以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及び図示しない遊技機枠を備えている。このうち外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、図示しない遊技機枠は外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
遊技機枠の右側縁部には、その内側(裏側)に図示しない施錠ユニットが設けられており、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対してガラス枠ユニット4及び遊技機枠が閉じた状態で、その施錠ユニットは施錠具とともにガラス枠ユニット4及び遊技機枠の開放を不能にしている。
受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6cが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6cを時計回りに捻ると、施錠ユニットが作動して遊技機枠とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、パチンコ機1の裏側が露出することになる。パチンコ機1の裏側には、図示しない払出装置ユニットや発射装置ユニット等が設置されている他、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(制御コンピュータを含む)、接続端子等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図2)に基づいてさらに後述する。
一方、シリンダ錠6cを反時計回りに捻ると、遊技機枠は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠が外れ、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6を遊技機枠に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後で図示しない遊技機枠に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態で遊技機枠に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6の上面には、上皿6aが形成されている。この上皿6aには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に払出装置ユニットから受け皿ユニット6(主に上皿6a)に払い出される。また受け皿ユニット6には、上皿6aよりも下段位置に下皿6bが形成されている。この下皿6bには、上皿6aに入りきらない遊技球か、もしくは上皿6aから排出された遊技球を貯留することができる。
受け皿ユニット6の上面には、操作パネルユニット9が設置されており、この操作パネルユニット9には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、ICメモリ内蔵媒体等)を投入した状態で、球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。操作パネルユニット9の上面には図示しない度数表示部が配置されており、この度数表示部には、有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。さらに操作パネルユニット9には、演出用の押しボタン14や上下左右の方向キー15が設置されており、これら押しボタン14や方向キー15は、遊技中に適宜、遊技者が操作することができる。
受け皿ユニット6の左上部には上皿球抜きレバー6dが設置されており、また、下皿6bを囲む壁部分の前面には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを操作することで、上皿6aに貯留された遊技球を下皿6bに流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きレバー6eを操作することで、下皿6bに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで図示しない発射装置ユニットを作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為にゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26に入賞(流入)したりする。また可変始動入賞装置28や可変入賞装置30には、それぞれの作動時に遊技球の流入が可能な状態となる。ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技盤8に形成された貫通穴を通じて裏側へ回収される。
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が所定の態様で停止表示された場合)に作動し、下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
また上記の可変入賞装置30は、特定の条件が満たされた場合(特別図柄が特定の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置にあり、このとき大入賞口への入賞は不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁を中心として前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が可能な状態となり、大入賞口への入賞を発生させる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右上位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により、それぞれ第1特別図柄、第2特別図柄の変動状態と停止状態とをそれぞれ表示することができる。また、第1作動記憶ランプ34a及び第2作動記憶ランプ36aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、ランプが全て消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。本実施形態では、一方の作動記憶ランプ34aが第1特別図柄の作動記憶数を表し、他方の作動記憶ランプ36aが第2特別図柄の作動記憶数を表している。
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ(2ラウンド又は15ラウンド)、確率変動状態表示ランプ、時間短縮状態表示ランプにそれぞれ対応する4つのランプ(LED)が含まれている。
本実施形態では、遊技盤8の大部分が透明な部材で構成されており、上記の普通図柄表示装置33や第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36等は、いずれも透明な部材の背後(遊技者から容易に視認可能な位置)に設置されている。さらに遊技盤8の後側には、比較的大型の液晶表示器40が設置されており、この液晶表示器40には、第1又は第2特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36aの表示に連動させた記憶数表示マーカM1,M2が表示される他、各種の演出画像が表示される。液晶表示器40の表示画面は、透明な遊技盤8を透過して前面側から良好に視認可能である。
また遊技盤8には、その上縁部に沿って区画部材42が設置されている。区画部材42は、その上面が遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能し、遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、区画部材42の上面に沿って左右いずれかに振り分けられる。遊技領域8a内の左側縁部にはワープ入口44が設置されており、透明な遊技盤8の裏面側には、ワープ入口44に通じる球案内通路46が形成されている。球案内通路46もまた透明な部材で構成されているため、それによって液晶表示器40の視認性が阻害されることはないし、球案内通路46を通過する遊技球は、遊技者から明瞭に視認可能である。
さらに遊技盤8には、その略中央から僅かに下寄りの位置に転動ステージ48が形成されている。上記のワープ入口44は遊技領域8a内にて上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為にワープ入口44内に流入すると、その遊技球は球案内通路46を通じて転動ステージ48上に放出される。転動ステージ48の上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。遊技盤8には、転動ステージ48の前面側を開放するべく開口が形成されており、転動ステージ48上を転動した遊技球は、やがて開口を通じて下方の遊技領域8a内に流下する。また、転動ステージ48の中央位置には球放出路50が形成されており、この球放出路50は、遊技盤8の背後で転動ステージ48の上面から下方に延び、さらに前方へ屈曲されて遊技盤8の前面にて開口している。転動ステージ48から球放出路50内に流下した遊技球は、前面の開口から放出されてくる。そして、放出された遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に入賞しやすくなる。なお、転動ステージ48や球放出路50を構成する部材もまた透明であるため、液晶表示器40の視認性が阻害されることはないし、転動ステージ48や球放出路50を通過する遊技球は、遊技者から明瞭に視認可能である。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56が設置されている。これらランプ52,54,56は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)による演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対の上スピーカ58が内蔵されており、そして受け皿ユニット6の中央から僅かに右寄りの位置には下スピーカ60が内蔵されている。これらスピーカ58,60は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図2は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備え、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有する。主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。なお、本実施形態では大当り判定に第1特別図柄、第2特別図柄の2つの図柄を用いているため、これら図柄ごとに乱数発生器75を設けてもよい。その他にも主制御装置70には、図示しないクロック発生回路や入出力ドライバ(PIO)、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及び大入賞口スイッチ84が装備されている。始動入賞口スイッチ80,82は、それぞれ上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。また大入賞口スイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出するためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1,第2特別図柄表示装置34,36、第1,第2作動記憶ランプ34a,36a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置34,36,38及びランプ33a,34a,36aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して下始動口ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。
パチンコ機1には、賞球払出制御装置92が装備されている。この賞球払出制御装置92(賞球払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニットの動作を制御する。賞球払出制御装置92には、図示しない払出制御CPUを実装した回路基板が装備されており、この払出制御CPUもまた、図示しないCPUコアとともにROM、RAM等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。賞球払出制御装置92(払出制御CPU)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出制御ユニットの動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。
上記の主制御装置70とは別に、パチンコ機1は制御上の構成として演出制御装置94(演出制御手段)を備えている。この演出制御装置94は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置94にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU96を実装した回路基板が装備されている。演出制御CPU96には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM98やRAM100等の半導体メモリが内蔵されている。
