JP2014088832A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大気汚染の防止に配慮した給油作業を、円滑かつ適確に遂行することができる蒸発燃料処理装置を提供する。
【解決手段】蒸発燃料処理装置11は、燃料タンク13を大気から遮断する密閉弁41と、燃料タンク13に係るタンク内圧を検出するタンク内圧センサ39と、燃料タンク13の給油ロ19bを覆うフューエルリッド25と、給油意思に係る情報を取得する給油意思情報取得部と、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを算出する時間変化量算出部と、給油意思情報取得部が給油意思ありの情報を取得した場合に、密閉弁41を開放させる指令を行うと共に、タンク内圧に係る時間変化量が所定の閾値未満に収束した場合に、フューエルリッド25の開放を許可する制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置に関する。
例えば、内燃機関を備える車両では、燃料タンクへ給油を行うと、燃料タンクの内部空間における液体燃料の占有体積が増えるため、同内部空間における気相域の占有体積が相対的に減少して、気相域の圧力(以下、“タンク内圧”という。)が大気圧と比べて高くなる。すると、燃料タンク内に滞留していた気相域の蒸発燃料が大気中へ出ようとする。仮に、蒸発燃料が大気中へ放出されると、大気を汚染してしまう。
そこで、蒸発燃料の大気中への放出に起因する大気汚染を防ぐ目的で、従来の蒸発燃料処理装置では、燃料タンクと大気間の連通路に、蒸発燃料を一時的に吸着する吸着材を有するキャニスタを設け、キャニスタの吸着材に蒸発燃料を吸着させることでタンク内圧を低く抑えるようにしている。
例えば、特許文献1には、燃料タンクとキャニスタ間を連通する蒸発燃料の流通路に、燃料タンクとキャニスタ間の導通状態を制御する封鎖弁を設けてなる蒸発燃料処理装置が開示されている。特許文献1に係る蒸発燃料処理技術では、内燃機関が停止している場合、封鎖弁を閉止状態とし、かつ、キャニスタを大気に開放する。内燃機関が停止しており、かつ、タンク内圧と大気圧との間に開弁判定値を超える圧力差が生じている場合、封鎖弁を開放する。そして、封鎖弁の開放前後におけるタンク内圧の変化を検出し、検出したタンク内圧の変化が所定の判定値に満たない場合、封鎖弁が閉故障(閉状態を維持する態様の故障)であると判定する。
特許文献1に係る蒸発燃料処理技術によれば、燃料タンクを密閉するための封鎖弁の閉故障を効率的に検知することができる。
特開2004−156494号公報
ところで、特許文献1に係る蒸発燃料処理技術では、給油口を覆うフューエルリッドのロック解除を行う際に操作されるリッドスイッチが操作者により操作されると、まず、蒸発燃料が給油口から大気中へ放出されるのを防ぐために封鎖弁を開放する。この封鎖弁の開放によって、タンク内圧は徐々に低下してゆく。タンク内圧が大気圧付近まで低下すると、フューエルリッドのロックを解除する。そして、操作者の手動によりフューエルリッドが閉止操作されると、この閉止操作がフューエルリッドの開閉状態検知部により検知されて、封鎖弁を閉鎖する。
特許文献1に係る蒸発燃料処理技術では、前記の通り、リッドスイッチが操作されると、封鎖弁を開放し、この封鎖弁の開放に伴って、タンク内圧は徐々に低下してゆく。一般に、タンク内圧は、その特性値が上下に振れながら大気圧付近まで収束してゆく傾向がある。そのため、仮に、タンク内圧の特性値が下振れし、かつ、その下振れした特性値が所定の収束判定条件(大気圧付近)を充足すると、タンク内圧が大気圧付近まで低下したと誤判定してしまう。その結果、大気汚染の防止に配慮した給油作業を行うことができないという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、大気汚染の防止に配慮した給油作業を、円滑かつ適確に遂行することができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、(1)に係る発明は、内燃機関を備える車両に搭載された燃料タンクと大気間の連通路に設けられ、当該燃料タンクを大気から遮断する密閉弁と、前記燃料タンクに係るタンク内圧を検出するタンク内圧検出部と、前記燃料タンクの給油ロを覆う開閉部材と、給油意思に係る情報を取得する給油意思情報取得部と、前記タンク内圧に係る時間変化量を算出する時間変化量算出部と、前記給油意思情報取得部が給油意思ありの情報を取得した場合に、前記密閉弁を開放させる指令を行うと共に、前記タンク内圧に係る時間変化量が所定の閾値未満に収束した場合に、前記開閉部材の開放を許可する制御部と、を備えることを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明では、制御部は、給油意思情報取得部が給油意思ありの情報を取得した場合に、密閉弁を開放させる指令を行うと共に、タンク内圧に係る時間変化量が所定の閾値未満に収束した場合に、開閉部材の開放を許可する。ここで、タンク内圧に係る時間変化量は、例えば、時々刻々と変化するタンク内圧を時間微分することで算出される。そのため、タンク内圧に係る時間変化量を用いたタンク内圧の収束判定では、タンク内圧そのものを用いたタンク内圧の収束判定と比べて、タンク内圧の特性値がばらつくことに起因するタンク内圧の収束に係る誤判定を抑止することができる。
(1)に係る発明によれば、大気汚染の防止に配慮した給油作業を、円滑かつ適確に遂行することができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に記載の蒸発燃料処理装置であって、前記制御部は、前記密閉弁を開放させる指令を行った時点から所定の待機時間が経過した後、前記時間変化量算出部による前記タンク内圧に係る時間変化量の算出を開始させる、ことを特徴とする。
密閉弁の開放直後では、タンク内圧は比較的大きく変化(低下)する。こうした初動期間において、タンク内圧に係る時間変化量を算出したとしても、タンク内圧が収束したと判定される可能性は低い。そのため、前記の初動期間では、タンク内圧に係る時間変化量を算出しなくとも、タンク内圧の収束判定に与える影響はほとんどないと考えられる。
