JP2014090850A - 再生用メンブレン材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】炎症や、感染を生じることを抑制可能な再生用メンブレン材料の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の再生用メンブレン材料1は、周縁に歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間に挟まれる埋め込み領域11を有し、歯槽頂Ac1、Ac2を含む歯の欠損空間Sを覆う湾曲状形状を有するメンブレン材料1であって、歯肉G1、G2と接する最外層OSには形状保持が可能な可撓性を有するポリエステル層2を含む複層構造を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の再生用メンブレン材料1は、周縁に歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間に挟まれる埋め込み領域11を有し、歯槽頂Ac1、Ac2を含む歯の欠損空間Sを覆う湾曲状形状を有するメンブレン材料1であって、歯肉G1、G2と接する最外層OSには形状保持が可能な可撓性を有するポリエステル層2を含む複層構造を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、組織再生に用いられる再生用メンブレン材料に関する。
歯科用インプラントは、人工歯根の土台となる骨に固定されるため、抜歯後において土台となる骨が必要となる。そのために、抜歯後の欠損部において骨再生を促進して、抜歯後の欠損部に歯槽骨を再生し、歯科用インプラントを固定できるようにする必要がある。そのような骨再生を促進するためのものとして、上皮組織や粘膜のような肉組織を遮蔽して抜歯後の欠損部に入り込まないようにしながら骨再生を促進する、遮蔽用のメンブレンが開発されている。このようなメンブレンとしては、吸収性メンブレンと非吸収性メンブレンの2種類が知られている。
吸収性のメンブレンとして、特許文献1には、図5に示されるように、生分解性材料のポリ乳酸とβリン酸三カルシウムとからなる多孔質の複合膜101、102、103が3層に積層された、平らな生体組織再生誘導用シート(以下、単にシートという)100が開示されている。このシート100は、複合膜101に形成された気孔Pに抗生剤を含浸させ、複合膜103に形成された気孔Pに成長因子を含浸させ、複合膜101と複合膜103との間に形成された複合膜102により、複合膜101と複合膜103とを遮断し、それぞれの機能を分離している。図6に示されるように、欠損部104は、シート100により、成長因子が含浸された複合膜103側から被覆され、シート100は、口腔粘膜105により抗生剤が含浸された複合膜101側から被覆される。これらの複合膜101、102、103を構成するポリ乳酸、βリン酸三カルシウムのうち、ポリ乳酸は生体内に吸収され、βリン酸三カルシウムは再生される歯槽骨を構成する足場となる。
しかしながら、このような吸収性のメンブレンは、ある程度の時間がたつと生体内で分解されて吸収されるため、除去手術の必要はないが、組織再生の状況のコントロールと確認が困難である。
また、非吸収性のメンブレンとして、従来、設置後の取り外しの容易な平面状のPTFEフィルムを用いて抜歯後の歯槽骨を被覆し、骨形成を促していたが、歯肉が傷つき炎症や感染も生じやすい問題を有していた。また、雑菌が抜歯後の欠損部内に侵入しやすいという問題を有していた。
そのため、骨形成の空間を確保するために必要な形状保持が可能な可撓性と、雑菌による感染症を抑えるために必要な歯肉との親和性を兼ね備えた再生用メンブレン材料の提供が必要となる。
本発明の再生用メンブレン材料は、使用時に歯肉と接する最外層の少なくとも一部がポリエステル層である複層構造を有し、歯槽頂を含む歯の欠損空間を覆うことが可能な湾曲状形状を有するメンブレン材料であって、その周縁の少なくとも一部には、使用時に歯肉と歯槽骨との間に挟みこんで用いられる埋め込み領域を備えることを特徴とする。
