JP2014089116A - 毛髪化粧料のセット性の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛髪化粧料のセット性を客観的に評価することが可能な方法を提供すること。
【解決手段】複数本の毛髪からなり、該毛髪が組み紐に編まれており、かつ毛髪化粧料が塗布されている測定サンプル20について、その長手方向における動的粘弾性測定を行い、測定によって得られたレオロジー特性に基づき該毛髪化粧料のセット性を評価する。複数本の前記毛髪からなる毛束を組み紐に編み、それに前記毛髪化粧料を塗布したものを前記測定サンプルとして用いることが好適である。あるいは、複数本の前記毛髪に前記毛髪化粧料を塗布し、該毛髪化粧料が塗布された毛髪からなる毛束を組み紐に編んだものを前記測定サンプルとして用いることが好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、毛髪化粧料のセット性の評価方法に関する。
ヘアスタイルがくずれにくく、持続的なスタイリング効果の高い毛髪化粧料が種々提案されている(特許文献1ないし3参照)。特に特許文献1においては、毛髪化粧料をそのレオロジー特性の面から検討し、毛髪化粧料を毛髪に塗布する際の弾性的特性値や粘性特性値などのレオロジー特性が重要であることが述べられている。しかし、同文献において検討されている毛髪化粧料のレオロジー特性は、該毛髪化粧料を毛髪に塗布する前の状態のものであり、実際に毛髪に塗布されている毛髪化粧料のレオロジー特性を測定したものではない。毛髪化粧料のスタイリング効果を評価する観点からは、毛髪に塗布されている毛髪化粧料の状態を評価することが実態に即していると考えられる。
ところで、レオロジーの技術分野において、捻れ紐分析(torsional braid analysis)と呼ばれる方法が知られている。例えば非特許文献1には、長繊維ガラスを撚って束にしたものを8本用いて組み紐に編み、それにグリースを含ませたものを試料片として用い、該試料片に捻りを加え、それを解放して振動系に自由減衰運動を生じさせたときの粘弾性を測定している。しかし同文献には、組み紐に含ませる対象物として毛髪化粧料は何ら想定されていない。
特開2002−193765号公報 特開2006−248986号公報 特開2007−131581号公報
「ねじり組みひも法による潤滑油およびグリースの流動性と転移現象に関する研究」、東海大学紀要工学部、2001年、Vol.41、No.2、pp.71-76
したがって本発明の課題は、毛髪に塗布されている状態での毛髪化粧料のセット性を評価し得る方法を提供することにある。
本発明は、複数本の毛髪からなり、該毛髪が組み紐に編まれており、かつ毛髪化粧料が塗布されている測定サンプルについて、その長手方向における動的粘弾性測定を行い、測定によって得られたレオロジー特性に基づき該毛髪化粧料のセット性を評価する、毛髪化粧料のセット性の評価方法を提供するものである。
本発明によれば、組み紐に編まれた状態で毛髪に塗布されている毛髪化粧料を評価の対象としているので、毛髪化粧料のセット性を客観的に評価することが可能である。
図1は、本発明の評価方法で使用される装置を示す概略図である。 図2は、実施例1ないし3で測定された見かけの貯蔵弾性率E’app、及び見かけの損失弾性率E”appの温度依存性を示すグラフである。 実施例1ないし3で測定された損失正接tanδの温度依存性を示すグラフである。 図4は、実施例1ないし3で測定されたtanδ曲線が極大値を示す温度と、毛髪化粧料のセット性の官能評価との関係を示すグラフである。 図5(a)ないし(c)は、実施例4ないし6で測定された見かけの貯蔵弾性率E’app、及び見かけの損失弾性率E”appの温度依存性を示すグラフである。 図6(a)ないし(c)は、実施例4ないし6で測定された損失正接tanδの温度依存性を示すグラフである。 図7は、実施例4ないし6で測定されたtanδ曲線が極大値を示す温度と、毛髪化粧料の再セット性の官能評価との関係を示すグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明では毛髪化粧料のセット性を評価する。セット性とは、毛髪に毛髪化粧料を施し、所定のヘアスタイルに仕上げたのち、そのヘアスタイルが維持される性質である。また、セット性は「再セット性」も包含する。「再セット性」とは、ヘアスタイルを崩した際に、元のヘアスタイルに戻すことができる性質のことである。