そこで、(2)に係る発明では、制御部は、密閉弁を開放させる指令を行った時点から所定の待機時間が経過した後、時間変化量算出部によるタンク内圧に係る時間変化量の算出を開始させることとした。
(2)に係る発明によれば、所定の待機時間(前記の初動期間を含む)では、時間変化量算出部によるタンク内圧に係る時間変化量の算出を休止させるため、前記の作用効果に加えて、不要な時間変化量の算出工程を省いて節電に貢献することができる。
また、(3)に係る発明は、(1)に記載の蒸発燃料処理装置であって、前記所定の待機時間は、前記密閉弁の開放時点から前記タンク内圧に係る時間変化量が前記所定の閾値未満に収束すると推定される所要時間を考慮して設定される、ことを特徴とする。
(3)に係る発明によれば、前記の作用効果に加えて、不要な時間変化量の算出工程を可及的に省いていっそうの節電に貢献することができる。
本発明に係る蒸発燃料処理装置によれば、大気汚染の防止に配慮した給油作業を、円滑かつ適確に遂行することができる。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の概要を表す全体構成図である。 本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の概要を表す機能ブロック構成図である。 本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置が実行する、燃料給油時における密閉弁の開閉制御処理の流れを表すフローチャート図である。 自車両が走行を開始したタイミングを捉えて密閉弁を閉止させる動作の説明に供するタイムチャート図である。 給油意思情報取得部が給油意思ありの情報を取得した時点から所定時間が経過したタイミングを捉えて密閉弁を閉止させる動作の説明に供するタイムチャート図である。 タンク内圧を用いた収束判定タイミングと、タンク内圧に係る時間変化量を用いた収束判定タイミングとを対比して表すタイムチャート図である。
以下、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。
〔本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の概要〕
はじめに、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の概要について、駆動源として内燃機関および電動モータ(いずれも不図示)を備えるハイブリッド車両に適用した例をあげて、図面を参照して説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材間には同一の参照符号を付するものとする。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の概要を表す全体構成図である。図2は、蒸発燃料処理装置11の概要を表す機能ブロック構成図である。蒸発燃料を処理する役割を果たす蒸発燃料処理装置11は、図1に示すように、燃料タンク13で生じた蒸発燃料を吸着する機能を有するキャニスタ15と、蒸発燃料処理装置11の統括制御を行うECU(ElectronicControl Unit)17と、などを備える。
ガソリンなどの燃料を貯留する燃料タンク13には、図1に示すように、フューエルインレットパイプ19が設けられている。フューエルインレットパイプ19には、その上流部19aと燃料タンク13との間を連通接続する循環パイプ20が設けられている。フューエルインレットパイプ19のうち燃料タンク13の反対側には、給油ガンのノズル(いずれも不図示)が挿入される給油口19bが設けられる。給油口19bは、不図示の車体における後部フェンダ(不図示)に対して凹形状に設けられるフューエルインレットボックス21内に収容されている。給油口19bには、ねじ式のフィラーキャップ23が取り付けられる。
フューエルインレットボックス21には、フィラーキャップ23を覆うフューエルリッド25が、開放または閉止自在に取り付けられている。フィラーキャップ23およびフューエルリッド25は、本発明の“開閉部材”に相当する。フューエルリッド25には、フューエルリッド25の開放を規制するためのリッドロック機構27が備えられている。給油時においてリッドロック機構27のロックを遠隔的に解除させるために、車室内には、操作者により操作されるリッドスイッチ31が設けられている。
フューエルリッド25には、フューエルリッド25の開放または閉止に係る開閉状態を検知するリッドセンサ29が設けられている。リッドセンサ29で検知されたフューエルリッド25の開閉状態に係る情報は、ECU17へと送られる。
給油時以外の通常時では、フューエルリッド25は、リッドロック機構27によりロックされて閉止状態を維持している。一方、給油時では、リッドスイッチ31が操作され、かつ、後記する所定の条件を充足した場合に、ECU17は、リッドロック機構27のロックを解除させる。これにより、フューエルリッド25は開放される。操作者は、フューエルリッド25の開放によりアクセス可能となったフィラーキャップ23を給油口19bから取り外し、給油ガンのノズル(いずれも不図示)を給油口19bに挿し込んで給油を行うことができる。
燃料タンク13には、燃料タンク13内に貯留された燃料を汲み上げて燃料供給通路33を介して不図示のインジェクタへと送り出す燃料ポンプモジュール35が設けられている。また、燃料タンク13には、燃料タンク13とキャニスタ15との間を連通接続する蒸発燃料排出通路37が設けられている。蒸発燃料排出通路37は、蒸発燃料の流通路としての機能を有する。
蒸発燃料排出通路37における燃料タンク13の側は、二股に分岐している。二股に分岐した蒸発燃料排出通路37のうち一側の通路37aには、フロート弁37a1が設けられている。また、前記蒸発燃料排出通路37のうち他側の通路37bには、カット弁37b1が設けられている。
