JP2014091473A - 車両用電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用ガラスという限られたスペースに対する、太陽電池モジュールの発電効率を高めること。
【解決手段】車両10の内部に収納されている太陽電池モジュール21を、フロントガラス15とリヤガラスとサイドガラスの、少なくとも1つのガラスのフロントガラス15のガラス面15aに沿って車室17内に出し入れ可能な車両用電源装置20である。該太陽電池モジュールは、可撓性を有した単一のシート状に構成されて、該少なくとも1つのガラスの近傍に収納状態で位置している。該車両用電源装置は、引き出し状態保持機構と付勢機構とを備えている。該引き出し状態保持機構は、該太陽電池モジュールを該車室内に引き出された状態に保持する。該付勢機構は、該引き出し状態保持機構の保持状態が解除されたときに、該太陽電池モジュールを元の収納状態に戻すように付勢する。
【選択図】図1
【解決手段】車両10の内部に収納されている太陽電池モジュール21を、フロントガラス15とリヤガラスとサイドガラスの、少なくとも1つのガラスのフロントガラス15のガラス面15aに沿って車室17内に出し入れ可能な車両用電源装置20である。該太陽電池モジュールは、可撓性を有した単一のシート状に構成されて、該少なくとも1つのガラスの近傍に収納状態で位置している。該車両用電源装置は、引き出し状態保持機構と付勢機構とを備えている。該引き出し状態保持機構は、該太陽電池モジュールを該車室内に引き出された状態に保持する。該付勢機構は、該引き出し状態保持機構の保持状態が解除されたときに、該太陽電池モジュールを元の収納状態に戻すように付勢する。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽電池モジュールを用いた車両用電源装置の改良された技術に関する。
太陽電池モジュールは、基材に太陽電池素子を備えた構成の、いわゆる光電変換モジュールである。このような太陽電池モジュールの用途は多岐に亘り、例えば車両用電源装置に採用する技術の開発が、進められている。車両に太陽電池モジュールを搭載する構成には、基本的に次の2通りがある。
第1の構成は、車体の外面に太陽電池モジュールを設ける構成であり、太陽光を直接に受けて光電変換をする。太陽電池モジュールが大気に晒されるので、受光面の汚れ対策や耐久性について、十分考慮する必要がある。
第2の構成は、車体の内部に太陽電池モジュールを設ける構成であり、太陽光をフロントシールドや窓ガラスを介し間接に受けて、光電変換をする。受光面の汚れ対策や耐久性の観点で、有利である。第2の構成に関する技術は、例えば特許文献1から知られている。
特許文献1で知られている車両用電源装置は、車体前後方向に配列し互いに繋がれている多数の箱を、車内の天井裏に収納し、フロントガラスのガラス面に沿って車室内に出し入れ可能な構成である。箱同士が互いに繋がれているので、車幅方向に細長い多数の箱の集合体、つまり箱集合体は表裏折り曲げ可能である。箱集合体は、手動または電動によって天井裏から出し入れされる構成であって、左右のフロントピラーに設けられたレールにより案内される。各々の箱には、硬質または軟質の太陽電池パネルが設けられている。箱集合体が天井裏から引き出された状態において、各太陽電池パネルは太陽光をフロントガラスを介して受光する。
しかしながら、特許文献1で知られている車両用電源装置は、太陽電池パネルが設けられている多数の箱同士が互いに繋がれた、いわゆる集合体によって構成されているので、構成が極めて複雑化するとともに、大型にならざるを得ない。しかも、多数の箱に個別に太陽電池パネルが設けられるので、箱同士の間には発電に全く寄与しない余分なスペースがある。これでは、フロントガラス等の車両用ガラスという限られたスペースに対する発電効率を高める上で、不利である。つまりスペース効率が劣る。
本発明は、車両の内部に収納されている太陽電池モジュールを車両用ガラスのガラス面に沿って車室内に出し入れ可能な車両用電源装置において、車両用ガラスという限られたスペースに対する発電効率を高めることができる技術を、簡単な構成によって提供することを課題とする。
請求項1に係る発明によれば、車両の内部に収納されている太陽電池モジュールを、フロントガラスとリヤガラスとサイドガラスの、少なくとも1つのガラスのガラス面に沿って車室内に出し入れ可能な車両用電源装置において、前記太陽電池モジュールは、可撓性を有した単一のシート状に構成されて、前記少なくとも1つのガラスの近傍に収納状態で位置している、ことを特徴とする車両用電源装置が提供される。
