まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1及び図3〜図5に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100の左側辺に開閉可能に取り付けられた遊技枠101と、遊技枠101の左側辺上部に開閉可能に取り付けられたガラス扉枠102と、遊技枠101の左側辺下部に開閉可能に取り付けられた下扉枠103と、から主に構成されている。
下扉枠103の上部前面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下方位置には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が遊技枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された所定板厚を有するベニヤ板からなり、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9や演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)が一体的に組み付けられている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の演出図柄(飾り図柄)を変動表示する複数の変動表示部を含む演出表示装置(演出図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行う。演出図柄の変動表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
また、遊技盤6における演出表示装置9の前面9cに対応する開口周囲には、環状のステージ飾り枠11が設けられている。遊技盤6は、前面9cに対し所定の隙間を隔てて前方に配設されており、遊技盤6と前面9cとの間における前面9cの周縁には演出ユニット(図示略)が設けられ、遊技状態や演出の実行に応じて可動するようになっている。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(演出図柄ともいう)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。尚、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
尚、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の右側方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば、変動表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を変動表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30a、30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの変動表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当り」または「非確変大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、特定遊技状態としての大当り状態(例えば、15ラウンド大当り状態など)に移行する。大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の遊技盤面6aを落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出球(賞球)が得られる。
「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば、100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このような「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。こうした「確変大当り」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口14を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口14に遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口14は、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示(変動表示)が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された演出図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリアなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける全部又は一部で演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
