JP2014078416A - 電極用バインダー樹脂組成物、電極合剤ペースト、及び電極 - Google Patents

電極用バインダー樹脂組成物、電極合剤ペースト、及び電極 Download PDF

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Abstract

【課題】電池環境下でも膨潤度が小さく、高い靱性を保つことができ、環境適応性が良好である水を溶媒として使用する電極用バインダー樹脂組成物を提供する。
【解決手段】テトラカルボン酸成分とジアミン成分とが反応して得られる、化学式(1)で表される繰返し単位からなるポリアミック酸を溶媒に溶解してなる電極用バインダー樹脂組成物。
Figure 2014078416

ただし、Aの50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基であり、Bの50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基である。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタなどの電気化学素子の電極用のバインダー樹脂組成物に関する。
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるため、移動情報端末の駆動電源などとして広く利用されている。近年は、大容量を必要とする電気・ハイブリッド自動車への搭載など産業用途での使用も広まりつつあり、更なる高容量化や高性能化のための検討がなされている。その試みの一つは、例えば負極活物質として単位体積あたりのリチウム吸蔵量の多いケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金を用いて、充放電容量を増大させようとするものである。
しかし、ケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金のような充放電容量の大きな活物質を用いると、充放電に伴って活物質が非常に大きな体積変化を起こすため、これまでの炭素を活物質として用いた電極で広く用いられていたポリフッ化ビニリデンやゴム系の樹脂をバインダー樹脂として用いたのでは、活物質層が破壊され易くなったり、集電体と活物質層との界面で剥離が発生し易くなったりするために、電極内の集電構造が破壊され、電極の電子伝導性が低下して電池のサイクル特性が容易に低下するという問題があった。
このため、非常に大きな体積変化に対しても電極の破壊や剥離を起こしにくい、電池環境下での靭性が高いバインダー樹脂組成物が望まれている。
特許文献1に記載されているとおり、リチウムイオン二次電池の電極用の結着剤にポリイミド樹脂を用いることは公知である。
特許文献2、特許文献3には、ケイ素合金やスズを含む合金からなる活物質に対して、それぞれ特定の機械的特性を有するバインダー樹脂を用いることが提案されている。しかしながら、ここでは樹脂の具体的な化学構造について開示されていない。
特許文献4には、ケイ素、及びケイ素系合金からなる活物質と、特定の化学構造を有するポリイミド樹脂をバインダーに用いたリチウム二次電池が提案されている。このポリイミド樹脂は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸残基を有するポリイミドであった。
一方、非特許文献1には、電解液に対する電極用のバインダー樹脂の膨潤度が小さいほど充放電サイクルに伴う放電容量保持率が高くなるので好ましいことが示されている。
さらに、非特許文献2では、リチウム電池内における電解液の還元分解反応が解析されており、電極表面でメトキシリチウムなどが生成することが確認されている。すなわち、電池環境下では、電解液中に強アルカリ性でバインダー樹脂に悪影響を与える可能性があるメトキシリチウムが含まれている。
また、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンから得られる芳香族ポリイミドは、有機溶媒への溶解性が悪いので、通常は、ポリイミド前駆体のポリアミック酸を有機溶媒に溶解した溶液組成物を、例えば基材表面上に塗布し、次いで高温で加熱して脱水閉環(イミド化)させることで芳香族ポリイミドを得ている。このように有機溶媒を用いることや高温での加熱処理が必要なことから環境面で必ずしも好適ではなく、場合によっては用途が限定されることもある。
特開平6−163031号公報 WO2004/004031号公報 特開2007−149604号公報 特開2008−34352号公報
日立化成テクニカルレポート第45号(2005年7月) 吉田浩明他、リチウム電池用炭酸エステル混合電解液の分解反応、第35回電池討論会 講演要旨集、日本、電気化学協会電池技術委員会、1994年11月14日、p.75−76
本発明の目的は、電池環境下でも膨潤度が小さく、高い靱性を保つことができるバインダー樹脂を得ることができる、電極用バインダー樹脂組成物を提案することである。また、環境適応性が良好である水を溶媒として使用する電極用バインダー樹脂組成物を提供することである。
すなわち、本発明は以下の項に関する。
1. テトラカルボン酸成分とジアミン成分とが反応して得られる、下記化学式(1)で表される繰返し単位からなるポリアミック酸を溶媒に溶解してなる電極用バインダー樹脂組成物。
Figure 2014078416
化学式(1)において、
Aは、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、及びフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基からなる群から選択される1種以上であり、
Bは、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及びフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基からなる群から選択される1種以上であり、
ただし、Aの50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基であり、50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基であり、及び/又は
Bの50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基であり、50モル%以下が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基である。
2. 溶媒が、ポリアミック酸のテトラカルボン酸成分に対して1.6倍モル以上のイミダゾール類を溶解した水であることを特徴とする、前記項1に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
3. イミダゾール類が、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、及び1−メチル−4−エチルイミダゾールからなる群から選択されるイミダゾール類であることを特徴とする前記項2に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
4. 有機溶媒の含有量が5質量%未満であることを特徴とする前記項2または3に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
5. 有機溶媒を実質的に含まないことを特徴とする前記項4に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
6. 溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンであることを特徴とする、請求項1に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
7. 加熱処理して得られるバインダー樹脂が、25℃で24時間ジメチルカーボネートに浸漬したときの質量増加が2.0質量%以下であることを特徴とする前記項1〜6のいずれかに記載の電極用バインダー樹脂組成物。
8. 電極活物質と前記項1〜7のいずれかに記載の電極用バインダー樹脂組成物とを含む電極合剤ペースト。
9. 電極活物質が炭素粉末、ケイ素粉末、スズ粉末、またはケイ素若しくはスズを含む合金粉末であることを特徴とする前記項8に記載の電極合剤ペースト。
10. 前記項8〜9のいずれかに記載の電極合剤ペーストを集電体上に塗布し、加熱処理して溶媒を除去するとともにイミド化反応することにより得られることを特徴とする電極。
11. 加熱処理温度が250℃以下であることを特徴とする前記項10に記載の電極。
12. リチウムイオン二次電池用負極であることを特徴とする前記項10〜11のいずれかに記載の電極。
