まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット310が一体的に組み付けられている(図2参照)。
遊技盤ユニット310は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体(図示略)と、該装飾体の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。
大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
また、遊技盤6には、該遊技盤6の背面側に設けられる演出表示装置9の表示画面を前方に臨ませるための開口部(図示略)が形成されており、該開口部には、この開口周縁を装飾するための装飾部材であるセンター枠飾り11(図4参照)が前面側から嵌合されている。センター枠飾り11の下辺部には、遊技球が転動可能な上向きの転動面を上面に有するステージ220が形成されている。遊技領域7の左側を流下する遊技球の一部は、センター枠飾り11の左側面に形成された通過路入口206から通過路205内に進入し、通過路出口207から排出された後、ステージ220上を転動により流下して、左右方向に揺動されて所定時間滞留した後、最終的にはステージ220の前縁から下方に落下するようになっている。尚、ステージ220の詳細な構造については後述することとする。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、図4〜図14にもとづいて、センター枠飾り11の詳細な構造を説明する。図4は、センター枠飾りを斜め前から見た状態を示す斜視図である。図5は、センター枠飾りを斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。図6は、センター枠飾りの構成を示す分解斜視図である。図7は、センター枠飾りの構成を示す分解斜視図である。図8は、ステージの構成を示す斜視図である。図9は、ステージを示す平面図である。図10は、(a)は図9のA−A断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。図11は、(a)は図9のB−B断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。図12は、(a)は図9のC−C断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。図13は、(a)は図9のD−D断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。図14は、(a)は図9のE−E断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。尚、図面においてはセンター枠飾り11の枠本体のみが記載され、前面に設けられる装飾部材は図示が省略されている。
図4及び図5に示すように、センター枠飾り11は、枠本体200と、該枠本体200の前面に取り付けられる装飾部材(図示略)と、からパチンコ遊技機1の前後方向に所定の厚みを有するように形成され、図示しない装飾部材が遊技盤6の前面から少なくとも遊技球の直径以上の厚み分突出して取り付けられている。
枠本体200は、遊技盤6に形成される開口部(図示略)の周縁に盤面に沿って配置される枠板部201と、枠板部201の背面201aから後向きに立設され、前記開口部内に嵌合可能に形成された環状の嵌合壁部202と、から構成されている。枠本体200は、上部が下方へ向けて左右に湾曲した略円弧形状を有しているため、該枠本体200の上部に接触した遊技球を接触した位置に応じて左右どちらかに転動流下させることで、遊技領域7の左右へ振り分けている。
枠本体200の下辺部203には、演出表示装置9の下方において遊技領域7の左右方向に向けて延設され、左右方向に延びるステージ220が形成されている。このステージ220は、パチンコ遊技機1の前後方向に分かれており、前ステージ230と後ステージ240とから構成されている。
前ステージ230と後ステージ240とは、パチンコ遊技機1の前後方向に遊技球の直径以上の幅を有し、その両端付近は、始動入賞口13aの直上に向けて下方へ湾曲させて形成されている。遊技領域7を流下する遊技球は、前ステージ230の左端から進入されると、該前ステージ230上を始動入賞口13aに向けて右側に向けて転げ落ちる。そして、一部の遊技球は、後述する各案内部において前方向に方向変換してステージ220の前縁から下方に落下される。一方、案内部を乗り越えた遊技球は、前ステージ230の右端において後向きに方向変換して後ステージ240に進入し、該後ステージ240の後述する各案内部において前方向に方向変換してステージ220の前縁から下方に落下される。
