JP2014077164A - パターン形成部材、及びパターン形成方法 - Google Patents

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慈 足立
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Abstract

【課題】コストが低減され、それと共に成膜の際に絶縁破壊が生じない高品質のパターン形成部材、及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】基材2の表面粗さを調整する粗さ調整工程と、フォトリソグラフィー、スクリーン印刷などで基材2上に凸状にマスキングするマスキング工程と、マスキングされた基材2上に、プラズマCVD、スパッタリング、アークイオンプレーティングのいずれかの方法によって、体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmのアモルファスカーボン膜3を成膜する成膜工程と、凸状のマスクパターン4をここに形成されたアモルファスカーボン膜3と共に除去するマスク除去工程とによる方法で、アモルファスカーボン膜3によるパターンを形成してパターン形成部材1とし、帯電などによる絶縁破壊を防止した。
【選択図】図3

Description

本発明は、多様な形態で利用されるパターンをアモルファスカーボン膜によって基材上に形成したパターン形成部材、及びそのパターン形成方法に関する。
低摩擦化などを目的として、金属基材の表面にアモルファスカーボン膜を成膜することが行われている。炭化水素系ガスを成膜材料とし、基材に炭素と水素からなるアモルファスカーボン膜が成膜された材料は実用化され、多くの産業分野において広く利用されている。炭素と水素を主成分とするアモルファスカーボン膜は、非晶質でありながら、ダイヤモンド構造とグラファイト構造とが混在しており、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれている。
このアモルファスカーボン膜は、硬質で摩擦係数も小さいことから、当初は耐摩耗性を必要とするような切削工具類や摺動部材、回転部材などの表面に施工されていたが、他の産業分野においても採用されつつある。緻密な状態に成膜されたアモルファスカーボン膜は、各種の薬品に対する耐食性を発揮するため、例えば半導体加工装置分野などで部材の耐食性を向上させるものとして使用されている。
アモルファスカーボン膜を形成するための成膜方法や、その成膜装置の開発も行われており、イオン化蒸着法、アークイオンプレーティング法、高周波・高電圧パルス重畳型成膜法、プラズマブースター法、プラズマCVD法など、多数の成膜方法と成膜装置が知られている。その中でも、複雑な形状を有する被処理体に対しては、高周波・高電圧パルス重畳型のプラズマCVD方法を用いて成膜することで、均一な成膜が可能である。これらの方法で成膜されるアモルファスカーボン膜は、非晶質かつ硬質で耐摩耗性に優れた皮膜になる。
一方、基材上にパターンを付与したパターン形成部材は、半導体、印刷、メッキ分野など多様な業種で用いられており、上述のアモルファスカーボン膜を基材上でパターン形状にすることが知られている。アモルファスカーボン膜を基材上にパターンとして成膜する際、マスキング材で基材をマスキングしてから成膜する。基材にマスキングする例として、特許文献1及び2には、セグメント形態のアモルファスカーボン膜を基材上に形成させる際に、所定形状にセグメントを得られるように金属製のマスキング材を用いて基材をマスキングする方法が記載されている。
基材上に感光性レジストで凸状のパターンを形成し、基材及びこの凸状パターンにアモルファスカーボン膜を形成し、その後、当該膜が付いている凸状パターンを除去する方法が特許文献3及び特許文献4に記載されている。
特許第4117388号公報 特許第4356078号公報 特開2010−7112号公報 特開2011−142159号公報
特許文献1及び2では、金属製のマスキング材で基材をマスキングし、その後、アモルファスカーボン膜を成膜している。金属製のマスキング材を用いる場合、打ち抜きや、せん断加工、曲げ加工などによる方法によって、金属を所定の形状に型取ったり、パターン形状に形成する。そのため、量産化する際にコストの上昇を招く。