本発明によれば、電池環境下でも膨潤度が小さく、高い靱性(大きな破断伸度及び破断エネルギー)を有するバインダー樹脂を得ることが可能な、電極用バインダー樹脂組成物を得ることができる。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸を溶媒に溶解したものである。
ただし、反応させるテトラカルボン酸二無水物の50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物、好ましくは2〜3個の芳香族環を有するフッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物であるか、または、反応させるジアミンの50モル%以下が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有し、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンであり、50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミン及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有するフッ素基を含有する芳香族ジアミンである。
反応させるテトラカルボン酸二無水物の50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物、好ましくは2〜3個の芳香族環を有するフッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、且つ、反応させるジアミンの50モル%以下が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有し、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンであり、50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミン及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有するフッ素基を含有する芳香族ジアミンであってもよい。
上記の溶媒としては、イミダゾール類を所定量以上溶解した水を用いるのが好適である。また、従来から用いられている有機溶媒、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンなどを用いることもできる。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物は、ポリアミック酸に起因する固形分濃度が、溶媒とポリアミック酸との合計量に対して5質量%超〜45質量%、好ましくは10質量%超〜40質量%、より好ましくは15質量%超〜30質量%の組成物として好適に用いることができる。ポリアミック酸に起因する固形分濃度が5質量%より低いと溶液の粘度が低くなりすぎ、45質量%より高いと溶液の流動性がなくなることがある。また溶液粘度は、30℃における溶液粘度が、好ましくは1000Pa・sec以下、より好ましくは0.5〜500Pa・sec、さらに好ましくは1〜300Pa・sec、特に好ましくは3〜200Pa・secである。
溶液粘度が1000Pa・secを超えると、電極活物質粉末の混合や集電体上への均一な塗布が困難となり、また、0.5Pa・secよりも低いと、電極活物質粉末の混合や集電体上への塗布時にたれなどが生じ、加熱乾燥、イミド化後のポリイミド樹脂の靭性が低くなる恐れがある。
本発明で用いるテトラカルボン酸二無水物は、50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物、好ましくは2〜3個の芳香族環を有するフッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物である。ただし、反応させるジアミン成分の50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミン及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンであり、50モル%以下が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンである場合は、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物のみ、または、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物が50モル%以上、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物が50モル%以下のテトラカルボン酸成分を用いることもできる。
本発明で用いるフッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、m−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物などを好適に挙げることができる。
本発明で用いる脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’ −テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3;5,6−テトラカルボン酸二無水物などを好適に挙げることができる。
本発明で用いるフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、5,5’−[2,2,2−トリフルオロ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン]ジフタル酸無水物、5,5’−[2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−(トリフルオロメチル)プロピリデン]ジフタル酸無水物、1H−ジフロ[3,4−b:3’,4’−i]キサンテン−1,3,7,9(11H)−テトロン、5,5’−オキシビス[4,6,7−トリフルオロ−ピロメリット酸無水物]、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、4−(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,4−ジフルオロピロメリット酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物などを好適に挙げることができる。
フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、及びフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物はそれぞれ一種である必要はなく、複数種の混合物であってもよい。
本発明で用いるジアミンは、50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミン及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有するフッ素基を含有する芳香族ジアミンであり、50モル%以下が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有し、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンである。ただし、反応させるテトラカルボン酸成分の50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物である場合は、フッ素基を含有しない芳香族ジアミンのみ、または、フッ素基を含有しない芳香族ジアミンが50モル%以上、脂肪族ジアミン及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンが50モル%以下のジアミン成分を用いることもできる。
本発明で用いるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンとしては、25℃における水に対する溶解度が0.1g/L以上であれば特に限定されないが、1〜2個の芳香族環を有する芳香族ジアミンが好ましい。25℃の水に対する溶解度が0.1g/L未満の芳香族ジアミンを用いた場合には、水を溶媒とする場合に均一に溶解した電極用バインダー樹脂組成物を得るのが難しくなる場合がある。また、芳香族ジアミンが2個を越える芳香族環を持つ場合には、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L未満になる場合があり、その結果、水を溶媒とする場合に均一に溶解した電極用バインダー樹脂組成物を得るのが難しくなる場合がある。
