以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及び図示しない遊技機枠を備えている。このうち外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、図示しない遊技機枠は外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
遊技機枠の右側縁部には、その内側(裏側)に図示しない施錠ユニットが設けられており、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対してガラス枠ユニット4及び遊技機枠が閉じた状態で、その施錠ユニットは施錠具とともにガラス枠ユニット4及び遊技機枠の開放を不能にしている。
受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6cが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6cを時計回りに捻ると、施錠ユニットが作動して遊技機枠とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、パチンコ機1の裏側が露出することになる。パチンコ機1の裏側には、図示しない払出装置ユニットや発射装置ユニット等が設置されている他、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(制御コンピュータを含む)、接続端子等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図2)に基づいてさらに後述する。
一方、シリンダ錠6cを反時計回りに捻ると、遊技機枠は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠が外れ、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6を遊技機枠に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後で図示しない遊技機枠に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態で遊技機枠に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6の上面には、上皿6aが形成されている。この上皿6aには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に払出装置ユニットから受け皿ユニット6(主に上皿6a)に払い出される。また受け皿ユニット6には、上皿6aよりも下段位置に下皿6bが形成されている。この下皿6bには、上皿6aに入りきらない遊技球か、もしくは上皿6aから排出された遊技球を貯留することができる。
受け皿ユニット6の上面には、操作パネルユニット9が設置されており、この操作パネルユニット9には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、ICメモリ内蔵媒体等)を投入した状態で、球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。操作パネルユニット9の上面には図示しない度数表示部が配置されており、この度数表示部には、有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。さらに操作パネルユニット9には、演出用の押しボタン14や上下左右の方向キー15が設置されており、これら押しボタン14や方向キー15は、遊技中に適宜、遊技者が操作することができる。
受け皿ユニット6の左上部には上皿球抜きレバー6dが設置されており、また、下皿6bを囲む壁部分の前面には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを操作することで、上皿6aに貯留された遊技球を下皿6bに流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きレバー6eを操作することで、下皿6bに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで図示しない発射装置ユニットを作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為にゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26に入賞(流入)したりする。また可変始動入賞装置28や可変入賞装置30には、それぞれの作動時に遊技球の流入が可能な状態となる。ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技盤8に形成された貫通穴を通じて裏側へ回収される。
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が所定の態様で停止表示された場合)に作動し、下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
また上記の可変入賞装置30は、特定の条件が満たされた場合(特別図柄が特定の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置にあり、このとき大入賞口への入賞は不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁を中心として前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が可能な状態となり、大入賞口への入賞を発生させる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右上位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により、それぞれ第1特別図柄、第2特別図柄の変動状態と停止状態とをそれぞれ表示することができる。また、第1作動記憶ランプ34a及び第2作動記憶ランプ36aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、ランプが全て消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。本実施形態では、一方の作動記憶ランプ34aが第1特別図柄の作動記憶数を表し、他方の作動記憶ランプ36aが第2特別図柄の作動記憶数を表している。
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ(2ラウンド又は15ラウンド)、確率変動状態表示ランプ、時間短縮状態表示ランプにそれぞれ対応する4つのランプ(LED)が含まれている。
本実施形態では、遊技盤8の大部分が透明な部材で構成されており、上記の普通図柄表示装置33や第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36等は、いずれも透明な部材の背後(遊技者から容易に視認可能な位置)に設置されている。さらに遊技盤8の後側には、比較的大型の液晶表示器40が設置されており、この液晶表示器40には、第1又は第2特別図柄に対応させた演出図柄Dをはじめ、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36aの表示に連動させた記憶数表示マーカM1,M2が表示される他、各種の演出画像が表示される。液晶表示器40の表示画面は、透明な遊技盤8を透過して前面側から良好に視認可能である。
