JP2014088979A - 排水管接続構造及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受皿部5及び水返し壁6を備え且つ水返し壁6の根本寄りにドレン孔8が形成された排水本体部1と、排水本体部1のドレン孔8と合致して接続されたドレン管2とを有し、水返し壁6にはドレン孔8の開口周部にバーリング加工による円弧状フランジ15が形成されており、ドレン管2は、円弧状フランジ15の外周面に対して外嵌装着することで排水本体部1と接続させてある。
【選択図】図1
Description
樋などの排水本体部に対して排水管を接続する構造において、製造が容易であり且つ製造コストの低コスト化が可能であり、排水不可能な残水の発生も防止してカビや錆等の発生を防止すると共に、残水の凍結に関わる種々の問題も全て解消できるようにした排水管接続構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る排水管接続構造は、受皿部及びこの受皿部に設けた延長部を曲げ起こして形成した水返し壁を備えると共に、前記水返し壁を貫通するドレン孔としてその開口周部の一箇所を前記受皿部の上面に外接させる配置で形成されるか又は前記受皿部を貫通するドレン孔としてその開口周部の一箇所を前記水返し壁の内面に外接させる配置で形成されて成る排水本体部と、前記排水本体部の前記ドレン孔に内部連通して外方突出状に接続されたドレン管と、を有しており、前記水返し壁又は前記受皿部には、前記ドレン孔の開口周部を外方へ押し出すバーリング加工によって形成した円弧状フランジが設けられており、前記ドレン管は、前記円弧状フランジの外周面に対して水密的に外嵌装着することで前記排水本体部と接続させてあることを特徴とする。
前記受皿部に生じさせる谷折り筋部は、当該受皿部に対して前処理で形成した繊細な下筋に沿わせて更に曲げを付加することで生じさせた鋭利な谷角を有したものとするのがよい。
図1乃至図3は、本発明に係る排水管接続構造により、矩形の排水本体部1に対して横出し式でドレン管2を接続した実施形態を示している。排水本体部1及びドレン管2はいずれも金属製であるが、排水本体部1に対するドレン管2の接続は非溶接により行ってある。
また受皿部5には、その全域においてドレン孔8へ向けて下向きに傾斜しつつ集中する舟底形の排水勾配が設けられている。この排水勾配は、ドレン孔8の開口周部と受皿部5の内隅とが外接している位置を頂点に、受皿部5における2方の隅角部へと延びて設けられた複数本(図例では4本)の谷折り筋部12により、この受皿部5上を複数の三角形状傾斜面に区画して形成されている。具体的に言えば、それぞれの谷折り筋部12はドレン孔8からV字に開脚する放射状配置となっており、しかもV字の片翼がそれぞれ、更に2本の谷折り筋部12a,12bに開脚されるようになっている。
周部に沿って外方へ突出する状態で円弧状フランジ15が設けられている。この円弧状フランジ15は、ドレン管2の内径に即した(ほぼ同じ外径の)円筒形状となっており、この円弧状フランジ15に対し、そのまわりに水密的に面接触するようにしてドレン管2を外嵌装着させてある。この円弧状フランジ15は、バーリング加工により水返し壁6に対して一体に形成されている。
水返し壁6は、図5及び図6に示すように、受皿部5に対して面一方向に設けた延長部17を曲げ起こすことによって形成してあり、従って受皿部5と水返し壁6とは互いに一体の関係にある。この水返し壁6の元になる延長部17(曲げ起こす前の状態)は、ドレン孔8の位置に合致させて切欠18を設けることにより、互いに隣り合う二つのフラップ片17a,17aとして分離させてある。
この切欠18は、水返し壁6の低位置から高位置になるにしたがって徐々に開口幅が広くなるような上方広がりの開口形状を呈している。そのため、二つのフラップ片17a,17aを曲げ起こすことにより水返し壁6を形成する際には、この切欠18(口開き部分20)を閉じる方向へ向けて、二つのフラップ片17a,17aを寄せ合わせるようにする。これにより、受皿部5上に舟底形の排水勾配を形成させる(複数本の谷折り筋部12を、それぞれ谷角を伴ったものとして生じさせる)ことが可能となる。二つのフラップ片17a,17aを寄せ合わせたとき、円弧状フランジ15は前記したような円筒形状となり、また円弧状フランジ15の内側で形成されるドレン孔8は円形孔となる。
以下、この排水管接続構造の製造方法を、この製造方法に使用する製造設備の構成を交えながら説明する。
そして、このブランク25の延長部17に対して、ドレン孔8を形成する下準備として下孔26を形成する。この下孔26は円形孔とするのが好適である。更に、この下孔26からその径方向へ延びて延長部17を通り抜け、且つ外方へ開通する切欠18を形成する。この切欠18を形成することにより、延長部17は互いに隣り合う二つのフラップ片17a,17aに分離されることになる。