本発明で用いる脂肪族ジアミンとしては、分子量(モノマーの場合は分子量、ポリマーの場合は重量平均分子量を示す)が500以下であれば特に限定されないが、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上である脂肪族ジアミン、又は、1〜2個の脂環を有する脂環式ジアミンが好ましい。分子量が500を超える脂肪族ジアミンを用いた場合には、水を溶媒とする場合に均一に溶解した電極用バインダー樹脂組成物を得るのが難しくなる場合がある。
本発明で用いるフッ素基を含有する芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、1〜2個の芳香族環を有するフッ素基を含有する芳香族ジアミンが好ましい。フッ素基を含有する芳香族ジアミンが2個を越える芳香族環を持つ場合には、水を溶媒とした場合に均一に溶解した電極用バインダー樹脂組成物を得るのが難しくなる場合がある。
本発明で用いる好ましいフッ素基を含有しない芳香族ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン(25℃における水に対する溶解度は120g/L、以下同様)、m−フェニレンジアミン(77g/L)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.19g/L)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.24g/L)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.54g/L)、2,4−トルエンジアミン(62g/L)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(1.3g/L)、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン(200g/L)、2,4−ジアミノトルエン(62g/L)などを例示できるが、水溶性が高く、得られるポリイミドが優れた特性を有するので、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及びそれらの混合物が好ましく、さらにp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及びそれらの混合物がより好ましい。
本発明で用いる好ましい脂肪族ジアミンとしては、trans−1,4−ジアミノシクロへキサン(1000g/L、分子量:114)、cis−1,4−ジアミノシクロへキサン(1000g/L、分子量:114)、1,6−ヘキサメチレンジアミン(1000g/L、分子量:116)、1,10−デカメチレンジアミン(1000g/L、分子量:172)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1000g/L、分子量:142)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(999g/L、分子量:142)、重量平均分子量が500以下のポリオキシプロピレンジアミンなどを挙げることができる。
本発明で用いるフッ素基を含有する芳香族ジアミンとしては、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ジアミノベンゼン、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−ジアミノベンゼン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼン(ジメタンアミン)、2,2’−ジフルオロ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、2,2’,6,6’−テトラフルオロ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−オキシビス(2,3,5,6−テトラフルオロアニリン)などを好適に挙げることができる。
フッ素基を含有しない芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、及びフッ素基を含有する芳香族ジアミンはそれぞれ一種である必要はなく、複数種の混合物であってもよい。フッ素基を含有しない芳香族ジアミンは、これらの水に対する溶解度が高いジアミンと他のジアミンとを組み合わせて、ジアミン成分全体として25℃における水に対する溶解度が0.1g/L以上になるようにして用いることもできる。
なお、25℃における水に対する溶解度(25℃の水に対する溶解度)が0.1g/L以上のジアミンとは、当該ジアミンが25℃の水1L(1000ml)に0.1g以上溶解することを意味する。25℃における水に対する溶解度は、当該物質が、25℃の水1L(リットル)に溶解する限界量(g)を意味する。この値は、ケミカル・アブストラクトなどのデータベースに基づいた検索サービスとして知られるSciFinder(登録商標)によって容易に検索することができる。ここでは、種々の条件下での溶解度のうち、Advanced Chemistry Development(ACD/Labs)Software V11.02(Copyright 1994−2011 ACD/Labs)によって算出されたpHが7における値を採用した。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物を構成するポリアミック酸は、下記化学式(1)で表される繰返し単位からなる。
Figure 2014078416
本発明においては、得られるポリイミドの特性から、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位である前記化学式(1)のAが、下記化学式(2)〜(7)のいずれか一種以上であることが好ましく、主として下記化学式(2)、(3)及び(5)のいずれか一種以上であることが特に好ましく、下記化学式(2)〜(3)のいずれか一種以上であることがさらに好ましい。
Figure 2014078416
化学式(1)のBは、ポリアミック酸のジアミン成分に由来する化学構造であって、好ましくは1〜2個の芳香族環を有し、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又は分子量が500以下である脂肪族ジアミン、好ましくは水に対する溶解度が0.1g/L以上である脂肪族ジアミン、あるいは、1〜2個の脂環を有する脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミン、好ましくは1〜2個の芳香族環を有するフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基である。
化学式(1)のBは、50モル%以下が、好ましくは1〜2個の芳香族環を有し、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基であり、50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基であることが好ましい。ただし、化学式(1)のAの50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基であり、50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基である場合は特に限定されず、50モル%以上が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基であり、50モル%以下が、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基であってもよい。
本発明においては、得られるポリイミドの特性から、フッ素基を含有しない芳香族ジアミンに由来する構成単位である前記化学式(1)のBが、下記化学式(8)〜(9)のいずれか一種以上であることが好ましい。
Figure 2014078416
本発明で用いるポリアミック酸は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、イミダゾール類の存在下で水を溶媒として反応させることで容易に調製することができる。この場合、水以外の有機溶媒を全溶媒中50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下の割合で用いてもよい。
前記有機溶媒とは、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、m−クレゾール、フェノール、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記イミダゾール類(化合物)としては、下記化学式(10)の化合物を好適に挙げることができる。