また遊技盤8には、その上縁部に沿って区画部材42が設置されている。区画部材42は、その上面が遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能し、遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、区画部材42の上面に沿って左右いずれかに振り分けられる。遊技領域8a内の左側縁部にはワープ入口44が設置されており、透明な遊技盤8の裏面側には、ワープ入口44に通じる球案内通路46が形成されている。球案内通路46もまた透明な部材で構成されているため、それによって液晶表示器40の視認性が阻害されることはないし、球案内通路46を通過する遊技球は、遊技者から明瞭に視認可能である。
さらに遊技盤8には、その略中央から僅かに下寄りの位置に転動ステージ48が形成されている。上記のワープ入口44は遊技領域8a内にて上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為にワープ入口44内に流入すると、その遊技球は球案内通路46を通じて転動ステージ48上に放出される。転動ステージ48の上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。遊技盤8には、転動ステージ48の前面側を開放するべく開口が形成されており、転動ステージ48上を転動した遊技球は、やがて開口を通じて下方の遊技領域8a内に流下する。また、転動ステージ48の中央位置には球放出路50が形成されており、この球放出路50は、遊技盤8の背後で転動ステージ48の上面から下方に延び、さらに前方へ屈曲されて遊技盤8の前面にて開口している。転動ステージ48から球放出路50内に流下した遊技球は、前面の開口から放出されてくる。そして、放出された遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に入賞しやすくなる。なお、転動ステージ48や球放出路50を構成する部材もまた透明であるため、液晶表示器40の視認性が阻害されることはないし、転動ステージ48や球放出路50を通過する遊技球は、遊技者から明瞭に視認可能である。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56が設置されている。これらランプ52,54,56は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)による演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対の上スピーカ58が内蔵されており、そして受け皿ユニット6の中央から僅かに右寄りの位置には下スピーカ60が内蔵されている。これらスピーカ58,60は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図2は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70(主制御コンピュータ)を備え、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有する。主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。なお、本実施形態では大当り判定に第1特別図柄、第2特別図柄の2つの図柄を用いているため、これら図柄ごとに乱数発生器75を設けてもよい。その他にも主制御装置70には、図示しないクロック発生回路や入出力ドライバ(PIO)、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及び大入賞口スイッチ84が装備されている。始動入賞口スイッチ80,82は、それぞれ上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。また大入賞口スイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出するためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1,第2特別図柄表示装置34,36、第1,第2作動記憶ランプ34a,36a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置34,36,38及びランプ33a,34a,36aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して下始動口ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。
パチンコ機1には、賞球払出制御装置92が装備されている。この賞球払出制御装置92(賞球払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニットの動作を制御する。賞球払出制御装置92には、図示しない払出制御CPUを実装した回路基板が装備されており、この払出制御CPUもまた、図示しないCPUコアとともにROM、RAM等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。賞球払出制御装置92(払出制御CPU)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出制御ユニットの動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。
上記の主制御装置70とは別に、パチンコ機1は制御上の構成として演出制御装置94(演出制御コンピュータ)を備えている。この演出制御装置94は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置94にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU96を実装した回路基板が装備されている。演出制御CPU96には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM98やRAM100等の半導体メモリが内蔵されている。
また演出制御装置94には、図示しない入出力ドライバや各種のICが装備されている他、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104が装備されている。演出制御CPU96は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104に指令を与えて各種ランプを発光させたり、スピーカ58,60から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路102は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路102は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用のランプ(参照符号なし)が含まれる。
また音響駆動回路104は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC(DSP)、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路104は、上スピーカ58及び下スピーカ60を駆動して音響出力を行う。