枠本体200のステージ220の左側には通過路205が形成されている。通過路205は、所謂ワープルートとも呼ばれ、遊技領域7から前ステージ230へ通じている。通過路入口206は、遊技領域7の盤面と直交する枠本体200の左側面に形成されており、前ステージ230よりも上方位置に設けられている。通過路205は、枠本体200内に下部へ向けて延設され、その通過路出口207は、前ステージ230の片端に通じる。よって、遊技領域7を転動流下する過程で通過路205の通過路入口206から入球した遊技球は、通過路205の通過路出口207から前ステージ230に排出される。一方、後ステージ240へは、前ステージ230を流下した一部の遊技球が右端で方向変換することで遊技球が供給される。
図6〜図9に示すように、ステージ220は、後ステージ240の下辺部203に組み付けられる透視部材250と、透視部材250の下面側に組み付けられる装飾部材270と、ステージ220の左右側面及び背面を被覆するように組み付けられるカバー部材290と、から構成される。
透視部材250は、透光性を有する合成樹脂材にて構成される透明(半透明であってもよい)の板材からなり、前ステージ230及び後ステージ240の上面に遊技球の転動面230a,240aを構成するとともに、パチンコ遊技機1の左右方向に延びて遊技盤6の盤面に対し直交する板形状を有する。
前ステージ230の前端からは前板部251が下方に垂下され、該前板部251を本体枠200の下辺部203の背面201aに当接させた状態で図示しないネジ等にて取り付けることで組み付けられる。このように組み付けられた状態において、前ステージ230の左端が通過路出口207の下端縁に当接され、通過路出口207から排出された遊技球が前ステージ230上に進入可能となる。また、前板部251には、後述する入賞案内通路209を挿通するための切欠部251aが形成されている。
また、前ステージ230及び後ステージ240の右側方には、前後方向の中央位置が右側方に湾曲する平面視円弧形状をなす案内壁252が立設されており、前ステージ230の左側から右側に向けて転動されてきた遊技球の転動方向を後方に180度変換して後ステージ240に誘導するようになっている。
前ステージ230及び後ステージ240は、それぞれ左右方向に延設され、通過路出口207から排出された遊技球を左右方向に誘導する帯状の遊技球誘導路を構成しているとともに、前後幅は遊技球の直径以上の幅であり、左右両端が下方を弧として反っている。尚、本実施例では、前ステージ230よりも後ステージ240の方が前後幅が広く、各々の転動面230a,240aは前後方向に略水平をなすように設けられているとともに、前ステージ230よりも後ステージ240の方が若干上方位置に配設されている。
また、透視部材250の厚みは、転動面230a,240aから反対側が透けて見える程度に形成されている。尚、本実施例では、透視部材250は無色透明の板材にて構成されていたが、例えば転動面230a,240aから反対側(下側)が透けて見える程度であれば、半透明であってもよいし、所定の色に着色されていてもよい。
前ステージ230と後ステージ240の転動面230a,240a(上面)における始動入賞口13aの直上付近の範囲、すなわち、傾斜最下位部は、遊技領域7に遊技球を誘導する案内部221となっている。案内部221は、複数の前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cが形成されている範囲を指す。この案内部221は、前ステージ230と後ステージ240の転動面230a,240aそれぞれの長手方向の略中央に位置しており、左右両端が上方を弧として反って形成されている。前ステージ230の案内部221には、複数の前凹溝222a〜222cが形成され、後ステージ240の案内部221には、複数の後凹溝223a〜223cが形成されている。
前凹溝222a〜222cは、左右両端が下方を弧として反るように断面略上向き円弧形状をなす凹溝であり、転動面230aの前縁が削りこまれたように前後方向に形成されている。前凹溝222a〜222cの底面は、後側から前側に向けて漸次下方に傾斜するとともに、左右幅は前方に向けて漸次幅広に形成されている。また、左右の前凹溝222b,222cは転動面230aの後縁から前縁にかけて形成されているのに対し、中央の前凹溝222aは転動面230aの前後方向の略中央位置から前縁にかけてのみ形成されている。
また、中央の前凹溝222aは、始動入賞口13aへ案内する溝として、転動面230aの前縁における始動入賞口13aの直上位置が削り込まれたように形成されている(図1参照)。すなわち、案内部221の左右方向の中央の最上部、つまり、左右の前凹溝222b,222cよりも高位置に配置され、かつ、左右方向の幅が幅狭で前後幅が短寸である。