また、前記複層構造の内側の層には、リン酸カルシウム層を有することが好ましい。
また、前記複層構造は、前記ポリエステル層が基材層であり、前記基材層上にコラーゲン層とリン酸カルシウム層とを有することが好ましい。
また、前記基材層上に設けられたコラーゲン及び/または熱変性コラーゲンからなるコラーゲン層と、該コラーゲン層上に設けられたリン酸カルシウム層とを有することが好ましい。
また、前記複層構造は、ウレアーゼを固定した前記リン酸カルシウム層側の前記コラーゲン層の表面上にリン酸カルシウムが析出されることで前記リン酸カルシウム層が形成された積層構造を有することが好ましい。
本発明に係る再生用メンブレン材料により、歯肉の炎症を抑えると共に、雑菌等が侵入することも抑制され、抜歯後の欠損部に歯槽骨を良好に再生することができる。
以下、添付図面を参照し、本発明の再生用メンブレン材料(以下、単にメンブレンという)を詳細に説明する。本発明のメンブレンは、たとえば歯科治療において、歯科用インプラントを用いる場合に、治療前の歯を抜いた後にできる抜歯後の空洞である、歯の欠損空間に、人工歯根の土台となる歯槽骨を再生するために用いられる。
図1に示されるように、本発明のメンブレン1は、従来のメンブレンとは異なり、予め湾曲状形状に加工されている。メンブレン1は、図1および図2(b)に示されているように、周縁に歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間に挟まれる埋め込み領域11を有し、歯槽頂Ac1、Ac2を含む歯の欠損空間Sを覆う湾曲状形状を有している。すなわち、メンブレン1は、歯の欠損空間Sが充填できるように歯槽頂Ac1、Ac2を湾曲して繋いで想定される仮想線Lに沿って、少なくとも歯の欠損空間Sを覆うことが可能な湾曲状形状を有している。すなわち、抜歯後には、図1に示されるように、歯根があった部位は、歯槽骨B1、B2によって挟まれた欠損空間Sとして空洞となる。この欠損空間Sを封鎖するためにメンブレン1が用いられ、メンブレン1は、図1において、2点鎖線によって示される歯槽頂Ac1、Ac2を湾曲して繋いで想定される仮想線Lに沿う湾曲状形状とすることにより、歯の欠損空間Sを覆うことができる。なお、メンブレン1の湾曲状形状は、抜歯後の歯槽頂Ac1、Ac2の間を、歯槽頂Ac1と歯槽頂Ac2の中間部において高くなるように湾曲または折れ曲げて結ぶ仮想線Lに沿う形状を呈しており、この仮想線Lは、人工歯根を埋入するにあたって歯槽骨および歯肉が再生される必要がある仮想的な線であり、湾曲状形状は、歯槽骨および歯肉の再生が必要な形状にしたがって、調節される。
図1のメンブレン1をさらに拡大した図2(a)および(b)に示されるように、メンブレン1は、湾曲したアーチ形状を呈している。抜歯された歯の両側にある2本の歯を結ぶ方向(図2(a)中、参照符号Xで示す)においては、同一形状の断面が連続するようにメンブレン1が湾曲し、X方向に垂直で、歯の内側から外側を結ぶ方向(図2(b)中、参照符号Yで示す)においては、中央部が高くなるように湾曲してメンブレン1が形成されている。なお、本明細書において、「湾曲状形状」とは、メンブレン1を少なくとも部分的に湾曲または折り曲げられて形成された形状をいい、歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間に挟まれる埋め込み領域11を有し、歯槽頂Ac1、Ac2を含んで歯の欠損空間Sを覆うことができる形状であれば、メンブレン1は、図2(b)に示すように全体にわたって湾曲した形状であってもよいし、平坦な部分が部分的に形成されたものであってもよい。
