JP4439968B2 - 金属レジネート組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられる金属レジネート組成物に係り、特に均一で緻密な内部電極の形成が可能な金属レジネート組成物に関する。
従来、回路形成や電極形成に用いられる導電性ペーストは、有機結合剤を有機溶剤で溶解したものに、導電材料や無機バインダーの粉体を混合することにより得られている。しかしながら、このような粉体を用いた場合、分散不良によりスクリーン印刷に用いるスクリーンマスクに目詰まりが発生することがある。このため、導電材料の粉体を用いる代わりに、導電材料をレジネート化したものを用いることが知られている。
このようなレジネート材料を用いることにより、分散不良によるスクリーンマスクの目詰まりを抑制することが可能となる。しかし、このようなレジネート材料を含む導電性ペーストを基板に印刷、焼成してメタライズする場合、焼成する際に印刷膜に部分的にクラックが発生することがある。このため、金のレジネート材料を添加したり、特定の有機バインダーを所定量添加することにより、クラックを抑制することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、カーボンナノチューブは導電性、熱伝導性、電磁波シールド性等の機能性材料として、ポリイミド等の樹脂またはガラス等の無機化合物からなるマトリックスに分散させて用いることが知られている。
例えば、蛍光表示管の電極の形成において、黒鉛の代わりにカーボンナノチューブを用いた導電性ペーストを用いることが提案されている。黒鉛の代わりにカーボンナノチューブを用いることにより、従来のように焼成温度が低いときに導電性ペースト中の樹脂が完全に消失せず、また焼成温度が高いときに黒鉛ペースト中の黒鉛が酸化し、電極の抵抗が高くなるという課題を解決することが可能となっている。(例えば、特許文献2参照。)。
このようなカーボンナノチューブは、一般に炭素アーク放電法、すなわち不活性ガスで満たされた反応容器中でカーボンを蒸発させた後、凝縮させることにより生成されている。この際、カーボンナノチューブの収率が反応容器中のガス分圧に依存することから、ガス分圧を所定の範囲としてカーボンナノチューブを生成することが知られている。また、カーボンナノチューブの直径や長さの分布が反応容器中の温度により影響を受けるため、反応容器中の温度を一定温度としてカーボンナノチューブを生成することが知られている(例えば、特許文献3、4参照。)。
さらに、合成されたカーボンナノチューブの先端が閉管状態となっており、またその周りにはカーボンナノ粒子やアモルファスカーボン等の炭素不純物が付着していることから、これを開口、精製する方法が検討されている。
このような開口、精製する方法としては、例えばカーボンナノチューブとカーボンナノ粒子、アモルファスカーボンとの構造的な違いに基づく炭素に対する酸化剤等の反応性、反応速度の違いを利用することが知られている。また、このような方法を利用することにより、カーボンナノチューブにニトロ基、スルホン基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、フェノール性水酸基等の種々の官能基を導入できることが知られている(例えば、特許文献5参照。)。
特開2001−135138号公報 特開2000−63726号公報 特開平6−157016号公報 特開平6−280116号公報 特開平8−12310号公報
上述したように導電性ペーストにおいては、レジネート材料やカーボンナノチューブを添加することにより、スクリーン印刷に用いるスクリーンマスクの目詰まりを抑制したり、導電性ペーストの焼成時のクラックを抑制できることが知られている。
しかしながら、このような導電性ペーストによっても、未だ十分に均一で緻密な金属電極を得るには至っていない。本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであって、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられる金属レジネート組成物であって、焼成時のクラックが抑制され、均一で緻密な内部電極を形成することが可能な金属レジネート組成物を提供することを目的としている。
本発明者は上述したような課題を解決するために鋭意研究した結果、上述したような内部電極を形成する導電性ペーストにカーボンナノチューブ金属レジネートを含有させることにより、導電性ペーストを所望の厚さで均一に容易に塗布することができ、また焼成時のホールやクラックの発生を抑制し、均一で緻密な内部電極を得ることができることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
すなわち、本発明の金属レジネート組成物は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の金属との反応性を有する官能基が導入されたカーボンナノチューブと、貴金属および卑金属から選ばれる少なくとも1種の金属との反応により生成される塩であるカーボンナノチューブ金属レジネート、有機溶剤、および有機結合剤を含有してなる積層セラミックコンデンサの内部電極形成用の金属レジネート組成物であって、前記カーボンナノチューブ金属レジネートを5重量%以上80重量%以下含有することを特徴とする。
