JP2014088291A - 酸化珪素粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化珪素粉末を連続的に製造し、高周波プラズマにより炭素を含む液体状の物質や水を蒸発させて分解させる必要がなく、これにより酸化珪素粉末の生産性を向上する。
【解決手段】本発明は、無電極型の高周波誘電法により発生した高周波プラズマ12中で、二酸化珪素粉末を原料として非晶質のSiOxで表される酸化珪素粉末11を製造する方法である。上記酸化珪素粉末11の酸素含有量Xは1以上1.8以下の範囲にあり、酸化珪素粉末の不純物濃度が最大で10ppm未満である。高周波プラズマ12の発生雰囲気の圧力を0.05〜0.12MPaの範囲に調整し、かつ高周波プラズマ12の高周波出力をA(W)とし、二酸化珪素粉末の供給速度をB(kg/時)とするとき、A/Bが1.0×104(W・時/kg)以上になるように調整して、高周波プラズマ12を発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、原料として安価な二酸化珪素粉末を用い、無電極型の高周波誘導法により大気圧又はそれに近い圧力で発生させた高周波プラズマにより、酸化珪素粉末を製造する方法に関するものである。
従来、酸化珪素粉末は、例えば光学レンズの反射防止用保護膜や、食品包装用のガスバリアフィルムなどの蒸着原料としての用途が知られている。また、最近では、酸化珪素粉末は、リチウムイオン電池の負極材料、透明導電膜、シリコンナノ結晶用などの原料として期待されている。この酸化珪素粉末の製造方法については、これまで種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特許文献1には、二酸化珪素粉末を含む混合原料粉末を不活性ガス若しくは減圧下で1100〜1600℃に加熱して酸化珪素ガスを発生させ、この酸化珪素ガスを冷却した基体表面に析出させた後に、この酸化珪素析出物を回収する酸化珪素粉末の製造方法が開示されている。この酸化珪素粉末の製造方法では、混合原料粉末が、二酸化珪素粉末と金属珪素粉末との混合物であり、その混合度が0.9以上であり、かさ密度が0.3g/cm3以上である。また二酸化珪素粉末の比表面積は50m2/g以上であり、金属珪素粉末の比表面積は0.5m2/g以上である。また基板表面が200〜500℃に冷却される。また冷媒としては、水や熱媒等の液体、或いは空気や窒素等の気体が用いられ、基体としては、加工性の点でステンレス鋼、モリブデン、タングステン等の高融点金属が用いられる。更に基体上に析出した酸化珪素粉末は、掻き取り等により回収される。
また、特許文献2には、少なくとも二酸化珪素粉末を含む混合原料粉末を不活性ガス若しくは減圧下1100〜1600℃の温度範囲で加熱し、酸化珪素ガスを発生させ、酸化珪素ガスを冷却した基体表面に析出させる酸化珪素粉末の製造方法が開示されている。この酸化珪素粉末の製造方法では、基体表面の温度が100〜400℃であり、酸化珪素ガスの蒸気濃度が0.5〜15g/m3である。また得られた酸化珪素粉末は多孔質であり、その細孔平均径は0.5〜20nmであり、その細孔容積は0.005〜0.2cm3/gであり、その比表面積は5〜300m2/gである。また酸化珪素粉末は、一般式SiOxで表される酸化珪素粉末であり、Xの範囲が0.9以上1.8以下である。一方、原料としては、二酸化珪素粉末とこれを還元する粉末との混合物が用いられ、具体的な還元粉末としては、金属珪素化合物, 炭素含有粉末が挙げられ、特に金属珪素粉末を用いると、反応性及び収率を高めることができる。また上記酸化珪素ガスが、冷却された基体に接触して冷却されることにより、基体上に酸化珪素粉末が析出する。また冷媒としては、水や熱媒等の液体、或いは空気や窒素等の気体が用いられ、基体としては、加工性の点で、ステンレス鋼、モリブデン、タングステン等の高融点金属が用いられる。更に上記基体上に析出した酸化珪素粉末は、掻き取り等により回収され、この回収された酸化珪素粉末ボールミル等の手段により粉砕される。
また、特許文献3には、熱プラズマ装置内で、アルゴンと水素が体積比で(15:1)〜(4:1)となるように混合された混合ガスの熱プラズマを発生させ、この熱プラズマによりシリカ粉末を分解処理して、一般式SiOx(Xは1.0より大きく1.6以下である。)で表されるケイ素低級酸化物粒子を得るケイ素低級酸化物粒子の製造方法が開示されている。このケイ素低級酸化物粒子の製造方法では、熱プラズマによりシリカ粉末を分解処理した後に、熱プラズマ装置内に表面処理剤ガスを導入することにより、表面処理されたケイ素低級酸化物粒子が得られる。また表面処理剤ガスは、シラザン化合物ガス又はシランカップリング剤ガスのいずれか一方又は双方である。このように構成されたケイ素低級酸化物粒子の製造方法では、先ずチャンバ内の空気を真空ポンプで排出することにより、チャンバ内の圧力を0.13〜66.5kPa程度に調整し、次に熱プラズマ発生部にアルゴンガス導入管及び水素ガス導入管からアルゴンガス及び水素ガスをそれぞれ導入して、所定の出力の直流電力を印加し、体積比で(15:1)〜(4:1)となるように混合したアルゴン及び水素の混合ガスの温度が10000℃程度である熱プラズマジェットを発生させ、更に原料のシリカ粉末をアルゴンガスとともに、原料導入管から導入し、上記熱プラズマジェットとともに、チャンバ内に噴出させる。これにより原料のシリカ(SiO2)粒子が上記混合ガスの熱プラズマにより原子レベルまで分解され、Si、O及びSiOのガスが生成され、これらのSi、O及びSiOのガスは、プラズマからチャンバ内壁へ移動し、急冷されてSiOx粒子が生成される。