マスキング材に樹脂を用いれば、コストが抑えられ、そのうえ形作るための自由度も高くなる。特許文献3及び特許文献4では、感光性レジストとして樹脂を用いており、基材上に樹脂が存在する状態で、アモルファスカーボン膜を例えばプラズマCVD法によって成膜している。ここで用いられる有機物からなる樹脂材料は帯電し易いため、アモルファスカーボン膜を成膜する際に、プラズマ中のイオンの衝突によって当該樹脂材料が帯電し、絶縁破壊が生じることが問題となっている。
絶縁破壊が生じてしまうと、樹脂材料に欠損部分が存在するようになり、その結果良好なパターンを形成できなくなる。このような絶縁破壊は、基材にまで損傷を与えることもあり、製品の価値を著しく毀損することに繋がる。上記のような理由から、コスト及び品質の両面を兼ね備えたパターン形成部材とすることはできなかった。
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、コストが低減され、それと共に成膜の際に絶縁破壊が生じない高品質のパターン形成部材、及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。
即ち本発明のパターン形成部材は、基材上に、アモルファスカーボン膜よりなるパターンが形成されたパターン形成部材であって、前記アモルファスカーボン膜の体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmであることを特徴とする。
上記本発明によれば、アモルファスカーボン膜の体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmとなっているため、基材上に有機物からなる樹脂が存在していても、プラズマCVD法などによる成膜中、当該範囲の体積的効率を有するアモルファスカーボン膜の影響により、当該樹脂に帯電を生じないようにすることができる。従って、絶縁破壊が起こるおそれもなく、高品質のパターン形成部材とすることができる。さらに、所定形状の金属を、例えばマスキング材とする必要もないので、コストの上昇を招かないようにすることもできる。
前記アモルファスカーボン膜は、プラズマCVD法によって形成されると共に、炭素と水素を主成分とし、かつ当該水素の含有率が15〜31atomic%とされており、当該アモルファスカーボン膜の残留応力が0.30〜0.98GPaであり、かつビッカース硬さが800〜1800Hvであることが好ましい。この場合には、アモルファスカーボン膜の水素の含有率が15〜31atomic%とされて、残留応力及びビッカース硬さが所定程度に調整されて小さくなるので、アモルファスカーボン膜で形成するパターンが微細なものであっても、膜の剥離や変形を抑制することができる。
前記アモルファスカーボン膜の膜厚は、0.5μm〜20μmであることが好ましい。アモルファスカーボン膜が薄すぎると完成したパターンの強度が小さくなり使用寿命が短くなる。厚すぎた場合には、アモルファスカーボン膜の残留応力の影響で剥離が起こり易くなる。
パターンを形成する前記基材は、例えば、Fe、Cr、Ni、Al、Ti、Mgから選ばれる金属単体、又はFe、Cr、Ni、Al、Ti、Mgから選ばれる元素を1種以上含む合金が挙げられる。これらの金属製基材は、アモルファスカーボン膜と良好な密着性を有している。
本発明にかかるパターン形成部材は、幅広い用途に適用することができ、例えば、印刷用の版、シート類の搬送用支持体、メッキ用電極の部材、インプリント用のモールドとして構成するのが好適である。
本発明のパターン形成方法は、基材の表面粗さをRaで0.05μm〜0.5μmに調整する粗さ調整工程と、次の(A)〜(C)のいずれかで前記基材上にマスキングするマスキング工程と、(A)フォトリソグラフィー、スクリーン印刷、フレキソ印刷、工業用インクジェットプリンタによる印刷のいずれかで有機物からなるマスキング材を設ける方法
(B)切断加工した樹脂マスキングシートの貼り付けによる方法(C)スクリーン印刷、フレキソ印刷、工業用インクジェットプリンタによる印刷のいずれかで有機物バインダーと無機物の微粒子からなるマスキング材を設ける方法、マスキングされた前記基材上に、プラズマCVD、スパッタリング、アークイオンプレーティングのいずれかの方法によって、体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmのアモルファスカーボン膜を成膜する成膜工程と、凸状のマスクパターンをここに形成されたアモルファスカーボン膜と共に除去するマスク除去工程と、を含むことを特徴とする。