フロート弁37a1は、給油に伴う燃料の液面の上昇により、燃料タンク13内における気相域の圧力であるタンク内圧Ptankが上昇した場合に閉止するように動作する。具体的には、フロート弁37a1は、燃料タンク13内に燃料が満たされている満タン時に閉止することにより、燃料が燃料タンク13から蒸発燃料排出通路37へ進入するのを防いでいる。
一方、カット弁37b1は、車両の姿勢が所定の角度を超えて傾いた場合に閉止するように動作する。具体的には、カット弁37b1は、満タン時には開放しているが、車両の姿勢が所定の角度を超えて大きく傾いた場合に閉止することにより、燃料が燃料タンク13から蒸発燃料排出通路37へ進入するのを防いでいる。
蒸発燃料排出通路37には、タンク内圧センサ39と、密閉弁41と、高圧二方弁43と、がそれぞれ設けられている。
本発明の“タンク内圧検出部”に相当するタンク内圧センサ39は、燃料タンク13内における気相域の圧力であるタンク内圧Ptankを検出する機能を有する。ただし、タンク内圧センサ39を、燃料タンク13に対して直に設ける構成を採用してもよい。タンク内圧センサ39の圧力検出部としては、圧電素子を用いることができる。タンク内圧センサ39で検出されたタンク内圧Ptankに係る情報は、ECU17へと送られる。
密閉弁41は、燃料タンク13の内部空間を大気から遮断する機能を有する。具体的には、密閉弁41は、ECU17から送られてくる開閉制御信号に従って動作する常時閉止型の電磁弁である。密閉弁41は、後で詳しく述べるように、前記の開閉制御信号に従って燃料タンク13の内部空間を大気から密閉しまたは大気に連通させるように動作する。
高圧二方弁43は、燃料タンク13側の圧力、および、キャニスタ15側の圧力の高低差に基づいて、蒸発燃料の流通方向を制御する機能を有する。具体的には、高圧二方弁43は、蒸発燃料排出通路37において密閉弁41に対して並列に設けられ、ダイアフラム式の正圧弁と負圧弁とを組み合わせた機械式の弁である。
高圧二方弁43のうち正圧弁は、燃料タンク13側の圧力が、キャニスタ15側の圧力と比べて所定圧力だけ高くなったときに開放するように動作する。この開放動作により、燃料タンク13内で高圧になった蒸発燃料が、高圧二方弁43のうち正圧弁を介して、キャニスタ15の側へと送られる。
一方、高圧二方弁43のうち負圧弁は、燃料タンク13側の圧力が、キャニスタ15側の圧力と比べて所定圧力だけ低くなったときに開放するように動作する。この開放動作により、キャニスタ15に貯えられていた蒸発燃料が、高圧二方弁43のうち負圧弁を介して、燃料タンク13側へと戻される。
キャニスタ15は、蒸発燃料を吸着するための活性炭からなる吸着材(不図示)を内蔵している。キャニスタ15の吸着材は、蒸発燃料排出通路37を介して燃料タンク13側から送られてくる蒸発燃料を吸着する。キャニスタ15には、蒸発燃料排出通路37の他に、パージ通路45、および、大気導入通路47がそれぞれ連通接続されている。
パージ通路45のうち、キャニスタ15の反対側は、不図示のインテークマニホールドに連通接続される。一方、大気導入通路47のうち、キャニスタ15の反対側は、大気に連通接続される。大気導入通路47には、診断モジュール49が設けられている。診断モジュール49は、負圧ポンプ、圧力センサ、基準オリフィス、および、大気導入通路47を開放または閉止する切換弁(いずれも不図示)を備えてなる。診断モジュール49は、燃料タンク13、キャニスタ15、蒸発燃料排出通路37における蒸発燃料の漏れ診断や密閉弁41の機能診断を遂行する際に用いられる。
キャニスタ15は、大気導入通路47を介して取り入れた空気を、キャニスタ15の吸着材に吸着された蒸発燃料と共に、パージ通路45を介してインテークマニホールドへと送るパージ処理を実行するように動作する。
本発明の制御部として機能するECU17には、図2に示すように、入力系として、前記のリッドスイッチ31、リッドセンサ29、および、タンク内圧センサ39、並びに、車速センサ51がそれぞれ接続されている。車速センサ51は、自車両(不図示)の速度を検出する機能を有する。車速センサ51で検出された自車両の速度に係る情報は、ECU17へと送られる。
また、ECU17には、図2に示すように、出力系として、前記密閉弁41を駆動する密閉弁駆動部53、前記リッドロック機構27を駆動するロック解除駆動部55、および、報知部57を駆動する報知駆動部59がそれぞれ接続されている。報知部57は、給油に関する情報を報知する機能を有する。具体的には、報知部57としては、車室内に設けられる液晶ディスプレイなどの表示部(不図示)やスピーカなどの音声出力部を好適に用いることができる。
ECU17は、図2に示すように、給油意思情報取得部61、開閉状態情報取得部63、走行状態情報取得部65、時間変化量算出部67、および、制御部69を備えて構成される。
ECU17は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、ECU17が有する給油意思情報取得機能、開閉状態情報取得機能、走行状態情報取得機能、時間変化量算出機能、および、蒸発燃料処理装置11全体の統括制御機能を含む各種機能に係る実行制御を行うように動作する。
給油意思情報取得部61は、給油意思に係る情報を取得する機能を有する。具体的には、給油意思情報取得部61は、リッドスイッチ31の操作によるリッドロック機構27のロック解除要求を、給油意思に係る情報として取得する。リッドスイッチ31の操作によるリッドロック機構27のロック解除要求は、誤操作の場合を除き、給油の意思がある際にしか生じないからである。
開閉状態情報取得部63は、フューエルリッド25の開閉状態に係る情報を取得する機能を有する。具体的には、開閉状態情報取得部63は、リッドセンサ29の検知結果を、開閉状態に係る情報として取得する。
走行状態情報取得部65は、自車両の走行状態に係る情報を取得する機能を有する。具体的には、走行状態情報取得部65は、車速センサ51で検出された自車両の速度に係る情報を、走行状態に係る情報として取得する。