このように始動入賞口13aの直上位置で幅狭なことから、遊技球は前凹溝222aにより左右にふらつくことなく案内され直下に落下しやすいので、落下した遊技球の始動入賞口13aへの入賞確率は高くなる一方で、湾曲部の最上部における前半部のみに幅狭で形成されることで、遊技球が前凹溝222aにより案内される確率は極めて低い。
一方、左右の前凹溝222b,222cは、始動入賞口13aの直上よりも左右側で幅広なことから、遊技球は前凹溝222b,222cにより左右にふらつきやすいので、落下した遊技球の始動入賞口13aへの入賞確率は低くなる。一方、案内部221の左右下部位置に左右幅広で形成されることで、遊技球が前凹溝222b,222cにより案内される確率は極めて高い。
後凹溝223a〜223cは、左右両端が下方を弧として反るように断面略上向き円弧形状をなす凹溝であり、転動面230aの前縁が削りこまれたように前後方向に形成されている。後凹溝223a〜223cの底面は、後側から前側に向けて漸次下方に傾斜するとともに、左右幅は前方に向けて漸次わずかに幅狭に形成されている。また、左右の後凹溝223b,223cは転動面240aの後縁から前縁にかけて形成されているのに対し、中央の後凹溝223aは転動面240aの後縁から案内孔224にかけて形成されている。
後ステージ240の案内部221の前部中央位置には、後凹溝223aに対向させて案内孔224が形成されている。案内孔224は、前凹溝222aの後側に、図13(a)に示すように、本体枠200内に縦穴として形成され、後ステージ240とそれよりも下方の遊技領域7とを結んでいる。後ステージ240側を入口として案内孔224に入球した遊技球は、後述する入賞案内通路209を通って遊技領域7へ排出される。この案内孔224の出口は、始動入賞口13aの直上に形成されている。また、転動面240aにおける案内孔224の周囲前部からは、遊技球の案内孔224上の通過を規制するための規制壁224aが上方に向けて立設されている。
具体的には、図6及び図13に示すように、枠板部201の左右方向略中央位置、つまり、始動入賞口13aの直上位置には案内口208が形成されているとともに、枠板部201の背面201aにおける案内口208に対応する位置には、案内孔224に落下した遊技球を案内口208に誘導する入賞案内通路209が後方に向けて延設されている。落下球誘導通路209は、上方が開口する上向き略コ字形をなす樋状部材からなり、後端が案内孔224の直下に開口されるように嵌合壁部202の上面に前後方向に配設されている。
従って、後ステージ240の上面を転動し、案内部221において後凹溝223aにて前方に向けて方向変換された遊技球は、案内孔224に誘導され、案内孔224内に落下した後、入賞案内通路209を流下して案内口208から下方に落下される。つまり、始動入賞口13aの直上の案内口208から落下されて入賞し易くなるため、前ステージ230における案内部221を越えた領域から、後側に折返して後ステージ240に進入するステージ220の右半部は、遊技者にとって有利なチャンスルートであると言える。
このように中央の後凹溝223aは、始動入賞口13aへ案内する溝として、転動面240aにおける始動入賞口13aの直上位置に形成されている。すなわち、案内部221の左右方向の中央の最上部、つまり、左右の後凹溝223b,223cよりも高位置に配置され、かつ、左右方向の幅が幅狭で前後幅が短寸である。
このように始動入賞口13aの直上位置で幅狭なことから、遊技球は後凹溝223aにより左右にふらつくことなく案内され案内孔224に落下しやすいので、落下した遊技球の始動入賞口13aへの入賞確率は高くなる一方で、湾曲部の最上部に幅狭で形成されることで、遊技球が後凹溝223aにより案内される確率は極めて低い。
後凹溝223b,223cは、案内部221の左右下部位置に配置され、傾斜下位側の前縁が段部を介して前凹溝222b,222cに連通するように、転動面240aの後縁から前縁にかけて前後方向に延設されている。詳しくは、前凹溝222b,222cに対してそれぞれ僅かに左右外側にずれた位置に配設されているとともに、左右幅は中央の後凹溝223a及び前凹溝222b,222cよりも幅広に形成されている。よって、遊技球が流下する際に左右方向に揺動しやすくなる。
また、後凹溝223b,223cから前凹溝222b,222cに流入する際に、両凹溝の左右幅方向の中心位置がずれていることで、遊技球が前凹溝222b,222cの左右いずれかの側壁寄りに落下されることになることで、落下した遊技球が揺動しやすくなる。
このように後凹溝223b,223cは、始動入賞口13aの直上よりも左右側に配置され、かつ、後凹溝223aよりも幅広なことから、遊技球は後凹溝223b,223cにより左右にふらつきやすい。また、遊技球は、前方の前凹溝222b,222cに案内されるため、落下した遊技球の始動入賞口13aへの入賞確率は低くなる。一方、案内部221の左右下部位置に左右幅広で形成されることで、遊技球が後凹溝223b,223c及び前凹溝222b,222cから始動入賞口13aに案内される確率は極めて高い。
