JP2014075758A - 通信システム、通信方法、中継装置及び親局装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の通信システムは、親局装置10が中継装置20に対して上り多重アクセス制御を行う第1通信網と、中継装置20が子局装置30に対して上り多重アクセス制御を行う第2通信網とがあり、第1通信網と第2通信網が単数又は複数の中継装置20を介して接続された構成である。第2通信網に接続された中継装置20は、第2通信網から第1通信網に転送する上りのデータフレームに、その送信元である子局装置30を識別するためのタグ情報T1,T2を付与する。親局装置30は、第1通信網から受信したデータフレームに含まれるタグ情報T1,T2に基づいて、上りのトラフィック量を子局装置30ごとに集計する。
【選択図】 図1
Description
このPONシステムにおいては、半導体レーザ等の光源を直接或いは外部変調したNRZ(Non-Return to Zero)光信号を伝送し、情報を送受信する。
逆に、ONUからの上り光信号は、衝突を防止すべくOLTによって時分割多重方式で管理されており、OLTは、各ONUからの上り光信号をバースト的に受信する(特許文献1及び2参照)。
このため、PONシステムでは、光ファイバ回線の伝送距離と分岐数に制限が設けられることが一般的である。例えば、伝送距離は20km以内に制限され、分岐数は32分岐以下に制限される。
かかる多段構成の光通信システムを採用すれば、伝送距離については、上段PONの分と下段PONの分を加算した値に増加させることができ、分岐数については、上段PONの分と下段PONの分を乗算した値に増加させることができる。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、上段と下段の通信網で独立した上り多重アクセス制御を行う通信システムにおいて、下段側の子局装置のSLAを確実に達成できるようにすることを第1の目的とする。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、上段と下段の通信網で独立した上り多重アクセス制御を行う通信システムにおいて、下段側の子局装置の保守管理を、上段側の親局装置から行えるようにすることを第2の目的とする。
このため、下段側の子局装置のSLAを確実に達成することができ、前記第1の目的が達成される。
データフレームの優先度を示す情報は、データフレーム中の特定のフィールドを参照することにより得られる。例えば、IPv4フレームのヘッダ内のTos(Type of Service)フィールド、IPv6フレームのヘッダ内のTC(Traffic Class)フィールド、あるいは、IEEE Std 802.1QTM-2011に規定のPCP(Priority Code Point)フィールドなどに基づいて、データフレームの優先度を決定することができる。なお、フィールドの値と優先度のマッピング規則は別途定義されている必要がある。
このため、下段側の子局装置のSLAがトラフィックの種別毎のQoS条件を含むような場合にもSLAを確実に達成することができ、前記第1の目的が達成される。
この場合、前記親局装置は、前記データフレームに含まれる前記タグ情報(子局装置のタグ情報)と、前記第1通信網における前記中継装置の論理リンク番号との組み合わせに基づいて、当該データフレームの送信元である前記子局装置を特定することができる。
この場合、前記親局装置は、前記データフレームに含まれる2種類の前記タグ情報の組み合わせに基づいて、当該データフレームの送信元である前記子局装置を特定することができる。
IEEE Std 802.3TM-2008で規定されるPONでは、ONUの保守や管理はOAMフレームあるいはOAMフレームのフォーマットを拡張した拡張OAMフレーム(以下、これらを合わせて「OAMフレーム」と記す。)を用いて行うことができる。また、前記制御系通信路は、例えばVLANを利用して設定することができる。
このため、下段側の子局装置の保守管理についても、上段側の親局装置から行うことができ、上述の第2の目的が達成される。
この場合、前記中継装置が、前記第1のフォーマットの管理フレームの内容に従って、自装置の子局機能部以外の部分の設定処理を行うことにすれば、前記制御系通信路を使用せずに中継装置の子局機能部以外の部分の設定についても、親局装置を経由した遠隔操作によって行えるようになる。
この場合、第1通信網の上りの伝送レート(例えば10Gbps)が第2通信網の上りの伝送レート(例えば1Gbps)よりも高い通信システムを構成でき、第1通信網での分岐数を増大させても、ユーザ当たりの上りの帯域を有効に確保できる。