本発明においては、複数本の毛髪を組み紐に編んだものを評価の対象とする点に特徴の一つを有する。この組み紐は、複数本の毛髪からなる複数の毛束を用意し、該毛束を組み紐に編むことで得られる。毛束の具体的な組み方としては、用いる毛束の数に応じて三つ編み、四つ編み、五つ編み、六つ編み、八つ編みなどが挙げられるが、これらに限られない。特に、編みこみ作業の容易さと測定時のレオメータ・セルへの固定のし易さから、測定サンプルとしては三つ編みしたものを用いることが好ましい。
組み紐を組むのに用いられる各毛束は複数本の毛髪から構成されている。この毛髪としてはヒトの毛髪を用いることができる。この場合、同一人から採取された毛髪で組み紐を構成することが好ましい。また毛髪として、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の化学繊維からなる人工毛髪を用いることもできる。各毛束を構成する毛髪の数は、2本以上、特に3本以上、とりわけ4本以上とすることが好ましく、上限値は、8本以下、特に7本以下、とりわけ6本以下とすることが好ましい。例えば、各毛束を構成する毛髪の数は、2本以上8本以下とすることが好ましく、3本以上7本以下とすることが更に好ましく、4本以上6本以下とすることが一層好ましい。1本の組み紐を組むために用いられる複数本の毛束においては、該毛束を構成する毛髪の本数は同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。測定の再現性の良好さの点からは、各毛束を構成する毛髪の本数は同じであることが好ましい。例えば毛髪2本からなる毛束を三つ編みする場合には、毛髪は6本であり、毛髪8本からなる毛束を八つ編みする場合は、毛髪は64本となる。よって毛髪の総数は6本以上64本以下が好ましい。
本発明においては、組み紐に編まれた毛髪であって、かつ毛髪化粧料が塗布されているものを、レオロジー測定の対象としている。毛髪化粧料の塗布は、複数本の毛髪からなる複数本の毛束を用いて組み紐を編んだ後に行うことができる。あるいは、複数本の毛髪に毛髪化粧料を塗布し、該毛髪化粧料が塗布された毛髪からなる複数本の毛束を用いて組み紐を編んでもよい。いずれの場合であっても、毛髪化粧料を塗布した後、該毛髪化粧料が乾燥してから次の操作を行う。
組み紐に編まれた毛髪の長さは、後述するレオロジー測定装置の種類にもよるが、一般に4cm以上、特に5cm以上、とりわけ6cm以上とすることが好ましく、上限値は、9cm以下、特に8cm以下、とりわけ7cm以下とすることが好ましい。例えば組み紐の長さは4cm以上9cm以下とすることが好ましく、5cm以上8cm以下とすることが更に好ましく、6cm以上7cm以下とすることが一層好ましい。
毛髪化粧料の塗布の方法に特に制限はなく、毛髪化粧料の性状に応じて適切な塗布方法を採用すればよい。例えばエアゾールスプレー容器からの噴射によって毛髪に毛髪化粧料を施すことができる。また、手押しポンプ式容器からの吐出によって毛髪に毛髪化粧料を施すことができる。更に、毛髪化粧料中に毛髪を浸漬することができる。あるいは毛髪化粧料を手で毛髪に擦り込むこともできる。毛髪に塗布する毛髪化粧料の量は、該毛髪化粧料の種類に応じて、毛髪に塗布可能であることや実際のスタイリング時に使用する塗布量を反映させた適切な量を選択すればよい。一般的には、固形分として、毛髪の質量に対して好ましくは0.01%以上、更に好ましくは0.05%以上、一層好ましくは0.1%以上であり、上限値は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが一層好ましい。例えば毛髪に塗布する毛髪化粧料の量は、毛髪の質量に対して0.5%以上20%以下とすることが好ましく、1%以上10%以下とすることが更に好ましく、3%以上7%以下とすることが一層好ましい。
本発明の方法における評価の対象となる毛髪化粧料としては、製剤処理後にヘアスタイルを形作る性能を有する毛髪化粧料、並びにヘアスタイルを形作る性能を有する洗髪剤,コンディショニング剤,カラー剤などの毛髪化粧料が挙げられる。これらの化粧料は一般にヘアスタイルを保持するための被膜形成性ポリマーを含んでいる。