また演出制御装置94には、図示しない入出力ドライバや各種のICが装備されている他、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104が装備されている。演出制御CPU96は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104に指令を与えて各種ランプを発光させたり、スピーカ58,60から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路102は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路102は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用のランプ(参照符号なし)が含まれる。
また音響駆動回路104は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC(DSP)、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路104は、上スピーカ58及び下スピーカ60を駆動して音響出力を行う。
上記の液晶表示器40は遊技盤8の裏側に設置されているが、遊技盤8とは別体であり、遊技盤8を取り替える際(いわゆる盤替え時)に液晶表示器40を合わせて交換する必要はない。遊技機枠の裏側には表示制御装置114が設置されており、液晶表示器40による表示動作は、表示制御装置114により制御されている。表示制御装置114には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU116とともに、表示プロセッサであるVDP122を実装した回路基板が装備されている。このうち表示制御CPU116は、図示しないCPUコアとともにROM118、RAM120等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP122は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM124やVRAM126等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM126は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU96のROM98には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU96は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプやスピーカ58,60を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器40を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU96は、表示制御CPU116に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出パターン番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU116は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU116は、VDP122に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP122は、制御信号に基づいて画像ROM124にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM126に転送する。さらにVDP122は、VRAM126上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器40の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、図示していないが、遊技機枠の裏側には電源制御ユニットが装備されている。この電源制御ユニットは島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込み、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成する。電源制御ユニットで生成された電力は、主制御装置70や演出制御装置94、賞球払出制御装置92、表示制御装置114をはじめ、パチンコ機1の各所に供給される。
また、主制御CPU72は図示しない外部端子板を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出要求情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。外部端子板から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図3及び図4は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置94に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置94は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図4に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図5中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図5中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち大当り種別の判定に関わらない乱数(リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生して、後述の割込管理処理が実行される残り時間にて行われる。
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して後述の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間にて電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図5中のステップS203)において各種入賞口スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、賞球払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた第1,第2特別図柄表示装置34,36による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理(図5)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は下始動口ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(下始動口ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図5は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値が書き込まれる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数等が含まれる。このうち大当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される数値データである。なお、本実施形態では第1特別図柄、第2特別図柄の2つの図柄を用いているため、これら図柄ごとに大当り図柄乱数を発生させてもよい。この場合、さらに初期値更新用乱数を各図柄別に用意してもよい。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(PIO)から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、大入賞口スイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は第1特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象(第1事象)が発生したと判定する。また主制御CPU72は、下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、第2特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象(第2事象)が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔始動入賞処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図6は、始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
ステップS12:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図5中のステップS205)で第1作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに第1特別図柄に対応する大当り決定乱数としてセーブする。
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS20:主制御CPU72は、第1特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はメインループに復帰すると、ここでセットしたフラグの値を参照して演出制御装置94に始動口入賞音制御コマンドを送信し、また、賞球払出制御装置92に賞球指示コマンドを送信する。
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72は次にステップS22を実行する。
ステップS22:主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認されなかった場合(No)、ここで主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS24を実行する。
ステップS24:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。第2特別図柄作動記憶数カウンタについても上記と同様に、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4に達していれば(No)、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS26に進む。
ステップS26:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。
ステップS28:そして主制御CPU72は、乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS16と同様である。
ステップS29:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。乱数値を取得する方法は、先に説明したステップS17と同様である。
ステップS30:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これらを領域内の空きセクションにセットで記憶させる。記憶の手法は、先に説明したステップS18と同様である。
ステップS32:主制御CPU72は、第2特別図柄始動口入賞フラグをセットする。以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図7は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、大当り遊技処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスを指定し、ジャンプ先と戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ第1特別図柄、第2特別図柄のいずれも変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより第1特別図柄及び第2特別図柄の停止表示が行われる。
ステップS5000:大当り遊技処理は、先の特別図柄停止表示中処理において大当りの態様で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示された場合に選択される。第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかが大当りの表示態様で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する。大当り遊技中は、大当り遊技処理において大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、規定回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技機会付与手段)。なお、このように可変入賞装置30が開放動作することを「ラウンド」と称し、規定回数が全部で15回あれば、これを「15ラウンド」と総称することがある。
