JP2014091800A - 近赤外線吸収粘着剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

近赤外線吸収粘着剤組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粘着剤組成物中で溶解状態のジインモニウム塩が安定に保持され、乾燥させるとジインモニウム塩が均一に分散された状態で結晶化して析出し、析出したジインモニウム塩が耐久条件下でも劣化することがなく良好な近赤外線遮断効果を維持する、近赤外線吸収粘着剤組成物を提供する
【解決手段】本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)、カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解したジインモニウム塩溶液(B)および架橋剤(C)を含む近赤外線吸収粘着剤組成物であって、前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルにおける最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジインモニウム塩を色素として用いた近赤外線吸収粘着剤組成物およびその製造方法に関する。
プラズマディスプレイは、プラズマ放電の際に、電化製品を作動させるリモートコントローラーと同一波長帯の近赤外線光を発生し、この近赤外線が、家電用テレビ、クーラー、ビデオデッキ等の電気機器の誤動作を誘発することが問題となっている。このような問題を解決するために、高度な近赤外線遮断性および可視光透過性を有する近赤外線遮断フィルムが用いられている。近赤外線遮断フィルムは、透明樹脂フィルム層と、近赤外線吸収色素を有する透明赤外線遮断層と、該透明近赤外線遮断層の色調を補正する色材を含有する透明色調補整層とを積層して構成される多層構造であるため、薄膜化が困難であるとともに、製造の工程数が多くなり生産コストが高くなるという問題があった。
そこで、プラズマディスプレイに用いられる粘着剤層に、近赤外線吸収色素を配合する試みが行われている(たとえば特許文献1)。近赤外線吸収色素の中でも、ジインモニウム系化合物は、920nmを超える波長の光を最も効果的に遮断できる。しかしながら、ジインモニウム系化合物は、粘着剤のような流動性を有する樹脂中での化学的安定性が悪く、経時で色素が劣化し、近赤外吸収能が低下するという問題がある。
そこで、粘着剤に用いられる樹脂の酸価を低くして、ジイモニウム系化合物の劣化を防止すること(たとえば特許文献2)、粘着剤に用いられる樹脂に特定量以下のカルボキシル基含有モノマーを共重合してジイモニウム系化合物を安定化し劣化を防止すること(たとえば特許文献3)、また、ジイモニウム系化合物を溶剤中に分散させた分散体を用いることにより、ジイモニウム化合物の耐久性を向上させること(たとえば特許文献4)が報告されている。
しかしながら、ジイモニウム系化合物を溶剤中に分散させた分散体を粘着剤組成物に用いた場合、該粘着剤組成物を乾燥させると、ジインモニウム塩の多くの分子が会合した会合体が不均一に分散した粘着剤層が得られ、近赤外線光の遮断効果が十分に発現しない問題があった。
特開2008−540692号公報 特開2009−203301号公報 特開2008−231263号公報 特開2010−18773号公報
本発明は、粘着剤組成物中で溶解状態のジインモニウム塩が安定に保持され、乾燥させるとジインモニウム塩が均一に分散された状態で結晶化して析出し、析出したジインモニウム塩が耐久条件下でも劣化することがなく良好な近赤外線遮断効果を維持する、近赤外線吸収粘着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、カチオンにフッ素原子を含有するジインモニウム塩を用い、アクリル樹脂として酸価が高いもの用いたことにより、ジインモニウム塩を溶剤に完全溶解した溶液をアクリル樹脂組成物に配合して粘着剤組成物を製造し、乾燥処理を行うと、カチオン中のフッ素原子により結晶性が高められたジインモニウム塩が再結晶して粘着剤層中に均一に析出し、酸価の高いアクリル樹脂により安定化されることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)、カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解したジインモニウム塩溶液(B)および架橋剤(C)を含む近赤外線吸収粘着剤組成物であって、前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルの最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着剤組成物。
[2]前記有機溶剤が、ケトン類を含有することを特徴とする[1]に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[3]前記ジインモニウム塩溶液(B)が、前記有機溶剤がケトン類を100質量%含有する場合に、ジインモニウム塩溶液(B)の総質量に対して、前記ジインモニウム塩を0.01〜10質量%含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[4]前記架橋剤(C)が、キレート系架橋剤であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[5]前記近赤外線吸収粘着剤組成物が、変性シリコーン(D)をさらに含む[1]〜[4]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[6]アクリル樹脂(A)の固形分の質量100質量部に対して、ジインモニウム塩溶液(B)を溶液中のジインモニウム塩の質量で0.01〜5質量部、キレート系架橋剤(C)を固形分の質量で0.1〜30質量部含有することを特徴とする[4]または[5]に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として85℃および85%RHで3日間静置する耐久試験を行った後の前記積層体の1000nmの光に対する以下の式で求められる吸収維持率の値が100〜90%であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
吸収維持率(%)=耐久試験後の吸収率/耐久試験前の吸収率×100
[8][1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として85℃および85%RHで3日間静置する耐久試験を行った後の前記積層体のヘイズ値が0.1%〜10%であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[9][1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体とした場合に、85℃および85%RHで3日間静置する試験を行った後のヘイズ値と前記試験前のヘイズ値との差の絶対値が10%以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
[10]カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解し、ジインモニウム塩溶液(B)を製造する工程、および
前記ジインモニウム塩溶液(B)、架橋剤(C)および酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)を含む成分を混合する工程を含み、
