成を採用しているため、第1ベアリグ72が第1ガイド凹部52に沿って移動する領域を原点に対して第1可動ヨーク11よりも近い位置に設定することができ、アクチュエータA全体の小型化を有効に図ることができる。
さらに、本実施形態のアクチュエータAでは、第1ガイド凹部52を形成した第1支持部51をベースBにおいて第1軸受保持部71とX軸方向に対面する位置に固定配置しているため、回転移動する第1可動子1を安定した支持状態を維持することができるとともに、第1軸受保持部71に複数の第1ベアリング72を設けているため、第1可動子1の回転時及び静止時の何れにおいても第1固定ガイド部5に作用する荷重を好適に分散することができる。
さらに、本実施形態のアクチュエータAでは、各第1可動ヨーク11をY軸方向に挟む位置に第1可動ガイド部7を対向配置し、これら一対の第1可動ガイド部7に応じて第1固定ガイド部5を、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4との間のスペースにおいて第1固定子3をY軸方向に挟む位置に固定配置しているため、X軸周りに回転する第1可動子の荷重をバランス良く分散して受けながら第1可動子のスムーズな回転を確保することができる。
これら第1固定ガイド部5及び第1可動ガイド部7の各形状や構成、相互関係によって得られる作用効果は、第1固定ガイド部5及び第1可動ガイド部7と同じ形状や構成、相互関係を有する第2固定ガイド部6及び第2可動ガイド部8によっても得ることができる。
また、本実施形態に係るアクチュエータAでは、本実施形態のアクチュエータAにおいて、ガイド支持機構Gのうち、Z軸周りに隣り合う第1固定子3と第2固定子4の間に形成されるスペースに固定配置される第1支持部51や第2支持部61に、各可動ヨーク(第1可動ヨーク11,第2可動ヨーク21)の各軸(X軸,Y軸)周りの位置を検出する位置検出部(図示省略)を設けることが可能である。ジンバル機構であれば、相対的に内側に配置される軸の回転角度を検出するセンサをジンバル構造内に配置しなければならず、このセンサがジンバル(フレーム)の回転に伴って移動することを予め想定してセンサのケーブルがジンバルや可動対象部に干渉しないように引き回さなければならないが、本実施形態において、ベース上に固定配置される第1支持部51や第2支持部61に位置検出部を設けることで、位置検出部自体が各可動ヨークの回転動作に伴って移動する事態を回避することができ、センサのケーブルを引き回す処理及び構造が不要になり、堅牢なシステム構成が可能である。
特に、本実施形態のアクチュエータAでは、内周面に複数の第1可動磁極12をX軸周りに設定した第1可動ヨーク11が、X軸周りの所定円弧上に並ぶ第1固定磁極31と常対面する相対位置関係、及び内周面に複数の第2可動磁極22をY軸周りに設定した第2可動ヨーク21が、Y軸周りの所定円弧上に並ぶ第2固定磁極41と対面する相対位置関係を常に維持しているため、第1可動ヨーク11のX軸周りの位置検出や第2可動ヨーク21のY軸周りの位置検出をリニアスケール(リニアエンコーダとも称される)などの汎用センサを用いて行うことが可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、第1可動ガイド部として、第1可動ヨークからX軸に向かって突出する非磁性の第1ガイド板の先端部又は当該先端部近傍に、第1可動ヨークの回転時の移動軌跡と同心円であって且つ半径を第1可動ヨークの半径よりも小さく設定した部分円弧状の第1ガイド凹部を形成したものを適用し、第1固定ガイド部として、Z軸周りに隣り合う第1固定子と第2固定子との間のスペースのうち第1ガイド板とX軸方向に対面する位置に配置した第1軸受保持部に、第1ガイド凹部に収容または貫通可能であって且つX軸と平行な軸周りに回転可能な第1軸受を保持させたものを採用することもできる。つまり、上述の実施形態と比較して、第1ガイド凹部と第1軸受の配置関係を逆転させた構成であってもよい。
