JP2013213747A - イオンビーム装置、試料観察方法、および試料作製装置 - Google Patents

イオンビーム装置、試料観察方法、および試料作製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】試料の電子照射面にイオン液体を塗布して電子線で観察する場合には、試料表面の凹凸形状によって、分解能が変化してしまうという問題がある。このため、分解能を一定に保つには、従来、試料表面の凹凸形状に応じてイオン液体の膜厚を調整する必要があった。本発明は、帯電による像障害を抑制して、試料の表面凹凸形状によらずに高い像分解能で観察することが可能な試料観察装置、および試料観察方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも前記イオンビームが照射される面がイオン液体を含む溶液で覆われた試料に対して、ガス電界電離イオン源によって発生したイオンビームを照射して試料の画像を取得することを特徴とする。また、吸収電流の変化や加速電圧を変えたときの画像の変化から膜厚を判定する膜厚判定部を備える。また、イオン液体を試料上に供給する液状媒体供給部を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、イオン顕微鏡およびイオンビーム加工観察装置などのイオンビーム装置、また、イオンビーム加工観察装置とイオン顕微鏡との複合装置、イオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置に関する。また、イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析・検査装置、およびこれらの装置を用いた試料観察方法に関する。また、これらの装置で試料を観察するために試料を前処理する試料作製装置に関する。
電子を走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出すれば試料表面の構造を観察することができる。これは走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEMと略記)と呼ばれる。一方、イオンビームを走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出しても試料表面の構造を観察することができる。これは走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope、以下SIMと略記)と呼ばれる。特に、水素、ヘリウムなどの質量の軽いイオン種を試料に照射すれば、相対的にスパッタ作用は小さくなり、試料を観察するのに好適となる。
逆に、アルゴン、キセノン、ガリウムなどの質量の重いイオン種を試料に照射すれば、スパッタ作用により試料を加工するのに好適となる。特に、液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source、以下LMISと略記)を用いた集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam、以下FIBと略記)が集束イオンビーム加工観察装置として知られている。更に、近年では走査電子顕微鏡(SEM)と集束イオンビーム(FIB)の複合機であるFIB−SEM装置も用いられている。FIB−SEM装置では、FIBを照射して所望の箇所に角穴を形成することにより、その断面をSEM観察することができる。また、プラズマイオン源やガス電界電離イオン源により、アルゴンやキセノンなどのガスイオンを生成して試料に照射するようにしても試料の加工は可能である。
荷電粒子線を用いて試料の表面形状を観察する場合、試料の二次電子の放出量が試料の材質や表面形状により異なるため、試料の導電性が良好でない場合には電子ビームを用いても帯電による像障害が発生してしまう。イオンビームを用いる場合には、プラスのイオンを試料に照射してマイナスの二次電子が放出されるため更に帯電が起こりやすく、表面形状の観察では像障害が、試料の加工では加工エッジの鈍化や加工形状の変形、ドリフトによる加工位置ずれという致命的な障害が起こる。