前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルにおける最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着剤組成物の製造方法。
[11]カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解し、ジインモニウム塩溶液(B)を製造する工程、
前記ジインモニウム塩溶液(B)、架橋剤(C)および酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)を含む成分を混合して近赤外線吸収粘着剤組成物を製造する工程、および
前記近赤外線吸収粘着剤組成物を塗工乾燥させて、ジインモニウム塩を再結晶する工程を含み、
前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルにおける最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着シートの製造方法。
[12]部材の貼り合わせに、[1]〜[9]のいずれかに記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を用いたプラズマディスプレイ。
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、溶媒に溶解されたジインモニウム塩が安定に保持されており、近赤外線吸収粘着剤組成物を乾燥して得られた粘着剤層は、ジインモニウム塩が均一に分散されることにより初期ヘイズ値を低く抑えることができ、透明性が高い。また、近赤外線波長の光を吸収する効果が高い。そして、ジインモニウム塩の耐久性に優れるため、高温多湿下に放置してもジインモニウム塩が劣化することがなく、近赤外線波長の光の吸収率の低下が抑制される。また、ジインモニウム塩の結晶構造が安定であるため、高温多湿下に放置してもヘイズ値が上昇しない。
以下、本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物について具体的に説明する。
本発明は、酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)、カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解したジインモニウム塩溶液(B)および架橋剤(C)を含む近赤外線吸収粘着剤組成物であって、前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルにおける最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着剤組成物に関する。
本明細書において(メタ)アクリルとは、メタクリルおよび/またはアクリルを表わす。
<近赤外線吸収粘着剤組成物>
1.成分
(A)アクリル樹脂
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、酸価が70以上のアクリル樹脂(A)を含む。
(1)アクリル樹脂(A)を形成するモノマー
本発明に用いられるアクリル樹脂を構成するモノマーは、酸基を有するモノマー(a1)および(メタ)アクリル酸エステル(a2)を必須とし、さらに官能基含有モノマー(a3)およびその他共重合性モノマー(a4)を含んでいてもよい。
酸基としては、カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基および硫酸基等が挙げられる。
前記カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸β−カルボキシエチル、メタクリル酸β−カルボキシエチル、アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸およびマレイン酸等が挙げられる。
前記酸無水物基を有するモノマーとしては、フタル酸、無水マレイン酸およびコハク酸が挙げられる。前記リン酸基を有するモノマーとしては、側鎖にリン酸基を有するアクリル系モノマーが挙げられ、硫酸基を有するモノマーとしては、側鎖に硫酸基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
中でも共重合性が良好で、粘着剤層の凝集力を向上出来る点で、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーが好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル(a2)としては、炭素数1〜20のアルキル基からなるエステルであるものが好ましく、例としては、アルキルメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ステアリル(メタ)アクリレートおよびジデカ(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
中でも、炭素数4〜8のアルキル基からなるアルキルアクリレートを用いることが、被着体への密着性、粘着力を調整する上で好ましく、(メタ)アクリル酸エステル(a2)中に70〜100質量%用いることがより好ましい。
官能基含有モノマー(a3)としては、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマーおよびシアノ基含有モノマーを挙げることができ、粘着力の観点からは水酸基含有モノマーが好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。そのような化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートおよび8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
アミノ基含有モノマーの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
またアミド基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミドおよびN−ヘキシル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
さらに窒素系複素環含有モノマーの例としては、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンおよびビニルカプロラクタム等を挙げることができる。
またさらにシアノ基含有モノマーの例としては、シアノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
その他共重合性モノマー(a4)の例としては、酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレンなどのアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等のスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(a1)〜(a4)のモノマーとして例示したモノマーは、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられるアクリル樹脂を構成する全モノマー100質量部に対して、前記(a1)モノマーは、アクリル樹脂(A)の酸価を70以上にする観点から、9〜40質量部用いられることが好ましく、10〜20質量部用いられることがより好ましい。また、(a2)モノマーが60〜91質量部、より好ましくは80〜90質量部、(a3)モノマーが0〜10質量部、(a4)モノマーが0〜10質量部用いられることが好ましい。
