JP2014091745A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、及び複合体 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、及び複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】低線膨張率や、良好な電気特性といった基本的な性能を確保しつつ、コア基板を薄くしていった場合であっても十分な機械的強度を得ることができる電気絶縁層などの硬化物を形成することが可能な硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明による硬化性樹脂組成物は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Aと、エポキシ基に対する反応性を有する基である活性エステル基を有する活性エステル化合物Bと、充填剤Cと、を含む硬化性樹脂組成物であって、エポキシ化合物Aは、イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有し、硬化性樹脂組成物中の充填剤Cの含有量が50質量%以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、及び複合体に関するものである。
電子機器の小型化、多機能化、通信高速化などの追求に伴い、電子機器に用いられる回路基板のさらなる高密度化が要求されており、このような高密度化の要求に応えるために、回路基板の多層化が図られている。このような多層回路基板は、例えば、基材の両面に電気絶縁層を形成してなるコア基板と、その表面に形成された導体層(配線層)とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成させた後、さらに、内層基板上に電気絶縁層及び導体層を順次形成してなる基板に対して電気絶縁層の積層と、導体層の形成とを繰り返し行なうことにより形成される。
ところで、このような多層回路基板の電気絶縁層には、線膨張率が小さいことや、電気特性が良好であること等が求められている。電気絶縁層の線膨張率が大きい場合には、多層回路基板の変形が大きくなってしまうからである。また、電気特性が十分ではなく、電気絶縁層の誘電正接が大きい場合には、電気信号の劣化が大きくなり、多層回路基板の高性能化に十分に対応できないからである。
そこで、従来、電気絶縁層の形成に用いる樹脂組成物として、エポキシ樹脂と、環状オレフィン系樹脂と、活性エステル基を有する化合物と、充填剤とを含有する樹脂組成物が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1による樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂を含むため、絶縁層を形成した場合に電気特性が優れている。また、特許文献1の樹脂組成物は、充填剤を含むため、線膨張率が低い。
特開2006−278994号公報
ここで、近年、多層回路基板の更なる小型化及び高密度化を追求するために、多層回路基板のコア基板を薄くすることが求められている。しかしながら、本発明者の研究によれば、多層回路基板のコア基板を薄くしていった場合に上記特許文献1に記載の樹脂組成物を用いて電気絶縁層などの硬化物を形成すると、十分な機械的強度を有する多層回路基板を得ることができないという問題が生じることが明らかになった。
そこで、本発明は、低線膨張率や、良好な電気特性といった基本的な性能を確保しつつ、コア基板を薄くしていった場合であっても十分な機械的強度を得ることができる電気絶縁層などの硬化物を形成することが可能な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、低線膨張率で、電気特性および機械的強度に優れる硬化物、積層体、及び複合体を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る硬化性樹脂組成物は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Aと、前記エポキシ基に対する反応性を有する基である活性エステル基を有する活性エステル化合物Bと、充填剤Cと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記エポキシ化合物Aは、イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有し、前記硬化性樹脂組成物中の前記充填剤Cの含有量が50質量%以上である。
かかる構成によれば、低線膨張率で且つ電気特性に優れるだけでなく、更に引張弾性率が大きくて機械的強度に優れる電気絶縁層などの硬化物の形成に用いることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明に係る硬化性樹脂組成物において、前記エポキシ化合物A1は、1分子中に2つのエポキシ基を有することが好ましい。
イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1が1分子中にエポキシ基を2つのみ有する場合、当該エポキシ化合物A1を用いた硬化性樹脂組成物が有機溶媒に良好に溶解するため、硬化性樹脂組成物をシート状又はフィルム状に成形する際の塗工性を向上させることができる。
また、本発明に係る硬化性樹脂組成物において、前記エポキシ基に対する反応性を有する基である官能基を有する重合体Dをさらに含有することが好ましい。
かかる構成によれば、本発明による硬化性樹脂組成物の流動性を十分に大きくし、該硬化性樹脂組成物を用いて電気絶縁層を形成した際のパターン埋め込み平坦性を向上させることができる。
また、本発明に係る硬化性樹脂組成物において、前記重合体Dは、脂環式オレフィン重合体またはフェノキシ樹脂であることが好ましい。
