JP2014077192A - 銅合金および高電流用コネクタ端子材 - Google Patents

銅合金および高電流用コネクタ端子材 Download PDF

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【課題】高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金を提供する。
【解決手段】本発明は、Snを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、残部が銅、0.01質量%以下の酸素及び不可避的不純物からなり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が250MPa以下であることを特徴とする銅合金である。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電率及び応力緩和特性に優れる銅合金に関し、端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板などの電子部品用途、特に、電気自動車やハイブリッド自動車などで用いられる高電流用コネクタや端子の用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に好適な銅合金に関する。
自動車や電機・電子機器等には、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電気又は熱を伝えるための部品が組み込まれており、これら部品には銅合金が用いられている。ここで、電気伝導性と熱伝導性は比例関係にある。
近年、電子部品の小型化に伴い、通電部における銅合金の断面積が小さくなる傾向にある。断面積が小さくなると、通電した際の銅合金からの発熱が増大する。また、伸長著しい電気自動車やハイブリッド電気自動車で用いられる電子部品には、バッテリー部のコネクタ等、著しく高い電流が流されるものがあり、通電時の銅合金の発熱が問題になっている。
コネクタ等の電子部品の電気接点では、銅合金板にたわみが与えられ、このたわみで発生する応力により、接点での接触力を得ている。たわみを与えた銅合金を高温下で長時間保持すると、応力緩和現象により、応力すなわち接触力が低下し、接触電気抵抗の増大を招く。
そこで、前記発熱の問題に対処するため、銅合金には、発熱量が減ずるよう導電性により優れることが求められ、さらに発熱しても接触力が低下しないよう応力緩和特性により優れることも求められている。
一方、例えばスマートフォンやタブレットPCの液晶には液晶フレームと呼ばれる放熱部品が用いられている。このような放熱用途の銅合金板においても、応力緩和特性を高めると、外力による放熱板のクリープ変形が抑制され、放熱板周りに配置される液晶部品、ICチップ等に対する保護性が改善される、等の効果を期待できる。このため、放熱用途の銅合金板においても、応力緩和特性に優れることが望まれている。
導電率が高く、比較的高い強度を有する材料として、Cu−Sn系合金が知られている。例えば、0.12質量%のSnを含有する銅合金が、CDA(Copper Development Association)合金番号C14415として実用に供されている。また、Cu−Sn合金は以前より、銅合金箔として携帯電話のフレキシブルプリント基盤やリチウムイオン二次電池等の二次電池の負極集電体材料にも使用されている(特許文献1、2)。
特開2009−242847号公報 特開2011−142071号公報
銅の応力緩和特性は、合金元素を添加することにより改善できる。ただし、合金元素の添加は導電率を低下させるため、添加元素には導電率低下への影響が少ないこと、少量の添加で応力緩和改善効果が発現することが求められる。
応力緩和改善効果が顕著な元素として、例えばZrがあげられる。ところが、Zrは極めて活性であるため、インゴットの溶製時に添加したZrの一部が酸化する。このZr酸化物がインゴットに巻き込まれると、製品表面に傷が発生したり、圧延中の材料が切れたりする。また、Zrは固体銅中で析出物を形成し、その析出形態によって機械的特性や応力緩和特性が変化するため、熱間圧延や各熱処理の条件を厳密に調整する必要がある。このことから、Cu−Zr系合金の製造コストは極めて高価なものであった。
一方、前記Cu−Sn系合金の場合、SnはZr等と比較し溶銅中で酸化物を形成しにくいため、インゴットの溶製が容易であり、圧延材の品質も良好である。また、Snは固体銅中に安定して固溶するため、製品特性が安定して発現する。したがって、Cu−Sn系合金は安価に製造することができる。しかし、Cu−Sn合金の耐応力緩和特性は純Cuと比べると優れるものの、近年市場から要求されるレベルに対し充分といえない。