この場合、第1通信網の下りの伝送レート(例えば10Gbps)が第2通信網の下りの伝送レート(例えば1Gbps)よりも高い通信システムを構成でき、第1通信網での分岐数を増大させても、ユーザ当たりの下りの帯域を有効に確保できる。
また、本発明によれば、上段と下段の通信網で独立した上り多重アクセス制御を行う通信システムにおいて、下段側の子局装置の保守管理についても、上段側の親局装置から簡単に行うことができる。
〔光通信システムの接続形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る光通信システムの接続形態を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の光通信システムは、1つの親局装置10と多数の子局装置30が、それらの間の複数の中継装置20を仲立ちとして、上下2段のPON回線L1,L2によって接続された接続形態(トポロジ)となっている。
より具体的には、親局装置10に接続された一芯の光ファイバは、受動光分岐ノードである光カプラC1を介して複数の一芯の光ファイバに分岐しており、この分岐した各光ファイバの終端に、それぞれ中継装置20が接続されている。
従って、上段側のPON回線L1は、1つのOLTである親局装置10に対応して1つだけ存在し、下位側のPON回線L2は、複数の中継装置20に対応して当該中継装置20と同数だけ存在する。
また、図1に破線で示すように、PONのONUである子局装置30を、上段側のPON回線1に直接接続してもよいし、下段側のPON回線L2に更に中継装置20を接続し、中継装置20を複数階層としてもよい。
また、本実施形態では、上段及び下段の通信網としてPONを想定しているので、親局装置10は「OLT」であり、子局装置30は「ONU」である。
下段PONの上り方向通信では、波長λ3でかつ伝送レートR3〔Gbps〕の上り光信号が用いられる。もっとも、下段PONの上り伝送レートR3も、1種類ではなく複数種類であってもよい。
また、下段PONの下り方向通信では、波長λ4でかつ伝送レートR4の下り光信号が用いられ、波長λ4と伝送レートR4は1種類に固定されているものとする。もっとも、下段PONの下り光信号は、1種類ではなく複数種類であってもよく、その場合は、λ4とは異なる波長の信号が多重される。
従って、親局装置10と中継装置20とがPON回線L1で繋がる上段PONは、伝送レートR1,R2が10Gbps(ボーレートは10.3125Gbaud)の10G−EPONとなり、各中継装置20と子局装置30とがPON回線L2で繋がる下段PONでは、伝送レートR3,R4が1Gbps(ボーレートは1.25Gbaud)のG−EPONとなる。
また、下段PONの波長は、例えばIEEE802.3−2008のClause60の規約に従うならば、1260nm≦λ3≦1360nm、1480nm≦λ4≦1500nmの範囲から選択することができる。
従って、ユーザネットワークに接続されたパーソナルコンピュータや通信家電などの端末装置(図示せず)は、下段PON、上段PON及び上位ネットワークを経由して、インターネットなどと通信できる。
従って、通信事業者は、管理ネットワークに接続したパーソナルコンピュータなどの端末装置を用いて、親局装置10に対するネットワーク管理のための所定の設定作業を行うことができる。もっとも、この場合の端末装置は親局装置10に直接接続してもよい。
そこで、中継装置20が遠隔局の場合でも、親局装置10に接続された管理ネットワークから、中継装置20とその配下の子局装置30に対するネットワーク管理のための設定を行えることが望ましいが、この課題を解決するための方策については後述する。
図2は、親局装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、親局装置10は、上位側(図2の上側)から下位側に向かって順に 、上位側受信部101、上位側送信部102、データ中継処理部103、制御信号処理部104、PON送信部105、PON受信部106、光送信部(E/O変換部)107、光受信部(O/E変換部)108及び合分波部109を備えている。
また、親局装置10は、管理ネットワークや設定用ポートP1を介して、ネットワーク設定のための通信事業者の端末装置と接続可能なOLT機能制御部110を備えている。
データ中継処理部103は、PON送信部105に下りのデータフレームを渡し、このフレームは、光送信部107において波長λ2でかつ伝送レートR2〔Gbps〕の下り光信号に変換され、合分波部109を介してPON回線L1に送出される。