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記太陽電池モジュールを前記車室内に引き出された状態に保持する引き出し状態保持機構と、この引き出し状態保持機構の保持状態が解除されたときに、前記太陽電池モジュールを元の収納状態に戻すように付勢する付勢機構とを備えている。
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記引き出し状態保持機構は、前記太陽電池モジュールを車両用電源に電気的に接続するコネクタによって構成されている。
請求項4に記載のごとく、好ましくは、車両用メインスイッチがオフ状態にある場合にだけ、収納状態の前記太陽電池モジュールの引き出しが可能に保持する収納状態保持機構を備えている。
請求項1に係る発明では、太陽電池モジュールは、可撓性を有した単一のシート状に構成されて車両用ガラスの近傍、つまりフロントガラスとリヤガラスとサイドガラスの、少なくとも1つのガラスの近傍に、収納状態で位置している。単一のシート状の太陽電池モジュールであるから、発電に全く寄与しない余分なスペースが極めて少ない。太陽電池モジュールの概ね全体で発電することができるので、車両用ガラスという限られたスペースに対する発電効率を高めることができ、スペース効率を高めることができる。しかも、可撓性を有した単一のシート状の太陽電池モジュールを採用している。このため、収納されている太陽電池モジュールを、車両用ガラスのガラス面に沿って車室内に出し入れ可能な車両用電源装置を、極めて簡単な構成にすることができ、小型化を図ることができる。
請求項2に係る発明では、太陽電池モジュールが車室内に引き出されたときに、引き出し状態保持機構によって、太陽電池モジュールを引き出し状態に容易に保持することができる。太陽電池モジュールは、付勢機構によって収納状態に戻すように付勢されている。引き出し状態保持機構の保持状態が解除されたときには、太陽電池モジュールは付勢機構によって元の収納状態に戻される。太陽電池モジュールを元に戻す操作が不要なので、収納操作性が高まる。
請求項3に係る発明では、太陽電池モジュールを車両用電源に電気的に接続するコネクタによって、引き出し状態保持機構が構成されている。つまり、コネクタは、引き出し状態保持機構の機能を有しており、車両用電源に接続することによって、太陽電池モジュールを引き出し状態に保持することができる。コネクタが引き出し状態保持機構を兼ねるので、この引き出し状態保持機構の構成が簡単になる。しかも、コネクタを接続すると同時に、太陽電池モジュールを引き出し状態に保持できるので、操作性が高まる。
請求項4に係る発明では、収納状態保持機構は、車両用メインスイッチがオフ状態にある場合にだけ、つまり車両を駐車しているときだけ、収納状態の太陽電池モジュールの引き出しが可能に保持している。運転をしていないときにのみ、十分に発電をすることができる。一方、メインスイッチがオン状態、つまり車両の運転中には、収納状態の太陽電池モジュールを引き出すことができないので、太陽電池モジュールが運転の妨げになることはない。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
実施例1に係る車両用電源装置について、図1〜図3に基づき説明する。図1に示されるように、車両10は、車体11にルーフ12を有する。このルーフ12は、図示せぬ左右のフロントピラーの上端と左右のリヤピラーの上端との間に設けられた、平面視略矩形状のパネルであり、ルーフパネルともいわれている。ルーフ12の内面12aは、ルーフライニング13(内装板13)によって覆われている。ルーフ12とルーフライニング13との間には、所定の間隔を有した空間部14が形成されている。
ルーフ12の前端には、フロントガラス15(ウインドシールド15)の上端が取り付けられている。フロントガラス15は前下方へ延びて、下端を車体11のウインドシールドロアパネル16によって支持されている。フロントガラス15の車幅方向の幅は、下端の方が上端よりも大きい。つまり、フロントガラス15の全体形状は、このフロントガラス15を正面から見たときに、下端が幅広で上端が幅狭の、略台形状である。
車体11の内部に形成されている車室17の前部には、フロントガラス15の下端に隣接したダッシュボード18(インスツルメントパネル18)が設けられている。ダッシュボード18には、メインスイッチ19が設けられている。メインスイッチ19は、車両10の電源ライン(図示せず)をオン、オフ操作する手動スイッチである。このメインスイッチ19は、例えばエンジン車の場合にはイグニッションスイッチであり、電気自動車の場合には電源スイッチである。