そこで、本発明は、高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金を提供することを目的とし、具体的には、安価で導電性と強度に優れるCu−Sn系合金の応力緩和特性を改善することを課題とする。さらには、本発明は、該銅合金板の製造方法、及び大電流用途又は放熱用途に好適な電子部品を提供することをも目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、銅に一定割合のSnを添加し、表面の残留応力を所定の範囲となるよう調整することにより、安価で、高強度および高導電性を有するCu−Sn系銅合金の応力緩和特性が向上することを見出した。これに加え、このCu−Sn系銅合金の厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向の平均結晶粒径Bとの比(アスペクト比B/A)を所定の範囲にすることにより、応力緩和特性はさらに改善された。
そこで、本発明は以下のとおりである。
(1)Snを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、残部が銅、0.01質量%以下の酸素及び不可避的不純物からなり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が250MPa以下であることを特徴とする銅合金。
(2)Snを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、Ag、Fe、P、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Siの少なくとも1種を合計で0.15質量%以下含有し、残部が銅、0.01質量%以下の酸素及び不可避的不純物からなり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が250MPa以下であることを特徴とする銅合金。
(3)圧延方向と直交する断面の組織より求めた厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向の平均結晶粒径Bとの比(B/A)が1.2以上である(1)または(2)に記載の銅合金。
(4)圧延方向と直交する断面の組織より求めた平均結晶粒径が100μm以下である(1)〜(3)の何れかに記載の銅合金。
(5)引張強さが350MPa以上であり、導電率が75%IACS以上であり、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が40%以下である(1)〜(4)の何れかに記載の銅合金。
(6)(1)〜(5)の何れかに記載の銅合金を用いた高電流用コネクタ端子材。
(7)(1)〜(5)の何れかに記載の銅合金を用いた放熱用電子部品。
本発明によれば、高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金を提供することが可能である。また、このような銅合金は、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の素材として好適に使用することができ、特に、電気自動車やハイブリッド自動車などで用いられる高電流用コネクタや端子の用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に好適に使用することができる。
残留応力の測定原理を示す図である。 応力緩和率の測定原理を説明する図である。 応力緩和率の測定原理を説明する図である。
以下、本発明について説明する。
<合金成分>
本発明の銅合金の一実施形態は、Snを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、残部は銅と0.01質量%以下の酸素及び不可避的不純物からなる。
Sn添加量が少なすぎると所望の引張強さおよび応力緩和率が得られない傾向にあり、一方で多すぎると後述する高導電性の実現が難しくなる。このような観点から、銅に添加されるSnは、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、および0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下とする。また、酸素が0.01%を超えるとSnが酸化物として析出し、Snによる引張強さおよび応力緩和の改善効果が阻害されるので、酸素は0.01質量%以下とする。
本発明の他の実施形態である銅合金は、Snの他にさらにAg、Fe、P、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Siの少なくとも1種以上を、それぞれの合計で0.15質量%以下となるように添加したものである。これらの元素はいずれも強度向上に寄与するが、添加量が多過ぎると導電率を低下したり、原料コストが増加したり、製造性が悪化したりするため、上限が0.15質量%であることが好ましい。
<目標特性>