前記貴金属は、パラジウム、銀および金からから選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、前記卑金属は、ビスマス、ジルコニウム、チタン、クロム、セリウム、ニッケルおよび錫から選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましい。
記金属レジネート組成物全体に対する前記有機結合剤の含有量30重量%以下であることが好ましい。また、前記金属レジネート組成物はセラミック粉末を含んでいてもよく、この場合、前記金属レジネート組成物全体に対するセラミック粉末の含有量が30重量%以下であることが好ましい。
本発明では、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられる金属レジネート組成物として、特定のカーボンナノチューブ金属レジネート、有機溶剤、および有機結合剤を含有し、該カーボンナノチューブ金属レジネートを5重量%以上80重量%以下含有するものとすることで、これを所望の厚さで均一に塗布することが可能となり、また焼成した際のホールやクラックの発生を抑制し、均一で緻密な内部電極を得ることが可能となる。
また、従来の金属レジネート組成物のように通常の金属レジネートを用いたものでは、有機基が有機物であるためこれを分解する必要があるが、本発明の金属レジネート組成物ではカーボンナノチューブ金属レジネートを用いることで、従来のように有機物を分解する必要がなく、低温焼成が可能となる。
以下、本発明について説明する。本発明の金属レジネート組成物は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の金属との反応性を有する官能基が導入されたカーボンナノチューブと、貴金属および卑金属から選ばれる少なくとも1種の金属との反応により生成される塩であるカーボンナノチューブ金属レジネート、有機溶剤、および有機結合剤を含有してなる積層セラミックコンデンサの内部電極形成用の金属レジネート組成物であって、該カーボンナノチューブ金属レジネートを5重量%以上80重量%以下含有することを特徴とする。
従来の金属レジネートを用いた金属レジネート組成物においては、焼成時に有機基部分の熱分解やそれに伴う気体の発生により金属電極にクラック、ホール等が発生し、十分に均一、緻密な金属電極を得ることが困難であった。
本発明においては、金属レジネート組成物としてカーボンナノチューブ金属レジネートを含有するものとすることにより、焼成した際の有機基部分の熱分解によるクラックやホールの発生を抑制すると共に、発生したクラックやホールをカーボンナノチューブで埋めることで、クラックやホールがなく均一で緻密な金属電極を形成することが可能となる。
従って、このような金属レジネート組成物を積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するために用いれば、クラックやホール等の内部欠陥が抑制された信頼性に優れる積層セラミックコンデンサを得ることが可能となる。また、このような金属レジネート組成物を用いれば、内部電極表面の凹凸の発生が抑制されるため、より多くの層を積層することが可能となり、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が可能となる。
本発明の金属レジネート組成物においては、カーボンナノチューブ金属レジネートが、金属レジネート組成物全体に対して、5重量%以上80重量%以下含有される。カーボンナノチューブ金属レジネートが5重量%未満であると、金属レジネート組成物を塗布、焼成したときに緻密な内部電極を形成しにくくなる。また、80重量%を超えると金属レジネート組成物の塗布作業性が低下するおそれがあり好ましくない。より好ましいカーボンナノチューブ金属レジネートの含有量は、金属レジネート組成物全体に対して、10重量%以上50重量%以下である。
本発明の金属レジネート組成物は、このようなカーボンナノチューブ金属レジネートを必須成分として有機溶剤に分散させたものであり、有機結合剤、必要に応じてセラミック粉末、消泡剤、カップリング剤、その他添加剤を含有させてなるものである。
有機溶剤としては特に限定されるものではなく、例えばトルエン、キシレン、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、α−テルピネオール、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
有機結合剤としては、例えばアクリル系樹脂、セルロース、ポリビニルブチラール系樹脂、コロホニウム樹脂、ポリウレタン系樹脂または塩酢ビ系樹脂が用いられる。
これら有機結合剤の含有量は、金属レジネート組成物全体に対して、30重量%以下であることが好ましい。有機結合剤の配合比が30重量%を超えると金属レジネート組成物を焼成して内部電極を形成したときに有機結合剤が残留してしまい、焼成物が緻密にならず、電気的特性等が低下するおそれがあるため好ましくない。より好ましくは有機結合剤の含有量が、有機溶剤1重量部に対して、0.025〜0.1重量部である。
セラミック粉末としては、例えばチタン酸バリウム(BaTi0)粉末が挙げられる。このようなセラミック粉末は、金属レジネート組成物全体に対して、30重量%以下とすることが好ましい。セラミック粉末の配合量が30重量%を超えると、金属レジネート組成物を焼成したときに焼結が進まず、内部電極の電気的特性が低下するおそれがあり好ましくない。
