JP2014093139A - 非水二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力充放電特性及び充放電サイクル特性に優れた非水二次電池を提供する。
【解決手段】本発明の非二次電池は、正極、負極、非水電解質及びセパレータを備え、前記正極は、正極活物質と、導電性ポリマーと、導電助剤と、バインダとを含有する正極合剤層を備え、前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン又はその誘導体であり、前記ポリチオフェン又はその誘導体は、チオフェン環の3位にエーテル基を有し、前記エーテル基は、末端にメチル基を有し、前記末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されており、前記導電性ポリマーの含有量は、前記正極合剤層の全質量に対して0.05〜0.5質量%であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューター等の携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウムイオン二次電池の高容量化が更に進む傾向にあり、エネルギー密度を更に向上させるための研究・開発が進められている。
一方、最近では非水二次電池の高性能化に伴い、非水二次電池が携帯機器の電源以外の電源としても用いられ始めた。例えば、自動車用やバイク用の電源、ロボット等の移動体用の電源等に非水二次電池が用いられ始めた。非水二次電池を自動車用やバイク用の電源、ロボット等の移動体用の電源等に用いる場合には、更なる高容量化を図る必要がある。
非水二次電池の高容量化を図る対策の一つとして、電極合剤層の厚さを厚くする方法がある。しかし、電極合剤層の厚さを厚くすると、高出力充放電時の容量低下を招く場合がある。これは、電極合剤層の厚さが厚くなるにつれて、集電体との距離が大きくなる活物質が増加するため、電極内の導電性が低下することが原因の一つであると考えられる。一方、電極内の導電性を向上させる方法としては、例えば、特許文献1では、正極合剤層に電子伝導性ポリマーを含有させる方法が提案されている。
また、非水二次電池の高容量化を図る他の対策として、例えば、特許文献2では、正極活物質をシラン化合物で被覆する方法が提案されている。
特開平11−273662号公報(特許第3699589号公報) 特開2002−367610号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、充放電を繰り返すうちに電子伝導性ポリマーが分解し、初期の良好な電池特性を保持することが困難となる問題がある。また、特許文献2に記載の方法では、正極活物質をシラン化合物で被覆しているため、正極活物質の表面の導電性が低下し、高出力充放電時の容量低下を十分に抑制できない問題がある。
本発明は上記問題を解決したもので、高出力充放電特性及び充放電サイクル特性に優れた非水二次電池を提供するものである。
本発明の非水二次電池は、正極、負極、非水電解質及びセパレータを含む非水二次電池であって、前記正極は、正極活物質と、導電性ポリマーと、導電助剤と、バインダとを含有する正極合剤層を含み、前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン又はその誘導体であり、前記ポリチオフェン又はその誘導体は、チオフェン環の3位にエーテル基を有し、前記エーテル基は、末端にメチル基を有し、前記末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されており、前記導電性ポリマーの含有量は、前記正極合剤層の全質量に対して0.05〜0.5質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、高出力充放電特性及び充放電サイクル特性に優れた非水二次電池を提供することができる。
図1は、本発明の非水二次電池の一例を示す平面図である。
本発明の非水二次電池は、正極、負極、非水電解質及びセパレータを備えている。また、上記正極は、正極活物質と、導電性ポリマーと、導電助剤と、バインダとを含有する正極合剤層を備えている。更に、上記導電性ポリマーは、ポリチオフェン又はその誘導体であり、上記ポリチオフェン又はその誘導体は、チオフェン環の3位にエーテル基を有し、上記エーテル基は、末端にメチル基を有し、上記末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されており、上記導電性ポリマーの含有量は、上記正極合剤層の全質量に対して0.05〜0.5質量%である。
本発明の非水二次電池は、チオフェン環の3位にエーテル基を有するポリチオフェン又はその誘導体(導電性ポリマー)を含む正極合剤層を備えた正極を有しているため、正極合剤層の導電性が向上し、正極合剤層を厚くしても導電性が低下しない。また、上記ポリチオフェン又はその誘導体のエーテル基は、末端にメチル基を有し、上記末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されているため、充放電を繰り返しても上記導電性ポリマーの分解が抑制される。このように、本発明は、上記チオフェン環の3位にエーテル基を有するポリチオフェン又はその誘導体(導電性ポリマー)と、上記エーテル基の末端のメチル基の水素の一部又は全部をフッ素で置換することとの相乗効果により、高出力充放電特性及び充放電サイクル特性に優れた非水二次電池を提供できる。
〔正極〕
本発明の非水二次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電性ポリマー、導電助剤、バインダ等を含有する正極合剤層を、集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用できる。
<導電性ポリマー>
本発明で用いる導電性ポリマーは、ポリチオフェン又はその誘導体であり、上記ポリチオフェン又はその誘導体は、チオフェン環の3位にエーテル基を有し、上記エーテル基は、末端にメチル基を有し、上記末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されている。チオフェン環の3位にエーテル基を有するポリチオフェン又はその誘導体は、高い電子伝導性とリチウムイオン伝導性とを兼ね備えている。このため、上記ポリチオフェン又はその誘導体を正極合剤層に含有させることにより、正極合剤層の導電性が向上する。また、上記ポリチオフェン又はその誘導体のエーテル基は、その末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されているため、充放電を繰り返しても上記ポリチオフェン又はその誘導体の分解を抑制することができる。このため、上記ポリチオフェン又はその誘導体を正極合剤層に含有させることによる正極合剤層の導電性の向上効果を、充放電を繰り返しても維持できる。
上記導電性ポリマーの含有量は、正極合剤層の全質量に対して0.05〜0.5質量%である。この範囲の含有量であれば、正極合剤層の導電性の向上を充分に発揮することができる。
以下、本発明に係るポリチオフェン又はその誘導体を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係るポリチオフェン又はその誘導体は、下記一般式(1)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(α)を有するポリチオフェン又はその誘導体、及び下記一般式(2)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(β)を有するポリチオフェン又はその誘導体が好ましい。上記ポリチオフェン又はその誘導体は、チオフェン環の3位にエーテル基を有するため、従来のポリチオフェンに比べてリチウムイオン伝導性が向上する。このため、正極合剤層における内部抵抗と電気抵抗が大幅に低下し、出力特性の向上と高速充放電時のサイクル特性の向上が達成できる。また、導電性の観点からは、置換基の立体障害が緩和される下記一般式(2)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(β)を有するポリチオフェン又はその誘導体がより好ましい。
Figure 2014093139
Figure 2014093139