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は、大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を表す遊技状態別フラグをセットする。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、次の大当りが発生する確率が通常の状態よりも高く(10倍程度)なる(高確率状態移行手段)。また、「高確率状態」になると時間短縮機能が作動し、通常の状態よりも第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間が全体的に短縮される。「時間短縮状態」は、確率変動機能が作動せずに時間短縮機能だけが作動した状態であり、この「時間短縮状態」になると、通常の状態に比較して第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間が全体的に短縮される(時間短縮状態移行手段)。
なお本実施形態において、大当りの内部抽選に関する図柄として第1特別図柄、第2特別図柄が設けられているのは、例えば以下のような遊技性を持たせるためである。すなわち、本実施形態では、第1特別図柄が大当りの表示態様で停止した場合と、第2特別図柄が大当りの表示態様で停止した場合とで、遊技者に付与される利益の大きさが異なる場合が設けられている。以下、この点について説明する。
先ず、第1特別図柄、第2特別図柄のいずれについても、大当り種別が「確率変動大当り」となる比率、つまり確変比率は同じ(例えば50%程度が「確率変動大当り」)である。ただし第1特別図柄については、「確率変動大当り」が「2ラウンド」の大当りになる場合が設定されている(例えば、50%のうちの10%程度)。「2ラウンド」の大当りは、1回あたりの開放時間が比較的短く(例えば0.3秒間程度)、1回の開放動作が終了すると、所定のインターバル(例えば1〜2秒程度)をおいて2回目の開放動作を行い、それだけで終了してしまう。このため「2ラウンド」の大当りになっても、実質的に大入賞口への入賞は発生しないか、かろうじて遊技球1個の入賞が発生する程度でしかなく、大当り中に遊技者が獲得できる賞球数はほとんどないといえる。
一方、第2特別図柄については、「確率変動大当り」は全て「15ラウンド」の大当りになる。この場合、1回あたりの開放時間が比較的長く(上記のように30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、1回の開放動作が終了すると、所定のインターバル(例えば1〜2秒程度)をおいて15回分の開放動作を行った上で大当り遊技が終了する。このため「15ラウンド」の大当りになると、集中的に大入賞口への入賞が発生し、それによって遊技者は短時間のうちに比較的多くの賞球(例えば入賞1個につき払い出し14個)を獲得することができる。
このため遊技者からみれば、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方で大当たりになる方が全体的な利益は大きい。もちろん、第1特別図柄についても「確率変動大当り」が「15ラウンド」の大当りになる場合もある(例えば、50%のうちの40%程度)が、「2ラウンド」の大当りになる可能性がある分、やはり第1特別図柄で大当りするよりも、第2特別図柄で大当りする方が安心感を覚えやすい傾向にある。したがって、本実施形態のパチンコ機1は、「できるだけ下始動口28aに遊技球を入賞させることを狙って遊技球を発射することが遊技を進める上で重要な戦略となる」という遊技性を実現している。
ただし、上記のようなラウンド数の設定はあくまで一例であり、パチンコ機1による遊技性は、第1特別図柄と第2特別図柄について、それぞれどのような種類の当選図柄(当選種別、当選種類)をどの程度の比率で割り振るかによって違ってくる。例えば、上記の例とは逆に、第1特別図柄には「2ラウンド」の大当りがなく、第2特別図柄の方にだけ「2ラウンド」の大当りが設定されている場合、今度は逆にパチンコ機1は、「なるべく下始動口28aへの入賞を避けた方が有利になる」という全く違った遊技性を持つことになる。
本実施形態では、最初に挙げた遊技仕様の例(第1特別図柄にだけ「2ラウンド」の大当りがある例)を採用するとした前提の下で、第1特別図柄と第2特別図柄の両方について作動記憶がある場合、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方を優先して変動表示させることで、遊技者に対する訴求力を高めている。以下、第2特別図柄の変動表示を優先する制御手法について説明する。なお、このような制御は本発明の実施に際して必須ではなく、どちらの図柄についても均等に変動表示させる制御を採用してもよいし、逆に第1特別図柄を優先して変動表示させてもよい。
〔特別図柄変動前処理〕
図8は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
これに対し、いずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合のみ、第1特別図柄に対応する乱数を読み出して別の共通記憶領域に保存する。共通記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。その結果、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかに対応する方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。このとき減算対象となる作動記憶数カウンタは、先のステップS2200で記憶した乱数のシフトを行った方に対応するものである。これにより、上記の表示出力管理処理(図5中のステップS205)の中で第1作動記憶ランプ34a又は第2作動記憶ランプ36aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。このとき、読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で大当り値の範囲を設定して大当り判定を行っているが、予め大当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行うプログラミング例もある。
ここで、上記のように大当り決定乱数値は、第1特別図柄又は第2特別図柄で別々に読み出されるため、大当り判定処理(内部抽選)は図柄別に行われることになる。例えば、先のステップS2200で第1特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第1特別図柄に対応して行われることになる。一方、第2特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第2特別図柄に対応して行われることになる(図柄別抽選実行手段)。なお、ここでは第2特別図柄の変動を優先するため、ステップS2200では第2特別図柄に対応する乱数値を読み出している前提である。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、今回の変動表示が第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれに該当するかを確認し、該当する方の特別図柄について、はずれ時の停止図柄番号データをセットする。具体的には、先の特別図柄記憶シフト処理で第2特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、ここで主制御CPU72は第2特別図柄表示装置36による停止図柄番号データをセットする。一方、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数の記憶をシフトしていれば、ここで主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34による停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信するための停止図柄番号コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に送信される。
なお本実施形態では、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36にそれぞれ7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを両方の図柄で共通の値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄又は第2特別図柄について、はずれ時の特別図柄の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。なおリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、今回の内部抽選で当選が得られた第1特別図柄又は第2特別図柄について当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と各図柄別の当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて図柄別に当選図柄の種類を決定することができる。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットする。基本的に、当り時には大当りリーチ変動を行うため、この処理でリーチ決定乱数を用いない場合は、リーチ決定乱数の取得を省略してもよい。なお一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)に基づいて、「確変図柄」又は「非確変(通常)図柄」の種別を判定し、「確変図柄」である場合は確率変動フラグに値(01H)をセットする。また主制御CPU72は、当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)に基づいて大当り中のラウンド数(2,5,15のいずれか)を設定する。ここで設定したラウンド数は、大当り遊技処理(図7のステップS5000)において使用されるものである。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図7:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
なお、特別図柄遊技処理に復帰すると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定する。特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図8中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器40の画面上で左・中・右に並んで表示される(図1参照)。各演出図柄は、例えば数字の「1」〜「9」とともにキャラクタが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄については、数字が「1」〜「9」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、中演出図柄と右演出図柄については、いずれも数字が「9」〜「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。また各図柄列は、数字付きの絵札の図柄と比較的小さいブランク図柄(例えば図形、記号、紋章等)とを交互に配列して構成されている。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。
〔変動演出例〕
図9は、演出図柄を用いた変動演出の流れを一例として示す連続図である。ここでいう「変動演出」は、第1特別図柄又は第2特別図柄が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動演出の流れについて説明する。なお図9では、液晶表示器40の画面(表示領域)についてその形態を簡略化している(実際の表示領域は矩形状ではない)。
〔変動表示演出〕
図9中(A):第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器40の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。ここでは図示されていないが、液晶表示器40の画面上には、演出図柄の背景となる画像(背景画像)が表示されている。また図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。
〔発生前予告演出(1)〕
図9中(B):次に、変動表示演出の比較的初期において、キャラクタの絵柄画像を用いた発生前予告演出(1)が行われる(発生前予告演出実行手段)。演出用の絵柄画像は、画面上で変動表示されている演出図柄の手前に位置し、例えば画面の左端からひょっこりと出現するようにして表示される(その他の出現の態様でもよい。)。なお、ここでいう「発生前予告」とは、いずれかの演出図柄が停止表示される前にリーチの可能性や大当りの可能性を予告するという意味である。このような「発生前予告演出」を実行することで、遊技者に対して「リーチに発展するかも知れない=大当りの可能性が高まる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔発生前予告演出(2)〕
