JP2014091730A - 消失性バインダー樹脂用溶剤 - Google Patents

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友加 田村
Toshiki Mori
俊樹 森
Toshinori Fujii
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Abstract

【課題】悪臭を放たず、バインダー樹脂を低減しても適度な粘性が得られ、また揮発性が良い消失性バインダー樹脂用溶剤の提供。
【解決手段】式(1):

(式中、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方は水酸基である)で示されるメチルブタントリオールを含有する消失性バインダー樹脂用溶剤。
【選択図】なし

Description

本発明は消失性バインダー樹脂用溶剤に関する。本発明で提供される消失性バインダー樹脂用溶剤は、多層セラミックやプラズマディスプレイ、太陽電池などの電子部品の製造などに使用される。
電子部品の製造分野では、機能性を発揮する金属やガラスをバインダー樹脂が溶解しているバインダー樹脂溶液に混合してペーストとし、これを基板等に塗布し、乾燥・焼結する方法で、電極、素子又は回路パターン等を製造している。この中でバインダー樹脂を溶解させる溶剤を消失性バインダー樹脂用溶剤と呼ぶ。近年の電子機器の小型化に伴い、部品や基板の小型化と集積度の向上を目的に、基板の多層化、薄膜化が求められているが、この要求に応えるにはこの消失性バインダー樹脂用溶剤の選択は重要である。
例えば、適度な粘性を持つペーストを製造するために、多量のバインダー樹脂を消失性バインダー樹脂用溶剤に溶かすと、バインダー樹脂がだま状になり、不均一になりやすくなる。そこで少量のバインダー樹脂でも適度な粘性が得られる消失性バインダー樹脂用溶剤が望まれる。
また基板等の製造における乾燥・焼結工程で、消失性バインダー樹脂用溶剤およびバインダー樹脂は蒸発除去される。しかし一般的に高粘度の溶剤は揮発性が悪く、消失性バインダー樹脂用溶剤に揮発性が悪い溶剤を用いると乾燥・焼結工程で乾燥斑の原因となってしまう。
従来このような課題を解決するために様々な方法が提案されている。例えば特許文献1はメルカプタン化合物を用いる方法であるが、メルカプタン化合物は悪臭を放つため作業環境が悪くなる欠点がある。
また、特許文献2は架橋環式二環性炭化水素化合物を用いる方法であるが、炭素数がC10〜C16の非疎水性化合物であるため沸点が高く、また水溶性系のバインダー樹脂には使用できない。
特開平06−260016 特開2007−217603
すなわち、悪臭を放たず、また揮発性が良い溶剤が望まれている。
したがって、本発明は、悪臭を放たず、バインダー樹脂を低減しても適度な粘性が得られ、また揮発性が良い消失性バインダー樹脂用溶剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究努力を重ねた結果、消失性バインダー樹脂用溶剤としてメチルブタントリオールを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、以下の、一般式(1):
(式中、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方は水酸基である)
で示されるメチルブタントリオールを含有する消失性バインダー樹脂用溶剤が提供される。
また、本発明によれば、前記メチルブタントリオールが、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールまたは2−メチルブタン−1,2,4−トリオールである前記の溶剤が提供される。
また、本発明によれば、前記メチルブタントリオールが、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールまたは2−メチルブタン−1,2,4−トリオール単独であるか、またはこれらの任意の混合物である前記の消失性バインダー樹脂用溶剤が提供される。
また、本発明によれば、前記メチルブタントリオールが、2〜100%の割合で含まれる前記の消失性バインダー樹脂用溶剤が提供される。
また、本発明によれば、前記溶剤が、さらに水、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤を含む前記の消失性バインダー樹脂用溶剤が提供される。
さらに、本発明によれば、前記アルコール系溶剤が、ターピネオールまたはジヒドロターピネオールであり、前記エステル系溶剤が、ターピネニルアセテートまたはジヒドロターピネニルアセテートである前記の消失性バインダー樹脂用溶剤が提供される。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤はバインダー樹脂の溶解性に優れ、また揮発性が良く、さらに使用量によってバインダー樹脂溶液の粘度を調節することができるので、導電性、誘電性ペーストを用いる電子部材の製造をより簡便に行うことができる。
本発明で提供される消失性バインダー樹脂用溶剤は、多層セラミックやプラズマディスプレイ、太陽電池などの電子部品の製造などに好適に使用される。
3−メチルブタン−1,2,3−トリオール、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールおよびグリセリンの各温度におけるTG分析結果を示す図である。 3−メチルブタン−1,2,3−トリオールと、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールとの1:0、2:1、1:1、1:2および0:1の各種混合割合における蒸発曲線の変化を示す図である。 3−メチルブタン−1,2,3−トリオール、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールおよびグリセリンの各温度における粘度を示す図である。