更に、特許文献4には、二酸化珪素の粉末を、炭素を含む液体状の物質に分散させ、更に水を添加してスラリーにし、このスラリーを液滴化させて酸素を含まない熱プラズマ炎中に供給する一酸化珪素微粒子の製造方法が開示されている。この一酸化珪素粒子の製造方法では、二酸化珪素の粉末の量が二酸化珪素の粉末と炭素を含む液体状の物質の総量に対して10〜65質量%であり、炭素を含む液体状の物質の量が二酸化珪素の粉末と炭素を含む液体状の物質の総量に対して90〜35質量%であり、水の量が二酸化珪素の粉末と炭素を含む液体状の物質の総量に対して10〜40質量%である。また炭素を含む液体状の物質は、アルコール、ケトン、ケロシン、オクタン又はガソリンであり、熱プラズマ炎は、水素、ヘリウム及びアルゴンの少なくとも1つのガスに由来する。更に一酸化珪素微粒子は、二酸化珪素の粉末を、炭素を含む液体状の物質に分散させ、更に水を添加してスラリーにし、このスラリーを液滴化させて酸素を含まない熱プラズマ炎中に供給して生成される。
特許第3824047号公報(請求項1〜4、段落[0021]、[0022]) 特開2007−099621号公報(請求項1〜3、段落[0014]、[0021]、[0022]、[0026]) 特開2011−079695号公報(請求項1〜3、段落[0016]) 特開2011−168412号公報(請求項1〜5)
しかし、上記従来の特許文献1及び2に示された酸化珪素粉末の製造方法では、酸化珪素が、二酸化珪素粉末を含む混合原料粉末を不活性ガス若しくは減圧下で高温の1100〜1600℃に加熱して酸化珪素ガスを発生させ、この酸化珪素ガスを冷却した基体表面に析出させた後に、この酸化珪素析出物を回収するというバッチ式で製造されるため、生産性が低い問題点があった。また、上記従来の特許文献1及び2に示された酸化珪素粉末の製造方法では、二酸化珪素と金属珪素の反応により発生した酸化珪素ガスの一部が、不可避的に、100〜500℃に冷却した基体上の表面で酸化珪素として析出しないものがあり、酸化珪素粉末の回収率が低いという問題点もあった。上述のことから、従来の特許文献1及び2に示された酸化珪素粉末の製造方法では、酸化珪素の製造コストが増大する問題点があった。
また、上記従来の特許文献1及び2に示された酸化珪素粉末の製造方法では、100〜500℃に冷却したステンレス鋼、モリブデン、タングステン等の基板上に析出した酸化珪素を掻き取って回収されるため、不可避的に鉄等の不純物が混入する問題点があり、上記従来の特許文献2に示された酸化珪素粉末の製造方法では、上記回収された酸化珪素をボールミル等により粉砕されるため、鉄等の不純物が更に多く混入する問題点があった。更に、上記従来の特許文献1及び2に示された酸化珪素粉末の製造方法では、二酸化珪素との反応性を上げるために用いられる金属珪素の粒径を1μm以下に調整する必要があり、ケミカルグレード、セラミックスグレード、半導体グレード等の金属珪素をミリサイズの粗粒から1μm以下の微粒に効率良く粒度調整するためには、幾つかの粒度調整の工程を経る必要があるために、金属珪素の粒度を調整するのに比較的多くの工数を要する問題点もあった。
一方、上記従来の特許文献3に示されたケイ素低級酸化物粒子の製造方法では、熱プラズマ発生部にアルゴンガス及び水素ガスを導入し、所定の出力の直流電力を印加し、アルゴン及び水素の混合ガスの温度が10000℃程度である熱プラズマジェットを発生させており、この熱プラズマジェットの発生方式が電極を有する直流アーク放電方式であるために、タングステンや鉄等の電極材料からの不純物がケイ素低級酸化物粒子に混入してしまう問題点があった。また、従来の特許文献4に示された一酸化珪素微粒子の製造方法では、二酸化珪素粉末を、アルコールやケトン等の炭素を含む液体状の物質に分散させ、更に水を添加してスラリーにし、このスラリーを液滴化させて、酸素を含まない熱プラズマ炎中に供給することにより、一酸化珪素微粒子を製造しているため、炭素を含む液体状の物質や水を蒸発させて分解させるのに、高周波プラズマの熱エネルギが多く消費されてしまうため、酸化珪素を効率良く生産できない問題点があった。
本発明の第1の目的は、酸化珪素粉末を連続的に製造することができ、また製造された酸化珪素粉末を全て回収することができ、更に高周波プラズマにより炭素を含む液体状の物質や水を蒸発させて分解させる必要がなく、これにより酸化珪素粉末の生産性を向上できる、酸化珪素粉末の製造方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、酸化珪素粉末に鉄やタングステン等の不純物が混入するのを抑制できるとともに、粒度を調整するのに比較的多くの工数を要する金属珪素を用いずに済む、酸化珪素粉末の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、無電極型の高周波誘電法により発生した高周波プラズマ中で、二酸化珪素粉末を原料として非晶質のSiOxで表される酸化珪素粉末を製造する方法であって、酸化珪素粉末の酸素含有量Xが1以上1.8以下の範囲にあり、酸化珪素粉末の不純物濃度が最大で10ppm未満であることを特徴とする酸化珪素粉末の製造方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に高周波プラズマの発生雰囲気の圧力を0.05〜0.12MPaの範囲に調整し、かつ高周波プラズマの高周波出力をA(W)とし、二酸化珪素粉末の供給速度をB(kg/時)とするとき、A/Bが1.0×104(W・時/kg)以上になるように調整して、高周波プラズマを発生させることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に酸化珪素粉末の平均粒径が体積基準で0.002〜1μmの範囲にあることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に二酸化珪素粉末が、ヒュームドシリカであるか、或いはこのヒュームドシリカを原料としかつ平均粒径が体積基準で0.1〜80μmの範囲にある造粒粉であることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第4の観点に基づく発明であって、更に造粒粉が、ヒュームドシリカをスラリー化又はゲル化した後、100〜1100℃の範囲の温度で乾燥して得られることを特徴とする。
本発明の第1の観点の酸化珪素粉末の製造方法では、原料として安価な二酸化珪素粉末を用い、これを無電極型の高周波誘電法により発生した高周波プラズマ中で、二酸化珪素粉末を蒸発させることにより、酸化珪素ガスを発生させ、これをガス流中で急冷させることにより、酸化珪素粉末を製造したので、SiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xが1以上1.8以下の範囲にあり、上記得られた酸化珪素粉末は非晶質になる。また酸化珪素が、二酸化珪素粉末を含む混合原料粉末を不活性ガス若しくは減圧下で加熱して酸化珪素ガスを発生させ、この酸化珪素ガスを冷却した基体表面に析出させた後に、この酸化珪素析出物を回収するというバッチ式で製造されるため、生産性が低い従来の酸化珪素粉末の製造方法と比較して、本発明では、酸化珪素粉末を連続的に製造することができるので、酸化珪素粉末の生産性を向上できる。また二酸化珪素と金属珪素の反応により発生した酸化珪素ガスの一部が、不可避的に、100〜500℃に冷却した基体上の表面で酸化珪素として析出しないものがあり、酸化珪素粉末の回収率が低いという問題点があった従来の酸化珪素粉末の製造方法と比較して、本発明では、製造された酸化珪素粉末を全て回収することができるので、酸化珪素粉末の生産性を向上できる。更に炭素を含む液体状の物質や水を蒸発させて分解させるのに、高周波プラズマの熱エネルギが多く消費されてしまうため、酸化珪素を効率良く生産できない問題点があった従来の一酸化珪素微粒子の製造方法と比較して、本発明では、高周波プラズマにより炭素を含む液体状の物質や水を蒸発させて分解させる必要がないので、酸化珪素粉末の生産性を向上できる。
一方、ステンレス鋼、モリブデン、タングステン等の基板上に析出した酸化珪素を掻き取り等により回収したり、或いはこの回収した酸化珪素をボールミル等により粉砕して粒度を調整している従来の酸化珪素粉末の製造方法と比較して、本発明では、不純物濃度が最大で10ppm未満と低い。上記不純物を含む酸化珪素(珪素低級酸化物)を蒸着材として用いた場合、ガスバリアフィルムに酸化珪素膜を成膜させる際に、異常放電(アークスポット)の原因となり、この異常放電(アークスポット)が発生すると、ガス化していない酸化珪素がガスバリアフィルムに付着するため、ガスフィルムに凸部やピンホール等の酸化珪素の不均一面が生成されてしまい、これによりガスバリア性が低下してしまう問題点があった従来のケイ素低級酸化物粒子の製造方法と比較して、本発明では、酸化珪素粉末の不純物濃度が最大で10ppm未満であるので、酸化珪素粉末をガスバリアフィルムとして使用した場合、良好なガスバリア性を有する蒸着膜を形成できる。また上記不純物を含む酸化珪素(珪素低級酸化物)をリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いた場合、酸化珪素中の鉄やタングステンにより初回充放電時の不可逆容量が大きくなってしまい、サイクル特性が劣化する問題点があった従来のケイ素低級酸化物粒子の製造方法と比較して、本発明では、酸化珪素粉末の不純物濃度が最大で10ppm未満であるので、酸化珪素粉末をリチウムイオン二次電池の負極活性物質として用いた場合、初期充放電時の不可容量を小さくすることができ、これによりサイクル特性を向上できる。更に二酸化珪素との反応性を上げるために用いられる金属珪素の粒径を1μm以下に調整する必要があり、金属珪素をミリサイズの粗粒から1μm以下の微粒に効率良く粒度調整するために、幾つかの粒度調整の工程を経る必要があり、金属珪素の粒度を調整するのに比較的多くの工数を要する問題点があった従来の酸化珪素粉末の製造方法と比較して、本発明では、金属珪素を用いずに済むので、金属珪素の粒度を調整する工数を不要にすることができる。
本発明の第2の観点の酸化珪素粉末の製造方法では、高周波プラズマの発生雰囲気の圧力を0.05〜0.12MPaの範囲に調整するので、高周波プラズマのエネルギ密度が大きく、二酸化珪素粉末を短時間で効率良く加熱できるとともに、高温領域で二酸化珪素粉末の反応速度を指数関数的に増大させることができる。また高周波プラズマの高周波出力をA(W)とし、二酸化珪素粉末の供給速度をB(kg/時)とするとき、A/Bが1.0×104(W・時/kg)以上になるように調整して、高周波プラズマを発生させる。上記A/Bが1.0×104(W・時/kg)より小さいと、二酸化珪素粉末に与える高周波プラズマのエネルギが少ないため、SiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xが安定せず1.8より大きくなってしまう。一方、上記A/Bを大きくして二酸化珪素粉末に与える高周波プラズマのエネルギを増大しても、反応速度の関係からSiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xが1より小さくなる酸化珪素は殆ど生成しない。このような理由によりSiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xを1以上1.8以下の範囲に制御できる。
