JP2014080527A - 電気絶縁用立体形状物及び電気絶縁用立体形状物の製造方法 - Google Patents

電気絶縁用立体形状物及び電気絶縁用立体形状物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 立体加工における成形性に優れしかも電気絶縁性に優れた電気絶縁用立体形状物などを提供することを課題とする。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を含む樹脂シートが少なくとも曲げ加工された電気絶縁用立体形状物であって、前記樹脂シートが、前記熱可塑性樹脂として結晶性熱可塑性樹脂と非結晶性熱可塑性樹脂とを含み、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度が前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高い電気絶縁用立体形状物などを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂を含む樹脂シートが立体的に加工された電気絶縁用立体形状物及び該電気絶縁用立体形状物の製造方法に関する。
従来、樹脂シートが立体的に加工された立体形状物としては、様々なものが知られており、具体的には例えば、熱可塑性樹脂を含む樹脂シートが立体的に加工されたものなどが知られている。
この種の立体形状物としては、例えば、熱可塑性樹脂としてのポリエステル樹脂と難燃剤とを含む樹脂シートが立体的に成形されたものが知られている(特許文献1)。
斯かる立体形状物は、樹脂シートに含まれるポリエステル樹脂が加工時に加えられる力に応じて変形し得るため、立体加工において成形性を有する。また、樹脂シートがさらに難燃剤をも含むため、難燃性が要求される用途において好適に使用される。
特表2003−520881号公報
しかしながら、斯かる立体形状物の製造においては、絞り加工などの曲げ加工によって樹脂シートが立体的に加工されるときに、樹脂シートの破れ等を防止すべく、絞り深さを比較的小さくする必要がある。しかも、斯かる立体形状物においては、樹脂シートが曲げ加工された後に曲がりが戻ることなどにより、必ずしも意図した形状の立体形状物にならず、形状転写性に優れていない。即ち、斯かる立体形状物においては、優れた成形性が発揮されにくいという問題がある。
また、斯かる立体形状物は、比較的高い温度における電気絶縁性が必ずしも優れておらず、比較的高い温度環境下にて使用され得る電気絶縁用途において適したものでないという問題がある。
本発明は、上記問題点等に鑑みてなされたものであり、立体加工における成形性に優れしかも比較的高い温度においても電気絶縁性に優れた電気絶縁用立体形状物を提供することを課題とする。また、該電気絶縁用立体形状物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の電気絶縁用立体形状物は、熱可塑性樹脂を含む樹脂シートが少なくとも曲げ加工された電気絶縁用立体形状物であって、
前記樹脂シートが、前記熱可塑性樹脂として結晶性熱可塑性樹脂と非結晶性熱可塑性樹脂とを含み、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度が前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いことを特徴とする。
本発明に係る電気絶縁用立体形状物は、前記結晶性熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を含み、且つ、前記非結晶性熱可塑性樹脂として少なくともポリスルホン樹脂又はポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂のいずれか一方を含むことが好ましい。
本発明に係る電気絶縁用立体形状物は、前記結晶性熱可塑性樹脂として、分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂を含むことが好ましい。
本発明に係る電気絶縁用立体形状物は、前記非結晶性熱可塑性樹脂としてポリスルホン樹脂を含み、該ポリスルホン樹脂が、分子中に複数のエーテル結合及び複数の芳香族炭化水素を有するポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂であることが好ましい。
本発明に係る電気絶縁用立体形状物においては、前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点が200℃以上であり、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度が250℃以上であることが好ましい。
本発明に係る電気絶縁用立体形状物の製造方法は、非結晶性熱可塑性樹脂と該非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高い融解温度を有する結晶性熱可塑性樹脂とを含む樹脂シートを作製するシート作製工程と、
前記樹脂シートを少なくとも曲げ加工することにより前記樹脂シートを立体形状に形成する立体加工工程とを実施することを特徴とする。
本発明の電気絶縁用立体形状物は、立体加工における成形性に優れしかも比較的高い温度においても電気絶縁性に優れているという効果を奏する。また、本発明の電気絶縁用立体形状物の製造方法は、立体加工における成形性に優れしかも比較的高い温度においても電気絶縁性に優れた電気絶縁用立体形状物を得ることができるという効果を奏する。
