JP2014076962A - 脂肪肝抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、非常に安全であり毎日の服用も可能である脂肪肝の抑制薬を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る脂肪肝抑制剤は、サラシア・レティキュラータおよびサラシア・キネンシスから選択される少なくとも一方の根部の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪肝を有効に抑制することができる薬剤に関するものである。
一般的に、肝炎はその原因によって、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、薬物性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症などに分類される。
これら肝炎の中でも非アルコール性脂肪性肝炎は脂肪肝といわれ、従来、良性の肝疾患であると考えられていた。しかし近年、我国では食生活の変化が見られ、栄養過多の傾向になるにつれ、生活習慣病が問題視されるようになってきた。それに伴って、脂肪肝が、メタボリックシンドロームや動脈硬化の発症や進展と直接関係することが明らかになりつつあり、また、肝炎や肝硬変、さらには肝がんへ進行する場合もあることも分かってきた。
その一方で、肝臓は沈黙の臓器といわれるように、特に各疾患の初期にはほとんど自覚症状がない。脂肪肝の場合も初期には自覚症状がなく、進行に従って、疲れ易い、体がだるい、食欲不振といった肝臓疾患の一般的症状があらわれるが、肝臓疾患と自覚することは少なく、風邪などと勘違いして放置することによりさらに悪化させることも多い。
よって脂肪肝は、普段の生活習慣からその予防に努めることも重要であるし、また、初期段階で改善することが好ましい。
脂肪肝の治療薬としては、インスリン抵抗性や糖尿病の治療用の薬剤が利用されることが多い。例えば特許文献1には、脂肪肝の治療薬としてPPARα(ペルオキソーム増殖因子活性化レセプターα;Peroxisome proliferator−activated receptor α)活性化剤が開示されている。ところがこのような薬剤は、糖尿病自体の治療などにも使われる合成医薬品であり副作用も強いと考えられ、予防的な用途には適さない。例えばPPARαのアゴニストであるフェノフィブラートには、肝肥大などの副作用が知られている。
一方、合成医薬品ではなく、脂肪肝に有効といわれている生薬としては、大黄、ニンニク、サンザシ、女貞子、丹参、甘草、地骨皮、当帰、杜仲、陳皮、何首烏、紫胡、虎杖根、姜黄、金銀花、蒲黄、桑葉、インチンコウ、沢瀉、淫羊霍などが知られている。
ところで特許文献2には、サラシア属植物の抽出物が糖尿病の治療などに効果を示すことが記載されており、また、当該抽出物の活性(品質)を、マンギフェリン含有量を基準として判定する方法が開示されている。
特開2002−220345号公報 特開2002−267655号公報
上述したように、これまでにも脂肪肝に対して効果を示すといわれる薬剤は種々知られていた。
しかし、合成医薬品は副作用などの問題から予防的な用途では使用し難い。その一方で、脂肪肝は自覚症状がないままに、或いは自覚症状があっても風邪などと混同して放置することにより進行することが多く、予防は非常に重要である。
また、本発明者らは、比較的安全と考えられる生薬から、脂肪肝に効能を有するとされるものを選択し、動物実験を行った。即ち、大黄などから熱水抽出物を得て、500mg/kgという高用量で実験動物に5週間経口投与したが、効果が認められるものは見出せなかった。
さらに特許文献2にはサラシア属植物抽出物が糖尿病などに効果があることが記載されているものの、脂肪肝に対する効果の記載や示唆は無い。また、特許文献2の品質判定方法では、マンギフェリンが基準物質として採用されており、デンプンなどをグルコースに分解するα−グルコシダーゼの阻害活性とマンギフェリン含有量との相関性が実験的に示されている。しかし特許文献2には脂肪肝の記載が無いのみならず、マンギフェリンが血糖値上昇抑制作用の直接的な成分ではないとされており、有効成分は不明なままである。