光受信部108は、受信した光信号を電気信号に変換する光電変換素子と、変換された電気信号を増幅する増幅器を有しており、この増幅器で増幅された電気信号はPON受信部106に入力される。
PON受信部106は、再生した上りフレームのヘッダ部分を読み取って、受信したフレームがデータフレームであるか、或いは、レポートフレームなどの制御フレームであるかを判定する。
親局装置10が中継装置20に上りデータの送信開始時刻と送信許可量を指示する「グラント」や、中継装置20が親局装置10に対して上り方向データの蓄積量に関する値を通知する「レポート」は、MPCPフレームの一種である。
また、上記判定の結果、受信したフレームがレポートフレームであれば、PON受信部106はそのフレームを制御信号処理部104に転送する。
また、制御信号処理部104は、DBAの結果算出された送信許可量や送信元の中継装置20のLLID(Logical Link ID)を記したグラントフレームを生成して、PON送信部105に入れる。そして、グラントフレームは、光送信部107において波長λ2でかつ伝送レートR2〔Gbps〕の下り光信号に変換され、合分波部109からPON回線L1に送出される。
OLT機能制御部110は、所定のコマンドを、管理ネットワークなどを介して通信事業者の端末装置から受信すると、そのコマンドに従った処理を行い、この処理の結果を記した応答を、通信事業者の端末装置に返信する。
1)管理コマンド:通信事業者の端末装置からコマンドラインインタフェースを介して「親局」あるいは「親局相当部」に入力される、特定のPONを保守管理するためのコマンド。図1では、親局装置10及び中継装置20の親局機能部21が、それぞれ「親局」と「親局相当部」に該当する。
例えば、OLT機能制御部110は、管理コマンドに従い、上位側受信部101のフロー制御に関する設定、上位側送信部102の送信レートのシェーピングに関する設定、データ中継処理部103のキューに関する設定やフレーム変換に関する設定、制御信号処理部104のDBAの動作パラメータに関する設定、PON送信部105とPON受信部106の暗号モードや動作タイミングに関する設定、などを行う。また、装置内の各部の状態を取得し、通信事業者の端末に応答を返す。
第1通信網に接続されている子局(中継装置20の子局機能部21や子局装置30など)に対する管理コマンドの例は、子局との論理リンク切断、子局のリセット、子局とのループバックテストの実施、子局のキューに関する設定、子局におけるフレーム変換則に関する設定、子局の状態や設定内容の表示などである。
制御信号処理部104は、上段PONでのディスカバリによって中継装置20の登録が完了すると、その中継装置20との間の論理リンクを介してOAMリンクを確立する。また、管理コマンドによる指示があれば、特定の中継装置20との間でOAMループバック試験を実施する。
データ中継処理部103は、PON送信部105を介して組み立てられたフレームを送信し、中継装置から応答があればデータ中継処理部103を介してOLT機能制御部110へ応答を中継する。
通信事業者は、中継装置20の親局機能部22のコマンドラインインタフェースを用いて、第2通信網に接続される子局装置30の保守管理を行う。
図3は、中継装置20の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、中継装置20は、概略的には、上位側(図3の上側)の子局機能部21と、下位側の親局機能部22と、これらの機能部21,22の間にあるデータ振り分け部23とを備えている。データ振り分け部23は、例えばL2スイッチよりなる。
また、中継装置20は、上段PON内の仮想的な制御系通信路や設定用ポートP2を介して通信事業者の端末装置と接続可能な、ネットワーク設定のための装置制御部24を備えている。
PON受信部204は、受信したフレームのヘッダ部分(プリアンブル部分を含む。)を読み取ることにより、当該フレームが自己宛(ここでは、自己又は自己の配下の子局装置30宛又はブロードキャストを意味する。)であるか否かを判定する。
例えば、上記の宛先判定を行うためのヘッダ情報の例として、IEEE規格802.3−2008に記載の論理リンクの識別子(LLID)を挙げることができる。
上記判定の結果、受信したフレームがデータフレームであれば、PON受信部204はそのフレームをデータ中継処理部207に送る。データ中継処理部207は、データ送信部208に対する送信制御などの所定の中継処理を行い、処理後のフレームは、データ振り分け部23に入力される。
