JP2014082177A - 接触ピン - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯電話機、スマートホンその他の電子機器の薄型化と発熱防止に好適な接触ピンを提供する。
【解決手段】接触ピンのピン本体3は、電池収容部の底面に沿った方向に屈伸可能に配置される弾性部30と、弾性部30の一端側に折り曲げ成形されてなり、この折り曲げた部分を先端としてケース外に露出するように設けられるとともに、電池パックの電極部に前記先端が接触する接点部31と、弾性部30の他端側に設けられ、電子機器の内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインに接続される接続部32とを備える。電池パックの電極部から接点部31の先端31Aに押圧力が作用したとき、その接点部31の先端は、電池収容部の底面に対して横方向に円弧を描くように押し込まれ、電池パックの電極部の表面を摺動する。接点部31と弾性部30のいずれか一方又は双方は、二股以上の分岐片Pとして分岐した形態とする。
【選択図】図6
【解決手段】接触ピンのピン本体3は、電池収容部の底面に沿った方向に屈伸可能に配置される弾性部30と、弾性部30の一端側に折り曲げ成形されてなり、この折り曲げた部分を先端としてケース外に露出するように設けられるとともに、電池パックの電極部に前記先端が接触する接点部31と、弾性部30の他端側に設けられ、電子機器の内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインに接続される接続部32とを備える。電池パックの電極部から接点部31の先端31Aに押圧力が作用したとき、その接点部31の先端は、電池収容部の底面に対して横方向に円弧を描くように押し込まれ、電池パックの電極部の表面を摺動する。接点部31と弾性部30のいずれか一方又は双方は、二股以上の分岐片Pとして分岐した形態とする。
【選択図】図6
Description
本発明は、携帯電話機、スマートホンその他の電子機器の電池収容部に着脱自在に取付けられる電池パックと、該電子機器に内蔵されている基板の電源ラインや配線ラインとを導通させる接触ピンに関し、特に、その電子機器の薄型化と発熱防止に好適としたものである。
市販の携帯電話機やスマートホンその他の電子機器は、その基本的な構成として、電池収容部に着脱自在に取付けられた電池パックと、この電池パックの電力で動作する内蔵回路基板とを有し、電池パックの電極と内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインとが接触ピンを介して接続されるようになっている。
この種の携帯電話機やスマートホンの分野では、機器の薄型化を狙った開発が次々と進められている。近年、液晶バックライトユニットや電池パック等の薄型化等により、例えば厚さが11mm程度しかない薄型の携帯電話機が開発され市場に提供されているが、フルカラー有機ELディスプレイの導入等により、今後更に、携帯電話機やスマートホンの薄型化は加速すると想定される。また、携帯電話機やスマートホンと同様に、薄型化を狙って開発されるPDAやノート型パソコンその他の電子機器もまた、同様に薄型化の加速が容易に予想できる。このような電子機器の薄型化に対応するため、前述した接触ピンも薄型化することが急務とされている。
ところで、薄型化に成功した接触ピンは、例えば特許文献1に開示されている。同文献1の接触ピン(1)(以下「従来の接触ピン(1)」という)では、例えば携帯電話機の薄型化を実現するための具体的な構成として、ピン本体(3)の弾性部(30)が携帯電話機(A)の電池収容部(B)の底面に沿った方向に屈伸可能に配置される構成(同文献1の段落0037の記載、及び同文献1の図1(a)(b)及び図6(a)(b)を参照)を採用している。
また、従来の接触ピン(1)では、電池パック(C)の電極部(C1)に対して常に良好な接触状態が得られるようにするための具体的な構成として、電池パック(C)の電極部(C1)から接点部(31)の先端(31A)に押圧力が作用したときに、接点部(31)の先端(31A)は、電池収容部(B)の底面に対して横方向に円弧を描くように押し込まれ、電極部(C1)の表面を摺動するという構成を採用している(同文献1の段落0038の記載を参照)。