樹脂シートが曲げ加工された電気絶縁用立体形状物を模式的に表した図。 電気絶縁用立体形状物の断面を模式的に示した断面図。 成形性の評価(幅/深さアスペクト比)のために用いた絞り加工用メス側金具の断面を示す断面図。
以下、本発明に係る電気絶縁用立体形状物の一実施形態について説明する。
本実施形態の電気絶縁用立体形状物は、熱可塑性樹脂を含む樹脂シートが少なくとも曲げ加工された電気絶縁用立体形状物であって、
前記樹脂シートが、前記熱可塑性樹脂として結晶性熱可塑性樹脂と非結晶性熱可塑性樹脂とを含み、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度が前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いものである。
前記結晶性熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)及び融解温度(Tm)の両方を有する高分子化合物である。
一方、前記非結晶性熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)を有し融解温度(Tm)を有さない高分子化合物である。
前記結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)及び融解温度(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるものである。
前記示差走査熱量測定(DSC)は、JIS K7121に従って行う。詳しくは、前記示差走査熱量測定(DSC)は、測定用試料約5mgを秤量し、昇温速度10℃/分にて行う。
前記結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)は、JIS K7121における中間点ガラス転移温度によって規定する。また、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)は、JIS K7121における融解温度(融解ピーク温度)によって規定する。
前記電気絶縁用立体形状物の前記樹脂シートは、結晶性熱可塑性樹脂と、非結晶性熱可塑性樹脂とを含み、しかも、結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)が、非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高い。
前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)が非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高いことから、使用される温度が非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点を超える比較的高い温度であっても、結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)より低い環境下であれば、立体形状物における結晶性熱可塑性樹脂が融解しない。従って、立体形状物の弾性低下が抑制され、比較的高い温度であっても立体形状物の形状が維持される。これにより、比較的高い温度環境下であっても立体形状物の電気絶縁性が維持されることとなる。
前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)は、250℃以上であることが好ましい。融解温度(Tm)が250℃以上であることにより、電気絶縁用立体形状物が電気絶縁性及び立体加工における成形性に優れつつ、電気絶縁用立体形状物が比較的高い温度で使用されても、電気絶縁用立体形状物の弾性がより低下しにくいという利点がある。
なお、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)は、通常、300℃以下である。
前記結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点は、通常、30〜130℃である。
前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度(Tm)と、前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)との差は、80℃以上200℃以下であることが好ましく、80℃以上100℃以下であることがより好ましい。
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、分子中で芳香族炭化水素−エーテル結合−芳香族炭化水素−エーテル結合−芳香族炭化水素−ケトン結合の基本構造が繰り返されてなる芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、分子中に複数の芳香族炭化水素及び複数のスルフィド結合(−S−)を有するポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、分子中に複数のオキシメチレン(−CH2O−)基を有するポリアセタール(POM)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、比較的融解温度(Tm)が高く結晶性も比較的高いという点で、ポリアミド樹脂が好ましい。
前記ポリアミド樹脂は、少なくともポリアミン化合物とポリカルボン酸化合物とが脱水縮合により重合されてなるものである。