装飾部材270は、透視部材250と同様に左右方向に延び、かつ同様の幅を有する板形状である。この装飾部材270は、透視部材250の両端の曲率と同一のほぼ曲率で始動入賞口13a直上付近を中心に下側を弧として反っており、透視部材250の転動面230a,240aと反対側、つまり透視部材250の下方位置に、該透視部材250(転動面230a,240a)により上面が被覆されるように配設される。
また、装飾部材270上面である装飾面270aには、例えばシルバー色等のメッキ処理がなされていることで、透視部材250を通してその上面を視認可能とされているとともに、前ステージ230や後ステージ240における遊技球の誘導方向に沿うように、文字や矢印等が凹設されることにより装飾が施されている。
装飾面270aは、基本的には前ステージ230及び後ステージ240の転動面230a,230bに沿うように形成されているが、前後の前ステージ230及び後ステージ240に応じて段部等は形成されておらず、前後方向に向けて段差のない連続面とされている。
また、案内部221に対応する装飾案内部271には、前後方向に延びる装飾凹溝272a〜272cが形成されているとともに、装飾凹溝272aの前方には、切欠溝274が前縁から前後方向の中央位置にかけて形成されている。
装飾凹溝272a〜272cは、左右両端が下方を弧として反るように断面略上向き円弧形状をなす凹溝であり、装飾面270aの前後縁が削りこまれたように前後方向に形成されている。装飾凹溝272a〜272cの底面は、後側から前側に向けて漸次下方に傾斜するとともに、左右幅は前方に向けてほぼ同寸に形成されている。また、左右の装飾凹溝272b,272cは装飾面270aの後縁から前縁にかけて形成されているのに対し、中央の装飾凹溝272aは装飾面270aの後縁から前後方向の略中央位置にかけてのみ形成されている。
より詳しくは、装飾凹溝272aは、図8,図12,図13に示すように、後凹溝223aの直下に、前後方向に略水平に配設されるとともに、後凹溝223aよりも左右幅が幅狭に形成されている。また、後凹溝223aの所定の上方位置A1から所定の下方位置B1までの誘導傾斜部に対して、装飾凹溝272aにおける誘導傾斜部に対応する上方位置A1’から下方位置B1’までの擬似誘導傾斜部の前後方向の傾斜角度(図13(b)参照)、底面の曲率及び左右幅が異なっている(図12参照)。
このように、装飾凹溝272aは、後凹溝223aに比べて底面の曲率が大きいとともに、前方への傾斜がなく、また、左右幅が極めて幅狭であるため、透視部材250を通して装飾凹溝272aを視認した場合、きわめて遊技球が誘導されにくく見えるが、実際の後凹溝223aは、曲率が小さく、前方へ傾斜され、また、左右幅が幅広であるため、見た目以上に遊技球が誘導されやすくなっている。
左右の装飾凹溝272b,272cは、図8、図10〜図12、図14に示すように、前凹溝222b,222c及び後凹溝223b,223cの下方位置に、前後方向に略水平に配設されるとともに、前凹溝222b,222cと左右幅がほぼ同幅に形成されている。具体的には、前凹溝222b,222cの直下に配置されていることで、後凹溝223b,223cよりもやや中央寄りに配置されている。
また、後凹溝223b,223cの所定の上方位置A2から所定の下方位置B2までの誘導傾斜部に対して、装飾凹溝272b,272cにおける誘導傾斜部に対応する上方位置A2’から下方位置B2’までの擬似誘導傾斜部の前後方向の傾斜角度(図14(b)参照)、底面の曲率及び左右幅が異なっている(図11参照)。より詳しくは、図11中拡大図に示すように、後凹溝223b,223cの左右側縁D1,D2に対応する装飾凹溝272b,272cの左右側縁D1’,D2’のうち、左右端側の側縁D2’の位置は、側縁D2よりも中央寄りに形成されている。すなわち、後凹溝223b,223cに対応する装飾凹溝272b,272cの左右幅が異なることで、後凹溝223b,223cに対応する装飾凹溝272b,272cの傾斜位置が異なっている。
また、前凹溝222b,222cの所定の上方位置から所定の下方位置までの誘導傾斜部に対して、装飾凹溝272b,272cにおける誘導傾斜部に対応する上方位置から下方位置までの擬似誘導傾斜部の前後方向の傾斜角度(図14(a)参照)、底面の曲率及び左右幅が異なっている(図10参照)。より詳しくは、図10中拡大図に示すように、前凹溝222b,222cの左右側縁C1,C2に対応する装飾凹溝272b,272cの左右側縁C1’,C2’は、それぞれ左右側縁C1,C2の外側に形成されている。すなわち、後凹溝223b,223cに対応する装飾凹溝272b,272cの左右幅が異なることで、前凹溝222b,222cに対応する装飾凹溝272b,272cの傾斜位置が異なっている。さらに、後凹溝223b,223cと装飾凹溝272b,272cとの曲率が異なることで、左右方向における傾斜角度が異なっている。