上記本発明によれば、アモルファスカーボン膜の体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmとなっているため、基材上に有機物からなる樹脂が存在していても、プラズマCVD法などによる成膜中、当該範囲の体積的効率を有するアモルファスカーボン膜の影響により、当該樹脂に帯電を生じないようにすることができる。従って、絶縁破壊が起こるおそれもなく、高品質のパターン形成部材とすることができる。さらに、所定形状に形成された金属を、例えばマスキング材とする必要もないので、コストの上昇を招かないようにすることもできる。
上記の通り本発明によれば、所定範囲の体積的効率を有するアモルファスカーボン膜の影響により、基材上の樹脂に帯電を生じないようにすることができる。従って、絶縁破壊が起こるおそれもなく、高品質のパターン形成部材とすることができる。所定形状の金属を例えばマスキング材とする必要もないので、コストの上昇を招かないようにすることもできる。
本発明の一実施形態に係るパターン形成部材を製作するためのパターン形成方法を説明するための工程断面図である。 図1に対応する平面図である。 パターン形成方法を説明するための図1に続く工程断面図である。 図3に対応する平面図である。 アモルファスカーボン膜を成膜するためのプラズマCVD装置の概略図である。 実施例のパターン形成部材の平面模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1〜図4は本発明の一実施形態に係るパターン形成部材を製作するためのパターン形成方法を説明するための工程断面図である。本実施形態のパターン形成部材1は、例えば、印刷用の版、シート類の搬送用支持体、メッキ用電極の部材、インプリント用のモールドの構成部材に適用され、基材2上に、アモルファスカーボン膜3よりなるパターンが形成されたものである(図3下図参照)。
基材2は金属製のものであれば限定されない。具体的には、Fe、Cr、Ni、Al、Ti、Mgから選ばれる金属単体、又はFe、Cr、Ni、Al、Ti、Mgから選ばれる元素を1種以上含む合金が挙げられる。これら金属製の基材2が選択される理由は、各種の産業用部材としての利用範囲が広いうえ、アモルファスカーボン膜3との良好な密着性を有しているからである。
アモルファスカーボン膜3の膜厚は0.5μm〜20μmであることが好ましく、さらには好ましくは3μm〜5μm である。アモルファスカーボン膜3の膜厚が薄すぎると、強度低下からパターンに欠陥が起こり易くなり、厚すぎた場合には、アモルファスカーボン膜3の残留応力の影響で剥離が起こり易くなるからである。
アモルファスカーボン膜3で形成するパターンの形状としては、幾何学的な形状や、螺旋形状など、印刷用の版、シート類の搬送用支持体、メッキ用電極の部材、インプリント用のモールドなどに対応する様々なものが可能である。基材2及びアモルファスカーボン膜3からなるパターン形成部材1の形態として、上記の用途に対応するように、例えばシート状、ロール状、プレート状、フープ状などの形態とすることができる。
アモルファスカーボン膜3の体積抵抗率を、1×10Ωcm〜1×10Ωcmとした点が本発明の最大の特徴であり、確認できた範囲では体積低効率は低いほど好ましい。アモルファスカーボン膜3の体積抵抗率を同範囲とすることで、成膜中に、プラズマによって、当該膜3を含めたマスキング材4が帯電しその結果発生するアーキングを防止することができる。
基材2上へのアモルファスカーボン膜3のパターンの形成方法は、基材2の表面粗さを調整する粗さ調整工程と、基材2上にマスキングするマスキング工程と、アモルファスカーボン膜3を成膜する成膜工程と、マスクパターンを除去するマスク除去工程とを含む。
まず、粗さ調整工程で基材2の表面粗さを調整する。図1の上図に示す基材2上を、ブラスト処理などによって表面粗さをRaで0.05μm〜0.5μmに調整する。表面粗さは小さい方が好ましいが、Raで0.05μm であれば実用上、十分である。基材2の表面粗さが大きすぎると、基材2にマスキングするマスキング工程での精度が悪くなり易いため好ましくない。例えば、表面粗さによってマスキングの外周のラインが乱れたりする。その結果、マスキングの幾何学的形状を反映したアモルファスカーボン膜3の成膜状態が低下してしまう。