パチンコ遊技機1の背面には、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている(図2参照)。
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板(図示略)やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板(図示略)には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23および各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPU120およびRAM(図示略)を含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU120は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPU120から入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU120は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対して演出用ダイオード(演出用LED)390を含む各種LEDを駆動する信号を出力する。また、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25a、通路LED470a,470bに駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1について、図面に基づいて説明する。図3は、パチンコ遊技機を示す斜視図である。図4は、パチンコ遊技機を示す右側面図である。図5は、前面枠及びガラス扉枠を開放した状態を示す斜視図である。図6は、遊技盤を示す正面図である。図7は、遊技盤を示す斜視図である。図8は、遊技盤と装飾体との関係を示す図である。図9は、図8の要部拡大図である。図10は、(A)は遊技待機状態、(B)はスーパーリーチ中における演出態様を示す図である。
尚、以下の説明においては、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態での上下左右方向を基準として説明する。
図3〜図5に示すように、パチンコ遊技機1は、外枠100と、外枠100の左側辺に開閉可能に取り付けられた遊技枠101と、遊技枠101の左側辺上部に開閉可能に取り付けられたガラス扉枠102と、遊技枠101の左側辺下部に開閉可能に取り付けられた下扉枠103と、から主に構成され、遊技枠101を閉位置にすることで外枠100の開口が閉鎖され、ガラス扉枠102を閉位置とすることで遊技枠101の前面上部が閉鎖され、下扉枠103を閉位置とすることで遊技枠101の前面下部が閉鎖されるようになっている。
図5に示すように、遊技枠101には、上下方向の上部位置から中央よりもやや下方の下部位置にかけて開口101aが形成されており、該開口101aには、演出表示装置9や演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)が一体的に組み付けられた遊技盤6が前方から着脱可能に取り付けられている。尚、遊技枠101の前面下部には、図示しない発射装置や該発射装置から発射した遊技球を遊技領域7に向けて誘導する発射誘導レール等が設けられている。
図3〜図5に示すように、ガラス扉枠102は、正面視略正方形状をなすベース枠102bと、ベース枠102bの開口を閉鎖するように設けられたガラス板(または合成樹脂材からなる透明板)からなる透視窓102aと、から構成されており、閉位置において、遊技枠101に取り付けられた遊技盤6の前面側を被覆可能な大きさに形成されている。
透視窓102aは、遊技盤6に設けられた遊技領域7よりも若干大きい略四角形状に形成されており(図5参照)、ガラス扉枠102が閉位置にあるときに、遊技領域7を透視可能とされている。
ベース枠102bは、前面に天枠ランプ28aが設けられた上辺部300aと、前面に左枠ランプ28bが設けられた左辺部300bと、前面に右枠ランプ28cが設けられた右辺部300cと、左辺部300bと右辺部300cとの下端を連結する下辺部300dと、から四角枠状に形成され(図5参照)、左右上角部にはスピーカ27が設けられている。また、上辺部300aの中央から左側と左辺部300bの前面には透光性を有するレンズカバーが設けられており、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bの光を前面側に出射可能とされている。