また、消泡剤、カップリング剤、その他添加剤の含有量は、金属レジネート組成物全体に対して、20重量%以下とすることが好ましい。これらのものの含有量が20重量%を超えると内部電極を形成したときにこれらのものが残留し、焼成物が緻密にならず電気的特性等が低下するおそれがあるため好ましくない。
このような金属レジネート組成物に用いられるカーボンナノチューブ金属レジネートは、カルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基(−OH)、スルホン基(−SOH)およびメルカプト基(−SH)から選ばれる少なくとも1種の金属との反応性を有する官能基が導入されたカーボンナノチューブと、貴金属および卑金属から選ばれる少なくとも1種の金属との反応により生成される塩である。
上記貴金属としては、例えばパラジウム、銀および金が好適なものとして挙げられ、卑金属としては、例えばビスマス、ジルコニウム、チタン、クロム、セリウム、ニッケルおよび錫が好適なものとして挙げられる。これら貴金属および卑金属は、どちらか一方のみを用いてもよいし、両者を併用してもかまわない。また、貴金属、卑金属はそれぞれ1種のみを用いてもよいし、複数種を併用しても構わない。
このようなカーボンナノチューブ金属レジネートは、例えば以下に示すような方法により製造されるものである。まず、カーボンナノチューブ金属レジネートの製造に用いられるカーボンナノチューブは特に制限されるものではなく、例えば特開平6−157016号公報、特開平6−280116号公報、特開2000−63726号公報等に示されるような公知の合成方法により製造される直径2〜50nm、長さ1〜10μm程度の円筒中空繊維状のものである。
具体的には、例えばヘリウムガス中で2本の炭素電極を1〜2mm程度離した状態で直流アーク放電を起こし、陽極側の炭素が蒸発して陰極側の炭素電極先端に凝集した凝集物中に生成されたカーボンナノチューブを用いることができる。カーボンナノチューブはこのようなアーク放電法以外による以外にも、化学気相成長法、熱分解法、レーザー蒸発法等により生成されたものも用いることができる。
次に、このようなカーボンナノチューブにカルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基(−OH)スルホン基(−SOH)およびメルカプト基(−SH)から選ばれる少なくとも1種の金属との反応性を有する官能基を導入する。官能基はカーボンナノチューブの表面全体に渡って導入されていればより好ましい。
カーボンナノチューブへの上記官能基の導入は、例えば特開平8−12310号公報に示されるような方法により行うことができる。すなわち、液相中で酸化剤、ニトロ化剤、スルフォン化剤より選ばれた反応試薬とカーボンナノチューブとを混合し、液相中で化学反応を起こさせることにより行うことができる。
反応試薬としては、具体的には硫酸、硝酸、硫酸・硝酸混合溶液、過マンガン酸カリウム希硫酸溶液等を用いることができる。また、反応試薬とカーボンナノチューブとの混合は、超音波分散により行えば好ましい。さらに、反応試薬とカーボンナノチューブとの化学反応は、例えば空気中、撹拌下、120℃〜180℃(湯浴温度)で2〜6時間、煮沸還流することにより行うことができる。
このようにして表面にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の官能基が導入されたカーボンナノチューブは、例えばパラジウム、銀あるいは金等の貴金属またはビスマス、ジルコニウム、チタン、クロム、セリウム、ニッケルあるいは錫等の卑金属と反応させて塩を形成させることによりカーボンナノチューブ金属レジネートとすることができる。
具体的には、表面にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン基またはメルカプト基が導入されたカーボンナノチューブとアルカリ金属の水酸化物とを反応させてアルカリ金属塩とした後、これをパラジウム、銀あるいは金等の貴金属またはビスマス、ジルコニウム、チタン、クロム、セリウム、ニッケルあるいは錫等の卑金属の硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、水酸化物、塩化物、臭化物あるいは沃化物と反応させて、カーボンナノチューブ金属レジネートとすることができる。
また、上述したような方法以外にも、表面にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン基またはメルカプト基が導入されたカーボンナノチューブと、パラジウム、銀あるいは金等の貴金属またはビスマス、ジルコニウム、チタン、クロム、セリウム、ニッケルあるいは錫等の卑金属の水酸化物とを反応させて、カーボンナノチューブ金属レジネートとすることもできる。
本発明の金属レジネート組成物の調製は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、上述したような方法によりカーボンナノチューブ金属レジネートを製造する。そして、有機溶剤に必要に応じて有機結合材等を添加して溶解させた後、これにカーボンナノチューブ金属レジネートを添加し、必要に応じてセラミック粉末等を添加し、常法に従い十分混合する。この後、ボールミル、ヘンシェルミキサー、オープンロールミキサー、バンバリー混合機等により混練処理を行ってもよい。さらに、例えば減圧下で脱泡等を行ってもよい。