本実施形態のメンブレン1は、図1および図2(b)に示されるように、使用時にメンブレン1が取り付けられたときに最外層の少なくとも一部である歯肉G1、G2と接する最外層OSには、形状保持が可能な可撓性と、歯肉との親和性を有するポリエステル層2を含んでおり、メンブレン1はポリエステル層2を含む複層構造を備えていることを特徴とする。以上のような形態を有するメンブレンを用いることで、従来知られた平面状のメンブレンを用いて抜歯後の歯槽骨を被覆した場合と比較して、歯肉の傷つきや炎症が有効に抑制され、また歯槽骨の周囲への雑菌等の侵入が防止されることが観察された。これは、メンブレンに予め歯槽頂を含む歯の欠損空間を覆う湾曲状形状が付与されていることにより、フィルムの復元力等により歯肉が受ける圧迫の程度が軽減されることや、歯槽骨とメンブレンとの間に隙間が生じ難いことが原因と推察される。また、本実施形態では、メンブレン1の複層構造の内側の層(図1、図2(a)および(b)に参照符号ISで示している)にリン酸カルシウム層3を有していることが望ましい。また、メンブレン1は、その周縁、すなわち、図2(a)および(b)中、Y方向の両側に設けられた、使用時に歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間に挟まれる埋め込み領域11と、2つの埋め込み領域11の間に設けられた、残りの部位である欠損空間被覆部12とを備えていることが望ましい。欠損空間被覆部12は、欠損空間Sを覆い歯槽骨の再生を促す部位である。なお、埋め込み領域11と欠損空間被覆部12とは、物理的に分断されるものではないが、説明の便宜上、2点鎖線により分離して説明している。メンブレン1のX方向の長さ、Y方向の長さは、メンブレン1により被覆される部位の形状に応じて適宜変更が可能であり、埋め込み領域11と欠損空間被覆部12の長さも、適用場所に応じて適宜変更されるものであり、特にその長さやX方向、Y方向の長さの比率も限定されるものではない。メンブレン1は、透明でも不透明でもよいが、透明とすることにより、メンブレン1を取り付けた後、欠損空間S内部の術後の経過を目視確認することができる。
また、本発明のメンブレン1は、図示された構造に限定されるものではないが、本実施形態では、図1および図2(b)に示されるように、メンブレン1は、三層の複層構造を呈している。その一例として図2(b)を参照すると、複層構造は、ポリエステル層2が基材層であり、基材層上、すなわちポリエステル層2上にコラーゲン層4とリン酸カルシウム層3とを有している。より具体的には、本実施形態のメンブレン1の複層構造は、基材層上、すなわち、ポリエステル層2上に設けられたコラーゲン及び/または熱変性コラーゲンからなるコラーゲン層4と、コラーゲン層4上に設けられたリン酸カルシウム層3とを有している。複層構造がコラーゲン層4を有する場合、溶出によりリン酸カルシウム層3が消失した後も、生体との親和性が良好となる。なお、本実施形態のメンブレン1の複層構造は、三層構造として示しているが、ポリエステル層2を含む複層構造であれば、メンブレン1は、三層に限定されるものではなく、二層構造のものや、四層以上の構造とすることもできる。たとえば、基材層であるポリエステル層2、リン酸カルシウム層3、コラーゲン層4をそれぞれ二層以上の複層としてもよいし、ポリエステル層2、リン酸カルシウム層3、コラーゲン層4以外の他の層を設けることもできる。また、たとえば、複層構造は、ウレアーゼを固定したリン酸カルシウム層3側のコラーゲン層4の表面上に、たとえば後述する方法によりリン酸カルシウムが析出されることでリン酸カルシウム層3が形成された積層構造を有していてもよい。このようにすることで、コラーゲン層4の表面が、ウレアーゼが固定された表面を有するので、リン酸カルシウム層3の形成が良好となる。
ポリエステル層2である基材層は、コラーゲン層4やリン酸カルシウム層3等の複層構造全体を支持する層であり、上述したように、湾曲状形状でメンブレン1の形状を保持することができるように、所定の剛性を有している。また、ポリエステル層2は、メンブレン1の取り付け、取り外し時等に、メンブレン1が変形可能なように可撓性を有しており、たとえば、ポリエステルフィルムが用いられる。ポリエステルとは、一般に、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体をいう。ポリエステルは、ポリアルコール(アルコール性の基−OHを複数有する化合物)と、多価カルボン酸(カルボキシル基−COOHを複数有する化合物)を反応(脱水縮合)させて作ることを基本とするものである。ポリエステルは、生体親和性があるものであれば特に限定されないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどがあげられる。中でも最も多く生産されているものはテレフタル酸とエチレングリコールから製造されるポリエチレンテレフタレートである。