また、上辺部300aの右側から右辺部300cの下部にかけては装飾体310が設けられている。装飾体310は、上辺部300aの右側から右辺部300cの上下方向の中央よりやや下位置にかけて形成される第1装飾部310aと、第1装飾部310aから右辺部300cの下端にかけて形成される第2装飾部310bと、から構成されている。
第1装飾部310aは、非透光性の合成樹脂材からなる背面板311a(図3及び図5参照)と、該背面板311aの前面に設けられ背面が開口する箱状に形成される第1カバー部材312aと、から内部が中空状をなす立体状に形成され、背面板311aは、透視窓102aの前面側において右辺部300cから左側に張り出すように配設されている。つまり、透視窓102aの右側の一部が背面板311aにより前面側から被覆されている。
尚、本実施例では、第1装飾部310aの一部が透視窓102aの右側を覆うように配置されているが、第1装飾部310aにより被覆される部位が透視窓102aではなくベース枠102bにより形成されていてもよい。つまり、透視窓102aは第1装飾部310aに重ならないように形成されていてもよい。
第2装飾部310bは、非透光性の合成樹脂材からなる背面板311b(図3参照)と、該背面板311bの前面に設けられ背面が開口する箱状に形成される第2カバー部材312bと、から内部が中空状をなす箱状に形成され、背面板311aは、右辺部300cに沿って配設されている。つまり、透視窓102aの右側の下部は背面板311bにより前面側から被覆されていない。
これら第1,第2カバー部材312a,312bは、図3及び図4に示すように、前面側に膨出するように形成されている。また、所定箇所は透光性部材により形成されており、内部における該透光性部材に対応する箇所には左枠ランプ28bが配設されており、該左枠ランプ28bの光により所定箇所が発光するようになっている。また、第1カバー部材312aの上部左側にはスピーカ27が設けられており、音を左前斜め下側に向けて出音可能とされている。このように立体状の第1カバー部材312aを利用してスピーカ27を所望の向きに配設することができる。尚、第1装飾部310aは、ロボットの上半部を模した形状に形成されているが、形状はこれに限定されるものではなく、種々に変更可能である。このように、第1装飾部310a及び第2装飾部310bは、前方に膨出するように立体形状に形成されている。
次に、遊技盤6の構成について、図6及び図7に基づいて説明する。
図6及び図7に示すように、遊技盤6は、ベニヤ板(あるいは透明なアクリル樹脂材)にて正面視略正方形状に形成された板部材であり、該遊技盤6の前面である遊技盤面6aには、遊技領域7を形成する外レール400と、該外レール400の左内側に配設され該外レール400との間に発射球誘導通路402を形成する内レール401と、が立設されている。つまり、遊技盤面6aにおける外レール400及び内レール401により囲まれた領域のうち右側の一部を除いた領域が遊技領域7(図6中斜線で示される非遊技領域以外の白抜き領域)とされている。
また、遊技盤6(遊技領域7)の略中央位置には、演出表示装置9を透視可能とするための略円形の透視用開口(図示略)が形成されており、この透視用開口には略円環状のステージ飾り枠11が前面側から嵌合されている。尚、この透視用開口(図示略)の下方位置には、特別可変入賞球装置20や可変入賞球装置15等を設けるための開口が各々形成されている。
遊技盤6(遊技領域7)の略中央位置にステージ飾り枠11が設けられることで、遊技領域7における左右方向の中央位置にある基準線Pよりも左側には左遊技領域7aが設けられるとともに、右側には右遊技領域7bが設けられる。
左遊技領域7aにおいて遊技球が流下可能な領域は、ステージ飾り枠11の左側に形成される略円弧状の部分であり、発射球誘導通路402から遊技領域7の左上部から流入した遊技球は、図6中白矢印で示すようにステージ飾り枠11の左側を迂回するように流下される。
遊技盤面6aの右側の一部は、遊技枠101に取付けられた状態において、ガラス扉枠102に設けられた第1装飾部310aに対応する非視認領域405(図中網点・斜線領域)とされている。つまり、この非視認領域405は、第1装飾部310aにより前面側が覆われて遊技者から視認できない領域であるため、遊技球が流下しないように形成されている。
具体的には、略円環状に形成されたステージ飾り枠11の開口右側において非視認領域405と重なる部分には、閉鎖板406が設けられているとともに、この閉鎖板406の左側辺406a、つまり、第1装飾部310aの左側辺に沿うように、遊技球が流下可能な右打ち通路450が上下方向に向けて延設されている。