前記ポリアミド樹脂としては、分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂、分子中に炭化水素として脂肪族炭化水素のみを有する脂肪族ポリアミド樹脂が挙げられる。なかでも、前記樹脂シートがより耐熱性に優れたものになり得るという点で、分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。前記ポリアミド樹脂が、分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂であることにより、電気絶縁用立体形状物が、優れた電気絶縁性を有しつつ、より優れた耐熱性をも有するという利点がある。
また、分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂としては、分子中に炭化水素として芳香族炭化水素のみを有する全芳香族ポリアミド樹脂、分子中に炭化水素として脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素の両方を有する半芳香族ポリアミド樹脂等が挙げられる。
分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂としては、樹脂シートがより耐熱性に優れるという点で、前記半芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。
前記ポリアミド樹脂の重合において用いられる前記ポリアミン化合物としては、具体的には、例えば、ジアミン化合物が挙げられる。
該ジアミン化合物としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を含む脂肪族ジアミン、環状の飽和炭化水素基を含む脂環族ジアミン、芳香族炭化水素基を含む芳香族ジアミンなどが挙げられる。
前記脂肪族ジアミン、前記脂環族ジアミン、又は前記芳香族ジアミンとしては、例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。なお、下記式(1)中のR1は、炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基、若しくは環状飽和炭化水素を含む炭素数4〜12の脂環族炭化水素基を表しているか、又は、芳香族環を含む炭化水素基を表している。
2N−R1−NH2 ・・・(1)
前記脂肪族ジアミンとしては、樹脂シートの電気絶縁性がより優れたものになり得るという点で、式(1)においてR1の炭素数が9のノナンジアミンが好ましく、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを混合したものがより好ましい。
前記芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどが挙げられる。
前記ポリアミド樹脂の重合において用いられる前記ポリカルボン酸化合物としては、具体的には、例えば、ジカルボン酸化合物が挙げられる。
該ジカルボン酸化合物としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を含む脂肪族ジカルボン酸、環状の飽和炭化水素基を含む脂環族ジカルボン酸、芳香族炭化水素基を含む芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸、前記脂環族ジカルボン酸、又は前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。なお、下記式(2)中のR2は、炭素数4〜25の脂肪族炭化水素基、若しくは環状飽和炭化水素を含む炭素数4〜12の脂環族炭化水素基を表しているか、又は、芳香族環を含む炭化水素基を表している。
HOOC−R2−COOH ・・・(2)
前記脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、該芳香族ジカルボン酸としては、前記ポリアミド樹脂の耐熱性がより優れたものになり得るという点で、テレフタル酸が好ましい。
前記ポリアミド樹脂は、上述したジアミン化合物の1種とジカルボン酸化合物の1種とが重合してなるものであってもよく、それぞれの化合物の複数種を組み合わせて重合してなるものであってもよい。また、要すれば、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物以外のものがさらに重合されてなるものであってもよい。
前記ポリアミド樹脂としては、上述したように前記半芳香族ポリアミド樹脂が好ましく、該半芳香族ポリアミド樹脂としては、ジアミン化合物としての脂肪族ジアミンと、ジカルボン酸化合物としての芳香族ジカルボン酸とが重合してなるものがより好ましく、脂肪族ジアミンとしてのノナンジアミンと、芳香族ジカルボン酸としてのテレフタル酸とが重合してなるもの(PA9T)が特に好ましい。
前記樹脂シートにおいては、前記ポリアミド樹脂の含有割合が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
前記ポリアミド樹脂の含有割合が10質量%以上であることにより、電気絶縁用立体形状物が、優れた電気絶縁性を有しつつ、より優れた耐熱性をも有するという利点という利点がある。また、前記ポリアミド樹脂の含有割合が80質量%以下であることにより、絞り加工などの曲げ加工において、前記樹脂シートの伸びがより良好なものとなり、前記樹脂シートが立体形状物に加工されたときの形状の転写性がより優れたものになるという利点がある。
前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)は、上述した方法と同様にして、JIS K7121に従い示差走査熱量測定(DSC)によって決定する。