次のマスキング工程で、図1の下図及び図2の下図ように基材2上に、所定形状(本実施形態では煉瓦形状)の凸状のマスクパターン4を形成する。マスキング方法は限定されないが、次の(A)〜(C)のいずれかで行うことが好ましい。
(A)フォトリソグラフィー、スクリーン印刷、フレキソ印刷、工業用インクジェットプリンタによる印刷のいずれかで有機物からなるマスキング材を設ける方法
(B)切断加工した樹脂マスキングシートの貼り付けによる方法
(C)スクリーン印刷、フレキソ印刷、工業用インクジェットプリンタによる印刷のいずれかで有機物バインダーと無機物の微粒子からなるマスキング材を設ける方法
上記のマスキング方法を採用することによって、アモルファスカーボン膜3の成膜を精度良く行うことができる。マスキング材としては、金属は採用せず、有機物である各種の樹脂が特に好ましい。金属製のものでは、打ち抜きや、せん断加工、曲げ加工などによる方法によって、金属を所定の形状に型取ったり、パターン形状に形成するため、量産化する際にコストの上昇を招くからである。
マスキング材に樹脂を用いればコストが抑えられ、そのうえ形作るための自由度も高くなるからである。樹脂製のマスキングとして、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、などのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂など、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が用いられる。
図3の上図及び図4の上図に示す成膜工程では、マスキングパターン4によりマスキングされた基材2上にアモルファスカーボン膜3を成膜する。続いて、各図の下図に示すマスク除去工程では、基材2上の全面に成膜されたアモルファスカーボン膜3のうち、凸状のマスクパターン4上に形成されたアモルファスカーボン膜を、当該凸状のマスクパターン4と共に除去する。以上の工程を実施することにより、パターン形成部材1を得ることができる。
アモルファスカーボン膜3の成膜方法に関しさらに詳細に説明する。アモルファスカーボン膜3は炭素と水素を主成分とするものであり、その成膜方法としては、プラズマCVD法、スパッタリング、アークイオンプレーティング法のいずれかの方法を用いることが好ましい。
アモルファスカーボン膜3の形成方法やその条件によって異なる性質が発現する。アモルファスカーボン膜は高硬度で表面摩擦係数の小さいものを製造しようとした場合、成膜時の残留応力が大きくなる傾向があり、柔軟性に欠ける。柔軟性が低いと、アモルファスカーボン膜に、局部的な微小欠陥が発生することや、基材とアモルファスカーボン膜との熱膨張係数の相違に起因する熱応力の発生によって剥離が生じる。そのため、アモルファスカーボン膜は、残留応力を軽減させることが重要である。
その対策として、本発明では、アモルファスカーボン膜を構成する炭素と水素の割合に注目し、当該水素の含有量を全体の15〜31atomic%に制御することによって、残留応力値を0.30〜0.98GPaに調整した。これによって、アモルファスカーボン膜本来の特性を維持しつつ、膜の柔軟性を付与することとした。具体的には、アモルファスカーボン膜3中に含まれる水素の含有量を15〜31atomic%とし、残部を炭素含有量とした。このような組成のアモルファスカーボン膜3を形成するには、成膜用の炭化水素系ガス中に占める炭素と水素含有比を調整すればよい。
アモルファスカーボン膜3を厚くし過ぎると、皮膜内部の残留応力が大きくなり、基材2との接合力よりも大きくなって、アモルファスカーボン膜3の剥がれの原因となる。そのため本発明では、アモルファスカーボン膜3の膜厚を0.5〜20μmとしている。アモルファスカーボン膜が0.5μmよりも薄いと、強度低下からパターンに欠陥が起こり易くなり、アモルファスカーボン膜が20μmよりも厚くなると、上記の理由から当該アモルファスカーボン膜の剥がれが起こり易くなり、かつ成膜時間が長くなることなどから生産コストの上昇に繋がる。
