JP2014082029A - イオン液体の評価方法および荷電粒子線装置 - Google Patents

イオン液体の評価方法および荷電粒子線装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明では、かかる課題に鑑みて、荷電粒子線装置等で観察する手法において、観察に適したイオン液体を選択する手法、及びイオン液体を観察するための観察条件の最適値を決定できる手法、及び上記二手法を実施できる荷電粒子線装置を実現することを目的とする。
【解決手段】
イオン液体の評価方法であって、イオン液体に荷電粒子線を照射し、前記イオン液体から放出される二次荷電粒子を検出器で取得して二次荷電粒子像を形成し、前記イオン液体を繰り返し照射する毎に前記二次荷電粒子像を取得し、前記二次荷電粒子像のイオン液体部分のコントラスト変化によりイオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
【選択図】図7

Description

本発明は荷電粒子線装置およびイオン液体を用いた観察手法とイオン液体の評価方法に関わるものである。
イオン液体は、常温で液体状態の塩であり、蒸気圧が限りなく0に近く、熱しても、真空中であっても液体状態を保持する特徴がある。この性質を真空チャンバー内における操作や観察に利用することが検討されている。
特許文献1には、カチオン及びアニオンから構成され、イオン液体を必須成分とし、走査型電子顕微鏡(SEM)用試料又は透過型電子顕微鏡(TEM)用試料の全体に含浸させ、又はその電子照射面に塗布し、電子照射面に導電性を付与する電子顕微鏡用チャージアップ防止液状媒体が開示されている。
また、特許文献2には、電子顕微鏡等による各種観察やイオンビームによる加工に適するように、試料に付着させるイオン液体の形状及び膜厚を調整する機構を有する荷電粒子線装置が開示されている。特許文献3では、開口部を有する試料保持部材にイオン液体を保持し、イオン液体中に試料を浮かして観察することによって試料を変形させずに試料そのものの形状を観察する事が可能である事を示している。
WO2007/083756 特開2011−124162号公報 特開2009−266741号公報
イオン液体は、カチオンやアニオンの種類と組み合わせによって膨大な種類が存在し、その物理的特性も様々である。中には、荷電粒子線照射の影響で何らかの変化が生じ、その変化が原因で像障害を起こしやすい種類が存在する可能性がある。従って、荷電粒子線装置で観察する手法に対して適不適があると考えられる。また、荷電粒子線装置で観察する手法に適した種類であっても、加速電圧や照射電流といった観察条件によっては電子線照射に起因する変化が生じてしまう可能性が考えられる。上記の先行技術文献では、いずれも荷電粒子線照射に起因するイオン液体の変化については言及されていない。また、上記の先行技術文献では、荷電粒子線装置における像分解能を向上させるという視点で加速電圧などの観察条件について言及しているが、イオン液体自身の変化を抑えて観察するという視点での観察条件についての言及はない。
本発明では、かかる課題に鑑みて、荷電粒子線装置等で観察する手法において、観察に適したイオン液体を選択する手法、及びイオン液体を観察するための観察条件の最適値を決定できる手法、及び上記二手法を実施できる荷電粒子線装置を実現することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。
イオン液体の評価方法であって、イオン液体に荷電粒子線を照射し、前記イオン液体から放出される二次荷電粒子を検出器で取得して二次荷電粒子像を形成し、前記イオン液体を繰り返し照射する毎に前記二次荷電粒子像を取得し、前記二次荷電粒子像のイオン液体部分のコントラスト変化によりイオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
その他の課題、構成については、発明を実施するための形態の欄で上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明は、観察に適したイオン液体を選択する手法、及びイオン液体を観察するための観察条件の最適値を決定できる手法、及び上記二手法を実施できる荷電粒子線装置を実現する。