Figure 2014078416
化学式(10)において、X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数が1〜5のアルキル基である。
本発明で用いるイミダゾール類としては、25℃における水に対する溶解度が0.1g/L以上、特に1g/L以上であることが好ましい。
さらに、化学式(10)のイミダゾール類においては、X〜Xが、それぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数が1〜5のアルキル基であって、X〜Xのうち少なくとも2個が、炭素数が1〜5のアルキル基であるイミダゾール類、すなわち置換基として2個以上のアルキル基を有するイミダゾール類がより好ましい。
置換基として2個以上のアルキル基を有するイミダゾール類は水に対する溶解性が高いので、それらを用いることによって、ポリイミド前駆体水溶液組成物を容易に製造することができる。これらのイミダゾール類としては、1,2−ジメチルイミダゾール(25℃における水に対する溶解度は239g/L、以下同様)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(1000g/L)、4−エチル−2−メチルイミダゾール(1000g/L)、及び1−メチル−4−エチルイミダゾール(54g/L)などが好適である。
なお、25℃における水に対する溶解度は、当該物質が、25℃の水1L(リットル)に溶解する限界量(g)を意味する。この値は、ケミカル・アブストラクトなどのデータベースに基づいた検索サービスとして知られるSciFinder(登録商標)によって容易に検索することができる。ここでは、種々の条件下での溶解度のうち、Advanced Chemistry Development(ACD/Labs)Software V11.02(Copyright 1994−2011 ACD/Labs)によって算出されたpHが7における値を採用した。
なお、用いるイミダゾール類は一種であっても、複数種の混合物であってもよい。
本発明で用いるイミダゾール類の使用量は、原料のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって生成するポリアミック酸のカルボキシル基に対して、好ましくは0.8倍当量以上、より好ましくは1.0倍当量以上、さらに好ましくは1.2倍当量以上である。イミダゾール類の使用量がポリアミック酸のカルボキシル基に対して0.8倍当量未満では、均一に溶解した電極用バインダー樹脂組成物を得るのが容易でなくなる場合がある。また、イミダゾール類の使用量の上限は、特に限定されないが、通常は10倍当量未満、好ましくは5倍当量未満、より好ましくは3倍当量未満である。イミダゾール類の使用量が多過ぎると、非経済的になるし、且つ電極用バインダー樹脂組成物の保存安定性が悪くなることがある。
本発明において、イミダゾール類の量を規定するポリアミック酸のカルボキシル基に対する倍当量とは、ポリアミック酸のアミド酸基を形成するカルボキシル基1個に対して何個(何分子)の割合でイミダゾール類を用いるかを表す。なお、ポリアミック酸のアミド酸基を形成するカルボキシル基の数は、原料のテトラカルボン酸成分1分子当たり2個のカルボキシル基を形成するものとして計算される。
したがって、本発明で用いるイミダゾール類の使用量は、原料のテトラカルボン酸二無水物に対して(ポリアミック酸のテトラカルボン酸成分に対して)、好ましくは1.6倍モル以上、より好ましくは2.0倍モル以上、さらに好ましくは2.4倍モル以上である。
本発明で用いるイミダゾール類の特徴は、原料のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって生成するポリアミック酸(ポリイミド前駆体)のカルボキシル基と塩を形成して水に対する溶解性を高めるだけでなく、さらにポリイミド前駆体をイミド化(脱水閉環)してポリイミドにする際に、極めて高い触媒的な作用を有することにある。この結果、本発明の電極用バインダー樹脂組成物を用いると、例えばより低温且つ短時間の加熱処理によっても、容易に、極めて高い物性を有する電極用バインダー樹脂を得ることが可能になる。
前述の通り、水を反応溶媒として、イミダゾール類の存在下に、好ましくは置換基として2個以上のアルキル基を有するイミダゾール類の存在下に、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させることによって、水を溶媒とする電極用バインダー樹脂組成物を極めて簡便に(直接的に)製造することが可能である。
この反応は、テトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸二無水物)とジアミン成分とを略等モル用い、イミド化反応を抑制するために100℃以下、好ましくは80℃以下の比較的低温で行なわれる。限定するものではないが、通常、反応温度は25℃〜100℃、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50℃〜80℃であり、反応時間は0.1〜24時間程度、好ましくは2〜12時間程度であることが好ましい。反応温度及び反応時間を前記範囲内とすることによって、生産効率よく高分子量のポリイミド前駆体水溶液組成物を容易に得ることができる。なお、反応は、空気雰囲気下でも行うことができるが、通常は不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素ガス雰囲気下で好適に行われる。
また、テトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸二無水物)とジアミン成分とを略等モルとは、具体的にはモル比[テトラカルボン酸成分/ジアミン成分]で0.90〜1.10程度、好ましくは0.95〜1.05程度である。
水を溶媒とする電極用バインダー樹脂組成物は、通常は加熱処理によって水溶媒を除去するとともにイミド化(脱水閉環)することによって好適に芳香族ポリイミドを得ることができる。加熱処理条件は、特に限定されないが、概ね100℃以上、好ましくは120℃〜600℃、より好ましくは150℃〜500℃で、0.01時間〜30時間、好ましくは0.01〜10時間である。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物を用いて得られる芳香族ポリイミドの特性は、比較的低温(例えば150℃〜300℃、好ましくは200℃〜280℃)で加熱処理しただけで、通常の有機溶媒を用いた電極用バインダー樹脂組成物に較べて遜色なく、好適には、例えば金属との接着性が高いというような優れた特性を発揮することができる。
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させることでも調製することができる。限定するものではないが、好ましくはジアミン成分を有機溶媒に溶解した溶液にテトラカルボン酸成分を一度に、或いは多段階で添加し、攪拌することにより好適に行うことができる。反応温度は10℃〜60℃が好ましく、15℃〜55℃がさらに好ましく、15℃〜50℃が特に好ましい。反応温度が10℃より低いと反応が遅くなることから好ましくなく、60℃より高いと溶液の粘度が低くなることがあり好ましくない。反応時間は、0.5時間〜72時間の範囲が好ましく、1時間〜60時間がさらに好ましく、1.5時間〜48時間が特に好ましい。反応時間が0.5時間より短いと反応が十分進行せず、合成されたポリアミック酸溶液の粘度が不安定になることがある。一方、72時間以上の時間をかけるのは生産性の面から好ましくない。
ポリアミック酸の調製には従来ポリアミック酸を調製する際に用いられる公知の有機溶媒を使用することができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、m−クレゾール、フェノール、γ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上混合して使用しても差し支えない。これらのうち、ポリアミック酸の溶解性、および安全性から、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
上記の様にして調製したポリアミック酸は、溶液として得られるが、例えば貧溶媒に投入して析出させる方法などによりポリアミック酸を単離して(それを、所定の溶剤に再度溶解させることによって)使用しても良いし、調製したものをそのままで、或いは単に希釈するなどして使用してもよい。生産性、コストの点から、得られたポリアミック酸溶液を単離することなくそのまま使用することが好ましい。