このようにして得られた金属レジネート組成物は例えばペースト状であり、従来の導電性ペーストと同様にして積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するために好適に用いることができる。以下、積層セラミックコンデンサの製造に本発明の金属レジネート組成物を用いる例について説明する。
積層セラミックコンデンサの製造に用いられるセラミックグリーンシートは特に制限されるものではなく、公知の材料、手段を用いて作製されるものを広く用いることができる。例えば、セラミックス粉末、有機バインダー樹脂、有機溶剤等を混合して得られるスラリーをドクターブレード法やカレンダ法でシート状に成形したものを用いることができる。
このようなセラミックグリーンシート上への未焼成内部電極の形成は、上述した金属レジネート組成物を、スクリーン印刷法、スピンコート法、ディッピングコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、インクジェット方式等の既存の塗布方法により所定のパターンに塗布、乾燥することにより行うことができる。また、金属レジネート組成物を離型性を有する基材に同様な方法を用いて塗布、乾燥し、シート状とした後、これをセラミックグリーンシートに転写してもよい。
このようにして未焼成内部電極が形成された複数のグリーンシートは、その一端側では奇数番目の未焼成内部電極の端面が露出するように、また他端側では偶数番目の未焼成内部電極の端面が露出するようにそれぞれ位置合わせして積層することにより未焼成積層体とし、これを焼成することにより焼結体とする。
さらに、この焼結体の内部電極が引き出された各端面に、例えば外部電極としてCuペーストを塗布焼付けし、その後Ni、Snを電気めっきすることにより積層セラミックコンデンサとすることができる。
次に、本発明の金属レジネート組成物について実施例を参照して説明する。なお、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
まず、金属レジネート組成物の調製にあたり、それに用いられるカーボンナノチューブ金属レジネートとしてのカーボンナノチューブカルボン酸ニッケル塩の合成について説明する。
(カーボンナノチューブカルボン酸ニッケル塩の合成)
(1.カーボンナノチューブの合成とカルボキシル基の導入)
特開2000−63726号公報に記載された方法に従って、カーボンナノチューブを合成した。このカーボンナノチューブに対して、特開平8−12310号公報に記載された方法により、カルボキシル基を導入した。
すなわち、硫酸・硝酸混合溶液にカーボンナノチューブを超音波分散させ、次に空気中、攪拌下、120〜180℃(湯浴温度)で、2〜6時間、煮沸還流した。反応後、ガラスフィルターで濾過し、フィルター上に残ったものを純水で洗浄し、カルボキシル基が導入されたカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブカルボン酸)を得た。
(2.カーボンナノチューブカルボン酸ニッケル塩の合成)
上記カーボンナノチューブカルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液でカルボン酸のナトリウム塩にした後、硫酸ニッケル水溶液(1mol/l)を滴下、超音波分散させ、生成物が沈澱後、濾過し、1mmHg下、120℃で乾燥してカーボンナノチューブ金属レジネートとしてのカーボンナノチューブカルボン酸ニッケル塩を得た。
(実施例1)
アクリル樹脂3重量部を、ベンジルアルコール25重量部、α−テルピネオール20重量部中で100℃、1時間で溶解を行い粘稠な樹脂を得た。この樹脂48重量部に、上記カーボンナノチューブカルボン酸ニッケル塩を40重量部、内部電極の焼結性を抑制するための粒径0.1μmのBaTi0を2重量部、粘度調整用にブチルセロソルブを10重量部加えて混合し、さらに80℃、1時間の混合処理を行い、導電性ペースト(金属レジネート組成物)を調製した。
別途、BaTiOを主成分とする誘電体粉末120重量部、ポリビニルブチラール樹脂30重量部、ブチルカルビトール150重量部、フタル酸ジオクチル4重量部を配合し、チルドロールで混練して、セラミック誘電体スラリーを作製した。このセラミック誘電体スラリーをドクターブレード法で所定の厚さとし、セラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシート上に上記導電性ペーストを、焼成後の厚さが所定の厚さとなるように印刷し、オーブンで乾燥させた。この未焼成内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを150層積層し、1.0t/cmの圧力で熱圧着し積層セラミックコンデンサ用の未焼成積層体を作製した。
(実施例2)
