JP2014085374A - 電子写真用トナーおよび画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電子写真用トナーは、少なくともトナー母体粒子に外添剤粒子が添加されてなる電子写真用トナーであって、前記外添剤粒子が、融点が130℃以上である、下記一般式(1)で表されるアミドワックスを含むことを特徴とする。
一般式(1):R1 −X1 −(CH)n −X2 −R2
〔上記式において、R1 、R2は、各々、炭素数7〜21のアルキル基もしくは1つまたは2つのヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を示す。X1 、X2 は、各々、アミド結合を示す。nは1〜8の整数を示す。〕
【選択図】 図2
Description
また、本発明の別の目的は、帯電ローラによって感光体の帯電を行う画像形成装置に適用した場合にも、長期間にわたって優れたクリーニング性が得られると共に形成される可視画像における画像濃度ムラの発生を抑制することができる電子写真用トナーおよびこれを用いた画像形成方法を提供することにある。
前記外添剤粒子が、融点が130℃以上である、下記一般式(1)で表されるアミドワックスを含むことを特徴とする。
一般式(1):R1 −X1 −(CH)n −X2 −R2
〔上記式において、R1 、R2は、各々、炭素数7〜21のアルキル基もしくは1つまたは2つのヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を示す。X1 、X2 は、各々、アミド結合を示す。nは1〜8の整数を示す。〕
一様に帯電された感光体を露光することによって静電潜像を形成させる露光工程と、
前記静電潜像を、上記の電子写真用トナーによって現像する現像工程を有する画像形成方法であって、
前記帯電工程における感光体の帯電が、感光体に接触して設けられた帯電ローラによって行われることを特徴とする。
本発明のトナーは、トナー母体粒子に、少なくとも、融点が130℃以上であり、かつ、上記一般式(1)で表される、その構造中にアミド結合を2つ以上有するアミドワックス(以下、「特定のアミドワックス」ともいう。)を含む外添剤粒子(以下、「特定の滑剤粒子」ともいう。)が添加されてなるものである。
本発明に係る特定の滑剤粒子を構成する特定のアミドワックスを示す上記一般式(1)中、R1 、R2は、各々、炭素数7〜21のアルキル基もしくは1つまたは2つのヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を示し、X1 、X2 は、各々、アミド結合を示す。なお、アミド結合とは、−CO−NH−もしくは−NH−CO−のいずれかをいう。
また、nは1〜8の整数を示す。
ここで、R1 、R2を構成するアルキル基の炭素数が7〜21であること、および、nが1〜8であることは、後述する本発明の融点を達成する上で必要な要件である。
これらのうち、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用いることが、滑性の高さとその維持性が得られる観点から好ましい。
これらの特定のアミドワックスは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、特定のアミドワックス3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。吸熱ピークのピークトップの温度を融点として示す。
特定の滑剤粒子の体積基準のメジアン径が上記の範囲であることによって、トナーに含有される特定の滑剤粒子が感光体へ移行し易くなり、感光体のクリーニング性を安定的に向上させることができる。
特定の滑剤粒子の添加割合が上記の範囲にあることにより、トナーに含有される特定の滑剤粒子が感光体上に安定的に供給され易くなる。
具体的には、特定の滑剤粒子の材料の融点が130℃以上であることによって、その熱溶融特性から、感光体表面への過剰な供給は抑えられて適度な所期の少量を感光体表面へ供給することができる。しかも、特定の滑剤粒子の材料としてその構造中にアミド結合を2つ以上有する特定のアミドワックスが用いられており、このような特定のアミドワックスは高い極性を有するので感光体への吸着性が高く、従って、感光体表面に付与された滑性を安定的に維持することができ、その結果、感光体表面に供給される滑剤の量が上記の所期の少量であっても十分なクリーニング性を得ることができる。
本発明のトナーには、上記の特定の滑剤粒子が外添剤として含有されてなるが、トナーとしての帯電性能や流動性を向上させるその他の外添剤が含有されていてもよい。その他の外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子やこれらの複合酸化物微粒子、有機微粒子などが挙げられる。
シリカ微粒子としては、流動性をトナーの流動性と帯電性を向上させるために、数平均粒径5〜50nm程度のものを用いることが好ましい。また、クリーニング性向上の為、数平均粒径80〜500nmのゾルゲル製法により製造された球形のシリカ粒子を使用することができ、本発明の特定の滑材粒子と併用して使用することによって、よりクリーニング性が向上する。これらシリカ微粒子は、トナーの帯電性能の湿度依存性を抑制するためにシランカップリング剤により表面処理が行われていることが好ましい。
複合酸化物微粒子としては、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムなどが、感光体の研磨性を向上させるうえで好ましく用いられる。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機微粒子を使用することができる。これらの外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
トナー粒子を構成する結着樹脂としては、特に限定されず、公知の種々のものを用いることができ、例えば、スチレン樹脂やアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂またはエポキシ樹脂などが挙げられる。
結着樹脂としては、トナー粒径および形状制御性と帯電性との観点から、スチレン−アクリル系樹脂を含有していることが好ましい。
これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂のガラス転移点が上記範囲にあることにより、低温定着性および耐熱保管性が両立して得られる。
測定手順としては、試料(結着樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、試料(結着樹脂)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、軟化点とされる。
トナー粒子に着色剤が含有される場合において、着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15;3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。
トナー粒子に離型剤が含有される場合において、離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、脂肪酸エステルワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜ろうワックスなどを挙げることができる。
トナー粒子に荷電制御剤が含有される場合において、荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部とされる。
本発明に係るトナー粒子は、平均粒径が、例えば体積基準のメジアン径で3〜9μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、試料(トナー粒子)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を調製し、このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
本発明に係るトナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
具体的には、試料(トナー粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
本発明のトナーは、トナー粒子に外添剤として少なくとも上記の特定の滑剤粒子が添加されてなるものであるが、当該トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、高画質化、帯電の高安定化に有利となる粒径の均一性、形状の制御性、コア−シェル構造形成の容易性の観点から、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の微粒子(以下、「樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、必要に応じて着色剤の微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を形成する方法である。
ここで、樹脂微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とする複数層で形成された複合粒子とすることもできる。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法などにより製造、またはいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
トナー粒子中に内添剤を含有させる場合は、樹脂微粒子を内添剤を含有したものとしてもよく、また、別途内添剤のみよりなる内添剤微粒子の分散液を調製し、当該内添剤微粒子を樹脂微粒子を凝集させる際に共に凝集させてもよい。
また、トナー粒子をコア−シェル構造を有するものとして構成する場合は、凝集時に組成の異なる樹脂微粒子を時間差で添加して凝集させればよい。
外添剤の混合装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用することができる。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、当該トナーのキャリアに対する混合量は、2〜10質量%であることが好ましい。
トナーとキャリアを混合する混合装置は、特に限定されるものではなく、ナウターミキサー、WコーンおよびV型混合機などが挙げられる。
本発明において、キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定されるものである。
本発明のトナーは、一般的な電子写真方式の画像形成方法に用いることができ、特に、帯電工程における感光体の帯電が、感光体に接触して設けられた帯電ローラによって行われる帯電ローラ方式の画像形成方法に好適に用いることができる。
本発明のトナーを帯電ローラ方式の画像形成方法に適用した場合には、長期間にわたって安定して優れたクリーニング性が得られることに加えて、形成される可視画像における画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
以下に、この画像形成方法を行うことができる画像形成装置の構成と動作について説明する。
図1は、本発明の画像形成方法に用いられる帯電ローラ方式の画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、静電潜像担持体であるドラム状の有機感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)10と、トナーと同極性のコロナ放電などによって当該感光体10の表面に一様な電位を与える帯電ローラ11よりなる帯電手段と、一様に帯電された感光体10の表面上にポリゴンミラーなどによって画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段12と、回転される現像スリーブ131を備え、これの上に保持されたトナーを感光体10の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段13と、当該トナー像を必要に応じて画像支持体Pに転写する転写手段14と、感光体10から画像支持体を分離する分離手段16と、画像支持体P上のトナー像を定着させる定着手段17と、感光体10上の残留トナーを除去するクリーニングブレード18を有するクリーニング手段とを有するものである。