毛髪に毛髪化粧料が付着している状態でレオロジー特性の測定を行うことで、実態に即した毛髪化粧料のセット性を評価することができる。この理由は次のとおりである。毛髪化粧料のレオロジー特性に関する従来の技術、例えば特許文献1に記載の技術では、毛髪に付着させる前のバルクの状態の毛髪化粧料をレオロジー特性の測定対象としていた。しかし毛髪化粧料は、実際には毛髪の表面において薄膜の状態で存在している。そして、薄膜の状態とバルクの状態とでは、レオロジー特性は異なる場合がある。また、毛髪上に塗布した後の温度や環境履歴により毛髪化粧料のレオロジー特性が敏感に変化する場合がある。したがって、毛髪に毛髪化粧料が付着している状態でレオロジー特性の測定を行う本発明によれば、実態に即した毛髪化粧料のセット性を従来よりも正確に評価することができる。
本発明では、複数本の毛髪を組み紐とした測定サンプルを用いているところ、毛髪を組み紐とすることなく、複数本の毛髪を束ねた毛束をそのまま用い、それに毛髪化粧料を塗布させたものを測定サンプルとして測定した場合には、本発明で奏される効果は奏されない。この理由は、複数本の毛髪を束ねた毛束をそのまま用いた場合には、毛髪化粧料によって毛髪間が結合された部位の数を制御することが困難だからである。また、毛髪化粧料によって毛髪間が結合された部位の分布が不均一になり易いからである。これに対して本発明のように毛髪を組み紐とすれば、毛髪化粧料によって毛髪間が結合された部位の数を制御することが容易である。しかも毛髪間が結合された部位は、組み紐の長手方向に対して一定の間隔で分布するので、結合部位分布の制御が容易になる。
図1には、以上のとおりにして準備された測定サンプルを用いたレオロジー特性の測定セルが示されている。同図に示す測定セル10は、回転式レオメーターに取り付けられるものである。測定セル10は、第1ドラム11及び第2ドラム12を有している。第1ドラム11は円筒形のものであり、円筒の高さ方向を鉛直方向Vに一致させて配置されている。同様に第2ドラム12も円筒形のものであり、円筒の高さ方向を鉛直方向に一致させて配置されている。第1ドラム11及び第2ドラム12は、ドラム部の鉛直方向位置が重なる状態で水平方向Hに一定の距離を隔てて配置されている。第1ドラム11と第2ドラム12とは、互いに接しないように距離を隔てて配置されている。
第1ドラム11においては、その上端面からシャフト13が延出している。シャフト13は回転式レオメーター(図示せず)の駆動部に直接接続されている。そして回転式レオメーターを駆動することで、第1ドラム11は、シャフト13周りに正逆回転可能になっている。一方、第2ドラム12は支持台14に固着されており、回転不能になっている。
各ドラム11,12には、測定サンプル20を固定するためにクランプ11a,12aが取り付けられている。これらのクランプ11a,12aによって測定サンプル20はドラム11,12の周面11b,12bに固定され、水平方向に向けて両ドラム11,12間に架設される。各ドラムの周面11b,12bはサンドブラスト加工等の粗面化加工が施されており、測定中に測定サンプル20が周面11b,12b上を滑らないようにしている。
図1に示すように測定サンプル20を取り付けたら、回転式レオメーター(図示せず)を動作させて、シャフト13を介して第1ドラム11を正逆回転させて、測定サンプル20に張力を与える。これによって測定サンプル20を微伸縮させて、該測定サンプル20の動的粘弾性特性を測定する。レオロジー特性の測定に先立ち、測定サンプル20に対して、毛髪のセット時に行われる処理を行い、その後にレオロジー特性の測定を行ってもよい。こうすることで、毛髪化粧料の実際の使用に一層近い状態下でレオロジー特性を測定することができる。毛髪のセット時に行われる処理としては、例えばヘアドライヤー、ヒートアイロン及びホットカーラー等を用いた毛髪に熱を付与する処理が挙げられる。また、毛髪化粧料の剤型や使い方の違いによる塗布性の違いを反映させた処理などが挙げられる。更に、使用する毛髪に対して、パーマ、ヘアカラーなどの化学処理を行ったり、人工的にダメージを与えたり、根本部分と毛先部分の比較など、使用する毛髪の影響も確認することができる。
動的粘弾性の測定においては、周波数を0.01Hz以上、特に0.05Hz以上、とりわけ0.1Hz以上とすることが好ましく、上限値は、300Hz以下、特に100Hz以下、とりわけ50Hz以下とすることが好ましい。例えば周波数は、0.01Hz以上300Hz以下とすることが好ましく、0.05Hz以上100Hz以下とすることが更に好ましく、0.1Hz以上50Hz以下とすることが一層好ましい。