かかる状況下、本発明が解決すべき課題は、安全であり毎日の服用も可能である脂肪肝の抑制薬を提供することとする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、インドやスリランカなどで自生しており民間伝承薬として用いられていたものであるが、日本には平成7年に本発明者が初めて紹介したサラシア属植物の一部が、脂肪肝の抑制に極めて有効であることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る脂肪肝抑制剤は、サラシア・レティキュラータおよびサラシア・キネンシスから選択される少なくとも一方の根部の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
本発明に係る脂肪肝抑制剤の有効成分である上記抽出物としては、水系溶媒、特に水およびC1-4アルコールから選択される少なくとも1種による抽出物が好適である。また、上記抽出物としては、水系溶媒により抽出された抽出物の中でも、さらにメタノールに可溶のものが好適である。さらに、上記抽出物としては、マンギフェリンを0.5質量%以上含むものも好ましい。これら抽出物の優れた脂肪肝改善効果は、本発明者による実験で確認されている。
脂肪肝は、アルコールとも密接な関係を有する。即ち、大量にアルコールを摂取すると肝臓に脂肪が付き易くなる。しかし最近では、食べ過ぎなど栄養の過剰摂取による脂肪肝が、他の生活習慣病の原因にもなることから非常に問題になっている。本発明に係る脂肪肝抑制剤が、非アルコール性脂肪肝に対して特に優れた改善効果を示すことは、本発明者による実験で確認されている。
本発明に係る脂肪肝抑制剤は、御茶としても用いられているサラシア属植物の抽出物を有効成分とするものであることから非常に安全であり、毎日の摂取や服用も可能である。また、本発明に係る脂肪肝抑制剤は、脂肪肝の予防作用や治療作用に極めて優れている。よって本発明は、近年における食生活の欧米化などにより問題になっていた脂肪肝を抑制できるものとして有用である。
図1は、水と通常飼料を自由摂取させつつ飼育した対照ラットの肝組織片をヘマトキシリン エオジン染色したものの写真である。 図2は、果糖負荷しつつ飼育した対照ラットの肝組織片をヘマトキシリン エオジン染色したものの写真である。 図3は、果糖負荷に加えて脂質降下薬であるフェノフィブラートを投与しつつ飼育した対照ラットの肝組織片をヘマトキシリン エオジン染色したものの写真である。 図4は、果糖負荷に加えて比較的低用量のマンギフェリンを投与しつつ飼育した対照ラットの肝組織片をヘマトキシリン エオジン染色したものの写真である。 図5は、果糖負荷に加えて比較的高用量のマンギフェリンを投与しつつ飼育した対照ラットの肝組織片をヘマトキシリン エオジン染色したものの写真である。 図6は、水と通常飼料を自由摂取させつつ飼育した対照ラットの肝組織片をオイルレッドO染色したものの写真である。 図7は、果糖負荷しつつ飼育した対照ラットの肝組織片をオイルレッドO染色したものの写真である。 図8は、果糖負荷に加えて比較的低用量のマンギフェリンを投与しつつ飼育した対照ラットの肝組織片をオイルレッドO染色したものの写真である。 図9は、図6〜8の各写真における油滴部分の割合を比較するためのグラフである。
本発明に係る脂肪肝抑制剤は、サラシア・レティキュラータおよびサラシア・キネンシスから選択される少なくとも一方の根部の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulate)およびサラシア・キネンシス(Salacia chinensis)は、インドやスリランカ、東南アジアなどの亜熱帯地域に広く分布するニシキギ科の植物である。よって、これらの国から入手することができる。