同様に、第2可動ガイド部として、第2可動ヨークからY軸に向かって突出する非磁性の第2ガイド板の先端部又は当該先端部近傍に、第2可動ヨークの回転時の移動軌跡と同心円であって且つ半径を第2可動ヨークの半径よりも小さく設定した部分円弧状の第2ガイド凹部を形成したものを適用し、第2固定ガイド部として、Z軸周りに隣り合う第1固定子と第2固定子との間のスペースのうち第2ガイド板とY軸方向に対面する位置に配置した第2軸受保持部に、第2ガイド凹部に収容または貫通可能であって且つY軸と平行な軸周りに回転可能な第1軸受を保持させたものを採用することもできる。
また、上述の実施形態では、ガイド支持機構を構成する軸受としてベアリング(転がり軸受)を例示したが、ベアリングに代えて、ローラやカムフォロア、或いはすべり軸受を適用してもよい。また、軸受保持体またはガイド板に保持させる軸受の数は、適宜増減すればよく、1つ或いは3つ以上に設定することもできる。
また、第1ガイド凹部及び第2ガイド凹部として、溝または孔の何れか一方のみから形成したものを適用してもよい。
また、本発明のアクチュエータでは、第1可動ガイド部又は第1固定ガイド部の一方を、スライダを備えたものとし、他方を各可動ヨークの回転時にスライダを支持するレールを備えたものにし、レールとスライダとの関係においてスライダが相対的にレール内を往復移動可能に構成した円弧状リニアガイド機構をガイド支持機構として採用することも可能である。
上述した実施形態では、一対の第1可動ガイド部及び一対の第1固定ガイド部によって各第1可動ヨークのX軸周りの回転移動を案内するとともに、一対の第2可動ガイド部及び一対の第2固定ガイド部によって各第2可動ヨークのY軸周りの回転移動を案内するガイド支持機構を例示したが、1つの第1可動ガイド部及び1つの第1固定ガイド部によって各第1可動ヨークのX軸周りの回転移動を案内するとともに、1つの第2可動ガイド部及び1つの第2固定ガイド部によって各第2可動ヨークのY軸周りの回転移動を案内するように構成したガイド支持機構であっても構わない。
また、第1可動子に設けた第1フレームと、第2可動子に設けた第2フレームは、相互に干渉しないように原点からの距離を相互に異ならせる必要がある。上述の実施形態では、第1フレームを第2フレームよりも相対的に原点に近い位置に配置する構成を示したが、第1フレームを第2フレームよりも相対的に原点から遠い位置に配置する構成にしてもよい。この場合、第1フレームに設けた出力部は、第1フレームよりも原点に近い第2フレームに形成した移動規制部に貫通した状態で、この移動規制部によってY軸を含む平面内にのみ移動可能に規制される必要があるため、出力部(出力軸)の突出方向を第1フレームから原点に向かう方向にも設定することになる。
第1フレームに設ける出力部は、本発明に係るアクチュエータの用途等に応じて適宜変更することができ、軸に限定されることは構わない。そして、第2フレームの移動規制部は、出力部の形状や構成に応じて適宜適当な形状や構成に設定すればよい。出力部は、第2フレームの移動規制部に案内されるものであればよく、先端側領域が移動規制部を貫通して完全に移動規制部から飛び出した(露出した)状態で案内される構成、または先端側領域が移動規制部内にとどまり、移動規制部から飛び出していない(露出していない)状態で案内される構成でも構わない。
また、コイルを第1固定子や第2固定子ではなく、第1可動子や第2可動子に設けた構成であってもよい。
また、図31に示すように、各固定ヨーク(第1固定ヨーク32,第2固定ヨーク42)及び各保持部(第1保持部33,第2保持部43)をそれぞれ別体に形成したり、或いは、各固定ヨーク32,32及び各固定磁極(第1固定磁極31,第2固定磁極32)を一体に形成した構成を採用することもできる。相互に別体の固定ヨーク及び保持部を用いる場合、保持部は非磁性体であることが好ましいが、磁性体であってもよい。なお、図31は、上記変形例を図6に対応して示す図である。
第1可動子のX軸周りの可動角度範囲や、第2可動子のY軸周りの可動角度範囲は、アクチュエータの用途や仕様などに応じて適宜変更することができる。