(2)アクリル樹脂(A)
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)の酸価は、70以上であり、70〜250が好ましく、75〜200であることがより好ましい。酸価とは、アクリル樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいう。 従来、粘着樹脂にジインモニウム系化合物を含有させる場合、樹脂の酸価が高すぎると、ジインモニウム塩の溶解度が増加し、ジインモニウム塩の耐久性が低下するとされていた。しかしながら、本発明者らは、カチオンにフッ素原子を含有する結晶性の高いジインモニウム塩を有機溶媒に溶解し、このような高い酸価のアクリル樹脂に配合すると、粘着剤組成物中でジインモニウム塩を安定に保持することができるため、ジインモニウム塩を析出させることなく溶解状態で組成物中に均一に分布させることができ、その後の乾燥処理により均一な分散状態で結晶化して析出され、さらに結晶化したジインモニウム塩が酸価の高いアクリル樹脂により安定化され、ジインモニウム塩の耐久性および本発明の粘着組成物から得られる粘着シートの透明性を向上させることを見出した。また、アクリル樹脂の酸価が高いと、粘着剤組成物の被着体との密着性および粘着力を向上させることができる。
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)が、前記酸価を有するためには、アクリル樹脂を構成するモノマーとして、(a1)モノマーを前記組成比で含有することが挙げられる。
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)の実施例記載の方法により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常10万〜250万、好ましくは30万〜150万である。前記範囲の重量平均分子量を有することにより、アクリル樹脂の耐久性と、加工性を両立することができる。
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)のFoxの式により求めたガラス転移温度(Tg) は、通常−80℃〜0℃、好ましくは−70℃〜−20℃である。前記範囲のガラス転移温度を有することにより、粘着剤組成物より得られる粘着剤の粘着性が良好となる。
(3)アクリル樹脂(A)の製造方法
前記のアクリル樹脂(A)は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合溶媒として、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなどを使用することができる。
具体的には反応容器内に重合溶媒、原料モノマーを前記で説明した割合で仕込み、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、通常反応温度50〜90℃程度に加熱し、通常4〜20時間反応させる。
溶液重合に用いる反応開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を挙げることができる。これらの反応開始剤は、全原料モノマー100質量部に対して、通常は0.01〜5質量部の範囲内の量で使用される。また、前記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、原料モノマー、溶媒を適宜追加添加してもよい。
(B)ジインモニウム塩溶液
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解したジインモニウム塩溶液(B)を含む。
(1)ジインモニウム塩(B1)
ジイモニウム塩はアニオンと下記式(1)で表されるカチオンとからなる。
Figure 2014091800
ただし、前記式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換基を有するアルキル基を表し、R1〜R8の少なくとも1つはフッ素原子であるか、またはフッ素原子を有する基である。
前記式(1)においてR1〜R8がアルキル基又は置換基を有するアルキル基である場合、R1〜R8のそれぞれについて、そのアルキル基の炭素数は1〜22であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、炭素数が3〜5の直鎖または分岐状のアルキル基がさらに好ましい。
このようなアルキル基の具体的な例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基およびシクロヘキシル基等を挙げることができる。
また、置換基を有するアルキル基の置換基としては、シアノ基;ヒドロキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜8のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基およびエトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基およびナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基およびn-ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基およびn-ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基およびn-ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。R1〜R8のいずれもがフッ素原子でない場合は、R1〜R8の少なくとも1つは、フッ素原子を置換基として有するアルキル基である。
1〜R8の少なくとも1つがフッ素原子であるか、またはフッ素原子を有する基とすることにより、本発明のジインモニウム塩の結晶性が良好となる。すなわち、本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、ジインモニウム塩を有機溶剤に完全に溶解してから、アクリル樹脂(A)およびその他の任意成分と混合することにより得られ、貼り合わせには、前記有機溶剤を蒸散させてジインモニウム塩を再び結晶化させて用いられるものであるが、該結晶化において、粘着剤組成物中に完全溶解液として含有されているジインモニウム塩が均一に分布していること、およびジインモニウム塩中のフッ素原子の存在によってジインモニウム塩がより微細な結晶となる。このようにジインモニウム塩の結晶性が高まると、本発明の粘着剤組成物を乾燥させて得られる粘着シートには、数分子からなる微細結晶が均一に分散される。そしてアクリル樹脂中のカルボキシル基等の酸性基により安定に保持されているものと考えられる。
本発明において前記式(1)で表わされるジインモニウム塩のカチオンは、結晶化の観点から、1カチオンあたり8〜72個のフッ素原子を有することが好ましく、16〜40個のフッ素原子を有することがより好ましい。
ジイモニウム塩のアニオンとしては、特に制限されないが、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンおよびビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンなどが挙げられ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンが好ましい。
