JP2014087468A - カーペット - Google Patents

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Yoshihiro Fuchigami
喜弘 渕上
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Abstract

【課題】本発明は、パイル糸が基布に植設された表皮層と、バッキング層とを有するカーペットにおいて、パイルに使用する糸の撚数を限定し、吸水性を高めた繊維に保湿剤を加工するもので、従来にない風合い、保湿効果、柔軟性、触感性のカーペットを得ることを目的とする。
【解決手段】パイル糸が基布に植設された表皮層と、バッキング層とを有するカーペットにおいて、少なくとも前記表皮層に保湿剤がバインダー樹脂により固着していることに特徴にあるカーペット。
【選択図】 図1

Description

本発明は、保湿剤を塗布したカーペットに関するものであり、カーペット表面の保湿効果、柔軟性、触感性が従来よりも優れたカーペットに関するものである。
カーペットに求められる性能はその用途によって様々で、防音性、防汚性、抗菌性、防ダニ性、吸音性、断熱性、消臭性、防滑性、クッション性等の機能性を要求されたり、カーペット本来の特性である色や柄、風合いやタッチ感、ボリューム感、踏み心地といった人の感性に及ぶ要求まで様々な要求がなされている。
特に家庭用カーペットに要求される性能としては、人がカーペットの上に横になったり、裸足で歩いたりすることが多いことから、肌触りがよく柔らかい風合いのカーペットが好まれている。
従来からある技術としては、カーペット用糸の繊維を細くして柔らかい風合いにしたり、繊維断面を扁平にしたり、後加工としてポリシャー加工のようにカーペットパイルに熱を加えながら繊維を引き伸ばし、艶を出しながら柔らかい風合いに仕上る技術等多くの提案がなされてきている。
特許文献1においては、単繊維繊度が3.5〜8.0デニール、単繊維の扁平度3.0〜5.0、沸騰水処理後の捲縮伸長率が5.0〜20%のポリアミドマルチフィラメントを使ったカーペットが開示されている。この方法は、柔らかい風合いで肌触りもよく、腰が強いと共に耐久性に優れたカーペットとして、特に素肌に直接接触して使用する家庭用ラグマットとして好適なカーペットを提供するものである。
しかしながら、本発明のように繊維を選ばず、またポリシャー加工のようにパイル形状を選ばず、どんな素材、どんなパイル形状でも柔らかい風合いを実現できる技術は未だ開示されていない。
特開2000−220050号公報
本発明は、パイルに使用する糸の撚数を限定し、吸水性を高めた繊維に保湿剤を加工するもので、従来にない風合い、保湿効果、柔軟性、触感性のカーペットを得ることを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、従来よりも保湿効果、柔軟性、触感性に優れた風合いが発現できることを見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1] パイル糸が基布に植設された表皮層と、バッキング層とを有するカーペットにおいて、少なくとも前記表皮層に保湿剤がバインダー樹脂により固着していることに特徴にあるカーペット。
[2] 前記保湿剤が、スクワラン、ミリスチル酸アルキルエステル、ミツロウ、ラノリン、セラミド、リン皮質からなる群から選ばれた少なくとも1種の保湿剤である前項1に記載のカーペット。
[3] 前記パイル糸の撚数が70〜110回/mである前項1または2に記載のカーペット。
[4] 前記保湿剤の固着量が、0.1〜20g/mである前項1〜3のいずれか1項に記載のカーペット。
[1]の発明によれば、パイル糸が基布に植設された表皮層と、バッキング層とを有するカーペットにおいて、少なくとも前記表皮層に保湿剤がバインダー樹脂により固着されるので、カーペット表面風合い、触感に対して効果を発現させることができる。本発明では、保湿剤を使用するので、カーペットの加工中に高温の加工工程を通過させたとしても変色したり、変性することがなく、安定した保湿性能を発揮するカーペットとすることができる。また、保湿剤がバインダー樹脂により強固に表皮層に固着されるので、洗濯などを行なったとしても持続的にその効果を継続することができる。