しかしながら、近年の携帯電話機やスマートホンその他の電子機器においては、データ処理速度のアップやデータ処理量の増大等、機器内蔵のCPUや記憶メモリの処理負荷が大となっており、これに伴い、従来の接触ピン(1)では、電池パック(C)からピン本体(3)に流れる電流が増大するため、ピン本体(3)の電気抵抗による発熱問題が顕在化する。
なお、前記カッコ内の符号は、特許文献1で用いられている符号である。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、携帯電話機、スマートホンその他の電子機器の薄型化と発熱防止に好適な接触ピンを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、底面と4つの側面とからなる凹部である電子機器の電池収容部に電池パックを着脱自在に取り付けたときに、その電池パックの一側面に設けられた電極部と、前記電子機器の内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインと、を導通させる接触ピンであって、前記接触ピンは、前記電池収容部の4つの側面のうちの一の側面に配置されるケースと、前記ケースに装着される複数の並列配置されたピン本体とからなり、前記ピン本体のそれぞれは、板バネ材を少なくとも2つ以上のつづら折部を有するよう折り曲げ成形してなるとともに、前記電池収容部の底面に沿った方向に屈伸可能に配置される弾性部と、前記弾性部の一端側に折り曲げ成形されてなり、この折り曲げた部分を先端として前記ケース外に露出するように設けられるとともに、前記電池パックの電極部に前記先端が接触する接点部と、前記弾性部の他端側に設けられ、前記内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインに接続される接続部とからなり、前記ケースが配置された一の側面は、前記電池パックの電極部から前記接点部の先端に押圧力を作用させながら前記電池収容部内に電池パックが収容されたときに、前記電池パックの一側面と対向する側面であり、前記電池パックの電極部から前記接点部の先端に押圧力が作用したときに、前記接点部の先端は、前記電池収容部の底面に対して横方向に円弧を描くように押し込まれ、前記電極部の表面を摺動し、前記接点部と弾性部のいずれか一方又は双方は、二股以上の分岐片として分岐した形態になっていることを特徴とするものである。
前記ケースは、前記分岐片どうしの接触を防止する手段として、前記分岐片間に配置される中間部材を有するものとしてよい。
前記ピン本体は、電池パックの電極部のうち、電力供給用の電極部に接触するものであってよい。
前記ピン本体は、前記接点部から前記弾性部の範囲に連続して設けられた第1のスリットと、前記弾性部において前記第1のスリットの両側に設けられた第2のスリットと、を具備し、前記接点部は、前記第1のスリットにより、二股の分岐片として分岐し、前記弾性部は、前記第1及び第2のスリットにより、四股の分岐片として分岐している構成を採用してもよい。
前記「電子機器」は、携帯電話機のほか、PDAやノート型パソコン等のように携帯可能な薄型の電子機器が含まれる。
本発明にあっては、ピン本体の具体的な構成として、かかるピン本体の弾性部は、電池収容部の底面に沿った方向(電子機器の厚さ方向に略直交する方向)に屈伸可能に配置される構造を採用した。このため、ピン本体は電池収容部の底面に対して縦方向(電子機器の厚さ方向)には屈伸しないから、その縦方向の屈伸動作に必要な幅(厚さ)を電池収容部の縦方向に確保する必要がなく、携帯電話機その他の電子機器の薄型化を図るのに好適である。
また、本発明によると、電池パックの電極部から接点部の先端に押圧力が作用したときに、当該接点部は、電池収容部の底面に対して横方向に円弧を描くように押し込まれ、電極部の表面を摺動する構造を採用した。このため、接点部が電極の表面を摺動することによって、接点部と電極との間のごみその他の異物は排除され、接触不良が生じ難く、常に良好な接触状態が得られる。