上記一般式(1)又は(2)において、R1、R2、R4及びR5はメチレン基を表わし、R3、R6、R7及びR8はメチル基を表し、それらのメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されている。また、上記一般式(1)又は(2)において、n1は1〜10000の整数、n2は0〜3の整数、n3は1〜10000の整数、n4は0〜3の整数をそれぞれ表す。
上記一般式(1)又は(2)において、n2を0〜3の整数、n4を0〜3の整数としたのは、n2、n4が3を超えると上記ポリチオフェン又はその誘導体の分解抑制効果が低下する傾向にあるからである。
本発明に係るポリチオフェン又はその誘導体は、それぞれのチオフェン繰り返し単位に相当するモノマーのアニオン重合や酸化重合等の公知の方法で合成することができる。
<正極活物質>
上記正極に用いる正極活物質は、構成元素として、ニッケル(Ni)と、コバルト(Co)及びマンガン(Mn)から選ばれる少なくとも一方とを含み、且つ層状構造を有するリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。Ni及びCoは電池の容量向上に寄与し、Mnはリチウム含有複合酸化物の熱的安定性向上に寄与する。
本発明で使用される上記リチウム含有複合酸化物には、例えば、高電位安定性といった正極活物質における他の特性も鑑み、特に、下記一般組成式(3)で表されるものを使用することが好ましい。
Li1+yMO2 (3)
但し、上記一般組成式(3)において、−0.15≦y≦0.15であり、且つ、Mは、Niと、Co及びMnから選ばれる少なくとも一方とを含む元素群を示し、上記元素群Mの全元素数に対する、上記元素群Mに含まれるNi、Co及びMnの元素数の割合を、それぞれa(mol%)、b(mol%)及びc(mol%)としたときに、25≦a≦90、5≦b≦35及び5≦c≦35で表される。
上記リチウム含有複合酸化物を表す上記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Niの割合aは、リチウム含有複合酸化物の容量向上を図る観点から、25mol%以上とすることが好ましく、50mol%以上とすることがより好ましい。但し、元素群M中のNiの割合が多すぎると、例えば、CoやMnの量が減って、これらによる効果が小さくなる虞がある。よって、上記リチウム含有複合酸化物を表す上記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Niの割合aは、90mol%以下とすることが好ましく、70mol%以下とすることがより好ましい。
また、Coはリチウム含有複合酸化物の容量に寄与し、正極合剤層における充填密度向上にも作用する一方で、多すぎるとコスト増大や安全性低下を引き起こす虞もある。よって、上記リチウム含有複合酸化物を表す上記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Coの割合bは、5mol%以上35mol%以下とすることが好ましい。
また、上記リチウム含有複合酸化物においては、上記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Mnの割合cを、5mol%以上35mol%以下とすることが好ましい。上記リチウム含有複合酸化物に上記のような量でMnを含有させ、結晶格子中に必ずMnを存在させることによって、上記リチウム含有複合酸化物の熱的安定性を高めることができ、より安全性の高い電池を構成することが可能となる。
上記リチウム含有複合酸化物を表す上記一般組成式(3)における元素群Mは、Ni、Co及びMn以外の元素を含んでいてもよく、例えば、Mg、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、Ag、Ta、Nb、Mo、B、P、Zr、Ga、Ba、Sr、Ca、Si、W及びS等の元素を含んでいても構わない。但し、本発明の効果を十分に得るためには、元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Ni、Co及びMn以外の元素の元素数の割合は、2.0mol%以下とすることが好ましく、1.0mol%以下とすることがより好ましい。元素群MにおけるNi、Co及びMn以外の元素は、リチウム含有複合酸化物中に均一に分布していてもよく、また、粒子表面等に偏析していてもよい。
更に、上記リチウム含有複合酸化物において、上記元素群MにMnを含む場合、更にCoを含有させることによって、電池の充放電でのLiのドープ及び脱ドープに伴うMnの価数変動を抑制し、Mnの平均価数を4価近傍の値に安定させ、充放電の可逆性をより高めることができる。よって、このようなリチウム含有複合酸化物を使用することで、より充放電サイクル特性に優れた電池を構成することが可能となる。
また、上記リチウム含有複合酸化物において、CoとMnとを併用することによる上記の効果を良好に確保する観点から、上記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Coの割合bとMnの割合cとの和b+cを、10mol%以上70mol%以下とすることが好ましく、10mol%以上50mol%以下とすることがより好ましい。
上記正極活物質は、一次粒子が集合して形成される二次粒子からなり、上記二次粒子の平均粒子径が6μm以下であり、X線回折図形における(003)面及び(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003及びI104としたとき、その積分強度比I003/I104が1.1以上であることが好ましい。これにより、高出力充放電特性及び充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供できる。積分強度比I003/I104が大きいほど正極活物質の結晶性が高いことを意味し、その上限値は1.3程度である。
また、上記正極活物質の積分強度比I003/I104を上記範囲に設定することで、実質的には、上記正極合剤層のX線回折図形における(003)面及び(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003及びI104としたときの積分強度比I003/I104を1.1以上に設定できる。
上記正極活物質は、一次粒子が集合して形成される二次粒子からなり、二次粒子の平均粒子径は、前述のとおり6μm以下であり、これにより正極活物質の比表面積が増大して、特に高出力充放電特性が向上する。上記二次粒子の平均粒子径の下限値は特に限定されず、通常は1μm程度である。
ところで、このような小粒子の正極活物質を用いると、正極活物質間の隙間が小さく且つ大きくなるため、導電助剤だけでは導電ネットワークを形成することが困難なため、高出力時の容量低下が抑えられない場合がある。そこで、前述の導電性ポリマーを用いることで、小粒子の正極活物質の小さな隙間に導電性ポリマーが入り込むことが可能となり、良好な導電ネットワークを形成することができ、高出力時の容量低下を抑える効果が顕著になる。
本発明において平均粒子径は、体積基準の積算分率50%における粒子直径の値であるD50を意味する。粒子直径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法等を用いることができる。具体的には、水等の液相に分散させた測定対象物質にレーザー光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法である。レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、日機装社製の“マイクロトラックHRA”等を用いることができる。
次に、上記リチウム含有複合酸化物の製造方法について説明する。上記リチウム含有複合酸化物は、Li含有化合物、Ni含有化合物、Co含有化合物及びMn含有化合物等を単純に混合して焼成するだけでは、高い純度で得ることが非常に困難である。これは、Ni、Co、Mn等は、固体中での拡散速度が遅いため、リチウム含有複合酸化物の合成反応時に、これらを均一に拡散させることが困難であり、生成したリチウム含有複合酸化物中にNi、Co、Mn等が均一に分布し難いことが原因であると考えられる。
本発明に係るリチウム含有複合酸化物を製造する際には、例えば、Ni、Co、Mn等を構成元素として含有する複合化合物と、Li含有化合物とを焼成する方法を採用することが好ましく、このような方法によって、上記リチウム含有複合酸化物を、高い純度で比較的容易に合成できる。即ち、あらかじめ、Ni、Co、Mn等を含有する複合化合物を製造しておき、これをLi含有化合物と共に焼成することにより、酸化物形成反応において、Ni、Co、Mn等が均一に分布し、リチウム含有複合酸化物がより高純度で合成される。