時間変化量算出部67は、タンク内圧センサ39で検出される、時々刻々と変化するタンク内圧Ptankに基づいて、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを算出する機能を有する。ここで、タンク内圧に係る時間変化量Pdtとは、単位時間(予め設定される適宜変更可能な時間長)の経過前後のタンク内圧Ptankの偏差である。ただし、連続した時刻における3以上のタンク内圧Ptankの移動平均値も、タンク内圧に係る時間変化量Pdtの概念に含む。
時間変化量算出部67で算出されたタンク内圧に係る時間変化量Pdtは、後記するように、タンク内圧Ptankが所定の圧力範囲(例えば、大気圧を挟んで適宜の誤差を含むように設定される圧力範囲)に収束したか否かを判定する際に参照される。
任意の時刻からの経過時間をカウントするためのタイマ(不図示)を内蔵する制御部69は、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した場合に、密閉弁41を開放させる指令を行うと共に、時間変化量算出部67で算出されたタンク内圧に係る時間変化量Pdtが、所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束した場合に、フューエルリッド25の開放を許可する機能を有する。
なお、所定の変化量閾値Pdt_thは、タンク内圧Ptankが大気圧付近に収束する際の変化量閾値特性を参照して設定される。
ここで、“フューエルリッド25の開放を許可する”とは、リッドロック機構27のロック解除を行うことと同義である。これは、リッドロック機構27のロック解除を行うと、フューエルリッド25がリッドロック機構27による拘束から解き放たれて、フューエルリッド25の開放が許可されることに基づく。
また、制御部69は、開閉状態情報取得部63によりフューエルリッド25の開閉状態が開放から閉止に移行した旨の情報を取得した場合、すなわち、給油が終了したと考えられる場合に、密閉弁41の開放状態を維持させる機能を有する。
さらに、制御部69は、走行状態情報取得部65により自車両が走行を開始した旨の情報を取得した場合、すなわち、給油が終了したと考えられる場合に、密閉弁41を閉止させる指令を行う機能を有する。
そして、制御部69は、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した時点から所定時間(例えば30分などの、給油の所要時間を考慮して適宜設定される時間長である。この所定時間は、制御部69に内蔵されるタイマにより計測される。)が経過した場合、すなわち、給油が終了したと考えられる場合に、密閉弁41を閉止させる指令を行う機能を有する。
また、制御部69は、フューエルリッド25の開放を許可した時点から、フューエルリッド25の開閉状態が開放から閉止に移行した旨をリッドセンサ(開閉状態検知部)29により検知した時点まで、給油可能である旨の情報の報知を報知部57に行わせる機能を有する。
さらに、制御部69は、密閉弁41を閉止させる指令を行った時点から、フューエルリッド25の開閉状態が開放から閉止に移行した旨をリッドセンサ(開閉状態検知部)29により検知した時点まで、フューエルリッド25が開放状態にある旨の警告情報の報知を報知部57に行わせる機能を有する。
なお、制御部69は、任意の時刻からの経過時間PTをカウントするためのタイマ(不図示)を内蔵している。このタイマは、後記するように、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した時点からの経過時間PTをカウントする際に用いられる。
〔本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の動作〕
次に、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の動作について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11が実行する、燃料給油時における密閉弁41の開閉制御処理の流れを表すフローチャート図である。
なお、図3に示す例では、ECU17の動作モードがスリープモードにあるという前提で、燃料給油時における密閉弁41の開閉制御処理を実行している。ここで、スリープモードとは、リッドスイッチ31のオン監視に機能を限定することで省電力を実現するECU17の動作モードをいう。
図3に示すステップS11において、ECU17は、給油意思情報取得部61で取得される給油意思情報に基づいて、給油意思の有無を判定する。ECU17は、給油意思ありの判定が下されるまで、ステップS11の判定処理を繰り返す。ステップS11の判定の結果、給油意思ありの判定が下されると(ステップS11の“Yes”)、ECU17は、処理の流れを次のステップS12へと進ませる。
ステップS12において、ECU17は、ステップS11に係る給油意思ありの判定をトリガとしてウェイクアップし、スリープモードから、各種機能を実行可能な通常モードへと自身の動作モードを移行させる。
ステップS13において、制御部69は、密閉弁41を開放させる指令を行う。これを受けて、密閉弁駆動部53は、密閉弁41を開放させるように駆動する。
ステップS14において、時間変化量算出部67は、タンク内圧センサ39で検出される、時々刻々と変化するタンク内圧Ptankに基づいて、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを算出する。
ステップS15において、制御部69は、ステップS14で算出されたタンク内圧に係る時間変化量Pdtが、所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束(Pdt<Pdt_th)したか否かを判定する。
一般に、密閉弁41が閉止されている給油時以外の通常時において、密閉状態の燃料タンク13に係るタンク内圧は、大気圧と比べて高くなっている。これは、燃料タンク13の雰囲気温度が高くなるに伴い、燃料タンク13に存する燃料(例えばガソリンなど)が揮発して、燃料タンク13の内部空間のうち気相域の圧力が高まるからである。