Si基板上のイオン液体液滴の一部に、高倍率で観察(電子線を照射)した後に、低倍率で観察した二次電子像 加速電圧と照射電流をそれぞれ、(1 kV, 10 pA)(a)、(30 kV, 100 pA)(b)、(1 kV, 10 pA)(c)の順番に変化させて、同一の液滴を観察した二次電子像 照射電流を10 pAに固定して、加速電圧を1 kV(d)、30 kV(e)、1 kV(f)の順番に変化させて、同一の液滴を観察した二次電子像 加速電圧を1 kVに固定して、照射電流を10 pA(g)、100 pA(h)、10 pA(i)の順番に変化させて、同一の液滴を観察した二次電子像 加速電圧と照射電流をそれぞれ、(1 kV, 20 pA)に設定して、連続して1フレームずつ観察(電子線照射)していったときの二次電子像 加速電圧と照射電流をそれぞれ、(1 kV, 40 pA)に設定して、連続して1フレームずつ観察(電子線照射)していったときの二次電子像 本発明のイオン液体評価法フローチャートの一例 Si基板とイオン液体の境界部におけるラインプロファイル コントラスト変化が生じた場合のラインプロファイル 本発明の荷電粒子線装置の装置構成を示す模式図 1-Buthyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate (C8H15BF4N2) の評価結果を示すデータ 1-Buthyl-3-methylimidazolium Bis(trifluoromethanesulfonyl)amide (C10H15 F6N3O4S2) の評価結果を示すデータ 1-Ethyl-3-Methylimidazolium acetate (C8H14N2O2)の評価結果を示すデータ 1-Ethyl-3-Methylimidazolium (L)-(+)-lactate (C9H16N2O3) の評価結果を示すデータ
図1は、走査電子顕微鏡を用いて、Si基板上のイオン液体液滴の一部に、高倍率で観察(電子線を照射)した後に、低倍率で観察した二次電子像を示す。(a)は、1-Buthyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate (C8H15BF4 N2)(以下、BMIM BF4と記す)、(b)は、1-Allyl-3-methylimidazolium bromide(C10H17BrN2)(以下、AMIM Brと記す)の二次電子像である。図1(a)、(b)中の明るく見える部分101、104がイオン液体液滴、暗く見える部分102、105が下地のSi基板である。103、106は、液滴の一部に高倍率で電子線を照射した部分である。図1(a)の電子線を照射した箇所103は、液滴表面にしわが見られ、他の箇所と比べてイオン液体のコントラストが暗く変化している。また、図1(b)の電子線を照射した箇所106は、イオン液体のコントラストが部分的に暗く変化している。これは、電子線を照射したことによる、イオン液体自身の帯電の影響、もしくはイオン液体自身やイオン液体中に含まれる不純物に何らかの変化が生じたことにより、電気特性が変化し二次電子発生効率が低下したためと考えられる。この現象は電子線に限らず荷電粒子線全般で起こる可能性がある。また、同じ組成のイオン液体でも不純物の有無や、イオン液体の化学的状態によってもこのような変化の起こりやすさが変わる可能性がある。この変化が、どのような観察パラメータに依存して起こるのか調べるため、下記の実験を行った。
図2は、加速電圧と照射電流をそれぞれ、(1 kV, 10 pA)(a)、(30 kV, 100 pA)(b)、(1 kV, 10 pA)(c)の順番に変化させて、同一のBMIM BF4液滴を観察した二次電子像である。(a)で明るく見える部分201がイオン液体液滴、暗く見える部分202が下地のSi基板である。(a)では明るく観察された液滴201が、(b)では暗く変化し、(a)と同じ観察条件に戻した(c)においても(a)と比べてコントラストが暗く変化している。
図3は、照射電流を10 pAに固定して、加速電圧を1 kV(d)、30 kV(e)、1 kV(f)の順番に変化させて、同一のBMIM BF4液滴を観察した二次電子像である。(d)で明るく見える部分301がイオン液体液滴、暗く見える部分302が下地のSi基板である。(d)では、(a)と同様に液滴301が明るく観察された。(e)では電子線が液滴表面を透過してエッジコントラストの弱い像が観察されたが、(b)のようなコントラストの変化は起こらなかった。(f)でも、(c)のようなコントラストの変化は起こらず、(d)と同様な明るいコントラストで観察された。