本発明に係るリチウム含有複合酸化物の製造方法は、上記方法に限定されるものではないが、どのような製造過程を経るかによって、生成するリチウム含有複合酸化物の物性、即ち、構造の安定性や充放電の可逆性、真密度等が大きく変化するものと推測される。
ここで、Ni、Co、Mn等を含有する複合化合物としては、例えば、Ni、Co及びMnを含む共沈化合物、水熱合成された化合物、メカニカル合成された化合物、及びそれらを熱処理して得られる化合物等が挙げられる。
上記共沈化合物は、例えば、Ni、Co、Mn等の構成元素の硫酸塩、硝酸塩等を所定の割合で溶解させた水溶液を水酸化アルカリ水溶液に添加して反応させることにより、これら構成元素の共沈水酸化物として得ることができる。
上記水酸化アルカリ水溶液の代わりに、水酸化アルカリによりpHをおよそ10〜13の範囲に調整したアンモニア水を用いてもよい。即ち、アンモニア水の温度をおよそ40〜60℃の範囲で一定に保ち、アンモニア水のpHが上記範囲で一定に保たれるようアルカリ水溶液を添加しながら、上記アンモニア水に上記硫酸塩、硝酸塩等を溶解させた水溶液を徐々に添加して共沈化合物を析出させる。
上記元素群Mの一部に、Ni、Co及びMn以外の元素、例えば、Mg、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、Ag、Ta、Nb、Mo、B、P、Zr、Ga、Ba、Sr、Ca、Si、W及びSよりなる群から選択される少なくとも1種の元素(以下、これらを纏めて「元素M'」という。)を含有する上記リチウム含有複合酸化物を製造する場合には、例えばNi、Co及びMnを含有する複合化合物と、Li含有化合物と、元素M'含有化合物とを混合して焼成することにより製造できるが、可能であれば、例えばNi、Co及びMnと、更に元素M'も含有する複合化合物を用いることが好ましい。また、上記複合化合物におけるNi、Co、Mn及びM'の量比は、目的とするリチウム含有複合酸化物の組成に応じて適宜調整すればよい。
上記リチウム含有複合酸化物の粒子の製造に用い得るLi含有化合物としては、種々のリチウム塩を用いることができ、例えば、水酸化リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウム等が挙げられ、それらの中でも、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物等の環境に悪影響を及ぼすガスが発生しない点で、水酸化リチウム・一水和物が好ましい。
以上より、上記リチウム含有複合酸化物を製造するには、例えば、先ず、Ni、Co及びMnを含有する複合化合物と、Li含有化合物と、必要に応じて使用される元素M'含有化合物とを、目的とするリチウム含有複合酸化物の組成にほぼ応じた比率で混合する。そして、得られた原料混合物を、例えば、600〜1000℃で1〜24時間焼成することで、上記リチウム含有複合酸化物を得ることができる。
また、上記原料混合物の焼成時の雰囲気は、酸素ガス雰囲気とすることが好ましい。これにより、製造されるリチウム含有複合酸化物に含まれる不純物の量を低減でき、結晶性が向上し、前述の積分強度比I003/I104を1.1以上にすることができる。
<バインダ>
上記正極に用いるバインダとしては、電池内で化学的に安定なものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、又は、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体及びそれら共重合体のNaイオン架橋体等の1種又は2種以上を使用できる。
上記バインダの含有量は、正極合剤層の全質量に対して5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは4.0質量%以下である。正極合剤層中のバインダ量が多すぎると、正極合剤層と集電体との密着性が高くなりすぎて、この正極を用いた巻回電極体の内周側において、正極合剤層に亀裂等の欠陥が生じやすくなる。
また、正極の容量向上の観点からは、正極合剤層中のバインダ量を減らして、正極活物質の含有量を高めることが好ましいが、正極合剤層中のバインダ量が少なすぎると、正極合剤層の柔軟性が低下して、この正極を用いた巻回電極体の形状(特に外周側の形状)が悪化し、正極の生産性、更にはこれを用いた電池の生産性が損なわれる虞がある。よって、上記バインダの含有量は、正極合剤層の全質量に対して0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上である。
<導電助剤>
上記正極に用いる導電助剤としては、電池内で化学的に安定なものであればよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;アルミニウム粉等の金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウム等からなる導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性の高いグラファイトと、吸液性に優れたカーボンブラックが好ましい。また、導電助剤の形態としては、一次粒子に限定されず、二次凝集体や、チェーンストラクチャー等の集合体の形態のものも用いることができる。このような集合体の方が、取り扱いが容易であり、生産性が良好となる。
上記導電助剤の含有量としては、上記導電助剤の含有量を正極合剤層の全質量に対してA質量%とし、前述のバインダの含有量を正極合剤層の全質量に対してB質量%とすると、A/B≧1の関係が成立することが好ましい。この範囲の含有量であれば、正極合剤層の導電性の向上を充分に発揮することができる。
<集電体>
上記正極に用いる集電体としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚さが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
<正極の製造方法>
上記正極は、例えば、前述した正極活物質、導電性ポリマー、導電助剤及びバインダを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(但し、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。正極の製造方法は、上記の方法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<正極合剤層>
上記正極合剤層の厚さは、カレンダ処理後において、集電体の片面あたり、70〜300μmであることが好ましい。上記正極合剤層の厚さを上記範囲に設定し、出来るだけ厚くすることにより、非水二次電池の高容量化を図ることができる。
〔負極〕
本発明の非水二次電池に係る負極には、例えば、負極活物質、バインダ及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤層を、集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用できる。
<負極活物質>
上記負極に用いる負極活物質には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質、即ち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に制限はない。例えば、グラファイト、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維等の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種又は2種以上の混合物が負極活物質として用いられる。また、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)等の元素の単体及びその元素の合金、リチウム含有窒化物又はリチウム含有酸化物等のリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。中でも、負極活物質としては、シリコンと酸素とを構成元素に含むSiOxで表される材料が好ましい。
SiOxは、Siの微結晶又は非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶又は非晶質相のSiを含めた比率となる。即ち、SiOxには、非晶質のSiO2マトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiO2と、その中に分散しているSiを合わせて、上記原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiO2マトリックス中に、Siが分散した構造で、SiO2とSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