右打ち通路450は、透光性を有する合成樹脂材からなる筒状の通路部材により形成され、ステージ飾り枠11の右側上部から下部に向けて上下方向に延設されており、遊技球が流下する様子が通路部材を通して視認できるようになっている。また、右打ち通路450は、上端に流入口451を有し、右斜め下方に向けて延設される第1通路部450aと、第1通路部450aの下端に屈曲部453を介して連設され下方に向けて略鉛直方向に垂下される第2通路部450bと、第2通路部450bの下端から右斜め下方に向けて延設され下端に流出口452が形成される第3通路部450cと、から構成されている。尚、流出口452は、第3領域7eの上部における左右方向の中央位置よりもやや右側に配置される。
よって、右遊技領域7bは、ステージ飾り枠11の右側上部に沿って形成される略円弧状の第1領域7cと、右打ち通路450内に形成される第2領域7dと、ステージ飾り枠11の下方位置から非視認領域405の下方にかけて広がる第3領域7dと、から構成されている。
このように、発射球誘導通路402を通過した後に遊技領域7の左上部から流入し、ステージ飾り枠11の上部を超えて右側に打ち出された遊技球は、図6中黒矢印で示すように、第1領域7cを右側に移動した後、流入口451から右打ち通路450内に流入して第2領域7dを流下し、流出口452から流出して第3領域7eを流下するようになっている。つまり、右遊技領域7bでは、ステージ飾り枠11の右側を迂回するように流下するのではなく、ステージ飾り枠11の開口右側位置を右打ち通路450によりショートカットするように流下した後、第3領域7eの右側を流下するように誘導される。
また、閉鎖板406の前面における第1通路部450a及び第2通路部450bそれぞれの右側には、通路LED470a,470bが複数配設されたLED基板471a,471bが、右側の第1通路部450a及び第2通路部450bの右側面に向けて光を出射可能に設けられている。
次に、遊技領域7における遊技球の流下状況について、図8及び図9に基づいて説明する。
図8及び図9に示すように、ガラス扉枠102により遊技枠101に取付けられた遊技盤6の前面側が被覆された状態では、遊技盤6における非遊技領域(図中斜線領域)及び非視認領域405に対応する部分が前面側から覆われる。つまり、透視窓102aを通して遊技領域7全体が視認可能となる。そして、非視認領域405の前面側に第1装飾部310aが配置されることで、この第1装飾部310aの左側辺に沿うように、右打ち通路450の第1通路部450a及び第2通路部450bが配置されるとともに、第1装飾部310aの左斜め下辺に沿って第3通路部450cが配置される。
さらに、第1装飾部310aの下方には、右遊技領域7bの一部である第3領域7eが配置される。つまり、右遊技領域7bは、第1装飾部310aの左側及び該第1装飾部310aの直下に広がるように設けられている。
ここで、遊技者が打球操作ハンドル5を操作して弱めに遊技球を発射すると、発射球誘導通路402から遊技領域7の上部に流入した遊技球は、ステージ飾り枠11の左側の左遊技領域7aを流下して第1始動入賞口13a,第2指導入賞口13b、入賞口29a,29cのいずれかに進入(入賞)するか、アウト口26に進入する。
一方、打球操作ハンドル5を操作して強めに遊技球を発射すると、発射球誘導通路402から遊技領域7の上部に流入した遊技球は、ステージ飾り枠11の上部を超えて右側の右遊技領域7bに進入し、図8中黒矢印で示すように第1領域7cを右側に移動した後、流入口451から右打ち通路450内に流入して第2領域7dを流下し、流出口452から流出して第3領域7eを流下して、ゲート32、第2指導入賞口13b、特別可変入賞球装置20の大入賞口(図示略)、入賞口29b,29dのいずれかに進入(入賞)するか、アウト口26に進入する。
このように右遊技領域7bに打ち出された遊技球は、第1装飾部310aにより被覆される非視認領域405(図6参照)を流下することなく、この第1装飾部310aの左側辺に沿って配設された右打ち通路450を流下した後、第1装飾部310aの下方に広がる第3領域7eに流出されるようになっているため、第1装飾部310aが遊技盤6の一部に対し前面側に重なるようにガラス扉枠102の上辺部300aや右辺部300cから遊技盤6の中央側に向けて張り出すように設けられている場合でも、遊技球が第1装飾部310aにより視認できなくなることがない。また、第1装飾部310aを避けるように左側辺に沿って流下した遊技球は、第1装飾部310aの下方に広がる第3領域7eに右側に向けて流出されるようになっているため、第1装飾部310aの下方位置に右側に広がるように設けられた第3領域7eを有効に利用することができる。
本実施例では、下端に流出口452を有する下流側の第3通路部450cが、第2通路部450bに対し右斜め下方に向けて傾斜するように設けられていることで、通路内を流下してきた遊技球が第3領域7eの右側に向けて誘導され流出するようになっている。つまり、第3通路部450cは、本発明の誘導部を構成している。