転送されたデータフレームは、データ中継処理部207内のバッファメモリに一旦蓄積され、その上りデータ量が制御信号処理部206に通知される。制御信号処理部206は、PON送信部205に対して送信制御を行い、所定のタイミングでバッファメモリに蓄積されている上りのデータフレームをPON送信部205に出力させる。
PON送信部205が出力する上りフレームは、光送信部203において波長λ1でかつ伝送レートR1の上り光信号に変換され、合分波部201からPON回線L1に送出される。
上段PONでの上り光信号の伝送レートR1(=10G)が、下段PONでの上り信号の伝送レートR3(=1G)よりも高い構成であれば、上段PONでの分岐数を多くしても、ユーザ当たりの上りの帯域を有効に確保できるようになる。
上段PONでの下り光信号の伝送レートR2(=10G)が、下段PONでの下り信号の伝送レートR4(=1G)よりも高い構成であれば、上段PONでの分岐数を多くしても、ユーザ当たりの下りの帯域を有効に確保できるようになる。
データ中継処理部213は、PON送信部215に下りのデータフレームを渡し、このフレームは、光送信部217において波長λ4でかつ伝送レートR4〔Gbps〕の下り光信号に変換され、合分波部219を介してPON回線L2に送出される。
光受信部218は、受信した光信号を電気信号に変換する光電変換素子と、変換された電気信号を増幅する増幅器を有しており、この増幅器で増幅された電気信号はPON受信部216に入力される。
PON受信部216は、再生した上りフレームのヘッダ部分を読み取って、受信したフレームがデータフレームであるか、或いは、レポートフレームなどの制御フレームであるかを判定する。
中継装置20の親局機能部22が子局装置30に上りデータの送信開始時刻と送信許可量を指示する「グラント」や、子局装置30が中継装置20の親局機能部22に対して上り方向データの蓄積量に関する値を通知する「レポート」は、MPCPフレームの一種である。
また、上記判定の結果、受信したフレームがレポートフレームであれば、PON受信部216はそのフレームを制御信号処理部214に転送する。
また、制御信号処理部214は、DBAの結果算出された送信許可量や送信元の子局装置30のLLIDを記したグラントフレームを生成して、PON送信部215に入れる。そして、グラントフレームは、光送信部217において波長λ4でかつ伝送レートR4〔Gbps〕の下り光信号に変換され、合分波部219からPON回線L2に送出される。
このOAMフレームには、IEEE802.3−2008のClause57に規定された通常のOAMフレームや、通信事業者が保守管理の目的で独自に定めた拡張OAMフレームなどがある。
中継装置20の子局機能部21に対する保守管理は、親局装置10が生成する前述の通常のOAMフレームや拡張OAMフレームによって行われる。これらのOAMフレームは、制御信号処理部206あるいは、ONU機能制御部210において終端され、データ振り分け部23には到達しない。従って、OAMフレームは、ONUが有する外部ポートへは中継されない。
すなわち、PON受信部204は、受信したフレームがOAMフレームの場合は、そのフレームを制御信号処理部206あるいは、ONU機能制御部210に渡す。
例えば、制御信号処理部206は、通常のOAMフレームのループバック開設要求を取得すると、ループバック開設応答を親局装置10に返し、その後、ループバック試験の実行要求を受信すると、所定の試験結果を記したループバック試験の応答フレームを親局装置10に返す。
中継装置20の親局機能部22に対する保守管理は、前述の「仮想的な制御系通信路」(図7参照)を経由して送られる管理コマンドによって行われる。この管理コマンドは、OAMフレームやMPCPフレームなどの制御フレームのフォーマットをもたないデータフレームに格納されて転送されるため、PON受信部204はそれをデータフレームとして扱う。従って、管理コマンドを格納するデータフレームは、データ中継処理部207とデータ送信部208を経由してデータ振り分け部23に入力される。
すなわち、データ振り分け部23は、管理コマンドを含むデータフレームの場合には、それを装置制御部24に渡し、それ以外のデータフレームの場合には、それを親局機能部22のデータ受信部211に渡す。なお、この振り分けは、制御系通信路を経由してきたフレームか否かを振り分ける処理でもあり、例えば、フレーム中の宛先MACアドレスや宛先MACアドレスと送信元MACアドレスの組み合わせ、VLAN IDなどに基づいて行うことができる。
OLT機能制御部110は、その指令に従って、中継装置20の親局機能部22内の各部211〜216に対して保守管理のための設定や処理を行う。