本発明の第3の観点の酸化珪素粉末の製造方法では、酸化珪素粉末の平均粒径が体積基準で0.002〜1μmの範囲にあるため、ステンレス鋼等の基板上に析出した酸化珪素を掻き取り等によって回収する必要がなく、また回収した酸化珪素をボールミル等により粉砕して粒度を調整する必要がなく、酸化珪素粉末への不純物の混入が少なくなる。この結果、酸化珪素粉末中の不純物濃度が最大で10ppm未満と低くなる。
本発明の第4の観点の酸化珪素粉末の製造方法では、二酸化珪素粉末として用いたヒュームドシリカが高純度で安価であり、またヒュームドシリカの平均粒径が5〜50nmと小さく、更にヒュームドシリカの比表面積が10〜400m2/gと広いので、ヒュームドシリカが高周波プラズマ中で熱エネルギを受け易く、蒸発し易い。この結果、酸化珪素粉末を効率良く製造できる。また、ヒュームドシリカを原料としかつ平均粒径が体積基準で0.1〜80μmの範囲にある造粒粉を用いても、上記と同様の効果を得られる。
ヒュームドシリカのかさ密度は、20〜100g/リットルと極めて小さいため、高周波プラズマ中に比較的多くの量のヒュームドシリカを安定的に供給することが難しい。このため、本発明の第5の観点の酸化珪素粉末の製造方法では、ヒュームドシリカを、スラリー化又はゲル化した後、100〜1100℃の範囲の温度で乾燥させて、平均粒径が体積基準で0.1〜80μmである造粒粉としたので、高周波プラズマ中に比較的多くの量のヒュームドシリカを安定的に供給できる。この結果、ヒュームドシリカの造粒粉の単位時間当たりの蒸発量を増大できるので、酸化珪素粉末の単位時間当たりの製造量を増大できる。
本発明実施形態の酸化珪素粉末の製造に用いられる高周波プラズマ装置の概略断面図である。 原料のヒュームドシリカとイオン交換水とを連続混練装置により混合してヒュームドシリカのスラリーを調製している状態を示す概略断面図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、酸化珪素粉末11は、無電極型の高周波プラズマ装置10を用いて高周波誘電法により高周波プラズマ12を発生させ、この高周波プラズマ12中に原料である二酸化珪素粉末を供給することにより製造される。上記無電極型の高周波プラズマ装置10は、高周波プラズマ12を発生させるプラズマトーチ13と、このプラズマトーチ13の下部に設けられた反応筒であるチャンバ14と、このチャンバ14の下部に設けられチャンバ14内で生成された酸化珪素粉末11を回収する回収容器16とを備える。プラズマトーチ13は、下面が開放されてチャンバ14内に連通し上面が開放された石英管13aと、この石英管13aを巻回する高周波誘導コイル13bと、石英管13aの上面を封止する蓋体13cとを有する。この蓋体13cには原料供給管17が挿通されるとともに、ガス導入管18が接続される。またチャンバ14の上部側面には、チャンバ14内のガスを排出するためのガス排出口14aが設けられる。
上記高周波プラズマ装置10では、ガス導入管18から石英管13a内にアルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス及び酸素ガスからなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合ガスを導入して、高周波誘導コイル13bに所定の高周波電力を供給すると、石英管13a内からチャンバ14内にかけて高周波プラズマ12を発生し、原料粉末である二酸化珪素粉末は原料供給管17を通って高周波プラズマ40中に供給されるようになっている。また上記高周波プラズマ12の高周波出力をA(W)とし、二酸化珪素粉末の供給速度をB(kg/時)とするとき、A/Bが1.0×104(W・時/kg)以上になるように調整して、高周波プラズマ12を発生させる。ここで、A/Bを1.0×104(W・時/kg)以上に限定したのは、A/Bが1.0×104(W・時/kg)より小さいと、二酸化珪素粉末に与える高周波プラズマのエネルギが少ないため、SiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xが安定せず1.8より大きくなってしまうからである。また高周波プラズマ12の発生雰囲気の圧力は、全圧(混合ガス全体の圧力)で0.05〜0.12MPaの範囲、好ましくは0.1〜0.7MPaの範囲に調整される。ここで、高周波プラズマ12の発生雰囲気の圧力を全圧で0.05MPa以上に限定したのは、電子だけではなく、イオンや原子等の重粒子も高温になるため、高周波プラズマ12のエネルギ密度が大きくなり、二酸化珪素粉末を短時間で効率良く加熱でき、また高温領域における二酸化珪素粉末の反応速度の指数関数的な増大が期待できるからである。また、高周波プラズマ12の発生雰囲気の圧力を全圧で0.12MPa以下に限定したのは、A/Bが0.12MPaより大きくなると、高周波プラズマにより加熱される混合ガスの温度が高くなり過ぎ、チャンバ14の表面を融解させてしまうからである。