仮に、燃料タンク13に係るタンク内圧が大気圧と比べて高い状態で給油を行うと、燃料タンク13内の蒸発燃料がフューエルインレットパイプ19を通じて大気中に放出されてしまうため、好ましくない。そこで、ステップS15では、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが、所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束(Pdt<Pdt_th)したか否かを判定することを通じて、大気汚染の防止に配慮した円滑な給油が遂行可能か否かを判定している。
制御部69は、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束した旨の判定が下されるまで、ステップS15の判定処理を繰り返す。ステップS15の判定の結果、タンク内圧Ptankが所定の圧力範囲に収束した旨の判定が下されると(ステップS15の“Yes”)、ECU17は、処理の流れを次のステップS16へと進ませる。
ステップS16において、制御部69は、リッドロック機構27のロックを解除させる指令を行う。これを受けて、ロック解除駆動部55は、リッドロック機構27のロックを解除させるように駆動する。
ステップS17において、ECU17は、開閉状態情報取得部63で取得されるフューエルリッド25の開閉状態に係る情報に基づいて、フューエルリッド25が開放後閉止されたか否かを判定する。ECU17は、フューエルリッド25が開放後閉止された旨の判定が下されるまで、ステップS17の判定処理を繰り返す。ステップS17の判定の結果、フューエルリッド25が開放後閉止された旨の判定が下されると(ステップS17の“Yes”)、ECU17は、処理の流れを次のステップS18Aへと進ませる。
ステップS18Aにおいて、ECU17は、走行状態情報取得部63で取得される自車両の走行状態に係る情報に基づいて、自車両が走行を開始したか(VP>VPth:車速VPが車速閾値VPthを超えたか)否かを判定する。
ステップS18Aの判定の結果、自車両が走行を開始していない旨の判定が下されると(ステップS18Aの“No”)、ECU17は、処理の流れを次のステップS18Bへと進ませる。
ステップS18Bにおいて、制御部69は、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した時点から積算される経過時間PTに係る情報に基づいて、経過時間PTが所定の時間閾値PTthを超えたか(PT>PTth)否かを判定する。
ステップS18Bの判定の結果、経過時間PTが所定の時間閾値PTthを超えない旨の判定が下されると(ステップS18Bの“No”)、ECU17は、処理の流れをステップS18Aへと戻し、ステップS18AまたはステップS18Bに係る判定のいずれかが“Yes”となるまで、ステップS18A〜ステップS18Bの判定処理を繰り返す。
ステップS18AまたはステップS18Bに係る判定のいずれかが“Yes”となると、ECU17は、処理の流れを次のステップS19へと進ませる。
ステップS19において、制御部69は、密閉弁41を閉止させる指令を行う。これを受けて、密閉弁駆動部53は、密閉弁41を閉止させるように駆動する。その後、ECU17は、図3に示す燃料給油時における密閉弁41の開閉制御処理の流れを終了させる。
〔本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の時系列動作〕
次に、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の時系列動作について、図4A,図4Bを参照して詳しく説明する。
図4Aは、自車両が走行を開始したタイミングを捉えて密閉弁41を閉止させる動作の説明に供するタイムチャート図である。図4Bは、給油意思情報取得部が給油意思ありの情報を取得した時点から所定時間が経過したタイミングを捉えて密閉弁41を閉止させる動作の説明に供するタイムチャート図である。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の時系列動作の説明に先だって、比較例に係る蒸発燃料処理技術の課題、および、本発明の概要に言及する。比較例に係る蒸発燃料処理技術では、密閉弁41の開放後において、タンク内圧の特性値が収束判定条件(大気圧付近)を充足するとフューエルリッド25をロック解除する構成を採用していた。このため、仮に、タンク内圧の特性値が下振れし、かつ、その下振れした特性値が所定の収束判定条件を充足すると、タンク内圧が大気圧付近まで低下したと誤判定してしまう。その結果、大気汚染の防止に配慮した給油作業を行うことができないという問題があった。
この問題は、タンク内圧センサ39によるタンク内圧Ptankの検出値が、前記所定の収束判定条件(大気圧付近)を充足した状態で固着した場合にも同様に生じる。
そこで、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11では、密閉弁41の開放後において、タンク内圧の特性値が所定の収束判定条件を充足したことをトリガとしてフューエルリッド25をロック解除する比較例に係る蒸発燃料処理技術の構成に代えて、タンク内圧の時間変化量が所定の収束判定条件を充足したことをトリガとしてフューエルリッド25をロック解除する構成を採用することとした。
また、比較例に係る蒸発燃料処理技術では、フューエルリッド25の閉止をトリガとして密閉弁41を閉止する構成を採用していた。このため、仮に、給油中にリッドセンサ29の開閉検知部に操作者の手指が誤って触れると、フューエルリッド25が閉止されたと誤検知して密閉弁41を閉止してしまう。かかる場合に、給油を続けようと試みると、蒸発燃料が大気中へ放出されるため、大気汚染の防止に配慮した円滑な給油作業を遂行することができなくなってしまっていた。