上記応答を受けた装置制御部24は、その応答内容の一部あるいは全部を格納した応答フレームを生成し、この応答フレームをデータ振り分け部23に入力する。この応答フレームは、データ中継処理部207においてデータフレームとして扱われるため、PON回線L1に送出されて親局装置10に返信される。
なお、装置制御部24は、中継装置の保守管理のための設定や処理も行う。例えば、装置や機能ブロックの再起動、装置の時計の設定、管理ポートのIPアドレスの設定、装置バージョンの表示、装置状態の表示、警報の表示、ログ情報の表示、などを行う。
なお、図3の中継装置20では、装置制御部24の設定用ポートP2に接続した端末装置から、親局機能部22の保守管理を行うこともできる。
図4は、子局装置30の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、子局装置30は、上位側(図4の上側)から下位側に向かって順に、合分波部301、光受信部(O/E変換部)302、光送信部(E/O変換部)303、PON受信部304、PON送信部305、制御信号処理部306、データ中継処理部307、ユーザ側送信部308、ユーザ側受信部309及びONU機能制御部310を備えている。
PON受信部304は、受信したフレームのヘッダ部分(プリアンブル部分を含む。)を読み取ることにより、当該フレームが自己宛であるか否かを判定する。
例えば、上記の宛先判定を行うためのヘッダ情報の例として、IEEE規格802.3−2008に記載のLLIDを挙げることができる。
上記判定の結果、受信したフレームがデータフレームであれば、PON受信部304はそのフレームをデータ中継処理部307に送る。データ中継処理部307は、ユーザ側送信部308に対する送信制御などの所定の中継処理を行い、処理後のフレームは、ユーザネットワークに送出される。
転送されたデータフレームは、データ中継処理部307内のバッファメモリに一旦蓄積され、その上りデータ量が制御信号処理部306に通知される。制御信号処理部306は、PON送信部305に対して送信制御を行い、所定のタイミングでバッファメモリに蓄積されている上りのデータフレームをPON送信部305に出力させる。
PON送信部305が出力する上りフレームは、光送信部303において波長λ3でかつ伝送レートR3の上り光信号に変換され、合分波部301からPON回線L2に送出される。
子局装置30に対する保守管理は、基本的には、上段PONの親局装置10が中継装置20の子局機能部21に対して行う保守管理の場合と同様である。具体的には、上記保守管理は、中継装置20の親局機能部22が生成する前述の通常のOAMフレームや拡張OAMフレームによって行われる。
すなわち、PON受信部304は、受信したフレームがOAMフレームの場合は、そのフレームを制御信号処理部306に渡す。
例えば、制御信号処理部306は、通常のOAMフレームのループバック開設要求を取得すると、ループバック開設応答を中継装置20に返し、その後、ループバック試験の実行要求を受信すると、所定の試験結果を記したループバック試験の応答フレームを中継装置20に返す。
従って、中継装置20が配下の子局装置30とのOAMフレームの送受信により得られた情報(以下、「OAM情報」という。)が、受信されたOAMフレームのフォーマットのままで親局装置10に通知されることはない。
すなわち、図3を参照して、親局機能部22の制御信号処理部214は、OAMフレームの送受信によって子局装置30のOAM情報を取得すると、取得したOAM情報を、OLT機能制御部220を経由させて装置制御部24に渡す。
このOAM情報を含む応答フレームは、データ中継処理部207においてデータフレームとして扱われるため、PON回線L1に送出されて親局装置10に返信される。
データ中継処理部103に入力された応答フレームは、OLT機能制御部110に転送され、管理ネットワーク又は設定用ポートP1に接続された通信事業者の端末装置に送信される。
ところで、サービス提供者(通信事業者)と利用者の間のサービス水準に関する合意であるSLAには、QoSに関する条項が含まれており、利用者に対する課金と関連していることが一般的である。
例えば、データ転送区間における「最低保証帯域」、「最大許容帯域」、「最大遅延時間」、「最大遅延時間ゆらぎ」、「最大フレーム損失率」及び「最大サービス断時間」などがQoSの指標となり得る。
従って、通信サービスの利用者に提供される通信のQoSは、SLAを満足していることが望ましく、提供される通信のQoSは、各利用者に対するSLAに応じて公平であることが望ましい。すなわち、同じSLAで契約している利用者については、提供されるQoSが同じであることが望ましい。