一方、原料の二酸化珪素粉末としては、ヒュームドシリカを用いるか、或いはこのヒュームドシリカを原料としかつ平均粒径が体積基準で0.1〜80μmの範囲、好ましくは0.5〜30μmの範囲にある造粒粉を用いることが好ましい。ここで、ヒュームドシリカの造粒粉の平均粒径を体積基準で0.1〜80μmの範囲に限定したのは、0.1μm未満では、ヒュームドシリカの造粒粉のかさ密度が低くまた凝集してしまい、高周波プラズマ中に安定的に供給できないという不具合があり、一方、二酸化珪素粉末の熱伝導性が低いため、80μmを越えると、ヒュームドシリカの造粒粉の中心部まで熱が伝わらず、温度が上がらないという不具合があるからである。またヒュームドシリカの平均粒径は5〜50nmの範囲にあり、ヒュームドシリカの比表面積は10〜400m2/gの範囲にある。二酸化珪素粉末としてヒュームドシリカを用いると、ヒュームドシリカが高純度で安価であり、またヒュームドシリカの平均粒径が5〜50nmと小さく、更にヒュームドシリカの比表面積が10〜400m2/gと比較的広いので、ヒュームドシリカが高周波プラズマ中で熱エネルギを受けて蒸発し易くなる。この結果、酸化珪素粉末を効率良く製造できる。
一方、二酸化珪素粉末としてヒュームドシリカの造粒粉を用いる場合、ヒュームドシリカをスラリー化又はゲル化した後、100〜1100℃の範囲、好ましくは150〜400℃の範囲の温度で乾燥することが好ましい。ここで、ヒュームドシリカをゲル化した場合、このゲル化したヒュームドシリカをアルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、乾燥空気等の中で200〜400℃の温度に6〜24時間保持して乾燥した後に、平均粒径が上記範囲になるようにビーズミル等で粉砕することにより、ヒュームドシリカの造粒粉を得ることができる。またヒュームドシリカをスラリー化した場合、このスラリー化したヒュームドシリカをアルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、乾燥空気等の中で回転ディスク上に滴下しながらスプレードライヤで150〜200℃の温度の熱風を吹付けて乾燥することにより、平均粒径が上記所定範囲にあるヒュームドシリカを得ることができる。更にヒュームドシリカをスラリー化した場合、このスラリー化したヒュームドシリカをアルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、乾燥空気等の中で400〜1100℃の温度に20分〜6時間保持して乾燥した後に、ロールクラッシャ等により粉砕し、更にこの粉砕物を振動篩等にて分級することにより、平均粒径が上記所定範囲にあるヒュームドシリカを得ることができる。
なお、ヒュームドシリカを用いるよりも、ヒュームドシリカの造粒粉を用いた方が、酸化珪素粉末の単位時間当たりの製造量を増大できる。その理由は次の通りである。ヒュームドシリカのかさ密度は、20〜100g/リットルと極めて小さいため、高周波プラズマ中に比較的多くの量のヒュームドシリカを安定的に供給することが難しい。このため、ヒュームドシリカを、上記のようにスラリー化又はゲル化した後、所定の温度で乾燥させて、所定の平均粒径の造粒粉とすることにより、高周波プラズマ中に比較的多くの量のヒュームドシリカを安定的に供給できる。この結果、ヒュームドシリカの造粒粉の単位時間当たりの蒸発量を増大できるので、酸化珪素粉末の単位時間当たりの製造量を増大できる。
このように構成された酸化珪素粉末の製造方法では、原料として安価な二酸化珪素粉末を用い、これを無電極型の高周波誘電法により発生した高周波プラズマ中で、二酸化珪素粉末を蒸発させることにより、酸化珪素ガスを発生させ、これをガス流中で急冷させることにより、酸化珪素粉末を製造したので、SiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xが1以上1.8以下の範囲にあり、上記得られた酸化珪素粉末は非晶質になる。具体的には、上記無電極型の高周波プラズマ装置を用いて、高周波誘電法により高周波プラズマを発生させると、この高周波プラズマの温度は10000K程度になるため、高周波プラズマ中の二酸化珪素粉末は蒸発して酸化珪素ガスとなり、酸化珪素ガスの一部が酸化珪素のプラズマ状態となり、酸化珪素ガスから分解した珪素及び酸素がプラズマ状態になる。これらの酸化珪素ガスと、プラズマ状態の酸化珪素と、プラズマ状態の珪素及び酸素は、無電極型の高周波誘導法により発生した高周波プラズマのガスや、これらの高周波プラズマから高周波プラズマ装置を保護するために流されているシースガスにより急冷され、平均粒径が体積基準で2〜1000nmである微粒子状の酸化珪素粉末になる。従って、得られた微粒子状の酸化珪素粉末は非晶質となる。なお、シースガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、水素ガス等が挙げられる。
一方、高周波プラズマの発生雰囲気の圧力を0.05〜0.12MPaの範囲に調整するので、高周波プラズマのエネルギ密度が大きく、二酸化珪素粉末を短時間で効率良く加熱できるとともに、高温領域で二酸化珪素粉末の反応速度を指数関数的に増大させることができる。また、高周波プラズマの高周波出力をA(W)とし、二酸化珪素粉末の供給速度をB(kg/時)とするとき、A/Bが1.0×104(W・時/kg)以上になるように調整して、高周波プラズマを発生させるので、二酸化珪素粉末に与える高周波プラズマのエネルギが増大し、SiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量Xが安定して1.8より小さくなるという理由により、SiOxで表される酸化珪素粉末の酸素含有量X(酸素価数X)を1以上1.8以下の範囲に制御できる。