本発明では、原料として、サラシア・レティキュラータまたはサラシア・キネンシスの何れか一方を用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る脂肪肝抑制剤は、上記植物の根部の抽出物を有効成分として含む。根部とは、上記植物のうち地中部に存在している部分であって、色などの点で地上部の茎などと明確に区別できる部分を用いることが好ましい。
抽出に当たり、上記植物の根部は、洗浄した後に乾燥してもよい。乾燥方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥などを適宜組み合わせて用いることができる。また、抽出に当たっては、根部を粗切り、粉砕など微細化してもよい。
本発明に係る抽出物を得るための抽出溶媒としては、水系溶媒を用いることが好ましい。本発明において水系溶媒とは、水、および、30℃において液状の水混和性有機溶媒をいうものとする。水混和性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールのC1-4アルコール;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒などを挙げることができる。
本発明で用いる溶媒は、上記などから選択される溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上選択して混合して用いてもよい。例えば、10v/v%以上、90v/v%以下のC1-4アルコール水溶液(単に「C1-4アルコール水」という場合がある)を用いることができる。
抽出溶媒の使用量は特に制限されず、適宜調整すればよい。例えば、根部質量に対して、1L/kg以上、50L/kg以下程度とすることができる。
抽出温度も適宜調整することができ、例えば、60℃以上、120℃以下とすることができる。なお、溶媒の沸点以上で抽出する場合には、抽出容器を密閉するか、加圧することが好ましい。
抽出時間も適宜調整することができ、例えば、30分間以上、10時間以下程度とすることができる。
また、抽出効率を高めるために、抽出操作を2回以上繰り返してもよい。即ち、通常の抽出後、根部と溶媒を濾過や遠心分離などにより分離し、根部に再びフレッシュ溶媒を加えて抽出するという操作を繰返し、各抽出液を合わせることができる。この場合の抽出回数としては、2回以上、5回以下が好ましく、2回または3回がより好ましく、2回が最も好ましい。
抽出後の混合液は、そのまま用いることができるが、通常の後処理を行ってもよい。例えば、根部と溶媒を濾過や遠心分離などにより分離したり、また、分離した抽出液を、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などを適宜組み合わせて乾燥してもよい。
本発明に係る抽出物は、溶媒に対する溶解度に応じて分画してもよい。例えば本発明者は、水抽出物をメタノール水の濃度に応じて分画し、特にメタノール可溶分が極めて優れた脂肪肝改善効果を示すことを実験的に見出している。
本発明に係る脂肪肝抑制剤の剤形は特に問わない。例えば、上述したように根部と抽出液を含む混合液や、抽出後に根部を除去した抽出液そのものであってもよい。また、注射剤としての投与を志向して、いったん乾燥した抽出物を溶液やエマルション製剤などの液状製剤とすることも考えられる。しかし、後記の実施例のとおり、本発明に係る脂肪肝抑制剤は経口投与で高い効果を示すことから、摂取や服用のし易さからも経口剤とすることが好ましい。
経口剤としては、特に制限されないが、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、糖衣錠、顆粒剤などを挙げることができる。本発明に係る脂肪肝抑制剤には、剤形に合わせ、薬学上許容される添加剤を用いてもよい。かかる添加剤としては、例えば、賦形剤、基剤、防腐剤、助剤、安定化剤、湿潤剤、pH調整剤、酸化防止剤、着色剤、甘味料などを挙げることができる。また、溶液や懸濁液を飲料にしてもよいし、一般的な食餌に添加してもよい。