有機溶媒を使用する電極用バインダー樹脂組成物においては、さらにピリジン類化合物を含有することが、得られるポリイミド樹脂の電解液に対する膨潤度をより小さくし、破断伸度及び破断エネルギーをより大きくすることができ、さらに電極を得るための加熱処理温度を低く抑えることができるので、好適である。
ピリジン類化合物は、化学構造中にピリジン骨格を有する化合物のことであり、例えばピリジン、3−ピリジノール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、6−tert−ブチルキノリン、アクリジン、6−キノリンカルボン酸、3,4−ルチジン、ピリダジン、などを好適に挙げることができる。これらのピリジン類化合物は、単独または2種以上併用して使用しても差し支えない。
ピリジン類化合物の添加量は、限定するものではないが、ポリアミック酸のアミック酸構造に対して(アミック酸構造1モル当たり)、好ましくは0.05〜2.0モル当量、より好ましくは0.1〜1.0モル当量である。添加量がこの範囲外では、電解液に対する樹脂の膨潤度をより小さくし、得られるポリイミド樹脂の破断伸度及び破断エネルギーをより大きくし、さらに電極を得るための加熱処理温度を低く抑えるというピリジン類化合物の添加効果を得ることが難しい場合があり好ましくない。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物は、加熱処理或いはイミド化剤などの化学的処理によって、容易にポリイミド樹脂になる。例えば、電極用バインダー樹脂組成物を基材上に流延あるいは塗布して120℃〜180℃の範囲で加熱乾燥後、自己支持性となったフィルムを基材から剥離し、金属枠などに固定して、さらに200℃〜400℃で5分〜10時間加熱することによりポリイミド樹脂フィルムが得られる。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物は、前記のような加熱処理によって得られたポリイミド樹脂が、ジメチルカーボネートに25℃で24時間浸漬したときに、その質量増加が好ましくは3重量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下になるので、電池用バインダー樹脂組成物として好適に用いることができる。
なお、ジメチルカーボネートは電池の電解液成分として多用される化合物であり、電池環境下ではしばしばメトキシリチウムが生成する。また、電解液中で電解液による膨潤によってバインダー樹脂の質量増加(25℃で24時間浸漬時の膨潤率)が5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下であれば電極の体積変化の影響を好適に抑えることができる。本発明の電極用バインダー樹脂組成物から得られたポリイミド樹脂は、メトキシリチウムを含有した電解液中でも、質量増加(25℃で24時間浸漬時の膨潤率)が好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
本発明の電極用バインダー樹脂組成物に、少なくとも電極活物質を、限定するものではないが、好ましくは10℃〜60℃の温度範囲で混合することにより、電極合剤ペーストを好適に調製することができる。電極活物質は公知のものを好適に用いることができるが、リチウム含有金属複合酸化物、炭素粉末、ケイ素粉末、スズ粉末、またはケイ素若しくはスズを含む合金粉末が好ましい。電極合剤ペースト中の電極活物質の量は、格別限定されないが、通常、ポリアミック酸に起因する固形分質量に対して、質量基準で0.1〜1000倍、好ましくは1〜1000倍、より好ましくは5〜1000倍、さらに好ましくは10〜1000倍である。活物質量が少なすぎると、集電体に形成された活物質層に不活性な部分が多くなり、電極としての機能が不十分になることがある。また、活物質量が多すぎると活物質が集電体に十分に結着されずに脱落しやくなる。なお、電極合剤ペースト中には、必要に応じて界面活性剤や粘度調整剤や導電補助剤などの添加剤を加えることができる。また、ポリアミック酸がペーストの全固形分中の1〜15質量%となるよう混合することが好ましい。この範囲外では電極の性能が低下することがある。
充放電により可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる例えばリチウム含有金属複合酸化物のような電極活物質を用いて得られる電極合剤ペーストを、アルミニウムなどの導電性の集電体上に流延あるいは塗布して、80〜400℃、より好ましくは120〜380℃、特に好ましくは150〜350℃の温度範囲で加熱処理して溶媒を除去するとともにイミド化反応することにより電極を得ることができる。
加熱処理温度が上記の範囲外の場合、イミド化反応が十分に進行しなかったり、電極成形体の物性が低下したりすることがある。加熱処理は発泡や粉末化を防ぐために多段で行ってもよい。また、加熱処理時間は3分〜48時間の範囲が好ましい。48時間以上は生産性の点から好ましくなく、3分より短いとイミド化反応や溶媒の除去が不十分となることがあり好ましくない。
得られる電極はリチウムイオン二次電池の正極として特に好適に用いることができる。
また、充放電により可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる例えば炭素粉末、ケイ素粉末、スズ粉末、またはケイ素若しくはスズを含む合金粉末のような電極活物質を用いて得られる電極合剤ペーストを、銅などの導電性の集電体上に流延あるいは塗布する場合、80〜300℃、より好ましくは120〜280℃、特に好ましくは150〜250℃の温度範囲で加熱処理して溶媒を除去するとともにイミド化反応することにより電極を得ることができる。加熱処理温度が80℃よりも低い場合、イミド化反応が十分に進行せずに電極成形体の物性が低下することがある。300℃よりも高い温度で熱処理すると銅が変形などをしてしまい、電極として使用できなくなることがある。この場合も加熱処理は発泡や粉末化を防ぐために多段で行ってもよい。また、加熱処理時間は3分〜48時間の範囲が好ましい。48時間以上は生産性の点から好ましくなく、3分より短いとイミド化反応や溶媒の除去が不十分となることがあり好ましくない。
得られる電極はリチウムイオン二次電池の負極として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
<固形分濃度>
試料溶液(その質量をw1とする)を、熱風乾燥機中120℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で30分間加熱処理して、加熱処理後の質量(その質量をw2とする)を測定する。固形分濃度[質量%]は、次式によって算出した。
固形分濃度[質量%]=(w2/w1)×100
<対数粘度>
試料溶液を、固形分濃度に基づいて濃度が0.5g/dl(溶媒は水又はNMP)になるように希釈した。この希釈液を、30℃にて、キャノンフェンスケNo.100を用いて流下時間(T)を測定した。対数粘度は、ブランクの水の流下時間(T)を用いて、次式から算出した。
対数粘度={ln(T/T)}/0.5
<溶液粘度(回転粘度)>
トキメック社製E型粘度計を用いて30℃で測定した。
<膨潤試験>
電極用バインダー樹脂組成物から得られたポリイミドフィルムを5cm角(厚さ:50μm)に切り出したものを試料として用いた。60℃で24時間真空乾燥後の質量を乾燥質量(Wd)とし、ジメチルカーボネート溶液、或いはメトキシリチウムの10質量%メタノール溶液に、25℃で24時間浸漬後の質量を膨潤質量(Ww)とし、それぞれ次式により膨潤度Sを計算した。
S[質量%]=(Ww−Wd)/Ww×100
<付着性試験(クロスカット法)>
付着性試験は、JIS K 5600−5−6に準拠して行った。なお、評価は目視により、評価基準(3)に準拠した分類0〜分類5(数字が小さいほど強固に付着している)で示した。
なお、付着性試験は、ジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について、それぞれ行った。
<90°ピール強度測定>
90°ピール強度試験は、万能試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、IPC−TM650に準拠して測定した。
<90°ピール強度保持率>
ジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について、90°ピール強度を測定し、次式により90°ピール強度の保持率を算出した。
90°ピール強度保持率[%]
=浸漬後の90°ピール強度/浸漬前の90°ピール強度×100
以下の例で使用した化合物の略号について説明する。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
6FDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
t−DCDA:trans−ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’ −テトラカルボン酸二無水物
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(25℃における水に対する溶解度:0.19g/L)
t−CHDA:trans−1,4−ジアミノシクロへキサン(25℃における水に対する溶解度:1000g/L、分子量:114)
HMD:1,6−ヘキサメチレンジアミン(25℃における水に対する溶解度:1000g/L、分子量:116)
DAB:1,4−ジアミノブタン(25℃における水に対する溶解度:1000g/L、分子量:88)
D2000:ジェファーミンD2000(三井化学社製、重量平均分子量2041のジアミン化合物)
1074:PRIAMINE1074(クローダジャパン社製、重量平均分子量548のジアミン化合物)
1,2−DMZ:1,2−ジメチルイミダゾール(25℃における水に対する溶解度:239g/L)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMC:ジメチルカーボネート
〔実施例1〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにt−CHDAの20.97g(0.184モル)と、1,2−DMZの44.14g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にs−BPDAの54.03g(0.184モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.8質量%、溶液粘度1.2Pa・s、対数粘度0.72の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.3g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例2〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにHMDの21.24g(0.183モル)と、1,2−DMZの43.92g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にs−BPDAの53.76g(0.183モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.4質量%、溶液粘度0.7Pa・s、対数粘度0.63の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.5g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例3〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにDABの17.29g(0.196モル)と、1,2−DMZの47.15g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にs−BPDAの57.71g(0.196モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.2質量%、溶液粘度0.3Pa・s、対数粘度0.45の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.6g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例4〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにHMDの20.44g(0.176モル)と、1,2−DMZの42.28g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にODPAの54.56g(0.176モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.4質量%、溶液粘度0.5Pa・s、対数粘度0.49の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.5g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例5〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにDABの16.60g(0.188モル)と、1,2−DMZの45.25g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にODPAの58.40g(0.188モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.1質量%、溶液粘度0.2Pa・s、対数粘度0.41の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.6g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例6〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにODAの23.31g(0.116モル)と、1,2−DMZの27.97g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液に6FDAの51.69g(0.116モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度13.0質量%、溶液粘度2.5Pa・s、対数粘度0.13の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.2g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例7〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにt−CHDAの15.34g(0.134モル)と、1,2−DMZの32.28g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液に6FDAの59.66g(0.134モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.2質量%、溶液粘度0.1Pa・s、対数粘度0.40の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.6g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例8〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにODAの29.65g(0.148モル)と、1,2−DMZの35.59g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にt−DCDAの45.35g(0.148モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.5質量%、溶液粘度0.6Pa・s、対数粘度0.55の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.4g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例9〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにODAの13.53g(0.068モル)及びHMDの11.78g(0.101モル)と、1,2−DMZの40.60g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にs−BPDAの49.69g(0.169モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.4質量%、溶液粘度2.5Pa・s、対数粘度0.50の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.5g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例10〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の425gを加え、これにODAの13.06g(0.065モル)及びHMDの11.37g(0.098モル)と、1,2−DMZの39.19g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にODPAの50.57g(0.163モル)を加え、70℃で6時間撹拌して、固形分濃度12.3質量%、溶液粘度1.8Pa・s、対数粘度0.44の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表1に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物6.5g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、80℃で30分間、次いで200℃で1時間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表1に示した。
