JP2006087596A - 骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は方向性を有し、且つ、強固な機械的強度を持った骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの提供。
【解決手段】コラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積させたアパタイトで被覆されていることを特徴とした骨欠損部充填用コラーゲンスポンジである。
【選択図】なし
【解決手段】コラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積させたアパタイトで被覆されていることを特徴とした骨欠損部充填用コラーゲンスポンジである。
【選択図】なし
Description
本発明は骨欠損部の再生を目的とした骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ並びにその製造方法に関する。
骨欠損部を充填することが可能な骨欠損部充填用材料としては、種々の形状、材料が知られている。例えば、その材料としてはゼラチン、セルローズ、ハイドロキシアパタイト等が知られている。特許文献1には、骨の増殖進入を許容すべく多数の細孔を有するとともに鋭角部をもたない外形を成し、かつ最短外径が0.5mm以上の多孔質なセラミック体よりなる骨欠損充填用部材が示されており、特許文献2にはリン酸カルシウム系セラミックスと、水酸化カルシウム懸濁液又は酸化マグネシウム懸濁液とを含む硬組織形成材が示され、また、特許文献3(特開平5-123390)にはリン酸カルシウム系粉末粒子とカルボキシメチルキチンならびにコラーゲン及び/又はゼラチンを含む複合体から成る骨充填剤が示されている。また、特許文献4にはコラーゲンから成るスポンジ材料の少なくとも一部分をポリ乳酸やポリヒドロキシ酪酸ホモポリマーなどの生体吸収性プラスチックを被覆した複合材料が開示されている。
特開昭54-138006号公報
特開平3-7164号公報
特開平5-123390号公報
特開平7-236688号公報
しかしこれらの充填材の多くは生体内埋植時に安定に保持することが困難である、生体内での吸収・生体組織置換が不可能であるなどの問題があった。また吸収性のTCP等の充填材であっても生体と同様の骨構造を再生することは出来なかった。 特に整形外科、あるいは歯科の領域では積極的に骨の再生を促進する充填材が求められている。整形外科の領域では大きな骨欠損がある場合には、従来自家骨、あるいはハイドロキシアパタイト等が充填材として用いられているが、自家骨の場合には、2次手術が必要となり患者に大きな負担が生じる問題があり、またハイドロキシアパタイトの充填では充填したハイドロキシアパタイトが吸収されることがないために、元の骨と充填材であるハイドロキシアパタイトの固さに違いが生じるという臨床上問題が残っている。歯科の領域においてはインプラントを行う際、そのインプラントが上顎、特に奥歯の場合にはインプラントを埋植する骨の厚さが足りないためにインプラントが出来ないことが多く、その際に上顎の骨の厚さを増すためにサイナスリフトという術式が考案されている。また歯槽骨の欠損を再生させるGBR(Guided Bone Regeneration)法、更に抜歯腔にインプラントを埋植することも行われるが、その際抜歯腔に確実に骨が再生している必要があるが、積極的な骨の再生を目的とした充填材は開発されていない。しかし、これらの術式に用いるための最適な充填材がないために普及していないのが現状である。
骨を再生させる方法としては、ハイドロキシアパタイト等の骨成分を充填させる方法、BMP、FGF等骨芽細胞を活性化する因子を用いる方法、あるいは細胞をその部位に保持させる方法が知られている。これらの方法のうち活性化因子、細胞を利用する方法については確実な効果を期待出来る一方、薬事申請の規制が厳しく確実な効果が得られるのであれば、より規制の少ない充填材として申請できることが望ましい。
また担体の別な問題として、方向性を持つ骨の再生が可能な充填材が存在しないため、天然の骨を再生できない問題があった。長管状骨の緻密骨部はハバース・システムを持つことによって、強固な機械的強度を持ちうるものであって、従来の骨再生においてはいずれの方法でもこの方向性を持たせることはできなかった。人体におけるハバース・システムは、破骨細胞が既存の骨を溶解しつつできた空洞の外壁に骨芽細胞が同心円的に骨を形成して作られる。