図1〜図3に示されるように、車両10は車両用電源装置20を備えている。車両用電源装置20は、太陽電池モジュール21と、この太陽電池モジュール21によって得た電力を充電可能な車両用電源22(図2参照)とを含む。この車両用電源装置20は、車両10の内部に収納されている太陽電池モジュール21を車両用ガラス、例えばフロントガラス15のガラス面15aに沿って車室17内に出し入れ可能な構成である。なお、この車両用ガラスには、フロントガラス15の他に、車両後面のリヤガラス(図示せず)や車両側面のサイドガラス(ドア用窓ガラス等。図示せず)がある。車両用電源22は、例えばバッテリやコンデンサによって構成され、車両10の電源ラインに電力を供給することが可能である。
太陽電池モジュール21は、フロントガラス15の近傍、つまり空間部14の前端部分に収納状態で位置している。この太陽電池モジュール21は、可撓性(柔軟性)を有した単一のシート状に構成されている。太陽電池モジュール21の大きさは、図3に示されるように、フロントガラス15のガラス面15aに展開した状態において、このガラス面15aの概ね全面にわたって覆うことが可能な大きさに、設定されている。但し、太陽電池モジュール21の車幅方向の幅Wd(図2参照)は、フロントガラス15の上端の幅に概ね合致した大きさに設定されている。つまり、幅Wdは、太陽電池モジュール21の全長にわたって同じである。
より詳しく述べると、太陽電池モジュール21は、可撓性を有した単一の薄いシート状(フィルム状を含む)に構成された基材に、少なくとも1つの太陽電池素子を備えた構成の、いわゆる光電変換モジュールである。基材は、太陽電池素子を保持するのに十分な材料によって構成され、例えばポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の樹脂製フィルムによって構成される。前記太陽電池素子は、可撓性を有している。太陽電池素子の発電層は、例えば発電効率が高いCIS系等の化合物半導体材料によって構成される。
太陽電池素子は、基材の全面にわたって設けられることが好ましい。基材の全範囲にわたって、太陽電池素子による発電を行うことが好ましいからである。例えば、単一の太陽電池素子が、基材の全面にわたって設けられる。または、複数の太陽電池素子が、基材の全面にわたって配置される。
さらに、車両用電源装置20は、収納機構30と引き出し状態保持機構40とを含む。収納機構30は、太陽電池モジュール21を巻いた状態で、ルーフ12とルーフライニング13との間の空間部14に収納するものである。この収納機構30は空間部14内に設けられており、巻き取りロール31と付勢機構32と収納状態保持機構33とから成る。
巻き取りロール31は、車幅方向に細長い丸棒状の部材であり、車体11に回転可能に支持されている。巻き取りロール31には、太陽電池モジュール21が巻かれている。太陽電池モジュール21は、巻き取りロール31に巻かれた状態で、空間部14に収納されている。
付勢機構32は、巻き取りロール31を太陽電池モジュール21の巻き取り方向に付勢するものであり、例えば渦巻ばねによって構成される。渦巻ばねの一端は車体11に取り付けられる。渦巻ばねの他端は巻き取りロール31に取り付けられる。
収納状態保持機構33は、メインスイッチ19がオフ状態にある場合にだけ、空間部14に収納状態の太陽電池モジュール21の引き出しが可能に保持するものである。この収納状態保持機構33は、巻き取りロール31に取り付けられたラチェット歯車34(ラチェットホイール34)と、このラチェット歯車34の歯に掛け止め可能な係止爪35と、この係止爪35をラチェット歯車34の歯に掛け止める方向へ付勢するバネ36と、係止爪35を歯から離す方向へ駆動するソレノイド37とから成る。このソレノイド37は、通常の非励磁状態のときにロックピン38が退縮しているとともに、励磁状態に変わったときにロックピン38が伸びる。
メインスイッチ19がオフ(off)状態にあるときには、ソレノイド37は非励磁状態であり、ロックピン38は退縮している。係止爪35は、バネの付勢力に抗してロックピン38に引き戻されているので、ラチェット歯車34の歯から外れている。このため、巻き取りロール31は正逆両方に回転可能である。太陽電池モジュール21は、巻き取りロール31に対して引き出し、巻き取りが可能となる。
その後、メインスイッチ19がオン(on)操作されることにより、ソレノイド37が励磁するので、ロックピン38は伸びる。係止爪35は、バネ36の付勢力によってラチェット歯車34の歯に掛けられる。巻き取りロール31は、太陽電池モジュール21の引き出し方向への回転が規制されるとともに、太陽電池モジュール21の巻き取り方向への回転が許容される。このため、太陽電池モジュール21は、巻き取りロール31に対して引き出しが規制される。