このようにして製造された酸化珪素粉末では、平均粒径が体積基準で0.002〜1μmの範囲にあるため、ステンレス鋼等の基板上に析出した酸化珪素を掻き取り等によって回収する必要がなく、また回収した酸化珪素をボールミル等により粉砕して粒度を調整する必要がなく、酸化珪素粉末への不純物の混入が少ない。この結果、酸化珪素粉末中の不純物濃度が最大で10ppm未満と低くなる。なお、酸化珪素粉末の平均粒径は体積基準で0.05〜0.5μmの範囲にあることが好ましく、酸化珪素粉末中の不純物濃度は最大で1ppm未満であることが好ましい。
なお、本明細書において、ヒュームドシリカの比表面積は、比表面積測定装置(型式名:AUTOSORB-iQ2、QUANTACHROME社製)を用いたBET3点法により測定した値である。ここで、BET3点法とは、相対圧力3点に対する窒素吸着量から傾きを求め、BET式から比表面積値を求める方法である。また、窒素吸着量の測定は、150℃の温度に60分間保持する脱気処理後に行なわれる。また、本明細書において、平均粒径が体積基準で0.01μm未満である酸化珪素粉末の平均粒径は、超音波を掛けたイオン交換水に酸化珪素粉末を分散させてスラリー又はゲルを調製し、このスラリー又はゲルを用いて凍結割断レプリカ法によりレプリカ膜を作製し、このレプリカ膜を透過型電子顕微鏡(TEM)(型式名:JEM-1400型、日本電子社製)により観察して、酸化珪素粉末の粒子100個の粒径をそれぞれ測定し、これらの平均値を算出することにより求めた値である。更に、本明細書において、ヒュームドシリカ、ヒュームドシリカの造粒粉、酸化珪素粉末等の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(型式名:MS-3000、Malvern社製)を用いて体積基準での平均粒径を3回測定し、これらの平均値を算出することにより求めた値である。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず比表面積が30m2/gであり、平均粒径が体積基準で0.04μmであるヒュームドシリカを用意した。次に図1に示すように、無電極型の高周波プラズマ装置10を用い、表1に示す条件で高周波誘電法により高周波プラズマ12を発生させた。更にこの発生した高周波プラズマ中に上記ヒュームドシリカを投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。具体的には、先ず無電極型の高周波プラズマ装置10のガス導入管18から作動ガスのアルゴンガスを表1に示す流量で導入して、プラズマトーチ13の高周波誘導コイル13bに表1に示す周波数及び出力の高周波電力を供給して石英管13a内からチャンバ内14にかけて高周波プラズマ12を発生させた。次に高周波プラズマ12が安定した後に、水素を表1に示す流量になるまで徐々に導入して、アルゴン−水素プラズマからなる高周波プラズマ12を発生させた。更にアルゴン−水素プラズマからなる高周波プラズマ12中に、上記ヒュームドシリカを投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。上記高周波プラズマ12中で生成された酸化珪素粉末11(SiOx)は、回収容器16に落下し回収された。また一部の酸化珪素粉末は、排出口14aから排ガスとともに排出されて、バグフィルタ(図示せず)により回収された。上記回収容器16及びバグフィルタに回収された酸化珪素粉末11を実施例1とした。
<実施例2>
先ず比表面積90m2/gのヒュームドシリカ1molに対して、イオン交換水13molを準備した。次いでこのイオン交換水を容器に入れて、窒素雰囲気下で温度を25℃に保持して撹拌しながら、ヒュームドシリカを添加し、その後3時間撹拌を継続して、シリカ質のゲルを調製した。次にこのシリカ質のゲルをパイレックス(コーニング社の登録商標)ガラス製の容器に入れて、アルゴン雰囲気下で200℃の温度に24時間保持して乾燥させ、ヒュームドシリカの乾燥粉を得た。更にこのヒュームドシリカの乾燥粉を、ビーズミルで粉砕して、ヒュームドシリカの造粒粉を得た。ここで、ヒュームドシリカの乾燥粉のビーズミルによる粉砕は、石英製の円筒容器に、ヒュームドシリカの乾燥粉とシリカ製のビーズを入れて、この円筒容器を30rpmの回転速度で24時間回転させることにより行った。
続いて、図1に示すように、無電極型の高周波プラズマ装置を用い、表1に示す条件で高周波誘電法により高周波プラズマを発生させた。更にこの発生した高周波プラズマ中に上記ヒュームドシリカの造粒粉を投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。具体的には、先ず無電極型の高周波プラズマ装置10のガス導入管18から作動ガスのアルゴンガスを表1に示す流量で導入して、プラズマトーチ13の高周波誘導コイル13bに表1に示す周波数及び出力の高周波電力を供給して石英管13a内からチャンバ14内にかけて高周波プラズマ12を発生させた。次に高周波プラズマ12が安定した後に、水素ガス及びヘリウムガスを表1に示す流量になるまで徐々に導入して、アルゴン−水素−ヘリウムプラズマからなる高周波プラズマ12を発生させた。更にアルゴン−水素−ヘリウムプラズマからなる高周波プラズマ12中に、上記ヒュームドシリカの造粒粉を投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。上記高周波プラズマ12中で生成された酸化珪素粉末11(SiOx)は、回収容器16に落下し回収された。また一部の酸化珪素粉末は、排出口14aから排ガスとともに排出されて、バグフィルタ(図示せず)により回収された。上記回収容器16及びバグフィルタに回収された酸化珪素粉末11を実施例2とした。