コラーゲン層4は、ポリエステル層2とリン酸カルシウム層3との間の接着を良好にし、歯槽骨再生のうえで、骨芽細胞が増殖するための環境形成の助けとなる層である。コラーゲン層4に用いられるコラーゲン及び/または熱変性コラーゲン(ゼラチンなど)としては、ウシ、ブタまたは魚類由来のI型、II型またはIII型のアテロコラーゲンといったタイプのものがある。このコラーゲンは、コラーゲンペプチドといったポリペプチドで代替でき、本明細書においては、コラーゲンという用語は、このようなポリペプチドを包含する広い意味で使用する。
リン酸カルシウム層3は、骨芽細胞を増殖・分化させ、歯槽骨を再生させる層である。リン酸カルシウムは、カルシウムイオンとリン酸基(PO4 3-)またはピロリン酸基(P2O7 4-)からなる物質である。水素やヒドロキシ基を持つこともある。骨の約70%は、リン酸カルシウム系のセラミックスの一種であるハイドロキシアパタイト(水酸アパタイト)(Ca5(PO4)3(OH))からできており、リン酸カルシウム層3は、ハイドロキシアパタイトを析出させて形成することができる。なお、リン酸カルシウム層3としては、ハイドロキシアパタイト(HA)以外に、たとえば、リン酸カルシウムセメント(CPC)、β-リン酸3カルシウム(β−TCP)等を用いることができるが、歯槽骨を再生できるものであれば、他のリン酸カルシウムから構成してもよい。
また、リン酸カルシウム層3は、後述するように、常温で溶出可能とすることが好ましく、低温析出リン酸カルシウムにより形成することが好ましい。ここで、「常温」とは、口腔内の常温をいい、通常36〜38℃の範囲をいう。また、低温析出リン酸カルシウムとは、0〜80℃の水溶液で析出したリン酸カルシウムをいう。常温で溶出可能なリン酸カルシウムを用いることにより、メンブレン1材料近傍においてリン酸カルシウム濃度が高く、また、リン酸カルシウム層3が溶出するので、骨芽細胞を活性化し、歯槽骨の形成を促すことができる。また、ポリエステルを基材層として用いることで、歯肉との親和性により歯肉の形成の促進もなされている。
つぎに、メンブレン1の製造方法の一例を説明するが、メンブレン1の製造方法は下記の方法に限定されるものではない。本実施形態のメンブレン1は、(1)ポリエステルフィルム等の基材層となるポリエステル層2表面の親水化をする親水化工程と、(2)ポリエステル層2表面へのコラーゲン層4の固定化をするコラーゲン層固定工程と、(3)ポリエステル層2上に固定されたコラーゲン層4へのウレアーゼの固定化をするウレアーゼ固定工程と、(4)ウレアーゼが固定されたコラーゲン層4の表面上へのリン酸カルシウムの析出によりリン酸カルシウム層3を形成するリン酸カルシウム層析出工程との4工程により製造することができる。
まず、10〜300μm程度の厚さ、好ましくは20〜100μmの厚さを有し、図1(a)および(b)に示すような湾曲状形状に加工された基材層となるポリエステル層2を0.1〜10mol/Lのアルカリ性水溶液(水酸化ナトリウムなど)に浸し、60〜100℃の温度で15分〜6時間程度保持する。これにより、ポリエステル層2の表面が加水分解し、ヒドロキシ基(−OH)とカルボキシル基(−COOH)が表面に現れる。なお、ポリエステル層2の厚さは、ポリエステル層2自体の剛性、欠損部の大きさ、外部組織からの応力を支えるために求められる剛性、取り扱いやすさといった要素を検討して決めるべきものである。あまり薄いと外部組織からの応力を支えきれずに歯槽骨形成のための空間を維持することができなくなるし、あまり厚いと使用後にメンブレン1を摘出するときに摘出がしにくくなる。親水化には、電子線処理、酸溶液処理、酸化剤処理、親水性官能基のグラフト処理、シランカップリング処理、陽極酸化処理、粗面化処理など、アルカリ水溶液を用いるほかにもいくつかの方法が知られている。また、すでに親水化処理の済んだフィルム素材も販売されており、親水化処理済みのポリエステル層2を用いることもできる。