ワンショットで同時に行ってもよい。場合によっては、切欠18の形成後に下孔26を形成させるなどの手順としてもよく、要は、これらの形成手順は何ら限定されない。
次に、図6(B)に示すように、ドレン孔8の下孔26にバーリング加工を施す。このバーリング加工は、例えば図7に示すプレス装置30に対し、異形パンチ31及びこの異形パンチ31に対応するダイ32をセットして実施する。図例では、下金型34のダイセット35にパンチプレート36及びストリッパプレート37を介して異形パンチ31を起立状態に固定すると共に、上金型40のダイセット41にバッキングプレート42を介してダイ32を固定したものを示してある。
このエアダンパは、下金型34と上金型40とを合型させる(ダイ32と異形パンチ31との嵌め合いで円弧状フランジ15を絞り出させる)ときに、ダイ32の圧下量によりブランク25をストリッパプレート37との間で挟持する(押し付ける)だけでなく、ブランク25にダイ32へ向けた背圧をも付与させるようにし、もって、ブランク25を不動に保持させるために装備させたものである。
エアダンパの内圧は、高くすればするほど円弧状フランジ15の絞り出し量(水返し壁6からの突出長さ)を大きくできる。しかし、大きくしすぎると、円弧状フランジ15の先端がその周方向を分断するように割れて花が開いたようになる欠陥(所謂「花咲現象」)が発生するおそれがあることを、本発明者は試行錯誤のうえに知見している。本実施形態では、エアダンパの内圧を0.5kgf/cm2に設定して、円弧状フランジ15の絞り出し量が5〜7mmとなるようにした。
異形パンチ31は、軸部断面において長円形の長軸となる方向が、ブランク25において二つのフラップ片17a,17aに跨る方向(図5の左右方向)になるように合わせてダイセット35に固定する。異形パンチ31の長円形断面形状は、二つのフラップ片17a,17aを分離させている切欠18の切欠幅に対応させて、ドレン孔8の内径を横拡大させたものに略等しい。このようなことから、ブランク25において二つのフラップ片17a,17aを曲げ起こすことにより水返し壁6を形成する際に、切欠18を閉じたとき(二つのフラップ片17a,17aを寄せ合わせたとき)、円弧状フランジ15の内側で形成されるドレン孔8が円形孔となる。
次に、プレス装置30を稼働させ、下金型34と上金型40とを合型させる。このとき、ストリッパプレート37とダイ32との上下間でブランク25が挟持されると共に、ストリッパプレート37に装備されたエアダンパの背圧がこの挟持状態に付加される。従って、ブランク25に位置ズレが生じないまま、図9に示すようにブランク25の下孔26に対してその開口周部に円弧状フランジ15が形成されるようになる。
37に装備されたエアダンパによる背圧が付加されるので、円弧状フランジ15は遊び(ガタツキ)などが許容されない状態に維持されるようになる。それらのことから、円弧状フランジ15は、その内周面及び外周面が共に、寸法的且つ形状的に高精度の長円状円筒形に仕上げられることになる。当然に、円弧状フランジ15に「花咲現象」が発生することもない。かくして、図6(B)に示すように、ドレン孔8の開口周部にバーリング加工による円弧状フランジ15を設けることができる。
このベンダー加工は、例えば図10及び図11に示す曲げダイ50をベンダー装置(図示略)にセットして実施する。この曲げダイ50は、受皿部5と水返し壁6との曲げ角(例えば90°とすればよいが限定はされない)に合わせたV溝51を有したものであって、且つ、このV溝51の溝中心から片側の溝壁にわたる部位を掘り下げるようにした逃げ凹部52が形成された構成としてある。逃げ凹部52は、V溝51の溝中心に外接する部分が半円形とされており、片側の溝壁を掘り下げるようにした部分は、その内幅Wが円弧状フランジ15の外幅に合わせて形成されている。
このようにして二つのフラップ片17a,17aを曲げ起こした後、切欠18(円弧状フランジ15の口開き部分20)を閉じる方向へ向けて、二つのフラップ片17a,17aを寄せ合わせるようにする。
わせることができるものである。同時に、円弧状フランジ15はドレン管2の内径に即した円筒形状となり、また円弧状フランジ15の内側で形成されるドレン孔8は円形孔となる。
このような排水管接続構造の製造方法では、製造が容易であり且つ製造コストの低コスト化が可能である。また、製造された排水管接続構造は、排水不可能な残水の発生が防止されるものであり、カビや錆等の発生を防止できる。また、残水の発生がないので、この残水の凍結に関わる種々の問題も全て解消されるものである。
例えば、排水本体部1において、ドレン孔8は水返し壁6に対して設けることが限定されるものではなく、受皿部5に対して設けることも可能である。この場合、ドレン孔8は、受皿部5から水返し壁6が立ち上がっている内隅(受皿部5としての外縁)に対して開口周部の一部を外接させるように配置する。当然に、このドレン孔8の開口周部に対して受皿部5の下方へ突出させるように円弧状フランジ15を形成させることになる。
排水本体部1は、ドレンパンとする場合に限らず、排水枡や排水樋など、排水用の配管を接続するものとして実施することができる。