本発明で使用するジイモニウム塩の好ましい例としては、ジイモニウムカチオン1個に対して、2個のアニオンが結合する形態の化合物を挙げることができる。
好ましいジイモニウム塩として、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸}−N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(4,4,4−トリフルオロブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウムおよびビス{ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸}−N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウムを挙げることができる。これらは、粘着剤組成物中における耐久性が高いので、特に好ましい。
ジイモニウム塩は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のようなジインモニウム塩は、920nmを超える波長の光を効果的に遮断することができる、近赤外線吸収色素である。
(2)有機溶剤(B2)
前記ジインモニウム塩(B1)は有機溶剤に完全に溶解され、ジインモニウム塩溶液となる。
ジインモニウム塩溶液に用いられる有機溶剤は、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルの最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであるのものである。ここで、吸収率(%)とは、前記条件で測定した透過率(%)を100(%)から引いた値である。 前記条件で測定したλmaxの吸収率が80%以上のジインモニウム塩混合液は、有機溶剤中にジインモニウム塩の全てが完全に溶解している状態である。逆に前記条件で測定したλmaxの吸収率が80%未満のジインモニウム塩混合液は、ジインモニウム塩の少なくとも一部が有機溶剤中に溶解していない分散状態で存在している。
λmaxの吸収率が80%以上となる有機溶剤としては、ケトン類が挙げられ、好ましくはメチルエチルケトン、アセトンが挙げられる。本発明に用いられる有機溶剤は、ジインモニウム塩の溶解性を向上させる観点から、その総質量に対して、ケトン類が10質量%以上含まれていることが好ましく、30質量%以上含まれていることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
λmaxの吸収率が80%未満となる有機溶剤としては、トルエンが挙げられる。
(B3)ジインモニウム塩溶液
本発明に用いられるジインモニウム塩溶液は、ジインモニウム塩(B1)に対し優れた溶解性を示す特定の有機溶剤(B2)を用いるため、ジインモニウム塩(B1)が有機溶剤(B2)に完全に溶解した溶液である。
このように前記ジインモニウム塩が前記有機溶剤に完全に溶解した溶液を、本発明の粘着剤組成物に用いることにより、ジインモニウム塩が粘着剤組成物中に均一に分布し、本発明の粘着剤組成物を塗工して乾燥させて粘着シートを製造すると、ジインモニウム塩が再結晶して粘着剤層中に均一に析出した粘着シートを製造することができる。
ジインモニウム塩溶液中のジインモニウム塩(B1)の濃度は、有機溶剤(B2)の種類にもよるが、有機溶剤(B2)中のケトン類が10質量%である場合は、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、有機溶剤(B2)中のケトン類が100質量%である場合は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。前記範囲であれば、ジインモニウム塩(B1)は有機溶剤(B2)に完全に溶解する。
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、アクリル樹脂(A)の固形分100質量部に対して、ジインモニウム塩溶液(B)を溶液中のジインモニウム塩の質量で0.01〜5質量部用いることが好ましく、0.1〜3質量部用いることがより好ましい。ジインモニウム塩溶液(B)の含有量が前記範囲であると、粘着剤の粘着力を担保しつつ、良好な近赤外線吸収効果を発揮することができる。
(C)架橋剤
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、架橋剤を含む。架橋剤の配合により、粘着剤組成物の保持力およびリワーク性を向上させることができる。架橋剤は、多官能架橋剤であることが好ましい。
本発明で使用する架橋剤(C)としては、前記アクリル樹脂(A)間に架橋構造を形成することができる架橋剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤およびキレート系架橋剤などの公知の架橋剤を挙げることができる。これらの中でもキレート系架橋剤は、配位結合であって極性がないことによりジインモニウム塩を攻撃することがなく、さらにはアクリル樹脂(A)中での色素を安定させるため、好ましい。
エポキシ系架橋剤の例としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル-m-キシレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサンを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
前記エポキシ系架橋剤を使用する場合には、エポキシ系架橋剤の添加量は、アクリル樹脂(A)の固形分100質量部に対して、固形分の質量で通常は0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよび水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
このイソシアネート系架橋剤を使用する場合には、イソシアネート系架橋剤の使用量は、アクリル樹脂(A)の固形分100質量部に対して、固形分の質量で通常は0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部の範囲内の量で配合することができる。
キレート系架橋剤の例としては、金属キレート化合物が好ましい。金属キレート化合物に含まれる金属としては、ニッケル、クロム、鉄、チタン、亜鉛、コバルト、マンガン、銅、スズおよびジルコニウム等が挙げられる。具体的な金属キレート系化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、第二鉄トリスアセチルアセトナート、ジルコニウムトリスアセチルアセトナートおよびチタントリスアセチルアセトナートなどが挙げられる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
このキレート系架橋剤を使用する場合には、キレート系架橋剤の使用量は、アクリル樹脂(A)の固形分100質量部に対して、固形分の質量で通常は0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部の範囲内の量で配合することができる。
架橋剤(C)の含有量が前記範囲であると、粘着剤の保持力が良好で、リワーク性に優れる。
(D)変性シリコーン
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、変性シリコーンを含むことが好ましい。変性シリコーンは、粘着性が高い場合に、用途に合わせて粘着力を調整し、リワーク性を高めることができる。本発明は、アクリル樹脂(A)の酸価が高いことにより、粘着力が高くなる傾向があるため、用途によっては変性シリコーンを用いることが好ましい。