上記の液晶表示器40は遊技盤8の裏側に設置されているが、遊技盤8とは別体であり、遊技盤8を取り替える際(いわゆる盤替え時)に液晶表示器40を合わせて交換する必要はない。遊技機枠の裏側には表示制御装置114が設置されており、液晶表示器40による表示動作は、表示制御装置114により制御されている。表示制御装置114には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU116とともに、表示プロセッサであるVDP122を実装した回路基板が装備されている。このうち表示制御CPU116は、図示しないCPUコアとともにROM118、RAM120等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP122は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM124やVRAM126等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM126は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU96のROM98には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU96は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプやスピーカ58,60を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器40を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU96は、表示制御CPU116に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出パターン番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU116は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU116は、VDP122に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP122は、制御信号に基づいて画像ROM124にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM126に転送する。さらにVDP122は、VRAM126上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器40の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、図示していないが、遊技機枠の裏側には電源制御ユニットが装備されている。この電源制御ユニットは島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込み、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成する。電源制御ユニットで生成された電力は、主制御装置70や演出制御装置94、賞球払出制御装置92、表示制御装置114をはじめ、パチンコ機1の各所に供給される。
また、主制御CPU72は図示しない外部端子板を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出要求情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。外部端子板から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70(主制御コンピュータ)の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図3及び図4は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置94に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置94は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図4に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図5中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図5中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち大当り種別の判定に関わらない乱数(リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生して、後述の割込管理処理が実行される残り時間にて行われる。
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して後述の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間にて電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図5中のステップS203)において各種入賞口スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、賞球払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた第1,第2特別図柄表示装置34,36による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理(図5)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は下始動口ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(下始動口ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図5は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値が書き込まれる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数等が含まれる。このうち大当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される数値データ(第2の数値データ)である。なお、本実施形態では第1特別図柄、第2特別図柄の2つの図柄を用いているため、これら図柄ごとに大当り図柄乱数を発生させてもよい。この場合、さらに初期値更新用乱数を各図柄別に用意してもよい。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(PIO)から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、大入賞口スイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は第1特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象(第1事象)が発生したと判定する。また主制御CPU72は、下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、第2特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象(第2事象)が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔始動入賞処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図6は、始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
