JP2014078614A - リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】巻線を巻回してなるコイル2と、そのコイル2の内部に挿通される磁性コア3と、コイル2の端面に当接して、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する枠状ボビン4Aと、これらコイル2および磁性コア3の組合体1Aを収納する有底筒状のケース6と、を備えるリアクトル1である。このリアクトル1に備わる枠状ボビン4Aは、ケース6の所定位置に組合体1Aを配置する際に組合体1Aを持つために利用される把手部44Aを備え、その把手部44Aは、ケース6の開口縁部に引っ掛からないように構成されている。
【選択図】図1
Description
図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。図1に示すリアクトル1は、コイル2と磁性コア3と枠状ボビン4Aの組合体1Aをケース6に収納して状態で封止樹脂6Rにより封止した構成を備える。このリアクトル1の特徴とするところは、リアクトル1を構成する組合体1Aに備わる枠状ボビン4Aに把手部44Aが設けられていることにある。以下、本実施形態1のリアクトル1の各構成を詳細に説明する。
組合体1Aは、図3の分解斜視図に示すように、巻線を巻回してなるコイル2、このコイル2の内部に挿入される磁性コア3、およびコイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する一対の枠状ボビン4Aを備えていれば良い。これら組合体1Aを構成する部材2,3,4Aのうち、コイル2と磁性コア3には公知の構成を利用できる。一方、枠状ボビン4Aの構成も、把手部44A以外の部分については公知の構成を利用できる。
コイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結するコイル素子連結部2rと、を備える。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。また、コイル素子連結部2rは、両コイル素子2A,2Bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各コイル素子2A,2Bを別々の巻線により作製し、各コイル素子2A,2Bの巻線の端部同士を半田付けや圧着などにより接合することで形成しても良い。その場合、接合した部分がコイル素子連結部2rとなる。
磁性コア3は、各コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31,31と、コイル2から露出されている一対の外側コア部32,32とを環状に組み合わせて形成される。
本実施形態では、コイル2(コイル素子2A,2B)の端面と外側コア部32との間の絶縁を確保する枠状ボビン4Aは、筒状ボビン4Zと一体化されたボビン部材5の形態で用いられる。筒状ボビン4Zは、コイル2(コイル素子2A,2B)の内周面と内側コア部31との間の絶縁を確保する部材である。もちろん、枠状ボビン4Aと筒状ボビン4Zとを別個に用意し、コイル2と磁性コア3に組み付けても構わない。
ケース6は、図1,2に示すように、その内部に組合体1Aを収納することができる箱状の部材である。本実施形態では、ケース6は、組合体1Aを載置する底板部60と、底板部60とは別個に作製された側壁部61と、で構成される。つまり、側壁部61を後から底板部60に取り付けることでケース6が形成される。もちろん、底板部60と側壁部61とが最初から繋ぎ目なく一体となったものであっても構わない。その他、ケース6として、コンバータケースを利用することもできる。
底板部60は、組合体1Aを支持しつつ、組合体1Aからリアクトル1の取付対象(例えば、冷却ベース)への放熱経路として機能する板状の部材である。具体的には、底板部60の一面側(紙面上方側)が組合体1Aを搭載する搭載面であり、底板部60の他面側(紙面下方側)がリアクトル1を冷却する冷却ベース(図示せず)への取付面である。
側壁部61は、上方と下方に開口部を有する筒状の部材である。この側壁部61の下方縁部にはフランジ部61Fが設けられている。フランジ部61Fの輪郭形状は、上述した底板部60の輪郭形状にほぼ一致し、そのフランジ部61Fには、底板部の第一取付孔H1に対応する位置に第二取付孔H2が形成されている。第二取付孔H2は、側壁部61に埋め込まれるカラーによって形成されている。側壁部61の第二取付孔H2にネジを打てば、ネジが、第二取付孔H2と底板部60の第一取付孔H1を貫通し、リアクトル1を冷却ベースに取り付けることができる。
封止樹脂6Rは、図1に示すように、組合体1Aを収納したケース6の内部に充填され、ケース6内での組合体1Aの位置を固定すると共に、組合体1Aを機械的な衝撃や腐食雰囲気から保護するものである。また、封止樹脂6Rは、リアクトル1を動作させたときに組合体1Aで発生した熱をケース6側に逃がす放熱経路としての役割も持つ。なお、封止樹脂6Rは必須ではない。
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
以上説明したリアクトル1は、例えば、次に示す工程α〜γに従って作製することができる。
[α]組合体1Aを作製する。
[β]組合体1Aをケースに収納する。
[γ]ケース内に封止樹脂6Rの充填し、封止樹脂6Rを硬化させる。
以下、各手順を順次説明すると共に、本実施形態のリアクトル1に備わる各構成を詳細に説明する。
組合体1Aの作製手順の一例を図3に基づいて説明する。まず、上述した内側コア部31と外側コア部32とボビン部材5とをそれぞれ一対ずつ用意する。次いで、コイル2の両端側からそれぞれボビン部材5,5をコイル素子2A,2Bの内部に挿入、さらにボビン部材5,5の筒状ボビン4Zの内部に内側コア部31,31を挿入する。そして、内側コア部31,31を外側コア部32,32で挟み込むことで、磁性コア3を完成させる。内側コア部31と外側コア部32とは接着剤を介して接合すれば良い。接着剤を用いることで、リアクトル1(図1参照)の使用時におけるコア部31,32同士の衝突を抑制でき、リアクトル1の使用時の騒音を抑制できる。