これに加えてさらに、本発明では、ピン本体の具体的な構成として、接点部と弾性部のいずれか一方又は双方が、二股以上の分岐片として分岐した形態になっている構成を採用した。このため、接点部や弾性部が二股に分岐していない従来のピン本体(特許文献1を参照)に比べて、ピン本体を流れる電流が複数の分岐片に分散し、ピン本体全体としての電気抵抗値が低下する。このことを接点部が2本の分岐片として二股に分岐した例で説明すると、この場合は、ピン本体の接点部に電池パックの電極部が接触した状態で、当該2本の分岐片が電気的に並列接続になる。このため、分岐片1本あたりの電気抵抗値が従来のピン本体の電気抵抗値と同じであるなら、本発明における分岐片2本分の電気抵抗値を含むピン本体全体の電気抵抗値は、従来のピン本体の電気抵抗値に対して1/2になるから、ピン本体の電気抵抗による発熱が減り、携帯電話機その他の電子機器の発熱を効果的に防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
《接触ピンの概要構成》
図1は、本発明の一実施形態である接触ピンを適用した携帯電話機の外観図であり、同図中(a)は携帯電話機の裏面図、(b)はその側面の断面図である。また、図2は、本発明の一実施形態である接触ピンの説明図であり、同図中(a)は接触ピンの正面部分断面図、(b)は接触ピンの上面図、(c)は接触ピンの下面図、(d)は図中(b)のD−D断面図である。なお、図2(a)では、説明の便宜上、右から2番目のピン本体3だけが図示しない電池パックCによりケース2内に押し込まれた状態を示し、それ以外の他のピン本体3は、そのように押し込まれていない初期の状態を示している。
図1は、本発明の一実施形態である接触ピンを適用した携帯電話機の外観図であり、同図中(a)は携帯電話機の裏面図、(b)はその側面の断面図である。また、図2は、本発明の一実施形態である接触ピンの説明図であり、同図中(a)は接触ピンの正面部分断面図、(b)は接触ピンの上面図、(c)は接触ピンの下面図、(d)は図中(b)のD−D断面図である。なお、図2(a)では、説明の便宜上、右から2番目のピン本体3だけが図示しない電池パックCによりケース2内に押し込まれた状態を示し、それ以外の他のピン本体3は、そのように押し込まれていない初期の状態を示している。
図1の本接触ピン1は、同図のように携帯電話機Aの電池収容部Bに電池パックCを着脱自在に取り付けたときに、電池パックCの一側面に設けられた電極部C1と、携帯電話機Aの内蔵回路基板Dの電源ラインE1や配線ラインE2と、を導通させる手段として用いられる。
電池収容部Bは、底面と4つの側面とからなる凹部の形状になっていて、本接触ピン1は、図2に示したように、電池収容部B(図1(a)(b)を参照)の4つの側面のうちの一の側面に配置される樹脂製のケース2と、ケース2に装着される金属板製のピン本体3とを備えている。
ここで、前記のようにケース2が配置される一の側面とは、電池収容部Bの4つの側面のうち、電池パックCの電極部C1から後述する接点部31の先端31Aに押圧力を作用させながら電池収容部B内に電池パックCが収容されたときに、電池パックCの一側面(電極部C1を設けてある側面)と対向する側面(以下「側方向」と言う)である。
《本接触ピン1を構成するケースの詳細構成》
図3は、図2の接触ピンを構成するケースの説明図であり、図中(a)はケースの正面図、(b)はケースの上面図、(c)はケースの下面図、(d)はケースの側面図である。また、図4は、図3(b)に示されたC−C線でのケース断面図、図5は、図3(a)に示されたA−A線でのケース断面図である。
図3は、図2の接触ピンを構成するケースの説明図であり、図中(a)はケースの正面図、(b)はケースの上面図、(c)はケースの下面図、(d)はケースの側面図である。また、図4は、図3(b)に示されたC−C線でのケース断面図、図5は、図3(a)に示されたA−A線でのケース断面図である。
図3のケース2には図4に示したように複数(図4の例では5つ)の装着孔5が一列に並んで設けられている。これらの装着孔5はいずれも、その両端5A、5Bが開口し(図5参照)、その一端5A内側に段部5Cを設けた形状になっていて、他端5B側からピン本体3を装着孔5内に挿入できる構造になっている。
また、このケース2は、後述する接点部31先端の分岐片Pどうしの接触を防止する手段として、図2(b)(d)のように接点部31先端の分岐片P間に配置される中間部材Tを有している(図5参照)。特に、図2(b)(d)及び図5の例では、この中間部材Tを装着孔5の一端5A側に設けることにより、装着孔5の一端5A側で分岐片Pどうしの接触を確実に防止しているが、これに限定されることはない。例えば、装着孔5の一端5Aより更に深く装着孔5の奥へ入った位置に中間部材Tを設ける等の変形例を採用することもできる。