<実施例3>
先ず図2に示すように、回転する複数の突片54を有する連続混練装置50の容器51に、比表面積200m2/gのヒュームドシリカを3kg/時間の速度で供給するとともに、15℃のイオン交換水を7kg/時間の速度で供給して混合し、30質量%のヒュームドシリカを含有したスラリー55を調製した。上記連続混練装置50は、底板51aを有し上面が開放された円筒状の容器51と、この底板51aの中央に鉛直方向に延びて挿通され上端が容器51内の上部に位置するように回転可能に設けられた回転軸52と、この回転軸52の上端に固着された円板状の回転板53と、この回転板53の下面に半径方向及び円周方向にそれぞれ所定の間隔をあけかつ下方に向って突設された複数の円柱状の突片54とを備える。底板51aと回転軸52との間には、容器51内のスラリー55の漏れを阻止するシール部材56と、回転軸52を底板51aに対して回転可能に保持する一対の軸受57,57とが介装される。また図2中の符号58は容器51内のスラリー55を排出するための排出管である。更に図2中の符号59は排出管58に設けられた開閉弁であり、この開閉弁59を開くと、容器51内のスラリー55が排出管58を通って排出されるようになっている。次に湿度80%以上の空気中で上記スラリーを、回転速度12500rpmで回転する直径100mmのピンディスク上に滴下しながら、スプレードライヤで200℃の熱風を吹付けて乾燥し造粒した。これによりオープンポアを有し平均粒径が体積基準で7μmである球形状のヒュームドシリカの造粒粉を得た。
続いて、図1に示すように、無電極型の高周波プラズマ装置を用い、表1に示す条件で高周波誘電法により高周波プラズマを発生させた。更にこの発生した高周波プラズマ中に上記ヒュームドシリカの造粒粉を投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。具体的には、先ず無電極型の高周波プラズマ装置10のガス導入管18から作動ガスのアルゴンガスを表1に示す流量で導入して、プラズマトーチ13の高周波誘導コイル13bに表1に示す周波数及び出力の高周波電力を供給して石英管13a内からチャンバ14内にかけて高周波プラズマ12を発生させた。次に高周波プラズマ12が安定した後に、水素ガス及びヘリウムガスを表1に示す流量になるまで徐々に導入して、アルゴン−水素−ヘリウムプラズマからなる高周波プラズマ12を発生させた。更にアルゴン−水素−ヘリウムプラズマからなる高周波プラズマ12中に、上記ヒュームドシリカの造粒粉を投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。上記高周波プラズマ12中で生成された酸化珪素粉末11(SiOx)は、回収容器16に落下し回収された。また一部の酸化珪素粉末は、排出口14aから排ガスとともに排出されて、バグフィルタ(図示せず)により回収された。上記回収容器16及びバグフィルタに回収された酸化珪素粉末11を実施例3とした。
<実施例4>
先ず図2に示すように、回転する複数の突片54を有する連続混練装置50の容器51に、比表面積300m2/gのヒュームドシリカを10kg/時間の速度で供給するとともに、5℃のイオン交換水を10kg/時間の速度で供給して混合し、50質量%のヒュームドシリカを含有したスラリー55を調製した。次にこのスラリーを石英製の容器に入れて、大気雰囲気下で1100℃の温度に6時間保持して乾燥させ、ヒュームドシリカの乾燥粉を得た。更にヒュームドシリカの乾燥粉を石英製の容器から取出し、ロールクラッシャを用いて粉砕した。このときロールクラッシャのロール隙間を0.2mmに調整し、ロール回転速度を50rpmに調整した。この粉砕した乾燥粉を目開き120μmの振動篩を用いて分級し、平均粒径が体積基準で56μmであるヒュームドシリカの造粒粉を得た。
続いて、図1に示すように、無電極型の高周波プラズマ装置を用い、表1に示す条件で高周波誘電法により高周波プラズマを発生させた。更にこの発生した高周波プラズマ中に上記ヒュームドシリカの造粒粉を投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。具体的には、先ず無電極型の高周波プラズマ装置10のガス導入管18から作動ガスのアルゴンガスを表1に示す流量で導入して、プラズマトーチ13の高周波誘導コイル13bに表1に示す周波数及び出力の高周波電力を供給して石英管13a内からチャンバ14内にかけて高周波プラズマ12を発生させた。次に高周波プラズマ12が安定した後に、水素ガスを表1に示す流量になるまで徐々に導入して、アルゴン−水素プラズマからなる高周波プラズマ12を発生させた。更にアルゴン−水素プラズマからなる高周波プラズマ12中に、上記ヒュームドシリカの造粒粉を投入して、非晶質の酸化珪素粉末11(SiOx)を製造した。上記高周波プラズマ12中で生成された酸化珪素粉末11(SiOx)は、回収容器16に落下し回収された。また一部の酸化珪素粉末は、排出口14aから排ガスとともに排出されて、バグフィルタ(図示せず)により回収された。上記回収容器16及びバグフィルタに回収された酸化珪素粉末11を実施例4とした。