このように、収納状態保持機構33は、メインスイッチ19がオフ状態にある場合にだけ、つまり車両10を駐車しているときだけ、収納状態の太陽電池モジュール21の引き出しが可能に保持している。運転をしていないときにのみ、十分に発電をすることができる。一方、メインスイッチ19がオン状態、つまり車両10の運転中には、収納状態の太陽電池モジュール21を引き出すことができないので、太陽電池モジュール21が運転の妨げになることはない。
太陽電池モジュール21の引き出し端部21aは、車幅方向に細長い帯状のバー23によって補強されている。このバー23は、例えば硬質樹脂によって構成される。引き出し端部21aがバー23によって補強されることにより、ガラス面15aに展開した太陽電池モジュール21の捩れを規制することができる。
さらに、太陽電池モジュール21の引き出し端部21aには、コネクタ41(第1コネクタ41)が設けられている。この第1コネクタ41は、雄コネクタまたは雌コネクタによって構成されており、太陽電池モジュール21の車幅方向中央に位置することが好ましい。第1コネクタ41は、ダッシュボード18に設けられているコネクタ42(第2コネクタ42)に結合される。
太陽電池モジュール21をフロントガラス15のガラス面15aに展開するには、次のようにする。先ず、第1コネクタ41を手で摘んでダッシュボード18側へ引く。この結果、太陽電池モジュール21は空間部14から引き出される。次に、第1コネクタ41を第2コネクタ42に差し込んで、結合する。
第2コネクタ42に第1コネクタ41を結合することによって、太陽電池モジュール21は車両用電源22に電気的に接続される。太陽電池モジュール21で発電した電力を車両用電源22に充電することができる。
しかも、第2コネクタ42に第1コネクタ41を結合することによって、太陽電池モジュール21を引き出し状態に保持することができる。つまり、第1及び第2コネクタ41,42は、車両用電源22に接続することによって、太陽電池モジュール21を引き出し状態に保持することができる。
このように、太陽電池モジュール21を車両用電源22に電気的に接続する第1及び第2コネクタ41,42によって、引き出し状態保持機構40が構成されている。つまり、第1及び第2コネクタ41,42は、引き出し状態保持機構40の機能を有している。第1及び第2コネクタ41,42が引き出し状態保持機構40を兼ねるので、この引き出し状態保持機構40の構成が簡単になる。しかも、第1及び第2コネクタ41,42を接続すると同時に、太陽電池モジュール21を引き出し状態に保持できるので、操作性が高まる。
その後、太陽電池モジュール21を空間部14内に戻すには、次のようにする。先ず、第1コネクタ41のロック解除ノブ41aを手で摘む。この結果、第2コネクタ42に対する第1コネクタ41の結合状態が解除される。つまり、引き出し状態保持機構40の保持状態が解除される。そのまま、第1コネクタ41から手を離せばよい。
上述した付勢機構32は、引き出し状態保持機構40の保持状態が解除されたときに、太陽電池モジュール21を元の収納状態に戻すように付勢する。引き出し状態保持機構40の保持状態が解除されたときには、太陽電池モジュール21は付勢機構32によって元の収納状態に戻される。太陽電池モジュール21を元に戻す操作が不要なので、収納操作性が高まる。
実施例1の車両用電源装置20によれば、ルーフ12の前端付近のスペースを有効利用することができる。
実施例2に係る車両用電源装置について図4に基づき説明する。図4は上記図1に対応して表している。実施例2の車両用電源装置120は、上記図1〜図3に示されている太陽電池モジュール21の収納位置を、図4に示された実施例2のダッシュボード18内に変更したことを特徴とし、他の構成については上記図1〜図3に示す構成と同じなので、説明を省略する。
具体的には、実施例2の車両用電源装置120の太陽電池モジュール21は、巻き取りロール31に巻かれた状態で、ダッシュボード18の内部に収納されている。つまり、収納機構30は、太陽電池モジュール21を巻いた状態で、ダッシュボード18の内部に収納するものである。この収納機構30はダッシュボード18の内部に設けられている。
実施例2の第2コネクタ42は、ルーフ12またはルーフライニング13に取り付けられる。ダッシュボード18内に位置する巻き取りロール31から引き出された太陽電池モジュール21は、フロントガラス15のガラス面15aに沿って車室17内に出し入れ可能である。
実施例2の太陽電池モジュール21の車幅方向の幅は、一様である必要はない。太陽電池モジュール21の展開した形状は、引き出し端部21a側が幅狭で、巻き取りロール31側が幅広の、略台形状であることが好ましい。つまり、太陽電池モジュール21の車幅方向の幅は、引き出し端部21aの部位が最も小さいWd(図2参照)に設定され、巻き取りロール31側へ向かって末広がりとなる大きさに設定されることが、好ましい。