前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点は、200℃以上であることが好ましい。非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点が200℃以上であることにより、電気絶縁用立体形状物が電気絶縁性及び立体加工における成形性に優れつつ、電気絶縁用立体形状物が比較的高い温度で使用されても、電気絶縁用立体形状物の弾性がより低下しにくいという利点がある。
なお、前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点は、通常、250℃未満である。
前記非結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスルホン樹脂;分子中に複数の芳香族炭化水素とイミド結合とエーテル結合とを有するポリエーテルイミド(PEI)樹脂;分子中に複数のイミド結合及び複数のアミド結合を有する熱可塑性ポリアミドイミド樹脂;アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合体(ABS樹脂)などの芳香族含有ビニル系樹脂;ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとが反応してなる熱可塑性のポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂;分子中で芳香族炭化水素−エーテル結合の基本構造が繰り返されてなるポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂などのポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂;ポリシクロオレフィン樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;等が挙げられる。
前記非結晶性熱可塑性樹脂としては、前記樹脂シートの伸びがより良好なものとなり、前記樹脂シートが立体形状物に加工されたときの形状の転写性(即ち、成形性)がより優れたものになるという点、また、電気絶縁用立体形状物が比較的高い温度で使用されても電気絶縁用立体形状物の弾性がより低下しにくく、立体形状物の電気絶縁性がより優れたものになるという点で、前記ポリスルホン樹脂及び前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂のうちの少なくとも1種が好ましい。
前記ポリスルホン樹脂は、分子中に複数のスルホニル基を有するものである。即ち、スルホニル基(−SO2−)を複数含む分子構造を有するものである。
前記ポリスルホン樹脂としては、分子中に複数のエーテル結合(−O−)をさらに有するポリエーテルスルホン樹脂、又は、分子中に複数の芳香族炭化水素をさらに有するポリフェニルスルホン樹脂などが挙げられる。また、分子中に複数のエーテル結合と複数の芳香族炭化水素とをさらに有するポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂が挙げられる。
前記ポリスルホン樹脂としては、前記樹脂シートを立体的に加工するときの前記樹脂シートの成形性がより良好なものになるという点で、前記ポリエーテルスルホン樹脂又は前記ポリフェニルスルホン樹脂が好ましく、前記ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂がより好ましい。
前記ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂としては、下記式(3)の分子構造を有するものが好ましい。
Figure 2014080527
前記ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、BASF社製の「ウルトラゾーンEシリーズ」、ソルベイ社製の「レーデルAシリーズ」、住友化学社製の「スミカエクセルシリーズ」等を用いることができる。
前記樹脂シートにおいては、前記ポリスルホン樹脂の含有割合が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、前記ポリスルホン樹脂の含有割合が90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
前記ポリスルホン樹脂の含有割合が20質量%以上であることにより、樹脂シートを立体的に加工するときの樹脂シートの成形性がより良好なものになるという利点がある。また、前記ポリスルホン樹脂の含有割合が80質量%以下であることにより、電気絶縁用立体形状物が比較的高い温度で使用されても電気絶縁用立体形状物の弾性がより低下しにくいという利点がある。
また、前記非結晶性熱可塑性樹脂としては、上述したように、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとが反応してなる熱可塑性のポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂が好ましい。
前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとが反応してなる高分子化合物である。
前記ビスフェノール類としては、ビスフェノールAが好ましい。
前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、新日鉄エポキシ製造社製の「フェノトートシリーズ」等を用いることができる。