変性シリコーンの例としては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したもの、ポリシロキサンの両末端に有機基を導入したもの、ポリシロキサンの片末端に有機基を導入したもの、ポリシロキサンの側鎖と片末端に有機基を導入したものおよびポリシロキサンの側鎖と両末端に有機基を導入したもの等が挙げられる。前記導入有機基としては、モノアミン変性、ジアミン変性、エポキシ変性、脂管式エポキシ変性、カルビノール変性、ジオール変性、アルコキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、ハイドロジェン変性、ポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、シラン変性、シラノール変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性およびフェニル変性した有機基等が挙げられ、これらの有機基は単独であるいは組み合わせて導入することができる。
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、アクリル樹脂(A)の固形分100質量部に対して、変性シリコーン(D)を固形分の質量で0.001〜5質量部用いることが好ましく、0.01〜1質量部用いることがより好ましい。変性シリコーン(D)の含有量が前記範囲であると、粘着剤の粘着力を適度な高さとすることができる。
(E)その他の成分
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、ジインモニウム塩(B1)の他に、他の色素を含有していてもよい。
併用されうる他の色素としては、シアニン系色素、アゾ系色素、アミニウム系色素、アンスラキノン系色素、ジチオール金属錯体系色素、スクアリリウム系色素、ナフタロシアニン系色素およびフタロシアニン系色素などを挙げることができる。
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物には、前記成分の他に、本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物の特性を損なわない範囲内で他の成分を配合することができる。これらの成分の例としては粘着賦与剤、可塑剤、調色剤、ネオンカット剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤などを挙げることができる。これらのその他の成分の配合量は、本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物の特性を損なわない範囲内の量である。
2.物性
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについてガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として、実施例に記載の方法で測定した初期ヘイズが0.1%〜10%であることが好ましく、0.1%〜7%であることがより好ましく、0.1%〜5%であることがさらに好ましい。
また、本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として85℃および85%RHで3日間静置する耐久試験を行った後の前記積層体について、実施例に記載の方法で測定したヘイズ値が0.1%〜10%であることが好ましく、0.1%〜7%であることがより好ましく、0.1%〜5%であることがさらに好ましい。そして、前記耐久試験後のヘイズ値から、前記初期ヘイズ値を引いた値の絶対値が、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。ヘイズ値が低い程、粘着シートの透明性が高く、プラズマディスプレイ等の部材の貼り合わせに好適となる。
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物から得られた粘着シートの初期ヘイズ値が前記範囲にあるのは、ジインモニウム塩(B1)が、小さな単位の結晶として、粘着剤組成物中に均一に分散しているためである。それは、以下の理由と考えられる。ジインモニウム塩(B1)が、有機溶剤(B2)に完全溶解され、またはそれに近い状態となったジインモニウム溶液(B)が、アクリル樹脂(A)に配合された後、乾燥処理により有機溶剤(B2)が除去されると、ジインモニウム塩(B1)が再結晶する。その際、ジインモニウム塩(B1)は、溶液として乾燥前の粘着剤組成物中に均一に分布し、またカチオンにフッ素原子を含有することにより結晶性が高められていることから微細な結晶構造を形成して粘着剤層中に均一に析出するためであると考えられる。そして、前記耐久性試験後も、ヘイズ値の上昇が抑えられるのは、このように析出したジインモニウム塩の結晶が、アクリル樹脂(A)の酸価が本発明に規定する値であることにより粘着シート中で安定化されているためであると考えられる。
さらには、本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として85℃および85%RHで3日間静置する耐久試験を行った後の前記積層体について、実施例に記載の方法で測定した1000nmの光に対する吸収維持率が100〜90%であることが好ましく、100〜95%であることがより好ましく、100〜98%であることがさらに好ましい。このように耐久試験後も、前記粘着シートの近赤外線に対する高い吸収率が維持されるのは、ジインモニウム塩の結晶が、アクリル樹脂(A)の酸価が本発明に規定する値であることにより粘着シート中で安定化されているためであると考えられる。吸収維持率が高い程、ジインモニウム塩の近赤外線吸収能の劣化が抑制されており、本発明の粘着組成物から得られる粘着シートは長期の使用に好適である。
なお、吸収維持率とは、実施例に記載の方法で測定した1000nmの範囲の光の透過率の値から、以下の式により求められるものである。
吸収率(%)=(1−透過率)×100
吸収維持率(%)=耐久試験後の吸収率/耐久試験前の吸収率×100
<近赤外線吸収粘着剤組成物の製造方法>
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物の製造方法は、前記ジインモニウム塩(B1)を前記有機溶剤(B2)に溶解し、ジインモニウム塩溶液(B)を製造する工程、および
前記ジインモニウム塩溶液(B)、前記架橋剤(C)および前記酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)を含む成分を混合する工程を含む。
前記混合方法としては公知の方法を使用することができる。
このようにして得られた粘着剤は、公知の粘着剤と同様に、適当な濃度に希釈された後、塗工、乾燥することにより、粘着シートとなり、各種部材の接着に用いることができる。
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物から得られる粘着シートの製造方法は、前記ジインモニウム塩(B1)を前記有機溶剤(B2)に溶解し、ジインモニウム塩溶液(B)を製造する工程、
前記ジインモニウム塩溶液(B)、前記架橋剤(C)および前記酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)を含む成分を混合して近赤外線吸収粘着剤組成物を製造する工程、および
前記近赤外線吸収粘着剤組成物を塗工乾燥させて、ジインモニウム塩を再結晶する工程を含む。