ステップS12:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図5中のステップS205)で第1作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値(第1の数値データ)を取得する(抽選要素の取得)。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに第1特別図柄に対応する大当り決定乱数としてセーブする。
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値(第2の数値データ)を取得する(種類決定要素の取得)。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる(事象別記憶手段)。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS20:主制御CPU72は、第1特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はメインループに復帰すると、ここでセットしたフラグの値を参照して演出制御装置94に始動口入賞音制御コマンドを送信し、また、賞球払出制御装置92に賞球指示コマンドを送信する。
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72は次にステップS22を実行する。
ステップS22:主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認されなかった場合(No)、ここで主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS24を実行する。
ステップS24:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。第2特別図柄作動記憶数カウンタについても上記と同様に、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4に達していれば(No)、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS26に進む。
ステップS26:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。
ステップS28:そして主制御CPU72は、乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値(第1の数値データ)を取得する(抽選要素の取得)。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS16と同様である。
ステップS29:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値(第1の数値データ)を取得する(種類決定要素の取得)。乱数値を取得する方法は、先に説明したステップS17と同様である。
ステップS30:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これらを領域内の空きセクションにセットで記憶させる(事象別記憶手段)。記憶の手法は、先に説明したステップS18と同様である。
ステップS32:主制御CPU72は、第2特別図柄始動口入賞フラグをセットする。以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図7は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、大当り遊技処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスを指定し、ジャンプ先と戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ第1特別図柄、第2特別図柄のいずれも変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより第1特別図柄及び第2特別図柄の停止表示が行われる。
ステップS5000:大当り遊技処理は、先の特別図柄停止表示中処理において大当りの態様で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示された場合に選択される。第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかが大当りの表示態様で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する。大当り遊技中は、大当り遊技処理において大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、規定回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。なお、このように可変入賞装置30が開放動作することを「ラウンド」と称し、規定回数が全部で15回あれば、これを「15ラウンド」と総称することがある。そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は、大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を表す遊技状態別フラグをセットする。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、次の大当りが発生する確率が通常よりも高く(10倍程度)なる(高確率状態移行手段)。また、「高確率状態」になると時間短縮機能が作動し、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間が全体的に短縮される。
なお本実施形態において、大当りの内部抽選に関する図柄として第1特別図柄、第2特別図柄が設けられているのは、例えば以下のような遊技性を持たせるためである。すなわち、本実施形態では、第1特別図柄が大当りの表示態様で停止した場合と、第2特別図柄が大当りの表示態様で停止した場合とで、遊技者に付与される利益の大きさが異なる場合が設けられている。このような利益の大きさの違いは、例えば第1特別図柄と第2特別図柄とで当選図柄の種類に違いを設けることで実現されている(図柄別利益設定手段)。以下、この点について説明する。
〔図柄別の異なるラウンド数の設定例〕
第1特別図柄、第2特別図柄のいずれについても、大当り種別が「確率変動大当り」となる比率、つまり確変比率は同じ(例えば50%程度が「確率変動大当り」)である。ただし第1特別図柄については、「確率変動大当り」が「2ラウンド」の大当りになる場合が設定されている(例えば、50%のうちの10%程度)。「2ラウンド」の大当りは、1回あたりの開放時間が比較的短く(例えば0.3秒間程度)、1回の開放動作が終了すると、所定のインターバル(例えば1〜2秒程度)をおいて2回目の開放動作を行い、それだけで終了してしまう。このため「2ラウンド」の大当りになっても、実質的に大入賞口への入賞は発生しないか、かろうじて遊技球1個の入賞が発生する程度でしかなく、大当り中に遊技者が獲得できる賞球数はほとんどないといえる。