本発明で用いられる用語「消失性バインダー樹脂用溶剤」とは、塗膜となるバインダー樹脂成分を溶解するための溶剤を意味し、該溶剤に溶解した樹脂溶液に金属粉末などの無機物やガラス粉末を添加し、多層セラミック、有機EL、プラズマディスプレイ、太陽電池または積層セラミックコンデンサーの製造に用いられ、その乾燥工程において消失し、膜形成用塗布液の製造に好適に用いられ得る。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤は、以下の、一般式(1):
(式中、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方は水酸基である)
で示されるメチルブタントリオールにおいて、R1が水素原子であり、R2が水酸基であり、以下の式:
で表される3−メチルブタン−1,2,3−トリオール、または上記一般式(1)において、R1が水酸基であり、R2が水素原子であり、以下の式:
で表される2−メチルブタン−1,2,4−トリオールを、単独で、あるいはこれらの任意の混合物として含むことを特徴とする。
本発明による消失性バインダー樹脂用溶剤に含有されるメチルブタントリオールは、以下のようにして得ることができる。
上記の3−メチルブタン−1,2,3−トリオールは、プレノールあるいは3−メチル−2−ブテン−1−オールを原料として製造できる。
すなわち、これらのアルコールにタングステン酸、酸化バナジウムまたは酸化モリブデンなどの金属触媒存在下に、過酸化水素を反応させてエポキシ体を得る方法;過ギ酸、過酢酸などの過有機酸を反応させてエポキシ体を得る方法;モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)や酸化バナジウムacac錯体(VO(acac)2)の触媒存在下、tert-ブチルヒドロペルオキシド クメンヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシドと反応させてエポキシ体を得る方法などがある。
これらの方法で得られたエポキシ体をさらに水と反応させて目的となる3−メチルブタン−1,2,3−トリオールが得られる。
なお、エポキシ化の反応条件下で水が存在させると、エポキシ体を単離することなく、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールを直接得ることができる。
また、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールは、イソプレノールを原料として製造できる。
すなわち、イソプレノールに上述した3−メチルブタン−1,2,3−トリオールの製造と同様な方法により、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールが得られる。
なお、イソプレノールはホルムアルデヒドとイソブテンより、プレノールはイソプレノールを異性化することで得られるが、両者とも工業的に入手可能である。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤は一般の消失性バインダー樹脂用溶剤に比べて様々な特徴がある。
すなわち、一般式(1)で示されるメチルブタントリオールは低分子でありながら3つの水酸基を持っているため、高粘性で、かつ高い溶解力を持つ。よってこれらメチルブタントリオールを含む消失性バインダー樹脂用溶剤はバインダー樹脂の溶解性が高く、バインダー樹脂がだま状になりにくいという特徴を有する。
さらに高粘性であるため、製造するバインダー樹脂溶液の粘度調節剤としても働き、高価なバインダー樹脂使用量を低減することができる。また沸点は同じ3つの水酸基を持つグリセリンより低沸点であるため、すばやく蒸発させることができる。さらに一般式(1)で示されるメチルブタントリオールは水に可溶であるため、水溶性ペーストの製造も可能となる。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤において、一般式(1)で示されるメチルブタントリオールの含量は、2〜100%、好ましくは3〜100%で、これより割合が低いと効果が得られず、100%の場合には、バインダー樹脂の性質および量に依存して消失性バインダー樹脂溶液の粘性が高くなりすぎて操作性が悪くなることもある。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤において、一般式(1)で示されるメチルブタントリオールと共に用いられる溶剤としては、水;ジエチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソプレングリコール、グリセリン、3−メチル−3−メトキシブタノール、ターピネオール、ジヒドロターピネオールのなどのアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、ターピネニルアセテート、ジヒドロターピネニルアセテートなどのエステル系溶剤;ジブチルエーテル、ジペンチニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジグリセリンなどのエーテル系溶剤などが挙げられる。
これらの溶剤は1種または2種以上の混合物として用いられる。
これらの中でもアルコール系溶剤としてターピネオールおよびジヒドロターピネオール、およびエステル系溶剤としてターピネニルアセテートおよびジヒドロターピネニルアセテートなどの溶剤が好ましいが、溶剤の種類や使用量は塗布性や安定性、有効成分である導電性材料あるいはガラス粉末または誘電性セラミックス体の分散を考慮して決定され得る。