より詳しく述べると、引き出し端部21aの車幅方向の幅は、フロントガラス15の上端の幅に概ね合致した(完全に合致を含む)大きさWd(図2参照)に設定される。一方、第2コネクタ42に第1コネクタ41を結合した状態において、フロントガラス15の下端の位置に相当する部位における、太陽電池モジュール21の車幅方向の幅は、フロントガラス15の下端の幅に概ね合致した(完全に合致を含む)大きさに設定される。
このような形状の太陽電池モジュール21によって、略台形状のフロントガラス15の概ね全面を、ほぼ満遍なく覆うことができる。このため、フロントガラスという限られたスペースを一層有効に利用することができる。スペースに対する発電効率を、より高めることができ、スペース効率を高めることができる。しかも、略台形状のフロントガラス15の概ね全面を、ほぼ満遍なく覆うことによって、サンシェードを兼ねる太陽電池モジュール21の日除けの効果を、一層高めることができる。
実施例2によれば、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
実施例3に係る車両用電源装置について図5及び図6に基づき説明する。図5は上記図1に対応して表している。図6は上記図2に対応して表している。実施例3の車両用電源装置220は、上記図1〜図3に示されている収納機構30を、図5及び図6に示された実施例3の収納機構230に変更したことを特徴とし、他の構成については上記図1〜図3に示す構成と同じなので、説明を省略する。
具体的には、実施例3の車両用電源装置220の太陽電池モジュール21は、平板状の状態で、ルーフ12とルーフライニング13との間の空間部14に収納されている。
収納機構230は、太陽電池モジュール21を平板状の状態で、空間部14に収納するものである。この収納機構230は空間部14内に設けられており、左右のスライドレール231,231とモジュール基端スライダ232とローラ支持軸233と左右のロープ巻き取りローラ234,234と付勢機構235と収納状態保持機構236と4個の上下方向ガイドローラ237と2個の車幅方向ガイドローラ238,238とから成る。
左右のスライドレール231,231は、空間部14内に位置した車体前後方向に細長い部材であり、ルーフ12等の車体11に取り付けられている。この左右のスライドレール231,231には、互いに対向し合う車体前後方向に細長い長溝231a,231aが形成されている。
モジュール基端スライダ232は、車幅方向に細長い丸棒状の部材であり、両端部を左右のスライドレール231,231によって支持されている。つまり、モジュール基端スライダ232の両端部は、細長い長溝231a,231aによって車体前後方向にスライド可能に案内されている。このモジュール基端スライダ232には、太陽電池モジュール21の基端部21bが取り付けられている。この基端部21bは、引き出し端部21aに対して反対側の端部である。
ローラ支持軸233は、車幅方向に細長い回転軸であり、車体11に回転可能に支持されている。左右のロープ巻き取りローラ234,234は、ローラ支持軸233の両端部に、相対回転を規制されて取り付けられている。この左右のロープ巻き取りローラ234,234は、モジュール基端スライダ232の両端部に取り付けられている左右のロープ239,239を巻き取る部材である。この左右のロープ239,239を巻き取ることによって、モジュール基端スライダ232を車体後方へ移動させることができる。
付勢機構235は、左右のロープ巻き取りローラ234,234の巻き取り方向に、ローラ支持軸233を付勢するものであり、例えば渦巻ばねによって構成される。この付勢機構235の基本構成は、実施例1の付勢機構32と実質的に同じである。詳しく述べると、渦巻ばねの一端は車体11に取り付けられる。渦巻ばねの他端はローラ支持軸233に取り付けられる。
収納状態保持機構236は、メインスイッチ19がオフ状態にある場合にだけ、空間部14に収納状態の太陽電池モジュール21の引き出しが可能に保持するものである。この収納状態保持機構236の基本構成は、実施例1の収納状態保持機構33と実質的に同じである。詳しく述べると、収納状態保持機構236は、ローラ支持軸233に取り付けられたラチェット歯車34(ラチェットホイール34)と、このラチェット歯車34の歯に掛け止め可能な係止爪35と、この係止爪35をラチェット歯車34の歯に掛け止める方向へ付勢するバネ36と、係止爪35を歯から離す方向へ駆動するソレノイド37とから成る。このソレノイド37は、通常の非励磁状態のときにロックピン38が退縮しているとともに、励磁状態に変わったときにロックピン38が伸びる。