なお、上記のような中間部材Tは省略することも可能であるが、省略した場合は、接点部31先端の分岐片Pどうしが接触し易くなり、そのような接触によって、ピン本体3全体の電気抵抗値が高くなり、ピン本体3の発熱が増えるおそれがあることから、中間部材Tは省略しない方が好ましい。
更に、このケース2の底面側には該ケース2の樹脂成形時にインサート成形された金属板製のターミナル7が設けられている。このターミナル7は、ケース2の両側面から外方へ突出し、携帯電話機Aの内蔵回路基板Dに半田付け等で固定されることにより、本接触ピン1を定位置に位置決め固定する。このターミナル7は、本接触ピン1を位置決め固定する手段としての機能のみを有するものであり、ピン本体3とは別部品であるから、ピン本体3と同じ高価な金属で作製する必要性はなく、安価な金属板で作成してもよい。
《本接触ピン1を構成するピン本体3の詳細構成》
図6は、図2の接触ピンを構成するピン本体の説明図であり、図中(a)はピン本体の正面図、(b)はピン本体の上面図、(c)はピン本体の下面図、(d)はピン本体の左側面図、(e)はピン本体の右側面図である。
図6は、図2の接触ピンを構成するピン本体の説明図であり、図中(a)はピン本体の正面図、(b)はピン本体の上面図、(c)はピン本体の下面図、(d)はピン本体の左側面図、(e)はピン本体の右側面図である。
図6に示したように、ピン本体3は、弾性部30と接点部31と接続部32を備えて構成され、一枚の金属板からの打ち抜き成形、及び折り曲げ成形によって作製することができる。
前記ピン本体3の弾性部30は、図6(a)のように板バネ材を2つのつづら折部30D、30Eを有するようS形に折り曲げ成形してなるとともに、電池収容部Bの底面B1に沿った方向(図1(b)で携帯電話機Aの厚さ方向hに略直交する方向Gを参照)に屈伸可能に配置される。なお、図示は省略するが、この弾性部30については、3つのつづら折部を有するM形若しくはW形に折り曲げ成形されたものとしてもよい。また、前記厚さ方向hに略直交する方向Gは、図1(b)の例に限定されない。
以上説明したように、ピン本体3の弾性部30は、電池収容部Bの底面B1に沿った方向(携帯電話機Aの厚さ方向に略直交する方向)に屈伸可能となっている。このため、ピン本体3は、電池収容部Bの底面に対して縦方向(携帯電話機Aの厚さ方向)には屈伸しない。従って、携帯電話機Aでは、前記のような縦方向の屈伸動作に必要な幅(厚さ)を電池収容部Bの縦方向に確保する必要がないため、その機器の厚さ方向に薄型化を図ることができる。
また、前記ピン本体3の弾性部30は、図2(a)のようにケース2の装着孔5に挿入されたときに、そのS形の肩部30Cが装着孔5の段部5Cと対向配置される。これにより、当該段部5Cがストッパーとなって、ピン本体3全体が装着孔5の一端5Aから外へ抜け落ちないようにしている。
前記ピン本体3の接点部31は、弾性部30の一端30A側に設けられるとともに、図2(a)のようにケース2側からみて逆U形に折れ曲がって、ケース2の装着孔5の一端5Aから外部へ露出するように突出することで、電池パックCの電極部C1が接触できるようになっている。
前記接点部31と前記弾性部30のいずれか一方又は双方は、図6(a)(d)(e)のように、二股以上の分岐片Pとして分岐した形態とすることができる。特に、図6の例では、弾性部30の根元付近から接点部31全体に亘って一つの連続したスリットS1を設けてピン本体3を二股の形状とすることにより、接点部31と弾性部30の双方が接続部32付近から二股の分岐片Pとして分岐した形態となるように構成しているが、この構成に限定されることはない。例えば、図示は省略するが、接点部31のみを二股の分岐片とする、あるいは、弾性部30のみを二股の分岐片とすることもできる。さらに、必要に応じて、三股、四股などのように、分岐片Pの数を増やすことも可能である。