図4は、加速電圧を1 kVに固定して、照射電流を10 pA(g)、100 pA(h)、10 pA(i)の順番に変化させて、同一のBMIM BF4液滴を観察した二次電子像である。(g)で明るく見える部分401がイオン液体液滴、暗く見える部分402が下地のSi基板である。(g)では、(a)(d)と同様に明るいコントラストで観察されたが、(h)では、液滴が急激に広がり、液滴のコントラストが暗く変化した。(g)と同じ観察条件の(i)においても、(g)と比べて、液滴が広がりコントラストが暗く変化している。以上の結果から、コントラストの変化は加速電圧よりも照射電流に依存して起こることがわかった。また、観察条件を戻しても元に戻らないことから、この変化は不可逆的であるということがわかった。
図5及び図6は、加速電圧と照射電流をそれぞれ、(1 kV, 20 pA)(図5)、(1 kV, 40 pA)(図6)に設定して、同一のBMIM BF4液滴を連続して1フレームずつ観察(電子線照射)していったときの二次電子像である。(a)で明るく見える部分501、601がイオン液体液滴、暗く見える部分502、602が下地のSi基板である。1フレームずつ電子線照射を繰り返すと、あるフレーム数に達したときに液滴のエッジ部からコントラスト変化が起こり始め、徐々に液滴全体に広がっていった。図5の条件では、(a)の2回目のスキャンでは液滴が明るいコントラストで観察されているが、(b)の14回目のスキャンでは液滴の外周に沿ってコントラスト変化が広がり、(c)の18回目のスキャンで液滴全体にコントラスト変化が広がった。図6の条件では、(a)の1回目のスキャンでは液滴が明るいコントラストで観察されているが、(b)の7回目のスキャンで液滴の外周に沿ってコントラスト変化が広がり、(c)の10回目のスキャンで液滴全体にコントラスト変化が広がった。つまり、照射電流を2倍にすると、コントラスト変化の起こるフレーム数は約半分になることから、コントラスト変化は電子線照射の累計量に依存するということがわかった。
このようなコントラストの変化は、イオン液体を用いた観察の際に像障害となるため、避けるのが好ましい。ここまでに説明した実験事実から、コントラストの変化が起こり始めるドーズ量を許容ドーズ量とすると、その値が大きいほど像障害が起きにくいイオン液体といえる。また、許容ドーズ量から逆算して、照射電流、像取込時間、最大倍率などの各種パラメータを決定することもできる。従って、本発明では、観察に使用するイオン液体の許容ドーズ量を調べることにより、そのイオン液体が観察に適しているのかどうかを評価する手法、及び装置を提供する。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図7は、本発明のイオン液体評価法フローチャートの一例である。まず、Si基板にイオン液体を滴下する(701)。基板には、SEM観察するのに十分な導電性を有し、平坦なものであればSi基板以外のものを用いてもよい。次に、余分なイオン液体をワイプ紙で吸い取るなどして除去する(702)。701、702により、Si基板上に直径数μmのイオン液体液滴を作製できる。液滴の大きさは1〜10 μm程度が望ましい。また、観察する液滴の体積が異なると熱容量が変化し評価結果にも影響を及ぼす可能性があるため、液滴の体積は毎回揃えることが望ましい。簡便な方法として、701、702により作製した液滴の中から、同じ程度の大きさの液滴を選択して観察しても良いが、同じ体積の液滴を再現性良く作製できるインクジェット方式や針を用いて塗布する方式などの手法で液滴を作製すると更に良い。作製した試料を荷電粒子線装置に挿入し、観察の準備をする(703)。荷電粒子線装置により、観察を開始する(704)。観察条件は、対象となるイオン液体の種類に合わせて調整可能だが、電子線のエネルギーが過剰に高い条件では、電子線がイオン液体を透過してしまい、正しく評価できない可能性がある。また、照射電流が過剰に高い条件では、瞬時にコントラスト変化が発生してしまい正しく評価できない可能性がある。