また担体の別な問題として、方向性を持つ骨の再生が可能な充填材が存在しないため、天然の骨を再生できない問題があった。長管状骨の緻密骨部はハバース・システムを持つことによって、強固な機械的強度を持ちうるものであって、従来の骨再生においてはいずれの方法でもこの方向性を持たせることはできなかった。人体におけるハバース・システムは、破骨細胞が既存の骨を溶解しつつできた空洞の外壁に骨芽細胞が同心円的に骨を形成して作られる。
本発明者は、これらの問題を解決するために吸収性の材料で細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲンスポンジによる検討を行ったが、コラーゲンスポンジの強度が足りないために充填部位でのスペースを確保することができず、希望する成果を得ることが出来なかった。そこでコラーゲンスポンジの特性を生かしつつ強度を高める方法について検討を行った結果、コラーゲンスポンジの表面にアパタイト、特に吸収されるアパタイトをコートすることによって問題を解決できることを見出し、さらに生体の骨と同様の方向性を持つ骨の再生が可能な充填材についても検討を行い、コラーゲンスポンジに人体におけるハバース・システムに類似した円心状の空洞を持たせることによって、そこに血管・神経を導くことができ、その周囲に同心円上の骨の再生が可能となることを見い出し本発明を完成した。即ち、本発明の目的は方向性を有し、且つ、強固な機械的強度を持った骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ及びその製造方法を提供することである。
本願の第1の発明の要旨は、コラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積させたアパタイトで被覆(コート)されていることを特徴とした骨欠損部充填用コラーゲンスポンジであり、その表面のアパタイト層の厚さは30μm以下であることことが好ましい。そして、その製造方法はコラーゲン溶液又は分散液を凍結乾燥によって得たコラーゲンスポンジを、疑似体液中に浸漬して前記コラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積したアパタイトで被覆することを特徴とする骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの製造方法あり、その際少なくとも二種以上の組成の異なる疑似体液中に浸漬することが好ましく、また、最初の疑似体液に比べ、次に使用する疑似体液のK2HPO4及び/又はCaCl2濃度を下げ、さらに結晶析出抑制因子としてのMgCl2を加えるようにすることが好ましい。
本発明の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジはコラーゲンスポンジ表面に疑似体液より沈積させたアパタイトで被覆することによって、コラーゲンスポンジの強度が高まり充填部位でその形状を維持出来、骨の再生スペースを確保するとともに骨芽細胞との親和性に優れたアパタイト並びにコラーゲンの上で細胞がマトリックス産生を活発に行うことにより、骨の再生が行われるものである。またコラーゲンスポンジは細胞の担体としての機能を終えた後には吸収されるために、従来のハイドロキシアパタイトの問題であった、充填物と新生骨の強度の差をもたらすこともない。更に骨再生の根本的な問題であった方向性を持つ骨再生が可能となり、長管状骨の緻密骨部のハバース・システムと類似の構造を持つことによって、同心円的に骨を形成して作られ強固な機械的強度を持たせることが可能となった。
本発明の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジのコラーゲンについてはどのような由来のコラーゲンでも問題はない。具体的には哺乳動物、魚類、鳥類、あるいはリコンビナントコラーゲンを用いることも出来る。コラーゲンとしては酸可溶性コラーゲン、塩可溶性コラーゲン、酵素可溶化コラーゲン(アテロコラーゲン)等の未修飾可溶性コラーゲン、サクシニル化、フタル化等のアシル化、メチル化等のエステル化、アルカリ可溶化の脱アミド化等の化学修飾コラーゲン、さらにテンドンコラーゲン等不溶性のコラーゲンを用いることが出来る。
コラーゲンスポンジについてはコラーゲンに空洞、空隙を有する構造体であれば形状に特に制限はなく、具体的にはコラーゲンの溶液または分散液を凍結乾燥することによって作られる。