かかる構成によれば、本発明による硬化性樹脂組成物により得られる電気絶縁層のパターン埋め込み平坦性を一層向上させることができる。
また、本発明に係る硬化性樹脂組成物において、前記エポキシ化合物Aは、前記エポキシ化合物A1とは異なる構造であって、かつイソシアヌレート環を有しないエポキシ化合物A2をさらに含有することが好ましい。
かかる構成によれば、硬化性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を向上させ、硬化性樹脂組成物を用いて形成した電気絶縁層を有する多層回路基板の耐熱性を高め、高温条件化での信頼性を向上することができる。
また、本発明に係る硬化性樹脂組成物において、前記エポキシ化合物Aにおけるエポキシ基と、前記エポキシ基に対する反応性を有する基との比率が、「エポキシ基/(エポキシ基に対する反応性を有する基)」の当量比で0.8〜1.2であることが好ましい。
かかる構成によれば、硬化性樹脂組成物を用いて形成した電気絶縁層を耐熱性とし、低線膨張率とすることができる。
なお、本発明において、「エポキシ基に対する反応性を有する基」の数は、硬化性樹脂組成物が重合体Dを含まない場合には活性エステル基の数と等しく、硬化性樹脂組成物が重合体Dを含む場合には、活性エステル基の数と、重合体Dの官能基の数との合計と等しい。
また、本発明においては、上述の硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化物とすることが好ましい。かかる構成によれば、低線膨張率で、電気特性および機械的強度に優れる硬化物を提供することが可能となる。
また、本発明においては、上述の硬化物と基材とを積層して積層体とすることが好ましい。かかる構成によれば、低線膨張率で、電気特性および機械的強度に優れる積層体を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、上述の積層体と該積層体における前記硬化物側の表面に形成された導体層とを備える複合体を得ることができる。かかる構成によれば、低線膨張率で、電気特性および機械的強度に優れる、複合体を提供することが可能となる。
本発明によれば、低線膨張率や、良好な電気特性といった基本的な性能を確保しつつ、コア基板を薄くしていった場合であっても十分な機械的強度を得ることができる電気絶縁層などの硬化物を形成することが可能な硬化性樹脂組成物、及び、低線膨張率で、電気特性および機械的強度に優れる、硬化物、積層体、及び複合体を提供することが可能となる。
本発明による硬化性樹脂組成物は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Aと、エポキシ基に対する反応性を有する基である活性エステル基を有する活性エステル化合物Bと、充填剤Cと、を備える硬化性樹脂組成物であって、エポキシ化合物Aは、イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含み、当該硬化性樹脂組成物において充填剤Cを50質量%以上含有することを特徴とするものである。
(エポキシ化合物A)
本発明で用いるエポキシ化合物Aは、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものである。そして、本発明で用いるエポキシ化合物Aは、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有し、且つ、イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有することを必要とする。特に、エポキシ化合物A1は、1分子中にエポキシ基を2つのみ有することが好ましい。なお、エポキシ化合物Aは、エポキシ化合物A1以外のエポキシ化合物であって、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するもの(例えば、後述するエポキシ化合物A2)を含んでいてもよい。
(エポキシ化合物A1)
エポキシ化合物A1の例としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するイソシアヌレート型エポキシ化合物が挙げられる。具体的には、エポキシ化合物A1としては、ジグリシジルイソシアヌレート及びトリグリシジルイソシアヌレートの少なくとも一方を用いることができるが、溶媒への溶解性が良好であり、フィルム塗工性が良好な硬化性樹脂組成物が得られるという点で、1分子中に2つのエポキシ基を有する、ジグリシジルイソシアヌレートを用いることがより好ましい。ジグリシジルイソシアヌレートとしては、ジグリシジルアリルイソシアヌレート、及びジグリシジルメチルイソシアヌレート等が挙げられる。さらに、そのようなジグリシジルイソシアヌレートの具体例として、1,3−ジグリシジルイソシアヌレート、1−メチル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−エチル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−プロピル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−イソプロピル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−ブチル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−sec−ブチル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、及び1−tert−ブチル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。なお、常温においてジグリシジルアリルイソシアヌレートは固形であり、ジグリシジルメチルイソシアヌレートは液体であるため、硬化性樹脂組成物製造時の取扱易さの点で、ジグリシジルアリルイソシアヌレートがより好ましい。