アモルファスカーボン膜3の表面硬さはビッカース硬さで800〜1800Hvとするのが好適である。上記の水素の含有量であるアモルファスカーボン膜3の表面硬さは、かかる範囲となるので非常に軟質であり、ある程度の変形にも耐える柔軟性がある。この点に関し、プラズマCVD法による成膜時に、水素の含有量を上記のように制御したアモルファスカーボン膜3については、残留応力が抑制されて、硬さが比較的小さくなる。従って、アモルファスカーボン膜3を20μm程度とした場合であっても、当該アモルファスカーボン膜3の剥がれを生じなくすることができる。以上のようなことから、本発明では、アモルファスカーボン膜3の水素の含有量を全体の15〜31atomic%に制御し、残留応力を0.30〜0.98GPaに調整している。
アモルファスカーボン膜3の残留応力の評価は、一端を固定した短冊形の薄い石英板の一方の面に、アモルファスカーボン膜を形成し、成膜の前後の石英板の変位量(δ)を測定することによって、膜の残留応力を求める。具体的には、残留応力(σ)は下記のStoneyの式によって求められる。
Figure 2014077164
上記式では、E:石英板のヤング率、v:石英板のポアソン比、b:石英板の厚さ、l:アモルファスカーボン膜が形成された石英板の長さ、δ:変位量、d:アモルファスカーボン膜の膜厚である。
アモルファスカーボン膜3を成膜する一例について説明する。ここで説明する成膜方法は、高周波とプラズマを重畳させたプラズマCVD法の一種でPBIIDと呼ばれているものである。この方法は、成膜時に基材を相対的に負の電位に維持しつつ、気相状態の炭化水素のラジカル、分子イオンなどの正に帯電したものを、電気化学的に当該基材に引き付け、炭素と水素を主成分とするアモルファス状の固形物を析出させる技術である。
図5はアモルファスカーボン膜3を基材2上に成膜するための、プラズマCVD装置30の概略構成図である。この装置30は、接地された反応容器20と、この反応容器20に対して、バルブ21及びバルブ22を介して接続されている成膜用の図示しない有機系ガス(主として炭化水素系ガス)導入装置、及び反応容器20を真空引きする図示しない真空ポンプと、反応容器20内の所定の位置に配設される基材2に接続する導体23と、導入端子24を介して、高電圧パルスを印加するための高電圧パルス発生電源25と、導入端子24を介して高周波を導体23に印加し、基材2の周囲にプラズマを発生させるプラズマ発生用電源26と、パルスおよび高周波の印加を一つの導体で共用するために、導入端子24と電気的に接続されている重畳装置27とで主に構成されている。
プラズマCVD装置30を用いて、基材2の表面にアモルファスカーボン膜を成膜させる。まず、基材2を反応容器20内の所定位置に設置し、真空装置を稼動させて反応容器20内の空気を排出して脱気し、その後、ガス導入装置によって炭素水素系の有機ガスを反応容器20内に導入する。
続いて、基材2にプラズマ発生用電源26からの高周波電力を印加する。反応容器20はアース線28によって電気的に中性状態にあるため、基材2は相対的に負が帯電した状態となる。このためプラズマ中に存在する正イオンは、基材2の表面全体に対して均等に作用する。
高電圧パルス発生電源25から、基材2に高電圧パルス(負の高電圧パルス)を印加すると、炭化水素系ガスのプラズマ中の正イオンは、基材2の表面に電気的に誘引吸着される。このような操作によって、基材2の表面に均等な厚さのアモルファスカーボン膜が成膜される。この現象に関し、反応容器20内では、炭素と水素を主成分とするアモルファス状の炭素・水素固形物を主成分とするアモルファスカーボン膜が、基材2の全表面に気相析出し、当該基材2を被覆するようにして成長していくものと推測される。
プラズマCVD装置30の反応容器20内へ導入する成膜用の炭化水素系のガスとして、次のA(常温で気相状態)、B(常温で液相状態)に示す化学式で表される有機系炭化水素ガスを単独又は混合して用いるのが好ましい。
A.CH、CHCH、C、CHCHCH、CHCHCHCH
B.CCH、CCHCH、C(CH、CH(CHCH、C12
さらにアモルファスカーボン膜の膜中に金属微粒子を共析させることも可能である。例えば、Si微粒子を共析させる場合には、成膜用のガスとして、有機系Si化合物(液相)の(CO)Si、(CHO)Si、[(CHSi]などを使用すればよい。常温で気相状態の有機化合物ガスでは、そのままの状態で反応容器20に導入する。液相状態の化合物では、これを加熱してガス化させ、その蒸気を反応容器20中へ供給する。有機Si化合物を用いる場合、膜中にSiが混入することがあるが、Siは炭素と強く結合しているので、本発明のパターン形成部材1への適用が可能である。