上記帯電による障害を解決する方法として、試料表面に導電体をコーティングする方法が知られている。導電体として、金やプラチナなどの金属を用いる。また、常温で液体状態の塩であり、蒸気圧が限りなく0に近く、熱しても真空中であっても液体状態を保持してほとんど揮発しないイオン液体を塗布して電子照射面に導電性を付与する方法が開示されている(特許文献1)。特許文献1には、真空中でほとんど揮発しないカチオンおよびアニオンから構成されるイオン液体を必須成分とし、SEM用試料または透過型電子顕微鏡(TEM)用試料の全体に含浸させ、またはその電子照射面に塗布し、電子照射面に導電性を付与する電子顕微鏡用チャージアップ防止液状媒体が開示されている。
また、帯電による障害を解決する別の方法として、低加速電子を用いて、帯電があっても安定な観察を行うことができる低加速SEMが知られている(特許文献2)。
特許文献3には、電子顕微鏡による各種観察に適するように、試料に付着させるイオン液体の形状および膜厚を調整する機構を有する荷電粒子線装置が開示されている。
国際公開2007/083756号(US2009/0173882) 特開2000−195459号公報 特開2011−124162号公報
近年、SEMの高分解能化にともない、試料の表面形状の検査や計測、詳細構造の観察に低加速SEMが利用されている。しかし、低加速電子を用いても試料の表面は帯電している。そのため、試料の表面形状が微細な構造である場合、エッジ部でのコントラストの消失などの帯電による像障害が問題となる。低加速SEMにおける像障害を抑制するために金属膜を絶縁体試料にコーティングした場合、金属膜の粒界に起因したコントラストが試料の形状コントラストに重畳されてしまうなどといった不具合を生じてしまい、本来の試料情報が得られなくなる。
また、試料の電子照射面にイオン液体を塗布して電子線で観察する場合には、試料表面の凹凸形状によって、分解能が変化してしまうという問題がある。イオン液体表面から試料表面までの距離が試料表面の凹凸形状によって異なるので、試料表面の凹凸パターンにおける二次電子発生領域の大きさが変わってしまうためである。したがって、分解能を一定に保つには、試料表面の凹凸形状に応じてイオン液体の膜厚を調整する必要がある。
本発明は、上記課題を解決し、帯電による像障害を抑制して、試料の表面凹凸形状によらずに高い像分解能で観察することが可能な試料観察装置、および試料観察方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも前記イオンビームが照射される面がイオン液体を含む溶液で覆われた試料に対して、ガス電界電離イオン源によって発生したイオンビームを照射して試料の画像を取得することを特徴とする。
本発明によれば、帯電による像障害を抑制して、試料の表面凹凸形状によらずに高い像分解能で観察することができる。
イオン液体を塗布した試料の概略図。 イオン液体を塗布した試料の概略図。 イオンビーム装置の第1の例の概略構成図。 イオンビーム装置の第2の例の概略構成図。 イオンビーム装置の第3の例の概略構成図。 イオンビーム装置の第3の例における膜厚判定の説明図。 イオンビーム装置の第3の例における膜厚判定の説明図。 イオンビーム装置の第4の例の概略構成図。 ヘリウムイオンビームと電子ビームとの侵入深さを比較する説明図。 ヘリウムイオンビームと電子ビームとの二次電子発生領域を比較する説明図。 高さの異なるパターンに電子ビームを照射した場合における信号発生領域を比較する説明図。 高さの異なるパターンにイオンビームを照射した場合における信号発生領域を比較する説明図。 イオンビーム装置の第2の例における膜厚判定の説明図。
まず、従来技術における課題をより詳細に説明する。