ジグリシジルアリルイソシアヌレートの例としては、例えば、商品名「MA−DGIC」(四国化成工業株式会社製)等が挙げられる。ジグリシジルメチルイソシアヌレートの例としては、例えば、商品名「MeDAIC」(四国化成工業株式会社製)等が挙げられる。トリグリシジルイソシアヌレートの例としては、例えば、商品名「トリグリシジルイソシアヌレート」(東京化成工業株式会社製)等が挙げられる。
(エポキシ化合物A2)
さらに、エポキシ化合物Aは、エポキシ化合物A1と異なる構造であって、イソシアヌレート環を有しないエポキシ化合物A2を更に含有することが好ましい。エポキシ化合物Aにおいて、イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1と、当該エポキシ化合物A1と異なる構造であって、且つイソシアヌレート環を有しないエポキシ化合物A2とを含有させることで、エポキシ化合物A1のみを使用した場合と比較して硬化性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を向上させ、硬化性樹脂組成物を用いて形成した電気絶縁層を有する多層回路基板の耐熱性を高め、高温条件化での信頼性を向上することができる。
エポキシ化合物A2としては、例えば、脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物、フルオレン構造を有するエポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、が挙げられる。これらのなかでも、得られる硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物、積層体、及び複合体の機械物性を良好なものとすることができるという点より、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物や、脂環式オレフィン構造又はフルオレン構造を有するエポキシ化合物が好ましい。さらに、硬化性樹脂組成物の電気特性や耐熱性を良好とする点から、脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物が特に好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物〔例えば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH、エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製);商品名「Tactix558」(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製);商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)〕が挙げられる。フルオレン構造を有するエポキシ化合物としては、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物〔例えば、商品名「オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコートEX−1012、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051」(以上、長瀬産業社製、「オンコート」は登録商標);商品名「オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−250)」(以上、大阪ガスケミカル社製、「オグソール」は登録商標)〕などが挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば、商品名「jER827、jER828、jER828EL、jER828XA、jER834」(以上、三菱化学社製)、商品名「エピクロン840、エピクロン840−S、エピクロン850、エピクロン850−S、エピクロン850−LC」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)などが挙げられる。ポリフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、商品名「1032H60、XY−4000」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。
(活性エステル化合物B)
本発明で用いる活性エステル化合物は、エポキシ化合物Aのエポキシ基に対する反応性を有する基である活性エステル基を有するものであれば良い。ここで、活性エステル基とは、エポキシ基と反応する際に、開環したエポキシ基の−O部分と反応して水酸基(−OH)を形成しないエステル基である。より具体的には、エポキシ基と反応する際にプロトン(H)以外の電子吸引基を生じるエステル基である。本発明においては、活性エステル化合物Bとして、一分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物を用いることが好ましい。なお、活性エステル化合物Bは、エポキシ化合物Aの硬化剤として作用するものである。
活性エステル化合物Bとしては、耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを、例えば、縮合反応させたものから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させたものから得られる活性エステル化合物がより好ましく、本発明においては、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。活性エステル化合物Bは、直鎖状または多分岐状であってもよく、活性エステル化合物Bが、少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物に由来する場合を例示すると、このような少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物が、脂肪族鎖を含む場合には、エポキシ化合物との相溶性を高くすることができ、また、芳香族環を有する場合には、耐熱性を高くすることができる。