[2]の発明によれば、前記保湿剤が、スクワラン、ミリスチル酸アルキルエステル、ミツロウ、ラノリン、セラミド、リン皮質からなる群から選ばれた少なくとも1種の保湿剤であるので、優れた保湿効果を発揮することができる。
[3]の発明によれば、前記パイル糸の撚数が70〜110回/mであることから、繊維の吸水性が高く、保湿剤との相乗効果により、優れた保湿効果を発揮することができる。
[4]の発明によれば、前記保湿剤の固着量が、0.1〜20g/mであるので、十分な保湿効果を得ることができる。
この発明の一実施形態に係るカーペットの説明図である。
次に、この発明に係るカーペット1の一実施形態を図1に基づいて説明する。この実施形態のカーペット1は、パイル糸2が基布3に植設された表皮層4と、バッキング層5とを有するカーペット1において、パイル糸2のカーペット表面側から、バインダー樹脂と保湿剤とを含む溶液を塗布し、加熱乾燥することで保湿機能を有するカーペットを得ることができる。
本発明において、パイル糸2の素材としては特に限定されるものではなく、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維等の繊維からなるもの等を好適に使用でき、その他麻、綿、羊毛等の天然繊維からなるもの等も使用できる。パイルの形態としてもカットパイルであっても、ループパイルであってもよい。パイル糸2の撚数は70〜110回/m設定するのが好ましい。撚数が70回/m未満では水分が留まれる場所がなく、吸水性は低下する。撚数が110回/mを超えると水分が入り込む隙間が少なくなり、吸水性は低下する。
本発明において、パイル糸2のカーペット表面側から、バインダー樹脂と保湿剤とを含む溶液をスプレー法、コーティング法、プリント法など従来からある方法で塗布し、加熱乾燥すればよい。また保湿剤の固着量については、0.1〜20g/mパイル糸2に固着されるのが好ましく、固着する場所については、パイル表面からパイル糸2の根元まで固着されるのが好ましい。
本発明に使用する基布3としては、綿基布、不織布等特に限定はしないが、一般に家庭等で使用されるカーペットに用いられる基布3としては、ポリプロピレン繊維の織基布が好ましく使用されている。
バインダー樹脂としては、保湿剤をパイル糸2に固着することが出来れば特に限定されないが、例えばウレタン樹脂、自己架橋型アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、シリコン樹脂、グリオキザール樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル-シリコン共重合体樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体樹脂(SBR)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、イソブチレン無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン-スチレン-アクリレート-メタアクリレート共重合体樹脂等を挙げることができる。
保湿剤としては、スクワラン、ミリスチル酸アルキルエステル、ミツロウ、ラノリン、セラミド、リン皮質からなる群から選ばれた少なくとも1種の保湿剤が好ましく、優れた保湿効果を発揮することができる。
バッキング層5としては、パイル糸2と基布3とを固定できる樹脂組成物やゴム組成物であれば特に限定されず、例えば樹脂組成物の樹脂成分としてはアクリル系、ウレタン系、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂が挙げられる。ゴム組成物のゴム成分としてはSBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリルニトリル-ブタジエンゴム)、MBR(メチルメタクリレート-ブタジエンゴム)あるいは天然ゴム等が挙げられる。また、充填剤として炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、フライアッシュ等を添加してバッキング層として使用するのが一般的である。