<比較例1>
先ず比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ100gと、比表面積が2m2/gであり純度が99.8%である金属珪素粉末50gとを、ステンレス鋼製の容器に入れ、この容器を乾式粉体混合装置に入れて回転速度30rpmで3時間混合した。次にこの混合粉末を、タングステン製の容器に入れて、100Pa以下の圧力に真空引きした後に、1300℃に加熱しこの温度に10時間保持して、酸化珪素ガスを発生させた。この酸化珪素ガスは、500℃に水冷されたステンレス鋼製の基体上に導入され、この基体上に酸化珪素が析出した。更にこの析出した酸化珪素を基体上から掻き取った後、ビーズミルにて粉砕して酸化珪素粉末を得た。具体的には、ステンレス鋼製の円筒容器に、上記掻き取った酸化珪素とステンレス鋼製のビーズを入れ、上記円筒容器を50rpmの回転速度で24時間回転させて粉砕することにより、酸化珪素粉末を得た。この酸化珪素粉末を比較例1とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜4及び比較例1の酸化珪素粉末(SiOx)の酸素含有量X(酸素価数X)を、X線光電子分光分析(XPS)により測定した。また実施例1〜4及び比較例1の酸化珪素粉末の平均粒径を透過電子顕微鏡(TEM)により観察して測定した。なお、上記酸化珪素粉末(SiOx)の酸素含有量X(酸素価数X)は、X線光電子分光分析(XPS)装置(型式名:model-5600LS、ULVAC PHI社製)を用いて、酸化珪素粉末から検出された元素のナロー(Narrow)スペクトルについて定量分析を行うことにより求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2014088291
なお、表1において、(注1)には、『加熱してガス化した後に、析出させて粉砕することにより、酸化珪素粉末を作製した。』という文が挿入される。
表1から明らかなように、比較例1では、酸化珪素粉末(SiOx)の酸素含有量X(酸素価数X)が1.67であったのに対し、実施例1〜4では、酸化珪素粉末(SiOx)の酸素含有量X(酸素価数X)が1.01〜1.78であった。このことから、実施例1〜4の酸化珪素粉末は、比較例1の酸化珪素粉末と同様に、酸素含有量X(酸素価数X)が1以上1.8以下の範囲に入ることが分かった。また、比較例1では、酸化珪素粉末の平均粒径が1.2μmと大きかったのに対し、実施例1〜4では、酸化珪素粉末の平均粒径がそれぞれ0.003μm、0.015μm、0.325μm及び0.920μmと小さくなった。これらのことから無電極型の高周波プラズマの発生条件や原料の供給速度等を変更することにより、酸化珪素粉末の酸素含有量X(酸素価数X)及び平均粒径を制御できることが分かった。
<比較試験2及び評価>
実施例1〜4及び比較例1の酸化珪素粉末に含まれる不純物の含有量を測定した。具体的には、実施例1〜4及び比較例1の酸化珪素粉末に含まれるアルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の含有量をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2014088291
表2から明らかなように、比較例1では、不純物であるアルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)がそれぞれ17ppm、315ppm及び45ppmと多かったのに対し、実施例1〜4では、不純物であるアルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)がそれぞれ0.3〜0.5ppm、0.7〜8.7ppm及び0.1〜1.8ppmと少なくなった。
11 酸化珪素粉末
12 高周波プラズマ

Claims (5)

  1. 無電極型の高周波誘電法により発生した高周波プラズマ中で、二酸化珪素粉末を原料として非晶質のSiOxで表される酸化珪素粉末を製造する方法であって、
    前記酸化珪素粉末の酸素含有量Xが1以上1.8以下の範囲にあり、
    前記酸化珪素粉末の不純物濃度が最大で10ppm未満である
    ことを特徴とする酸化珪素粉末の製造方法。
  2. 前記高周波プラズマの発生雰囲気の圧力を0.05〜0.12MPaの範囲に調整し、かつ前記高周波プラズマの高周波出力をA(W)とし、前記二酸化珪素粉末の供給速度をB(kg/時)とするとき、A/Bが1.0×104(W・時/kg)以上になるように調整して、前記高周波プラズマを発生させる請求項1記載の酸化珪素粉末の製造方法。
  3. 前記酸化珪素粉末の平均粒径が体積基準で0.002〜1μmの範囲にある請求項1記載の酸化珪素粉末の製造方法。
  4. 前記二酸化珪素粉末が、ヒュームドシリカであるか、或いはこのヒュームドシリカを原料としかつ平均粒径が体積基準で0.1〜80μmの範囲にある造粒粉である請求項1記載の酸化珪素粉末の製造方法。
  5. 前記造粒粉が、ヒュームドシリカをスラリー化又はゲル化した後、100〜1100℃の範囲の温度で乾燥して得られる請求項4記載の酸化珪素粉末の製造方法。
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