活性エステル化合物Bを形成するために、例えば、特開2011−132507号公報に記載のような、カルボン酸化合物、チオカルボン酸化合物、フェノール化合物及びナフトール化合物、チオール化合物を用いることができる。さらに、本発明において、活性エステル化合物Bとしては、たとえば、特開2002−12650号公報及び特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル化合物、あるいは、市販のものを用いることができる。市販されている活性エステル化合物としては、たとえば、商品名「EXB9451、EXB9460、EXB9460S、HPC−8000−65T」(以上、DIC社製)、商品名「DC808」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「YLH1026」(ジャパンエポキシレジン社製)などが挙げられる。
(充填剤C)
本発明で用いる充填剤Cとしては、工業的に一般に使用される無機充填剤であれば格別な限定はない。充填剤Cを配合することにより、硬化物とした場合の線膨張率を低くすることができる。なお、本発明では、硬化物とした場合の線膨張性を十分に低くする観点から、充填剤Cは、硬化性樹脂組成物中の充填剤Cの割合が50質量%以上となるように配合することが必要である。
無機充填剤の具体例としては、線膨張率を低くすることが可能な公知の充填剤、例えば、特開2012−136646号公報に記載の無機充填剤を挙げることができる。そのようなものの中でも、微細な粒子が得やすいため、特にシリカが好ましい。なお、無機充填剤は、シランカップリング剤処理や、ステアリン酸などの有機酸処理をしたものであってもよい。
充填剤Cの配合量は、硬化性樹脂組成物中(硬化性樹脂組成物が有機溶剤を含む場合には有機溶剤を除く樹脂組成物中)、50質量%以上である。充填剤Cの配合量が50質量%を下回ると、硬化性樹脂組成物の線膨張率を十分に低減させることができず、かかる硬化性樹脂組成物により多層性回路基板の電気絶縁層を形成した場合の線膨張率が大きくなり、多層回路基板の変形が大きくなってしまう虞がある。なお、充填剤Cの配合量は、硬化性樹脂組成物中60質量%以上が好ましく、65質量%以上が更に好ましく、その上限としては70質量%以下、75質量%以下、80質量%以下とすることができる。
(エポキシ基に対する反応性を有する基である官能基を有する重合体D)
好ましくは、本発明による硬化性樹脂組成物は、上述のエポキシ化合物A1を含むエポキシ化合物A、活性エステル化合物B、及び充填剤Cに加えて、さらに、エポキシ化合物Aのエポキシ基に対する反応性を有する基である官能基を有する重合体Dを含むことが好ましい。本発明で用いる重合体Dとしては、例えば、エポキシ基に対する反応性を有する基である官能基を有する脂環式オレフィン重合体又はフェノキシ樹脂を挙げることができる。重合体Dを配合することにより、本発明による硬化性樹脂組成物の流動性を向上させ、該硬化性樹脂組成物を用いて得られる電気絶縁層のパターン埋め込み平坦性を向上させることができる。
このような、エポキシ化合物Aのエポキシ基に対する反応性を有する官能基(以下、「エポキシ反応性基」と称する)としては、特に限定されないが、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、これらのなかでも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、及びフェノール性水酸基が好ましく、カルボン酸無水物基がより好ましい。なお、重合体Dは、2種以上のエポキシ反応性基を有するものであってもよい。エポキシ反応性基は、重合体を構成する1つの単量体単位に2以上結合していてもよく、また、単量体単位に限らず、重合体の構成単位毎に2以上結合していてもよい。また、重合体Dのエポキシ反応性基は、当該重合体の主鎖を構成する原子に直接結合していても、メチレン基、オキシ基、オキシカルボニルオキシアルキレン基、フェニレン基などの他の二価の基を介して結合していてもよい。重合体D中のエポキシ反応性基を有する構成単位の含有率は、特に制限されないが、重合体Dの全構成単位100モル%中、通常4〜60モル%、好ましくは8〜50モル%である。
重合体Dに使用し得る脂環式オレフィン重合体は、多層回路基板の絶縁層の形成に使える公知のシクロオレフィン重合体、例えば、特開2010−245064号公報に記載の脂環式オレフィン重合体である。また、重合体Dとして用いることができる脂環式オレフィン重合体の生成は、例えば、特開2010−245064号公報において、官能基(すなわち、エポキシ反応性基)を有する脂環式オレフィン重合体の生成方法として説明した方法に従い行うことができる。さらに、これらの生成方法に用いられうる化合物及び触媒についても、特開2010−245064号公報に記載の化合物及び触媒が挙げられるが、これらに加えて、(5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、N−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどのフェノール性水酸基を有する脂環式オレフィンも、脂環式オレフィン重合体を生成する際の単量体として用いることができる。
重合体Dに使用し得るフェノキシ樹脂は、例えば、商品名「フェノトートYP−50」(東都化成工業株式会社製)、商品名「E−1256」(ジャパンエポキシレジン株式会社製)などが挙げられる。これらフェノキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせても良い。