また、特に図9に示すように、第3領域7eにおける流出口452の右斜め下方位置、つまり、遊技球の流出方向には、右側に向けて流出された遊技球を左側に向けて折り返し誘導するように、左側に向けて下方に傾斜する傾斜誘導面480aを有する障害物である誘導部材480が設けられているため、流出口452よりも左側に配置されたゲート32や特別可変入賞球装置20に向けて遊技球が誘導されやすくなっているが、右打ち通路450の下流側端部である流出口452に対し所定距離Lだけ右側にずれた位置に入賞口29bが配設されており、該入賞口29bにも遊技球が入賞するように複数の障害釘Kが配設されているため、第3領域7eを有効に利用することができる。
また、図7に示すように、右打ち通路450は、遊技盤面6a上に配設されているため、遊技盤6の背面側に配設される演出表示装置9の前面9cに対し所定の隙間を隔てて前面側に配設されているとともに、図10に示すように、正面視において演出表示装置9の前面9c(表示画面)の右側に第1通路部450a及び第2通路部450bの一部が前後に重なるように配設されていることで、前面9cを構成する表示画面の前方を遊技球が通過する構成とされているため、奥行き感を持たせることができ、演出効果が高まる。
また、本実施例において、演出制御用CPU120は、演出図柄の変動表示中において実行する予告演出として、例えば、遊技者がスティックコントローラやプッシュボタン(図1参照)を操作したことを条件に実行される操作予告、所定の画像が段階的に切り替わるステップアップ予告、キャラクタが登場してセリフを喋るセリフ予告、所定の画像が割り込み表示されるカットイン予告といった大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、擬似連になるか否かを予告する擬似連予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、可変表示開始時やリーチ成立時において様々な予告演出や、リーチ状態が成立したときに実行されるリーチ演出、大当たり遊技中に実行される大当り演出、高ベース状態に制御されている期間に実施される高ベース演出等を実行可能としている。
そして演出制御用CPU120は、このような種々の予告や演出の実行中や、図10(A)に示すように、例えば、遊技が進行されていない状態(特別図柄が変動表示されていない状態)などにおいて、通路LED470a,470bを様々な発光態様にて発光させるようになっており、このように通路LED470a,470bを発光させることにより演出効果を高めている。
一方、図10(B)に示すように、上記予告や演出のうち特定演出、例えば、スーパーリーチ演出や大当り中演出、あるいは遊技待機状態中に実施されるデモ演出等、特に遊技者に演出に注目して欲しい演出の実行中においては、通路LED470a,470bを発光させず、この右打ち通路450の背面側に配置されている前面9cを構成する表示画面にて実行される演出に遊技者を注目させるようにしている。
具体的には、例えば、予告演出を実行しているときは通路LED470a,470bを発光させて演出効果を高め、スーパーリーチに発展したときに通路LED470a,470bを消灯するようにしてもよい。また、予告演出などの演出内容に合わせて通路LED470a,470bを発光させることにより、予告演出を実行する演出手段として機能するようにしてもよい。
また、本実施例では、ゲート32が右遊技領域7bに配設されており、右打ちしないと遊技球がゲート32を通過しないように構成されていることで、高ベース中においては右打ちが促進されるので、高ベース中においては遊技球が右打ち通路450を流下することが多い。よって、低ベース中においては遊技球が右打ち通路450を流下することはほぼないため、通路LED470a,470bを発光させないようにし、高ベース中においては通路LED470a,470bを発光させることで右打ち遊技(高ベース)中であることを演出できるので、高ベース中における遊技の興趣を向上させることができる。
また、演出制御用CPU120は、右打ち開始時(例えば、大当り開始時や高ベース状態の開始時)において、スピーカ27から「右打ちして下さい」など右打ち遊技を促進する音声案内を実行するとともに、この音声案内に沿って通路LED470a,470bを上流側から下流側に向けて順次発光するように制御してもよい。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、遊技領域7に発射された遊技球が装飾体310の第1装飾部310aにより隠れないように該第1装飾部310aの左側方を流下させる遊技媒体経路としての右打ち通路450の第1通路部450a,第2通路部450bを備え、右打ち通路450を流下した遊技球が第1装飾部310aの下方を流下するように誘導する誘導部としての第3通路部450cが設けられていることで、第1装飾部310aにより演出効果を高めることができる一方で、遊技球を第1装飾部310aの側方を流下させることで遊技者が該第1装飾部310aにより遊技球を視認できなくなることが防止されるとともに、左側方を流下させた遊技球を第3通路部450cにより該第1装飾部310aの下方に誘導して遊技球を流下させることができるので、第1装飾部310aの下方に広がる遊技領域7の第3領域7eがデッドスペースとならないように有効活用することができる。