凍結乾燥の方法に特に制限はなく、また凍結乾燥するコラーゲン溶液については特に制限はないが、望ましくはコラーゲンの濃度が0.2%〜10%で、未修飾コラーゲンについてはpH2.0〜5.0の溶液が望ましい。修飾コラーゲンについては、その修飾コラーゲンを溶解できるpHで溶液としたものを凍結乾燥すればよい。なお、この際の修飾コラーゲンの濃度は未修飾コラーゲンの場合と違いはない。
凍結乾燥するコラーゲン分散液としては、不溶性コラーゲンの分散液あるいは未修飾のコラーゲン溶液をアルカリで中和することによって得られる、コラーゲンゲルを用いることが出来る。具体的には特願平4-204239号にあるコラーゲンスポンジを使用することが可能で、この場合には上面から下面にのみ、一定方向の空洞を有するスポンジであってコラーゲンスポンジに人体におけるハバース・システムに類似した円心状の空洞を持たせることが可能となる。その結果、この空洞に血管、神経を導くことができ、その周囲に同心円上の骨の再生が可能となり人体におけるハバース・システムに類似した同心円的な骨の再生が可能となる。
凍結乾燥の方法に特に制限はなく、また凍結乾燥するコラーゲン溶液については特に制限はないが、望ましくはコラーゲンの濃度が0.2%〜10%で、未修飾コラーゲンについてはpH2.0〜5.0の溶液が望ましい。修飾コラーゲンについては、その修飾コラーゲンを溶解できるpHで溶液としたものを凍結乾燥すればよい。なお、この際の修飾コラーゲンの濃度は未修飾コラーゲンの場合と違いはない。
凍結乾燥するコラーゲン分散液としては、不溶性コラーゲンの分散液あるいは未修飾のコラーゲン溶液をアルカリで中和することによって得られる、コラーゲンゲルを用いることが出来る。具体的には特願平4-204239号にあるコラーゲンスポンジを使用することが可能で、この場合には上面から下面にのみ、一定方向の空洞を有するスポンジであってコラーゲンスポンジに人体におけるハバース・システムに類似した円心状の空洞を持たせることが可能となる。その結果、この空洞に血管、神経を導くことができ、その周囲に同心円上の骨の再生が可能となり人体におけるハバース・システムに類似した同心円的な骨の再生が可能となる。
本発明ではコラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積したアパタイトで被覆する。ここで言う表面とは具体的にはコラーゲンスポンジの全体的な表面以外に、スポンジに存在する空洞、空隙の表面も含まれる。アパタイトが表面全部にコートされても、表面の一部にコートされているのいずれでも良い。
被覆手段としては特に限定されるものではないが、通常疑似体液中にコラーゲンスポンジを浸漬してアパタイトを沈着させて行う。疑似体液は、体液に塩類が含まれる溶液を言うのであって、塩成分としてはNaCl, NaHCO3, KCL, K2HPO4, MgCl2, CaCl2, Na2SO4 等であって、望ましくはNaCl, NaHCO3, K2HPO4, CaCl2を含有する体液である。疑似体液の塩濃度は正常な体液中の濃度から10倍濃度の範囲であって、それらの塩を含む水溶液に製造されたコラーゲンスポンジを浸漬する。浸漬時間は1日以上で、長いほど多量のアパタイトをコートすることが出来る。浸漬温度4〜40℃の範囲で行うが、コラーゲンの種類によっては浸漬時に変性を起こす可能性があるため、使用するコラーゲンの変性温度より低い温度で浸漬を行う必要がある。望ましくは可能な限り高い温度でコートする事で、短時間にコートを終了させることが出来る。
被覆手段としては特に限定されるものではないが、通常疑似体液中にコラーゲンスポンジを浸漬してアパタイトを沈着させて行う。疑似体液は、体液に塩類が含まれる溶液を言うのであって、塩成分としてはNaCl, NaHCO3, KCL, K2HPO4, MgCl2, CaCl2, Na2SO4 等であって、望ましくはNaCl, NaHCO3, K2HPO4, CaCl2を含有する体液である。疑似体液の塩濃度は正常な体液中の濃度から10倍濃度の範囲であって、それらの塩を含む水溶液に製造されたコラーゲンスポンジを浸漬する。浸漬時間は1日以上で、長いほど多量のアパタイトをコートすることが出来る。浸漬温度4〜40℃の範囲で行うが、コラーゲンの種類によっては浸漬時に変性を起こす可能性があるため、使用するコラーゲンの変性温度より低い温度で浸漬を行う必要がある。望ましくは可能な限り高い温度でコートする事で、短時間にコートを終了させることが出来る。