電子線のエネルギーは0.5 kV〜10 kV程度、照射電流は1 pA〜100 pA程度が好ましい。観察条件が決定したら、測定終了まで観察条件を一定値に固定する。ステージを移動させ、ターゲットとする液滴が観察視野内に収まったら、1フレーム観察(電子線照射)する(705)。イオン液体のコントラスト変化を検知する方法として、例えばSi基板部とイオン液体部のコントラストを二値化して、両者のコントラスト比の変化から判断する方法が考えられる。しかし、前述のように液滴のコントラスト変化はエッジ部から徐々に発生するため、コントラスト変化の起こり始めを検知するためには液滴のエッジ部に着目する方が良い。ここでは液滴のエッジ部に着目した方法を説明する。まず、Si基板とイオン液体の境界部におけるラインプロファイルを測定する(706)。ラインプロファイルは少なくとも上下左右の四点は測定する。測定されるラインプロファイルは、イオン液体の種類によって図8の4通りの形が想定される。
図8(a)、(b)はSi基板よりもイオン液体が明るい場合で、(a)はエッジコントラストが強い場合、(b)はエッジコントラストが弱い場合である。図8(c)、(d)はSi基板よりもイオン液体が暗い場合で、(c)はエッジコントラストが強い場合、(d)はエッジコントラストが弱い場合である。コントラスト変化が生じた場合、液滴のエッジ部が特に暗くなるため、図9に示すようにラインプロファイル上のSi基板部とイオン液体部の境界部分が最も低く落ち込む。
図9(e)は、Si基板よりもイオン液体が明るい場合で、(f)はSi基板よりもイオン液体が暗い場合である。境界部分が、Si基板部とイオン液体部のいずれかと同じ明るさ、もしくはいずれよりも明るい場合、705に戻り1フレーム観察する(707)。境界部分が、Si基板部とイオン液体部のいずれよりも低く落ち込んでいる場合、荷電粒子線の照射を終了する(708)。コントラスト変化の生じたフレーム数と、1フレーム毎のドーズ量の積から、許容ドーズ量を計算する(709)。
以上の手順から、許容ドーズ量を調べることにより、その値の大小によってそのイオン液体が観察に適しているかどうかを評価することができる。つまり、許容ドーズ量が大きいイオン液体ほど、荷電粒子線観察に適したイオン液体であると判断できる。
また、ドーズ量について式1が成り立つことから、許容ドーズ量と各種観察条件には式2のような関係式が成り立つ。
式2において、Neは6.24×1018個であり、Xdは実際には装置の仕様によって決定される。また、P、Xpicはユーザーが設定できる余地はあるが、装置の仕様によってある程度決定されるため、自由度は低い。従って、装置ユーザーが自由に設定・変更できるパラメータはMag、I、Tであり、許容ドーズ量Dが決まれば、その時の3パラメータの関係も求めることができる。この関係式から、ドーズ量が許容ドーズ量を下回る観察条件を求めることができ、荷電粒子線照射によるダメージを抑えて観察することができる。
図10は、本発明の荷電粒子線装置の構成を示す模式図である。1001は真空チャンバーであり,1002の真空排気系によって真空状態を保持できる。1003は試料交換機構であり,真空チャンバー1001を真空状態に保持したまま,観察試料を装置の外から中に導入することができる。1004は荷電粒子線源であり,荷電粒子線を発生させるための陰極や陽極,発生した荷電粒子線を収束するためのレンズや絞り,荷電粒子線を走査させるための走査コイルなど,必要な光学系を全て含むものとする。上記,荷電粒子線源1004内の光学系により,荷電粒子線1005を試料1006上に収束させて任意の順序で走査することができる。荷電粒子線1005の照射により試料1006の表面において発生する二次信号1007は,二次信号検出系1008により検出され,画像データとして画像演算制御の機能も持たせた制御系1009に入力される。試料1006は試料台1010上に導電性のテープやペーストなどで固定され,試料ステージ1011により3次元方向全ての方向に移動可能である。制御系1009は荷電粒子線源1004,二次信号検出系1008,試料ステージ1011,および画像表示装置1012の制御も行う。二次信号検出系1008で検出された信号は、制御系1009内の信号増幅器で増幅された後、画像メモリに転送されて画像表示装置1012に試料像として表示・記録される。