本発明に係る脂肪肝抑制剤の投与頻度や投与量は、予防的な使用か治療的な使用か、脂肪肝の重篤度、患者の年齢、性別、状態などに応じて適宜調整すればよい。後述する実験データによれば、ラットの体重(kg)当たり、1日500mgの乾燥抽出物投与で有意な脂肪肝抑制効果が確認された。かかる結果より、ヒトに対する投与量は、乾燥状態抽出物で、1日当たり1mg/kg体重以上、1g/kg体重以下程度とすることが好ましい。また、一日当たりの投与回数としては、1回以上、5回以下が好ましく、1回以上、3回以下がより好ましく、1回以上、2回以下がさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1 SR由来の本発明抽出物の調製
平成22年にインド最南部東側のタミールナダで自生しているサラシア・レティキュラータ(SR)を採取し、自然乾燥させておいた。その根部1.0kgを粗切りし、熱水10Lに入れ、3時間加熱した。次いで、濾過して粗切根部を分離し、再度同様の抽出操作に付し、抽出液を得た。抽出液を合わせ、45℃以下で減圧濃縮し、SR根部抽出物を69g得た。抽出収率は約7%であった。
実施例2 SC由来の本発明抽出物の調製
タイ東北部のコンケンで自生しているサラシア・キネンシス(SC)を平成22年に採取して用いた以外は実施例1と同様にして、SC根部抽出物を70g(抽出収率:約7%)得た。
実施例3 脂肪肝改善作用試験
体重210〜230gの雄性Sprague−Dawleyラット(以下、「SDラット」という)を、室温21±1℃、湿度55±5%の12時間毎、明暗の飼育室で自由に飼料と水を摂取させ、1週間予備飼育した。
28匹のラットを任意に7匹ずつ、1)水投与群、2)果糖投与群、3)果糖+SR根部抽出物投与群、4)果糖+SC根部抽出物投与群の4群に分け、同様の条件で9週間飼育した。果糖は、水の代わりに10質量%水溶液を用いて与えた。各抽出物は、5%アラビアゴム水溶液に懸濁し、ラット用ゾンデを用いて毎日午前9時から10時の間、10週間にわたり500mg/kgの割合で強制的に経口投与した。飼育中、水または果糖溶液と飼料の摂取量を測定した。9週間目(63日目)の前夜から絶食させ、10週間目に体重を測定した後に屠殺し、肝臓を取り出して重量を測定した。肝臓は液体窒素で凍結させ、測定まで−80℃で保存した。
肝臓中の中性脂肪とコレステロールは、以下のとおり測定した。肝組織100mgを採取し、ホモジナイズ後イソプロピルアルコール2mlで抽出した。得られた抽出液を3,000rpmで遠心分離し、上清を得た。上清中の中性脂肪量とコレステロールを、市販のキットを用いて測定した。
まず、各群の果糖総摂取量、飼料総摂取量および体重変化を表1に示す。なお、表1中、「*」は、tテストにおいて果糖投与群に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
表1の結果のとおり、果糖の総摂取量はいずれの群にも差異が認められなかった。飼料に関しては、果糖を摂取した群で摂取量の減少が見られた。体重に関しては、群間の差異は認められなかった。
また、10週間目に摘出した肝臓に関して、肝重量、肝重量/体重比、肝臓中中性脂肪量および肝臓中総コレステロール量を表2に示す。なお、表2中、「*」は、tテストにおいて果糖投与群に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
表2の結果のとおり、肝臓組織中の中性脂肪量は、果糖の摂取により対照群(水のみ摂取)に対して有意に上昇した。しかし、SRおよびSCの根部の抽出物の投与により、当該量は対照群に近いほど有意に低下した。従って、本発明に係る抽出物は栄養過多による脂肪肝を有効に治療できるものであることが実証された。
実施例4 脂肪肝改善作用試験
上記実施例3の結果のとおり、SRおよびSCの根部抽出物にそれぞれ果糖誘発脂肪肝に対する有効性が認められたので、SC根部抽出物を分画し、同様の測定を行った。具体的には、実施例2で得られたSC根部抽出物(50g)を、カラムクロマトグラフィー(GEヘルスケア社製,Sephadex LH−20)を用い、水100%溶出部、水:メタノール=50:50溶出部、メタノール100%溶出部の三分画に分離した。以下、各分画をそれぞれSC分画1〜3という。また、各分画の収量は、SC根部抽出物50gに対してそれぞれ32g、6.5g、6.8gであった。