観察に用いるビームによって試料表面が帯電して引き起こされる像障害を抑制するため、金属膜を試料にコーティングする方法が知られている。しかしこの方法では、金属膜の粒界に起因したコントラストが試料の形状コントラストに重畳されてしまうなどといった不具合を生じてしまい、本来の試料情報が得られなくなる。
また、別の解決方法として試料の電子線照射面にイオン液体を塗布する方法が知られている。しかし、この方法では、イオン液体にパターン等の詳細構造全面が埋もれてしまい、低加速SEMでは試料の表面形状を観察できない。また、低加速SEMでは焦点深度が浅いために高さ方向に差が大きい立体構造の表面観察が困難である。したがって、分解能を一定に保つには、試料表面の凹凸形状に応じてイオン液体の膜厚を調整する必要があった。
尚、電子ビームではなく、主にガリウムをイオン種とする液体金属イオン源(LMIS)を用いたガリウムイオンビームによる観察もあるが、試料の構成元素、またはイオン液体の構成元素、またはその両方によっては内部に打ち込まれて残留するガリウムにより性質などが変化してしまうものもあり、長時間の観察には適さない。
そこで、本発明では、イオン液体を含む溶液によって観察面が覆われた試料に対して、ガス電界電離イオン源によって発生したイオンビームを照射することで観察を行う。
具体的に実施例を説明する前に、まず、図7を用いてイオンビームと電子ビームの性質の違いについて説明する。図7(a)は、加速電圧を10kVと共通にし、試料はシリコンとしてヘリウムイオンと電子の侵入深さの違いをシミュレーションしたものである。シリコンに対する加速電圧10kVでのヘリウムイオン(イオンビーム3)の侵入深さ21は約240nmである。一方、シリコンに対する加速電圧10kVでの電子(電子ビーム18)の侵入深さ22は約1μmである。このように、同じ加速電圧であれば、ヘリウムイオンのほうが電子よりも侵入深さが浅く、試料の極表面情報が得られることが分かる。逆に言えば、極表面を観察する場合、電子ビームは試料への侵入深さを浅くするために加速電圧を低くする(〜数kV)必要がある。加速電圧を低くすると、ビームの集束性能が悪化して入射電子ビームの直径が増大して分解能が低下してしまう。イオンビームは同じ加速電圧ならば電子ビームよりも侵入深さが浅いので、極表面を観察する場合にも加速電圧を低くする必要はなく(〜数十kV)ビームの集束性能を保てるため入射イオンビームの直径は増大しない。
図7(b)は、試料はシリコンとしてヘリウムイオンと電子の二次電子の発生領域の違いをシミュレーションしたものである。二次電子はエネルギーが低く(通常数10eV)、試料表面の深さ10nm以内で発生したものしか試料表面から飛び出すことができない。シリコンに対する加速電圧40kVでのヘリウムイオンによる二次電子発生領域23とシリコンに対する加速電圧1kVでの電子による二次電子発生領域24とを比較すると、明らかにヘリウムイオンのほうが二次電子の発生領域が狭い。電子の場合には、一次電子により直接励起されて真空中に放出される二次電子(SE1、入射電子ビームの直径に近い領域からのみ放出される)と、反射電子が表面付近で励起した二次電子(SE2、入射電子ビームの直径に比べるとかなり大きな領域から放出される)が放出されるため、二次電子の発生領域は大きくなり像分解能が悪化する。一方、ヘリウムイオンの場合には、一次イオンにより直接励起されて真空中に放出される二次電子(SE1)しかないため、二次電子の発生領域は入射イオンビームの直径に近く、電子よりも高い像分解能で極表面観察ができる。
このように、二次荷電粒子の励起領域が電子ビームの照射に比べて試料表面により局在するので、イオンビームは電子ビームに比べて試料表面の情報に敏感である。
また、電子ビームでは、電子の波としての性質が無視できないため、回折効果により収差が発生するが、イオンビームでは、電子に比べて重いため、回折効果を無視することができる。
以上のイオンビームの性質を用いているので、本発明では、試料の表面凹凸形状に合わせてイオン液体を含む溶液の膜厚調整をしなくても、高い像分解能で観察することができる。