そして、親局装置10が、各フレームの送信元のユーザネットワークや送信元の子局装置30を特定できなければ、ユーザネットワークと上位ネットワーク間の通信のQoSの制御や、ユーザ間のQoSの公平さを保つ制御を行うことはできない。
このため、子局装置30のSLAを満足するQoSを達成するには、その前提として、中継装置20から取得する上りのデータフレームの下段PONにおける送信元が、どの子局装置30であるかを把握する必要がある。
そこで、本実施形態では、子局装置30のQoSを適切に制御できるようにすべく、中継装置20が、下段PONから受信した上りのデータフレームに、送信元の子局装置30を識別するための「タグ情報」を書き込んでから、上段PONに転送する。
具体的には、例えば、中継装置20のデータ中継処理部213が、上記タグ情報を上りのデータフレームに書き込む。
例えば、親局装置10のデータ中継処理部103は、タグ情報の値で特定される子局装置30のトラフィック量が、その子局装置30に設定されたQoSを満足していない場合には、その子局装置30に優先的に上り帯域が割り当てられるように、DBAを動作させる。
あるいは、上り通信を行っている全ての子局装置30に対して最低保証帯域を割り当てた後に余剰の帯域が残っている場合に、子局装置30から要求された帯域を満足させることができなかった子局装置30に対して、最低保証帯域の比に応じて余剰帯域を割り当てることもできる。
あるいは、上り通信を行っている全ての子局装置30に対して最低保証帯域を割り当てた後に余剰の帯域が残っている場合に、子局装置30から要求された帯域を満足させることができなかった子局装置30に対して、順番に最大許容帯域に達するまで余剰帯域を割り当てていくこともできる。
図5(a)は、タグ情報を付与する前の通常のデータフレームを示し、図5(b)は、子局装置用のタグ情報T1のみを付与した場合のデータフレームを示す。
また、図5(c)は、子局装置用と中継装置用の2種類のタグ情報T1,T2を付与した場合のデータフレームを示す。
すなわち、中継装置20は、下段PONで用いる子局装置30の論理リンク番号ごとにタグ情報T1の値を保持し、上りのデータフレームの所定領域にその値を書き込む。
この場合、親局装置10は、上りのデータフレームに含まれる1種類のタグ情報T1と、上段PONにおける中継装置20の論理リンク番号との組み合わせにより、当該データフレームの送信元である子局装置30を一意に特定することができる。
このタグ情報T2の書き込みも、データフレームの形式に応じて、フレームに既にあるフィールドに上書きしてもよいし、新たに設けたフィールドに書き込んでもよい。
このように、2種類のタグ情報T1,T2が付与される場合は、論理リンク番号を利用せずとも、その2種類のタグ情報T1,T2の値によって子局装置30を一意に特定できるので、子局装置用のタグ情報T1の値を重複させないための通知ないし設定を、中継装置20に対して行う必要はない。
親局装置10における子局装置30とSLAの紐付けは、タグ情報T1と上段PONの論理リンク番号の組みに関連させて各子局装置30に対するSLAを親局装置10内に設定しておくことができる。
なお、親局装置10は、上りのデータフレームを上位ネットワークに転送する際に、タグ情報T1,T2の書き換えや削除を行ってもよい。
親局装置10は、上りフレームの優先度に対応させた複数のキューを有し、フレームの優先度に基づいて複数のキューのいずれかに上りフレームをキューイングする。そして、親局装置10は、上位ネットワーク側へ、優先度の高いキューにキューイングされたフレームから送信したり、キューごとに設けられた重み付けの配分に従って、空でないキューから順にフレームを送信したりする。あるいは、それらを組み合わせた送信順序の決定方法もある。
親局装置10は、これらのフレーム中の優先度フィールドを参照して、子局装置30ごとに優先度別キューへフレームを振り分けることができ、優先度別キューごとに上りの送信スケジューリングを行うことができる。
以上の通り、本実施形態の光通信システムによれば、中継装置20が、自装置から送信する上りフレームの送信については、親局装置10が行う上り多重アクセス制御に従い、自装置が受信する上りフレームの受信については、独自に上り多重アクセス制御を行うので、図1に示すような、1つの親局装置10を頂点として複数の中継装置20を接続する上段PONと、その中継装置20の配下に更に複数の子局装置30を接続する下段PONとを備えた、多段接続の光通信システムを構成できる。
また、PON固有の分岐数については、上段PONの分と下段PONの分とを乗算した値になるので、光通信システム全体の分岐数を多くすることできる。
更に、1つの下段PON当たりに中継装置20が1台あればよいので、この点からも、光通信システム全体のコストを抑えることができる。