帯電ローラ11は、図2に示されるように、芯金11aの表面上に積層された、帯電音を低減させると共に弾性を付与して感光体10に対する均一な密着性を得るための弾性層11bの表面上に、必要に応じて帯電ローラ11が全体として高い均一性の電気抵抗を得るための抵抗制御層11cが積層され、当該抵抗制御層11c上に表面層11dが積層されたものが、押圧バネ11eによって感光体10の方向に付勢されて感光体10の表面に対して所定の押圧力で圧接されて帯電ニップ部が形成された状態とされる構成とされており、感光体10の回転に従動して回転される。
弾性層11bの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
抵抗制御層11cの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
表面層11dの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
(1)コア部用樹脂粒子の分散液の調製
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部、n−オクチルメルカプタン16.4質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、樹脂粒子〔A1〕の分散液を調製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部、n−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる単量体混合液に、離型剤として、パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、上記の樹脂粒子〔A1〕32.8質量部(固形分換算)を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径340nmで乳化粒子が分散されてなる分散液を調製した。次いで、この乳化粒子の分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子〔A2〕の分散液を調製した。
上記の樹脂粒子〔A2〕の分散液に、さらに、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却することにより、コア部用樹脂粒子〔1〕の分散液を得た。このコア部用樹脂粒子〔1〕の体積基準のメジアン径は125nmであり、このコア部用樹脂粒子〔1〕のガラス転移点は28.1℃であった。
上記の(1)コア部用樹脂粒子の分散液の調製工程において、第1段重合において用いるスチレンを548質量部、メタクリル酸を96質量部、n−オクチルメルカプタンを16.5質量部に変更すると共に、n−ブチルアクリレート200質量部の代わりに2−エチルヘキシルアクリレート156質量部を用いたこと以外は同様にして、重合反応および反応後の処理を行うことにより、シェル層用樹脂粒子〔1〕の分散液を作製した。このシェル層用樹脂粒子〔1〕のガラス転移点は53.0℃であった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(a)コア部の形成
コア部用樹脂粒子〔1〕420質量部(固形分換算)と、イオン交換水900質量部と、着色剤微粒子分散液〔1〕100質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を80分間かけて80℃(コア部形成温度)まで昇温した。その状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が5.8μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度80℃(コア部熟成温度)にて1時間にわたって加熱撹拌することにより融着を継続させ、コア部〔1〕を形成した。なお、コア部〔1〕の円形度を「FPIA−2100」(シスメックス社製)にて測定したところ0.930であった。
次いで、65℃においてシェル層用樹脂粒子〔1〕46.8質量部(固形分換算)を添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、80℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたって撹拌を継続し、コア部〔1〕の表面に、シェル層用樹脂粒子〔1〕の粒子を融着させた後、80℃(シェル熟成温度)で所定の円形度まで熟成処理を行い、シェル層を形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェル層を有するトナー母体粒子〔1〕を得た。このトナー母体粒子〔1〕の体積基準のメジアン径は5.9μm、ガラス転移点は31℃であった。
乾燥されたトナー母体粒子〔1〕100質量部に、小径シリカ微粒子「RX−200(ヒュームドシリカ;HMDS処理;数平均粒径12nm)」(日本アエロジル社製)0.75質量部、下記製法による球状シリカ微粒子(数平均粒径80nm、HMDS処理)1.50質量部および下記の滑剤粒子0.20質量部を添加し、ヘンシェルミキサー「FM10B」(三井三池化工機社製)を用いて撹拌羽根周速を40m/秒、処理温度を30℃として15分間混合処理し、その後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、トナー〔1〕を作製した。
<球状シリカ微粒子>
窒素雰囲気下、反応容器にエタノール200質量部、テトラエトキシシラン12質量部、水6質量部を入れ、500rpmで撹拌しながら、20%アンモニア水10質量部を10分間かけて滴下した。30℃で4時間撹拌した後、液量が半分になるまでエバポレーターで濃縮留去した。ここに水を400質量部加え0.3M硝酸でpH4(25℃)に調整したものを、遠心沈降機によって生成物を沈殿させた。上澄み液をデカンテーションで除去した後、凍結乾燥機で約60時間凍結乾燥させた後、シリカ微粒子を白色粉末として得た。このシリカ微粒子粉末を、HMDS10質量部をトルエン100質量部に希釈した溶液に添加し、超音波をかけながら1時間撹拌した。次に、シリカ微粒子を分散させた溶液をエバポレーターで減圧留去し、液量が半分になった時点でエタノール100質量部を添加した。エバポレーターで減圧留去し、さらに120℃で3時間の加熱を加えて得られた固形物を粉砕することにより、数平均一次粒径80nm、平均円形度0.980の粒状のシリカ微粒子を得た。