以下、試料観察方法の第1の例を説明する。図1(a)に試料2上のイオン液体を含む液状媒体1が薄膜状である観察対象物の上面図を、図1(b)にイオン液体を含む液状媒体1が薄膜状の観察対象物の断面図を示す。試料2は凹凸形状をもつ試料であり、イオン液体は凹凸形状の上に薄膜状となったイオン液体である。図1(b)では、試料表面の凹凸に合わせた膜厚調整を行わずに、表面にイオン液体を含む液状媒体1を塗布した例である。図1(b)の状態では、試料表面の位置によって液状媒体表面までの液状媒体の厚さが異なっているが、本実施例ではこのような状態の試料であっても観察を行うことができる。
本実施例で用いるイオン液体は、例えば、1−Butyl−3−methylimidazolium Tetrafluoroborate(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート)、1−Ethyl−3−methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、1−Butyl−3−methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)である。もちろんイオン液体はこれに限られるものではなく、真空中で蒸発しにくく、導電性を有する液体であればよい。
ここで試料に塗布するイオン液体は、イオン液体を溶媒で希釈したイオン液体溶液を用いてもよい。溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、アセトン、ヘキサンなどが挙げられる。また、像のコントラストが明瞭に得られるように、イオン液体に、イオン液体と二次電子放出率の異なる微粒子を混合してもよい。二次電子放出率とは、放出された二次電子数を、照射した一次電子数で割ったものである。イオン液体を含む液状媒体とは、イオン液体と該イオン液体以外の物質を含む液状媒体である。以降、イオン液体とは、イオン液体またはイオン液体を含む液状媒体(イオン液体溶液)を指すものとする。
図2に、本実施例のイオンビーム装置の第1の例の概略構成図を示す。ここで、イオンビーム装置とは、イオン顕微鏡、イオンビーム加工観察装置、イオンビーム加工観察装置とイオン顕微鏡との複合装置、イオン顕微鏡と電子顕微鏡との複合装置を含む。また、イオン顕微鏡と電子顕微鏡を適用した解析・検査装置も含む。
イオンビーム装置の一例として走査イオン顕微鏡について説明する。走査イオン顕微鏡は、真空容器4と、真空排気ポンプ5と、試料を載置するステージ6と、イオン源7と、イオンビーム3を集束する対物レンズと試料上を走査するようにイオンビーム3を偏向する偏向器を含むイオンビーム照射系8と、試料から発生する二次粒子を検出する二次粒子検出器9と、二次粒子像を表示する表示部10と、イオン化ガスを供給するガス供給配管11と、ガスイオン化室12と、ガス源13により構成されている。なお、イオンビーム装置には、このほかにも各部分の動作を制御する制御部や、検出器から出力される信号に基づいて画像を生成する画像生成部が含まれている(図示省略)。制御部や画像生成部は、専用の回路基板によってハードとして構成されていてもよいし、イオンビーム装置に接続されたコンピュータで実行されるプログラムによって構成されてもよい。
イオン源7はガス電界電離イオン源(ガスイオン源と略称する)である。ガス電界電離イオン源とはエミッタティップが作る電界によってガスをイオン化してイオンビームとして用いるイオン源である。イオン源7は、高電圧が印加できる針状のエミッタティップを内部に持つガスイオン化室12を有し、ガスイオン化室12にはガス源13からガス供給配管11を介してイオン化ガスを供給される。高電圧が印加され強電界のかかった針状のエミッタティップ先端にガス供給配管11から供給されたイオン化ガス(あるいはガス分子)が近づくと、ガス(ガス分子)内の電子が電界によって低減したポテンシャル障壁をトンネリングすることによって正イオンとなり放出され、これをイオンビームとして利用する。