本装置では、実施例1で説明した図7のフローチャートにおける705から709のステップを、制御系1009により制御して自動で行うことができる。その際のエッジコントラストの検出707は、現行製品の測長機能を元にして、しきい値などのパラメータをユーザーが設定できるようにしても良い。
また、実際にイオン液体を帯電防止剤として絶縁試料に塗布したり、分散剤として用いる際に、実施例1の方法で求めた許容ドーズ量を超える観察条件に設定されたら、エラーメッセージを表示させてユーザーに警告したり、あるいは強制的に電子線をオフにするといった機能を付与してもよい。
また、実施例1の方法を用いて、様々な種類のイオン液体の許容ドーズ量を網羅的に調べ、データベースとして装置に登録しておけば、上記エラーメッセージを表示させると共に、観察条件を満たす許容ドーズ量を持ったイオン液体を表示させるといった機能を付与することもできる。
実際に、本発明の手法を用いて4種類のイオン液体を評価した例を以下に説明する。
図11は、BMIM BF4の評価結果を示すデータである。観察条件は、加速電圧1 kV、1フレームあたりのドーズ量9.4×106 e/μm2で評価した。1フレーム目では、丸い液滴状で明るいコントラストで観察されている。6フレーム目(累計ドーズ量5.7×107 e/μm2)で、液滴の形状がやや変化しているのがわかる。12フレーム目(累計ドーズ量1.1×108 e/μm2)のとき,スキャン開始から約35秒後(累計ドーズ量に換算して1.0×108 e/μm2)で液滴のエッジの一部にコントラストの反転が現れ始めた(図11矢印)。この位置でのドーズ量を許容ドーズ量とした。
図12は、1-Buthyl-3-methylimidazolium Bis(trifluoromethanesulfonyl)imide (C10H15NO4S2F6) (以下、BMIM NTFと表記する)の評価結果を示すデータである。観察条件は、BMIM BF4と同様に加速電圧1 kV、1フレームあたりのドーズ量9.4×106 e/μm2で評価した。初回のスキャンから変形が始まり、3フレーム目(累計ドーズ量2.8×107 e/μm2)のとき,スキャン開始から約35秒後(累計ドーズ量に換算して2.6×107 e/μm2)で液滴のエッジの一部にコントラストの反転が現れ始めた (図12矢印)。この位置でのドーズ量を許容ドーズ量とした。
図13は、1-Ethyl-3-Methylimidazolium acetate (C8H14N2O2)(以下、EMIM acetateと表記する)の評価結果を示すデータである。観察条件は、BMIM BF4、BMIM NTFと同様に加速電圧1 kV、1フレームあたりのドーズ量9.4×106 e/μm2で評価した。2フレーム目(累計ドーズ量1.9×107 e/μm2)では変化がないが,3フレーム目(累計ドーズ量2.8×107 e/μm2)のとき,スキャン開始から約35秒後(累計ドーズ量に換算して2.6×107 e/μm2)にコントラストの反転が現れ始めた(図13矢印)。この位置でのドーズ量を許容ドーズ量とした。
図14は、1-Ethyl-3-Methylimidazolium (L)-(+)-lactate (C9H16N2O3)(以下、EMIM Lactateと記す)の評価結果を示すデータである。観察条件は、BMIM BF4、BMIM NTF、EMIM acetateと同様に加速電圧1 kV、1フレームあたりのドーズ量9.4×106 e/μm2で評価した。2フレーム目(累計ドーズ量1.9×107 e/μm2)のとき,スキャン開始から約35秒後(累計ドーズ量に換算して1.7×107 e/μm2)で液滴のエッジの一部にコントラストの反転が現れ始めた (図14矢印)。この位置でのドーズ量を許容ドーズ量とした。
以上の結果から、BMIM BF4が最も許容ドーズ量が大きく、BMIM NTFとEMIM acetateは同じ値となり、EMIM Lactateが最も小さいことがわかった。従って、BMIM BF4、BMIM NTFおよびEMIM acetate、EMIM Lactateの順で荷電粒子線観察に適しているといえる。また、許容ドーズ量から逆算して、例えば照射電流1 pAとし、1フレーム毎で1画素あたりに電子線が滞在する時間を1.6×10-5秒とすると、観察可能な最大倍率はBMIM BF4では98000倍、BMIM NTFとEMIM acetateでは50000倍、EMIM Lactateでは40000倍となる。上記の4種類のイオン液体以外でも、同様に許容ドーズ量を求めることによって観察に対する適不適を評価し、許容ドーズ量から逆算して各種パラメータを決定することができる。