例えば、上記マルチレートPONで、半分の時間を10Gでかつ残り半分の時間を1Gで時分割多重される場合を考えると、この場合のリンクのスループットは5,5Gbpsであり、全時間を10Gで時分割多重するリンクのスループットよりも小さい。
従って、親局装置10は、集計したトラフィック量に応じた、SLAに見合うQoSを子局装置30ごとに設定でき、下段PONの子局装置30のSLAを確実に達成することができる。
このため、下段PONの子局装置30の保守管理についても、上段PONの親局装置10から簡単に行うことができる。
図6は、中継装置20の変形例を示すブロック図である。
図6に示す変形例に係る中継装置20が、上述の実施形態に係る中継装置20(図3)と異なる点は、装置制御部24が、ONU機能制御部210とも繋がっており、親局装置10から取得する管理コマンドに従って、ONU機能制御部210に対しても保守管理の指令を行える点にある。
また、中継装置20の装置制御部24は、上記管理フレームに含まれる設定情報に従って、ONU機能制御部210に対して子局機能の設定処理の指令を発する。
このため、例えば、設置当初の中継装置20であっても、その装置制御部24に対して、IPアドレスなどのネットワークアドレスの設定などの操作を、親局装置10を経由した遠隔操作で行うことができる。なお、設置当初の中継装置20にはIPアドレスなどのネットワークアドレスが設定されていないことがあり、この場合には、仮想的な制御系通信路内にTelnetやSSHなどのセッションを確立することができない。従って、変形例に係る中継装置20を採用しない場合には設置場所において設定用ポートP2からネットワークアドレスを設定する必要がある。
本発明の権利範囲は、上述の実施形態(変形例を含む。)ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びその構成と均等な範囲内のすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態では、上段と下段の通信網がいずれもPONである場合を例示したが、上段又は下段若しくは双方のネットワークが、同軸ケーブル(Coax)を使用したCDN(Coaxial Distribution Network )やHFC(Hybrid Fiber-Coaxial Network)であってもよい。
また、CDNシステムにおいても、CNUの登録や上り方向の多重アクセス制御を行うために、IEEE Std 802.3TM-2008に規定のMPCPと類似のアクセス制御が使用される。すなわち、CDNとPONは、伝送媒体こそ異なるものの、システム内の論理的な動作は同じになるので、本発明を適用できる。
ここで、上り多重アクセス制御とは、伝送に用いる媒体(搬送周波数)を時間領域で分割して複数の端末からアクセスさせるTDMA(Time Division Multiple Access)通信方式のことであり、PONやCDNで用いられるMPCPも、上り方向通信については上り多重アクセス制御の範疇に属する。
また、上述の実施形態の中継装置20は、下位網である第2通信網(多段PONにおける「上段PON」)では親局として機能し、複数の中継装置に対して上り多重アクセス制御を行う通信装置であると言える。
20 中継装置
21 子局機能部
22 親局機能部
23 データ振り分け部
24 装置制御部
30 子局装置(ONU)
T1 子局装置用のタグ情報
T2 中継装置用のタグ情報
Claims (13)
- 親局装置が中継装置に対して上り多重アクセス制御を行う第1通信網と、中継装置が子局装置に対して上り多重アクセス制御を行う第2通信網とがあり、前記第1通信網と前記第2通信網が単数又は複数の中継装置を介して接続された通信システムであって、
前記第2通信網に接続された中継装置は、前記第2通信網から前記第1通信網に転送する上りのデータフレームに、その送信元である前記子局装置を識別するためのタグ情報を付与し、
前記親局装置は、前記第1通信網から受信した前記データフレームに含まれる前記タグ情報に基づいて、上りのトラフィック量を前記子局装置ごとに集計することを特徴とする通信システム。 - 前記子局装置ごとの集計には、前記データフレームに対して定義された優先度ごとの集計が含まれる請求項1に記載の通信システム。
- 前記親局装置は、前記データフレームに含まれる前記タグ情報と、前記第1通信網における前記中継装置の論理リンクとの組み合わせに基づいて、当該データフレームの送信元である前記子局装置を特定する請求項1に記載の通信システム。
- 前記中継装置は、自装置を識別するためのタグ情報も前記データフレームに付与し、