コラーゲンスポンジは表面にアパタイトコートを行う際の疑似体液中に溶解しないことが必要となる。そのためにコラーゲン溶液から作られたスポンジ、分散液で作られたスポンジのいずれであっても、必要に応じて架橋を導入し不溶化する必要がある。具体的には物理的、化学的架橋を用いることができ、具体的にはUV、乾熱、γ線等の物理的架橋、グルタルアルデヒド、ホルマリン、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド化合物、ポリエチレングリコールジグリシジールエーテル等の水溶性ポリエポキシ化合物、ヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアナート化合物などの化学的架橋をあげることができる。当然架橋剤並びに架橋物には細胞毒性が無く、生体親和性に優れていることが必要である。
本発明の骨欠損部再生用コラーゲンスポンジは表面にアパタイトのコーティングがされている。表面のアパタイトは化学式としてCa10(PO4)6(OH)2で表されるハイドロキシアパタイトを部分的に含み、その形態については特に制限はない。なお、本発明によるアパタイトは体内で吸収させることを目的としており、加熱による焼結は行われない。
疑似体液によりアパタイトを沈積させる際に、疑似体液の組成の異なる少なくとも2種類以上の疑似体液を段階的に使用することによりコラーゲンスポンジ表面に均一のアパタイト層を形成することが可能となる。具体的には最初の組成の疑似体液(第1液)によってアパタイトの核を形成させた後に、組成を変えた第2液を使用することで、形成された核を中心としてアパタイト層が形成され表面全体に均一のアパタイトコートが出来る。第1液に比べ、第2液ではK2HPO4, CaCl2の両方あるいは一方の濃度を下げ、さらに結晶析出抑制因子としてMgCl2を加えることが望ましい。
疑似体液によりアパタイトをコートするには疑似体液のpHを6付近に調製した後にコラーゲンスポンジを浸漬し行われるが、そのpH調節は炭酸ガスにより行われることが望ましい。これはコラーゲンスポンジを浸漬させた当初はpH6にすることで疑似体液より塩の一部が沈積することを予防し、その後のコラーゲン表面でのアパタイト沈積段階では若干pHが高目の方が望ましいが、炭酸ガスを使用することで溶液中から炭酸ガスがゆっくりと放出するために、自然にpHが上昇し本発明のpH調節剤としては望ましいものである。
アパタイトコート時には疑似体液溶液は何回か交換されるが、望ましくは少なくとも24時間以内に一回は新しい液と交換する。当然新しい疑似体液溶液はpHを調製するが、その際炭酸ガスを使用することが望ましい。これはリン酸イオンの濃度が下がった場合、炭酸カルシウムの沈殿が生じるためで炭酸カルシウムが沈殿しやすい条件下では均一のアパタイトコートを行うことができない。
表面のアパタイトの厚さとしては30μm以下で表面全体にコーティングされていることが望ましい。一部にコーティングされている場合にはコラーゲンスポンジの強度を高める効果が少なく、十分な再生が行われない。また30μmより厚過ぎる場合には、コラーゲンの特性を生かせない。表面アパタイトの吸収が遅いあるいは起こらないと言う問題がある。
コートする際には撹拌を行わず静置することが望ましいが、コラーゲンスポンジ同士が接触する際にはゆっくりと攪拌することで均一にコートすることが出来る。またコラーゲンスポンジは疑似体液内で浮いた状態にあり、これをゆっくり撹拌することでスポンジの表面全体に均一にコートを行うことができるが、空洞、空隙に泡が入り込むことが無い様注意が必要である。
表面のアパタイトの厚さとしては30μm以下で表面全体にコーティングされていることが望ましい。一部にコーティングされている場合にはコラーゲンスポンジの強度を高める効果が少なく、十分な再生が行われない。また30μmより厚過ぎる場合には、コラーゲンの特性を生かせない。表面アパタイトの吸収が遅いあるいは起こらないと言う問題がある。
コートする際には撹拌を行わず静置することが望ましいが、コラーゲンスポンジ同士が接触する際にはゆっくりと攪拌することで均一にコートすることが出来る。またコラーゲンスポンジは疑似体液内で浮いた状態にあり、これをゆっくり撹拌することでスポンジの表面全体に均一にコートを行うことができるが、空洞、空隙に泡が入り込むことが無い様注意が必要である。
コートされたアパタイトはCa量、P量を定量することによってコート量を測定することが出来るが、コートによって増加するリン酸カルシウム重量がコラーゲンスポンジ重量の約3倍コートされた場合でアパタイトはだいたい10μm程度の厚みを持っており、またCa量を定量する事でコートされたアパタイト量の目安とすることが出来る。
なおコラーゲンスポンジとアパタイトは特に結合をさせる必要はなく、先に述べたコートによって剥離することはない。
以下に本発明を実施例を用いて説明する。