イオン化ガスは水素またはヘリウムを用いる。または、水素とヘリウムの混合ガスや、その他のガスとの混合ガスを用いてもよい。荷電粒子線にヘリウムなどの質量の軽いイオン種を用いたイオンビームを用いることで、低加速SEMよりも高い像分解能、極表面情報、大焦点深度が得られる。これは、図7を用いて前述したとおり、イオンビームは電子ビームに比べて侵入深さが浅く、二次荷電粒子の励起領域が狭いため電子ビームよりも表面感度が高く、高い像分解能が得られるためである。また、電子ビームでは、電子の波としての性質が無視できず回折収差が発生するが、イオンビームでは、電子に比べて重いため回折効果を無視することができ、大焦点深度が得られるためである。
試料2はイオン液体を含む液状媒体1(イオン液体と略称する)が薄膜状に塗布されており、ステージ6に載置されている。ここで、イオン液体を含む液状媒体1は塗布に限られず、噴霧、または滴下されてもよい(以下同様)。これにより少なくとも前記イオンビームが照射される面を覆うようにイオン液体の膜が形成される。例えば溝等のパターンを持つ半導体デバイスを観察すると、イオン液体を塗布していない場合には帯電によりパターン部分が暗くなるシェーディングと呼ばれる現象が生じ、試料表面が正確に観察できないが、本実施例のようにイオン液体を含む液状媒体を用いることで試料の帯電を防止できる。
従来のように電子ビームで観察する場合にはイオン液体を含む液状媒体を観察する場合には、分解能を一定に保つために試料表面の凹凸形状に応じてイオン液体の膜厚を調整する必要があった。
この理由について図8を用いて説明する。図8(a)は、試料2にイオン液体を含む液状媒体1を十分な膜厚制御を行わずに塗布した観察対象物に電子ビーム18を照射した場合の断面模式図である。二次電子発生領域20に着目すると、二次電子19が発生する領域の大きさが試料の凹凸状況により変化することが分かる。試料2の表面がイオン液体を含む液状媒体1の表面から深くなるほど二次電子19の発生領域が大きくなり、像分解能が劣化する。従って、試料全面で同じ像分解能を得るためには、図1(b)のようにイオン液体を含む液状媒体1の薄膜の厚さが試料の凹凸に追従して、場所に依存せず試料表面から一定の膜厚になるよう制御しなければならない。例えば、低加速SEMによるデバイス観察ではイオン液体を含む液状試料の平均膜厚を100nm以下の精度で制御しなければならない場合もあり、厳密な膜厚測定装置および膜厚制御装置を必要とする場合もある。
これに対して、本実施例では観察にイオンビームを用いることで、電子ビームで観察する場合より、イオン液体の薄膜の膜厚制御を容易にすることができる。図8(b)は、試料2にイオン液体を含む液状媒体1を十分な膜厚制御を行わずに塗布した観察対象物にイオンビーム3を照射した場合の断面模式図である。試料表面の二次電子発生領域20に着目すると、二次電子19が発生する領域の大きさが試料の凹凸状況により変化しないことが分かる。従って、イオンビームによる観察の場合には電子ビームによる観察の場合ほど、イオン液体を含む液状媒体1の薄膜を試料の凹凸に追従するように形成する必要はない。
ただし、マイクロピペット等で半導体デバイス上にイオン液体を滴下した場合には、イオン液体が薄膜状とならず、膜厚が厚すぎる場合には一次イオンビームがイオン液体を透過できずパターンが識別できない。したがって、イオン液体を含む液状媒体の膜厚は一次イオンビームが前記試料表面まで透過し試料に到達できる膜厚より小さくする。別の表現で言い換えれば、観察領域(すなわちイオンビームの走査領域)の範囲内において液状媒体の表面から試料表面までの膜厚の最大値がイオンビームが透過できる厚さより小さくなるようにすればよい。これによって、シェーディング等の帯電による像障害を抑制しつつ、試料のパターンの凹凸形状によらずに分解能がほぼ一定に保たれた画像を得ることができる。
また、前記試料の少なくとも前記イオンビームが照射される面を、イオン液体を含む溶液で覆うコーティング手段を有する試料作製装置を用いて、上述のように、一次イオンビームが前記試料表面まで透過できる膜厚に調整したり、試料の表面形状に沿った膜に成形しても良い。