上記SiOxは、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOxの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。通常、SiOxは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOxと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOxを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOxと炭素材料等の導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
即ち、SiOxの比抵抗値は、通常、103〜107kΩcmであるのに対して、上記例示の炭素材料の比抵抗値は、通常、10-5〜10kΩcmであり、SiOxと炭素材料とを複合化することにより、SiOxの導電性を向上できる。
上記SiOxと炭素材料との複合体としては、上記のように、SiOxの表面を炭素材料で被覆したものの他、SiOxと炭素材料との造粒体等が挙げられる。
上記SiOxとの複合体の形成に用い得る上記炭素材料としては、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維等の炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
上記炭素材料の詳細としては、繊維状又はコイル状の炭素材料、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状又はコイル状の炭素材料は、導電ネットワークを形成し易く、且つ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、SiOx粒子が膨張・収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有している点において好ましい。
上記例示の炭素材料の中でも、SiOxとの複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴うSiOxの膨張・収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiOx粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
上記負極にSiOxと炭素材料との複合体を使用する場合、SiOxと炭素材料との比率は、炭素材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiOx:100質量部に対して、炭素材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、上記複合体において、SiOxと複合化する炭素材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiOx量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiOx:100質量部に対して、炭素材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
上記のSiOxと炭素材料との複合体は、例えば下記の方法によって得ることができる。
上記SiOxの表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、SiOx粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、化学気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスがSiOx粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面に導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によってSiOx粒子に均一性よく導電性を付与できる。
上記炭素材料で被覆されたSiOxの製造において、CVD法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、且つ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
上記炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等を用いることができるが、取り扱い易いトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガス等を用いることもできる。
また、SiOxと炭素材料との造粒体を作製する場合には、SiOxが分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、複数の粒子を含む造粒体を作製する。分散媒としては、例えば、エタノール等を用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。上記方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミル等を用いた機械的な方法による造粒方法においても、SiOxと炭素材料との造粒体を作製することができる。
上記負極においては、SiOxを使用することによる高容量化の効果を良好に確保する観点から、負極活物質中におけるSiOxと炭素材料との複合体の含有量が、0.01質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、充放電に伴うSiOxの体積変化による問題をより良好に回避する観点から、負極活物質中におけるSiOxと炭素材料との複合体の含有量が、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
<バインダ>
上記負極に用いるバインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース等の多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミド等の熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド等のゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
<導電助剤>
上記負極合剤層には、更に導電助剤として導電性材料を添加してもよい。このような導電性材料としては、電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の粉末)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)等の材料を、1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましく、ケッチェンブラックやアセチレンブラックがより好ましい。
<集電体>
上記負極に用いる集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル等を用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
<負極の製造方法>
上記負極は、例えば、前述した負極活物質及びバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(但し、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。負極の製造方法は、上記の製法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<負極合剤層>
上記負極合剤層においては、負極活物質の総量を80〜99質量%とし、バインダの量を1〜20質量%とすることが好ましい。また、別途導電助剤として導電性材料を使用する場合には、負極合剤層におけるこれらの導電性材料は、負極活物質の総量及びバインダ量が、上記の好適値を満足する範囲で使用することが好ましい。前述の正極合剤層の厚さを考慮して負極合剤層の厚さは、例えば、50〜400μmであることが好ましい。