前記樹脂シートにおいては、前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂の含有割合が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂の含有割合が90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂の含有割合が20質量%以上であることにより、樹脂シートを立体的に加工するときの樹脂シートの成形性がより良好なものになるという利点がある。また、前記ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂の含有割合が80質量%以下であることにより、電気絶縁用立体形状物が比較的高い温度で使用されても電気絶縁用立体形状物の弾性がより低下しにくく、立体形状物の電気絶縁性がより優れたものになるという利点がある。
前記樹脂シートは、前記結晶性熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を含み、且つ、前記非結晶性熱可塑性樹脂としてポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂を含むことが好ましい。斯かる樹脂シートであることにより、該樹脂シートが少なくとも曲げ加工された電気絶縁用立体形状物がポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂のガラス転移点(Tg)より高い温度で使用されたとしても、結晶性を有するポリアミド樹脂によって電気絶縁用立体形状物の熱収縮率を抑制でき、立体形状物の形状をより確実に維持できることから、立体形状物の電気絶縁性がより優れたものになるという利点がある。
前記樹脂シートの厚みは、特に限定されるものではなく、通常、1μm〜500μmである。
前記樹脂シートは、引張伸び率が45%より大きいことが好ましく、100%以上であることがより好ましい。引張伸び率が45%より大きいことにより、樹脂シートを立体的に加工するときの樹脂シートの成形性がより良好なものになるという利点がある。また、引張伸び率は、通常、150%以下である。
なお、樹脂シートの引張伸び率は、JIS K7161に準じて、実施例に記載された方法によって測定することにより求める。
前記樹脂シートの引張伸び率は、例えば、シート状に成形した樹脂シートをより急激に冷却することにより、大きくすることができる。また、該引張伸び率は、例えば、樹脂シートにおける非結晶性熱可塑性樹脂の割合を多くすることにより、大きくすることができる。
前記樹脂シートには、本発明の効果を損ねない範囲において、種々の添加剤が配合されていても良い。
該添加剤としては、例えば、ポリブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、パークロロシクロデカンなどの塩素系難燃剤、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステルなどのリン系難燃剤、ホウ素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの酸化物系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物、フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウムといった無機フィラー、ガラス繊維などの無機繊維、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などの一般的なプラスチック用配合成分などが挙げられる。また、芳香族ポリアミド繊維、数nm〜数百nmの粒径のモンモリロナイトなどが挙げられる。これら添加剤は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部用いることができる。
前記樹脂シートは、さらなるシート状物を備えていないことが好ましい。即ち、前記樹脂シートは、前記結晶性熱可塑性樹脂と前記非結晶性熱可塑性樹脂とを含むシート状物のみからなることが好ましい。斯かる構成により、樹脂シートを曲げ加工したときの形状転写性、即ち、成形性がより優れたものになるという利点がある。
次に、前記電気絶縁用立体形状物について、図面を参照しながら説明する。
図1は、前記電気絶縁用立体形状物の一具体例を樹脂シート2の片面側から見た図である。図1においては、樹脂シートの一部が略L字状に手前側に突出してなる電気絶縁用立体形状物が示されている。また、図2は、本実施形態の電気絶縁用立体形状物を樹脂シート2の厚み方向に切断した断面、即ち、図1のZ−Z線における断面を模式的に示した断面図である。
前記電気絶縁用立体形状物1は、図1及び図2に示すように、前記樹脂シート2が少なくとも曲げ加工されることにより、立体的な形状に形成されている。
前記電気絶縁用立体形状物1としては、具体的には例えば、図1に示すように、前記樹脂シート2を絞り加工することによって、略L字状の溝部が形成されたもの等が挙げられる。
前記電気絶縁用立体形状物1は、前記結晶性熱可塑性樹脂と前記非結晶性熱可塑性樹脂とを含む樹脂シート2のみからなることが好ましい。即ち、前記電気絶縁用立体形状物1としては、1枚の前記樹脂シート2が絞り加工などの曲げ加工によって立体的に加工されたものが好ましい。1枚の前記樹脂シート2のみが立体的に加工されていることにより、樹脂シート2に貼り合わせ部分がないため、貼り合わせ部分の剥がれが生じないという利点がある。貼り合わせ部分の剥がれが生じないことにより、剥がれに伴う漏電が生じにくく、従って、電気絶縁用立体形状物1の電気絶縁性がより優れたものになる。
前記電気絶縁用立体形状物1は、JIS K6911に基づいて測定した電気絶縁性の指標としての絶縁破壊電圧(BDV)の値が、通常、2kV以上20kV以下のものである。