アクリル樹脂3重量部を、ベンジルアルコール25重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル20重量部中で100℃、1時間で溶解を行い粘稠な樹脂を得た。この樹脂48重量部に、上記カーボンナノチューブカルボン酸ニッケルを40重量部、内部電極の焼結性を抑制するための粒径0.1μmのBaTi0を2重量部、粘度調整用にブチルセロソルブを12重量部加えて混合し、さらに80℃、1時間の混合処理を行い、導電性ペースト(金属レジネート組成物)を調製した。この導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサ用の未焼成積層体を作製した。
(実施例3)
実施例1で作製した導電性ぺースト(金属レジネート組成物)と同様の導電性ぺーストを、離型処理を施した基材(PET)上に、ドクターブレード法で焼成後の厚さが所定の厚さとなるように塗布乾燥し、未焼成内部電極を有する基材を得た。さらに、この未焼成内部電極を有する基材から未焼成内部電極をセラミックグリーンシート上に転写した。この未焼成内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを用いて、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサ用の未焼成積層体を作製した。
(比較例1)
エチルセルロース樹脂10重量部を、α−テルピネオール90重量部中で90℃、4時間で溶解を行い粘稠な樹脂を得た。この樹脂30重量部に、SEM粒径0.5μm、比表面積1.9m/g、タップ密度5.8g/cmの球状ニッケル粉を50重量部、内部電極の焼結性を抑制するための粒径0.1μmのBaTiOを10重量部、粘度調整用にブチルセロソルブを10重量部加えて混合し、80℃、1時間の混合処理を行い、導電性ペーストを調製した。この導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサ用の未焼成積層体を作製した。
次に、実施例1〜3、比較例1の未焼成積層体をチップ状に切断し、未焼成チップとした。この未焼成チップを280℃の空気中で8時間の脱脂処理後、酸素濃度を制御したN+H雰囲気で1250℃にて焼成して、焼成チップを得た。
さらに、焼成チップの内部電極が引き出された各端面に外部電極としてCuペーストを塗布焼付けし、その後Ni、Snを電気めっきして、積層セラミックコンデンサを作製した。
なお、積層セラミックコンデンサは焼成後のセラミック誘電体層の厚みが4μm、8μmの2種類、さらにこれらのものについて内部電極厚みが0.1μm、0.5μm、1.0μmの3種類を作製した。
そして、これら積層セラミックコンデンサについて、断面研磨による焼成後の内部欠陥発生率を調べた。セラミック誘電体層の厚みが4μmのときの内部欠陥発生率を表1に、セラミック誘電体層の厚みが8μmのときの内部欠陥発生率を表2に、それぞれ示す。なお、内部欠陥発生率の測定に用いた積層セラミックコンデンサは各1000個とし、内部欠陥発生率は試料数である1000個に対して内部欠陥の発生した数(%)で示した。
Figure 0004439968
Figure 0004439968
表1、表2から明らかなように、実施例1〜3のカーボンナノチューブ金属レジネートを用いた導電性ぺースト(金属レジネート組成物)では、セラミック誘電体厚み4μm、8μm、内部電極厚み0.1μm、0.5μm、1.0μmの範囲で、従来の金属ニッケル粉を充填した導電性ぺーストに比べて内部欠陥の発生が抑制されていることが認められた。
以上、本発明について実施例を参照して説明したが、本発明はこれらのものに限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限度において各種の変形、変更が可能である。

Claims (5)

  1. カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の金属との反応性を有する官能基が導入されたカーボンナノチューブと、貴金属および卑金属から選ばれる少なくとも1種の金属との反応により生成される塩であるカーボンナノチューブ金属レジネート、有機溶剤、および有機結合剤を含有してなる積層セラミックコンデンサの内部電極形成用の金属レジネート組成物であって、
    前記カーボンナノチューブ金属レジネートを5重量%以上80重量%以下含有することを特徴とする金属レジネート組成物。
  2. 前記貴金属は、パラジウム、銀および金からから選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1記載の金属レジネート組成物。
  3. 前記卑金属は、ビスマス、ジルコニウム、チタン、クロム、セリウム、ニッケルおよび錫から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1記載の金属レジネート組成物。
  4. 前記金属レジネート組成物全体に対する前記有機結合剤の含有量が30重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の金属レジネート組成物。
  5. 前記金属レジネート組成物はセラミック粉末を含み、前記金属レジネート組成物全体に対する前記セラミック粉末の含有量が30重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の金属レジネート組成物。
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