多孔質材料のような試料を観察する場合には、試料内部にイオン液体を含む液状媒体を含浸させるのがよい。これによって、イオンビームを試料に照射することにより生じるスパッタリング現象によってイオン液体を含む液状媒体が減少することを抑制し、帯電防止機能を維持できる。
このようにして作成された試料にイオンビーム3を照射する。イオンビーム3の照射により試料2から二次粒子が発生する。この二次粒子を二次粒子検出器9で検出し、一次イオンビームの走査位置と対応付けて画像を生成する。生成された画像は表示部10に表示される。
本実施例のようにイオンビーム装置を用いて観察することで、低加速SEMに代表される電子ビームのような厳密なイオン液体を含む液状媒体の膜厚制御は必要なく、試料の前処理が簡便となる。本実施例では、イオン液体を含む液状媒体の膜をイオンビームが透過できる厚さとすれば良いため、膜厚制御は電子ビームでの観察時よりも容易となる。
さらに、厳密な膜厚制御装置が必要ないので観察装置の生産性が向上し、低コスト化を実現できる。
本実施例によるイオンビーム装置の第2の例の概略構成図を図3に示す。なお、以下において、実施例1と同様の部分については説明を省略する。
実施例1で述べたようにイオンビームを用いた観察の場合には、厳密な膜厚制御は必要ないが、イオン液体を含む液状媒体の膜をイオンビームが透過できるかできないかを判断する必要がある。そこで、本実施例では第1の例のイオンビーム装置に膜厚判定部14をさらに具備している。本実施例の膜厚判定部14は、二次粒子検出器9で検出した二次電子による二次電子像のパターン形状の有無を検出(例えば、二次電子像内にコントラストの変化があるかを検出するなど)してイオン液体を含む液状媒体の膜をイオンビームが透過できるかできないかを判断する。
図9(a)は、イオンビーム3が透過できない厚さに試料2にイオン液体を含む液状媒体1を塗布した観察対象物の二次電子像、図9(b)は、イオンビーム3が透過できない厚さに試料2にイオン液体を含む液状媒体1を塗布した観察対象物の断面模式図である。イオンビーム3は試料2まで到達していないため、二次電子像には試料の表面形状が現れない。一例として、図9(a)でX方向に輝度変化を検出するライン25とY方向に輝度変化を検出するライン26について輝度変化を図9(c)に示す。輝度変化はないため一定値となる。
図9(d)は、イオンビーム3が透過できるように厚さを調整して試料2にイオン液体を含む液状媒体1を塗布した観察対象物の二次電子像、図9(e)は、イオンビーム3が透過できるように厚さを調整して試料2にイオン液体を含む液状媒体1を塗布した観察対象物の断面模式図である。イオンビーム3は試料2まで到達できるため、二次電子像には試料の表面形状が現れる。一例として、図9(d)でX方向に輝度変化を検出するライン25とY方向に輝度変化を検出するライン26について輝度変化を図9(f)に示す。表面形状に対応した輝度変化が現れる。膜厚判定部14は、上述した二次電子像の違いまたは輝度プロファイルを比較、検出して、薄膜状のイオン液体を含む液状媒体1の膜厚が適切か否かを判断する。判定結果はイオン顕微鏡の表示部に表示されてもよいし、判定結果に応じて自動的に膜厚が調整されてもよい。イオン液体を含む液状媒体1の膜厚が厚すぎる場合には、一旦試料を装置外に出して膜厚を再調整するか、後述する実施例4のように装置に液状媒体供給部を設けてその場で膜厚を調整する。
本実施例によるイオンビーム装置の第3の例の概略構成図を図4に示す。なお、以下において、実施例1と同様の部分については説明を省略する。本実施例は第2の実施例とは別の方法でイオン液体の膜厚を評価する実施例である。尚、本実施例は第2の実施例の二次電子像の比較による膜厚判断と併用した形式で用いられても良いし、以下に説明する吸収電流の検出のみにより膜厚評価が行われてもよい。以下で吸収電流とはイオンビームを照射したときに基板から流れ出す電流のことをいう。