ここで、本発明の硬化性樹脂組成物では、上述のエポキシ化合物Aにおけるエポキシ基と、エポキシ基に対する反応性を有する基との比率が、「エポキシ基/エポキシ基に対する反応性を有する基(=活性エステル化合物Bにおける活性エステル基+重合体Dにおける官能基)」の当量比で0.8〜1.2であることが好ましく、0.85〜1.15であることがより好ましく、0.9〜1.1であることが更に好ましい。「エポキシ基/エポキシ基に対する反応性を有する基」の当量比を上記範囲とすることにより、硬化物としたときの耐熱性、及び線膨張係数を向上させることができる。
なお、硬化性樹脂組成物が重合体Dを含まない場合には、上記式において「重合体Dにおける官能基」の数はゼロとなる。
(その他の成分)
また、本発明による硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を任意の配合量で含有していてもよい。硬化促進剤としては特に限定されないが、たとえば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第2級アミン、第3級アミン、酸無水物、イミダゾール誘導体、テトラゾール誘導体、有機酸ヒドラジド、ジシアンジアミド及びその誘導体、尿素誘導体などが挙げられるが、これらのなかでも、イミダゾール誘導体が特に好ましい。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化物とした際における難燃性を向上させる目的で、例えば、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤などの一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される難燃剤を配合してもよい。さらに必要に応じて、本発明の硬化性樹脂組成物には、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの任意成分を任意の配合量で配合してもよい。
(硬化性樹脂組成物の調製方法)
本発明による硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、上記各成分を、そのまま混合してもよいし、有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態で混合してもよいし、上記各成分の一部を有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合してもよい。
(硬化物)
本発明による硬化物は、上述の方法により得られる本発明による硬化性樹脂組成物に対して硬化処理を行なうことで、得ることができる。硬化処理は、通常、本発明による硬化性樹脂組成物に対する加熱処理である。さらに、本発明による硬化物は、本発明による硬化性樹脂組成物を、シート状またはフィルム状に成形して成形体とし、あるいは、本発明の硬化性樹脂組成物を、繊維基材に含浸させて、シート状またはフィルム状の複合成形体とし、得られた成形体または複合成形体を加熱又は加熱圧着することにより、得ることができる。
硬化性樹脂組成物を硬化させる際の硬化温度は、通常、30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜250℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブンなどを用いて行えばよい。
(積層体)
本発明による積層体は、上述の方法により得られる本発明による硬化性樹脂組成物を、基材上で硬化することにより、得ることができる。基材は、例えば、表面に導体層を有する基板である。表面に導体層を有する基板は、例えば、電気絶縁性基板の表面に導体層を有するものである。電気絶縁性基板は、公知の電気絶縁材料(たとえば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル、ガラス等)を含有する樹脂組成物を硬化して形成されたものである。導体層は、特に限定されないが、通常、導電性金属等の導電体により形成された配線を含む層であって、更に各種の回路を含んでいてもよい。配線や回路の構成、厚み等は、特に限定されない。表面に導体層を有する基板の具体例としては、プリント配線基板、シリコンウェーハ基板等を挙げることができる。表面に導体層を有する基板の厚みは、通常、10μm〜10mm、好ましくは20μm〜5mm、より好ましくは30μm〜2mmである。
なお、表面に導体層を有する基板は、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物との密着性を向上させる観点から、既知の方法で前処理されていてもよい。
(複合体)
本発明による複合体は、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物と基材とが積層されている積層体、及び、当該積層体における硬化物側の表面に形成された導体層を備えるものである。かかる複合体は、上述の積層体にて、硬化性樹脂組成物を硬化した層の表面上に金属めっきや金属箔により導体層をさらに形成することにより得ることができる。
そして、当該複合体は、例えば多層回路基板として用いることができる。具体的には、積層体における硬化物側の表面に形成された導体層上で本発明による硬化性樹脂組成物を硬化させて電気絶縁層を生成した後、例えば特開2012−136646号公報に記載の方法に従って更なる導体層を形成することで、所望の多層回路基板を得ることができる。