上述の実施形態では、永久磁石を可動ヨークの表面に配置したいわゆるSPM(surface permanent magnet)タイプのモータを用いたアクチュエータを例示したが、SPMタイプ以外のモータを用いたアクチュエータであってもよい。一例として、図32及び図33(図32は一変形例に係るアクチュエータAを図1に対応して示す図であり、図33は、同変形例に係るアクチュエータAを図6に対応して示す図である)に示すように、各可動ヨーク(第1可動ヨーク11,第2可動ヨーク21)のうちギャップを介して固定子Sの第1固定磁極31,第2固定磁極42に対面する面に一部を露出させた状態で複数の永久磁石M1,M2を各可動ヨーク11,21に埋め込んだ構成を採用することができる。ここで、各永久磁石M1、M2は、S極またはN極が各可動ヨーク11、21の周方向を向く姿勢で所定ピッチで配置した構成を採用している。なお、この変形例に示すアクチュエータAは、第1可動子1、第2可動子2、第1固定子3、第2固定子4以外の構成は、上述した実施形態のアクチュエータAと同様の構成であるため、説明は省略し、図32以降の各図では、上述の実施形態におけるアクチュエータAと対応する部分や部材には同じ符号を付している。
この変形例に係るアクチュエータでは、各永久磁石M1,M2を、S極またはN極が各可動ヨーク11,21の周方向を向く姿勢で所定ピッチ(例えば、後述する各固定磁極31,41の突出端部に設けたティース311,411のピッチの半分に相当するピッチ)で複数配置している。各可動ヨーク11,12の周方向に隣り合う永久磁石M1同士,永久磁石M2同士は磁化の方向が互いに逆向きとなっている。したがって、各可動ヨーク11,21の周方向に隣り合う極同士が同極となる。また、各可動ヨーク11,21のうち隣り合う永久磁石M1同士、永久磁石M2同士に挟まれる部分が磁極(本発明の「第1可動磁極」に相当する)として機能する。これら各永久磁石M1,M2は、各可動ヨーク11,21のうちギャップを介して各固定子3,4に面する内向き面(内周面)に各軸(X軸,Y軸)周りに沿って一定間隔で形成した各溝に挿入された状態(埋め込まれた状態)で固定されている。なお、各永久磁石M1,M2のピッチは、ティース311,411のピッチの半分に限定されず、適宜のピッチに設定してもよい。
各可動ヨーク11,21には、それぞれ数十枚(図示例では33枚)の永久磁石M1,M2を固定配置している。図32に示すアクチュエータAでは、各可動ヨーク11,21の各軸(X軸,Y軸)周りの寸法(円弧の長さ)を、各軸(X軸,Y軸)周りにそれぞれ複数配置した各固定磁極31,41のうち3本以上(図示例では3本)の固定磁極31,41と対面可能な長さに設定している。
この変形例に示すアクチュエータでは、各固定子3,4の固定ヨーク32,42と、それぞれの固定ヨーク32,42を保持する保持部33,43とを別体に形成する一方で、各固定ヨーク32,42及び各固定磁極31,32を一体に形成している。
各固定磁極31,41のうちギャップを介して各可動子ヨーク11,21に対面する突出端部(先端部)には、各軸(X軸,Y軸)周りに沿って一定間隔でティース311,411を形成している。本実施形態では、各軸周りのティース311,411の間隔を、各可動ヨーク11,21に複数埋め込んだ永久磁石M1同士,永久磁石M2同士の間隔の約2倍に設定している。
また、各固定磁極31,41にそれぞれコイルCを巻回した各固定子3,4は、誘導子及び磁束発生部として機能を有する。
次に、このような構成を有するアクチュエータAの作動及び作用について説明する。
図32に示すアクチュエータAにおいて、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理と、第2固定子4に対して第2可動子がY軸回りに回転する動作原理は同じであり、図34及び図35に、第1固定子3に対して第1可動子1がX軸周りに回転する動作原理を示す。なお、図34及び図35では、説明の便宜上、第1可動子1及び第1固定子3の一部を省略するとともに、断面の切り口を示す平行斜線(ハッチング)を省略している。また、図33及び図34における2点鎖線は、原点を通る第1可動子1及び第1固定子3の中心線である。