上記[α]で作製した組合体1Aをケース6に収納するにあたり、本実施形態では、図2に示すように、ケース6と、絶縁シート7を用意した。まず、用意した部材について説明する。
ケース6については既に説明済である。即ち、本実施形態のケース6は、個別に用意した底板部60と側壁部61とを組み合わせることで形成されるケース6である。
図2に示すように、絶縁シート7は、ケース6の底板部60と組合体1Aとの間に介在されるシート状部材である。絶縁シート7は、非磁性金属からなる底板部60と組合体1Aとの間の絶縁を確保するため部材であって、接着剤などで底板部60に貼り付けられる。絶縁シート7に加えて、絶縁シート7と組合体1Aとの間に接着シート(図示せず)を配置しても良い。接着シートは、その両面が粘着質で柔らかいものとすれば、複雑な凹凸形状を有する組合体1Aを絶縁シート7に強固に密着させることができる。
次に、組合体1Aのケース6内への収納手順を説明する。まず、底板部60の上面に接着剤を用いて絶縁シート7を取り付けると共に、底板部60に側壁部61を接着してケース6を完成させる。絶縁シート7に加えて接着シートを用いる場合、絶縁シート7の上に接着シートを重ねておく。
ケース6への封止樹脂6Rの充填量は、適宜選択することができる。但し、組合体1Aのコイル素子2A,2Bが封止樹脂6Rに埋設されるようにすることが好ましい。図1に示すように、ケース6の側壁部61の縁一杯にまで封止樹脂6Rを充填しても構わない。なお、コイル2の端部2a,2bは、接続端子を接続するために封止樹脂6Rから露出させている。
以上説明した構成を備えるリアクトル1は、生産性に優れる。それは、枠状ボビン4Aに把手部44Aが設けられていることによって、リアクトル1Aの組み立ての過程でケース6の所定位置に組合体1Aを配置する際、コイル2および磁性コア3に触れることなく組合体1Aを扱うことができ、組合体1Aの扱いに過度の慎重さを要求されることがないからである。特に、ケース6の開口部から組合体1Aを挿入する本実施形態の構成では、把手部44Aを手や運搬治具で掴んで組合体1Aを持ち上げ、そのまま組合体1Aをケース6内に挿入するだけで、コイル2や磁性コア3を損傷することなく、ケース6内に組合体1Aを配置できる。
実施形態2では、実施形態1とは異なる形状の把手部44Bを枠状ボビン4Bに設けたリアクトルを図4に基づいて説明する。枠状ボビン4B以外の構成は、実施形態1のリアクトル1と同じであるため、図4では組合体1Bのみを図示し、ケースは省略している(後述する図5〜8も同様)。
実施形態3では、側方延伸タイプの把手部44Cを枠状ボビン4Cに設けたリアクトルを図5に基づいて説明する。
実施形態4では、実施形態3と同じ側方延伸タイプの把手部44Dに切欠き44dを設けたリアクトルを図6に基づいて説明する。
実施形態5では、実施形態3,4と同じ側方延伸タイプの把手部44Eに貫通孔44eを設けたリアクトルを図7に基づいて説明する。
実施形態6では、実施形態3〜5とは異なる方向に張り出した側方延伸タイプの把手部44Fを図8に基づいて説明する。
実施形態1〜6のリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1A,1B,1C,1D,1E,1F 組合体
2 コイル
2A,2B コイル素子 2r コイル素子連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部
5 ボビン部材
4A,4B,4C,4D,4E,4F 枠状ボビン
44A,44B,44C,44D,44E,44F 把手部
44a 屈曲部(係合部) 44b,44e 貫通孔(係合部)
44d 切欠き(係合部)
4Z 筒状ボビン
40 庇部
41 仕切り部
6 ケース
60 底板部 H1 第一取付孔
61 側壁部
61F フランジ部 H2 第二取付孔
6R 封止樹脂
7 絶縁シート
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪
Claims (9)
- 巻線を巻回してなるコイルと、そのコイルの内部に挿通される磁性コアと、前記コイルの端面に当接して、前記コイルと前記磁性コアとの間の絶縁を確保する枠状ボビンと、これらコイルおよび磁性コアの組合体を収納する有底筒状のケースと、を備えるリアクトルであって、
前記枠状ボビンは、前記ケースの所定位置に前記組合体を配置する際に前記組合体を持つために利用される把手部を備え、
前記把手部は、前記組合体を前記ケースに収納した状態で、前記ケースの開口縁部に引っ掛からないように構成されているリアクトル。 - 請求項1に記載のリアクトルであって、
前記把手部は、前記ケースの底面に交差する方向に延びているリアクトル。 - 請求項2に記載のリアクトルであって、
前記コイルは、一対のコイル素子が互いに並列された状態で連結される構成を備え、それらコイル素子は、その軸方向が前記ケースの底面に平行な方向に向いた状態で横並びに前記ケースに収納されているリアクトル。 - 請求項1に記載のリアクトルであって、
前記把手部は、前記ケースの底面に平行な方向に延びているリアクトル。 - 請求項4に記載のリアクトルであって、
前記コイルは、一対のコイル素子が互いに並列された状態で連結される構成を備え、それらコイル素子は、その軸方向が前記ケースの底面に平行な方向に向いた状態で横並びに前記ケースに収納されており、
前記把手部は、前記コイル素子の並列方向に延びているリアクトル。 - 請求項4に記載のリアクトルであって、
前記コイルは、一対のコイル素子が互いに並列された状態で連結される構成を備え、それらコイル素子は、その軸方向が前記ケースの底面に平行な方向に向いた状態で横並びに前記ケースに収納されており、
前記把手部は、前記コイル素子の軸方向に延びているリアクトル。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のリアクトルであって、
前記把手部は、前記ケースの所定位置に前記組合体を配置するための運搬治具を係合させる係合部を備えるリアクトル。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のリアクトルを備えるコンバータ。
- 請求項8に記載のコンバータを備える電力変換装置。
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