このように装飾凹溝272b,272cは、前凹溝222b,222cに比べて曲率が大きく、後凹溝223b,223cに比べて曲率は小さいとともに、前方への傾斜がなく、また、左右幅が後凹溝223b,223cよりも幅狭であるため、透視部材250を通して装飾凹溝272b,272cを視認した場合、遊技球が一直線状に誘導されるように見えるが、実際は互いに左右方向にずれて配置される前凹溝222b,222c及び後凹溝223b,223cは、曲率が小さく、前方へ傾斜され、また、左右幅が幅広であるため、見た目以上に遊技球が左右に揺動しながら誘導されるようになっている。
また、後ステージ240の転動面240aにおける所定の上方位置A3から所定の下方位置B3までの誘導傾斜部に対して、装飾面270aにおける誘導傾斜部に対応する上方位置A3’から下方位置B3’までの擬似誘導傾斜部の左右方向の傾斜角度が異なっている(図11参照)。
切欠溝274は、案内孔224の直下に設けられ、該案内孔224よりも大径の孔部274aと、該孔部274aから前方に向けて連設される帯状の連設部274bと、から構成されている。連設部274bは、入賞案内通路209の直上に配設され、入賞案内通路209の左右幅よりも僅かに幅広に形成されている。
このように切欠溝274は、上方が開放する樋状部材からなる入賞案内通路209の直上に配置されることで、入賞案内通路209の直上には装飾面270aが存在しない。つまり、透視部材250を通して入賞案内通路209内を視認可能とされているため、案内孔224に落下して入賞案内通路209により誘導される遊技球を、装飾部材270により邪魔されることなく視認できるようになる。
カバー部材290は、後ステージ240の背面側に起立される背面板291と、背板291の前面下部から前方に立設される下板292と、枠本体200に形成される通過路205の背面壁を構成する通路背板293と、を有しており、背板291の前面下部における下壁292の上方位置から前方に向けて突出された取付ボス294を介して下辺部201の背面201aに組み付けられる。組み付けられた状態において、下板292は周壁202の下面に沿うように配置されるとともに、背板291が後ステージ240の背面側に立設されて遊技球の落下が防止されるようになっている。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、擬似誘導傾斜部を構成する装飾部材270の装飾面270aは、第1位置(例えば、上方位置A1〜3)から第2位置(例えば、下方位置B1〜3)側に向けて誘導傾斜部を構成する透視部材250の転動面230a,240aと同方向、つまり転動面230a,240aに沿うように傾斜しているので、見た目上は誘導傾斜部に対する擬似誘導傾斜部の傾斜の違いを判別しにくいが、見た目上の傾斜と実際の遊技球の転動方向とが違ってくるため、視覚的な錯覚を利用した演出により遊技者に意外性を与えることができる。
また、前記実施例では、転動面230a,240a(誘導傾斜部)における所定の上方位置(例えば、上方位置A1〜3)から下方位置(例えば、下方位置B1〜3)に対応する装飾面270a(擬似誘導傾斜部)の傾斜角度、底面の曲率、左右幅、傾斜位置等の傾斜態様が異なっていたが、上方位置から下方位置に向けて遊技球を下方に誘導する誘導傾斜部は、これら傾斜態様をなす各要素(傾斜角度、底面の曲率、左右幅、傾斜位置等)のうち少なくともいずれか1つのみが異なっていてもよいし、複数の要素が異なっていてもよいし、全ての要素が異なっていてもよい。
すなわち、転動面230a,240aにおいて遊技球を上方位置(第1位置)から下方位置(第2位置)に向けて誘導可能に傾斜する誘導傾斜部と、装飾面270aにおいて該誘導傾斜部に対応する位置に形成され、上方位置から下方位置側に向けて該誘導傾斜部に沿うように傾斜する擬似誘導傾斜部とは、遊技球の誘導方向に対する傾斜角度、曲率、傾斜位置、及び後述する傾斜方向等の傾斜態様をなす各要素のうち少なくともいずれか一つが異なればよい。
ここで、転動面230a,240aにおける誘導傾斜部に対し、装飾面270aにおける擬似誘導傾斜部は、誘導傾斜部に沿うように、上方位置A1〜3から下方位置B1〜3に向けて下方に(上下方向の同方向に)傾斜するように設けられている。その上で、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部とにおいて、遊技球の誘導方向に対する傾斜角度が異なるとは、転動面230a,240aにおける上方位置A1〜3から下方位置B1〜3までの水平面に対する傾斜角度と、装飾面270aにおける上方位置A1’〜3’から下方位置B1’〜3’までの水平面に対する傾斜角度と、が異なることである。