一方、第2特別図柄については、「確率変動大当り」は全て「15ラウンド」の大当りになる。この場合、1回あたりの開放時間が比較的長く(上記のように30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、1回の開放動作が終了すると、所定のインターバル(例えば1〜2秒程度)をおいて15回分の開放動作を行った上で大当り遊技が終了する。このため「15ラウンド」の大当りになると、集中的に大入賞口への入賞が発生し、それによって遊技者は短時間のうちに比較的多くの賞球(例えば入賞1個につき払い出し14個)を獲得することができる。
このため遊技者からみれば、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方で大当たりになる方が全体的な利益は大きい。もちろん、第1特別図柄についても「確率変動大当り」が「15ラウンド」の大当りになる場合もある(例えば、50%のうちの40%程度)が、「2ラウンド」の大当りになる可能性がある分、やはり第1特別図柄で大当りするよりも、第2特別図柄で大当りする方が安心感を覚えやすい傾向にある。したがって、本実施形態のパチンコ機1は、「できるだけ下始動口28aに遊技球を入賞させることを狙って遊技球を発射することが遊技を進める上で重要な戦略となる」という遊技性を実現している。
ただし、上記のようなラウンド数の設定はあくまで一例であり、パチンコ機1による遊技性は、第1特別図柄と第2特別図柄について、それぞれどのような種類の当選図柄(当選種別、当選種類)をどの程度の比率で割り振るかによって違ってくる。例えば、上記の例とは逆に、第1特別図柄には「2ラウンド」の大当りがなく、第2特別図柄の方にだけ「2ラウンド」の大当りが設定されている場合、今度は逆にパチンコ機1は、「なるべく下始動口28aへの入賞を避けた方が有利になる」という全く違った遊技性を持つことになる。
本実施形態では、最初に挙げた遊技仕様の例(第1特別図柄にだけ「2ラウンド」の大当りがある例)を採用するとした前提の下で、第1特別図柄と第2特別図柄の両方について作動記憶がある場合、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方を優先して変動表示させることで、遊技者に対する訴求力を高めている。以下、第2特別図柄の変動表示を優先する制御手法について説明する。なお、このような制御は本発明の実施に際して必須ではなく、どちらの図柄についても均等に変動表示させる制御を採用してもよいし、逆に第1特別図柄を優先して変動表示させてもよい。
〔特別図柄変動前処理〕
図8は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
これに対し、いずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合のみ、第1特別図柄に対応する乱数を読み出して別の共通記憶領域に保存する。共通記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。その結果、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかに対応する方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。このとき減算対象となる作動記憶数カウンタは、先のステップS2200で記憶した乱数のシフトを行った方に対応するものである。これにより、上記の表示出力管理処理(図5中のステップS205)の中で第1作動記憶ランプ34a又は第2作動記憶ランプ36aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。このとき、読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で大当り値の範囲を設定して大当り判定を行っているが、予め大当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行うプログラミング例もある。
ここで、上記のように大当り決定乱数値は、第1特別図柄又は第2特別図柄で別々に読み出されるため、大当り判定処理(内部抽選)は図柄別に行われることになる。例えば、先のステップS2200で第1特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第1特別図柄に対応して行われることになる。一方、第2特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第2特別図柄に対応して行われることになる(図柄別抽選実行手段)。なお、ここでは第2特別図柄の変動を優先するため、ステップS2200では第2特別図柄に対応する乱数値を読み出している前提である。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、今回の変動表示が第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれに該当するかを確認し、該当する方の特別図柄について、はずれ時の停止図柄番号データをセットする。具体的には、先の特別図柄記憶シフト処理で第2特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、ここで主制御CPU72は第2特別図柄表示装置36による停止図柄番号データをセットする。一方、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数の記憶をシフトしていれば、ここで主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34による停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信するための停止図柄番号コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に送信される。
なお本実施形態では、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36にそれぞれ7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを両方の図柄で共通の値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄又は第2特別図柄について、はずれ時の特別図柄の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。なおリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、今回の内部抽選で当選が得られた第1特別図柄又は第2特別図柄について当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と各図柄別の当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて図柄別に当選図柄の種類を決定することができる。なお、大当り時停止図柄決定処理の詳細な内容は、上記の特別図柄判定データテーブルの例とともに別の図面を用いて後述する。