図9中(C):さらに発生前予告演出(2)として、先とは違うキャラクタの絵柄画像を用いた演出が行われる(発生前予告演出実行手段)。具体的には、画面の左端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像が右側に位置をずらすことで、2つの絵柄画像が画面上に並んで表示されるといった演出の態様である。このような2つ目の絵柄画像を用いた発生前予告演出(2)は、先の図9中(B)で行われた発生前予告演出(1)からさらに一歩進んだ発展型である。このように発展していく「発生前予告演出」の態様を称して、「ステップアップ予告」等と表現することがある。ここでは発生前予告演出(2)で2つ目の絵柄画像が出現する例を挙げているが、3つ目、4つ目、5つ目の絵柄画像が次々と出現して表示される演出態様であってもよい。なお、この段階でも演出図柄の変動表示は継続されている。
〔左演出図柄の停止〕
図9中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左上段位置に数字の「7」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「8」を表す演出図柄が停止している。そして左中段位置には、数字を持たないブランク図柄が停止している。
〔リーチ状態の発生〕
図9中(E):左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止していることから、画面の上段位置(上ライン)で数字の「7」−「変動中」−「7」の組み合わせが部分的に表示されたことになる。一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると「大当り」であり、ここでは「大当り」まで残りあと中演出図柄の1つだけである。このように、同種の演出図柄を2つまで揃って停止させることで、変動表示演出中に「リーチ状態」を発生させることができる(リーチ状態発生手段)。また、「リーチ状態」が発生して2つの数字が揃うことを「テンパイ(聴牌)」と称する。このとき「リーチ状態」が発生したことを遊技者に教示するため、画面上に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる。
「リーチ状態」の発生後、さらに何らかのリーチ演出パターンに発展すると、テンパイした数字(ここでは「7」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の隅に縮小された状態で表示される場合もある。これに対し、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ)の場合、テンパイした数字に対応する左・右の演出図柄は図9中(E)に示される状態のままで、例えば中演出図柄だけがゆっくりスクロールするように変動表示されるリーチ演出が行われる。
〔発生後予告演出(1)〕
図9中(F):「リーチ状態」が発生して暫くすると、例えば画面上にキャラクタの画像を大写しで表示する発生後予告演出(1)が行われる(発生後予告演出実行手段)。それまで中演出図柄が単純にスクロールされていた場合、突然、画面の表示内容が切り替わってキャラクタの画像が大写しになるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような発生後予告演出(1)を実行することで、遊技者に対して「この予告は大当りに期待できる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ演出の進行〕
図9中(G):発生後予告演出(1)に続いて、例えば数字の「2」〜「7」を表す画像が画面上で円を描くようにして移動しつつ、「2」、「3」、「4」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。このような演出は、数字の「7」が最後まで消去されずに残ると「大当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。したがって、この間、数字の「2」、「3」、「4」・・・と順番に画像が消去されていき、数字の「6」の順番が近づくに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。この後、例えば画面上で数字の「5」までが消去されたとすると、いよいよ次に数字の「6」が消去されると「大当り」であるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
〔発生後予告演出(2)〕
図9中(H):リーチ演出が大詰めに近付いたところで、突然、画面上にキャラクタの画像が割って入る(カットインする)ようにして表示され、そのキャラクタが何らかの台詞を発するという内容の発生後予告演出(2)が行われる(発生後予告演出実行手段)。この時点で、演出の内容は「数字の「6」が消去されれば「7」−「7」−「7」の大当り」という大詰めの展開である。したがって、このタイミングでキャラクタの画像を出現させることにより、遊技者に対して「いよいよ大当りかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔停止表示演出〕
図9中(I):第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。このとき、第1特別図柄又は第2特別図柄がはずれ図柄で停止表示されていれば、演出図柄も同様にはずれの態様で停止表示演出が行われる(図柄演出実行手段)。図示の例では、画面上に数字の「6」が消去されずに残ってしまったため、今回の変動では残念ながら「大当り」にならなかったことが演出的に表現されている。なお、ここでは非当選の場合を例に挙げているが、内部抽選の結果が当選であれば、そのときの当選種類(当選図柄)に応じた態様で演出図柄が停止表示される。すなわち、当選図柄が「確変図柄」に該当していれば、「1」,「3」,「5」,「7」,「9」の奇数を表す演出図柄を3つ揃って停止表示させることで、「確変大当り」であることを遊技者に教示する演出が行われる。逆に、当選図柄が「非確変図柄」であれば、偶数の演出図柄を3つ揃って停止表示させることで、「通常(非確変)大当り」であることを遊技者に教示する演出が行われる。この他に、「確変大当り」であっても偶数の演出図柄を停止表示させておき、大当り遊技中の演出で「確変」に昇格させる演出が行われる場合もある。また、「2ラウンド確変大当り」の場合は奇数の3つ揃いではなく、例えば「1」−「3」−「5」のような奇数の組み合わせの演出図柄が表示される。
以上が変動演出(変動表示演出、発生前予告演出、リーチ演出、発生後予告演出、停止表示演出)の基本的な流れであるが、本実施形態では変動演出に関して、以下の特殊な演出パターンが用意されている。
〔特殊演出例〕
図10は、変動演出に関して行われる複数の特殊演出例を示す図である。以下、それぞれの例について説明する。
〔ミッション演出〕
図10中(A):この特殊演出は、突然、画面上に「指令書」と表記された紙面が表示され、そこに「変動開始とともに○○○せよ!」といった指令内容を表示する演出であり、これを本実施形態では「ミッション演出」と称する。ミッション演出は通常、例えば「20変動以内」や「3分以内」といった期限を設けて行われることが多い。ミッション演出を開始するタイミングは、例えば変動表示演出の開始時(図9中(A))である。ミッション演出の実行中は、背景画像が特殊な内容に変更されたり、変動表示中の音楽が変化したりする。
このようなミッション演出は、指令の内容に書かれた条件を満たすと「大当り」になることを遊技者に対して教示(暗示)するものである。もちろん実際の遊技において、指令の内容を遊技者自らの意思によって満たすことはできないので、これはあくまで演出として行われるものである。裏を返せば、ミッション演出の実行中に内部抽選で当選すると、演出上で指令の内容を満たす内容の演出が実行されるものである。例えば、「○○○せよ」の内容が「キャラクタ予告を出現させよ」であった場合を想定する。このとき、制御上で「ミッション演出実行中、かつ、当選コマンド受信」の条件が満たされると、制御上で「変動開始とともにキャラクタ予告を出現させる」という演出が実行されるのである。この場合、見た目上は、あたかも指令の内容を達成できた結果、「大当り」になったかのような印象を遊技者に与えることができる。
ミッション演出には、遊技者に気分転換や意識変化の契機を与え、遊技意欲の減退を防止する効果がある。そして、実際にミッションクリアすると、遊技者に対して一定の満足感や達成感を抱かせる効果を生じる。
〔特殊演出モード〕
図10中(B):この特殊演出は、画面上に表示されている背景画像が特殊な内容の画像に変化するものであり、合わせて変動表示中の音楽が通常と違ったものに変化する。例えば、比較的高い頻度で表示される通常の背景画像が「屋外の風景」を表すものであったとすると、この特殊演出では「屋内の模様」を表す特殊な背景画像に変化する。本実施形態では、通常の背景画像を表示して変動演出を行う場合を「通常演出モード」と称し、特殊な背景画像を表示して変動演出を行う場合を「特殊演出モード」と称するものとし、上記のミッション演出中以外は、いずれかのモードを選択して変動演出が行われる(場面演出実行手段)。
なお、「特殊演出モード」は「通常演出モード」に比較して選択比率が低く抑えられているため、「通常演出モード」から「特殊演出モード」への切り換えによって、遊技者に気分転換や意識変化の契機を与えることができる。また、「特殊演出モード」には、そのモードでしか出現しない内容の予告演出やリーチ演出が用意されている。このため、遊技者にとって「特殊演出モード」は、特殊な内容の演出に接することができるチャンスであることから、遊技意欲の低下を抑えるものとなる。
〔特殊予告演出〕
図10中(C):この特殊演出は、上記の「発生後予告演出」の一環として行われるものである。例えば、変動表示演出中にリーチ状態が発生すると、画面上に流星群を表す画像が表示されることで、「大当り」への期待感を高める発生後予告演出が行われる。このような特殊予告演出は、その他の予告演出と比較して選択比率が低く設定されており、出現しただけで「大当り」の期待感が大幅に高まるものとして位置付けられている。このため特殊予告演出には、遊技者に対して「大当り」になる可能性が極めて高いことを教示し、最後までリーチ演出を楽しませる効果がある。
〔その他の特殊演出〕
特に図示していないが、本実施形態ではその他の特殊演出として以下のものが用意されている。
(1)字幕予告演出:この特殊演出は、上記の「発生前予告演出」の一環として行われるものである。例えば、変動表示演出の開始初期に画面が暗転(ブラックアウト)し、画面上に「早食い対決!」や「千秋楽の大一番!」といった字幕を大きく表示する演出が行われる。
(2)押しボタン演出:この特殊演出もまた、「発生前予告演出」の一環として行われるものである。例えば、変動表示演出の開始初期に、画面上に「ボタンを押してください」といったメッセージが表示され、これに応じて遊技者が上記の押しボタン14(操作パネルユニット9上に設けられている)を押下すると、「発生前予告演出」として特殊な画像やメッセージ(「リーチになるよ!」等)を表示する演出が行われる。
(3)図柄アニメーション演出:この特殊演出は、上記の「発生後予告演出」の一環として行われるものである。例えば、リーチ状態が発生すると、そのときテンパイした数字に対応する演出図柄のキャラクタが動いたり、何らかの台詞を発したりする演出が行われる。あるいは、テンパイした数字に対応する演出図柄(絵札)が画面上で立体的(どんでん返し)に回転したりする演出が行われる。
(4)可動体演出:この特殊演出は、「発生前予告演出」、「発生後予告演出」のどちらにも対応することができる。例えば、上記の遊技盤8に演出用の可動体(キャラクタのフィギュアや小道具等の装飾物)が設けられている場合、この可動体をモータやソレノイド等で動作させる演出が行われる。可動体を用いた演出は、存在感のある物体の動作を伴うため、平面的な画像よりも遊技者に対する視覚的な訴求力を高める効果がある。
(5)発光体演出:この特殊演出もまた、「発生前予告演出」、「発生後予告演出」のどちらにも対応することができる。例えば、上記のガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56等について、これらを特殊なパターンで発光させる演出が行われる。発光体を用いた演出は、遊技領域8aの外側に及ぶ広い範囲で演出が繰り広げられるため、それだけ遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。
上記の他にも、本実施形態では「発生前予告演出」や「発生後予告演出」に関して多種多様な内容の演出が規定されている。また個々の演出の内容には、予め大当りの可能性の度合を示す期待値が設定されており、本実施形態では期待値として「高」又は「低」の分類が規定されている。ここでいう「期待値」は、内部抽選で当選した場合にその演出が選択される比率で表される。例えば、内部抽選の当選時に60%の割合で選択される「発生前予告演出A」があったとすると、遊技者からみると、「発生前予告演出A」の期待値は「はずれの場合が40%であるが、60%で大当りの可能性あり」となるため、これは「期待値の高い予告演出」ということになる。逆に、内部抽選の非当選時に80%の割合で選択される「発生前予告演出B」があったとすると、遊技者からみて「発生前予告演出B」の期待値は「大当りの可能性は20%だけ」となるため、これは「期待値の低い予告演出」ということになる。