また、図1に示すようにバッキング層5の下側にクッション性とバッキング層の保護性能を付与すべく、セカンド基布6として不織布を積層してもよい。不織布としては、特に限定されず、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。不織布の目付は50〜1000g/m、厚さは0.5〜15mm、構成繊維の単繊維繊度を0.1〜30デシテックスの範囲に設定するのが好ましい。不織布の目付が50g/m未満ではカーペットとしての機能や品位の劣ったものとなり、好ましくない。繊維の素材としては、パイル糸、基布の素材と同様に特に限定されないが、リサイクル性からみればポリエステル繊維に統一するのが好ましい。また、不織布の最下部表面に、樹脂組成物やゴム組成物で滑り止め層を形成してもよい。
つぎに本発明のカーペットについて具体的な実施例について説明する。なお、この発明のカーペットは、実施例に限定されるものではない。
<使用材料>
基布・・・縦糸としてポリプロピレンテープヤーン(22.2dtex)、横糸としてポリプロピレンテープヤーン(60.0dtex)からなる織基布(縦糸密度18本/インチ、横糸密度16本/インチ、目付98g/m
パイル糸・・・ポリエステル繊維(2200dtex、撚数80回/m)からなるパイル糸をタフティング機で基布に植え込む。(パイル目付700g/m
バッキング層・・・SBRラテックス(充填剤として炭酸カルシウム)
保湿剤・・・スクワラン
バインダー樹脂・・・ウレタン樹脂
浸透剤・・・ペレックスOTP
<吸水性試験>
カーペットから糸を5g抜き取り束ね、束ねた糸を60秒間水に浸したのち質量を計る。浸水後の質量から、浸水前の質量5gを減算することとで、吸水した水の量を算出する。そして、次の式から吸水率を求める。
吸水率(%)=((浸水後の質量 − 5)/5)×100
<保湿試験>
試験片(20cm×20cm)を高温多湿状態(40℃、90%RH)に4時間、標準状態(20℃、65%RH)に4時間放置したのちの水分率(%)を求めた。
<実施例1>
基布にタフティングで撚数80回/mのパイル糸を植え込み、タフテッドカーペットの半製品得た。次にこの半製品のパイル側の反対側にバッキング層を塗布し、同時にパイル側には、水100重量部に保湿剤1重量部、バインダー樹脂を2重量部分散した水溶液をスプレーにてパイル表面に塗布し、110℃、3分間乾燥処理して保湿剤を固着させ、カーペットを得た。保湿剤の固着量は10g/mで、吸水率570%、水分率は16%であった。
<実施例2>
実施例1において、撚数100回/mのパイル糸を植え込んだ以外は、実施例1と同様にしてカーペットを得た。保湿剤の固着量は10g/mで、吸水率540%、水分率は14%であった。
<実施例3>
実施例1において、撚数160回/mのパイル糸を植え込んだ以外は、実施例1と同様にしてカーペットを得た。保湿剤の固着量は10g/mで、吸水率500%、水分率は13%であった。
<実施例4>
実施例1において、保湿剤をスクワランに替えて、セラミドを用いた以外は、実施例1と同様にしてカーペットを得た。保湿剤の固着量は10g/mで、吸水率560%、水分率は15%であった。
<比較例1>
実施例1において、保湿剤を含む水溶液をスプレーしなかった以外は実施例1と同様にしてカーペットを得た。吸水率480%、水分率は11%であった。
このようにして得られた実施例1〜4のカーペットは、いずれも保湿効果に優れ、柔軟性、触感性に優れた風合いを有するカーペットであった。
一方、比較例1のカーペットの吸水率と水分率は、実施例に比べて劣るものであった。すなわち、保湿効果、柔軟性、触感性とも劣るカーペットであった。
本発明は、パイルに使用する糸の撚数を限定し、吸水性を高めた繊維に保湿剤を加工するもので、従来にない風合い、優れた保湿効果、柔軟性、触感性を有するカーペットとして好適である。
1・・・カーペット
2・・・パイル糸
3・・・基布
4・・・表皮層
5・・・バッキング層
6・・・セカンド基布

Claims (4)

  1. パイル糸が基布に植設された表皮層と、バッキング層とを有するカーペットにおいて、少なくとも前記表皮層に保湿剤がバインダー樹脂により固着していることに特徴にあるカーペット。
  2. 前記保湿剤が、スクワラン、ミリスチル酸アルキルエステル、ミツロウ、ラノリン、セラミド、リン皮質からなる群から選ばれた少なくとも1種の保湿剤である請求項1に記載のカーペット。
  3. 前記パイル糸の撚数が70〜110回/mである請求項1または2に記載のカーペット。
  4. 前記保湿剤の固着量が、0.1〜20g/mである請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーペット。
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