あるいは、本発明による複合体としての多層性回路基板は、本発明による硬化性樹脂組成物を含有する接着層と、例えば、極性基を有する脂環式オレフィン重合体及び硬化剤を含有してなる被めっき層用樹脂組成物を含有する被めっき層とが、支持体上に順次塗工されてなる絶縁性接着フィルムを用いて製造することができる。この場合、上述の積層体を基板として、当該基板上に接着層を介して、絶縁性接着フィルムを積層させる。さらには、多層性回路基板は、接着層フィルムと、無機繊維からなる繊維基材と、被めっき層フィルムと、を備えるプリプレグを用いて製造することができる。接着層フィルムは、本発明による硬化性樹脂組成物が支持体上に塗工されてなる。プリプレグの一方の面は、本発明による硬化性樹脂組成物を含有する接着層フィルムであり、他方の面は、被めっき層フィルムであり、これらの面は繊維基材を挟んで配置される。プリプレグを用いて多層性回路基板を製造する場合には、接着層フィルムから支持体を剥がし、上述の積層体に対して、硬化性樹脂組成物を含有する接着層を介して積層する。
このようにして得られる本発明の複合体(及び本発明の複合体の一例としての多層回路基板)は、本発明の硬化性樹脂組成物からなる電気絶縁層(本発明の硬化物)を有してなり、該電気絶縁層は、低線膨張率や、良好な電気特性といった基本的な性能を確保しつつ、コア基板を薄くしていった場合であっても十分な機械的強度を得ることができるものであるため、本発明の複合体(及び本発明の複合体の一例としての多層回路基板)は、各種用途に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。なお、特に記載しない限り以下における「%」は「質量%」であり、「部」は「質量部」である。また、実施例及び比較例について評価した各物性の評価方法は以下の通りである。
(パターン埋め込み平坦性)
表面に導体間隔165μmのくし型パターンを形成した内層基板(IPC MULTI−PURPOSE TESTBOARD No.IPC−B−25、導体厚30μm、内層基板厚0.8mm)の両面に、後述の方法で調製した硬化性樹脂組成物の厚さ40μmのフィルム成形体を積層した。具体的には、一次プレスを、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着で行い、さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、圧力1MPaで90秒間、加熱圧着することで、内層基板上に支持体付きのフィルム成形体を積層してなる積層体を得た。そして、この積層体から支持体を剥がし、180℃で60分間硬化した。硬化後、導体幅165μm、導体間隔165μmのくし型パターン部分の導体がある部分とない部分との段差を触針式段差膜厚計(Tencor Instruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で、パターン埋め込み平坦性を評価した。
A:段差が2μm未満
B:段差が2μm以上、3μm未満
C:段差が3μm以上
(誘電正接)
後述の方法で調製したフィルム状硬化物から幅2.0mm、長さ80mm、厚さ40μmの小片を切り出し、空洞共振器摂動法誘電率測定装置を用いて5GHzにおける誘電正接の測定を行ない、以下の基準で評価した。
A:誘電正接が0.007未満
B:誘電正接が0.007以上、0.012未満
C:誘電正接が0.012以上
(線膨張率)
後述の方法で調製したフィルム状硬化物から幅6mm、長さ15.4mm、厚さ40μmの小片を切り出し、支点間距離10mm、昇温速度10℃/分の条件で、熱機械分析装置(TMA/SDTA840:メトラー・トレド社製)により、30℃〜150℃の線膨張係数の測定を行い、以下の基準で評価した。線膨張係数が小さい場合に線膨張率が低く、線膨張係数が大きい場合に線膨張率が高い。
A:線膨張係数の値が30ppm/℃未満
B:線膨張係数の値が30ppm/℃以上、40ppm/℃未満
C:線膨張係数の値が40ppm/℃以上
(引張弾性率)
後述の方法で調製したフィルム状硬化物から幅5mm、長さ80mm、厚さ任意の小片を切り出し、支点間距離50mmで島津製作所AGS−5KNGを用いてJIS−K7161に基づいて引っ張り測定を実施して引張り弾性率を得た。
A:引張り弾性率の値が8.5GPa以上
B:引張り弾性率の値が8.0GPa以上8.5GPa未満
C:引張り弾性率の値が8.0GPa未満
(フィルム塗工性)
A:溶解率が40質量%超であり塗工性良好
B:溶解率が10質量%以上40質量%以下であり通常の塗工性
C:溶解率が10質量%未満であり塗工性が悪い
脂環式オレフィン重合体を用いた重合体D(以下、重合体D−1と称する)の合成例
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(メタノテトラヒドロフルオレン)(メタノテトラヒドロフルオレン、MTF)70モル部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物(NDCA)30モル部、1−ヘキセン6モル部、アニソール590モル部及びルテニウム系重合触媒として4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)0.015モル部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で1時間の重合反応を行って開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行った。次いで、得られた水素化反応溶液を濃縮して、脂環式オレフィン重合体D−1の溶液を得た。得られた脂環式オレフィン重合体D−1の重量平均分子量は10,000、数平均分子量は5,000、分子量分布は2であった。また、水素添加率は97%であり、カルボン酸無水物基を有する単量体単位の含有率は30モル%であった。脂環式オレフィン重合体D−1の溶液の固形分濃度は55%であった。また、脂環式オレフィン重合体D−1のエポキシ反応性基当量は589であった。
(実施例1)
(硬化性樹脂組成物の調製)