次に、コラーゲンまたは熱変性コラーゲン(ゼラチンなど)を分散した水溶液に、カルボジイミドなどの架橋剤を溶かし、これに親水化処理されたポリエステル層2を浸して、20〜50℃の温度で6〜72時間保持する。この過程で、ポリエステル層2表面のカルボキシル基(−COOH基)とコラーゲンのアミノ基(−NH2)が脱水縮合し、ペプチド結合(−CONH−)することによって、コラーゲンがポリエステル層2表面に固定化され、コラーゲン層4が形成される。なお、ポリエステル層2の片面だけにコラーゲン層4を形成させるために、予めポリエステル層2を2枚重ねておくか、1枚のポリエステル層2の一面を別のポリマーフィルムで覆っておくなどして、全ての工程が終了した後に重なったフィルムを剥がせばよい。
次いで、このコラーゲン層4が固定されたポリエステル層2を、ウレアーゼとカルボジイミドを溶かした水溶液に入れ、20〜50℃の温度、好ましくは30〜40℃の温度で6〜72時間保持する。この過程で、コラーゲン層4の表面のカルボキシル基またはアミノ基と、ウレアーゼのアミノ基またはカルボキシル基が脱水縮合し、コラーゲン層4表面にウレアーゼが固定化される。
最後に、このウレアーゼが固定されているコラーゲン層4の表面に、リン酸カルシウムを析出させる。すなわち、カルシウムイオン1〜100mmol/L、リン酸イオン1〜100mmol/L、尿素10〜100mmol/Lを含む水溶液に、先の工程で準備されたウレアーゼを固定化したフィルムを浸し、20〜50℃の温度で15分から24時間保持する。この過程で、ウレアーゼの作用により尿素がアンモニアに変わり、アンモニアはリン酸カルシウムをフィルムの表面に選択的に析出させる。その結果、ポリエステル層2と、コラーゲン層4と、リン酸カルシウム層3との三層構造を有しているメンブレン1を得ることができる。
上記工程により得られるメンブレン1は、コラーゲン層4の厚さが、一般的に、10nm〜100μmであり、100nm〜20μmであることが好ましい。リン酸カルシウム層3の厚さは、一般的に、1〜100μmであり、5〜50μmであるのが好ましい。コラーゲン層4の厚さが10nmより薄いと、リン酸カルシウム層3の接着性に劣るといった問題があり、100μmより厚いとコラーゲン層4自体が剥がれやすいという問題が生じる。また、リン酸カルシウム層3の厚さは、1μmより薄いと、歯槽骨組織の成長を促す効果に乏しくなり好ましくなく、100μmより厚いとコラーゲン層4から剥がれやすくなるので好ましくない。このようなコラーゲン層4およびリン酸カルシウム層3の厚さには幅があってもよく、からならずしも高い均一性が求められるものではなく、ある程度のムラがあってもかまわない。
また、ポリエステル層2に固定したコラーゲン層4上にリン酸カルシウムを析出させる方法としては、ウレアーゼを用いる方法以外にも、少なくともカルシウムまたはリン酸のイオンを含む溶液でポリエステル層2を処理し、溶液が付着したポリエステル層2を水を含む媒体で処理し乾燥させ、水処理後のいずれかのイオンを吸着した基材を少なくともリンまたはカルシウムを含む溶液で処理して、水を含む媒体で基材を処理し乾燥させる方法(たとえば、特開2005−112716号公報)や、その表面が親水性を有するポリエステル層2表面にリン酸カルシウムからなるアパタイト核形成剤が固定化されてなるポリエステル層2とリン酸カルシウム過飽和溶液を接触させるアパタイト複合体の製造方法(たとえば特開2005−111255号公報)などを利用することができる。
つぎに、図1、図3および図4の模式図を用いて、本発明のメンブレン1の機能について説明する。