〔実施例11〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの440gを加え、これにt−CHDAの16.78g(0.147モル)と、s−BPDAの43.22g(0.147モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度11.0質量%、溶液粘度5.0Pa・s、対数粘度1.20の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表2に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物7.3g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表2に示した。
〔実施例12〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにODAの18.04g(0.090モル)及びHMDの15.70g(0.135モル)と、s−BPDAの66.26g(0.225モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.1質量%、溶液粘度6.6Pa・s、対数粘度0.78の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表2に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.4g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表2に示した。
〔実施例13〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにODAの17.41g(0.087モル)及びHMDの15.16g(0.130モル)と、ODPAの67.43g(0.217モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.5質量%、溶液粘度4.5Pa・s、対数粘度0.70の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表2に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.3g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表2に示した。
〔実施例14〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにt−CHDAの26.91g(0.236モル)と、ODPAの73.09g(0.236モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度5.0Pa・s、対数粘度0.75の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表2に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.4g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表2に示した。
〔実施例15〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにODAの31.07g(0.155モル)と、6FDAの68.93g(0.155モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.5質量%、溶液粘度4.8Pa・s、対数粘度0.72の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表2に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.3g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表2に示した。
〔実施例16〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにODAの39.53g(0.197モル)と、t−DCDAの60.47g(0.197モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.4質量%、溶液粘度1.5Pa・s、対数粘度0.35の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行った。またDMC溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表2に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.3g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行った。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前後の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表2に示した。
〔比較例1〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の400gを加え、これにHMDの17.35g(0.149モル)及びジェファーミンD2000の33.85g(0.017モル)と、1,2−DMZの39.87g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にs−BPDAの48.80g(0.166モル)を加え、70℃で6時間撹拌したが、均一に溶解することがなく、ポリイミド前駆体水溶液組成物を得ることができなかった。
結果を表3に示した。
〔比較例2〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の400gを加え、これにHMDの23.06g(0.198モル)及びPRIAMINE1074の12.07g(0.022モル)と、1,2−DMZの53.00g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にs−BPDAの64.87g(0.220モル)を加え、70℃で6時間撹拌したが、均一に溶解することがなく、ポリイミド前駆体水溶液組成物を得ることができなかった。
結果を表3に示した。
〔比較例3〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の400gを加え、これにODAの21.75g(0.109モル)及びジェファーミンD2000の24.63g(0.012モル)と、1,2−DMZの29.01g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液に6FDAの53.61g(0.121モル)を加え、70℃で6時間撹拌したが、均一に溶解することがなく、ポリイミド前駆体水溶液組成物を得ることができなかった。
結果を表3に示した。
〔比較例4〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒として水の400gを加え、これにODAの33.30g(0.166モル)及びPRIAMINE1074の10.11g(0.018モル)と、1,2−DMZの44.41g(カルボキシル基に対して1.25倍当量)とを加え25℃で1時間攪拌し、溶解させた。この溶液にc−DCDAの56.59g(0.184モル)を加え、70℃で6時間撹拌したが、均一に溶解することがなく、ポリイミド前駆体水溶液組成物を得ることができなかった。
結果を表3に示した。