本発明の銅合金は、端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板などの電子部品用途、特に、電気自動車やハイブリッド自動車などで用いられる高電流用コネクタや端子などの用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に好適に使用することができるよう、高強度および高導電性を有する。
具体的には、引張り強さを350MPa以上、好ましくは400MPa以上、導電率を75%IACS以上、好ましくは80%IACS以上に調整することを目標とする。引張強さが350MPa未満であると、例えばコネクタとして使用した際に接点部の接圧が低いため、接触電気抵抗が高くなり導通不良を招く可能性がある。また、導電率が75%IACS未満であると通電時の発熱量が大きくなり、例えばコネクタとして使用した際に応力緩和により接圧が低下してしまう可能性がある。
応力緩和特性については、150℃で1000時間保持した時の応力緩和率を40%以下、より好ましくは35%に低減することを目標とする。通常のCu−Snの該応力緩和特性は70〜80%程度であり、これを40%以下にすることで、コネクタに加工した後に大電流を通電しても接触力低下に伴う接触電気抵抗の増加が生じ難くなり、また、放熱板に加工した後に熱と外力が同時に加わってもクリープ変形が生じ難くなる。
<残留応力>
製品表面の残留応力を250MPa以下、好ましくは200MPa以下に調整することで、前記応力緩和率が40%以下になる。残留応力が250MPaを超えると所望の応力緩和特性が得られない。
<結晶粒形態>
本発明の銅合金の圧延方向と直交する断面(以下、圧延直角断面)において観察される平均結晶粒径は100μm以下であることが好ましい。結晶粒径が100μmを超えると引張強さが350MPa未満になることがある。また、残留応力を低減する点から、圧延直角断面の結晶粒径は5μm以上であることが好ましい。
本発明の銅合金板の厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向(圧延方向と厚み方向のそれぞれに対し直交する方向)の平均結晶粒径Bとの比(アスペクト比B/A)は1.2以上とすることが好ましい。アスペクト比が1.2未満になると引張強さが350MPa未満となることがある。また、残留応力が高くなり、応力緩和特性が悪化する傾向にある。
<厚み>
製品の厚みは0.1〜2.0mmであることが好ましい。厚みが小さすぎると、通電部断面積が小さくなることで通電時の発熱が増加するため、大電流を流す電子部品の素材として不適であり、また、僅かな外力で変形するようになるため、放熱板等の素材としても不適である。一方で、厚みが大きすぎると、曲げ加工性が困難になる。このような観点から、より好ましい厚みは0.2〜1.5mmである。厚みが上記範囲となることにより、製品の通電時の発熱を抑えつつ、曲げ加工性を良好なものとすることができる。
<製造方法>
純銅原料として電気銅等を溶解し、カーボン脱酸等により酸素濃度を調整した後、Snおよび必要に応じ他の合金元素を添加し、厚み30〜300mm程度のインゴットに鋳造する。このインゴットを熱間圧延により厚み3〜30mm程度の板とした後、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げ、最後に歪取り焼鈍を施す。最終冷間圧延後の残留応力値は250MPaを超えるが、その後の歪取焼鈍により減少する。
最終冷間圧延前の再結晶焼鈍では、製品の圧延直角断面の平均結晶粒径が100μm以下となるように、当該再結晶焼鈍後の平均結晶粒径を100μm以下に調整する。最終冷間圧延前の再結晶焼鈍には、バッチ炉を用いてもよいし、連続焼鈍炉を使用しても良い。バッチ炉では250〜750℃の炉内温度において30分から30時間の範囲で加熱時間を適宜調整することにより、また、連続焼鈍炉では450〜800℃の炉内温度において5秒から15分の範囲で加熱時間を適宜調整することにより、製品の圧延直角断面の平均結晶粒径を100μm以下に調整できる。
最終冷間圧延は、一対の圧延ロール間に材料を繰り返し通過させ、目標の板厚に仕上げていく。最終冷間圧延の加工度は25%以上とする。ここで加工度r(%)は、r=(to−t)/to×100(to:圧延前の板厚、t:圧延後の板厚)で与えられる。加工度が25%未満になるとアスペクト比を1.2以上に調整することが難しくなる。
また、最終冷間圧延では圧延ロールの径と、通板回数とを調整することにより、銅合金の残留応力を調整することができる。一般的に使用されている大径ロールを用いて圧延した場合、表面部に引張応力、厚み方向中央部に圧縮応力が残留する。一方、小径ロールを用いて低い加工度で圧延した場合、表面部に圧縮応力、厚み方向中央部に引張応力が残留する。
よって、大径ロールで圧延した後に小径ロールで軽圧下圧延を数回行えば、それまでの圧延で表面に蓄積した引張残留応力がキャンセルされ、銅合金の残留応力は減少する。