本発明に使用されるバインダー樹脂として、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂、およびカルボキシメチルセルロース樹脂などのセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂、ポリα−メチルスチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などのポバール系樹脂;エバール樹脂;ウレタン樹脂;メラミン樹脂;メタアクリル樹脂;アクリル樹脂などのなどを挙げることができる。
これらバインダー樹脂の使用量は消失性バインダー樹脂用溶剤に対して、0.1〜50%、好ましくは0.5〜20%であり、製造するペーストの物性に合わせて使用する。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤は、導電性塗料として導電性金属、金、銀、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、銅、クロム、カーボンおよび白金などの1種の金属またはこれらの混合物、もしくはこれらの合金などを含むペーストの製造に使用できる。また導電性金属の形状としては、粒状、球状、フレーク状など特に限定されず、これらの形状を単独または2種以上の混合物として使用してもよい。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤は、誘電性塗料としてガラス粉末、または誘電性セラミックスとして酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化カルシウム(PbO−B23−SiO2−CaO)系、酸化亜鉛-酸化ホウ素-酸化ケイ素(ZnO−B23−SiO2)系、および酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素(PbO−ZnO−B23−SiO2)系のガラス粉末などを含むペーストの製造に使用できる。
また、本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を用いてペーストを製造するときに、添加剤として粘着性付与剤、可塑剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤、分散剤などを任意成分として加えてもよい。
本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を用いて製造するペーストは、前記の導電性または誘電性金属粒子およびガラス粉末ならびに必要であれば他の任意成分と合わせ、ロール混練機、ミキサーおよびホモミキサーなどの当業者に公知の混練機を用いて混練して製造することができる。
なお、上記の本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を用いて製造されたペーストは、例えば、スクリーン印刷、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコールおよびワイヤーコーターのような従来の塗布方法を用いて、ガラス基板などのような塗布対象物に直接塗布するか、印刷するかまたは支持フィルムを介して転写塗布して塗装膜を形成することができる。
本発明で得られるメチルブタントリオール、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールと、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールとは、それぞれ単独で消失性バインダー樹脂用溶剤として用いることができるが、以下で述べるように、これらの任意の割合の混合物でも極めて良好な揮発性を示すことから、消失性バインダー樹脂用溶剤として、それぞれ単独のみならず、任意の割合の混合物として使用できることも本発明の特徴の一つである。
上記の3−メチルブタン−1,2,3−トリオール、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールおよび任意の割合のこれらの混合物はそのまま、あるいは、アルコール系溶剤としてターピネオールおよびジヒドロターピネオール、またはエステル系溶剤としてターピネニルアセテートおよびジヒドロターピネニルアセテートなどの溶剤と併用でき、さらに水を加えることもできる。
以下に具体的な製造例、比較例、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの製造例、比較例および実施例によりなんら制限されるものではない。
製造例1
3−メチルブタン−1,2,3−トリオールの製造例
500mlのフラスコにタングステン酸0.5g(0.002モル)および水100gを入れ、40〜60℃の温度でプレノール172g(2モル)および35%過酸化水素195g(2モル)を7.5時間かけて滴下し、さらに50℃で2時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウムを加えて過酸化物を失活させた後、エバポレーターで濃縮し、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールの粗生成物250.7gを得た。これをクライゼン式蒸留装置(減圧度0.6kPa、留出温度114〜118℃)で蒸留することにより本留分177.8gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的とする3−メチルブタン−1,2,3−トリオールの純度は99.3%であった。
ガスクロマトグラフィー分析条件
OV−17パックド 2mカラム、窒素キャリヤーガス、インジェクション温度220℃、検出器温度220℃、カラムオーブン温度80℃から200℃、10℃/分昇温
なお、得られた3−メチルブタン−1,2,3−トリオールを冷蔵庫内に放置したところ、結晶が析出し、融点を測定したところ47℃であった。
製造例2
2−メチルブタン−1,2,4−トリオールの製造例