本実施例では、第1または第2の例のイオンビーム装置のステージ6に、さらに、電流計15が具備されている。イオンビーム3を照射したときの吸収電流を計測してイオン液体の膜厚を評価する。イオンビーム3照射下で試料2に蓄積する電荷により誘起される変位電流を、吸収電流として測定する。
図5(a)は、一次イオンビームの加速電圧と飛程の関係の模式図である。A、B、Cと一次イオンビームの加速電圧を増加させていくと、一次イオンビームの飛程が長くなり、イオンの到達領域16は深くなる。一次イオンビームの飛程がイオン液体を含む液状媒体1の膜厚以上のとき(図5(a)のC)、一次イオンビームは試料2に到達して、試料2に電荷が蓄積する。このとき電荷蓄積による変位電流が生じ、吸収電流として計測できる。
図5(b)に一次イオンビームの加速電圧を変化させたときの吸収電流の変化の模式図を示す。図5(b)から、加速電圧がBのとき吸収電流が急激に増加する。この吸収電流が急激に増加した時の加速電圧が、イオンが膜厚を透過した時の加速電圧である。以上の通り、Bのときの加速電圧以上の加速電圧で観察を行えば、一次イオンビームは試料表面に到達するので、試料の画像を得ることができる。
さらに、加速電圧と飛程との関係をあらかじめ求めておけば、Bのときの加速電圧に対応する飛程kらイオン液体を含む液状媒体1の膜厚がわかる。なお、加速電圧と飛程との関係は走査イオン顕微鏡に接続されたメモリやハードディスク等の記憶部に予め保存しておく。
また、ユーザが所望の加速電圧で観察したい場合には、当該加速電圧でイオン液体の膜を一次イオンビームが透過するように膜厚を調整しなおす必要がある。この場合には観察条件としたい加速電圧に設定しておき、イオン液体を試料表面から少量ずつ除去することにより、吸収電流の変化をモニタリングし、吸収電流が急激に増えるところを検知する。膜厚をこのときの膜厚以下にすれば、設定した加速電圧で試料表面に一次イオンビームが到達することができる。
本実施例によるイオンビーム装置の第4の例の概略構成図を図6に示す。なお、以下において、実施例1と同様の部分については説明を省略する。
イオンビームの照射は少なからずイオンが試料表面に衝突したときに試料を構成する原子をはじき飛ばすスパッタリング現象を伴うため、イオンビーム走査範囲の薄膜状のイオン液体を含む液状媒体が弾き飛ばされて減少あるいは消失してしまい、試料の帯電防止ができなくなる可能性がある。
本実施例では第1〜3の例のイオンビーム装置に、さらに、液状媒体供給部17が具備されている。液状媒体供給部17は具体的には、液状媒体1を溜めておくリザーバと探針をもつマニピュレータから構成される。液状媒体供給部17によって、イオンビーム走査範囲にイオン液体を含む液状媒体が供給される。液状媒体を試料に供給する場合には、探針をリザーバに浸けることで探針先端部に液状媒体を付着させ、液状媒体を付着させた探針を試料のイオンビーム走査範囲(イオンビームは走査していてもブランキングしていても良い)に接触させて液状媒体を試料に供給する。また、液状媒体を供給しすぎた場合には、液状媒体が付着していない探針を試料上の液状媒体に浸けることで探針先端部に液状媒体を付着させ、試料から探針に移すことで取り除く。液状媒体供給部17によりイオン液体の付着、膜厚制御が可能となる。
また、実施例2、3に示した膜厚の評価、判定部を備えたイオンビーム装置に本実施例の液状媒体供給部17を適用した場合には、ユーザが所望の膜厚とすることができる。この場合には膜厚について予めしきい値を定めておき、このしきい値を越えたら液状媒体供給部17からイオン液体を含む液状媒体が供給される構成としてもよい。このしきい値は、実施例2、3で述べた方法で求められた膜厚に限られず、例えば、イオン液体が塗布された試料の全体の重量の変化量によっても定めることができる。
本実施例の構成によれば、スパッタリング現象により減少したイオン液体を含む液状媒体を補充できるので、イオンビーム走査範囲にイオン液体を含む液状媒体を保持でき、帯電防止機能も維持できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 イオン液体を含む液状媒体