歪取焼鈍処理は、残留応力を上述した範囲に調整するために行う。歪取焼鈍処理を行うことで、得られる銅合金板の残留応力が250MPa以下となり、応力緩和率が40%以下となる。
具体的には、最終冷間圧延後の銅合金板に対して200〜800℃で5秒〜3時間の範囲で歪取焼鈍を行う。ここで、炉内温度が200℃未満、あるいは焼鈍時間が5秒未満であると得られる銅合金の残留応力が減少せず、十分な応力緩和特性が得られない傾向がある。また、炉内温度が800℃を超える、あるいは焼鈍時間が3時間を超えると得られる銅合金の強度が大きく低下する傾向がある。
以下、本発明の様態を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
カーボン脱酸により酸素濃度を0.01質量%以下とした溶銅にSn成分および必要に応じてAg、Fe、P、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Siの成分を表1に示した量となるように添加した後、厚み100mmのインゴットを鋳造した。このインゴットを900℃で3時間加熱し、厚みが20mmとなるように熱間圧延を行い、表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去した。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、表1に示した加工度で最終冷間圧延を行った。最後に、表1に示した条件で歪取り焼鈍を行った。
最終冷間圧延前の焼鈍(最終再結晶焼鈍)は、焼鈍時の厚みが2mmを超える場合はバッチ炉を、厚みが2mm以下の場合は連続焼鈍炉を用いて行った。バッチ炉の場合は加熱時間を5時間とし炉内温度を250〜750℃の範囲で調整し、焼鈍後の結晶粒径を変化させた。連続焼鈍炉の場合は炉内温度を700℃とし加熱時間を5秒から15分の間で適宜調整し、焼鈍後の結晶粒径を調整した。
最終冷間圧延の前半では、直径200mmの大径ロールを使用し、後半では直径50mmの小径ロールを用いた。後半の小径ロールによる圧延は一回の通板当たりの加工度を3%として数回に分けて実施し、これにより残留応力を調整した。表1には、直径50mm、加工度3%の通板の実施回数を示す。
最終冷間圧延後には、表1に示す条件で歪取焼鈍を実施し、銅合金の下記項目を調査した。以下にその調査方法詳細を示す。また、その測定結果を表1に示す。
(1)結晶粒径、アスペクト比
(イ)最終冷間圧延前の再結晶焼鈍後の平均結晶粒径
圧延直角断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させた。この金属組織上において、JIS H 0501の切断法に従い測定し、平均結晶粒径を求めた。
(ロ)歪取焼鈍後の平均結晶粒径、アスペクト比
圧延直角断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させた。この金属組織上において、厚み方向に直線を引き、直線によって切断された結晶粒の個数を求めた。そして、直線の長さをこの結晶粒個数で割った値をAとした。同様に、幅方向に直線を引き、直線によって切断される結晶粒の個数を求め、直線の長さをこの結晶粒径個数で割った値をBとした。B値を平均結晶粒径とし、(B/A)値をアスペクト比とした。
(2)引張強さ
JIS B 7721に規定される引張試験機を用いて、JIS Z 2241に準拠して測定した。
(3)導電率
JIS H 0505に準拠して測定した。
(4)残留応力
X線回折法により(113)面に対し、圧延方向と平行な方向に生じている残留応力を求めた。応力測定の原理および計算式を以下に示す。
・残留応力測定原理
図1のように、試料面法線Nと格子面法線N’とのなす角度ψを変化させてその回折角度(2θ)の変化を調査すると、次式によって残留応力σを求めることができる。
Figure 2014077192
上式において、K(応力定数)は材料および回折角度により決定される定数である。測定値から2θ/sin2ψの線図を書き、次いで最小二乗法で勾配を求め、Kを乗じて残留応力を得る。
なお、表1には圧縮または引張残留応力の絶対値を示す。
(5)応力緩和特性
歪取焼鈍後の材料から、幅10mm、長さ100mmの短冊形状の試験片を、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図2のように、l=50mmの位置を作用点として、試験片にy0のたわみを与え、0.2%耐力の80%に相当する応力(s)を負荷した。y0は次式により求めた。
0=(2/3)・l2・s / (E・t)
ここで、Eはヤング率であり、tは試料の厚みである。150℃にて1000時間加熱後に除荷し、図3のように永久変形量(高さ)yを測定し、応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
Figure 2014077192