〔非水電解質〕
本発明の非水二次電池に係る非水電解質としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液を使用できる。
上記非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してリチウムイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機リチウム塩、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li224(SO32、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCn2n+1SO3(2≦n≦7)、LiN(RfOSO22〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕等の有機リチウム塩等を用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
上記非水電解液に用いる有機溶媒としては、上記リチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;プロピオン酸メチル等の鎖状エステル;γ−ブチロラクトン等の環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等の鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;エチレングリコールサルファイト等の亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒等、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
〔セパレータ〕
本発明の非水二次電池に係るセパレータには、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(即ち、シャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常のリチウムイオン二次電池等で使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
〔電池の形態〕
本発明の非水二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶等を外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形等)等が挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。但し、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<導電性ポリマーの合成>
下記のようにして導電性ポリマーとしてポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}を合成した。
(1)第1ステップ:3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
トリフルオロエタノール3.54質量部(39.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF)15質量部に溶解させ、そこに水素化ナトリウム(60%パラフィン分散)を加えた。次に、上記溶液に、3−ブロモチオフェン[東京化成工業社製]6.32質量部(38.8mmol)をTHF15質量部に溶かした溶液を、2時間かけて滴下した後、100℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、蒸留水30質量部を加え、分液ロートに移した後、水層を分離した。更に、残りの有機層を蒸留水30質量部で2回洗浄した後、THFを留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを得た。
(2)第2ステップ:2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
上記3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン5.68質量部(29.0mmol)とN−ブロモスクシンイミド11.9質量部(67.1mmol)とをTHFに溶解させ、室温で2時間反応させた。反応後に、酢酸エチル50質量部を加えてグラスフィルターで沈殿物を除去し、THFと酢酸エチルを留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを得た。
(3)第3ステップ:ポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}の合成
上記2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン8.11質量部(22.9mmol)をTHF30質量部に溶かした後、メチルマグネシウムブロマイドTHF溶液25質量部を加え、75℃で30分反応させた。その反応溶液に[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ジクロロニッケル(II)0.127質量部を加え、75℃のまま更に2時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、メタノール5質量部を加えた。次に、反応混合物をソックスレー抽出器に移し、メタノール150質量部とヘキサン150質量部とを用いて順に洗浄した。最後に残留物をクロロホルム150質量部で抽出し、溶剤を留去して、ポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}を得た。
上記ポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}は、前述の一般式(1)において、n1は約20で、n2は0であり、エーテル基の末端のメチル基の水素を全てフッ素で置換したものである。
<導電性ポリマー・バインダ溶液の調製>
上記で合成した導電性ポリマーであるポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}:0.2質量部及びバインダであるPVDF:1.8質量部に、NMPを適量添加して撹拌して、導電性ポリマー・バインダ溶液を調製した。
<リチウム含有複合酸化物の合成>
水酸化ナトリウムの添加によってpHを約12に調整したアンモニア水を反応容器に入れ、これを強攪拌しながら、この中に、硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンを、それぞれ、2.10mol/L、0.84mol/L、1.26mol/Lの濃度で含有する混合水溶液と、25質量%濃度のアンモニア水とを、それぞれ、23cm3/分、6.6cm3/分の割合で、定量ポンプを用いて滴下して、滴下から80時間後にスラリーを濾過し、100℃で24時間乾燥させることでNiとCoとMnとの共沈化合物(球状の共沈化合物)を合成した。この際、反応液の温度は50℃に保持し、また、反応液のpHが12付近に維持されるように、6.4mol/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液の滴下も同時に行い、更に窒素ガスを1L/分の流量でバブリングした。
上記共沈化合物を水洗、濾過及び乾燥させて、NiとCoとMnとを50:20:30のモル比で含有する水酸化物を得た。この水酸化物0.196molと、0.204molのLiOH・H2Oとをエタノール中に分散させてスラリー状にした後、遊星型ボールミルで40分間混合し、室温で乾燥させて混合物を得た。次いで、上記混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、2L/分のドライエアーフロー中で600℃まで加熱し、その温度で2時間保持して予備加熱を行い、更に700℃に昇温して酸素雰囲気中で12時間焼成することにより、リチウム含有複合酸化物を合成した。得られたリチウム含有複合酸化物は、乳鉢で粉砕して粉体とした後、デシケーター中で保存した。
上記リチウム含有複合酸化物の粉体について、原子吸光分析装置で組成を測定したところ、LiNi0.5Co0.2Mn0.32で表される組成であることが判明した。