尚、本実施例では、転動面230a,240aと装飾面270aとにおける上方位置から下方位置に向けた傾斜方向に対する傾斜角度、つまり遊技球の誘導方向に対する傾斜角度が異なるものであったが、例えば転動面230a,240aの上方位置から下方位置に対応する装飾面270aにおいて、遊技球の誘導方向に対し直交する誘導路の幅方向の傾斜角度が異なるもの(例えば、転動面に対して装飾面が、下方位置に向けて左側または右側に傾く等)であってもよい。
また、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部との曲率が異なるとは、湾曲する転動面230a,240aにおける上方位置A1〜3から下方位置B1〜3までの曲率と、湾曲する装飾面270aにおける上方位置A1’〜3’から下方位置B1’〜3’までの曲率と、が異なることである。尚、この曲率とは、上記したように、擬似誘導傾斜部及び誘導傾斜部の傾斜方向に対して直交する幅方向の曲率であってもよいし、擬似誘導傾斜部及び誘導傾斜部が傾斜方向に向けて湾曲している場合には、傾斜方向の曲率であってもよい。
また、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部との曲率が異なるとは、転動面230a,240aにおける上方位置A1〜3から下方位置B1〜3までの曲率と、装飾面270aにおける上方位置A1’〜3’から下方位置B1’〜3’までの曲率と、が異なることである。尚、この曲率とは、上記したように、擬似誘導傾斜部及び誘導傾斜部の傾斜方向に対して直交する幅方向の曲率であってもよいし、擬似誘導傾斜部及び誘導傾斜部が傾斜方向に向けて湾曲している場合には、傾斜方向の曲率であってもよい。
尚、このように擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部との曲率が異なるということは、上方位置A1〜3と下方位置B1〜3とを結ぶ仮想直線の傾斜角度と、装飾面270aにおける上方位置A1’〜3’と下方位置B1’〜3’とを結ぶ仮想直線の傾斜角度と、が異なることである。
また、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部との傾斜位置が異なるとは、例えば、転動面230a,240aにおいては上方位置A1〜3から下方位置B1〜3まで傾斜しているのに対し、装飾面270aにおける上方位置A1’〜3’または下方位置B1’〜3’のうち少なくとも一方においては傾斜部が形成されていないということである。言い換えると、転動面230a,240aと装飾面270aとで、傾斜角度が異なる誘導傾斜部の傾斜開始位置(傾斜角度の変更位置)が異なるということである。
よって、上記のように凹溝と装飾凹溝との左右幅が異なるとは、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部との傾斜位置が異なるということである。また、結果的に、上方位置A1〜3から下方位置B1〜3までの傾斜角度も異なることである。
次に、本発明の変形例としての案内部の構造について、図15及び図16にもとづいて説明する。図15は、前凹溝や後凹溝と装飾凹溝との変形例を示す図である。図16は、同じく前凹溝や後凹溝と装飾凹溝との変形例を示す図である。
前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cと装飾凹溝272a〜272cとは、遊技球の誘導方向(前後方向)への傾斜角度及び幅方向の曲率が同一であっても、図15に示すように、幅方向の寸法が異ならせることで、遊技球の見た目上の動きを異なるようにしてもよい。つまり、凹溝222Aの転動面と装飾凹溝272Aの転動面との曲率は同一であるが、凹溝222Aの幅寸法L1よりも装飾凹溝272Aの幅寸法L2の方が長いので、凹溝の形成位置、すなわち、傾斜の形成位置が両者で異なるため、例えば、転動面230aにおける凹溝222Aの所定の上方位置A4から所定の下方位置B4までの誘導傾斜部の水平面に対する傾斜角度に対して、装飾面270aにおける装飾凹溝272Aの誘導傾斜部に対応する上方位置A4’から下方位置B4’までの擬似誘導傾斜部の水平面に対する傾斜角度が異なることになる。
このような場合、見た目上の左右幅寸法、つまり装飾凹溝272Aの左右幅寸法L2に比べて、実際の左右幅寸法、つまり凹溝222Aの左右幅寸法L1の方が小さいことで、実際には見た目よりも遊技球が左右方向に揺動しにくくなる。