上記の方法、又はスパッタリング、アークイオンプレーティングにより、アモルファスカーボン膜3の体積抵抗率が1×10Ωcm〜1×10Ωcmとなるように成膜する。アモルファスカーボン膜3の体積抵抗率を調整するには、プラズマへの電力供給を変化させる、成膜用ガスの組成を変化させる、有機Si化合物を成膜材料として用いるなどの方法がある。
上記本実施形態のパターン形成部材、及びパターン形成方法によれば、アモルファスカーボン膜3の体積抵抗率が1×10Ωcm〜1×10Ωcmとなっているため、基材2上に有機物からなる樹脂が存在していても、プラズマCVD法などによる成膜中、当該範囲の体積的効率を有するアモルファスカーボン膜3の影響により、当該樹脂に帯電を生じないようにすることができる。従って、絶縁破壊が起こるおそれもなく、高品質のパターン形成部材1とすることができる。さらに、所定形状に形成された金属を、例えばマスキング材とする必要もないので、コストの上昇を招かないようにすることもできる。
アモルファスカーボン膜3が、炭素と水素を主成分とし、かつ当該水素の含有率が15〜31atomic%とされており、当該アモルファスカーボン膜3の残留応力が0.30〜0.98GPaであり、かつビッカース硬さが800〜1800Hvであるため、アモルファスカーボン膜3で形成するパターンが微細なものとなっても、膜の剥離や変形を抑制することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(パターン形成部材の製作)
150×150×6mmのSUS316L基材の片面に、マスキング材としてアクリル樹脂を用いて、0.5mmの線幅でマスキングし、その後、アモルファスカーボン膜を成膜した。アモルファスカーボンを成膜後、有機溶剤中で超音波振動を与えてマスクパターンを除去した。アモルファスカーボン膜の残留応力を0.30〜0.98GPaに調整し、全面積に対するアモルファスカーボン膜によるパターンが占める膜面積を50%とした。
アモルファスカーボン膜の水素含有率、体積抵抗率、ビッカース硬さ、膜厚、基材の表面粗さ、マスキング材、マスキング方法を変更した以下に示す実施例及び比較例のパターン形成部材を製作した。
(スクラッチ試験)
スクラッチ試験(JIS R3255)により、アモルファスカーボン膜がはく離を生じる臨界はく離荷重(N)を測定した。実施例1、2として、アモルファスカーボン膜の水素含有率:15、31atomic%、体積抵抗率:1×10、1×10Ωcm、ビッカース硬さ:1500、1000Hvの試験片を製作し、比較例1、2として、アモルファスカーボン膜の水素含有率:8、38atomic%、体積抵抗率:1×10、1×1012Ωcm 、ビッカース硬さ:1900、600Hvの試験片を製作した。なお、比較例2では、基材上に陽極酸化膜を形成してからアモルファスカーボン膜を成膜した。実施例1で得られたパターン形成部材の平面模式図を図6に示す。この例では、基材上の帯電、アーキングが起こらず、絶縁破壊も見られず、アモルファスカーボン膜によるパターンが精度良く形成された高品質のパターン形成部材が得られた。
試験結果を表1に示す。スクラッチ試験を実施した結果、実施例1、2、比較例1の試験片でアモルファスカーボン膜と基材の界面ではく離を生じた。比較例1の水素含有量が8atomic%の試験片では、臨界はく離荷重が8Nであり、最も小さい荷重ではく離を生じた。比較例2の水素含有量が38atomic%の陽極酸化膜を形成した試験片では、50N以上の荷重を負荷しても、はく離を生じることはなったが、体積抵抗率の値が小さくアーキングが生じ易い。
Figure 2014077164
(外観観察)
形成されたパターンの直線部分を5倍のルーペで目視観察した。実施例3、4として、基材の表面粗さ(Ra):0.05、0.5μm、アモルファスカーボン膜の膜厚:3μmの試験片を製作し、比較例3として、基材の表面粗さ(Ra):1.2μm、アモルファスカーボン膜の膜厚:3μmの試験片を製作した。観察した結果を表2に示す。基材の表面粗さが0.5μmを超える比較例3で、パターン形状に乱れが生じることが認められた。
Figure 2014077164