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットする。基本的に、当り時には大当りリーチ変動を行うため、この処理でリーチ決定乱数を用いない場合は、リーチ決定乱数の取得を省略してもよい。なお一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)に基づいて、「確変図柄」又は「非確変(通常)図柄」の種別を判定し、「確変図柄」である場合は確率変動フラグに値(01H)をセットする。また主制御CPU72は、当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)に基づいて大当り中のラウンド数(2,5,15のいずれか)を設定する。ここで設定したラウンド数は、大当り遊技処理(図7のステップS5000)において使用されるものである。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図7:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
なお、特別図柄遊技処理に復帰すると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定する。特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図8中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
〔大当り時停止図柄決定処理:当選図柄決定手段〕
次に図9は、大当り時停止図柄決定処理の手順例を詳細に示したフローチャートである。以下、各手順に沿って処理の詳細を説明する。
ステップS500:主制御CPU72は、最初にテーブルオフセット値の下位バイトに”1”をセットする。このオフセット値は、特別図柄判定データテーブル上でデータをロードする際のアドレスをオフセットするための値である。テーブルオフセット値についてはさらに後述する。
ステップS502:次に主制御CPU72は、今回の当選(大当り)が得られた内部抽選が第2特別図柄に対応するものであるか否かを確認する。具体的には、先の特別図柄記憶シフト処理(図8中のステップS2200)で第2特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、主制御CPU72は今回の内部抽選が第2特別図柄に対応するものであることを確認し(Yes)、次にステップS504に進む。
ステップS504:主制御CPU72は、先のステップS500でセットしたテーブルオフセット値の下位バイトを”1”加算する。これにより、テーブルオフセット値の下位バイトが”2”に更新されたことになる。
ステップS506:次に主制御CPU72は、特別図柄判定データテーブルのアドレスをセットする。特別図柄判定データテーブルはROM74のテーブル領域に格納されており、ここではROM74内での特別図柄判定データテーブルの先頭アドレスが現在の読み取り先のテーブルアドレスにセットされる。
〔特別図柄判定データテーブル(1):当選図柄記憶手段〕
ここで図10は、大当り時停止図柄決定処理の中で使用される特別図柄判定データテーブル(1)の一例を示す図である。このデータテーブルは、例えばその先頭アドレスから順番に「比較値」、「第1特別図柄判定データ(第1判定データ)」及び「第2特別図柄判定データ(第2判定データ)」をそれぞれ1バイトずつ、合計3バイト分のデータを1セットにして(1段階ごとに)記憶する構造である。3バイトの中で先頭(1番目)のアドレスには「比較値」が格納されており、2番目のアドレスには「第1特別図柄判定データ」、3番目のアドレスには「第2特別図柄判定データ」がそれぞれ格納されている。
また、「比較値」には4つの段階的に異なる値「50」,「70」,「90」,「0FFH」が設けられており、それぞれの「比較値」に対して「第1特別図柄判定データ」、「第2特別図柄判定データ」が順番に割り当てられている。具体的には、段階的に異なる比較値のうち、最も小さい値である「50」に対して「000H」,「000H」がそれぞれ割り当てられている。その次の段階では、「70」に対して「001H」,「001H」がそれぞれ割り当てられている。さらに次の段階では、「90」に対して「002H」,「002H」がそれぞれ割り当てられており、そして最大値の「0FFH」に対しては、「003H」,「001H」がそれぞれ割り当てられている。なお「0FFH」は、プログラム上で数値を比較する際に、主制御CPU72の暴走を防止するためのものである。
〔当選図柄の種類〕
上記の「第1特別図柄判定データ」や「第2特別図柄判定データ」は、テーブル上では単なる数値データであるが、プログラム上、これら判定データには個別に当選図柄の種類、つまり、大当り種別(大当り種類)が予め割り当てられている。例えば、特別図柄判定データテーブル(1)において、各判定データに対する当選図柄の割り当ては以下の通りである。
「000H」:15ラウンド非確変(通常)図柄
「001H」:15ラウンド確変図柄(1)
「002H」:15ラウンド確変図柄(2)
「003H」: 2ラウンド確変図柄
なお、「15ラウンド確変図柄(1)」と「15ラウンド確変図柄(2)」とは基本的に同じものであるが、これらは遊技者に対する演出の見せ方(対応する演出パターン)が異なっている。すなわち、本実施形態では第1特別図柄表示装置34や第2特別図柄表示装置36が7セグメントLEDであるため、その停止表示態様を見ただけで当選図柄の種類を遊技者が瞬時に判断することは難しい(実際、見た目上で判断しにくい表示態様としている。)。このため、遊技者が当選図柄の種類を見極める際は、専ら演出の内容を頼りにすることになる。
例えば、「15ラウンド確変図柄(1)」については、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36による停止表示時に、確変図柄に対応する「3」−「3」−「3」の組み合わせで演出図柄Dが液晶表示器40で表示される(適宜、図1を参照。)。この場合、演出の内容によって「15ラウンド確変図柄」であることが遊技者に対して明確に教示される。
これに対し「15ラウンド確変図柄(2)」では、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36による停止表示時に、演出上では敢えて非確変図柄の組み合わせ(例えば「4」−「4」−「4」)を表示しておき、大当り遊技中に確変大当りに昇格する(例えば、「確変大当り昇格」等の文字情報を表示)という内容の演出を実行して遊技者に確変図柄であることを教示する。このような演出を行うことで、一旦は遊技者に対して「確変大当りを逃した」という残念な印象を与えておき、後から「確変大当りに格上げされた」という驚きや歓喜の気持ちを抱かせる効果が得られる。
〔図9:大当り時停止図柄決定処理を参照〕
ステップS508:先のステップS506で、特別図柄判定データテーブルの先頭アドレスを現在の読み取り先にセットすると、主制御CPU72はそのテーブルアドレスを指定して比較値をロードする。具体的には、主制御CPU72は特別図柄判定データテーブル(1)の先頭アドレスから「50」をロードする。
ステップS510:主制御CPU72は、比較値と大当り図柄乱数値とを比較し、大当り図柄乱数値が比較値の範囲内(比較値未満)であるか否かを判断する。その結果、大当り図柄乱数値が比較値以上であれば(No)、主制御CPU72は次にステップS512に進む。