図1は、抜歯直後の状態を示す図であり、歯槽骨B1とB2との間に欠損空間Sが生じている。この状態から、図3に示されるように、メンブレン1を取り付ける。具体的には、メンブレン1の埋め込み領域11を歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間にそれぞれ挟み込んで、歯槽頂Ac1、Ac2を含む歯の欠損空間Sを覆うように取り付ける。このとき、リン酸カルシウム層が必ず欠損空間Sの方向を向くように取り付けなければならない。従来の平坦な構造のメンブレンの場合は、患者に取り付ける際にリン酸カルシウム層が形成されている面を確認したうえで、小さなメンブレンを折り曲げながら取り付けなければならない。一方、本発明のメンブレン1によれば、予め湾曲状形状に加工され、メンブレン1の内側の層ISの方向が容易に理解できるため、間違ってリン酸カルシウム層3を上側に向けて配置するような処置上のミスを無くすことができ、表裏の確認が不要であるため、取り付け作業も容易となる。
図3に示す状態で取り付けられたメンブレン1は、歯肉G1とG2とを縫合することによって骨欠損部に固定され、リン酸カルシウム層3が欠損空間S側を向いた状態で配置され、歯槽頂Ac1、Ac2を含む歯の欠損空間Sを覆うように設置されることが好ましい。歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間に配置されたメンブレン1は、仮想線Lに沿って、歯槽頂Ac1、Ac2を含む歯の欠損空間Sを覆う湾曲状形状を有しているとともに、ポリエステルの有する生体親和性によって歯肉G1、G2との間にすき間を生じることなく接するので、雑菌の侵入に起因する炎症を抑えることができると考えられる。すなわち、従来のPTFEメンブレンの場合は、歯肉G1、G2と歯槽骨B1、B2との間にメンブレンが挟みこまれる場合、歯肉との親和性を全く有しないために歯肉G1または歯肉G2とPTFEメンブレンとの間にすき間を生じやすく、そのため雑菌の侵入を許してしまう可能性が考えられる。また、PTFEには形状保持が可能な可撓性に乏しいために、メンブレンの形状を維持することが難しくなり歯槽骨を形成するための土台として機能しにくい。本発明のメンブレン1によれば、メンブレン1が形状保持が可能な可撓性と、歯肉との親和性を有するポリエステルの最外層を有しているため、歯槽骨の形成のための空間を保持しつつ、雑菌による感染を防止することができる。
図3の状態からしばらく経過すると、リン酸カルシウム層3が溶出し、欠損空間S内の骨芽細胞の増殖・分化を促進し、リン酸カルシウム層3側から歯槽骨および歯肉が再生し、最終的には図4に示すようにメンブレン1により閉鎖された欠損空間Sが歯槽骨B3により充填され、欠損空間Sに充填された歯槽骨B3とメンブレン1との間には歯肉G3が再生される。本発明のメンブレン1を用いると、歯肉G1、G2が炎症を起こさず、かつ雑菌の付着を抑制でき、欠損空間S内での感染を予防できるため、図3の状態からの歯槽骨の再生を大幅に早めることができる。
図4に示されるように、歯槽骨B3、歯肉G3が再生されると、メンブレン1を剥離してメンブレン1を摘出する。このとき、メンブレン1は歯肉G1、G2、G3と癒着せず、メンブレン1を剥離するときに患者に痛みを生じにくいため、緩やかな麻酔ですむなど麻酔等の必要性を軽減若しくは無くすことができる。
実施例
ポリエステルフィルムである市販のPETフィルム(厚さ約50μm、東洋紡績(株)製)を加熱成形して、内側に空間を有し、横断面が略半円形である湾曲状形状の、所定の長さを有する基材を得た。この基材の凸側の面にポリプロピレン製テープ(積水化学工業(株)製)を貼付し、3mol/LのNaOH水溶液に約70℃で3時間浸漬して凹側の面を浸水化した。ウシ真皮由来アテロコラーゲン溶液I−PC50(5mg/mL)20mLに純水48mLと緩衝溶液(炭酸水素ナトリウム50mmol/L、水酸化ナトリウム260mmol/L、HEPES200mmol/Lを含む)を加えて37℃で4時間保持してコラーゲンをゲル化(フィブリル化)させた。このゲルをホモジナイザーでせん断して分散させたものを遠心分離で取り出し、pH5.8のリン酸緩衝溶液で数回洗浄した。