〔比較例5〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにジェファーミンD2000の87.40g(0.043モル)と、s−BPDAの12.60g(0.043モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度0.8Pa・s、対数粘度0.45の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またDMC溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表3に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.4g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表3に示した。
〔比較例6〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにPRIAMINE1074の65.04g(0.119モル)と、s−BPDAの34.96g(0.119モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.1質量%、溶液粘度0.6Pa・s、対数粘度0.41の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またDMC溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表3に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.4g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表3に示した。
〔比較例7〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにジェファーミンD2000の82.13g(0.040モル)と、6FDAの17.87g(0.040モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.5質量%、溶液粘度0.3Pa・s、対数粘度0.34の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またDMC溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表3に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.3g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表3に示した。
〔比較例8〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにPRIAMINE1074の64.12g(0.117モル)と、t−DCDAの35.88g(0.117モル)とを加え、50℃で12時間撹拌して、固形分濃度18.4質量%、溶液粘度0.1Pa・s、対数粘度0.38の電極用バインダー樹脂組成物を得た。
前記電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、厚さが25μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。
銅箔上に形成したバインダー樹脂フィルムを試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またDMC溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験及び90°ピール強度測定を行った。
これらの結果を表3に示した。
前記電極用バインダー樹脂組成物4.4g(イミド化後の固形分質量0.8g)と325メッシュパスのケイ素粉末9.2gを乳鉢中で磨り潰すように混練し、電極合剤組成物(電極合剤ペースト)を調製した。得られたペーストは、ガラス棒で銅箔上に薄く延ばすことが可能であった。
ペーストを塗布した銅箔を基板上に固定し、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、次いで250℃で10分間加熱処理して、電極合剤層の厚みが100μmの電極を作製した。
得られた電極を試料としてDMC膨潤試験を行ったが、バインダー樹脂フィルムが溶解してしまった。またジメチルカーボネート溶液での膨潤試験前の試料について付着性試験を行った。
これらの結果を表3に示した。
Figure 2014078416
Figure 2014078416
Figure 2014078416

Claims (12)

  1. テトラカルボン酸成分とジアミン成分とが反応して得られる、下記化学式(1)で表される繰返し単位からなるポリアミック酸を溶媒に溶解してなる電極用バインダー樹脂組成物。
    Figure 2014078416
    化学式(1)において、
    Aは、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、及びフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基からなる群から選択される1種以上であり、
    Bは、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及びフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基からなる群から選択される1種以上であり、
    ただし、Aの50モル%以上が、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基であり、50モル%以下が、フッ素基を含有しない芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基であり、及び/又は
    Bの50モル%以上が、分子量が500以下である脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、及び/又はフッ素基を含有する芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基であり、50モル%以下が、25℃の水に対する溶解度が0.1g/L以上であるフッ素基を含有しない芳香族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基である。
  2. 溶媒が、ポリアミック酸のテトラカルボン酸成分に対して1.6倍モル以上のイミダゾール類を溶解した水であることを特徴とする、請求項1に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
  3. イミダゾール類が、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、及び1−メチル−4−エチルイミダゾールからなる群から選択されるイミダゾール類であることを特徴とする請求項2に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
  4. 有機溶媒の含有量が5質量%未満であることを特徴とする請求項2または3に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
  5. 有機溶媒を実質的に含まないことを特徴とする請求項4に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
  6. 溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンであることを特徴とする、請求項1に記載の電極用バインダー樹脂組成物。
  7. 加熱処理して得られるバインダー樹脂が、25℃で24時間ジメチルカーボネートに浸漬したときの質量増加が2.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極用バインダー樹脂組成物。
  8. 電極活物質と請求項1〜7のいずれかに記載の電極用バインダー樹脂組成物とを含む電極合剤ペースト。
  9. 電極活物質が炭素粉末、ケイ素粉末、スズ粉末、またはケイ素若しくはスズを含む合金粉末であることを特徴とする請求項8に記載の電極合剤ペースト。
  10. 請求項8〜9のいずれかに記載の電極合剤ペーストを集電体上に塗布し、加熱処理して溶媒を除去するとともにイミド化反応することにより得られることを特徴とする電極。
  11. 加熱処理温度が250℃以下であることを特徴とする請求項10に記載の電極。
  12. リチウムイオン二次電池用負極であることを特徴とする請求項10〜11のいずれかに記載の電極。
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