前記塗工乾燥における塗工方法としては、特に制限は無いが、例えばグラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーターまたはスプレーコーターなどを用いて基材上に塗布することが挙げられる。
前記塗工乾燥における乾燥方法としては、通常50〜250℃で、1〜10分間乾燥する。
このようにジインモニウム塩(B1)を有機溶剤(B2)に溶解させてから再結晶を行うと、ジインモニウム塩(B1)が均一に分散された粘着剤層を有する粘着シートが得られる。
<用途>
本発明の近赤外線吸収粘着剤組成物は、プラズマディスプレイ等に用いられるフィルムの貼り合わせ等、近赤外線を遮蔽する必要のある製品の部材貼り合わせる粘着剤として用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分子量および分子量分布>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)、及び、数平均分子量(Mn)を求めた。
(GPC測定条件)
測定装置:HLC−8120GPC(東ソー(株)社製)
GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー(株)社製)
(1)TSK−GEL HXL−H (ガードカラム)
(2)TSK−GEL G7000HXL
(3)TSK−GEL GMHXL
(4)TSK−GEL GMHXL
(5)TSK−GEL G2500HXL
サンプル濃度:1.0mg/cm3となるように、テトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0cm3/min
カラム温度:40℃。
<酸価>
アクリル樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を計算により算出した。
<粘着力(N/25mm)>
実施例および比較例で得られた粘着シート(粘着剤層の厚みは25μm)の38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥がし、露出した粘着剤層面にガラスを貼り合わせた(貼り合わせ面積25mm×150mm)。
貼り合わせから20分後にガラスから試験片を180°方向に0.3m/minで剥離し、その粘着剤層の粘着力(剥離するのに必要な力)を測定した。
<ヘイズ>
実施例および比較例で得られた粘着シート(粘着剤層の厚みは25μm)の38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥がし、露出した粘着剤層面にガラスを貼り合わせた(貼り合わせ面積20mm×20mm)。
前記試料を85℃および85%RHで3日間静置することにより耐久試験を行った。ヘイズメーターHM-150(村上色彩研究所(株)製)を用いてJIS K 7361に準拠して耐久性試験前後のヘイズ(上記ガラス/粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体のヘイズ)を測定した。
評価は以下のように行った。
○ :ヘイズ値が、耐久性試験の前と後のいずれにおいても10%以下である。
× :ヘイズ値が、耐久性試験の前と後の少なくとも一方において10%以上である。
<吸収維持率>
実施例および比較例で得られた粘着シート(粘着剤層の厚みは25μm)の38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥がし、露出した粘着剤層面にガラスを貼り合わせた(貼り合わせ面積20mm×20mm)。
前記試料を85℃および85%RHで3日間静置することにより耐久試験を行った。耐久性試験前および耐久性試験後の試料に波長1000nmの光を照射した際の透過率(上記ガラス/粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体の透過率)を測定し、以下の値を求めた。
吸収率(%)=(1−透過率)×100
吸収維持率(%)=耐久試験後の吸収率/耐久試験前の吸収率×100
透過率は、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を使用して測定した。
[製造例1:近赤外線吸収色素Aの製造例]
N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(4,4,4−トリフルオロブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジアミン20部に、アセトン300部とビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸銀12部を加えて、60℃で4時間反応させ、生成した銀を濾過により取り除いた。この濾液に水を添加して沈殿を生成後、濾過・乾燥させて、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸}−N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(4,4,4−トリフルオロブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム(以下「色素A」ともいう)を得た。
[製造例2:近赤外線吸収色素Bの製造例]
N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジアミン20部に、アセトン300部とビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸銀14部を加えて、60℃で4時間反応させ、生成した銀を濾過により取り除いた。この濾液に水を添加して沈殿を生成後、濾過・乾燥させて、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸}−N,N,N’,N’−テトラキス{p−ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム(以下「色素B」ともいう)を得た。
[製造例3:近赤外線吸収色素Cの製造例]
N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン20部にアセトニトリル300部とビス(フルオロスルホニル)イミド酸銀13部を加えて、60℃で3時間反応させ、生成した銀を濾過により取り除いた。濾液に水を添加して沈殿を生成後、濾過・乾燥させて、ビス{ビス(フルオロスルホニル)イミド酸}−N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム(以下「色素C」ともいう)を得た。
[製造例4:アクリル樹脂1の製造例]
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)70質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)20質量部、アクリル酸(AA)10質量部および酢酸エチル140質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で2時間重合反応を行い、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.2質量部を加えて78℃で3時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチルにて反応液を希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量60万、重量平均分子量/数平均分子量が8.7のアクリル樹脂1を得た。