また、上記リチウム含有複合酸化物のX線回折測定を行った。具体的には、リガク社製のX線回折測定装置「RINT−2500V/PC」を用いてCuKα線によりX線回折の測定を行い、得られたデータの解析はリガク社製の解析ソフト「JADE」を用いて行った。ここで、X線回折図形における(003)面及び(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003及びI104とし、そのI003及びI104は、それぞれの回折線のピーク面積から求め、その積分強度比I003/I104を計算により求めた。その結果、積分強度比I003/I104は、1.2であった。
また、上記リチウム含有複合酸化物の二次粒子の平均粒子径を前述の方法で測定したところ、D50は、5.0μmであった。
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi0.5Co0.2Mn0.32:93.7質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:4.0質量部と、分散剤であるポリビニルピロリドン(PVP):0.3質量部とを混合し、ここに、導電性ポリマーであるポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}を0.2質量部とバインダであるPVDFを1.8質量部とを含む上記導電性ポリマー・バインダ溶液を加え、更に適量のNMPを添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、正極合剤含有スラリーを調製した。次に、正極集電体となる厚さが15μmのアルミニウム箔の片面に、上記正極合剤含有スラリーを15mg/cm2の塗布量となるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して、プレス処理後の厚さが70μmの正極合剤層を備えた正極を作製した。但し、上記正極合剤含有スラリーをアルミニウム箔に塗布する際には、アルミニウム箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
次に、この正極を、正極合剤層の面積が30mm×30mmで、且つ、アルミニウム箔の露出部を含むように裁断し、更に、電流を取り出すためのアルミニウム製のリード片をアルミニウム箔の露出部に溶接し、リード付き正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質であるグラファイト:96質量部、並びに、バインダであるカルボキシメチルセルロース(CMC):2質量部及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR):2質量部からなる負極合剤に、適量の水を添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、負極合剤含有スラリーを調製した。次に、負極集電体となる厚さが7μmの銅箔の片面に、上記負極合剤含有スラリーを9.8mg/cm2の塗布量となるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して厚さが80μmの負極合剤層を備えた負極を作製した。但し、上記負極合剤含有スラリーを銅箔に塗布する際には、銅箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
次に、この負極を、負極合剤層の面積が35mm×35mmで、且つ、銅箔の露出部を含むように裁断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製のリード片を、銅箔の露出部に溶接して、リード付き負極を得た。
<電池の組み立て>
上記リード付き正極と上記リード付き負極とを、PE製の微多孔膜セパレータ(厚さ18μm)を介して重ね合わせて積層電極体とし、この積層電極体を、90mm×160mmのアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体に収容した。続いて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを2:8の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1.2mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を上記外装体内に1mL注入した後、上記外装体を封止して、ラミネート形非水二次電池を得た。
図1に得られたラミネート形非水二次電池の平面図を示す。図1において、本実施例のラミネート形非水二次電池1は、積層電極体及び非水電解液が、平面視で矩形のアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体2内に収容されている。そして、正極外部端子3及び負極外部端子4が、外装体2の同じ辺から引き出されている。
(実施例2)
正極合剤含有スラリーの塗布量を21mg/cm2に変更し、プレス処理後の正極合剤層の厚さを90μmに変更し、負極合剤含有スラリーの塗布量を13.5mg/cm2に変更し、プレス処理後の負極合剤層の厚さを110μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(実施例3)
実施例1で調製した導電性ポリマー・バインダ溶液を用いずに、LiNi0.5Co0.2Mn0.32:93.7質量部と、アセチレンブラック:4.0質量部と、PVP:0.3質量部と、ポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}:0.2質量部と、PVDF:1.8質量部と、適量のNMPとを、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、正極合剤含有スラリーを調製し、その正極合剤含有スラリーの塗布量を21mg/cm2に変更し、プレス処理後の正極合剤層の厚さを90μmに変更し、負極合剤含有スラリーの塗布量を13.5mg/cm2に変更し、プレス処理後の負極合剤層の厚さを110μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(実施例4)
正極合剤含有スラリーの塗布量を31mg/cm2に変更し、プレス処理後の正極合剤層の厚さを125μmに変更し、負極合剤含有スラリーの塗布量を19.6mg/cm2に変更し、プレス処理後の負極合剤層の厚さを157μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(実施例5)
<正極の作製>
正極合剤含有スラリーの塗布量を31mg/cm2に変更し、プレス処理後の正極合剤層の厚さを125μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてリード付き正極を作製した。
<負極の作製>
SiO(平均粒径5.0μm)を沸騰床反応器中で約1000℃に加熱し、加熱されたSiO粒子にメタンと窒素ガスからなる25℃の混合ガスを接触させ、1000℃で60分間CVD処理を行った。このようにして上記混合ガスが熱分解して生じた炭素(以下「CVD炭素」ともいう。)をSiO粒子に堆積させて被覆層を形成し、負極活物質である炭素被覆SiOを得た。
被覆層形成前後の質量変化から上記負極活物質の組成を算出したところ、SiO:CVD炭素=85:15(質量比)であった。
次に、負極活物質である上記炭素被覆SiO:5質量部及びグラファイト:85質量部と、導電助剤であるケッチェンブラック(平均粒径0.05μm):2質量部と、バインダであるCMC:4質量部及びSBR:4質量部と、水とを混合して、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、負極合剤含有スラリーを調製した。次に、負極集電体となる厚さが7μmの銅箔の片面に、上記負極合剤含有スラリーを13.1mg/cm2の塗布量となるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して厚さが100μmの負極合剤層を備えた負極を作製した。但し、上記負極合剤含有スラリーを銅箔に塗布する際には、銅箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
次に、この負極を、負極合剤層の面積が35mm×35mmで、且つ、銅箔の露出部を含むように裁断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製のリード片を、銅箔の露出部に溶接して、リード付き負極を得た。
<電池の組み立て>