図1(a)と図2において、5本のピン本体3のうち、左側2本のピン本体3と右側2本のピン本体3が接触する電池パックCの電極部C1(図1(a)参照)は、電池パックCから携帯電話機Aの内蔵回路基板Dへ電力を供給する用途に使用される電極部(電力供給用の電極部)である。この一方、5つのピン本体3のうち、中央に位置する1本のピン本体3が接触する電池パックCの電極部C1(図1(a)参照)は、例えば携帯電話機Aが電池パックCの存在を確認する手段として用いる等、電力供給以外の用途に用いられる電極部である。
ここで、前記のように電力供給用の電極部C1に接触する左側2本のピン本体3や右側2本のピン本体3は、必要に応じて、その数を増減することができる。また、前記のように電力供給以外の用途に用いられる電極部C1に接触する中央のピン本体3もまた、必要に応じて、その数を増減することができ、さらに、この中央の接触ピン3は省略することもできる。
ところで、ピン本体3の発熱は、主に、前記のように電力供給用の電極部C1に接触するピン本体3(図1(a)と図2の例では、左側2本のピン本体3と右側2本のピン本体3)で比較的多くなる。この一方、電力供給以外の用途に用いられる電極部C1に接触するピン本体3では、その発熱は比較的少ない。従って、そのように発熱が少ないピン本体3では、先に説明した二股の分岐片とする構成を省略することも可能である。
図8は、図2(a)に示した5つのピン本体3のうち、左から1番目のピン本体3と右から1番目のピン本体3が図1(a)に示す電池パックCの電極部C1に接触しているときの電気回路図である。この図8において、R1の符号は、それぞれのピン本体3における一つの分岐片Pの抵抗値を示している。
図6の例のようにピン本体3を二股の分岐片Pとして構成した場合には、ピン本体3の接点部31に電池パックCの電極部C1が接触した状態において、電池パックCからピン本体3を流れる電流は複数の分岐片Pに分散し、図8のように、それぞれのピン本体3ごとに、複数の分岐片Pが電気的に並列接続になることで、ピン本体3全体としての電気抵抗値が低下する。
図2(a)の例では、先に説明した通り、ピン本体3の接点部31等が2本の分岐片Pとして二股に分岐している。従って、その分岐片1本あたりの電気抵抗値が従来のピン本体(具体的には、先行技術文献1に開示されている従来の接触ピンのピン本体)の電気抵抗値と同じであるなら、分岐片2本分の電気抵抗値を含むピン本体3全体の電気抵抗値は従来のピン本体の電気抵抗値に対し1/2になる。このため、ピン本体3の発熱量が減少し、携帯電話機Aの発熱を効果的に防止することができる。
前記ピン本体3の接続部32は、弾性部30の他端30B側に設けられるとともに、内蔵回路基板Dの電源ラインE1や配線ラインE2に半田付けで接続される。半田付け以外の方法で接続してもよい。本接触ピン1においては、ピン本体3をケース2の装着孔5に取り付ける手段として、弾性部30の他端30B側縁に取付け板33を設けており、この取付け板33から接続部32が延長形成されるように構成することで、取付け板33が弾性部30の他端30B側に設けられる構成を採用している。この構成は一例であり、かかる構成に限定されることはない。図示は省略するが、例えば、前記取付け板33を省略して別の取り付け手段によってピン本体3をケース2の装着孔5に取り付ける場合には、弾性部30の他端30B側縁から接続部32が延長形成されるように構成してもよい。
前記取付け板33はその上部両側と中央付近に係止爪Nを有している。また、これらの係止爪Nに対応して、ケース2の装着孔5内面には係止孔H(図4参照)や係止凹部(図示省略)が設けられている。
そして、装着孔5の他端5B側からピン本体3の接点部31側を装着孔5内に差し込み挿入することによって、ピン本体3が装着孔5内に入ったとき、前記係止爪Nは、内向きに弾性変形し、対応する装着孔5内面の係止爪Nや係止凹部(図示省略)に引っ掛る。これにより、ピン本体3は、装着孔5の他端5Bから容易に脱落することなく、ケース2の装着孔4にワンタッチで取り付けることができる。
《接触ピンの動作説明》
次に、上記の如く構成された本接触ピン1を携帯電話機に適用した時の動作例について図1と図2を基に説明する。
次に、上記の如く構成された本接触ピン1を携帯電話機に適用した時の動作例について図1と図2を基に説明する。
本接触ピン1は、図1(a)のように電池収容部Bの側方向に配置される。そして、電池収容部Bに電池パックCを収容するときは、電池収容部Bに電池パックCを斜めに差し込みながら、電池パックCの電極部C1で本接触ピン1の接点部先端31Aを押圧(図2(a)の矢印Pを参照)する。