すなわち、右遊技領域7bの上部が第1装飾部310aにより覆われるだけで、該第1装飾部310aの下方に遊技領域の一部があるため、遊技球を第1装飾部310aを避けるように左側方を流下させた場合でも、流出口452から流出した遊技球が第1装飾部310aの下方に誘導されれば、第3領域7eが、遊技球が流下しない無駄なデッドスペースになることを防止できる。
また、遊技領域7は、遊技球が進入可能な進入口の一例である入賞口29cは、右打ち通路450において最も下流側の第2通路部450bの下流側端部である流出口452に対し第3通路部450cによる誘導方向側である右側にずれた位置に配設されていることで、第1装飾部310aの下方に広がる第3領域7eに配設された入賞口29cを有効に活用することができる。
尚、入賞口29cは、流出口452に対し第3通路部450cによる誘導方向側である右側にずれた位置に配設されていたが、流出口452の略鉛直下方位置に配設されている場合でも、第1装飾部310aの下方に広がる第3領域7eに配設された入賞口29cを有効に活用することができる。
また、右打ち通路450の第1通路部450a,第2通路部450bは、流下している遊技球を視認可能な透光性部材からなり、所定の画像を表示が可能な演出表示装置9の前面9c側に重なるように配設されている。特に、ステージ飾り枠11により囲まれた空間は遊技盤6に形成された透視用開口(図示略)により形成されるものであり、演出表示装置9の前面9cと第1通路部450a,第2通路部450bとの間には隙間が形成されていることで、演出表示装置9の前面側を遊技球が流下することにより奥行き感が生じるので、演出効果が向上する。
尚、本実施例では、右打ち通路450の第1通路部450a,第2通路部450bは全体が透光性部材にて構成されていたが、必ずしも全体が透光性部材にて構成されていなくても、例えば演出表示装置9の前面9c側に重なる部位など一部が透視窓部として形成されていてもよい。また、透視窓部は透光性部材からなるものだけでなく、開口などにより形成されていてもよい。
また、演出制御用CPU120は、透光性部材からなる右打ち通路450を照らす通路LED470a,470bの制御を行うとともに、演出表示装置9を用いて所定の演出を実行可能であり、例えば、スーパーリーチ演出や大当り中演出、あるいは遊技待機状態中に実施されるデモ演出等、特に遊技者に演出に注目して欲しい演出などの特定演出を実行しているときは右打ち通路450を照射しない一方で(図10(B)参照)、前記特定演出を実行していないときは右打ち通路450を照射可能である(図10(A)参照)ことで、特定演出を実行していないときは通路LED470a,470bの光により遊技球の流下状況を視認させやすくさせるとともに、特定演出を実行しているときは遊技球の流下状況を見難くして該特定演出に注目させることができる。
次に、本発明の変形例1〜3について、図11〜図13に基づいて説明する。図11は、変形例1としての遊技盤と装飾体との関係を示す図である。図12は、変形例2としての遊技盤と装飾体との関係を示す図である。図13は、変形例3としての遊技盤と装飾体との関係を示す図である。尚、以下の変形例1〜3において、前記実施例と同様の構成部位には同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略することとする。
図11に示すように、本変形例1としての装飾体1310は、前記実施例の装飾体310とは形状が異なっており、左側辺の一部に凹部1311が形成されている。また、右打ち通路1450は、上端に流入口451が設けられた第1通路部1450aと、第1通路部1450aの下端から右斜め下方に延設される第2通路部1450bと、第2通路部1450bの下端から鉛直下方に延設される第3通路部1450cと、第3通路部1450cの下端から左斜め下方に延設される第4通路部1450dと、第4通路部1450dの下端から下方に鉛直下方に延設される第5通路部1450eと、から構成されている。
このように右打ち通路1450の形状は、装飾体1310の形状に応じて任意に変更可能であり、第1〜5通路部1450a〜1450eは装飾体1310の左側辺に沿って配設されている。また、第5通路部1450eは、下方に向けて垂下されており、下流端部である流出口452は第3領域7eの上部における左右方向の略中央位置に配置されている。