高分子材料や生体試料などの導電性の乏しい試料を観察する際に、イオン液体を試料表面に塗布することによって、帯電による像障害を抑制することができる。前述のように、これまでは観察に適したイオン液体の種類や、最適な観察条件については報告されておらず、試料に塗布したイオン液体にコントラスト変化が生じて像に影響が出てしまうことが懸念される。観察箇所が試料上に一か所しか存在しない場合、一度コントラスト変化が起きてしまったら、その箇所を正常なコントラストで観察することができなくなってしまう。本発明の評価法で観察に適したイオン液体を選択し、許容ドーズ量に収まるように観察条件を決めることによって、上記のような場合においてもコントラスト変化を抑制して観察することができる。
生体試料のように水を含む試料では、従来は化学固定や凍結固定などを用いて含水状態を固定し観察する手法や、クライオステージを用いて試料を冷却し、水の蒸発を抑えて観察する手法などが用いられてきた。このような試料において、水とイオン液体をうまく置換して含水状態を再現でき、しかも導電染色をせずに観察できるという手法が報告されている。このような手法において、観察に適したイオン液体の種類や、最適な観察条件については報告されておらず、置換したイオン液体にコントラスト変化が生じて像に影響が出てしまうことが懸念される。実施例4と同様に、観察箇所が試料上に一か所しか存在しない場合、一度コントラスト変化が起きてしまったら、その箇所を正常なコントラストで観察することができなくなってしまう。本発明の評価法で観察に適したイオン液体を選択し、許容ドーズ量に収まるように観察条件を決めることによって、上記のような場合においてもコントラスト変化を抑制して観察することができる。
真空中でイオン液体に金属を蒸着することによって、金属のナノ粒子を作製しイオン液体中に分散させて観察できることが報告されている。また、ナノ粒子以外の試料においても、イオン液体を分散剤として用いて観察できる。この場合においても、観察に適したイオン液体の種類や、最適な観察条件ついては報告されておらず、分散剤のイオン液体にコントラスト変化が生じて像に影響が出てしまうことが懸念される。本発明の評価法で観察に適したイオン液体を選択し、許容ドーズ量に収まるように観察条件を決めることによってコントラスト変化を抑制して観察することができる。
イオン液体を電気化学反応場の電解液として利用し、電気化学反応のその場観察を実施できることが報告されている。また、電気化学反応だけではなく、イオン液体を熱反応場として利用し、熱反応などのその場観察にも適用できる。このような反応場としてイオン液体を利用する場合においても、観察に適したイオン液体の種類や、最適な観察条件ついては報告されておらず、電解液のイオン液体にコントラスト変化が生じて像に影響が出てしまうことが懸念される。本発明の評価法で観察に適したイオン液体を選択し、許容ドーズ量に収まるように観察条件を決めることによってコントラスト変化を抑制して観察することができる。
101:BMIM BF4液滴 102:Si基板 103:高倍率で電子線を照射した領域
104:AMIM Br液滴 105:Si基板 106:高倍率で電子線を照射した領域
201:BMIM BF4液滴 202:Si基板
301:BMIM BF4液滴 302:Si基板
401:BMIM BF4液滴 402:Si基板
501:BMIM BF4液滴 502:Si基板
601:BMIM BF4液滴 602:Si基板
701:Si基板にイオン液体を滴下 702:余分なイオン液体を除去
703:荷電粒子線装置に試料を挿入 704:観察開始
705: 1フレーム荷電粒子線照射
706:Si基板とイオン液体の境界部でラインプロファイルを取得
707:境界部に落ち込み有り 708:荷電粒子線照射終了
709:許容ドーズ量を計算
1001:真空チャンバー 1002:真空排気系 1003:試料交換機構
1004:荷電粒子線源 1005:荷電粒子線 1006:試料
1007:二次信号 1008:二次信号検出系 1009:制御系