なおコラーゲンスポンジとアパタイトは特に結合をさせる必要はなく、先に述べたコートによって剥離することはない。
以下に本発明を実施例を用いて説明する。
実施例1
アテロコラーゲンの酸性溶液(濃度1%,pH3.0)を凍結乾燥し、10cm×10cm×1cmのスポンジを作成する。このスポンジをエタノールに浸漬し、そこにヘキサメチレンジイソシアナート5mL加え、室温で一晩反応させコラーゲンスポンジに架橋を導入する。反応終了後、このスポンジをエタノールで十分に洗浄し乾燥させる。このスポンジを1cm×1cm×1cmにカットした後に、スポンジ20mgを第1液(500mL)に37℃で2晩浸漬し、次に第2液(500mL)に37℃で4日間浸漬する。なお各液は一晩経過後に同量の新しい液に交換し浸漬を続け骨欠損部充填用コラーゲンスポンジを得た。
なお浸漬の終了したスポンジを乾燥し重量を測定したところ、200mgのアパタイトが吸着していた。
第1液 NaCl 8.0g
NaHCO3 1.75g
1M K2HPO4 5ml
1M CaCl2 12.5ml
水を加え全量を1000mlとする。またCO2ガスによりpH6に調節。
第2液 NaCl 39.88g
NaHCO3 1.75g
KCl 1.12g
MgCl26H2O 1.53g
Na2SO4 0.36g
1M K2HPO4 5ml →4.5ml
1M CaCl2 12.5ml →11.25ml
水を加え全量を1000mlとする。またCO2ガスによりpH6に調節。
実施例1で得られたアパタイトコラーゲンスポンジとコート前のコラーゲンスポンジの強度をレオメータを用いて比較したところ、アパタイトコートを行うことによりスポンジの強度は5.2倍高くなっていた。なお、アパタイトの厚みについては走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、コラーゲンスポンジ表面の全体に約5〜10μmのアパタイトがコーティングされていた。
アテロコラーゲンの酸性溶液(濃度1%,pH3.0)を凍結乾燥し、10cm×10cm×1cmのスポンジを作成する。このスポンジをエタノールに浸漬し、そこにヘキサメチレンジイソシアナート5mL加え、室温で一晩反応させコラーゲンスポンジに架橋を導入する。反応終了後、このスポンジをエタノールで十分に洗浄し乾燥させる。このスポンジを1cm×1cm×1cmにカットした後に、スポンジ20mgを第1液(500mL)に37℃で2晩浸漬し、次に第2液(500mL)に37℃で4日間浸漬する。なお各液は一晩経過後に同量の新しい液に交換し浸漬を続け骨欠損部充填用コラーゲンスポンジを得た。
なお浸漬の終了したスポンジを乾燥し重量を測定したところ、200mgのアパタイトが吸着していた。
第1液 NaCl 8.0g
NaHCO3 1.75g
1M K2HPO4 5ml
1M CaCl2 12.5ml
水を加え全量を1000mlとする。またCO2ガスによりpH6に調節。
第2液 NaCl 39.88g
NaHCO3 1.75g
KCl 1.12g
MgCl26H2O 1.53g
Na2SO4 0.36g
1M K2HPO4 5ml →4.5ml
1M CaCl2 12.5ml →11.25ml
水を加え全量を1000mlとする。またCO2ガスによりpH6に調節。
実施例1で得られたアパタイトコラーゲンスポンジとコート前のコラーゲンスポンジの強度をレオメータを用いて比較したところ、アパタイトコートを行うことによりスポンジの強度は5.2倍高くなっていた。なお、アパタイトの厚みについては走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、コラーゲンスポンジ表面の全体に約5〜10μmのアパタイトがコーティングされていた。
実施例2
アテロコラーゲンの酸性溶液(濃度1%,pH3.0)を1M NaOH溶液を用いてpHを7に調節しコラーゲンの分散液を調製する。この分散液を凍結乾燥し、10cm×10cm×1cmのスポンジを作成する。このスポンジを減圧下120℃で加熱し熱架橋を導入する。熱架橋導入後、このスポンジを1cm×1cm×1cmにカットした後に、実施例1と同じ液を用い、同じ処理によってアパタイトをコラーゲン表面にコートした、骨欠損部充填用コラーゲンスポンジを得る。
アテロコラーゲンの酸性溶液(濃度1%,pH3.0)を1M NaOH溶液を用いてpHを7に調節しコラーゲンの分散液を調製する。この分散液を凍結乾燥し、10cm×10cm×1cmのスポンジを作成する。このスポンジを減圧下120℃で加熱し熱架橋を導入する。熱架橋導入後、このスポンジを1cm×1cm×1cmにカットした後に、実施例1と同じ液を用い、同じ処理によってアパタイトをコラーゲン表面にコートした、骨欠損部充填用コラーゲンスポンジを得る。