[製造例5:アクリル樹脂2の製造例]
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)80質量部、アクリル酸(AA)20質量部および酢酸エチル140質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で2時間重合反応を行い、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.2質量部を加えて78℃で3時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチルにて反応液を希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量70万、重量平均分子量/数平均分子量が9.0のアクリル樹脂2を得た。
[製造例6:アクリル樹脂3の製造例]
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)72質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)20質量部、アクリル酸(AA)8質量部および酢酸エチル140質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で2時間重合反応を行い、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.2質量部を加えて78℃で3時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチルにて反応液を希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量58万、重量平均分子量/数平均分子量が8.2のアクリル樹脂3を得た。
[溶剤試験例]
以下の実施例で、色素A〜Cと混合した有機溶剤は、以下の物性を有する。
色素A〜Cのそれぞれを有機溶剤99.99質量%に対して0.01質量%の割合で混合した混合液100質量%を調整し、この混合液を1時間振盪した後1時間静置する。その後、この混合液の上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400nm〜1500nmの範囲で吸収スペクトルを測定し、透過率(%)を求めた。透過率の測定した機器は、前記と同様である。
最大吸収波長λmaxにおける吸収率を表1に示す。
なお、吸収率(%)=(1−透過率)×100
測定された吸収スペクトルにおいて、近赤外波長域に存在する色素の吸収極大λmaxの吸収率が80%以上であれば色素は溶媒中に溶解している状態であり、吸収率が80%未満であれば、静置中に色素が沈降することを示し、色素が分散状態および会合状態であって溶解していない状態であると判断する。
Figure 2014091800
この結果から、色素A〜Cのいずれも、トルエンには0.01質量%の量であっても溶解せず溶剤中に分散状態および会合状態であり、色素A〜Cのいずれも0.01質量%の量であれば、メチルエチルケトンおよびアセトンに完全に溶解することがわかる。
なお、前記試験例および実施例で用いたメチルエチルケトン、アセトンおよびトルエンは100質量%のものを用いた。
[実施例1]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液1を得た。
製造例4で得たアクリル樹脂1を100質量部(固形分)に対して、溶液1を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてエポキシ系架橋剤であるTetradX(三菱ガス化学(株)社製、以下同様)0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物1を得た。
得られた粘着剤組成物1を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡績(株)製 コスモシャインA4100、以下同様)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[実施例2]
アセトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液2を得た。
製造例4で得たアクリル樹脂1を100質量部(固形分)に対して、溶液2を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてTetradX0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物2を得た。
得られた粘着剤組成物2を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[実施例3]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液1を得た。
製造例5で得たアクリル樹脂2を100質量部(固形分)に対して、溶液1を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてTetradX0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物3を得た。
得られた粘着剤組成物3を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[実施例4]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液1を得た。
製造例5で得たアクリル樹脂2を100質量部(固形分)に対して、溶液1を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてTetradX0.1質量部(固形分)および変性シリコーンとしてZ−10(綜研化学(株)社製)を0.1質量部(固形分)混合し、粘着剤組成物4を得た。
得られた粘着剤組成物4を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[実施例5]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液1を得た。
製造例4で得たアクリル樹脂1を100質量部(固形分)に対して、溶液1を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてアルミキレート架橋剤であるM−5A(綜研化学(株)社製、以下同様)1.5質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物5を得た。
得られた粘着剤組成物5を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[実施例6]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液1を得た。
製造例4で得たアクリル樹脂1を100質量部(固形分)に対して、溶液1を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてM−5Aを1.5質量部(固形分)および変性シリコーンとしてZ−10を0.05質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物6を得た。
得られた粘着剤組成物6を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[実施例7]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素B1.5質量部を完全に溶解した溶液3を得た。