上記の収量から、SC分画1の投与量を200mg/kg、SC分画2およびSC分画3の投与量を50mg/kgとし、陽性対照として脂質降下薬であるフェノフィブラート(シグマ社製)を20mg/kgの投与量で経口投与した以外は実施例3と同様にして実験を行った。まず、各群の10週間飼育後における果糖総摂取量、飼料総摂取量および体重を表3に示す。なお、表3中、「*」は、tテストにおいて果糖投与群に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
表3の結果のとおり、果糖を摂取した群で摂取量の減少が見られ、フェノフィブラートによる体重と飼料摂取量に抑制効果が認められた以外、果糖総摂取量、飼料総摂取量および体重に差異は認められなかった。
次に、10週間目に摘出した肝臓に関して、肝重量、肝重量/体重比、肝臓中中性脂肪量および肝臓中総コレステロール量を表4に示す。なお、表4中、「*」は、tテストにおいて果糖投与群に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
表4の結果のとおり、果糖負荷に加えて脂質降下薬であるフェノフィブラートを投与した場合には、肝臓中の中性脂肪量は有意に低下した一方で、体重に対する肝重量比が有意に高まり、肝肥大が認められた。それに対して果糖負荷に加えてSC分画3を投与した場合では、肝重量/体重比が有意に高まることなく、肝臓中の中性脂肪量を顕著に低減することができた。このように、SC根部の水抽出物のメタノール可溶化部分は、より一層優れた脂肪肝改善作用を有することが明らかとなった。
実施例5 脂肪肝改善作用試験
上記実施例4のとおり、SC抽出物分画3に脂肪肝の改善効果が著明に認められたので、SC抽出物分画3の成分を分析した。
先ず、SC抽出物分画3の溶液を薄層クロマトグラフィー(Silicagel 60F254,メルク社製)で分離した後、10%硫酸セリウム水溶液を噴霧した上で加熱すると強く赤色に呈色するスポットがあった。この結果により、SC抽出物分画3には、フェノール性化合物が含まれていると推定された。
次に、SC抽出物分画3をクロマトグラフィーなどにより分画し、施光度を測定し、また、NMRで分析したところ、ポリフェノール化合物であるマンギフェリンの存在が強く示唆された。そこでマンギフェリン(以下、「MG」という)単体を用い、上記実施例3に準じて実験を進めた。即ち、35匹のラットを7匹ずつ、1)水投与群(対照群)、2)果糖投与群、3)果糖+フェノフィブラート投与群、4)果糖+低MG投与群、5)果糖+高MG投与群の5群に任意に分け、実験を行った。なお、低MG投与群と高MG投与群の高低はあくまで相対的なものであり、標準よりも低用量や高用量であることを示すものではない。低MG投与群には5mg/kgの割合でマンギフェリンを経口投与し、高MG投与群には10mg/kgの割合で経口投与した。
各群の10週間飼育後における果糖総摂取量、飼料総摂取量および体重を表5に示す。なお、表5中、「*」は、tテストにおいて果糖投与群に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
表5の結果のとおり、果糖を摂取した群で摂取量の減少が見られ、フェノフィブラートによる体重と飼料摂取量に抑制効果が認められた以外、果糖総摂取量、飼料総摂取量および体重に差異は認められなかった。
次に、10週間目に摘出した肝臓に関して、肝重量、肝重量/体重比および肝臓中中性脂肪量を表6に示す。なお、表6中、「*」は、tテストにおいて果糖投与群に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
表6の結果のとおり、果糖負荷に加えて脂質降下薬であるフェノフィブラートを投与した場合には、肝臓中の中性脂肪量は有意に低下した一方で、体重に対する肝重量比が有意に高まり、肝肥大の傾向が認められた。それに対して果糖負荷に加えてマンギフェリンを投与した場合では、肝重量/体重比が有意に高まることなく、肝臓中の中性脂肪量を顕著に低減することができた。