このように、予告演出の内容ごとに期待値の「高」・「低」を設定しておくことで、各内容の予告演出を出現させたときに、遊技者に対して高低様々な期待感を抱かせる効果が得られる。一般的に、期待値の高い予告演出が出現すると、それだけ遊技者の期待感は高まるが、期待値の低い予告演出が出現すると、遊技者の期待感はそれほど高まらない傾向にある。このため遊技者の立場で見ると、期待値の高い予告演出は、自分に利益をもたらしてくれる頼もしい存在であって、そこには「強い」イメージがあるのに対し、期待値の低い予告演出は、あまり頼りがいがなく、「弱い」イメージしかないといえる。そこで本実施形態では、このような遊技者から見た信頼感の「強弱」になぞらえて、予告演出の期待値が高いことを「強い」、期待値が低いことを「弱い」等と直感的に表現するものとする。したがって、以下の説明で「強」・「弱」といえば、それは期待値の「高」・「低」をそれぞれ意味している(図面中の表記も同様)。
一方、予告演出には上記のように「発生前予告演出」と「発生後予告演出」があり、さらに「発生前予告演出」と「発生後予告演出」にそれぞれ(1),(2)等の複数種類の演出が用意されていることから、これらの予告演出の強弱をどのように管理するかが演出制御を行う上で重要となる。例えば、「発生前予告演出」と「発生後予告演出」の両方で期待値の強い演出が実行されたにもかかわらず、最終的に非当選であったとすると、遊技者に与える失望感は極めて大きくなってしまう。逆に、「発生前予告演出(1)」の段階から期待値の弱い演出ばかりが実行されると、そこからリーチ演出に発展しても遊技者の期待感は既に低下しており、せっかくの演出の内容をほとんど楽しむことができない。
そこで本実施形態では、予告演出の選択処理に関して以下の制御手法を採用し、実際に選択される予告演出の強弱をうまく管理している。以下、変動演出の制御手法について具体的に説明する。
〔変動演出処理〕
図11は、演出制御CPU96により実行される変動演出処理の手順例を示すフローチャートである。この変動演出処理は、図示しないタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU96は、演出制御メイン処理とは別に所定の割込周期(例えば数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。なお演出制御メイン処理(図示していない)では、演出制御CPU96は主制御CPU72から送信される各種コマンドの受信処理や演出用乱数の更新処理を実行する他、表示制御装置114やランプ駆動回路102、音響駆動回路104等に対する信号出力処理等を実行している。以下、変動演出処理について各手順に沿って説明する。
ステップS500:演出制御CPU96は、主制御CPU72から抽選結果コマンド、停止図柄コマンド、変動パターンコマンド又はデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。このうち抽選結果コマンドは大当り抽選の結果を表すものであり、また停止図柄コマンドは、図柄停止時の表示態様を特定するとともに、大当りの場合はその種別(確変図柄又は非確変図柄)を表すものである。またデモ演出用コマンドは、第1特別図柄及び第2特別図柄の作動記憶数カウンタが0であること(図柄変動なし)を表すものである。
ステップS502:先のステップS500で主制御CPU72からコマンドを受信したと判断すると(Yes)、演出制御CPU96は、そのコマンドがデモ演出用コマンドに該当するか否かを判断する。主制御CPU72から受信したコマンドが抽選結果コマンド、停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドであり、デモ演出用コマンドでなければ(No)、演出制御CPU96は次にステップS504を実行する。
ステップS504:演出制御CPU96は演出抽選テーブル選択処理を実行する。この処理では、現在の状態(内部状態、演出モード、変動回数等)に基づいて条件判断を行い、そのときの状態に応じた内容の演出抽選テーブル(各種の第1テーブルを含むもの)を選択する。なお、演出抽選テーブルの具体的な内容や処理の手順例については、それぞれ別の図面を参照して後述する。
ステップS506:次に演出制御CPU96は、予告分類決定処理を実行する。この処理では、先のステップS504で選択した演出抽選テーブル(各種の第1テーブル)に基づいて、「発生前予告演出」と「発生後予告演出」でそれぞれ期待値の「強」・「弱」の組み合わせを決定する。なお、処理の具体的な内容は、別の図面にて演出抽選テーブルの例を示しつつ後述する。
ステップS508:次に演出制御CPU96は、変動パターン別予告選択処理を実行する。この処理では、先のステップS506で決定した「強」・「弱」別の「発生前予告演出」、「発生後予告演出」の具体的な内容を予告選択テーブル(第2テーブル)から選択する。予告選択テーブルには変動パターンごとの「発生前予告演出」、「発生後予告演出」の各内容が規定されており、演出制御CPU96は、主制御CPU72から受信した変動パターンコマンドに基づいて「発生前予告演出(1),(2)」及び「発生後予告演出(1),(2)」の各内容をテーブルから選択する。なお、処理の具体的な内容は、別の図面にて予告選択テーブル(第2テーブル)の例を示しつつ後述する。
ステップS510:演出制御CPU96は演出表示処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96は表示制御装置114に対して演出内容(変動演出パターン番号、予告演出番号等)を指示するとともに、ランプ駆動回路102に対して制御信号を出力する。これにより、表示制御装置114は指示された演出内容に基づいて液晶表示器40による表示の動作を制御する。またランプ駆動回路102は、制御信号に基づいて各種ランプを駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS512:次の音響出力処理では、演出制御CPU96は音響駆動回路104に対して演出内容(例えば変動中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ58,60から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS514:ステップS502で主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したと判断した場合(Yes)、演出制御CPU96はデモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
なお、変動演出中は抽選結果コマンドや停止図柄コマンド、変動パターンコマンド等を受信しないので(ステップS500:No)、この場合、演出制御CPU96はステップS510,ステップS512で現在実行中の演出画像の出力や音響出力を継続させる。また、先のステップS514でデモ演出パターンを選択していれば、演出制御CPU96はステップS510,ステップS512でデモ演出の実行を指示する。以上の手順を終えると、演出制御CPU96は上記のタイマ割込処理(割込管理処理)に復帰する。
〔その他のタイマ割込処理〕
上記の変動演出処理とは別に、演出制御CPU96はタイマ割込処理の中で以下の処理を実行している。
〔カウントアップ処理〕
図12は、カウントアップ処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順について説明する。
ステップS800:演出制御CPU96は、主制御CPU72から変動パターンコマンドを受信したか否かを確認する。特に変動パターンコマンドを受信していなければ(No)、演出制御CPU96はタイマ割込処理(割込管理処理)に復帰する。
ステップS802:変動パターンコマンドを受信した場合(ステップS800:Yes)、演出制御CPU96は以下のカウンタをインクリメントする。
(1)はずれ変動カウンタ・・・はずれ変動が連続した回数を累計するカウンタ。
(2)特殊予告後カウンタ・・・特殊演出に分類される予告演出を実行した後の変動回数を累計するカウンタ。
(3)電源ONカウンタ・・・パチンコ機1の電源投入後からの変動回数を累計するカウンタ。
なお、上記(1)〜(3)のカウンタの値は、例えばRAM100のカウンタ領域で更新されている。以上の手順を実行すると、演出制御CPU96はタイマ割込処理(割込管理処理)に復帰する。
〔カウントクリア処理〕
続いて図13は、カウントクリア処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順について説明する。
ステップS900:演出制御CPU96は、主制御CPU72から大当りコマンドを受信したか否かを確認する。大当りコマンドは、主制御CPU72において大当り遊技処理(図7中のステップS5000)が実行されると、主制御CPU72から演出制御CPU96に送信される。大当りコマンドを受信していた場合(Yes)、演出制御CPU96は次のステップS902を実行する。
ステップS902:演出制御CPU96は、上記の(1)はずれ変動カウンタ及び(2)特殊予告後カウンタをクリア(=0)する。そして演出制御CPU96は、タイマ割込処理(割込管理処理)に復帰する。
ステップS904:大当りコマンドを受信していない場合(ステップS900:No)、演出制御CPU96は特殊予告演出を選択したか否かを確認する。ここでいう特殊予告演出は、上記の「特殊演出」で例に挙げたように、「発生前予告演出」又は「発生後予告演出」の中でも選択比率(出現率)の低い内容のもの(特に、はずれ変動パターン選択時)で、予め特定された予告演出が該当する。なお特殊予告演出の選択は、先に述べた変動パターン別予告選択処理(図11中のステップS508)の中で行われる。この処理中で実際に特殊予告演出を選択した場合(Yes)、演出制御CPU96は次のステップS906を実行する。
ステップS906:演出制御CPU96は、上記の(2)特殊予告後カウンタをクリア(=0)する。以上の手順を実行するか、ステップS904で特殊予告演出を選択していないと判断すると(No)、演出制御CPU96はタイマ割込処理(割込管理処理)に復帰する。
〔演出抽選テーブル選択処理〕
図14及び図15は、上記の変動演出処理の中で実行される演出抽選テーブル選択処理(図11中のステップS504)の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS700:演出制御CPU96は、現在の状態(主制御CPU72の内部状態)が高確率中であるか否かを確認する。この確認は、主制御CPU72から送信される遊技状態コマンドに基づいて行うことができる。上記のように、大当り種別が確変図柄に該当すると確率変動フラグに値(01H)がセットされ、大当り遊技の終了後に主制御CPU72の内部状態が高確率に移行する。この場合、主制御CPU72は、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において高確率状態コマンドを演出制御CPU96に送信し、現在の内部状態が高確率中であることを演出制御CPU96に通知する。この高確率状態コマンドに基づいて現在の状態が高確率中であることを確認すると(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS702を実行する。
ステップS702:次に演出制御CPU96は、確変図柄での当選(=奇数当り)に該当するか否かを確認する。この確認は、上記の抽選結果コマンド及び停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。「奇数当り」に該当することを確認した場合、演出制御CPU96は次のステップS704を実行する。
ステップS704:演出制御CPU96は、演出抽選テーブル(第1テーブルを含むもの)として「高確率時奇数当りテーブル」を選択する。具体的には、「高確率時奇数当りテーブル」に該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
一方、高確率状態で「奇数当り」以外、つまり非当選か、もしくは非確変(通常)図柄での当選に該当することを確認した場合(ステップS702:No)、演出制御CPU96はステップS706を実行する。
ステップS706:演出制御CPU96は、演出抽選テーブルとして「高確率時奇数当り非該当テーブル」を選択する。そして、演出制御CPU96は該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
また、現在の状態が高確率でないことを確認すると(ステップS700:No)、演出制御CPU96はステップS708を実行する。
ステップS708:演出制御CPU96は、現在の状態が時間短縮中であるか否かを確認する。この確認もまた、主制御CPU72から送信される遊技状態コマンドに基づいて行うことができる。上記のように、大当り種別が非確変(通常)図柄に該当していた場合、大当り遊技の終了後、例えば変動が100回に達するまでの間、主制御CPU72の内部状態が時間短縮状態に移行する。この場合、主制御CPU72は時短状態コマンドを演出制御CPU96に送信し、現在の内部状態が時短中であることを演出制御CPU96に通知する。この時短状態コマンドに基づいて現在の状態が時短中であることを確認すると(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS710を実行する。
ステップS710:演出制御CPU96は、演出抽選テーブルとして「時短テーブル」を選択する。また、演出制御CPU96は該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