ステップS512:主制御CPU72は、テーブルアドレスに”3”を加算する。そして、加算後のアドレスを現在の読み取り先としてセットし、ステップS508に戻る。この場合、特別図柄判定データテーブルの先頭アドレスに対し、3を加算したアドレスが新たに現在の読み取り先のテーブルアドレスとなる。
ステップS508:そして主制御CPU72は、現在の読み取り先にセットされたテーブルアドレスから比較値をロードする。この場合、主制御CPU72は先頭アドレスではなく、その次の段階(3番目)のアドレスを指定して比較値をロードする。したがって、図10の特別図柄判定データテーブル(1)を用いた場合、主制御CPU72は2段階目の比較値として「70」をロードする。
以下、主制御CPU72はステップS510で比較値と大当り図柄乱数値とを比較し、大当り図柄乱数値が比較値以上であれば(No)、ステップS512に進んでさらにテーブルアドレスに”3”を加算する。そしてステップS508に戻ると、さらにテーブル上で次段階のアドレスを指定して比較値をロードする。
そして主制御CPU72は、ステップS508〜ステップS512の処理を繰り返し実行する過程で、ステップS510において大当り図柄乱数値が比較値未満であると判断すると(Yes)、次にステップS514に進む。
ステップS514:主制御CPU72は、テーブルオフセット値の上位バイトに”0”をセットする。これにより、先のステップS500、ステップS504でセットした下位バイトを論理和することで、テーブルオフセット値として”1”又は”2”がコンプリートされる。
ステップS516,ステップS518:主制御CPU72は、現在の読み取り先にセットされているテーブルアドレスにオフセット値(”1”又は”2”)を加算する。そして主制御CPU72は、加算後のテーブルアドレスから判定データを取得する。
ステップS520:そして主制御CPU72は、先のステップS518で取得した判定データに基づき、大当り時停止図柄番号をセットする。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動前処理(図8)に復帰する。
以下、実際にいくつかの選択例を挙げて説明する。
〔選択例1〕
例えば、第1特別図柄に対応する内部抽選で当選となり、そのときの大当り図柄乱数値が「0」〜「49」のいずれかであった場合を想定する。この場合、主制御CPU72による処理の内容は以下の通りとなる。
〔図9:大当り時停止図柄決定処理を参照〕
主制御CPU72は、ステップS502において内部抽選が第1特別図柄に対応するものと判断し(No)、ステップS504を迂回してステップS506に進む。この場合、テーブルオフセット値の下位バイトは”1”のままである。そして、ステップS510で大当り図柄乱数値が比較値未満であることを確認すると(Yes)、ステップS514でテーブルオフセット値を”1”にコンプリートし、次のステップS516で先頭アドレスに1を加算したアドレス(2番目)から判定データをロードする。
〔図10:特別図柄判定データテーブル(1)を参照〕
この場合、主制御CPU72はテーブルの2番目のアドレスを指定し、その記憶領域から「000H」を取得する。この結果、第1特別図柄について当選図柄の種類は「15ラウンド非確変図柄」が選択される。
〔選択例2〕
次に選択例2を挙げて説明する。例えば、第2特別図柄に対応する内部抽選で当選となり、そのときの大当り図柄乱数値が「0」〜「49」のいずれかであった場合を想定する。この場合、主制御CPU72による処理の内容は以下の通りとなる。
〔図9:大当り時停止図柄決定処理を参照〕
主制御CPU72は、ステップS502において内部抽選が第2特別図柄に対応するものと判断し(Yes)、次のステップS504でテーブルオフセット値の下位バイトに”1”を加算する。この場合、テーブルオフセット値の下位バイトは”2”になる。そして、ステップS510で大当り図柄乱数値が比較値未満であることを確認すると(Yes)、ステップS514でテーブルオフセット値を”2”にコンプリートし、次のステップS516で先頭アドレスに2を加算したアドレス(3番目)から判定データをロードする。
〔図10:特別図柄判定データテーブル(1)を参照〕
この場合、主制御CPU72はテーブルの3番目のアドレスを指定し、その記憶領域から「000H」を取得する。この結果、第2特別図柄について当選図柄の種類は上記の「15ラウンド非確変図柄」が選択されることになる。
〔選択例3〕
以下同様に、例えば第1特別図柄に対応する内部抽選で当選となり、そのときの大当り図柄乱数値が次の段階の比較値未満、つまり「50」〜「69」のいずれかであった場合、主制御CPU72は判定データとして「001H」を取得する。この場合、第1特別図柄について当選図柄の種類は「15ラウンド確変図柄(1)」が選択されることになる。なお選択例3は、第2特別図柄についても同様の結果となる。
〔選択例4〕
あるいは、大当り図柄乱数値がその次の段階の比較値未満、つまり「70」〜「89」のいずれかであった場合、主制御CPU72は判定データとして「002H」を取得する。この場合、第1特別図柄について当選図柄の種類は「15ラウンド確変図柄(2)」が選択されることになる。選択例4もまた、第2特別図柄について同様の結果となる。
〔選択例5:第1特別図柄の場合〕
そして、大当り図柄乱数値がテーブル内で最終段階の比較値未満、つまり「90」〜「99」のいずれかであった場合、主制御CPU72は判定データとして「003H」を取得する。この場合、第1特別図柄について当選図柄の種類は「2ラウンド確変図柄」が選択されることになる。
〔選択例6:第2特別図柄の場合〕
一方、第2特別図柄に対応する内部抽選で当選となり、大当り図柄乱数値が「90」〜「99」のいずれかであった場合、主制御CPU72は判定データとして「001H」を取得する。この場合、第2特別図柄について当選図柄の種類は「15ラウンド確変図柄(1)」が選択されることになる。この場合、第1特別図柄と第2特別図柄とでは、取得された大当り図柄乱数値が同じであったとしても、互いに異なる種類の当選図柄が選択されることになる。
〔特別図柄判定データテーブル(1)の有用性〕
ここで、本実施形態で採用している特別図柄判定データテーブル(1)の有用性について言及する。
(1)確変比率変更時
現状の特別図柄判定データテーブル(1)において、非確変図柄の比率は最小の比較値「50」で設定されているため、これに依存して確変比率(50%)が設定されている。したがって、比較値「50」をより小さい値に変更すれば、その分、全体に占める非確変図柄の割合が減少し、相対的に確変比率を高く変更することができる。逆に、最小の比較値を「50」より大きい値に変更すると、それだけ確変比率を低く変更することができる。いずれにしても、テーブル内では比較値「50」の記憶内容を大小に変更するだけで、第1特別図柄判定データ「000H」と第2特別図柄判定データ「000H」の両方に対して記憶内容の変更が同時に係ってくる。このため、変更後のテーブルについて、図柄同士で確変比率の整合がとれているかどうかを一々確認する必要がなく、それだけプログラムの修正作業が容易になる。
(2)ラウンド数の割合変更時
現状の特別図柄判定データテーブル(1)において、第1特別図柄には20%ずつの割合で「15ラウンド確変図柄(1)」と「15ラウンド確変図柄(2)」が振り分けられており、残り10%の割合で「2ラウンド確変図柄」が振り分けられているが、第2特別図柄には30%の割合で「15ラウンド確変図柄(1)」が振り分けられており、残り20%の割合で「15ラウンド確変図柄(2)」が振り分けられている。これは、比較値「0FFH」に対して、第1特別図柄では「2ラウンド確変図柄」の記憶を割り当てているのに対し、第2特別図柄では「15ラウンド確変図柄(1)」の記憶を割り当てているためである。