洗浄後のコラーゲンフィブリルをpH5.8のリン酸緩衝溶液50mLに入れて分散させ、コラーゲンフィブリル濃度10mg/50mLの濃度にした水溶液に、カルボジイミドを0.150g加え、これに親水化ポリエステルを浸して、約37℃の温度で18時間保持して、コラーゲンをPETフィルムに固定した。さらに、ウレアーゼ(タチナタ豆由来、5000U/g、関東化学(株)製)0.030gとカルボジイミド0.150gをpH5.8リン酸緩衝溶液50mLに溶かした水溶液に、コラーゲンを固定化したPETフィルムを入れ、約37℃の温度で24時間保持した。そして、硝酸カルシウム四水和物10mol/L、リン酸二水素アンモニウム6mol/L、尿素10mol/Lを含む水溶液に、レアーゼを固定化したPETフィルムを浸し、約37℃の温度で1時間保持してリン酸カルシウムを析出させた。その後、ポリプロピレン製テープをはがした。これにより、コラーゲンの層の厚さは、約10μm、ハイドロキシアパタイト(水酸アパタイト)の層の厚さが、約30μmであり、基材層2を含めて合計約90μmの複層構造である組織再生用メンブレンを得た。
ポリエステルフィルムである市販のPETフィルム(厚さ約50μm、東洋紡績(株)製)を加熱成形して、内側に空間を有し、横断面が略半円形である湾曲状形状の、所定の長さを有する基材を得た。この基材の凸側の面にポリプロピレン製テープ(積水化学工業(株)製)を貼付し、3mol/LのNaOH水溶液に約70℃で3時間浸漬して凹側の面を浸水化した。ウシ真皮由来アテロコラーゲン溶液I−PC50(5mg/mL)20mLに純水48mLと緩衝溶液(炭酸水素ナトリウム50mmol/L、水酸化ナトリウム260mmol/L、HEPES200mmol/Lを含む)を加えて37℃で4時間保持してコラーゲンをゲル化(フィブリル化)させた。このゲルをホモジナイザーでせん断して分散させたものを遠心分離で取り出し、pH5.8のリン酸緩衝溶液で数回洗浄した。洗浄後のコラーゲンフィブリルをpH5.8のリン酸緩衝溶液50mLに入れて分散させ、コラーゲンフィブリル濃度10mg/50mLの濃度にした水溶液に、カルボジイミドを0.150g加え、これに親水化ポリエステルを浸して、約37℃の温度で18時間保持して、コラーゲンをPETフィルムに固定した。さらに、ウレアーゼ(タチナタ豆由来、5000U/g、関東化学(株)製)0.030gとカルボジイミド0.150gをpH5.8リン酸緩衝溶液50mLに溶かした水溶液に、コラーゲンを固定化したPETフィルムを入れ、約37℃の温度で24時間保持した。そして、硝酸カルシウム四水和物10mol/L、リン酸二水素アンモニウム6mol/L、尿素10mol/Lを含む水溶液に、レアーゼを固定化したPETフィルムを浸し、約37℃の温度で1時間保持してリン酸カルシウムを析出させた。その後、ポリプロピレン製テープをはがした。これにより、コラーゲンの層の厚さは、約10μm、ハイドロキシアパタイト(水酸アパタイト)の層の厚さが、約30μmであり、基材層2を含めて合計約90μmの複層構造である組織再生用メンブレンを得た。
試験例1
ビーグル犬(メス・4歳)の左右下顎大臼歯群抜歯後片方に、実施例1の組織再生用メンブレンを適宜抜歯窩を被うことが可能な大きさに切断し、歯槽頂を含む歯の欠損空間を覆うにして、切断された組織再生用メンブレンの周縁を歯肉と歯槽骨との間に挟むように埋め込んで、30日後に組織標本を作製した。結果は図7に示す通りであり、実施例1のメンブレンを置いた位置Mの抜歯窩側に、歯槽骨Bが再生していることが認められ、歯槽骨の骨密度が高くなっていた。
ビーグル犬(メス・4歳)の左右下顎大臼歯群抜歯後片方に、実施例1の組織再生用メンブレンを適宜抜歯窩を被うことが可能な大きさに切断し、歯槽頂を含む歯の欠損空間を覆うにして、切断された組織再生用メンブレンの周縁を歯肉と歯槽骨との間に挟むように埋め込んで、30日後に組織標本を作製した。結果は図7に示す通りであり、実施例1のメンブレンを置いた位置Mの抜歯窩側に、歯槽骨Bが再生していることが認められ、歯槽骨の骨密度が高くなっていた。
試験例2
ビーグル犬(メス・4歳)の左右下顎大臼歯群抜歯後のもう片方に、メンブレンを適用せずに、30日後に組織標本を作製した。結果は図8に示す通りであり、破線で囲まれた抜歯窩の部分Hについて歯槽骨Bが認められたが、歯槽骨の骨密度は試験例に比べて低くなっていた。