一方、現在の状態が時短中でもない(つまり、通常状態である)ことを確認すると(ステップS708:No)、演出制御CPU96はステップS712を実行する。
ステップS712:演出制御CPU96は、現時点で上記のミッション演出(図10中(A)参照)を実行中であるか否かを確認する。ミッション演出中の場合(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS714を実行する。
ステップS714:演出制御CPU96は、演出抽選テーブルとして「ミッション演出テーブル」を選択すると、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
これに対し、通常状態でミッション演出を実行中でないことを確認すると(ステップS712:No)、演出制御CPU96は次にステップS716を実行する(接続記号1→1)。
〔図15:演出抽選テーブル選択処理(2/2)を参照〕
ステップS716:演出制御CPU96は、上記の特殊予告後カウンタの値が50以下であるか否かを確認する。特殊予告後カウンタの値は上記のカウントアップ処理(図12)において1回の変動ごとにインクリメントされ、カウントクリア処理(図13)において特殊予告演出が選択されたと判断するとクリアされる。演出制御CPU96は特殊予告後カウンタの値をRAM100のカウンタ領域から取得し、この値が50以下であれば(Yes)、次にステップS718を実行する。
ステップS718:演出制御CPU96は、現時点で上記の特殊な背景画像を用いた特殊演出(図10中(B))を実行中であるか否かを確認する。特殊演出中であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS720を実行する。
ステップS720:演出制御CPU96は、演出抽選テーブル(第1テーブル)として「低タイプ特殊テーブル」を選択する。そして演出制御CPU96は、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
これに対し、特殊演出中でないことを確認すると(ステップS718:No)、演出制御CPU96は次にステップS722を実行する。
ステップS722:演出制御CPU96は、上記の電源ONカウンタの値が100以下であるか否か、もしくは、上記のはずれ変動カウンタの値が1001以上であるか否かを確認する。電源ONカウンタの値は上記のカウントアップ処理(図12)において1回の変動ごとにインクリメントされている。なおこのカウンタは、電源OFF後に電源が投入されると、図示しない初期化処理においてクリアされる(又は電源OFFによってクリア)。演出制御CPU96は電源ONカウンタの値をRAM100のカウンタ領域から取得し、この値が100以下であれば(Yes)、次に演出制御CPU96はステップS724を実行する。一方、電源ONカウンタの値が100を超えていれば、次に演出制御CPU96はRAM100のカウンタ領域からはずれ変動カウンタの値を取得し、その値が1001以上であるか否かを確認する。はずれ変動カウンタの値は上記のカウントアップ処理(図12)において1回の変動ごとにインクリメントされ、またカウントクリア処理(図13)で大当り時にクリアされる。そして、現在のはずれ変動カウンタの値が1001以上であれば(Yes)、次に演出制御CPU96はステップS724を実行する。
ステップS724:この場合、演出制御CPU96は演出抽選テーブル(第1テーブル)として「低タイプ・プレミア高確テーブル」を選択する。そして演出制御CPU96は、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
これに対し、電源ONカウンタの値が101以上であり、かつ、はずれ変動カウンタの値が1000以下の場合(ステップS722:No)、演出制御CPU96はステップS726を実行する。
ステップS726:この場合、演出制御CPU96は演出抽選テーブルとして「低タイプ通常テーブル」を選択する。そして演出制御CPU96は、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
以上の手順(ステップS718〜ステップS726)は通常状態で特殊予告後カウンタの値が50以下の場合に実行されるものであるが、特殊予告後カウンタの値が51以上の場合(ステップS716:No)は以下の手順が実行される。
ステップS728:ここでも演出制御CPU96は、現時点で上記の特殊な背景画像を用いた特殊演出(図10中(B))を実行中であるか否かを確認する。特殊演出中であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS730を実行する。
ステップS730:この場合、演出制御CPU96は、演出抽選テーブルとして「標準タイプ特殊テーブル」を選択する。そして演出制御CPU96は、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
これに対し、特殊演出中でないことを確認すると(ステップS728:No)、演出制御CPU96は次にステップS732を実行する。
ステップS732:演出制御CPU96は、上記の電源ONカウンタの値が100以下であるか否か、もしくは、上記のはずれ変動カウンタの値が1001以上であるか否かを確認する。具体的な処理の内容は、上記のステップS722と同様である。電源ONカウンタの値が100以下であるか、もしくは、はずれ変動カウンタの値が1001以上であれば(Yes)、次に演出制御CPU96はステップS734を実行する。
ステップS734:演出制御CPU96は演出抽選テーブルとして、「標準タイプ・プレミア高確テーブル」を選択する。そして演出制御CPU96は、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
これに対し、電源ONカウンタの値が101以上であり、かつ、はずれ変動カウンタの値が1000以下の場合(ステップS732:No)、演出制御CPU96はステップS736を実行する。
ステップS736:この場合、演出制御CPU96は演出抽選テーブルとして「標準タイプ通常テーブル」を選択する。そして演出制御CPU96は、該当するテーブル番号(テーブルアドレス)を取得し、その値をRAM100のバッファ領域にセーブする。
以上の手順を通じ、いずれかの演出抽選テーブル(第1テーブルを含むもの)を選択すると、演出制御CPU96は変動演出処理に復帰する。
〔第1テーブルの一覧〕
図16は、上記の演出抽選テーブル選択処理で判断される各種条件(状態、カウント、演出等)別に、どの演出抽選テーブルが最終的に選択されるかを一覧にした図である。すなわち、図16中の最も左側の列は「高確率」、「時短」、「通常」の状態別の条件を示しており、また、左から2番目の列は特殊予告後カウンタの値による条件を示している。そして、左から3番目の列は演出別の条件又は各種カウンタの値による条件を示している。図16中、各条件を左列から順番に横方向へ辿りながら見ていくと、演出抽選テーブル選択処理と同じロジックで最終的に右列のテーブルに辿り着く。
ここで、演出抽選テーブルに含まれる第1テーブルの特徴について言及する。上記のように第1テーブルは、「発生前予告演出」及び「発生後予告演出」について、それぞれ「強」・「弱」をどのように設定するかを管理するためのものであるが、その強弱管理の方向性(味付け)は、以下のようにテーブルの種類によって異なっている。
(1)高確率時奇数当りテーブル:このテーブルは、「高確率」及び「奇数当り」の条件を満たす場合に選択される。この場合、「高確率」という極めて遊技者にとって有利な状態にあり、なおかつ、実際に内部抽選で確変図柄の当選に該当しているのであるから、予告演出についてもそれなりに期待値が高い内容のものを出現させることが適当である。また、「確変大当り確定」用の演出として、比較的低い選択比率の特殊な予告演出(プレミアム予告)を設定してもよい。このようなプレミアム予告は、出現しただけで遊技者の期待感を大幅に上昇させる効果がある。したがって、高確率時奇数当りテーブルに含まれる「第1テーブル」の強弱管理の方向性は、「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「強」の設定が適しており、特に「強」の分類の中には、特殊予告演出が含まれていることが好ましい。
(2)高確率時奇数当り非該当テーブル:このテーブルは、「高確率」であるが、「奇数当り以外」の条件を満たす場合に選択される。この場合、「高確率」という極めて遊技者にとって有利な状態にあることから、やはり予告演出についてもそれなりに期待値が高い内容のものを多く出現させることが適当である。ただし、非当選(はずれ)の場合にいちいち期待値の高い予告演出を出現させても遊技者にとって意味がないので、非当選時には期待値を「弱」に設定しておくことが適当である。したがって、高確率時奇数当り非該当テーブルに含まれる「第1テーブル」の強弱管理の方向性は、当選時には「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「強」の設定が適しているが、非当選時には「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「弱」の設定の方が適している。また、「確変大当り確定」を教示するためのプレミアム予告等は予告演出としての選択肢に含まれていないことが好ましい。
(3)時短テーブル:このテーブルは、「時短中」の条件を満たす場合に選択される。この場合、「高確率」程ではないが、遊技者にとっては時間効率のよい状態にあることから、当選時にはそれなりに期待値が高い内容の予告演出を出現させることが適当である。また、非当選(はずれ)の場合は変動時間が極端に短縮(例えば、通常で12秒のところを1.5秒に短縮)されており、敢えて予告演出を出現させる必要はないことから、非当選時には期待値を「弱」に設定しておくことが適当である。したがって、時短テーブルに含まれる「第1テーブル」の強弱管理の方向性は、当選時には「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「強」の設定が適しているが、非当選時には「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「弱」の設定が適している。
以下のテーブルは「通常状態」の条件を前提としているため、「第1テーブル」の強弱管理の方向性は一概に言えない。つまり、「通常状態」では「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「強」の設定とすることが適している場合もあれば、「発生前予告演出」、「発生後予告演出」ともに「弱」の設定とすることが適している場合もある。さらに、「発生前予告演出」、「発生後予告演出」の設定を「強・弱」とすることが適している場合もあれば、反対に「弱・強」に設定することが適している場合もある。以上の前提を踏まえた上で、以下に各テーブルの特徴を示す。
(4)ミッション演出テーブル:このテーブルは、「通常時」で「ミッション演出中」の条件を満たす場合に選択される。この場合、「ミッション演出中」という特殊な演出が進行中であることから、このような演出に適した内容の予告演出を高頻度で出現させることが適当である。また、「ミッション演出中」は遊技者に対して一時的な緊張感や期待感を抱かせる効果があることから、非当選(はずれ)時に「強」の予告演出を頻発させることも避けた方がよい。したがって、特殊予告演出等の「強」に分類される予告演出について、このテーブルではあまり選択比率を高く設定しないことが望ましい。
(5)低タイプ特殊テーブル:このテーブルは、上記(4)以外で、「特殊予告後カウンタの値が50以下」、かつ、「特殊演出中」の条件を満たす場合に選択される。この場合、前回に特殊予告演出が選択されてからあまり多くの変動回数を経ていないため、非当選時に特殊予告演出が高頻度で選択されない設定が望ましい。その代わり、特殊予告演出が選択された場合は期待値が極めて「強」であり、なおかつ「大当り確定」といった味付けがなされていることが好ましい。
(6)低タイプ・プレミア高確テーブル:このテーブルは、上記(4)以外で、「特殊予告後カウンタの値が50以下」、かつ、「電源ONカウンタの値が100以下、又は、はずれ変動カウンタの値が1001以上」の条件を満たす場合に選択される。この場合も同様に、前回の特殊予告演出が選択されてから多くの変動回数を経ていないため、非当選時に特殊予告演出があまり高頻度で選択されない設定が望ましい。ただし、「電源ONカウンタの値が100以下」という条件に着目すると、これは遊技場が1日の営業を開始して間もない時間帯(営業日の午前中)であると考えられるため、遊技者に対するアピール(遊技開始の意欲を沸き立たせる)の意味でプレミアム予告の選択比率を高めに設定することが好ましい。また、「はずれ変動カウンタの値が1001以上」の条件に鑑みると、たとえ前回の特殊予告演出が選択されてからあまり多くの変動回数を経ていなくても、前回の大当りから1000回以上のはずれ変動を消化してきている(いわゆるハマリ)ため、やはり遊技者に対するアピール(遊技継続の意欲を維持する)の意味でプレミアム予告の選択比率を高めに設定することが好ましい。