続いて、本発明に係る電気絶縁用立体形状物の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の電気絶縁用立体形状物1の製造方法は、非結晶性熱可塑性樹脂と該非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高い融解温度を有する結晶性熱可塑性樹脂とを含む樹脂シート2を作製するシート作製工程と、
前記樹脂シート2を少なくとも曲げ加工することにより前記樹脂シート2を立体形状に形成する立体加工工程とを実施することにより、前記電気絶縁用立体形状物1を製造するものである。
前記シート作製工程においては、前記結晶性熱可塑性樹脂と前記非結晶性熱可塑性樹脂とを含む前記樹脂シート2を作製する。
具体的には、前記シート作製工程においては、例えば、前記結晶性熱可塑性樹脂と前記非結晶性熱可塑性樹脂とを所定温度に加熱しながら混合し、混合したものを従来公知の一般的な方法によってシート状に成形することにより、樹脂シート2を作製する。
前記シート作製工程においては、例えば、ニーダー、加圧ニーダー、混練ロール、バンバリーミキサー、二軸押し出し機などの一般的な混合手段によって、前記結晶性熱可塑性樹脂と前記非結晶性熱可塑性樹脂とを混合する。
前記シート作製工程における混合の温度としては、前記結晶性熱可塑性樹脂及び前記非結晶性熱可塑性樹脂を混練できる温度であれば特に限定されず、通常、250〜350℃が採用される。
前記シート作製工程においては、例えば、上述した前記結晶性熱可塑性樹脂と前記非結晶性熱可塑性樹脂とを混合したものを、T−ダイを取り付けた押出機によってシート状に押し出すこと等によりシート状に成形した樹脂シート2を得る。
前記シート作製工程においては、通常、250〜350℃にて樹脂シートを成形する。
前記シート作製工程においては、通常、シート状に成形した樹脂シートを室温まで冷却する。
前記シート作製工程においては、シート状に成形した樹脂シートを急冷によって冷却することが好ましい。急冷は、シート状に成形した樹脂シートを成形時の温度より150℃以上低い温度環境下におくことにより行うことが好ましく、200℃以上低い温度環境下におくことにより行うことがより好ましく、250℃以上低い温度環境下におくことにより行うことがさらに好ましい。また、急冷は、通常、シート状に成形した樹脂シートを0℃以上の温度環境下におくことにより行う。
シート状に成形した樹脂シートを急冷することにより、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化が抑制されるため、樹脂シート2の引張伸び率がより高いものとなり、樹脂シート2が曲げ加工されるときに与えられる力に追随してより変形しやすくなり、従って、電気絶縁用立体形状物1の成形性がより優れたものになるという利点がある。
具体的には、前記シート作製工程においては、例えば、シート状に成形した250〜350℃の樹脂シートを3秒以内に0〜25℃の温度環境下におくことにより急冷を行うことができる。
前記立体加工工程においては、様々な方法によって前記樹脂シート2を曲げ加工し、樹脂シート2を立体形状に形成する。
前記立体加工工程における曲げ加工の方法としては、具体的には例えば、折り曲げ加工、絞り加工などが採用される。
前記絞り加工においては、例えば、加熱プレス加工、真空成形加工、圧空成形加工、真空圧空成形加工等が採用される。
なお、前記電気絶縁用立体形状物1の製造方法においては、前記シート作製工程を実施しつつ前記立体加工工程を実施することができる。即ち、前記シート作製工程において前記樹脂シート2を作製しつつ、前記立体加工工程において樹脂シート2を所定の立体的な形状になるように成形することができる。
前記電気絶縁用立体形状物1は、電気絶縁性を有する点を利用して、例えば、自動車などにおけるモーター用の電気絶縁用部材、変圧器(トランス)用の電気絶縁用部材、バスバー用の電気絶縁用部材などにおいて使用することができる。
本実施形態の電気絶縁用立体形状物は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の電気絶縁用立体形状物及び電気絶縁性樹脂シートに限定されるものではない。
また、一般の電気絶縁用立体形状物及び電気絶縁性樹脂シートにおいて用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、下記の原料を用意した。
「分子中に窒素を有する結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリアミド(PA)樹脂
(分子中にテレフタル酸単位及びノナンジアミン単位を有するPA9T)
(クラレ社製 商品名「ジェネスタN1000A」)
ガラス転移点(Tg):125℃、融解温度(Tm):306℃
「非結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリスルホン樹脂:ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂(PES)樹脂
(分子中にスルホニル基、エーテル結合、及び芳香族炭化水素を複数有し且つ式(3)の分子構造を有する)
(ソルベイ社製 商品名「レーデルA−300A」)を用いた。
ガラス転移点(Tg):223℃
「シート作製工程」
次に、PA樹脂、PES樹脂がPA/PES=20/80の質量比になるように、2軸混練機(テクノベル社製)を用いて310℃で混合し、樹脂混合物を調製した。
続いて、樹脂混合物を押出成形により310℃で100μm厚のシート状に成形し、310℃のシートを直ち(3秒以内)に室温(20℃)の環境下に置くことにより急冷し、樹脂シートを作製した。
「立体加工工程」