そこで、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11では、フューエルリッド25の閉止をトリガとして密閉弁41を閉止する構成に代えて、フューエルリッド25の閉止時点では密閉弁41の開放状態を維持させて、車両が走行を開始する(図4A(f)参照)か、または、給油意思ありの情報を取得した時点(図4B(a)の時刻t1参照)から所定時間が経過した(図4B(g)の時刻t6参照)ことをトリガとして、密閉弁41を閉止する構成を採用することとした。
前記の構成について詳しく述べると、車両の走行開始をトリガとして密閉弁41を閉止する構成の蒸発燃料処理装置11では、時刻t1において、リッドスイッチ31がオン操作されると(図4A(a)参照)、ECU17の動作モードが、スリープモードから通常モードへと移行する(図4A(b)参照)と共に、密閉弁41が開放(図4A(c)参照)される。この密閉弁41の開放をトリガとして、タンク内圧Ptankが徐々に低下(図示省略)してゆく。すると、タンク内圧に係る時間変化量Pdtも、右肩下がりの特性で徐々に低下してゆく傾向を示す(図4A(d)参照)。
時刻t2において、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが、所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束(Pdt<Pdt_th:図4A(d)参照)すると、リッドロック機構27のロックが解除される(図4A(e)参照)と共に、フューエルリッド25が開放(リッドセンサ29がオン:図4A(h)参照)される。
時刻t1〜t2の期間において、報知部(メータ表示部)57には、給油開始の待機を依頼する“PLEASE WAIT”が表示(図4A(i)参照)される。
時刻t3において、操作者によりフューエルリッド25が閉止(リッドセンサ29がオフ:図4A(h)参照)されると、この時点では、密閉弁41は、開放状態を維持している(図4A(c)参照)。
時刻t2〜t3の期間において、報知部(メータ表示部)57には、給油可能である旨の“READY”が表示(図4A(i)参照)される。
時刻t4において、自車両が走行を開始(VP>VPth:車速VPが車速閾値VPthを超えた:図4A(f)参照)すると、密閉弁41が閉止(図4A(c)参照)される。
仮に、時刻t5において、操作者によりフューエルリッド25が閉止(リッドセンサ29がオフ:図4A(h)の一点鎖線で表す線図参照)されたとする。この場合、時刻t4〜t5の期間において、報知部(メータ表示部)57には、フューエルリッド25の閉止を促す旨“CLOSE FUEL LID”が表示(図4A(i)参照)される。
一方、給油意思ありの情報を取得した時点から所定時間が経過したことをトリガとして密閉弁41を閉止する構成の蒸発燃料処理装置11では、図4Bに示す時刻t1において、前記と同様に、リッドスイッチ31がオン操作されると(図4B(a)参照)、給油意思ありの情報を取得したECU17の動作モードが、スリープモードから通常モードへと移行する(図4B(b)参照)と共に、密閉弁41が開放(図4B(c)参照)される。この密閉弁41の開放をトリガとして、タンク内圧Ptankが徐々に低下してゆく。すると、タンク内圧に係る時間変化量Pdtも、右肩下がりの特性で徐々に低下してゆく傾向を示す(図4B(d)参照)。
図4Bに示す時刻t2において、前記と同様に、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが、所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束(Pdt<Pdt_th:図4B(d)参照)すると、リッドロック機構27のロックが解除される(図4B(e)参照)と共に、フューエルリッド25が開放(リッドセンサ29がオン:図4B(h)参照)される。
図4Bに示す時刻t1〜t2の期間において、報知部(メータ表示部)57には、前記と同様に、給油開始の待機を依頼する“PLEASE WAIT”が表示(図4B(i)参照)される。
図4Bに示す時刻t3において、前記と同様に、操作者によりフューエルリッド25が閉止(リッドセンサ29がオフ:図4B(h)参照)されると、この時点では、密閉弁41は、開放状態を維持している(図4B(c)参照)。
図4Bに示す時刻t2〜t3の期間において、報知部(メータ表示部)57には、前記と同様に、給油可能である旨の“READY”が表示(図4B(i)参照)される。
図4Bに示す時刻t6において、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した時点からの経過時間PT(制御部69に内蔵されたタイマのカウント値)が所定の時間閾値PTthを超える(PT>PTth:図4B(g)参照)と、密閉弁41が閉止(図4B(c)参照)される。
なお、図4B(g)における縦軸は、それぞれの時刻における時刻t1からの経過時間を表している(図4A(g)も同様)。
仮に、図4Bに示す時刻t7において、操作者によりフューエルリッド25が閉止(リッドセンサ29がオフ:図4B(h)の一点鎖線で表す線図参照)されたとする。この場合、時刻t6〜t7の期間において、リッドセンサ29がオン(フューエルリッド25が開放)しているため、報知部(メータ表示部)57には、フューエルリッド25の閉止を促す旨“CLOSE FUEL LID”が表示(図4A(i)参照)される。