4個の上下方向ガイドローラ237は、空間部14の前端部の左右に2個ずつ位置しており、車幅方向の軸を中心として回転可能に車体11に支持されている。左の2個の上下方向ガイドローラ237,237は、互いに上下に間隔を開けて位置し、太陽電池モジュール21の上下方向の案内をすることによって、この太陽電池モジュール21が車体上下方向へ捩れることを規制する。右の2個の上下方向ガイドローラ237,237も同様である。
2個の車幅方向ガイドローラ238,238は、空間部14の前端部の左右に1個ずつ位置しており、車体上下方向の軸を中心として回転可能に車体11に支持されている。これらの車幅方向ガイドローラ238,238は、太陽電池モジュール21の車幅方向の案内をすることによって、この太陽電池モジュール21が車幅方向へ捩れることを規制する。
実施例3によれば、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。さらに、実施例3の車両用電源装置220によれば、太陽電池モジュール21を平板状の状態で空間部14に収納するので、上記実施例1に比べてルーフ12とルーフライニング13との間の間隔が狭くてすむ。その分、車室17を広くすることができる。
以上の説明をまとめると次の通りである。実施例1〜3によれば、太陽電池モジュール21は、可撓性を有した単一のシート状に構成されて車両用ガラスの近傍、つまりフロントガラス15とリヤガラスとサイドガラスの、少なくとも1つのガラスの近傍に、収納状態で位置している。単一のシート状の太陽電池モジュール21であるから、発電に全く寄与しない余分なスペースが極めて少ない。太陽電池モジュール21の概ね全体で発電することができるので、車両用ガラス(フロントガラス15等)という限られたスペースに対する発電効率を高めることができ、スペース効率を高めることができる。しかも、可撓性を有した単一のシート状の太陽電池モジュール21を採用している。このため、収納されている太陽電池モジュール21を、車両用ガラス(フロントガラス15等)のガラス面15aに沿って車室17内に出し入れ可能な車両用電源装置20,120,220を、極めて簡単な構成にすることができ、小型化を図ることができる。
なお、本発明では、太陽電池モジュール21は、フロントガラス15のガラス面15aに沿って車室17内に出し入れ可能な構成に限定されるものではない。つまり、太陽電池モジュール21は、フロントガラス15とリヤガラス(図示せず)とサイドガラス(ドア用窓ガラス等。図示せず)の、少なくとも1つのガラスのガラス面に沿って車室17内に出し入れ可能な構成であればよい。
本発明の車両用電源装置20,120,220は、乗用車のフロントガラスやリヤガラスに採用するのに好適である。
10…車両、15…フロントガラス(車両用ガラス)、15a…ガラス面、17…車室、19…メインスイッチ、20,120,220…車両用電源装置、21…太陽電池モジュール、21a…太陽電池モジュールの引き出し端部、32,235…付勢機構、33,236…収納状態保持機構、40…引き出し状態保持機構。
Claims (4)
- 車両の内部に収納されている太陽電池モジュールを、フロントガラスとリヤガラスとサイドガラスの、少なくとも1つのガラスのガラス面に沿って車室内に出し入れ可能な車両用電源装置において、
前記太陽電池モジュールは、可撓性を有した単一のシート状に構成されて、前記少なくとも1つのガラスの近傍に収納状態で位置している、ことを特徴とする車両用電源装置。 - 前記太陽電池モジュールを前記車室内に引き出された状態に保持する引き出し状態保持機構と、
この引き出し状態保持機構の保持状態が解除されたときに、前記太陽電池モジュールを元の収納状態に戻すように付勢する付勢機構とを備えている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用電源装置。 - 前記引き出し状態保持機構は、前記太陽電池モジュールを車両用電源に電気的に接続するコネクタによって構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用電源装置。
- 車両用メインスイッチがオフ状態にある場合にだけ、収納状態の前記太陽電池モジュールの引き出しが可能に保持する収納状態保持機構を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の車両用電源装置。
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