イソプレノール172g(2モル)、タングステン酸2.0g(0.008モル)、35%過酸化水素水195g(2モル)および水100gを用いて上記の製造例1と同様に反応を行い、2−メチルブタン−1,2,4−トリオールの粗生成物267.0gを得た。これをクライゼン式蒸留装置(減圧度0.6kPa、留出温度128℃〜130℃)で蒸留することにより本留分143.7gを得た。これをのガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的とする2−メチルブタン−1,2,4−トリオールの純度は99.3%であった。
試験例1
蒸発特性
図1は、製造例1で得られた3−メチルブタン−1,2,3−トリオール、製造例2で得られた2−メチルブタン−1,2,4−トリオールおよびグリセリンのTG分析結果である。
図1から、本発明で得られたメチルブタントリオールはいずれもグリセリンより揮発性が良いことがわかった。
TG分析装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 TG/DTA6300
TG測定条件:30℃〜600℃、10℃/分昇温、空気流量100ml/分
図2は、製造例1で得られた3−メチルブタン−1,2,3−トリオールと、製造例2で得られた2−メチルブタン−1,2,4−トリオールとの1:0、2:1、1:1、1:2および0:1の各種混合割合における混合物のTG分析結果である。
図2から、本発明で得られたメチルブタントリオール、すなわち製造例1で得られた3−メチルブタン−1,2,3−トリオールと、製造例2で得られた2−メチルブタン−1,2,4−トリオールとは、任意の割合の混合物でも極めて良好な揮発性を示し、消失性バインダー樹脂用溶剤として、それぞれ単独のみならず、任意の割合の混合物として使用できることが判った。
試験例3
粘度特性
図3は製造例1、2で得られた3−メチルブタン−1,2,3−トリオール、2−メチルブタン−1,2,4−トリオール、さらにグリセリンの各温度における粘度である。このように本発明で得られたメチルブタントリオールはグリセリンよりも高い粘性を示すことがわかる。
粘度分析装置:B型粘度計(BROOKFIELD社製DV-II Pro VISCOMETER)
実施例1
エチルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液の製法
ターピネオール90gに3−メチルブタン1,2,3−トリオール5gを混ぜて消失性バインダー樹脂用溶剤を調合した。これにエチルセルロース樹脂(STD−4)5gを混ぜて60℃で1時間攪拌した。室温に冷却し、エチルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、1197mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
実施例2〜7
実施例1と同様に表1に示した組成%でターピネオール、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールまたは2−メチルブタン−1,2,4−トリオールを混ぜて消失性バインダー樹脂用溶剤を調合し、さらにエチルセルロース樹脂を混ぜて各種バインダー樹脂溶液を得た。得られた各バインダー樹脂溶液の粘性を表1に示した。なお、表内空欄は使用しなかったことを示す。
表1には実施例1〜7で各バインダー樹脂溶液の組成%と粘度データ、さらにバインダー樹脂溶液の熱分析による残存量(消失性)を測定した結果を示した。なお、熱分析はTG分析装置を用い、各バインダー樹脂溶液30mgを毎分10℃の昇温速度で30〜500℃の温度範囲で測定し、そのうち、200〜500℃での残存量%を表に示した。
比較例1〜3
比較例として、表2に示した組成%でターピネオール、エチルセルロースを混ぜて表2に示した重量で混合し、各種バインダー樹脂溶液を得た。得られた各バインダー樹脂溶液の粘性を表1に示した。なお、表内空欄は使用しなかったことを示す。
表2には比較例1〜3で各バインダー樹脂溶液の製造に用いた原料組成比(%)と粘度データ、さらにバインダー樹脂溶液の熱分析による残存量(消失性)を測定した結果を示した。
実施例1と比較例1ではエチルセルロース樹脂含量は同じ5%であるが、粘度を比較すると本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を使用した実施例1の方が高い。またエチルセルロース樹脂が3%含有した場合(実施例2、3、5および比較例3)、本発明品の消失性バインダー樹脂用溶剤を用いることによって粘度を幅広く調整できることがわかった。これはエチルセルロース樹脂を1%した場合(実施例4、6、7および比較例3)でも同様な効果があると言える。
また残存率を見ると、エチルセルロース樹脂の量が少ないほど、より低温で残存量が速く減少している。このことは本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を用いた方が、より短時間での乾燥・焼結が可能であることを示す。
ブチラール樹脂を含むバインダー樹脂溶液の製法
実施例8
ターピネオール90gに3−メチルブタン1,2,3−トリオール5gを混ぜて消失性バインダー樹脂用溶剤を調合した。これにブチラール樹脂(BH−3)5gを混ぜて60℃、1時間攪拌した。室温に冷却し、ブチラール樹脂を含むバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、16188mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
実施例9
実施例8と同様に、ターピネオール90gと2−メチルブタン−1,2,4−トリオール5g、さらにブチラール樹脂5gを混ぜてバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、17037mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
表3には実施例8および9で製造した消失性バインダー樹脂用溶剤の製造に用いた原料組成比(%)と粘度データ、さらに各バインダー樹脂溶液の熱分析による残存量(消失性)を測定した結果を示した。なお、表内空欄は使用しなかったことを示す。