また、今回は肝臓の病理切片を作成し、脂肪肝による空洞の状況などの修復も観察した。具体的には、−80℃にて保管中の肝組織片を10%のホルマリンで固定し、パラフィンに埋没させ、4μm大にカット後、ヘマトキシリン エオジン染色を行なった後、研究用システム顕微鏡(オリンパス社製,BX−51)を使って観察した。結果を図1〜5に示す。
図2のとおり、水のみ投与した対照群(図1)に比して、果糖を負荷した場合、肝細胞間に中性脂肪が蓄積し、空洞化が観察された。それに対して、脂質降下薬であるフェノフィブラートまたはマンギフェリンを投与した場合(図3〜5)、かかる空洞化は明らかに低減され、対照群の肝切片像に近いものとなっている。
さらに、肝切片中の油滴量を定量するために、水投与群(対照群)、果糖投与群および果糖+低MG投与群の肝切片をオイルレッドO染色し、画像解析ソフトウェア(NIH社製,Image J 1.43)を用いて油滴部分の割合を数値化した。オイルレッドO染色した肝切片像を図6〜8に、定量値のグラフを図9に示す。なお、図9における「*」は、tテストにおいてp<0.05で有意差がある場合を示す。図6〜9のとおり、水のみ投与した場合に比べて果糖を負荷した場合には肝組織に中性脂肪が有意に蓄積するが、それに対してマンギフェリンを投与した場合には、中性脂肪量は有意に低減されることが証明された。
ここで、本発明者がスリランカ、インド、タイに自生しているSRおよびSCの葉(5〜8cm程度)、枝(直径1cm程度)、幹(直径5cm程度)ならびに根に含まれるマンギフェリン(MG)を定量したデータを開示する。定量は、平成22年に採取した試料を乾燥減量が5〜6%となるまで乾燥し、50v/v%メタノール水で抽出したものをHPLCで分析することにより行った。なお、実施例1〜2では抽出溶媒として水を用いているが、その場合のMG抽出量は、50v/v%メタノール水を用いた場合に比して1/5〜1/10である。
表7のとおり、SRまたはSCの根部に含まれるマンギフェリンは多くても10質量%程度である。それに対して、肝脂肪の低減効果については、表4と表6のとおりマンギフェリンを5mg/kgと10mg/kgとではそれ程の差はなく、また、水〜メタノール分画する前のSC根部抽出物を50mg/kgを投与した場合の効果はさらに良い。これらの結果より、マンギフェリン自体にも脂肪肝の改善効果は認められるが、SR根部抽出物またはSC根部抽出物に含まれるマンギフェリン以外の成分により、または当該成分とマンギフェリンとの相乗効果により、極めて優れた脂肪肝改善効果が発揮されることが推察される。
実施例6 毒性試験
上記実施例2において、抽出溶媒を水から50v/v%メタノール水に変更した以外は同様にしてSC根部抽出物を得、その急性毒性について検討した。詳しくは、体重20g前後のDD−Y系雄性マウス8匹に、当該抽出物を物理的に経口投与可能な2,000mg/kgの割合で1回投与し、水と通常飼料を自由摂取させつつ1週間飼育した。
その結果、1週間の観察期間中、死亡例と異常は全く認めなかった。従って、本発明に係る抽出物は、非常に安全性が高いと結論付けられた。

Claims (6)

  1. サラシア・レティキュラータおよびサラシア・キネンシスから選択される少なくとも一方の根部の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする脂肪肝抑制剤。
  2. 上記抽出物が水系溶媒による抽出物である請求項1に記載の脂肪肝抑制剤。
  3. 上記水系溶媒が、水およびC1-4アルコールから選択される少なくとも1種である請求項2に記載の脂肪肝抑制剤。
  4. 上記抽出物が、水系溶媒抽出物のメタノール可溶分である請求項2または3に記載の脂肪肝抑制剤。
  5. 上記抽出物がマンギフェリンを0.5質量%以上含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪肝抑制剤。
  6. 脂肪肝が非アルコール性脂肪肝である請求項1〜5のいずれかに記載の脂肪肝抑制剤。
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