これにより、接触ピン1の弾性部30が電池収容部Bの底面B1に沿った屈伸動作(図1(a)(b)の矢印Gを参照)で収縮し、その収縮量に応じて、接触ピン1の接点部31が、電池収容部Bの底面B1に対して横方向に円弧(図1(a)と図2(a)の矢印Fを参照)を描くようにして、ケース2の装着孔5に押し込まれ、接点部31と電池パックCの電極部C1との接触状態が得られる。
前記のような円弧を描く押し込み動作によって、接点部31が電極部C1の表面を摺動するので、接点部31と電極部C1との間のごみその他の異物は排除され、良好な接触状態が得られる。
前記のような接触状態において、電池パックCからピン本体3を流れる電流は複数の分岐片Pに分散し、2本の分岐片Pが電気的に並列接続になるため、ピン本体3全体としての電気抵抗値は低下する。従って、ピン本体3の発熱量は減少し、これに伴い、携帯電話機Aの発熱も減少する。
電池収容部Bから電池パックCを取り外すと、接触ピン1の接点部31に作用する押圧力がなくなるため、接触ピン1の弾性部30はそのバネ復元力によって伸展し、伸展量に応じて、接触ピンの接点部31が装着孔5の外に飛び出してきて、電池パックC収容前の元の状態に戻る。
《接触ピンの発熱評価試験(その1)の説明》
図7は、図2の接触ピン(以下「本発明の接触ピン(第1例)」という)と先行技術文献1に開示されている従来の接触ピンとについての発熱評価試験の結果を示した図である。
図7は、図2の接触ピン(以下「本発明の接触ピン(第1例)」という)と先行技術文献1に開示されている従来の接触ピンとについての発熱評価試験の結果を示した図である。
先行技術文献1に開示されている従来の接触ピンは、そのピン本体の本数が3本であるが、この発熱評価試験では、その本数を5本とすることにより、本発明の接触ピン(第1例)と同じ条件で発熱量を評価できるようにした。また、この発熱評価試験では、それぞれの接触ピンのピン本体に所定電流を流し、それぞれの接触ピンのケースの温度測定を行った。温度測定位置は図2(a)の符号Wで示す位置である。
ここで、図7を参照すると、従来の接触ピンでは、2.9Aの電流を流し始めてから70秒が経過した時点で、100℃を超えた。これに対し、本発明の接触ピン(第1例)では、例えば4.0Aの電流を流しても、その流し始めから70秒が経過した時点で、40℃を下回った。このことから、ピン本体の電気抵抗による発熱は、本発明の接触ピン(第1例)の方が大幅に抑えられていることが分かる。
《本発明の他の実施形態の説明》
図9は、本発明の他の実施形態である接触ピンを構成するピン本体の説明図であり、図中(a)はピン本体の正面図、(b)はピン本体の上面図、(c)はピン本体の下面図、(d)はピン本体の左側面図、(e)はピン本体の右側面図、(f)は(e)に示したF−F線でのピン本体断面図である。
図9は、本発明の他の実施形態である接触ピンを構成するピン本体の説明図であり、図中(a)はピン本体の正面図、(b)はピン本体の上面図、(c)はピン本体の下面図、(d)はピン本体の左側面図、(e)はピン本体の右側面図、(f)は(e)に示したF−F線でのピン本体断面図である。
この図9に示したピン本体3の基本的な構成は先に説明した図6のピン本体3と同様であるため、図9のピン本体3において、図6のピン本体3と同一の部材には同一の符号を付し、その基本的な構成の詳細説明は省略する。
図6のピン本体3は、接点部31から弾性部30の範囲に連続して設けられたスリットS1(以下「第1のスリットS1」という)を備え、この第1のスリットS1により、接点部31と弾性部30の双方が接続部32付近から二股の分岐片Pとして分岐した形態となっているが、図9のピン本体3は、それとは異なる分岐の形態を採っている。
すなわち、図9のピン本体3は、前記第1のスリットS1に加えて更に、弾性部30において第1のスリットS1の両側に設けられた第2のスリットS2を備えており、その接点部31は、第1のスリットS1により、二股の分岐片2として2つに分岐し、その弾性部30のみが、第1及び第2のスリットS1、S2により、四股の分岐片Pとして4つに分岐した形態になっている。