上記リード付き正極と上記リード付き負極とを用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(実施例6)
<リチウム含有複合酸化物の合成>
硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンを含有する混合水溶液と、アンモニア水とを反応容器に滴下して、滴下から濾過するまでの時間を100時間としたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム含有複合酸化物(LiNi0.5Co0.2Mn0.32)を作製した。上記リチウム含有複合酸化物の積分強度比I003/I104及びその二次粒子の平均粒子径D50を実施例1と同様にして測定したところ、積分強度比I003/I104は、1.15であり、D50は、14.4μmであった。
上記リチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いたこと以外は、実施例2と同様にしてラミネート形非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
正極合剤含有スラリーの組成について、導電性ポリマーを添加せずに、PVDFの含有量を2.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例2)
<導電性ポリマーの合成>
下記のようにして導電性ポリマーとしてポリ(3−エトキシチオフェン)を合成した。
(1)第1ステップ:2,5−ジブロモ−3−エトキシチオフェンの合成
3−エトキシチオフェン[東京化成工業社製]5.68質量部(30.5mmol)とN−ブロモスクシンイミド11.9質量部(67.1mmol)とをTHFに溶解させ、室温で2時間反応させた。反応後に、酢酸エチル50質量部を加えてグラスフィルターで沈殿物を除去し、THFと酢酸エチルを留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、2,5−ジブロモ−3−エトキシチオフェンを得た。
(2)第2ステップ:ポリ(3−エトキシチオフェン)の合成
上記2,5−ジブロモ−3−エトキシチオフェン8.11質量部(23.6mmol)をTHF30質量部に溶かした後、メチルマグネシウムブロマイドTHF溶液25質量部を加え、75℃で30分反応させた。その反応溶液に[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ジクロロニッケル(II)0.127質量部を加え、75℃のまま更に2時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、メタノール5質量部を加えた。次に、反応混合物をソックスレー抽出器に移し、メタノール150質量部とヘキサン150質量部とを用いて順に洗浄した。最後に残留物をクロロホルム150質量部で抽出し、溶剤を留去して、ポリ(3−エトキシチオフェン)を得た。
上記ポリ(3−エトキシチオフェン)は、実施例1で合成したポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}において、エーテル基の末端のメチル基の水素がフッ素で置換されていないものである。
導電性ポリマーとして上記ポリ(3−エトキシチオフェン)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例3)
正極合剤含有スラリーの組成について、導電性ポリマーを添加せずに、PVDFの含有量を2.0質量部に変更した以外は、実施例2と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例4)
導電性ポリマーとしてポリ(3−エトキシチオフェン)を用いた以外は、実施例2と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例5)
正極合剤含有スラリーの組成について、導電性ポリマーを添加せずに、PVDFの含有量を2.0質量部に変更した以外は、実施例4と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例6)
導電性ポリマーとしてポリ(3−エトキシチオフェン)を用いた以外は、実施例4と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例7)
正極合剤含有スラリーの組成について、導電性ポリマーを添加せずに、PVDFの含有量を2.0質量部に変更した以外は、実施例5と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例8)
導電性ポリマーとしてポリ(3−エトキシチオフェン)を用いた以外は、実施例5と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(比較例9)
正極合剤含有スラリーの組成について、導電性ポリマーを添加せずに、PVDFの含有量を2.0質量部に変更した以外は、実施例6と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
(実施例7)
<導電性ポリマーの合成>
下記のようにして導電性ポリマーとしてポリ[3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン]を合成した。
(1)第1ステップ:3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
実施例1の第1ステップと同様にして3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを合成した。
(2)第2ステップ:2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
実施例1の第2ステップと同様にして2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを合成した。
(3)第3ステップ:2,5−ビス(トリ−n−ブチルシン)−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
THF80mLに上記2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン8.11質量部(22.9mmol)を加えて撹拌しながら、ドライアイスとメタノールとを用いたアイスバスを使用して−78℃に冷却した。次に、上記混合溶液に、1.6mol/L濃度のn−ブチルリチウムのヘキサン溶液25.6mLを20分かけて滴下して30分撹拌した後、トリ−n−ブチル塩化スズ16.4gを10分かけて滴下した。滴下終了後、上記混合溶液を−78℃に冷却したまま3時間撹拌し、更に室温に戻してから一晩撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液を分液ロートに移した後、ヘキサン400mLと濃度5%の炭酸水素ナトリウム水溶液50mLを加えて、水層を分離した。更に、残りの有機層を蒸留水30質量部で2回洗浄した後、ヘキサンを留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、2,5−ビス(トリ−n−ブチルシン)−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを得た。
(4)第4ステップ:2−イオド−3−メトキシチオフェンの合成
3−メトキシチオフェン[東京化成工業社製]1.8質量部(15.8mmol)をベンゼン26質量部に溶解させ、撹拌しながら上記第3ステップと同様にしてアイスバスで冷却した。次に、上記溶液に、酸化第二水銀[Aldrich社製]3.43質量部とヨウ素4.08質量部を少量ずつ加えた。その後、アイスバスを外して上記溶液を一晩撹拌して反応させた。反応終了後、上記反応溶液からグラスフィルターで沈殿物を除去し、反応液を分液ロートに移した後、エーテル400mLと濃度5%のチオ硫酸ナトリウム水溶液15mLを加えて、水層を分離した。更に、残りの有機層を蒸留水30質量部で2回洗浄した後、エーテルを留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、2−イオド−3−メトキシチオフェンを得た。
(5)第5ステップ:3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンの合成