<滑剤粒子>
N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド(融点136℃)を、超微粉砕機「GLACIS」(ホソカワミクロン社製)によって微粉砕したもの(数平均粒径:5.0μm)。
トナーの作製例1における(5)外添剤の添加工程において、上記の滑剤粒子におけるN,N’−ジステアリルセバシン酸アミドの代わりに表1に記載のものを用いた滑剤粒子を用いたことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔11〕および〔15〕〜〔18〕を作製した。
トナーの作製例1における(5)外添剤の添加工程において、上記の滑剤粒子におけるN,N’−ジステアリルセバシン酸アミドの代わりにエチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、その添加量を表1に記載のように変更した以外は同様にして、トナー〔12〕〜〔14〕を作製した。
トナー〔1〕〜〔18〕の各々に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリアをトナー濃度が7.5質量%となるよう混合することにより、現像剤〔1〕〜〔18〕を調製した。
デジタルカラー複合機「bizhub C360」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の帯電手段を図1に示されるような帯電ローラ方式のものに改造した改造機に、現像剤〔1〕〜〔18〕を装填して用いて画像形成を行い、画像濃度ムラおよびクリーニング性について評価した。
感光体としては、アミン系化合物を含有するフェノール樹脂「PL−4804」(群栄化学工業社製)を硬化させた硬化樹脂中にポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)が分散されてなる保護層(膜厚:6μm)を最表面に有するものを用いた。
帯電ローラとしては、ナイロン樹脂製の1.0cmφであるものを用いた。
クリーニングブレードは、感光体とのなす角度が7.5°、当接圧力が7.0gf/mm2 になるように設置した。
現像剤〔1〕〜〔18〕を順次装填した上記の画像形成装置を用いて、低温低湿環境(温度10℃、湿度20%RH)に12時間静置した後、同環境にて、A4サイズの記録用紙に全面40%平網画像を連続で100枚出力した。そして、1枚目と100枚目の画像の反射濃度を、マクベス反射濃度計「RD907」(マクベス社製)によって測定し、その1枚目と100枚目の濃度差によって画像濃度ムラの評価を行った。結果を表2に示す。本発明においては、濃度差が0.05以下であれば合格とした。
この濃度差は、感光体表面に供給された滑剤粒子のうち、感光体と、現像領域におけるトナー母体粒子との擦過、クリーニングブレードとの擦過もしくは帯電ローラとの擦過による摩擦帯電によって生じる表面電位の変動に起因したものと考えられる。
現像剤〔1〕〜〔18〕を順次装填した上記の画像形成装置を用いて、全面3%平網画像を基本的に連続で出力し、千枚目、1万枚目および5万枚目においては、それぞれ1枚ずつ、全面0%画像(白紙画像)を出力した。そして、この千枚目、1万枚目および5万枚目の白紙画像について、地汚れの程度を、マクベス反射濃度計「RD907」(マクベス社製)によって測定した反射濃度によって評価した。結果を表2に示す。本発明においては、反射濃度が0.01以下であれば合格と判断した。
この地汚れは、クリーニング性の劣化によるものと考えられる。
一方、滑剤粒子の材料として融点が低いワックスを用いた比較例1,2,4のトナーにおいては、画像濃度ムラが発生し、また、使用の初期にはクリーニング性が確保されたものの、長期間にわたって使用した場合にはクリーニング性の劣化が確認された。また、滑剤粒子の材料として融点が高くとも、その分子内にアミド結合を2つ以上有さないワックスを用いた比較例3のトナーにおいては、画像濃度ムラの発生は抑制することができたが、使用の初期から長期間にわたってクリーニング性が低いことが確認された。
11 帯電ローラ
11a 芯金
11b 弾性層
11c 抵抗制御層
11d 表面層
11e 押圧バネ
12 露光手段
13 現像手段
131 現像スリーブ
14 転写手段
16 分離手段
17 定着手段
18 クリーニングブレード
P 画像支持体
Claims (4)
- 少なくともトナー母体粒子に外添剤粒子が添加されてなる電子写真用トナーであって、
前記外添剤粒子が、融点が130℃以上である、下記一般式(1)で表されるアミドワックスを含むことを特徴とする電子写真用トナー。
一般式(1):R1 −X1 −(CH)n −X2 −R2
〔上記式において、R1 、R2は、各々、炭素数7〜21のアルキル基もしくは1つまたは2つのヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を示す。X1 、X2 は、各々、アミド結合を示す。nは1〜8の整数を示す。〕 - 前記一般式(1)で表されるアミドワックスは、トナー母体粒子100質量部に対して0.01〜0.5質量部の割合で添加されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
- 前記一般式(1)で表されるアミドワックスは、体積基準のメジアン径が0.1〜15.0μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真用トナー。
- 感光体を一様に帯電させる帯電工程と、
一様に帯電された感光体を露光することによって静電潜像を形成させる露光工程と、
前記静電潜像を、請求項1〜請求項3のいずれかの電子写真用トナーによって現像する現像工程を有する画像形成方法であって、
前記帯電工程における感光体の帯電が、感光体に接触して設けられた帯電ローラによって行われることを特徴とする画像形成方法。
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