図10は、図2(a)に示した5つのピン本体として図9のピン本体を採用し、これらのピン本体のうち、左から1番目のピン本体と右から2番目のピン本体が図1(a)に示す電池パックの電極部に接触したときの電気回路の説明図である。図10において、R2の符号は、ピン本体3の接点部31における1本の分岐片Pの抵抗値を示し、R3の符号は、ピン本体3の弾性部30における1本の分岐片Pの抵抗値を示している。
図9の例のように、ピン本体3の接点部31を二股の分岐片Pとして2つに分岐し、かつ、同ピン本体3の弾性部30を四股の分岐片Pとして4つに分岐した場合も、ピン本体3の接点部31に電池パックCの電極部C1が接触した状態において、電池パックCからピン本体3を流れる電流は複数の分岐片Pに分散し、図10のように、それぞれのピン本体3ごとに、複数の分岐片Pが電気的に並列接続になることで、ピン本体3全体としての電気抵抗値が低下する。
《接触ピンの発熱評価試験(その2)の説明》
図11は、図2(a)に示した5つのピン本体として図9のピン本体を採用した接触ピン(以下「本発明の接触ピン(第2例)」という)と、図2(a)に示した前記本発明の接触ピン(第1例)とについての発熱評価試験の結果を示した図である。この発熱評価試験では、それぞれの接触ピンのピン本体に所定電流を流し、それぞれの接触ピンのケースの温度測定を行った。温度測定位置は図2(a)の符号Wで示す位置である。
図11は、図2(a)に示した5つのピン本体として図9のピン本体を採用した接触ピン(以下「本発明の接触ピン(第2例)」という)と、図2(a)に示した前記本発明の接触ピン(第1例)とについての発熱評価試験の結果を示した図である。この発熱評価試験では、それぞれの接触ピンのピン本体に所定電流を流し、それぞれの接触ピンのケースの温度測定を行った。温度測定位置は図2(a)の符号Wで示す位置である。
ここで、図11を参照すると、例えば5.0Aの電流を流し始めてから70秒が経過した時点で、本発明の接触ピン(第1例)では56℃、本発明の接触ピン(第2例)では41℃になった。このことから、ピン本体の電気抵抗による発熱は、本発明の接触ピン(第2例)の方が大幅に抑えられていることが分かる。
図6のように第1のスリットS1だけを設けた構成例と、図9のように第1及び第2のスリットS1、S2を設けた構成例との比較において、第2のスリットS2を設けた範囲では、スリットS2両側に位置する2本の分岐片P1とP2が図10のように更に電気的に並列接続となるため、いずれか1本の分岐片P1又はP2を流れる電流値は、図6の構成例における1本の分岐片Pを流れる電流値の1/2となる。また、図6の構成例における1本の分岐片Pと図9の構成例における第2のスリットS2との断面積比から、図9の構成例における1本の分岐片P1又はP2の抵抗値は、図6の構成例における1本の分岐片Pの約2.5倍となる。これらのことから、図9の構成例における1本の分岐片P1又はP2のジュール熱(J=I2×R)は、J=(I/2)2×2.5R=2.5I2R/4=I2R/1.6であり、図6の構成例の約63%の発熱量になり、発熱量の低減が図られていることになる。
以上説明した実施形態は、携帯電話機Aを例に挙げ、これに本発明に係る接触ピン1を適用した例であったが、本発明の接触ピン1は、スマートホン等、携帯電話機A以外の薄型の電子機器に適用することもできる。
1 接触ピン
2 ケース
3 ピン本体
5 装着孔
5A 装着孔の一端
5B 装着孔の他端
5C 段部
7 ターミナル
30 弾性部
30A 弾性部の一端
30B 弾性部の他端
30C 弾性部の肩部
30D、30E つづら折部
31 接点部
31A 接点部の先端
32 接続部
33 取付け板
A 携帯電話機
B 電池収容部
B1 電池収容部の底面
C 電池パック
C1 電池パックの電極部
D 携帯電話機の内蔵回路基板
E1 電源ライン
E2 配線ライン
N 爪
S1 第1のスリット
S2 第2のスリット
2 ケース
3 ピン本体
5 装着孔
5A 装着孔の一端
5B 装着孔の他端
5C 段部
7 ターミナル
30 弾性部
30A 弾性部の一端
30B 弾性部の他端
30C 弾性部の肩部
30D、30E つづら折部
31 接点部
31A 接点部の先端
32 接続部
33 取付け板
A 携帯電話機
B 電池収容部
B1 電池収容部の底面
C 電池パック
C1 電池パックの電極部
D 携帯電話機の内蔵回路基板