(アーキング)
アモルファスカーボン膜を成膜する際のアーキングの回数を記録した。アーキング回数は、成膜装置に付帯している高周波電源のアーキングカウント機能を用いて記録した。実施例5、6として、アモルファスカーボン膜の水素含有率:15、31atomic%、体積抵抗率:1×10、1×10Ωcm の試験片を製作し、比較例4として、アモルファスカーボン膜の水素含有率:38atomic%、体積抵抗率:1×1012Ωcmの試験片を製作した。記録結果を表3に示す。
Figure 2014077164
(マスキング方法とアーキング)
マスキング方法を変えた場合のアーキングの回数を記録した。アーキング回数は成膜装置に付帯している高周波電源のアーキングカウント機能を用いて記録した。アモルファスカーボン膜の水素含有率を31atomic%、体積抵抗率を1×10Ωcmとし、マスキング材及びマスキング方法を変えた表4のとおりの実施例7〜13の試験片を製作した。その結果、いずれもマスキング方法でも、アーキングを抑制した状態でアモルファスカーボン膜のパターンを形成することができた。
Figure 2014077164
上記実施形態及び実施例は例示であり制限的なものではない。本発明の範囲には特許請求の範囲と均等となる範囲内の変更が含まれる。本発明のパターン形成部材は、印刷用の版、シート類の搬送用支持体、メッキ用電極の部材、インプリント用のモールドの他、あらゆる用途への幅広い適用が可能である。
1 パターン形成部材
2 基材
3 アモルファスカーボン膜
4 マスクパターン
30 プラズマCVD装置

Claims (6)

  1. 基材上に、アモルファスカーボン膜よりなるパターンが形成されたパターン形成部材であって、
    前記アモルファスカーボン膜の体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmであることを特徴とするパターン形成部材。
  2. 前記アモルファスカーボン膜は、プラズマCVD法によって形成されると共に、炭素と水素を主成分とし、かつ当該水素の含有率が15〜31atomic%とされており、
    当該アモルファスカーボン膜の残留応力が0.30〜0.98GPaであり、かつビッカース硬さが800〜1800Hvであることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成部材。
  3. 前記アモルファスカーボン膜の膜厚が、0.5μm〜20μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成部材。
  4. 前記基材は、Fe、Cr、Ni、Al、Ti、Mgから選ばれる金属単体、又はFe、Cr、Ni、Al、Ti、Mgから選ばれる元素を1種以上含む合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成部材。
  5. 当該パターン形成部材が、印刷用の版、シート類の搬送用支持体、メッキ用電極の部材、インプリント用のモールドとして構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパターン形成部材。
  6. 基材の表面粗さをRaで0.05μm〜0.5μmに調整する粗さ調整工程と、
    次の(A)〜(C)のいずれかで前記基材上に凸状にマスキングするマスキング工程と、
    (A)フォトリソグラフィー、スクリーン印刷、フレキソ印刷、工業用インクジェットプリンタによる印刷のいずれかで有機物からなるマスキング材を設ける方法
    (B)切断加工した樹脂マスキングシートの貼り付けによる方法
    (C)スクリーン印刷、フレキソ印刷、工業用インクジェットプリンタによる印刷のいずれかで有機物バインダーと無機物の微粒子からなるマスキング材を設ける方法
    マスキングされた前記基材上に、プラズマCVD、スパッタリング、アークイオンプレーティングのいずれかの方法によって、体積抵抗率が1×105Ωcm〜1×108Ωcmのアモルファスカーボン膜を成膜する成膜工程と、
    前記凸状のマスクパターンをここに形成されたアモルファスカーボン膜と共に除去するマスク除去工程と、
    を含むことを特徴とするパターン形成方法。
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