また、前記実施例では、前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cと装飾凹溝272a〜272cとは、遊技球の誘導方向は左右方向で同一であったが、図16に示すように、誘導方向を異ならせることで、遊技球の見た目上の動きを異ならせてもよい。つまり、凹溝222Bと装飾凹溝272Bとは、傾斜角度や曲率や左右幅寸法は同一であるが、凹溝222Bの長手方向に対する装飾凹溝272Aの傾きが異なる、すなわち、遊技球の誘導方向が左右方向に異なる。
このような場合、見た目上、凹溝は平面視で右斜め下方に傾いているのに対し、実際、凹溝222Bは前後方向に向けて設けられていることで、実際は見た目とは異なる方向に遊技球が誘導される。このように、遊技球の誘導方向が、凹溝に対して装飾凹溝が傾いて設けられていることで、遊技球が意図しない方向に誘導されるように見せることができる。
つまり、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部とにおいて傾斜方向が異なるとは、転動面230a,240aにおける上方位置から下方位置までの左右方向の傾斜方向と、装飾面270aにおける上方位置から下方位置までの左右方向の傾斜方向と、が異なることである。よって、擬似誘導傾斜部と誘導傾斜部とは、上方位置から下方位置に向けて上下方向の傾斜方向は同一であるが、左右方向の傾斜方向は異なっていてもよい。
このように、転動面230a,240aの誘導傾斜部と装飾面270aの擬似誘導傾斜部とは、遊技球の誘導方向に対する傾斜角度、傾斜方向、曲率、傾斜位置等の傾斜態様の各要素のうち少なくともいずれか一つが異なっていればよい。そして、誘導傾斜部の起点となる第1位置と終点となる第2位置とは任意の箇所に設定可能であり、該設定した箇所の傾斜態様が異なっていれば、上記作用・効果を奏することになる。
つまり、前記実施例では、誘導傾斜部の一例として、転動面230a,240aにおける上方位置A1〜4から下方位置B1〜4が示されていたが、転動面230a,240aにおける他の領域も適用可能である。つまり、例えば前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cにおいては、遊技球を後方から前方に誘導する傾斜部だけでなく、例えば前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cにおける左右幅方向の傾斜部も誘導傾斜部である。
また、前記実施例の誘導傾斜部は、基本的に転動面230a,240aは遊技球を下方に向けて誘導する箇所に設けられていたが、遊技球を上方に向けて誘導する誘導傾斜部であってもよい。
また、前記実施例では、基本的に転動面230a,240aは遊技球を直線状に誘導するものであったが、遊技球を左方または右方に誘導するものであってもよい。
また、後凹溝223aの上方位置A1から下方位置B1までの誘導傾斜部は、転動面230a,240aに設けられた特定領域(例えば、案内孔224等)に向けて遊技球を誘導可能に形成されていることで、特定領域に遊技球が誘導されるように見えるのに実際には誘導されなかったり、特定領域に遊技球が誘導されないように見えるのに実際には誘導されたりするので、特定領域へ誘導されることへの期待感を向上させることができる。
特にこの案内孔224は、入賞することにより可変表示が開始される始動入賞口13aに遊技球を案内しやすい入賞案内通路209に遊技球を落下案内する遊技者にとって有利な領域である。このように遊技者にとって有利となる特定領域に遊技球を誘導する誘導経路に誘導傾斜部が設けられることで、遊技者が遊技球の誘導方向を注視するようになるとともに、特定領域へ誘導されることへの期待感をより向上させることができる。
尚、本実施例では、特定領域である案内孔224に遊技球を導く後凹溝223aの上方位置A1から下方位置B1までの誘導傾斜部に対応する装飾面270a(擬似誘導傾斜部)の傾斜態様が異なっていたが、遊技領域7に設けられた特定領域である始動入賞口13aに向けて遊技球を誘導する誘導傾斜部を構成する前凹溝222aのように、ステージ220以外の遊技領域7に設けられた始動入賞口13a等の特定領域に対応する誘導傾斜部を構成してもよい。
また、より具体的に言えば、特定領域である案内孔224に遊技球を導く誘導傾斜部は、後凹溝223aだけではなく、通過路出口207から流入した遊技球を案内孔224まで誘導する誘導経路である前凹溝222a〜222cを含む前ステージ230及び後凹溝223cを含む後ステージ240の右半部全てが対象となる。
また、誘導傾斜部は、遊技球の誘導方向に対して交差する方向の中央部が下方に凹む円弧形状をなし遊技球を揺動させる揺動凹部である前凹溝222a〜222c,後凹溝223a〜223cを有し、前凹溝222a〜222c,後凹溝223a〜223cは、遊技球の誘導方向に対する傾斜角度、傾斜方向、面曲率のうち少なくともいずれか一つが異なることで、前凹溝222a〜222c,後凹溝223a〜223cの見た目上の傾斜と実際の遊技球の揺動態様とが異なることで、ステージ220での見た目上の遊技球の滞留時間と実際の滞留時間とが異なるため、演出効果が向上する。