(7)低タイプ通常テーブル:このテーブルは、上記(6)とは逆に、「特殊予告後カウンタの値が50以下」、かつ、「電源ONカウンタの値が101以上、又は、はずれ変動カウンタの値が1000以下」の条件を満たす場合に選択される。この場合も同様に、前回の特殊予告演出が選択されてから多くの変動回数を経ていないため、非当選時に特殊予告演出があまり高頻度で選択されない設定が望ましい。また、「電源ONカウンタの値が101以上」ということは、遊技場の営業開始からある程度の時間が経過していると考えられるため、プレミアム予告の選択比率は低めに設定することが好ましい。また、「はずれ変動カウンタの値が1000以下」ということは、前回の大当りからそれほど多くのはずれ変動を消化していないため、遊技者に対するアピール(遊技継続の意欲を維持する)の意味でプレミアム予告の選択比率を高めに設定する必要はない。
(8)標準タイプ特殊テーブル:このテーブルは、上記(4)以外で、「特殊予告後カウンタの値が51以上」、かつ、「特殊演出中」の条件を満たす場合に選択される。この場合、前回に特殊予告演出が選択されてからある程度の変動回数を消化しているため、非当選時にも特殊予告演出の選択比率を標準に設定することが望ましい。
(9)標準タイプ・プレミア高確テーブル:このテーブルは、上記(4)以外で、「特殊予告後カウンタの値が51以上」、かつ、「電源ONカウンタの値が100以下、又は、はずれ変動カウンタの値が1001以上」の条件を満たす場合に選択される。この場合も同様に、前回に特殊予告演出が選択されてからある程度の変動回数を消化しているため、非当選時にも特殊予告演出の選択比率を標準に設定することが望ましい。また、プレミアム予告の選択比率については、上記(6)と同様の設定が好ましい。
(10)標準タイプ通常テーブル:このテーブルは、上記(9)とは逆に、「特殊予告後カウンタの値が51以上」、かつ、「電源ONカウンタの値が101以上、又は、はずれ変動カウンタの値が1000以下」の条件を満たす場合に選択される。この場合も同様に、前回に特殊予告演出が選択されてからある程度の変動回数を消化しているため、非当選時にも特殊予告演出の選択比率を標準に設定することが望ましい。また、プレミアム予告の選択比率については、上記(7)と同様の設定が好ましい。
〔演出抽選テーブルの詳細〕
図17は、上記(1)〜(10)の各演出抽選テーブルの構成を概略的に示す図である。例えば図17中の上段位置に示されているように、上記(1)の高確率時奇数当りテーブル(図中符号T0)は、「高確率時奇数当り用第1(予告管理)テーブル(図中に「第1テーブル(T01)」と表記)」とともに「テンパイ前テーブル(図中符号T02)」及び「テンパイ後テーブル(図中符号T03)」をセットで含む構成である。また、図17中の中段位置に示されているように、上記(5)の低タイプ特殊テーブル(図中符号T4)は、「低タイプ特殊用第1(予告管理)テーブル(図中に「第1テーブル(T41)」と表記)」とともに「テンパイ前テーブル(図中符号T42)」及び「テンパイ後テーブル(図中符号T43)」をセットで含む構成である。同様に、図17中の下段位置に示されている(10)の標準タイプ通常テーブル(図中符号T9)は、「標準タイプ通常用第1(予告管理)テーブル(図中に「第1テーブル(T91)」と表記)」とともに「テンパイ前テーブル(図中符号T92)」及び「テンパイ後テーブル(図中符号T93)」をセットで含む構成である。なお、図示を省略されているその他のテーブルについても同様の構成である。
次に図18は、各テーブルにセットで含まれる「第1(予告管理)テーブル」、「テンパイ前テーブル」及び「テンパイ後テーブル」の一例を示す図である。なお図中、「第1テーブル」は、上記の「高確率時奇数当り用第1テーブル(T01)」,・・・,「低タイプ特殊用テーブル(T41)」,・・・,「標準タイプ通常用第1テーブル(T91)」,・・・等の各種のものを一般化して表したものである。以下、それぞれについて説明する。
〔第1テーブル〕
図18中(A):「第1テーブル」は、既に述べたとおり「発生前予告演出」及び「発生後予告演出」のそれぞれの「強」・「弱」を管理するためものものである。テーブル中の最上段は、「発生前予告演出(図中に「テンパイ前」と表記)」及び「発生後予告演出(図中にテンパイ後と表記)」についての「強」・「弱」の管理内容(強弱を組み合わせた管理パターン)を示しており、ここでは「発生前予告演出」及び「発生後予告演出」について、それぞれ「弱・弱」、「弱・強」、「強・弱」、「強・強」の4つの管理パターンが設定されている。テーブル中の上から2段目は、はずれ変動(非当選)時の各管理パターンの選択比率(分子の値)を示したものであり、ここでは、はずれ変動時の41分の11で「弱・弱」の管理パターンが選択され、41分の15で「弱・強」の管理パターンが選択され、同じく41分の15で「強・弱」の管理パターンが選択されることを意味している。なお、この第1テーブルでは、はずれ変動(非当選)時に「強・強」の管理パターンが選択されない設定(41分の0)となっている。
次に、テーブル中の上から3段目は、当り変動(当選)時の各管理パターンの選択比率(分子の値)を示したものである。この例では、当り変動時の41分の6で「弱・弱」の管理パターンが選択され、また41分の15で「弱・強」の管理パターンが選択され、同じく41分の15で「強・弱」の管理パターンが選択され、そして41分の5で「強・強」の管理パターンが選択されることを意味している。
そして、テーブル中の最下段は、各管理パターンが選択されたときの全体での期待値(当選割合)を示したものである。例えば、第1テーブルで「弱・弱」の管理パターンが選択されたとき、その当選割合は全体で17分の6であるため、期待値は35.29%となる。また、「弱・強」の管理パターンが選択されたとき、その当選割合は全体で30分の15であるため、期待値は50.00%となる。同様に「強・弱」の管理パターンが選択されたとき、その当選割合は全体で30分の15であり、その期待値は50.00%である。なお、この第1テーブルでは、はずれ変動(非当選)時に「強・強」の管理パターンが選択されない設定であるため、「強・強」の管理パターンが選択されると、期待値は100%(大当り確定)となる。
また、「発生前予告演出(テンパイ前)」が同じ「弱」に分類されるものであっても、「弱・弱」の管理パターンと「弱・強」の管理パターンとでは、後者の期待値が前者の約1.4倍である。このため、「発生後予告演出(テンパイ後)」が「強」に分類されるものであれば、「弱」のときの1.4倍に期待値が高まるという設定がされている。
〔テンパイ前テーブル〕
図18中(B):「テンパイ前テーブル」は、上記の管理パターンをさらに細分化して、「無」・「弱」の組み合わせか、又は「無」・「強」の組み合わせで上記の「発生前予告演出(1)」及び「発生前予告演出(2)」の詳細管理パターンを設定したものである。なお図中、「発生前予告演出(1)」は「前予告1」、「発生前予告演出(2)」は「前予告2」と簡略化して表記されている(これ以降の図も同様)。
管理パターンの「弱」・「強」それぞれに対応するため、「テンパイ前テーブル」は「テンパイ前(弱)テーブル」及び「テンパイ前(強)テーブル」から構成されている。このうち「テンパイ前(弱)テーブル」は、「第1テーブル」で選択された「発生前予告演出」が「弱」に該当する場合に使用されるものである。一方の「テンパイ前(強)テーブル」は、「第1テーブル」で選択された「発生前予告演出」が「強」に該当する場合に使用されるものである。例えば、上記の管理パターンが「弱・弱」又は「弱・強」であったとすると、いずれも「発生前予告演出」が「弱」に該当するため、この場合は「テンパイ前(弱)テーブル」を参照して上記の「発生前予告演出(1)」及び「発生前予告演出(2)」の詳細管理パターンが決定される。一方、「発生前予告演出」が「強」に該当する場合、「テンパイ前(強)テーブル」を参照して上記の「発生前予告演出(1)」及び「発生前予告演出(2)」の詳細管理パターンが決定されることになる。
次に、「テンパイ前(弱)テーブル」中の最上段は、「発生前予告演出(1)」及び「発生前予告演出(2)」の詳細管理パターンを示しており、ここでは「発生前予告演出(1)」及び「発生前予告演出(2)」について、それぞれ「無・無」、「無・弱」、「弱・無」、「弱・弱」の4つの詳細管理パターンが設定されている。また、テーブル中の上から2段目は、はずれ変動(非当選)時の各詳細管理パターンの選択比率(分子の値)を示したものである。この例では、はずれ変動時の31分の10で「無・無」の詳細管理パターンが選択され、また31分の15で「無・弱」の詳細管理パターンが選択され、31分の5で「弱・無」の詳細管理パターンが選択され、そして31分の1で「弱・弱」の詳細管理パターンが選択されることを意味している。
また、「テンパイ前(弱)テーブル」中の上から3段目は、当り変動(当選)時の各詳細管理パターンの選択比率(分子の値)を示したものである。この例では、当り変動時の32分の1で「無・無」の詳細管理パターンが選択され、また32分の10で「無・弱」の詳細管理パターンが選択され、32分の15で「弱・無」の詳細管理パターンが選択され、そして32分の6で「弱・弱」の詳細管理パターンが選択されることを意味している。
そして、テーブル中の最下段は、各詳細管理パターンが選択されたときの全体での期待値(当選割合)を示したものである。なお、期待値の考え方は第1テーブルで説明したものと同じである。
また、「テンパイ前(強)テーブル」については、詳細管理パターンが「無・無」、「無・強」、「強・無」、「強・強」の4つで設定されている他は、「テンパイ前(弱)テーブル」と同じである。
〔テンパイ後テーブル〕
図18中(C):「テンパイ後テーブル」もまた、上記の管理パターンをさらに細分化して、「無」・「弱」の組み合わせか、又は「無」・「強」の組み合わせで上記の「発生後予告演出(1)」及び「発生後予告演出(2)」の詳細管理パターンを設定したものである。なお図中、「発生後予告演出(1)」は「後予告1」、「発生後予告演出(2)」は「後予告2」と簡略化して表記されている。
「テンパイ後テーブル」もまた、「テンパイ後(弱)テーブル」及び「テンパイ後(強)テーブル」から構成されている。このうち「テンパイ後(弱)テーブル」は、「第1テーブル」で選択された「発生後予告演出」が「弱」に該当する場合に使用されるものである。一方の「テンパイ後(強)テーブル」は、「第1テーブル」で選択された「発生後予告演出」が「強」に該当する場合に使用されるものである。ここで例に挙げた「テンパイ後(弱)テーブル」及び「テンパイ後(強)テーブル」の内容は、それぞれ「テンパイ前(弱)テーブル」及び「テンパイ後(弱)テーブル」と同じである。
〔予告分類決定処理の内容〕
次に、上記の変動演出処理の中で実行される予告分類決定処理(図11中のステップS506)の内容について説明する。
先ず演出制御CPU96は、先の演出抽選テーブル選択処理で選択したテーブル番号(テーブルアドレス)を参照し、ROM98のテーブル格納領域から「第1テーブル」のテーブルデータを取得する。
次に演出制御CPU96は強弱管理乱数(演出用乱数の1つ)を取得し、「第1テーブル」に基づいて、はずれ変動(非当選)時又は当り変動(当選)時別に強弱の管理パターン(「弱・弱」、「弱・強」、「強・弱」、「強・強」のいずれか)を決定する(予告分類設定手段)。なお、上記の強弱管理乱数は、主制御CPU72から停止図柄コマンドを受信したことを契機として、RAM100のカウンタ領域から取得(抽出)されるものである。
管理パターンを決定すると、演出制御CPU96は「発生前予告演出」の「強」・「弱」に応じてROM98のテーブル格納領域から「テンパイ前(弱)テーブル」又は「テンパイ前(強)テーブル」のテーブルデータを取得する。
さらに演出制御CPU96は別に詳細管理乱数(演出用乱数の1つ)を取得し、「テンパイ前(弱)テーブル」又は「テンパイ前(強)テーブル」に基づいて、はずれ変動(非当選)時又は当り変動(当選)時別に「発生前予告演出」の詳細管理パターン(「無・無」、「無・弱」、「弱・無」、「弱・弱」のいずれか、又は「無・無」、「無・強」、「強・無」、「強・強」のいずれか)を決定する。上記の詳細管理乱数もまた、主制御CPU72から停止図柄コマンドを受信したことを契機として、RAM100のカウンタ領域から取得(抽出)されるものである。
同様に、演出制御CPU96は「発生後予告演出」の「強」・「弱」に応じてROM98のテーブル格納領域から「テンパイ後(弱)テーブル」又は「テンパイ後(強)テーブル」のテーブルデータを取得する。
そして演出制御CPU96は、「テンパイ後(弱)テーブル」又は「テンパイ後(強)テーブル」に基づいて、はずれ変動(非当選)時又は当り変動(当選)時別に「発生後予告演出」の詳細管理パターン(「無・無」、「無・弱」、「弱・無」、「弱・弱」のいずれか、又は「無・無」、「無・強」、「強・無」、「強・強」のいずれか)を決定する。
以上のようにして、条件別に選択した「第1テーブル」から基本的な管理パターンを決定しておき、さらに「テンパイ前テーブル」及び「テンパイ後テーブル」から詳細管理パターンを決定すると、今回の変動演出中に実行するべき「発生前予告演出(1)」、「発生前予告演出(2)」、「発生後予告演出(1)」、「発生後予告演出(2)」の全てについて期待値(強・弱)の設定が事前に完了する。この後は、個々の予告演出について具体的な演出内容を決定し、それぞれのタイムスケジュールにしたがって演出の実行(出力)が制御されることになる。
〔変動パターン別予告選択処理の内容〕
続いて、上記の変動演出処理の中で実行される変動パターン別予告選択処理(図11中のステップS508)の内容について説明する。