毛髪化粧料のセット性は、毛髪化粧料のガラス転移領域から流動領域のレオロジー特性と密接に関係すると考えられる。そこで、動的粘弾性の測定温度は、毛髪化粧料のガラス転移領域から流動領域の温度範囲を包含することが好ましい。具体的には、毛髪化粧料の種類にもよるが、一般に−150℃以上、特に−130℃以上、とりわけ−100℃以上であることが好ましく、上限値は、250℃以下、特に180℃以下、とりわけ150℃以下であることが好ましい。例えば測定温度は、−150℃以上250℃以下であることが好ましく、−130℃以上180℃以下であることが更に好ましく、−100℃以上150℃以下であることが一層好ましい。
動的粘弾性の測定におけるプレテンションの値は、サンプルの降伏応力値以下で、測定時に印加される正弦振動(ダイナミックテンション)により測定サンプルが弛まない範囲で設定すればよい。
一方ダイナミックテンションの値は、サンプルの降伏応力値以下で、かつ、プレテンションより小さな値とする必要がある。
測定サンプル20の動的粘弾性の測定によって、レオロジー特性としての貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”及び損失正接tanδ(E”/E’)の値が得られる。ただし、本発明では測定サンプルは毛髪を組み紐状に編んだものであることより、サンプル断面積を正確に定義できないことより、E’とE”については、見かけの貯蔵弾性率E’appと見か
けの損失弾性率E”appとして使用する。これらの特性値に基づき毛髪化粧料のセット性の良否を評価することができる。詳細には、見かけの貯蔵弾性率E’appの温度依存性、見かけの損失弾性率E”appの温度依存性、及び損失正接tanδの温度依存性のうちの少なくとも1つのデータに基づき毛髪化粧料のセット性の良否を評価することができる。例えば、横軸に温度をとり、縦軸にE’app、E”app又はtanδをとって測定結果をプロットしたグラフにおいて、プロットによって得られる曲線に屈曲部や極大部が観察されるか否か、またそのような屈曲部や極大部が観察される温度が何度であるかによって、毛髪化粧料のセット性の良否を評価することができる。具体的には、以下に述べる実施例において例証されるとおり、前記の屈曲部や極大部が観察される温度が高いほど、セット性が良好であると判断することができる。あるいは前記の屈曲部や極大部が観察される温度が低いほど、再セット性が良好であると判断することができる。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1> 複数本の毛髪からなり、該毛髪が組み紐に編まれており、かつ毛髪化粧料が塗布されている測定サンプルについて、その長手方向における動的粘弾性測定を行い、測定によって得られたレオロジー特性に基づき該毛髪化粧料のセット性を評価する、毛髪化粧料のセット性の評価方法。
<2> 複数本の前記毛髪からなる毛束を組み紐に編み、それに前記毛髪化粧料を塗布したものを前記測定サンプルとして用いる前記<1>に記載の評価方法。
<3> 複数本の前記毛髪に前記毛髪化粧料を塗布し、該毛髪化粧料が塗布された毛髪からなる毛束を組み紐に編んだものを前記測定サンプルとして用いる前記<1>に記載の評価方法。
<4> 毛髪を三つ編みに編む前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の評価方法。
<5> 前記測定サンプルの動的粘弾性測定を行うのに先立ち、該測定サンプルに対して、毛髪のセット時に行われる処理を行い、その後に動的粘弾性測定を行う前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の評価方法。
<6> 前記処理が毛髪に熱を付与する処理である前記<5>に記載の評価方法。
<7> 動的粘弾性が、見かけの貯蔵弾性率E’appの温度依存性、見かけの損失弾性率E”appの温度依存性、又は損失正接tanδの温度依存性のいずれか1以上である前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の評価方法。