一変形例に係るアクチュエータAは、何れのコイルCに電流を励磁していない無通電時において、図34に示すように、第1可動ヨーク11に埋め込まれた永久磁石M1の磁束のほとんどは第1可動ヨーク11内で短絡されることにより、アクチュエータAの径方向に対面する第1固定磁極31の各ティース311と第1可動ヨーク11の内周面とのギャップに流れる磁束はそれぞれ僅かであり、第1可動子1をX軸周りに回転させるトルクは発生しない。同様に、無通電時では第2固定磁極41と第2可動ヨーク21の内周面とのギャップに僅かな磁束が流れるものの、第2可動子2をY軸周りに回転させるトルクは発生しない(図示省略)。
一方、本変形例のアクチュエータAは、第1固定磁極31に巻回したコイルCをU、V、Wの三相に分けて、これらのコイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(例えば図23に示す電流パターンで通電する)ことによって、図35に示すように、第1可動子1をX軸周りに回転させる回転磁界が発生して、回転トルクTが生じ、第1可動子1がX軸周りに回転する。そして、各コイルCに流す電流の向きや大きさを適宜調整することにより、図32に示す標準姿勢(St)の第1可動子1をX軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることが可能である。
同様に、本変形例のアクチュエータAは、第2固定磁極41に巻回したコイルCをU、V、Wの三相に分けて、これらのコイルCに120度ずつ位相のずれた三相交流電流を励磁する(通電)ことによって、第2可動子2をY軸周りに回転させる回転磁界が発生し、第2可動子2をY軸周りにプラス方向、マイナス方向へそれぞれ所定角度の範囲内で回転させることができる。これら各可動子11,21の各軸(X軸、Y軸)周りの回転に伴う出力部15の移動は、図1に示すアクチュエータAと同じである。
本変形例のアクチュエータAであれば、図1に示すアクチュエータAと比較して、各可動ヨーク11,21を大型サイズに設計変更することなく、これら各可動ヨーク11,21にそれぞれ付帯させる永久磁石M1,M2の数を格段に増加させることができ、永久磁石M1,M2の増加に応じて、各ヨーク11,21の利用効率を飛躍的に高めた磁気回路を構成することができ、ギャップを通る磁束量の増大化に伴い、大きな回転トルクを得ることができる点で有利である。
なお、本変形例に係るアクチュエータAは、図1に示すアクチュエータAと比較して、可動子R及び固定子Sの具体的な構造が異なるものの、その他の構造は同じであるため、第1実施形態に係るアクチュエータAが奏する作用効果と同様の効果を得ることができる。なお、各可動ヨーク11,21に形成する永久磁石保持用の溝は各軸(X軸,Y軸)周りに沿って一定間隔であればよく、固定磁極31,41の先端部に形成したティースと同一ピッチ、或いはその他の値のピッチ間隔であってもよい。
また、本発明のアクチュエータを、上述した用途(ロボットの眼球や関節、監視カメラ、所定範囲で角度調整可能な角度ステージ)以外の種々の用途(例えば、ウェハ検査装置など)にも適用することができる。
各固定磁極及び各可動磁極の数やピッチは適宜変更することができる。
また、第1保持部及び第2保持部を支持する支柱は、第1可動子及び第2可動子の可動範囲から外れた位置に固定配置されたものであればよく、Z軸と一致する方向に延伸するものに限られない。第1保持部及び第2保持部を複数本の支柱で支持する構成でも構わない。また、第1保持部及び第2保持部の何れか一方又は両方と支柱を一体に形成することもできる。
第1可動子をX軸周りに回転させる際のコイルに通電する電流制御と、第2可動子をY軸周りに回転させる際のコイルに通電する電流制御とを共通化することは困難になるものの、複数の第1固定磁極が配列されるX軸周りの円弧と、複数の第2固定磁極が配列されるY軸周りの円弧との径を相互に異ならせたり、原点から第1可動磁極までの距離と原点から第2可動磁極までの距離を相互に異ならせても構わない。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。