前記親局装置は、前記データフレームに含まれる2種類の前記タグ情報の組み合わせに基づいて、当該データフレームの送信元である前記子局装置を特定する請求項1に記載の通信システム。 - 第1通信網と第2通信網の双方で通信可能な中継装置であって、
前記第1通信網の親局装置が行う上り多重アクセス制御に従い、
前記第2通信網の子局装置に対して上り多重アクセス制御を行い、
前記第2通信網から前記第1通信網に転送する上りのデータフレームに、その送信元である前記子局装置を識別するためのタグ情報を付与することを特徴とする中継装置。 - 第2通信網の子局装置に対して上り多重アクセス制御を行う中継装置と、第1通信網において通信する親局装置であって、
前記中継装置に対して上り多重アクセス制御を行い、
前記中継装置から受信した上りのデータフレームに含まれる、その送信元である前記子局装置を識別するためのタグ情報に基づいて、上りのトラフィック量を前記子局装置ごとに集計することを特徴とする親局装置。 - 第1通信網の親局装置が中継装置に対して上り多重アクセス制御を行い、前記中継装置が第2通信網の子局装置に対して上り多重アクセス制御を行う通信方法であって、
前記第2通信網から前記第1通信網に転送する上りのデータフレームに、その送信元である前記子局装置を識別するためのタグ情報を付与するステップと、
前記データフレームに含まれる前記タグ情報に基づいて、上りのトラフィック量を前記子局装置ごとに集計するステップと、を含むことを特徴とする通信方法。 - 親局装置が中継装置に対して上り多重アクセス制御を行う第1通信網と、前記中継装置が子局装置に対して上り多重アクセス制御を行う第2通信網とが、前記中継装置を介して接続された通信システムであって、
前記親局装置は、前記中継装置の子局機能部の管理のための管理フレームを前記中継装置との間で送受信可能であり、前記中継装置の親局機能部に対する管理のための仮想的な制御系通信路を前記第1通信網に設定可能であり、
前記中継装置は、前記子局装置の管理のための管理フレームを前記子局装置との間で送受信可能であり、前記子局装置に対する保守管理を指示するコマンドを前記親局装置から前記制御系通信路経由で受信した場合に、前記子局装置との間の管理フレームの送受信にて得られた前記子局装置からの応答に基づいて、前記親局装置のコマンドに対する応答を前記制御系通信路経由で行うことを特徴とする通信システム。 - 前記親局装置は、前記中継装置の前記子局機能部以外の部分に対する管理を行うための管理フレームを送信可能であり、
前記中継装置は、前記管理フレームの内容に従って、自装置の子局機能部以外の部分の設定処理を行う請求項7に記載の通信システム。 - 第1通信網と第2通信網の双方で通信可能な中継装置であって、
前記第1通信網の親局装置が行う上り多重アクセス制御に従い、
前記第2通信網の子局装置に対して上り多重アクセス制御を行い、
前記子局装置の管理のための管理フレームを前記子局装置との間で送受信可能であり、前記子局装置に対する保守管理を指示するコマンドを前記親局装置から前記制御系通信路経由で受信した場合に、前記子局装置との間の管理フレームの送受信にて得られた前記子局装置からの応答に基づいて、前記親局装置のコマンドに対する応答を前記制御系通信路経由で行うことを特徴とする中継装置。 - 第1通信網の親局装置が中継装置に対して上り多重アクセス制御を行い、前記中継装置が第2通信網の子局装置に対して上り多重アクセス制御を行う通信方法であって、
前記親局装置と前記中継装置が、前記中継装置の子局機能部の管理のための管理フレームを送受信し、前記中継装置と前記子局装置が、前記子局装置の管理のための管理フレームを送受信するステップと、
前記中継装置が、前記子局装置に対する保守管理を指示するコマンドを前記親局装置から前記制御系通信路経由で受信した場合に、前記子局装置との間の管理フレームの送受信にて得られた前記子局装置からの応答に基づいて、前記親局装置のコマンドに対する応答を前記制御系通信路経由で行うステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。 - 前記中継装置は、前記第1通信網に送信する上り信号の伝送レートと、前記第2通信網から受信する上り信号の伝送レートとの差を吸収するための、上りバッファを有する請求項1〜4,8又は9に記載の通信システム。
- 前記中継装置は、前記第1通信網から受信する下り信号の伝送レートと、前記第2通信網に送信する下り信号の伝送レートとの差を吸収するための、下りバッファを有する請求項1〜4,8又は9に記載の通信システム。
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