本発明に係る排水管接続構造及びその製造方法では、排水本体部1に対するドレン管2の接続を外嵌装着により行えるようになっているので(非溶接でも可能)、ドレン管2の形成素材は何ら限定されるものではない。従って例えば、ドレン管2を金属製(例えばSS400など)とする以外に、樹脂製などとすることも可能である。
2 ドレン管
5 受皿部
6 水返し壁
7 側壁
8 ドレン孔
12 谷折り筋部
15 円弧状フランジ
17 延長部
17a フラップ片
18 切欠
20 口開き部分
23 延長部
25 ブランク
26 下孔
30 プレス装置
31 異形パンチ
32 ダイ
34 下金型
35 ダイセット
36 パンチプレート
37 ストリッパプレート
40 上金型
41 ダイセット
42 バッキングプレート
45 ストリッパボルト
50 曲げダイ
51 V溝
52 逃げ凹部
55 曲げパンチ
Claims (6)
- 受皿部及びこの受皿部に設けた延長部を曲げ起こして形成した水返し壁を備えると共に、前記水返し壁を貫通するドレン孔としてその開口周部の一箇所を前記受皿部の上面に外接させる配置で形成されるか又は前記受皿部を貫通するドレン孔としてその開口周部の一箇所を前記水返し壁の内面に外接させる配置で形成されて成る排水本体部と、
前記排水本体部の前記ドレン孔に内部連通して外方突出状に接続されたドレン管と、を有しており、
前記水返し壁又は前記受皿部には、前記ドレン孔の開口周部を外方へ押し出すバーリング加工によって形成した円弧状フランジが設けられており、
前記ドレン管は、前記円弧状フランジの外周面に対して水密的に外嵌装着することで前記排水本体部と接続させてある
ことを特徴とする排水管接続構造。 - 前記水返し壁の元になる延長部は、前記ドレン孔における開口周部の一箇所を当該水返し壁の上方まで開通させるように形成した切欠によって互いに隣り合う二つのフラップ片に分離されていると共に、
これら二つのフラップ片には、前記ドレン孔における開口周部のうち前記切欠に相当する口開き部分を生じさせた状態で予め円弧状フランジが形成されたものとしてあり、
これら二つのフラップ片を曲げ起こす段階で前記切欠を閉じるべく当該二つのフラップ片同士を寄せ合わせることにより、当該円弧状フランジが前記ドレン管の内径に即した円筒形状とされている
ことを特徴とする請求項1記載の排水管接続構造。 - 前記排水本体部の前記受皿部には、前記二つのフラップ片を曲げ起こす段階で前記切欠を閉じるべく当該二つのフラップ片同士を寄せ合わせることにより、当該受皿部上を前記ドレン孔の開口周部まで延びる谷折り筋部と当該谷折り筋部により区画される排水勾配とが形成されていることを特徴とする請求項2記載の排水管接続構造。
- 前記受皿部に生じさせる谷折り筋部は、当該受皿部に対して前処理で形成した繊細な下筋に沿わせて更に曲げを付加することで生じさせた鋭利な谷角を有していることを特徴とする請求項3記載の排水管接続構造。
- 受皿部とこの受皿部から面一方向へ張り出す延長部とを有するブランクを形成し、
前記ブランクの延長部又は受皿部に対してドレン孔の下孔を形成すると共に、
前記ブランクの延長部に対して前記下孔からその径方向へ延びて当該延長部を二つのフラップ片に分離しつつ外方へ開通する切欠を形成し、
前記下孔に対して前記二つのフラップ片に跨る方向で軸部断面を長円形にした異形パンチによりバーリング加工を施すことで前記下孔の開口周部で外方へ突出した円弧状フランジを形成させ、
前記円弧状フランジの内側で形成させるドレン孔がその開口周部の一箇所を前記受皿部の上面又は前記二つのフラップ片を前記受皿部から曲げ起こして形成する水返し壁の内面に外接した配置となるように前記二つのフラップ片を前記受皿部から曲げ起こし、
この二つのフラップ片の曲げ起こしでは前記切欠を閉じるべく当該二つのフラップ片同士を寄せ合わせることで当該円弧状フランジを前記ドレン管の内径に即した円筒形状とさせ、
この円筒形状とされた円弧状フランジの外周面に対して前記ドレン管を水密的に外嵌装着する
ことを特徴とする排水管接続構造の製造方法。 - 前記ブランクにつき前記二つのフラップ片の曲げ起こしで前記水返し壁を形成する工程において、
前記受皿部と前記水返し壁との曲げ角に合わせたV溝を有する曲げダイに対し、予め前記V溝の溝中心から片側の溝壁にわたる部位を前記円弧状フランジの外幅に合わせて掘り下げるようにした逃げ凹部を形成しておき、
前記二つのフラップ片を曲げ起こしてゆく際に前記円弧状フランジが前記逃げ凹部へガタツキ無く嵌り込み且つ前記受皿部と前記水返し壁との外隅位置が前記曲げダイにおけるV溝の溝中心に合致するようにすべく、前記曲げダイに対して前記ブランクをセットし、前記二つのフラップ片の曲げ起こしを行って前記水返し壁を形成させる
ことを特徴とすることを特徴とする請求項5記載の排水管接続構造の製造方法。
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