イソシアヌレート環を有し、1分子中にエポキシ基を2つ有するエポキシ化合物A1として、ジグリシジルアリルイソシアヌレート化合物(商品名「MA−DGIC」 四国化成工業株式会社製、エポキシ基当量140.6)5部、エポキシ化合物A2として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名「エピクロンHP−7200HH」、DIC社製、エポキシ基当量250)11.5部、活性エステル化合物Bとして、活性エステル樹脂(商品名「EPICLON HPC−8000−65T」、不揮発分65質量%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)27.7部(活性エステル樹脂18部)、合成例1で得られた脂環式オレフィン重合体(エポキシ反応性基当量589)の溶液0.9部(脂環式オレフィン重合体0.5部)、充填剤Cとしてのシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)65部、酸化防止剤としてのイルガノックス3114(BASF社製)0.2部、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに30%溶解した溶液を固形分換算で0.7部(硬化促進剤2.3部)を混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性樹脂組成物のワニスを得た。
(フィルム成形体の作製)
次いで、上述のようにして得られた硬化性樹脂組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製)上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ43μmの樹脂組成物のフィルム成形体を得た。そして、得られたフィルム成形体を用いて、上記方法に従い、パターン埋め込み平坦性の測定を行なった。結果を表1に示す。
(フィルム状硬化物の作製)
厚さ10μmの銅箔に、得られた硬化性樹脂組成物のフィルム成形体から切り出した小片を、支持体が付いた状態で、硬化性樹脂組成物が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、その後180℃で120分間空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状の硬化物を得た。得られたフィルム状硬化物を用いて、上記方法に従い、誘電正接、線膨張係数、及び引張り弾性率の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
重合体Dとして、重合体D−1(脂環式オレフィン重合体)に代えて、重合体D−2(フェノキシ樹脂、商品名「フェノトートYP−50」(東都化成工業株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
エポキシ化合物A1として、ジグリシジルメチルイソシアヌレート化合物(商品名「MeDAIC」 四国化成工業株式会社製、エポキシ基当量127.6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
エポキシ化合物A1としての、ジグリシジルアリルイソシアヌレート化合物、エポキシ化合物A2としての、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及び活性エステル化合物Bとしての活性エステル樹脂の配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
エポキシ化合物A2及び重合体Dを配合することなく、エポキシ化合物A1としての、ジグリシジルアリルイソシアヌレート化合物、及び活性エステル化合物としての活性エステル樹脂の配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
エポキシ化合物A1としての、ジグリシジルアリルイソシアヌレート化合物、エポキシ化合物A2としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、活性エステル化合物Bとしての活性エステル樹脂、及び重合体D−1の配合量、並びに充填剤Cの割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
エポキシ化合物A1として、ジグリシジルアリルイソシアヌレート5部に代えて、イソシアヌレート環を有し、1分子中にエポキシ基を3つ有するトリグリシジルイソシアヌレートを5部配合し、重合体Dは配合しなかった。さらに、エポキシ化合物A2としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及び活性エステル化合物Bとしての活性エステル樹脂の配合量を表1に示すように変更した。その他の条件は実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
エポキシ化合物A1としての、ジグリシジルアリルイソシアヌレート化合物、エポキシ化合物A2としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、活性エステル化合物Bとしての活性エステル樹脂、及び重合体D−1の配合量、並びに、充填剤Cの割合を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
エポキシ化合物A1に代えて、イソシアヌレート環を有する1分子中に1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物であるグリシジルアリルイソシアヌレートを5部配合した。さらに、エポキシ化合物A2としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及び活性エステル化合物Bとしての活性エステル樹脂の配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