製造例4で得たアクリル樹脂1を100質量部(固形分)に対して、溶液3を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、TetradX0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物7を得た。
得られた粘着剤組成物7を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[比較例1]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素A1.5質量部を完全に溶解した溶液1を得た。
製造例6で得たアクリル樹脂3を100質量部(固形分)に対して、溶液1を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてTetradX0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物8を得た。
得られた粘着剤組成物8を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[比較例2]
メチルエチルケトン98.5質量部に色素C1.5質量部を完全に溶解した溶液4を得た。
製造例5で得たアクリル樹脂2を100質量部(固形分)に対して、溶液4を溶液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてTetradX0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物9を得た。
得られた粘着剤組成物9を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
[比較例3]
トルエン98.5質量部に色素A1.5質量部を分散させた分散液5を得た。
製造例4で得たアクリル樹脂1を100質量部(固形分)に対して、分散液5を分散液中のジインモニウム塩の質量で1.5質量部、架橋剤としてTetradX0.1質量部(固形分)を混合し、粘着剤組成物10を得た。
得られた粘着剤組成物10を、剥離処理された100μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理された38μmPETフィルムを貼り合わせ、23℃および65%RH環境下で7日間エージングを行い、粘着シート(粘着剤厚さ25μm)を得た。
Figure 2014091800

Claims (12)

  1. 酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)、カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解したジインモニウム塩溶液(B)および架橋剤(C)を含む近赤外線吸収粘着剤組成物であって、前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルの最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着剤組成物。
  2. 前記有機溶剤が、ケトン類を含有することを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  3. 前記ジインモニウム塩溶液(B)が、前記有機溶剤がケトン類を100質量%含有する場合に、ジインモニウム塩溶液(B)の総質量に対して、前記ジインモニウム塩を0.01〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  4. 前記架橋剤(C)が、キレート系架橋剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  5. 前記近赤外線吸収粘着剤組成物が、変性シリコーン(D)をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  6. アクリル樹脂(A)の固形分の質量100質量部に対して、ジインモニウム塩溶液(B)を溶液中のジインモニウム塩の質量で0.01〜5質量部、キレート系架橋剤(C)を固形分の質量で0.1〜30質量部含有することを特徴とする請求項4または5に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として85℃および85%RHで3日間静置する耐久試験を行った後の前記積層体の1000nmの光に対する以下の式で求められる吸収維持率の値が100〜90%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
    吸収維持率(%)=耐久試験後の吸収率/耐久試験前の吸収率×100
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体として85℃および85%RHで3日間静置する耐久試験を行った後の前記積層体のヘイズ値が0.1%〜10%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を80℃で2分間乾燥させた後、23℃および65%RH環境下で7日間エージングして得られた厚さ25μmの粘着シートについて、ガラス/前記粘着シート/100μmポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体とした場合に、85℃および85%RHで3日間静置する試験を行った後のヘイズ値と前記試験前のヘイズ値との差の絶対値が10%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
  10. カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解し、ジインモニウム塩溶液(B)を製造する工程、および
    前記ジインモニウム塩溶液(B)、架橋剤(C)および酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)を含む成分を混合する工程を含み、
    前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルにおける最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着剤組成物の製造方法。
  11. カチオンにフッ素原子を有するジインモニウム塩を有機溶剤に溶解し、ジインモニウム塩溶液(B)を製造する工程、
    前記ジインモニウム塩溶液(B)、架橋剤(C)および酸価が70以上であるアクリル樹脂(A)を含む成分を混合して近赤外線吸収粘着剤組成物を製造する工程、および
    前記近赤外線吸収粘着剤組成物を塗工乾燥させて、ジインモニウム塩を再結晶する工程を含み、
    前記有機溶剤が、前記ジインモニウム塩を混合液総質量に対して0.01質量%の割合で前記有機溶剤に混合した混合液を1時間振盪した後1時間静置して得た上澄み液を光路長1cmのセルに入れて紫外可視分光光度計により400〜1500nmの範囲で測定した吸収スペクトルにおける最大吸収波長λmaxにおける吸収率が80%以上のものであることを特徴とする近赤外線吸収粘着シートの製造方法。
  12. 部材の貼り合わせに、請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粘着剤組成物を用いたプラズマディスプレイ。
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