作製した樹脂シートを真空圧空成形機(トーコー社製「FVS−500」)を用いて、ヒーターによってシート表面温度が200〜280℃となるように調整しつつ、5秒間絞り加工することにより、樹脂シートを立体的形状に加工した。加工条件は、圧力0.08MPa、絞り深さ(B)15mm、幅(C)15mmとした。このようにして、図1及び図2に示す形状の電気絶縁用立体形状物を製造した。
(実施例2)
まず、下記の原料を用意した。
「分子中に窒素を有する結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリアミド(PA)樹脂(構成モノマー:
ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、テレフタル酸)
(デュポン社製 商品名「ザイテルHTN501」)
ガラス転移点(Tg):125℃、融解温度(Tm):305℃
「非結晶性熱可塑性樹脂」
・熱可塑性のポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂
(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとが反応したもの、
重量平均分子量:52000)
(新日鉄エポキシ製造社製 商品名「フェノトートYP−50」)
ガラス転移点(Tg):110℃
「シート作製工程」
「ザイテルHTN501」(PA樹脂)/「フェノトートYP−50」(ポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂)=60/40の質量比になるように、2軸混練機(テクノベル社製)を用いて310℃で混合し、樹脂混合物を調製した。
続いて、樹脂混合物を押出成形により310℃で100μm厚のシート状に成形し、該成形したシート状の成形物を、180℃に加熱された1対のローラ(400φ 15m/分の送り速度)の間を通し、一方のローラの半周長さ接触するように送り、室温まで冷却し、樹脂シートを作製した。なお、310℃にて成形したシート状の成形物が、180℃の1対のローラから離れるまでの時間は、2.5秒であった。
「立体加工工程」
その後、実施例1と同様にして樹脂シートを絞り加工することにより、電気絶縁用立体形状物を製造した。
(実施例3)
シート作製工程において、310℃にて成形したシート状の成形物を、180℃に加熱された1対のローラ(400φ 11m/分の送り速度)の間を通し、一方のローラの半周長さ接触するように送り、室温まで冷却した点以外は、実施例1と同様にして電気絶縁用立体形状物を製造した。なお、310℃にて成形したシート状の成形物が、180℃の1対のローラから離れるまでの時間は、3.4秒であった。
(比較例1)
樹脂シートとして下記のものを用いた。
「結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム
(東レ社製 商品名「ルミラーS−10」 100μm厚)
樹脂シートを実施例1の立体加工工程と同様にして立体的形状に加工することにより、立体形状物を製造した。
(比較例2)
樹脂シートとして下記のものを用いた。
「結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルム
(帝人デュポンフィルム社製 商品名「テオネックスQ51」 100μm厚)
樹脂シートを実施例1の立体加工工程と同様にして立体的形状に加工することにより、立体形状物を製造した。
(比較例3)
樹脂シートとして下記のものを用いた。
「結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂フィルム
(東レ社製 商品名「トレリナ」 100μm厚)
樹脂シートを実施例1の立体加工工程と同様にして立体的形状に加工することにより、立体形状物を製造した。
(比較例4)
樹脂シートとして下記のものを用いた。
「非結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリエーテルイミド(PEI)樹脂フィルム
(SABIC社製 商品名「ウルテム」 100μm厚)
樹脂シートを実施例1の立体加工工程と同様にして立体的形状に加工することにより、立体形状物を製造した。
(比較例5)
樹脂シートとして下記のものを用いた。
「非結晶性熱可塑性樹脂」
・ポリスルホン樹脂:ポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂(PES)樹脂
(ソルベイ社製 商品名「レーデルA−300A」)
・ポリエーテルイミド(PEI)樹脂
(SABIC社製 商品名「ウルテム1000」)
「シート作製工程」
PES樹脂/PEI樹脂=80/20の質量比になるように、2軸混練機(テクノベル社製)を用いて310℃で混合し、樹脂混合物を調製した。
続いて、樹脂混合物を押出成形により310℃で100μm厚のシート状に成形し、310℃のシート状の成形物を実施例2と同様に室温にて放置することにより冷却し、樹脂シートを作製した。
「立体加工工程」
その後、実施例1と同様にして樹脂シートを絞り加工することにより、電気絶縁用立体形状物を製造した。
(参考例)
まず、厚みが50μmである点以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。さらに、全芳香族ポリアミド紙(デュポン社製 商品名「ノーメックスT410」 50μm厚)を用意した。そして、全芳香族ポリアミド紙を、作製した樹脂シートに貼り付けた。
詳しくは、作製した樹脂層の片面側に上記の全芳香族ポリアミド紙を配置した状態のものを2枚の金属板で挟み、350℃に加熱した熱プレス機を用いて、圧力200N/cm2で60秒間プレスし、樹脂シートと全芳香族ポリアミド紙とが積層された100μm厚のシート材を作製した。