ブチラール樹脂を含むバインダー樹脂溶液の製造にも本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を使用できることが確認された。
ヒドロキシプロピルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液の製法
実施例10
3−メチルブタン1,2,3−トリオール95gにヒドロキシプロピルセルロース樹脂(L)95gを混ぜて60℃、1時間攪拌した。室温に冷却し、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、179000mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
実施例11
実施例10と同様に、2−メチルブタン−1,2,4−トリオール95gとヒドロキシプロピルセルロース樹脂95gからバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、174000mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
実施例12
実施例10で得たヒドロキシプロピルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液50gに水15.9gを室温で混ぜ、水を含むヒドロキシプロピルセルロース樹脂のバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、2120mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
実施例13
実施例11で得たヒドロキシプロピルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液59.5gに水1.03gを室温で混ぜ、水を含むヒドロキシプロピルセルロース樹脂のバインダー樹脂溶液を得た。このバインダー樹脂溶液の粘度を測定したところ、9886mPa・S(20℃)であり、バインダー樹脂溶液中にはだまのような塊は見られなかった。
表4には実施例10〜13で製造した消失性バインダー樹脂用溶剤の原料組成比(%)と粘度データ、さらにバインダー樹脂溶液の熱分析による残存量(消失性)を測定した結果を示した。なお、表内空欄は使用しなかったことを示す。
水を含むヒドロキシプロピルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂溶液の製造にも本発明の消失性バインダー樹脂用溶剤を使用できることが確認された。
機能性ペーストの製造例
実施例14
ターピネオール27.6gと3−メチルブタン−1,2,3−トリオール1.5gを調合した消失性バインダー樹脂用溶剤に、エチルセルロース0.9gを入れて60℃、1時間攪拌し、エチルセルロースを含有するバインダー樹脂溶液を得た。これに銀粉(0.5μm)100gをいれ、ロール混練機を用いて均一に混練し、導電性塗料ペーストを製造した。
実施例15
実施例14において、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールに替えて2−メチルブタン−1,2,4−トリオールを用い、同様にして、導電性塗料ペーストを製造した。
実施例16
実施例14において、銀粉に替えてチタン酸バリウム100gを用い、誘電性塗料ペーストを製造した。
実施例17
実施例14において、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールに替えて2−メチルブタン−1,2,4−トリオールを用い、さらに銀粉に替えてチタン酸バリウム100gを用い、誘電性塗料ペーストを製造した。
実施例18
3−メチルブタン−1,2,3−トリオール50gと水25gを調合した消失性バインダー樹脂用溶剤に、ヒドロキシプロピルセルロースを2gを入れて室温で1時間攪拌し、水を含むヒドロキシプロピルセルロース樹脂を含有するバインダー樹脂溶液を得た。これに銀粉(0.5μm)10gをいれ、ロール混練機を用いて均一に混練し、導電性塗料ペーストを製造した。
本発明で提供される消失性バインダー樹脂用溶剤は、多層セラミックやプラズマディスプレイ、太陽電池などの電子部品の製造などに使用される。

Claims (6)

  1. 一般式(1):
    (式中、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方は水酸基である)
    で示されるメチルブタントリオールを含有する消失性バインダー樹脂用溶剤。
  2. 前記メチルブタントリオールが、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールまたは2−メチルブタン−1,2,4−トリオールである請求項1に記載の消失性バインダー樹脂用溶剤。
  3. 前記メチルブタントリオールが、3−メチルブタン−1,2,3−トリオールまたは2−メチルブタン−1,2,4−トリオール単独であるか、またはこれらの任意の混合物である請求項1または2に記載の消失性バインダー樹脂用溶剤。
  4. 前記メチルブタントリオールが、含有量2〜100%の割合で含まれる請求項1〜3のいずれか1つに記載の消失性バインダー樹脂用溶剤。
  5. 前記溶剤が、さらに水、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の消失性バインダー樹脂用溶剤。
  6. 前記アルコール系溶剤が、ターピネオールまたはジヒドロターピネオールであり、前記エステル系溶剤が、ターピネニルアセテートまたはジヒドロターピネニルアセテートである請求項5に記載の消失性バインダー樹脂用溶剤。
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