実施例3
アテロコラーゲンの酸性溶液(濃度1%,pH3.0)をアンモニアガスを用いてコラーゲン溶液全体が白色となるまで中和した後に、精製したこのコラーゲンゲルを水により十分洗浄する。洗浄の終了したゲルを凍結乾燥し、10cm×10cm×1cmのスポンジを作成する。このスポンジを実施例2と同様に熱架橋導入後、同様の操作を行い骨欠損部充填用コラーゲンスポンジを得る。
得たアパタイトコラーゲンスポンジと、アパタイトコートを行う元のコラーゲンスポンジをそれぞれラットの背部皮下に埋植した。埋植14日後に埋植部位の組織を取り出し、固定後病理観察を行ったところアパタイトコラーゲンスポンジの空洞の中には血管、神経の再生が確認された。一方コートを行っていないスポンジでは血管、神経の再生が確認されず、アパタイトコラーゲンスポンジの有用性が確認された。
アテロコラーゲンの酸性溶液(濃度1%,pH3.0)をアンモニアガスを用いてコラーゲン溶液全体が白色となるまで中和した後に、精製したこのコラーゲンゲルを水により十分洗浄する。洗浄の終了したゲルを凍結乾燥し、10cm×10cm×1cmのスポンジを作成する。このスポンジを実施例2と同様に熱架橋導入後、同様の操作を行い骨欠損部充填用コラーゲンスポンジを得る。
得たアパタイトコラーゲンスポンジと、アパタイトコートを行う元のコラーゲンスポンジをそれぞれラットの背部皮下に埋植した。埋植14日後に埋植部位の組織を取り出し、固定後病理観察を行ったところアパタイトコラーゲンスポンジの空洞の中には血管、神経の再生が確認された。一方コートを行っていないスポンジでは血管、神経の再生が確認されず、アパタイトコラーゲンスポンジの有用性が確認された。
本発明の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジは方向性を有し、且つ、強度が高いので、充填部位でその形状を維持出来、骨の再生スペースを確保するとともに骨芽細胞との親和性に優れたアパタイト並びにコラーゲンの上で細胞がマトリックス産生を活発に行うことが出来るので人工骨として有用である。
Claims (9)
- コラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積させたアパタイトでコートされていることを特徴とした骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ。
- 表面のアパタイトが厚さ30μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ。
- コラーゲンスポンジは凍結乾燥によって作られたものであることを特徴とする、請求項1記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ。
- コラーゲンスポンジの細孔は一定方向に貫通していることを特徴とする、請求項1に記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジ。
- コラーゲン溶液又は分散液を凍結乾燥によって得たコラーゲンスポンジを、疑似体液中に浸漬して前記コラーゲンスポンジの表面を疑似体液より沈積したアパタイトでコートすることを特徴とする骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの製造方法。
- 少なくとも二種以上の組成の異なる疑似体液中に浸漬することを特徴とする請求項5記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの製造方法。
- 疑似体液よりアパタイトを沈積させる際に、組成の異なる疑似体液の少なくとも2種類以上を段階的に使用することを特徴とする、請求項5に記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの製造方法。
- 疑似体液のpHを調整するのに、炭酸ガスを使用することを特徴とする請求項5記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの製造方法。
- 最初の疑似体液に比べ、次に使用する疑似体液のK2HPO4及び/又はCaCl2濃度のを下げ、さらに結晶析出抑制因子としてのMgCl2を加えることを特徴とする、請求項5に記載の骨欠損部充填用コラーゲンスポンジの製造方法。
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