〔本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11の作用効果について、図5を参照して説明する。図5は、タンク内圧Ptankを用いた収束判定タイミングと、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを用いた収束判定タイミングとを対比して表すタイムチャート図である。図5(a)は図4A(a),図4B(a)に、図5(b)は図4A(c),図4B(c)に、図5(d)は図4A(d),図4B(d)に、図5(e)は図4A(e),図4B(e)に、それぞれ対応する。そのため、図5(a),(b),(d),(e)について、その説明を省略する。図5(c)は、時刻t1における密閉弁41の開放をトリガとしてタンク内圧Ptankが大気圧Patm付近まで徐々に低下する様子を時間を追って表す説明図である。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11は、内燃機関を備える車両に搭載された燃料タンク13と大気間の蒸発燃料排出通路(連通路)37に設けられ、燃料タンク13を大気から遮断する密閉弁41と、燃料タンク13に係るタンク内圧を検出するタンク内圧センサ(タンク内圧検出部)39と、燃料タンク13の給油ロ19bを覆うフューエルリッド(開閉部材)25と、給油意思に係る情報を取得する給油意思情報取得部61と、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを算出する時間変化量算出部67と、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した場合に、密閉弁41を開放させる指令を行うと共に、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが所定の閾値Pdt_th未満に収束した場合に、フューエルリッド(開閉部材)25の開放を許可する制御部69と、を備える。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11では、制御部69は、給油意思情報取得部61が給油意思ありの情報を取得した場合に、密閉弁41を開放させる指令を行うと共に、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが所定の閾値Pdt_th未満に収束した場合に、フューエルリッド(開閉部材)25の開放を許可する。ここで、タンク内圧に係る時間変化量Pdtの特性は、例えば、時々刻々と変化するタンク内圧Ptankを時間微分することで算出される(図5(c)〜(d)参照)ため、タンク内圧Ptankそのものの特性と比べて、ばらつきが平準化されている。そのため、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを用いたタンク内圧の収束判定(図5(d)参照)では、タンク内圧Ptankそのものを用いたタンク内圧の収束判定(図5(c)参照)と比べて、タンク内圧の特性値がばらつくことに起因するタンク内圧の収束に係る誤判定を抑止することができる。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11によれば、大気汚染の防止に配慮した給油作業を、円滑かつ適確に遂行することができる。
また、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを用いた収束判定では、タンク内圧Ptankそのものを用いた収束判定と比べて、収束判定タイミングを早めることが期待される(図5(c),図5(d)を対比して参照)。タンク内圧に係る時間変化量Pdtは、タンク内圧Ptankそのものと比べて、タンク内圧Ptankが大気圧付近に収束しようとする傾向を早期に提示するからである。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11によれば、大気汚染の防止に配慮した給油作業を、少ない待ち時間で円滑かつ速やかに遂行することができる。
さらに、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11によれば、タンク内圧センサ(タンク内圧検出部)39の検出値が固着する故障が生じた場合であっても、リッドロック機構27のロック解除が不能になる事態を回避することができるといった副次的な効果を期待することができる。タンク内圧センサ(タンク内圧検出部)39の検出値が固着する故障モードでは、タンク内圧に係る時間変化量Pdtは、タンク内圧Ptankが大気圧付近に収束する場合と同様に、所定の変化量閾値Pdt_th未満に収束するからである。
また、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11では、制御部69は、密閉弁41を開放させる指令を行った時点から所定の待機時間(図5(d)に表す待機時間WTを参照)が経過した後、時間変化量算出部67によるタンク内圧に係る時間変化量Pdtの算出を開始させる、構成を採用してもよい。
密閉弁41の開放直後では、タンク内圧は比較的大きく変化(低下)する。こうした初動期間において、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを算出したとしても、タンク内圧が収束したと判定される可能性は低い。そのため、前記の初動期間では、タンク内圧に係る時間変化量Pdtを算出しなくとも、タンク内圧の収束判定に与える影響はほとんどないと考えられる。
そこで、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11では、制御部69は、密閉弁41を開放させる指令を行った時点から所定の待機時間WTが経過した後(例えば、図5(d)に表す時刻t11の経過後)、時間変化量算出部67によるタンク内圧に係る時間変化量Pdtの算出を開始させることとした。所定の待機時間WTは、前記の初動期間を含む適宜の時間長を設定すればよい。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11によれば、所定の待機時間WT(前記の初動期間を含む)では、時間変化量算出部67によるタンク内圧に係る時間変化量Pdtの算出を休止させるため、前記の作用効果に加えて、不要な時間変化量Pdtの算出工程を省いて節電に貢献することができる。