また、本実施例では、遊技球を揺動させる揺動凹部の一例として、前凹溝222a〜222c,後凹溝223a〜223cは、遊技球を後方から前方に誘導する上方に開放される縦上向き略C字形の樋状部にて構成されていたが、ステージ220上において遊技球を滞留させるために揺動させる凹部であれば、例えば樋状部材のように前後端が開放されるものでなく、上面のみが開口する凹部等であってもよい。
特に本実施例では、前ステージ230及び後ステージ240における遊技球の誘導方向が左右方向に向いているのに対し、前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cはこれに対し直交する前後方向に向けて遊技球を誘導可能に設けられているとともに、前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cは左右端の中央が下方に凹む凹溝部にて構成されていることで、前ステージ230または後ステージ240において左右方向に誘導されていた遊技球の誘導方向が前後方向に変更されるとともに、前方に流下しながら左右方向にも揺動するため、遊技球の動きが複雑になる。よって、これら前凹溝222a〜222c及び後凹溝223a〜223cの転動面230a,240aに対応する装飾面270aがあることで、見た目上で遊技球の動きを予測しにくくなる。
また、後ステージ240は、転動面240aに形成される遊技球が落下可能な案内孔224と、装飾面270aにおける案内孔224に対応する箇所に形成される切欠溝274が形成され、装飾部材270の装飾面270aの下方位置には、案内孔224から落下した遊技球を後ステージ240の下方に流出させる入賞案内通路209と、を備える。そして、入賞案内通路209は、上方が開放する樋状部材からなるとともに、装飾面270aにおける入賞案内通路209に対応する位置に、非擬似転動面を形成する切欠溝274が形成されていることで、装飾部材270の上面における入賞案内通路209に対応する位置には、擬似転動面である装飾面270aが形成されないので、転動面240aから落下して入賞案内通路209によりステージ220の下方に確実に案内される遊技球については、装飾面270aによる錯覚に影響されることなく、透視部材250の上方から切欠溝274を通して目視により確認することができる。
このように装飾部材270における入賞案内通路209に対応する位置には装飾面270aが形成されないので、転動面240aから落下して入賞案内通路209によりステージ220の下方に確実に案内される遊技球については、装飾面270aによる錯覚に影響されることなく、透視部材250の上方から目視により確認することができる。
また、案内孔224から切欠溝274を介して落下した遊技球を、装飾面270aにより遮蔽されることなく、装飾面270aの一部に形成された切欠溝274により形成された開口部を介して入賞案内通路209を流出する遊技球を目視により確認できる。
また、本実施例では、入賞案内通路209が、上方が開放する樋状部材からなることにより入賞案内通路209の上面に開口(窓部)が形成され、該開口を透して通路内の遊技球を視認可能とされていたが、開口により通路内の遊技球を視認可能とするものだけでなく、例えば上面が透光性板により形成され、該透光性板により窓部が形成されていてもよい。
また、装飾部材270の一部に非装飾面が構成されるように、装飾部材270の一部を切欠形成すること、つまり、装飾面270aが存在しないように上方に開放させていたが、装飾部材270における入賞案内通路209に対応する箇所を透光性を有する透光部(例えば透明)とすることにより、非装飾面を構成してもよい。
また、本実施例では、後ステージ240の転動面240aから遊技球を落下させて入賞案内通路209に案内する案内孔224は孔部にて構成されていたが、例えば切欠部や溝部にて構成されていてもよい。
また、本実施例のステージ220は、前ステージ230と、該前ステージ230よりも上方位置に配設される後ステージ240と、から上下2段構造とされていたが、1段または3段以上とされていてもよい。
また、ステージ220は、センター枠飾り11に設けられるものでなくても、例えば遊技領域7における他の役物等に設けられていてもよい。さらに、ステージ220は、左右方向に直線状に延設される帯状のものに限定されるものではなく、前後方向に延設されるものであってもよいし、直線状ではなく蛇行状または渦状等に延設されるものであってもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。