この状態から、例えば、テーブル内で比較値「0FFH」に対する第2特別図柄の判定データを「001H」から「003H」に書き換えれば、第2特別図柄についても第1特別図柄と全く同様の割合でラウンド数を振り分けることができ、さらに「15ラウンド確変図柄(1)」と「15ラウンド確変図柄(2)」の割合についても、図柄同士で完全に整合させることができる。この場合、特に最小の比較値「50」を変更していないため、確変比率そのものに変動が生じることはない。このように、特別図柄判定データテーブル(1)では、ある比較値に対する判定データの記憶内容を書き換えるだけで、図柄別にラウンド数の割合を変更したり、逆に図柄同士で同じラウンド数の割合にしたりする作業を容易に行うことができる。
また本実施形態では、上記の特別図柄判定データテーブル(1)の他に、各種のデータテーブルを適用することができる。以下、その他のデータテーブルの例を挙げて説明する。
〔特別図柄判定データテーブル(2)〕
図11は、特別図柄判定データテーブル(2)の一例を示す図である。このデータテーブル(2)には、「比較値」として5つの段階的に異なる値「50」,「70」,「90」,「95」,「0FFH」が設けられている。このうち、最も小さい値である「50」に対して「000H」,「000H」がそれぞれ割り当てられており、その次の段階では、「70」に対して「001H」,「001H」がそれぞれ割り当てられている。また次の段階では、「90」に対して「002H」,「002H」がそれぞれ割り当てられており、さらに次の段階では、「95」に対して「003H」,「001H」がそれぞれ割り当てられている。そして最大値の「0FFH」に対しては、「003H」,「002H」がそれぞれ割り当てられている。なお特別図柄判定データテーブル(2)において、「000H」〜「003H」の各判定データに対する当選図柄の割り当ては上記と同様である。
特別図柄判定データテーブル(2)の場合、比較値「95」,「0FFH」について、第1特別図柄ではいずれも「003H」の判定データが割り当てられているが、第2特別図柄ではそれぞれ「001H」,「002H」が割り当てられている。このため、大当り図柄乱数値が同じ範囲内(90〜99)にあった場合、第1特別図柄では常に「2ラウンド確変図柄」が振り分けられるが、第2特別図柄では「15ラウンド確変図柄(1)」か「15ラウンド確変図柄(2)」のいずれかが振り分けられることになる。
特別図柄判定データテーブル(2)を用いた場合でも、上記の実施形態と同様の遊技性を実現することができる。ただし、特別図柄判定データテーブル(2)では、第2特別図柄で「15ラウンド確変図柄(2)」が選ばれる割合が高くなっているため、それだけ演出内容の傾向性(大当り中の確変昇格演出がより高頻度に行われる)に変化を与えることができる。
〔特別図柄判定データテーブル(3)〕
次に図12は、特別図柄判定データテーブル(3)の一例を示す図である。このデータテーブル(3)には、「比較値」として6つの段階的に異なる値「50」,「70」,「90」,「95」,「98」,「0FFH」が設けられている。このうち、「50」〜「95」の各判定値に対する判定データの割り当ては、上記の特別図柄判定データテーブル(2)と同様である。その次の段階の「98」に対しては、「003H」,「002H」がそれぞれ割り当てられているが、最大値の「0FFH」に対しては、「003H」,「004H」がそれぞれ割り当てられている。
特別図柄判定データテーブル(3)において、「000H」〜「003H」の各判定データに対する当選図柄の割り当ては上記と同様であるが、「004H」の判定データに対しては、例えば「5ラウンド確変図柄」が割り当てられている。「5ラウンド確変図柄」は、大当り中のラウンド数が5回であり、15ラウンドと比較すると、それだけ大当り中に得られる賞球数が少なく抑えられている。ただし、5ラウンドを消化した後は高確率状態に移行するので、遊技者には高確率状態の下で内部抽選を受ける機会が与えられる。そこで、次に15ラウンドに当選することができれば、遊技者は15ラウンドを消化する間に、より多くの賞球を獲得することができる。
特別図柄判定データテーブル(3)の場合、比較値「95」,「98」,「0FFH」について、第1特別図柄ではいずれも「003H」の判定データが割り当てられているが、第2特別図柄ではそれぞれ「001H」,「002H」,「004H」の判定データが割り当てられている。このため、大当り図柄乱数値が同じ範囲内(90〜99)にあった場合、第1特別図柄では常に「2ラウンド確変図柄」が振り分けられるが、第2特別図柄では「15ラウンド確変図柄(1)」か、「15ラウンド確変図柄(2)」か、もしくは「5ラウンド確変図柄」のいずれかが振り分けられることになる。
このため、特別図柄判定データテーブル(3)を用いた場合、上記の実施形態とは異なる遊技性を実現することができる。すなわち、第1特別図柄では「2ラウンド確変図柄」が選ばれる場合があるし、第2特別図柄では「5ラウンド確変図柄」が選ばれる場合があるため、どちらの図柄にも遊技者にとって避けたい当選図柄の種類が存在することになる。このため遊技者にとっては、基本的に第1特別図柄よりも第2特別図柄に対応する内部抽選で当選した方が確かに有利であるが、第2特別図柄で当選できれば何でもよいというわけではなく、可能な限り「15ラウンド確変図柄」で当選することが自己にとって最も利益となる。このためパチンコ機1で遊技を行うにあたり、「なるべく下始動入賞口28aに入賞させて第2特別図柄を変動させた方が有利であるが、その中でも15ラウンド確変図柄をより多く引き当てることが重要な戦略になる」といった遊技性を実現することができる。
以上のように本実施形態によれば、特別図柄判定データテーブルの記憶内容に応じて基本的な遊技仕様を多様化し、それによって多彩な遊技性を実現することができる。また、データテーブルの記憶内容を変更する作業が容易であり、その変更に伴う図柄同士の不整合が発生しにくいため、それだけ短期間内に低コストでパチンコ機1の遊技仕様を変更することができ、より短いサイクルで市場に他品種の製品を提供することができる。また遊技者からみれば、多種多様な遊技仕様が用意されていれば、それだけパチンコ機1に対する興味を惹き付けられることになるし、いろいろな遊技仕様の中から自分の趣向に合ったものを選択することができるという利点がある。
なお本実施形態では、上記に例示した特別図柄判定データテーブル(1)〜(3)を適宜に入れ替えて使用することができる。この場合、パチンコ機1に搭載するテーブルのパターンに応じて多様な遊技性を持たせることができ、それだけ製品としてのバリエーション展開の幅を拡大することができる。
また、特別図柄判定データテーブル(2),(3)においても、確変比率の変更に際して図柄同士の整合性を容易に取ることができるし、ラウンド数の割合変更に際して、図柄別に異なる割合を設定したり、図柄同士で割合を整合させたりする作業を容易に行うことができる。
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。一実施形態では、確変図柄についてだけ異なるラウンド数を振り分けているが、非確変図柄についても異なるラウンド数を振り分けることができる。例えば、特別図柄判定データテーブル上で、第1特別図柄には「2ラウンド非確変(通常)図柄」と「15ラウンド非確変(通常)図柄」の振り分けがあるが、第2特別図柄には「15ラウンド非確変(通常)図柄」だけを割り当てることもできる。