また、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11では、前記所定の待機時間WTは、密閉弁41の開放時点からタンク内圧に係る時間変化量Pdtが所定の閾値Pdt_th未満に収束すると推定される所要時間を考慮して設定される、構成を採用してもよい。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11によれば、前記の作用効果に加えて、不要な時間変化量の算出工程を可及的に省いていっそうの節電に貢献することができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明に係る実施形態において、ステップS17の判定の結果、フューエルリッド25が開放後閉止された旨の判定が下された後であって、ステップS19において、制御部69が、密閉弁41を閉止させる指令を行う前に、ステップS18A〜S18Bの判定処理(車両が走行を開始するか否か、または、給油意思ありの情報を取得した時点から所定時間が経過したか否か)を挿入する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。
本発明は、ステップS17およびステップS19の間から、ステップS18A〜S18Bの判定処理を省略した態様で実施してもよい。この場合、ステップS17の判定の結果、フューエルリッド25が開放後閉止された旨の判定が下された直後に、ステップS19において、制御部69が、密閉弁41を閉止させる指令を行うことになる。
また、本発明に係る実施形態において、駆動源として内燃機関および電動モータを備えるハイブリッド車両に対して、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11を適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。動力源として内燃機関のみを備えた車両に対して、本発明を適用してもよい。
また、本発明に係る実施形態において、給油口19bにフィラーキャップ23を有する構造の車両に対して、本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置11を適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。給油口19bにフィラーキャップ23を有しない、いわゆるキャップレス構造の車両に対して、本発明を適用してもよい。
また、本発明は、例えば、タンク内圧に係る時間変化量Pdtが所定の閾値Pdt_th未満に収束し、かつ、タンク内圧センサ39によるタンク内圧の検出値が予め定められる第1の内圧閾値未満に収束したことをトリガとして、フューエルリッド25のロックを解除する第1変形例の構成を採用してもよい。
前記第1の内圧閾値は、フューエルリッド25を開放した場合に、給油口19bを通して蒸発燃料が大気中へ放出される事態を未然に防ぐことを考慮して、例えば大気圧付近の値に適宜設定すればよい。
このように構成すれば、フューエルリッド25の開放により給油口19bを通して蒸発燃料が大気中へ放出される事態を未然に防いで、大気汚染の防止に配慮した給油作業を円滑かつ適確に遂行することができる。
また、本発明は、タンク内圧センサ39によるタンク内圧の検出値が第2の内圧閾値を超えている場合において、密閉弁41の開放により、タンク内圧センサ39によるタンク内圧の検出値が大気圧付近の値まで低下するのに要する時間が所定の時間閾値未満であることをトリガとして、フューエルリッド25のロックを解除する第2変形例の構成を採用してもよい。
前記第2の内圧閾値は、フューエルリッド25を開放した場合に、給油口19bを通して蒸発燃料が許容量を超えて大気中へ放出されてしまうような比較的高い圧力値に適宜設定すればよい。また、前記の時間閾値は、密閉弁41の開放により、タンク内圧センサ39によるタンク内圧の検出値が、第2の内圧閾値から大気圧付近の値まで低下するのに通常要する時間を考慮して適宜設定すればよい。
このように構成すれば、第1変形例と同様に、フューエルリッド25の開放により給油口19bを通して蒸発燃料が大気中へ放出される事態を未然に防いで、大気汚染の防止に配慮した給油作業を円滑かつ適確に遂行することができる。
11 蒸発燃料処理装置
13 燃料タンク
15 キャニスタ
17 ECU
25 フューエルリッド(開閉部材)
27 リッドロック機構
29 リッドセンサ
37 蒸発燃料排出通路(連通路)
39 タンク内圧センサ(タンク内圧検出部)
41 密閉弁
57 報知部
61 給油意思情報取得部
65 走行状態情報取得部
67 時間変化量算出部
69 制御部

Claims (3)

  1. 内燃機関を備える車両に搭載された燃料タンクと大気間の連通路に設けられ、当該燃料タンクを大気から遮断する密閉弁と、
    前記燃料タンクに係るタンク内圧を検出するタンク内圧検出部と、
    前記燃料タンクの給油ロを覆う開閉部材と、
    給油意思に係る情報を取得する給油意思情報取得部と、
    前記タンク内圧に係る時間変化量を算出する時間変化量算出部と、
    前記給油意思情報取得部が給油意思ありの情報を取得した場合に、前記密閉弁を開放させる指令を行うと共に、前記タンク内圧に係る時間変化量が所定の閾値未満に収束した場合に、前記開閉部材の開放を許可する制御部と、
    を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 請求項1に記載の蒸発燃料処理装置であって、
    前記制御部は、前記密閉弁を開放させる指令を行った時点から所定の待機時間が経過した後、前記時間変化量算出部による前記タンク内圧に係る時間変化量の算出を開始させる、
    ことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  3. 請求項1に記載の蒸発燃料処理装置であって、
    前記所定の待機時間は、前記密閉弁の開放時点から前記タンク内圧に係る時間変化量が前記所定の閾値未満に収束すると推定される所要時間を考慮して設定される、
    ことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
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