1010:試料台 1011:試料ステージ 1012:画像表示装置

Claims (13)

  1. イオン液体の評価方法であって、
    イオン液体に荷電粒子線を照射し、前記イオン液体から放出される二次荷電粒子を検出器で取得して二次荷電粒子像を形成し、
    前記イオン液体を繰り返し照射する毎に前記二次荷電粒子像を取得し、前記二次荷電粒子像のイオン液体部分のコントラスト変化によりイオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
  2. 請求項1のイオン液体の評価方法であって、
    前記二次荷電粒子のイオン液体の縁部のコントラスト変化によりイオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
  3. 請求項1のイオン液体の評価方法であって、
    前記荷電粒子線の電流量を固定し、前記荷電粒子線の加速電圧を変化させることにより、イオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
  4. 請求項1のイオン液体の評価方法であって、
    前記荷電粒子線の加速電圧を固定し、前記荷電粒子線の電流量を変化させることにより、イオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
  5. 請求項1のイオン液体の評価方法であって、
    前記荷電粒子線の加速電圧及び電流量を固定し、前記荷電粒子線の電流量を変化させることにより、イオン液体の使用限度を評価することを特徴とするイオン液体の評価方法。
  6. 請求項1の荷電粒子線装置であって、
    前記イオン液体の使用限度は、荷電粒子線の拡大倍率と電流量と照射時間との間の関係であることを特徴とするイオン液体の評価方法。
  7. 荷電粒子源と、荷電粒子線から放出される荷電粒子線を試料上に集束する集束レンズと、
    前記試料から放出される二次荷電粒子を検出する検出器と、を備えた荷電粒子線装置であって、
    イオン液体に荷電粒子線を照射し、前記イオン液体から放出される二次荷電粒子を前記検出器で取得して二次荷電粒子像を形成し、
    前記イオン液体を繰り返し照射する毎に前記二次荷電粒子像を取得し、前記二次荷電粒子像のイオン液体部分のコントラスト変化によりイオン液体の使用限度を評価することを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項7の荷電粒子線装置であって、
    前記二次荷電粒子のイオン液体の縁部のコントラスト変化によりイオン液体の使用限度を評価することを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項7の荷電粒子線装置であって、
    前記荷電粒子線の電流量を固定し、前記荷電粒子線の加速電圧を変化させることにより、イオン液体の使用限度を評価することを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項7の荷電粒子線装置であって、
    前記荷電粒子線の加速電圧を固定し、前記荷電粒子線の電流量を変化させることにより、イオン液体の使用限度を評価することを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項7の荷電粒子線装置であって、
    前記荷電粒子線の加速電圧及び電流量を固定し、前記荷電粒子線の電流量を変化させることにより、イオン液体の使用限度を評価することを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項7の荷電粒子線装置であって、
    前記試料に前記イオン液体を付着させ、前記イオン液体が付着した試料を前記イオン液体の使用限度の範囲内で観察を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 請求項12の荷電粒子線装置であって、
    前記イオン液体の使用限度は、荷電粒子線の拡大倍率と電流量と照射時間との間の関係であることを特徴とする荷電粒子線装置。
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