このように構成された右打ち通路1450にあっては、流出口452から流出した遊技球は、流出口452の下方に配置される複数の障害釘Kにより右側の誘導部材480に向けて誘導される。つまり、これら障害釘Kは、右打ち通路1450を流下した遊技球を第3領域7eの右側に向けて誘導する誘導部を構成している。このように誘導部は、前記実施例に記載したような遊技媒体経路である右打ち通路の一部にて形成されていなくても、遊技媒体経路以外に設けられた障害釘Kや誘導部材等により構成されていてもよい。
また、このように構成された右打ち通路1450において、入賞口29cは、複数の通路部1450a〜1450eうち最も下流側に配置される第5通路部1450eの下流側端部である流出口452よりも遊技球の誘導方向側である右側にずれた位置に配置されていればよい。
図12に示すように、本変形例2としての装飾体2310は、左側辺の一部が右斜め下方に向けて傾斜するように形成されている。右打ち通路2450は、上端の流入口451から下端の流出口452に向けて右斜め下方に向けて延設される直線状の通路部材にて構成される。このように、右打ち通路2450は、装飾体2310の側方を流下可能に構成されているものであれば、斜め方向に流下するものも含む。すなわち、装飾体の側方とは、鉛直下方を向く通路に限定されるものではなく、上下方向に対して斜めに傾斜する通路も含まれる。
また、この場合、流出口452から流出した遊技球は右斜め下方に向けて流出されるため、右打ち通路2450において右斜め下方に傾斜する左壁部が本発明の誘導部を構成している。
図13に示すように、本変形例3においては、ガラス扉枠102における右辺部及び左辺部双方に、装飾体3310L,3310Rが遊技盤6の一部に重なるように設けられるとともに、右遊技領域7bに装飾体3310Rの左側辺に沿って配設される右打ち通路3450Rだけでなく、左遊技領域7aに装飾体3310Lの右側辺に沿って配設される左打ち通路3450Lが配設されている。
左打ち通路3450Lは、左側の装飾体3310Lの右側辺を流下するように右側辺に沿って設けられ、流下した遊技球が装飾体3310Lの下方に設けられる左遊技領域7aにおける第4領域7fに誘導されるように構成されている。具体的には、左打ち通路3450Lは、遊技盤面6aに装飾体3310Lの右側辺に沿うように立設される通路壁3311とステージ飾り枠11の左側壁にて構成されている。このように遊技媒体通路である左打ち通路3450Lは、前記実施例や変形例1,2のように筒状部材にて構成されるものに限定されるものではなく、遊技盤面6a上に立設される誘導壁や障害釘K等により形成されていてもよい。
また、ステージ飾り枠11の左側壁における左打ち通路3450Lの下流側の誘導壁3312は下方に向けて右側に傾斜するように設けられ、流下した遊技球を装飾体3310Lの下方に設けられる第4領域7fに誘導する誘導部を構成している。
このように装飾体は、前記実施例や変形例1,2に記載したようにガラス扉枠102の右辺部に設けられるものだけでなく、左辺部や上辺部に設けられていてもよい。
尚、装飾体3310Lにおける発射球誘導通路402に対応する位置には透光性を有する合成樹脂材などからなる透視窓部3313が形成されていれば、発射球誘導通路402を通過する遊技球を視認可能とすることができる。このように装飾体は、全て背面側の遊技領域7を視認困難とするものに限定されるものではなく、一部に遊技球が通過可能な透視窓部(透明部材や開口などにより形成された部位)が形成されていてもよい。
また、装飾体の側方を流下する遊技媒体経路の一部が装飾体の一部により部分的に覆われていても、該覆われた部位が透視窓部(透明部材や開口などにより形成された部位)にて構成され遊技球が視認できるようになっていればよい。
また、前記実施例や変形例1〜3では、装飾体は立体形状に形成されていたが、本発明はこのように立体形状のものに限定されるものではなく、遊技盤6の一部を被覆可能であれば平坦状に形成されているものであってもよい。
また、前記実施例や変形例1〜3では、装飾体はガラス扉枠102に対し固設されていたが、例えば、遊技盤6における遊技領域7に一部が前後方向に重なるように配置され被覆する被覆位置と遊技領域7から退避する退避位置と、の間で移動可能に設けられていてもよい。この場合、遊技媒体経路は、装飾体が少なくとも被覆位置に位置した状態において該装飾体の左側辺または右側辺に沿って配設されるものであればよい。尚、退避位置においてのみ遊技球が非視認領域を流下するようにしてもよい。
また、本発明の遊技媒体経路は、上記実施例や変形例1〜3に記載のように直線状の経路に限定されるものではなく、湾曲状に形成されていてもよい。また、遊技盤面6a方向に屈曲、湾曲、蛇行するだけでなく、例えばステージ飾り枠11内に形成される空間部等を利用して前後に屈曲、湾曲、蛇行するように形成されていてもよい。
また、前記実施例では、装飾体310は遊技枠101に対し開閉可能に設けられたガラス扉枠102に設けられていたが、遊技枠101に直接設けられ、その前面がガラス扉枠102にて被覆されていてもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。