すなわち、本発明の組織再生用メンブレンである実施例1のメンブレンについては、炎症や感染が認められず、しかも、歯槽骨の再生についても骨密度が高かったのに対して、メンブレンを用いなかった試験例2については、再生した歯槽骨について低い骨密度しか得られなかった。なお、市販のe−PTFE製メンブレンを試験例1のメンブレンの代わりに用いた場合には、埋設後に炎症や感染が認められたために、試験を途中で中止した。
ビーグル犬(メス・4歳)の左右下顎大臼歯群抜歯後のもう片方に、メンブレンを適用せずに、30日後に組織標本を作製した。結果は図8に示す通りであり、破線で囲まれた抜歯窩の部分Hについて歯槽骨Bが認められたが、歯槽骨の骨密度は試験例に比べて低くなっていた。
すなわち、本発明の組織再生用メンブレンである実施例1のメンブレンについては、炎症や感染が認められず、しかも、歯槽骨の再生についても骨密度が高かったのに対して、メンブレンを用いなかった試験例2については、再生した歯槽骨について低い骨密度しか得られなかった。なお、市販のe−PTFE製メンブレンを試験例1のメンブレンの代わりに用いた場合には、埋設後に炎症や感染が認められたために、試験を途中で中止した。
以上のように、本発明のメンブレンでは、1枚のメンブレンを用いるだけで、歯肉に炎症を起こすことなく、欠損空間内に雑菌等が侵入することを防止することができる。そのため、従来のメンブレンを用いるよりも早期に歯槽骨の再生が可能であり、欠損空間に、人工骨や骨補填材料等の移植材を別途充填する必要もない。また、メンブレンは、歯肉等と癒着せずに、容易に剥離することができるため、患者への負担がかからない。
1 メンブレン
11 埋め込み領域
12 欠損空間被覆部
2 ポリエステル層
3 リン酸カルシウム層
4 コラーゲン層
Ac1、Ac2 歯槽頂
B1、B2、B3 歯槽骨
G1、G2、G3 歯肉
IS 内側の層
L 歯槽頂を湾曲して繋いで想定される仮想線
OS 最外層
S 欠損空間
B 再生した歯槽骨
H 抜歯窩があった箇所
M メンブレンの配置箇所
X 骨様組織
11 埋め込み領域
12 欠損空間被覆部
2 ポリエステル層
3 リン酸カルシウム層
4 コラーゲン層
Ac1、Ac2 歯槽頂
B1、B2、B3 歯槽骨
G1、G2、G3 歯肉
IS 内側の層
L 歯槽頂を湾曲して繋いで想定される仮想線
OS 最外層
S 欠損空間
B 再生した歯槽骨
H 抜歯窩があった箇所
M メンブレンの配置箇所
X 骨様組織
Claims (5)
- 使用時に歯肉と接する最外層の少なくとも一部がポリエステル層である複層構造を有し、歯槽頂を含む歯の欠損空間を覆うことが可能な湾曲状形状を有するメンブレン材料であって、その周縁の少なくとも一部には、使用時に歯肉と歯槽骨との間に挟みこんで用いられる埋め込み領域を備えた組織再生用メンブレン材料。
- 前記複層構造の内側の層には、リン酸カルシウム層を有する請求項1に記載の再生用メンブレン材料。
- 前記複層構造は、前記ポリエステル層が基材層であり、前記基材層上にコラーゲン層とリン酸カルシウム層とを有する請求項1または2に記載の再生用メンブレン材料。
- 前記基材層上に設けられたコラーゲン及び/または熱変性コラーゲンからなるコラーゲン層と、該コラーゲン層上に設けられたリン酸カルシウム層とを有する請求項3に記載の再生用メンブレン材料。
- 前記複層構造は、
ウレアーゼを固定した前記リン酸カルシウム層側の前記コラーゲン層の表面上にリン酸カルシウムが析出されることで前記リン酸カルシウム層が形成された積層構造を有する請求項4に記載の再生用メンブレン材料。
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- 2013-11-05 WO PCT/JP2013/079935 patent/WO2014069664A1/ja active Application Filing
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