作製したシート材を実施例1の立体加工工程と同様にして立体的形状に加工することにより、立体形状物を製造した。
<成形性の評価(深さトレース率)>
立体形状物における成形性を評価すべく、樹脂シートを絞り加工した後における転写された形状の精度を下記のように深さトレース率によって評価した。
即ち、溝部の深さBが15mmとなるように構成された絞り加工用のメス側金型のギャップに対して、図2に示すように、製造された後の立体形状物の溝部の深さBを計測し、該計測した値の、金型のギャップに対する値(百分率)を算出した。なお、溝部の幅Cが15mmとなるように構成された金型を用いた。
<成形性の評価(幅/深さアスペクト比)>
下記のようにして、幅/深さアスペクト比を求めることによって立体形状物における成形性を評価した。
即ち、図2に示すような立体形状物を製造すべく、図3に示す絞り加工用のメス側の金型と、該金型の凹部にはまり込む形状のオス側の金型を用い、各実施例及び各比較例にて作製した樹脂シートについて、深さを4mm〜10mmの間で変えて絞り加工を行い、樹脂シートの破れがなく絞り加工できたときの最大深さを求め、メス側の金型の開口幅(10mm)/最大深さによって、幅/深さアスペクト比を求めた。幅/深さアスペクト比が小さいほど、成形性が良好であることを示す。
<樹脂シートの初期引張伸び率の測定>
JIS K7161に準じて、23℃において、引張速度200mm/分、標線150mmの引張条件にて、樹脂シートの押出方向(MD方向)について引張ひずみ(初期引張伸び率%)を測定した。
<樹脂シートの加熱後寸法変化の測定>
樹脂シートを100mm×100mmの正方形状に切り取り、100℃にて2時間置くことにより前処理を施した。前処理の直後に押出方向(MD方向)及び直交方向(TD方向)のそれぞれの長さを測定した。
そして、前処理後の樹脂シートを30分間、240℃にて加熱し、下記の式によって熱収縮率を算出し、加熱後の寸法変化を評価した。
加熱後寸法変化(熱収縮率)%=
{(加熱前の長さ)−(加熱後の長さ)}×100/(加熱前の長さ)
各評価試験の結果を表1に示す。


Figure 2014080527
<電気絶縁性(絶縁破壊電圧(BDV))の評価>
立体形状物において、図1のAに示す部分の絶縁破壊電圧(BDV)をJIS K6911に基づいて220℃にて測定した。詳しくは、先端の曲率半径がR=5であり断面直径が10mmφの丸棒電極を用い、100V/秒の昇圧速度で、電流値25mmA Cut−offの条件にて測定した。
斯かる絶縁破壊電圧の値は、比較例4及び5において5kV未満であったが、それ以外においては、いずれも5kV以上であった。
表1から把握されるように、実施例の電気絶縁用立体形状物は、220℃といった比較的高い温度においても電気絶縁性に優れつつ立体加工における成形性に優れていた。
本発明の電気絶縁用立体形状物及び本発明の製造方法で製造された電気絶縁用立体形状物は、立体的形状を有する電気絶縁性部材などとして好適に用いられ得る。具体的には、例えば、モーターのコイル線の周囲に配される電気絶縁用部材、トランス、バスバー、コンデンサ、ケーブル用の電気絶縁用部材、又は、電子回路基板の絶縁部材などの用途に好適である。
1:電気絶縁用立体形状物、 2:樹脂シート。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を含む樹脂シートが少なくとも曲げ加工された電気絶縁用立体形状物であって、
    前記樹脂シートが、前記熱可塑性樹脂として結晶性熱可塑性樹脂と非結晶性熱可塑性樹脂とを含み、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度が前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いことを特徴とする電気絶縁用立体形状物。
  2. 前記結晶性熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を含み、且つ、前記非結晶性熱可塑性樹脂として少なくともポリスルホン樹脂又はポリヒドロキシポリエーテルフェノキシ樹脂のいずれか一方を含む請求項1に記載の電気絶縁用立体形状物。
  3. 前記結晶性熱可塑性樹脂として、分子中に芳香族炭化水素を有する芳香族ポリアミド樹脂を含む請求項1又は2に記載の電気絶縁用立体形状物。
  4. 前記非結晶性熱可塑性樹脂としてポリスルホン樹脂を含み、該ポリスルホン樹脂が、分子中に複数のエーテル結合及び複数の芳香族炭化水素を有するポリエーテルポリフェニルスルホン樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気絶縁用立体形状物。
  5. 前記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点が200℃以上であり、前記結晶性熱可塑性樹脂の融解温度が250℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気絶縁用立体形状物。
  6. 非結晶性熱可塑性樹脂と該非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高い融解温度を有する結晶性熱可塑性樹脂とを含む樹脂シートを作製するシート作製工程と、
    前記樹脂シートを少なくとも曲げ加工することにより前記樹脂シートを立体形状に形成する立体加工工程とを実施する電気絶縁用立体形状物の製造方法。
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