アルゴン雰囲気下で、上記第3ステップで合成した2,5−ビス(トリ−n−ブチルシン)−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン2.94質量部(3.80mmol)と、上記第4ステップで合成した2−イオド−3−メトキシチオフェン2.50質量部(10.4mmol)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.5質量部(0.48mmol)とをトルエン40質量部に溶解させ、撹拌した。その後、上記溶液をマントルヒーターで100℃まで加熱しながら一晩撹拌して反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、上記反応溶液からグラスフィルターで沈殿物を除去し、反応溶液を分液ロートに移した後、エーテル400mLと濃度5%のチオ硫酸ナトリウム水溶液15mLを加えて、水層を分離した。更に、残りの有機層を蒸留水30質量部で2回洗浄した後、エーテルを留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンを得た。
(6)第6ステップ:5,5”−ジブロモ−3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンの合成
上記3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン12.19質量部(29.0mmol)とN−ブロモスクシンイミド11.9質量部(67.1mmol)とをTHFに溶解させ、室温で2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル50質量部を加え、上記反応溶液からグラスフィルターで沈殿物を除去した後、THFと酢酸エチルを留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、5,5”−ジブロモ−3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンを得た。
(7)第7ステップ:ポリ[3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン]の合成
上記5,5”−ジブロモ−3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン3.41質量部(22.9mmol)をTHF30質量部に溶かした後、メチルマグネシウムブロマイドTHF溶液25質量部を加え、75℃で30分反応させた。その反応溶液に[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ジクロロニッケル(II)0.127質量部を加え、75℃のまま更に2時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、メタノール5質量部を加えた。次に、反応混合物をソックスレー抽出器に移し、メタノール150質量部とヘキサン150質量部とを用いて順に洗浄した。最後に残留物をクロロホルム150質量部で抽出し、溶剤を留去して、ポリ[3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン]を得た。
上記ポリ[3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン]は、前述の一般式(2)において、n3は約20で、n4は0であり、R6のメチル基の水素を全てフッ素で置換したものである。
導電性ポリマーとして上記ポリ[3,3”−ジメトキシ−3’トリフルオロエトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェン]を用いた以外は、実施例2と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
表1に実施例1〜7及び比較例1〜9の電池の正極合剤層の各成分の含有量(質量部)及び正極活物質の平均粒子径:D50を示す。
Figure 2014093139
次に、実施例1〜7及び比較例1〜9の電池を用いて充放電特性と充放電サイクル特性を評価した。
<充放電特性>
各電池について、23℃で、1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った後、電流値が0.1CmAになるまで4.2Vで定電圧充電した。その後、1Cの電流値で2.5Vになるまで定電流で放電して、1C放電容量を測定した。
次に、23℃で、2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った後、電流値が0.2CmAになるまで4.2Vで定電圧充電した。その後、2Cの電流値で2.5Vになるまで定電流で放電して、2C放電容量を測定した。
<充放電サイクル特性>
各電池について、23℃で、2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った後、電流値が0.2CmAになるまで4.2Vで定電圧充電する充電と、2Cの電流値で2.5Vになるまで定電流で行う放電とを行う一連の操作を1サイクルとして充放電を繰り返し、下記式により600サイクル目の容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=(600サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
上記の結果を表2に示す。表2では、正極合剤層の厚さも合わせて示した。
Figure 2014093139
表2から、本発明の実施例1〜7の電池を、正極合剤層の厚さが同じ電池同士で、比較例1〜9の電池と比べると、本発明の実施例1〜7の電池は、比較例1〜9の電池と比べて、それぞれ1C放電容量、2C放電容量及び容量維持率が高いことが分かる。一方、導電性ポリマーを添加しなかった比較例1、3、5、7及び9、エーテル基の末端のメチル基の水素をフッ素置換していない導電性ポリマーを用いた比較例2、4、6及び8では、正極合剤層の厚さが同じ実施例1〜7の電池に比べて、それぞれ1C放電容量、2C放電容量及び容量維持率が低いことが分かる。
1 ラミネート形非水二次電池
2 外装体
3 正極外部端子
4 負極外部端子

Claims (8)

  1. 正極、負極、非水電解質及びセパレータを含む非水二次電池であって、
    前記正極は、正極活物質と、導電性ポリマーと、導電助剤と、バインダとを含有する正極合剤層を含み、
    前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン又はその誘導体であり、
    前記ポリチオフェン又はその誘導体は、チオフェン環の3位にエーテル基を有し、
    前記エーテル基は、末端にメチル基を有し、
    前記末端のメチル基の水素の一部又は全部がフッ素で置換されており、
    前記導電性ポリマーの含有量は、前記正極合剤層の全質量に対して0.05〜0.5質量%であることを特徴とする非水二次電池。
  2. 前記バインダの含有量は、前記正極合剤層の全質量に対して0.5〜5.0質量%である請求項1に記載の非水二次電池。
  3. 前記導電助剤の含有量を前記正極合剤層の全質量に対してA質量%とし、前記バインダの含有量を前記正極合剤層の全質量に対してB質量%とすると、A/B≧1の関係が成立する請求項1又は2に記載の非水二次電池。
  4. 前記正極合剤層の厚さが、70〜300μmである請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
  5. 前記正極活物質は、構成元素として、ニッケルと、コバルト及びマンガンから選ばれる少なくとも一方とを含み且つ層状構造を有するリチウム含有複合酸化物からなる請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
  6. 前記正極活物質は、一次粒子が集合して形成される二次粒子からなり、前記二次粒子の平均粒子径が、6μm以下である請求項5に記載の非水二次電池。
  7. 前記正極合剤層のX線回折図形における(003)面及び(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003及びI104としたとき、その積分強度比I003/I104が1.1以上である請求項1〜6のいずれかに記載の非水二次電池。
  8. 前記負極は、負極活物質としてシリコンと酸素とを構成元素に含む材料を含む請求項1〜7のいずれかに記載の非水二次電池。
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