図19は、変動演出パターン選択テーブルの一例を示す図である。このテーブルは、主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、そのときの変動演出パターン番号を決定するためのものである。変動パターンコマンドは、例えば「MODE値−EVENT値」の形式で送信される2バイトのデータであり、演出制御CPU96は、受信した変動パターンコマンドに基づいて、その「MODE値」及び「EVENT値」に対応する変動演出パターン番号を選択する。例えば、変動パターンコマンド(変動パターン番号)が「A0H00H」で記述されている場合、演出制御CPU96は、テーブルの最上段の区分から対応する変動演出パターン番号として、「160000」を選択する。なお、図示の例では、コマンド値を10進数に変換した値で変動演出パターン番号を設定しているが、これ以外の設定を採用してもよい。すなわち、主制御CPU72からのコマンド値は、MODE値(状態別)ごとに不連続(飛び飛びに間が抜けた状態)になっているが、変動演出パターン番号に関しては、番号間の抜けがないようにシリアル番号を設定しておいてもよい。この場合、ROM98内で変動演出パターン選択テーブルの記憶に必要な容量を削減することができる。
変動演出パターン番号には、個々に「通常変動」や「時短変動」、「はずれリーチ変動」、「当りリーチ変動」等の分類が割り当てられており、さらに「はずれリーチ変動」と「当りリーチ変動」には、それぞれ細かいリーチ変動パターンが規定されている。したがって、今回の変動で選択された変動演出パターン番号が「はずれリーチ変動」又は「当りリーチ変動」の分類に該当している場合、演出制御CPU96が行う制御上、今回の変動演出で「リーチ状態」が発生することになる(リーチ状態発生手段)。
変動演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU96は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「5」−「3」等)を決定する。
また演出制御CPU96は、上記の「第2テーブル」を参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する各予告演出の内容を具体的に決定する。「第2テーブル」には、変動演出パターン番号ごとに、予め「発生前予告演出」、「発生後予告演出」の内容が詳細に規定されている。以下、「第2テーブル」の内容について説明する。
〔第2テーブルの内容:予告内容規定手段〕
図20は、第2テーブルの構成を概略的に示した図である。「第2テーブル」には、出現させる「発生前予告演出」及び「発生後予告演出」ごとに、それぞれ期待値(強弱)数分だけ詳細なテーブルが用意されている。すなわち、出現させる演出として「発生前予告演出(1)」、「発生前予告演出(2)」・・・、「発生後予告演出(1)」、「発生後予告演出(2)」・・・があり、それぞれに「強」・「弱」の設定がある場合、「第2テーブル」には予告演出別に「前予告1テーブル」、「前予告2テーブル」・・・、「後予告1テーブル」、「後予告2テーブル」・・・が含まれている。さらに「前予告1テーブル」の中には、「強」・「弱」別に「前予告1(弱)テーブル」と「前予告1(強)テーブル」が最小単位として含まれることになる。
例えば、詳細管理パターンで「発生前予告演出(1)」が「弱」に設定された場合、演出制御CPU96は「発生前予告演出(1)」の内容を決定するにあたり、「第2テーブル」の中で最小単位の「前予告1(弱)テーブル」を参照する。このテーブルには、変動演出パターン番号ごとに「発生前予告演出(1)」の「弱」に分類される内容が規定されている。なお、ここでは簡略化のため、変動演出パターン番号を1桁の数値(「1」,「2」,「4」,「5」)で表している。このとき、今回の変動演出パターン番号が「1(はずれ)」であったとすると、126分の126で「発生前予告演出(1)」には「無し」が選ばれる。この場合、今回の変動演出で「発生前予告演出(1)」の「弱」に該当するものは実行されないことになる。
また、今回の変動パターン番号が「2(はずれ)」であったとすると、126分の50の選択比率で「発生前予告演出(1)」には「無し」が選択されるが、同じく126分の50の選択比率で「前予告1−1」が選択され、また、126分の26の選択比率で「前予告1−2」が選択されることになる。「無し」が選択された場合、今回の変動演出で「発生前予告演出(1)」の「弱」に該当するものは実行されないが、「前予告1−1」や「前予告1−2」が選択された場合、それぞれの内容で「発生前予告演出(1)」の「弱」に該当するものが実行されることになる。
一方、今回の変動パターン番号が例えば「4(あたり)」であったとすると、「発生前予告演出(1)」で「無し」は選択されず(126分の0)、126分の30の選択比率で「前予告1−1」が選択され、また、126分の90の選択比率で「前予告1−2」が選択されることになる。これにより、大当り時には必ず何らかの発生前予告演出を実行することで、リーチ状態の発生前から遊技者の期待感を徐々に高めていくことができる。
その他の「前予告1(強)テーブル」や「前予告2(弱)テーブル」、「前予告2(強)テーブル」、・・・、「後予告1(弱)テーブル」、「後予告1(強)テーブル」、「後予告1(弱)テーブル」、「後予告2(強)テーブル」・・・等についても同様である。
いずれにしても、変動パターン別予告選択処理において演出制御CPU96は、そのとき設定した詳細管理データに該当する最小単位のテーブルを参照し、今回の変動演出パターン番号に基づいて、実行するべき予告演出の内容を期待値(強・弱)別のテーブルから選択する。そして演出制御CPU96は、ここで選択した内容の予告演出を実際に表示出力処理(図11中のステップS510)で実行させる制御を行う(演出制御手段)。なお、詳細管理データで「無」が設定された予告演出があれば、演出制御CPU96はその予告演出についてテーブルを参照しない。この場合、「無」が設定された予告演出は今回の変動演出中に実行されないことになる。
また、各「前予告1(強)テーブル」や「前予告2(強)テーブル」、「後予告1(強)テーブル」、「後予告2(強)テーブル」等には、上記の特殊予告演出やプレミアム予告演出が規定されており、これらテーブルは、当選時に特殊予告演出やプレミアム予告演出が比較的高い比率で選択される設定となっている。
〔制御例〕
以上の説明から本実施形態の詳細は既に明らかとなっているが、以下に変動演出中に実行される予告演出の実行タイミングについて、実際のタイムチャートに沿って説明する。
図21は、変動演出処理が実行された場合のタイムチャートである。図21中、横軸に時間の経過をとり、その途中に第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始から停止表示までの間に訪れる時刻t1〜t5を示している。
〔変動開始時:時刻t1〕
図21中(A):主制御CPU72が実行する特別図柄変動前処理(図8)中、特別図柄変動開始処理(ステップS2414)において第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示が開始される。
図21中(B)〜(D):第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に伴い、演出制御CPU96が実行する表示出力処理(図11中のステップS510)において各演出図柄(左演出図柄、右演出図柄、中演出図柄)の変動表示が開始される。これにより、各演出図柄が画面上で縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される(適宜、図9中(A)も参照されたい。)。
〔発生前予告演出(1)〕
図21中(E):例えば図中に「弱予告」と表記されているように、演出図柄の変動表示が停止する前のタイミングで、「発生前予告演出(1)」の「弱」に該当するものが実行される(適宜、図9中(B)を参照。)。
〔発生前予告演出(2)〕
図21中(F):「発生前予告演出(1)」が実行されると、続いて図中に「弱予告」と表記されているように、「発生前予告演出(2)」の「弱」に該当するものが実行される(適宜、図9中(C)を参照。)。このタイミングでは、未だ演出図柄の変動表示は停止されていない。
〔変動中:時刻t2〕
図21中(B):例えば3つある演出図柄のうち、最初に左演出図柄の変動が停止される。これにより、画面上に例えば数字の「7」と「8」を表す左演出図柄が停止した状態で表示される(適宜、図9中(D)を参照。)。
図21中(C),(D):なお、この時点でその他の右演出図柄及び中演出図柄は未だ変動表示中である。
〔リーチ表示:時刻t3〕
図21中(C):例えば、2番目に右演出図柄の変動が停止される。このとき、画面上の上段位置に数字の「7」を表す右演出図柄が停止した状態で表示されることで、リーチ状態が発生する(適宜、図9中(E)を参照。)。
図21中(D):なお、この時点で残りの中演出図柄は未だ変動表示中である。
〔リーチ演出中:時刻t3〜時刻t4〕
図21中(A):第1特別図柄又は第2特別図柄はそのまま変動表示を継続しているが、この期間内に以下のリーチ演出が行われる。
図21中(B),(C):時刻t3以降、左演出図柄及び右演出図柄は、画面上でリーチ中表示の態様に移行する。上記のように、テンパイした数字以外の図柄が画面上から消え去り、テンパイした数字の演出図柄が画面内の左右の上隅部に移動して、画面中央の領域を広く確保した状態で表示される。
図21中(D):また時刻t3以降、中演出図柄はリーチ変動中の態様に移行する。例えば、画面中央の広く確保された領域内で中演出図柄が拡大表示されたり、中演出図柄の変動が停止すると見せかけておき、また変動を継続させたりするといった演出が行われる。
〔発生後予告演出(1)〕
図21中(G):図中に「強予告」と表記されているように、時刻t3より後のタイミングで、先ず「発生後予告演出(1)」の「強」に該当するものが実行される(適宜、図9中(F)を参照。)。
〔発生後予告演出(2)〕
図21中(H):図中に「強予告」と表記されているように、「発生後予告演出(1)」が実行された後、少しの時間をおいて「発生後予告演出(2)」の「強」に該当するものが実行される(適宜、図9中(H)を参照。)。
〔停止表示:時刻t4〕
図21中(A):主制御CPU72により設定された変動時間が経過すると、特別図柄停止表示中処理(図7中のステップS4000)で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示される。
図21中(D):第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に伴い、中演出図柄はリーチ変動を停止した状態で表示される。このとき中演出図柄が数字の「7」を表すものであれば、3つの演出図柄が「7」−「7」−「7」で揃った状態となり、遊技者に対して見た目上で「大当り」であることが明確に教示される。一方、中演出図柄が数字の「7」以外(例えば「6」)を表すものであれば、演出図柄の組み合わせは「7」−「6」−「7」であり、遊技者に対して見た目上で「はずれ」であったことが明確に教示される。なお、ここでは第1特別図柄又は第2特別図柄の停止にタイミングを合わせて中演出図柄のリーチ変動を停止させているが、第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示前にリーチ変動を停止させてもよい。
〔確定表示:時刻t4〜時刻t5〕
図21中(A):この期間中は、上記の特別図柄停止表示中処理において第1特別図柄又は第2特別図柄の確定表示が行われる。この間、実際に第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36(7セグメントLED)により、その時の停止図柄が表示されている。
図21中(B)〜(D):3つの演出図柄もまた、改めて停止表示状態となる。例えば、大当りの場合はこの期間を利用して画面上で3つの演出図柄(「7」−「7」−「7」)が揃った状態で拡大又は強調表示される。これにより、遊技者に対して「大当り」であることを演出的にアピールするとともに、演出図柄の表示態様によって大当り種別(確変又は非確変)を遊技者に対して明確に教示することができる。
以上のように本実施形態によれば、実際の遊技の状態や実行中の演出、変動回数等の条件に応じて、リーチ発生前と発生後の予告演出の強弱を管理することができる。このため例えば、基本的な管理パターンを設定する「第1テーブル」において、「強・強」の管理パターンが選択された場合の期待値を100%に設定しておけば、リーチ発生前と発生後で「強」の予告演出が出現したにもかかわらず、最終的に「非当選」という結果を見ることがなくなる。これにより、遊技者に不快感や失望感、脱力感等を与えにくくし、長期にわたって遊技意欲の低下を抑制することができる。
また、「弱・弱」や「弱・強」の管理パターンが選択された場合の期待値を0%より大きく設定しておけば、たとえリーチ発生前に「弱」の予告演出が出現したとしても、そのの後の展開次第で「大当り」に期待できるため、遊技者に最後まで演出を楽しませることができる。本実施形態で挙げたように、リーチ発生後の予告演出で「強」のものが出現すると、「弱」に比較して期待値が上昇する設定にしておけば、最後まで遊技者にはらはらどきどきとした感覚を抱かせることができる。
〔その他の実施形態〕
一実施形態で挙げた各種テーブルの内容は一例に過ぎず、その内容は適宜変更することができる。また、発生前予告演出や発生後予告演出は(1),(2)だけでなく、(3)以降が用意されていてもよいし、発生前予告演出と発生後予告演出とで数が異なっていてもよい。
上記の一実施形態では、予告演出に関する期待値の度合について直感的な「強」・「弱」の表現を用いたが、各種テーブルの内容を含めて本来の「高」・「低」の表現を用いることは当然に可能である。
さらに、一実施形態で挙げた予告演出用の画像は一例であり、その他の態様の画像を用いて予告演出を実行することは当然に可能である。
なお、一実施形態では特別図柄として第1特別図柄、第2特別図柄を用いているが、特別図柄は1つだけでもよい。