<8> 動的粘弾性の測定結果をプロットしたグラフにおいて、屈曲部や極大部が観察される温度が高いほど、セット性が良好であると判断する前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の評価方法。
<9> 動的粘弾性の測定結果をプロットしたグラフにおいて、屈曲部や極大部が観察される温度が低いほど、再セット性が良好であると判断する前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の評価方法。
<10>複数本の毛髪が6本〜64本である<1>ないし<9>のいずれか1に記載の評価方法。
これまで詳述してきた本発明の毛髪化粧料のセット性の評価方法を、具体的な実施例を参照しながら更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1ないし3〕
以下の表1に各実施例で使用した毛髪化粧料の組成を示す。これらの毛髪化粧料を、毛髪を三つ編みして得られた組み紐に塗布して測定サンプルを調製した。具体的には、長さ150mm、幅15mm、重量2gのヒトの毛髪からなる毛束を準備した。この毛束は、予め市販のシャンプー剤で洗浄乾燥しておいた。この毛束から、5本の毛髪を1束として三つの束を取り出した。三つの束に分けた髪を互い違いに組んで三つ編みを行った。毛束の編み込みは,毛束にかかる荷重が約30gになるように束を張りながら行った。また、10mmの長さ当たり10回の三つ編みができるように編み込みを行い、長さが50mm以上になるようにした。得られた組み紐を、表1に示す組成の毛髪化粧料に浸漬させた後,25℃/50%RHの条件下で12時間乾燥させた。これによって測定サンプルを得た。毛髪化粧料の付着量(固形分)は、付着させる前の毛髪に対して10質量%であった。
得られた測定サンプルについて、以下の方法で動的粘弾性特性を測定した。測定は、サンプルの長手方向について行った。測定装置としてModular Compact Rheometer MCR502(Anton Paar社製)を用いた。測定セルにはUniversal Extensional Fixture UXF12 / CTD600を使用した。測定周波数を2Hzとし、張力制御モードにてプレテンション2×107Pa、ダイナミックテンション5×106Paで測定した。測定は、液体窒素源から気化させた窒素ガス雰囲気下、−100℃から始め、昇温速度2.5℃/minで5℃毎に行った。測定サンプルが三つ編み毛であることから、断面形状は円形と仮定して弾性率の計算を行った。そのため、得られた弾性率パラメータは見かけの値であり、見かけの貯蔵弾性率E’app、見かけの損失弾性率E”appとして結果を表記した。
レオロジー特性の測定とは別に、各毛髪化粧料のセット性について以下の方法で官能評価を行った。ポンプスプレーに充填された各毛髪化粧料を用い、専門パネラー10人に各毛髪化粧料を使用して髪をセットさせ、「セット性」について官能評価を行わせた。評価は以下の基準に従って行い、10人の評価点の平均値で示した。結果を以下の表2に示す。
5:非常に良い、4:良い、3:やや良い、2:やや悪い、1:悪い
Figure 2014089116
Figure 2014089116
各毛髪化粧料のレオロジー特性を図2及び図3に示す。図2には、見かけの貯蔵弾性率E’app、及び見かけの損失弾性率E”appの温度依存性が示されている。図3には、損失正接tanδの温度依存性が示されている。毛髪化粧料の塗膜のガラス転移現象と関係するミクロブラウン運動の緩和現象の存在がE’app−温度曲線の屈曲として観察される。またE”app−温度曲線及びtanδ−温度曲線の極大としても観察される。これらのうち,tanδ−温度曲線のデータが最も見易いことから、tanδ曲線が極大値を示す温度に着目した。そしてtanδ曲線が極大値を示す温度と、先に表2に示したセット性スコアとの関係を図4に示す。図4に示す結果から明らかなとおり、tanδ曲線が極大値を示す温度が高いほど、セット性スコアが高い方という結果が得られた。セット性は、セット後に如何にセット状態を維持できるかということと密接に関係している。この観点から、毛髪化粧料の塗膜が、室温に比べてどの程度の高温まで固体状態を保てるかが重要である。セット性が高い毛髪化粧料は室温よりも高い温度まで固体状態を維持できている。これに対し、セット性が低いものでは室温で既に液体状態になっている。