E1 電源ライン
E2 配線ライン
N 爪
S1 第1のスリット
S2 第2のスリット
Claims (4)
- 底面と4つの側面とからなる凹部である電子機器の電池収容部に電池パックを着脱自在に取り付けたときに、その電池パックの一側面に設けられた電極部と、前記電子機器の内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインと、を導通させる接触ピンであって、
前記接触ピンは、
前記電池収容部の4つの側面のうちの一の側面に配置されるケースと、
前記ケースに装着される複数の並列配置されたピン本体とからなり、
前記ピン本体のそれぞれは、
板バネ材を少なくとも2つ以上のつづら折部を有するよう折り曲げ成形してなるとともに、前記電池収容部の底面に沿った方向に屈伸可能に配置される弾性部と、
前記弾性部の一端側に折り曲げ成形されてなり、この折り曲げた部分を先端として前記ケース外に露出するように設けられるとともに、前記電池パックの電極部に前記先端が接触する接点部と、
前記弾性部の他端側に設けられ、前記内蔵回路基板の電源ラインや配線ラインに接続される接続部とからなり、
前記ケースが配置された一の側面は、前記電池パックの電極部から前記接点部の先端に押圧力を作用させながら前記電池収容部内に電池パックが収容されたときに、前記電池パックの一側面と対向する側面であり、
前記電池パックの電極部から前記接点部の先端に押圧力が作用したときに、前記接点部の先端は、前記電池収容部の底面に対して横方向に円弧を描くように押し込まれ、前記電極部の表面を摺動し、
前記接点部と弾性部のいずれか一方又は双方は、二股以上の分岐片として分岐した形態になっていること
を特徴とする接触ピン。 - 前記ケースは、前記分岐片どうしの接触を防止する手段として、前記分岐片間に配置される中間部材を有すること
を特徴とする請求項1に記載の接触ピン。 - 前記ピン本体は、電池パックの電極部のうち、電力供給用の電極部に接触するものであること
を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の接触ピン。 - 前記ピン本体は、前記接点部から前記弾性部の範囲に連続して設けられた第1のスリットと、前記弾性部において前記第1のスリットの両側に設けられた第2のスリットと、を具備し、
前記接点部は、前記第1のスリットにより、二股の分岐片として分岐し、
前記弾性部は、前記第1及び第2のスリットにより、四股の分岐片として分岐していること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の接触ピン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012235568A JP2014082177A (ja) | 2012-09-25 | 2012-10-25 | 接触ピン |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012211039 | 2012-09-25 | ||
JP2012211039 | 2012-09-25 | ||
JP2012235568A JP2014082177A (ja) | 2012-09-25 | 2012-10-25 | 接触ピン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014082177A true JP2014082177A (ja) | 2014-05-08 |
Family
ID=50786167
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012235568A Pending JP2014082177A (ja) | 2012-09-25 | 2012-10-25 | 接触ピン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014082177A (ja) |
-
2012
- 2012-10-25 JP JP2012235568A patent/JP2014082177A/ja active Pending
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