発明例1〜20はいずれもSn濃度が0.01質量%以上0.3質量%以下の銅合金、あるいは、Sn濃度が0.01質量%以上0.3質量%以下でAg、Fe、Pを合計濃度が0.15質量%以下となるよう添加された銅合金であり、これらはいずれもX線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が250MPa以下であり、歪取焼鈍後のアスペクト比が1.2以上であり、平均結晶粒径が100μm以下であることから、いずれも引張強さ、導電率および応力緩和率に優れていた。
ただし、大径ロールで圧延後に小径ロールで圧延を行わなかった発明例19、および板厚方向の平均結晶粒径が5μm未満であった発明例15の場合、残留応力が200MPaを超える比較的高い値であり、応力緩和率も35%を超える比較的高い値であった。
Sn濃度が0.01質量%未満であった比較例1は、最終冷間圧延後のアスペクト比を1.2以上としても強度が350MPa未満となった。また、最終冷間圧延後に歪取焼鈍を実施しても残留応力が250MPa以下まで減少せず、応力緩和率は40%を超えた。
Sn濃度が0.3質量%を超えた比較例2は、引張強さが350MPa以上、応力緩和率が40%未満であるが、導電率が75%IACS未満であった。
加工度が25%未満であり、アスペクト比が1.2未満であった比較例3は、引張強さが350MPa未満となった。また、残留応力値が250MPaを超え、応力緩和率が40%を超えた。
製品の平均結晶粒径が100μmを超えた比較例4は、残留応力値が250MPa以下となり、応力緩和率は40%以下であったが、引張強さが350MPa未満となった。
歪取焼鈍の焼鈍時間が5秒未満であった比較例5、炉内温度が200℃未満であった比較例6は、いずれも残留応力が250MPa以下まで減少せず、応力緩和率は40%を超えた。
歪取焼鈍の焼鈍時間が3時間を越えた比較例7、炉内温度が800℃を超えた比較例8はいずれも残留応力が250MPa以下となり、応力緩和率は40%以下であったが、引張強さが350MPa未満となった。
歪取焼鈍を行わなかった比較例9は、残留応力が250MPaを超え、応力緩和率は40%を超えた。
大径ロールで圧延後の小径ロールによる軽圧下圧延および歪取焼鈍を行わなかった比較例10は、残留応力が250MPaを超え、応力緩和率が40%を超えた。
本発明によれば、高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金を提供することが可能である。このような銅合金は、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の素材として好適に使用することができ、特に電気自動車やハイブリッド自動車などで用いられる高電流用コネクタおよび端子材、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の素材として好適に使用することができる。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (7)

  1. Snを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、残部が銅、0.01質量%以下の酸素及び不可避的不純物からなり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が250MPa以下であることを特徴とする銅合金。
  2. Snを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、Ag、Fe、P、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Siの少なくとも1種を合計で0.15質量%以下含有し、残部が銅、0.01質量%以下の酸素及び不可避的不純物からなり、X線回折法により求めた(113)面に対して圧延方向と平行な方向に生じる残留応力が250MPa以下であることを特徴とする銅合金。
  3. 圧延方向と直交する断面の組織より求めた厚み方向の平均結晶粒径Aと幅方向の平均結晶粒径Bとの比(B/A)が1.2以上である請求項1または2に記載の銅合金。
  4. 圧延方向と直交する断面の組織より求めた平均結晶粒径が100μm以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の銅合金。
  5. 引張強さが350MPa以上であり、導電率が75%IACS以上であり、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が40%以下である請求項1〜4の何れか1項に記載の銅合金。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の銅合金を用いた高電流用コネクタ端子材。
  7. 請求項1〜5の何れか1項に記載の銅合金を用いた放熱用電子部品。
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