〔実施例4ないし6〕
本実施例では、毛髪化粧料を塗布した毛髪から三つ編みされた測定サンプルを作製した。毛髪化粧料の種類、毛髪化粧料の塗布方法、及び三つ編みのしかたは実施例1ないし3と同様とした。毛髪化粧料の付着量(固形分)は、付着させる前の毛髪に対して0.25質量%であった。このようにして得られた測定サンプルを用い、実施例1ないし3と同様のレオロジー特性の測定を行った。なお、実施例4ないし6で用いた毛髪化粧料は、実施例1ないし3で用いたものと同じである。
測定サンプルのレオロジー特性の測定とは別に、各毛髪化粧料の再セット性について以下の方法で官能評価を行った。ポンプスプレーに充填された各毛髪化粧料を用い、専門パネラー10人に各毛髪化粧料を使用して髪をセットさせた。スプレー施術後、25℃・65%RHの環境で9時間過ごした各パネラーに「再セット」について官能評価を行わせた。評価基準は、先に述べた「セット性」と同じである。そして10人の評価点の平均値を求めた。その結果を前記の表2に示す。
各毛髪化粧料のレオロジー特性を図5及び図6に示す。図5には、見かけの貯蔵弾性率E’app、及び見かけの損失弾性率E”appの温度依存性が示されている。図6には、損失正接tanの温度依存性が示されている。本実施例においては、毛髪化粧料を塗布した毛髪から三つ編みされた測定サンプルを用いていることに起因して、毛髪上の毛髪化粧料の塗膜のミクロブラウン運動に起因する緩和現象の強度がとても小さくなった。その結果、損失正接tanδ−温度曲線のみで、緩和現象の存在が観察される。そこで、tanδ曲線が極大値を示す温度と、先に表2に示した再セット性スコアとの関係を図7に示す。図7に示す結果から明らかなとおり、tanδ曲線が極大値を示す温度が低いほど、再セット性スコアが高い方という結果が得られた。再セット性スコアは25℃で行われた評価に基づいていることから、再セットが生じるためには,この温度で毛髪化粧料が液体状態であることが望ましいと考えられる。したがって、tanδ曲線が極大値を示す温度が室温よりも低い毛髪化粧料ほど、再セット性に優れる結果となったと考えられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば動的粘弾性の測定に用いられるセルとしては、伸長タイプの動的粘弾性測定が可能なセルであれば、図1に示すセル以外のセルを用いることもできる。また、測定装置も本実施例で示す装置に限定されず、サンプルの長さ方向の動的粘弾性測定が可能な装置であればよい。更には、動的粘弾性測定時の温度・湿度制御パターンも目的に応じて変えてよい。
また、前記の各実施例においては、tanδ曲線が極大値を示す温度に基づき毛髪化粧料のセット性及び再セット性を評価したが、測定サンプルに付着させる毛髪化粧料の量を多くすれば、見かけの貯蔵弾性率E’appや見かけの損失弾性率E”appに基づき毛髪化粧料のセット性を評価することが可能となる。
10 伸長レオロジーの測定セル
11 第1ドラム
12 第2ドラム
11a,12a クランプ
11b,12b 周面
13 シャフト
14 支持台
20 測定サンプル

Claims (6)

  1. 複数本の毛髪からなり、該毛髪が組み紐に編まれており、かつ毛髪化粧料が塗布されている測定サンプルについて、その長手方向における動的粘弾性測定を行い、測定によって得られたレオロジー特性に基づき該毛髪化粧料のセット性を評価する、毛髪化粧料のセット性の評価方法。
  2. 複数本の前記毛髪からなる毛束を組み紐に編み、それに前記毛髪化粧料を塗布したものを前記測定サンプルとして用いる請求項1に記載の評価方法。
  3. 複数本の前記毛髪に前記毛髪化粧料を塗布し、該毛髪化粧料が塗布された毛髪からなる毛束を組み紐に編んだものを前記測定サンプルとして用いる請求項1に記載の評価方法。
  4. 毛髪を三つ編みに編む請求項1ないし3のいずれか一項に記載の評価方法。
  5. 前記測定サンプルの動的粘弾性測定を行うのに先立ち、該測定サンプルに対して、毛髪のセット時に行われる処理を行い、その後に動的粘弾性測定を行う請求項1ないし4のいずれか一項に記載の評価方法。
  6. 前記処理が毛髪に熱を付与する処理である請求項5に記載の評価方法。
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