エポキシ化合物A1に代えて、1分子中に2つのエポキシ基を有するが、イソシアヌレート環を有さないエポキシ化合物であるビスフェノールAジグリシジルエーテルを5部配合した。さらに、エポキシ化合物A2としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及び活性エステル化合物Bとしての活性エステル樹脂の配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
活性エステル化合物Bに代えて、フェノール樹脂(商品名「GDP6140」、 社製)18.5部を配合した。さらに、エポキシ化合物A2としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の含有量を11.5部から11部に変更した。その他の条件は実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及びフィルム状硬化物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014091745
表1に示すように、本発明による硬化性樹脂組成物を用いることで、得られる電気絶縁層の引張弾性率が良好であった。さらに、本発明による硬化性樹脂組成物は、電気絶縁層のパターン埋め込み性、誘電正接、及び線膨張率も優れたものとすることができることがわかる。なお、実施例1〜6および実施例7より明らかな通り、硬化性樹脂組成物に1分子中に2つのエポキシ基を有し、且つイソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有させた実施例1〜6の硬化性樹脂組成物は、1分子中に3つのエポキシ基を有し、且つイソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有させた実施例7の硬化性樹脂組成物よりも有機溶媒に対する溶解性が良好である。そして、実施例1〜6の硬化性樹脂組成物は、実施例7の硬化性樹脂組成物と比較し、シート状又はフィルム状に成形する際の塗工性が良好である。また、重合体Dを用いていない実施例5の硬化性樹脂組成物は、誘電正接には優れているものの、重合体Dを用いた実施例1〜4および実施例6〜7の硬化性樹脂組成物よりも配線埋め込み性が低い。
一方、比較例1より明らかな通り、充填剤Cの割合が50%未満となると、弾性に劣り、線膨張率も悪化した。さらに、比較例2及び3より明らかな通り、硬化性樹脂組成物が、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有し、且つイソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有しない場合に、線膨張率が高くなり、且つ引張り弾性が悪化した。さらに、比較例4より明らかな通り、活性エステル化合物Bを配合しないと、エポキシ化合物A1を使用し、且つ、重合体Dを配合した場合であっても、得られる電気絶縁層は電気特性(誘電正接)に劣った。
本実施形態による硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、及び複合体によれば、低線膨張率や、良好な電気特性といった基本的な性能を確保しつつ、コア基板を薄くしていった場合であっても十分な機械的強度を得ることができる電気絶縁層などの硬化物を形成することができる。

Claims (9)

  1. 1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物Aと、前記エポキシ基に対する反応性を有する基である活性エステル基を有する活性エステル化合物Bと、充填剤Cと、を含む硬化性樹脂組成物であって、
    前記エポキシ化合物Aは、イソシアヌレート環を有するエポキシ化合物A1を含有し、
    前記硬化性樹脂組成物中の前記充填剤Cの含有量が50質量%以上である硬化性樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ化合物A1は、1分子中に2つのエポキシ基を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ基に対する反応性を有する基である官能基を有する重合体Dをさらに含有する請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記重合体Dは、脂環式オレフィン重合体またはフェノキシ樹脂である請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ化合物Aは、前記エポキシ化合物A1とは異なる構造であって、かつイソシアヌレート環を有しないエポキシ化合物A2をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記エポキシ化合物Aにおけるエポキシ基と、前記エポキシ基に対する反応性を有する基との比率が、「エポキシ基/(エポキシ基に対する反応性を有する基)」の当量比で0.8〜1.2である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  8. 請求項7に記載の硬化物と基材とが積層されてなる積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体と、該積層体における前記硬化物側の表面に形成された導体層と、を備える複合体。
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JP2020045380A (ja) * 2018-09-14 2020-03-26 日立化成株式会社 硬化性樹脂組成物及び電子部品装置

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