2 試料
3 イオンビーム
4 真空容器
5 真空排気ポンプ
6 ステージ
7 イオン源
8 イオンビーム照射系
9 二次粒子検出器
10 表示部
11 ガス供給配管
12 ガスイオン化室
13 ガス源
14 膜厚判定部
15 電流計
16 イオンの到達領域
17 液状媒体供給部
18 電子ビーム
19 二次電子
20 二次電子発生領域
21 シリコンに対する加速電圧10kVでのヘリウムイオンの侵入深さ
22 シリコンに対する加速電圧10kVでの電子の侵入深さ
23 シリコンに対する加速電圧40kVでのヘリウムイオンによる二次電子発生領域
24 シリコンに対する加速電圧1kVでの電子による二次電子発生領域
25 X方向に輝度変化を検出するライン
26 Y方向に輝度変化を検出するライン

Claims (10)

  1. 試料にイオンビームを照射することで得られる二次粒子を検出して前記試料の画像を取得する試料観察方法であって、
    前記試料の少なくとも前記イオンビームが照射される面をイオン液体を含む溶液で覆うステップと、
    ガス電界電離イオン源によって発生した前記イオンビームを前記試料に照射して前記試料の画像を取得する観察ステップとを含むことを特徴とする試料観察方法。
  2. 請求項1に記載の試料観察方法において、
    前記イオン液体を含む溶液の膜厚は前記イオンビームが前記試料の表面まで透過できる膜厚であることを特徴とする試料観察方法。
  3. 請求項1に記載の試料観察方法において、
    前記ガス電界電離イオン源で用いるイオン化ガスは水素あるいはヘリウムあるいはその両方であることを特徴とする試料観察方法。
  4. 請求項1に記載の試料観察方法において、さらに、
    前記試料の内部にも前記イオン液体を含む溶液を浸透させることを特徴とする試料観察方法。
  5. 試料にイオンビームを照射することで得られる二次粒子を検出して前記試料の画像を取得するイオンビーム装置であって、
    前記イオンビームを発生するガス電界電離イオン源と、
    前記イオンビームを前記試料上で走査するように偏向させる偏向器と、
    前記イオンビームを試料上に集束する対物レンズと、
    前記二次粒子を検出する検出器とを有し、
    前記試料の少なくとも前記イオンビームが照射される面を覆うイオン液体を含む溶液の膜厚が前記イオンビームが前記試料の表面まで透過できる膜厚であるか否かを判定する膜厚判定部を備えることを特徴とするイオンビーム装置。
  6. 請求項5に記載のイオンビーム装置において、
    前記ガス電界電離イオン源で用いるイオン化ガスは水素あるいはヘリウムあるいはその両方であることを特徴とするイオンビーム装置。
  7. 請求項5に記載のイオンビーム装置において、
    前記膜厚判定部は前記試料の吸収電流の変化から前記膜厚を判断することを特徴とするイオンビーム装置。
  8. 請求項5に記載のイオンビーム装置において、
    前記膜厚判定部は前記イオンビームの加速電圧を変化させたときの前記試料の画像を比較することで前記膜厚を判断することを特徴とするイオンビーム装置。
  9. 請求項5に記載のイオンビーム装置において、
    前記試料上のイオンビーム走査範囲に前記イオン液体を含む溶液を供給する液状媒体供給部を備えることを特徴とするイオンビーム装置。
  10. 試料にイオンビームを照射することで得られる二次粒子を検出して前記試料の画像を取得する試料観察装置での観察に適した状態に前記試料を前処理する試料作製装置において、
    前記試料の少なくとも前記イオンビームが照射される面をイオン液体を含む溶液で覆うコーティング手段を備え、
    前記イオン液体を含む溶液の膜厚は前記イオンビームが前記試料の表面まで透過できる膜厚に調整されることを特徴とする試料作製装置。
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