JP2014075442A - 半導体ナノ構造体及びその複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な熱電変換性能を示し、軽量且つ柔軟であり、熱電変換材料として有用な新規な半導体ナノ構造体、及び当該半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料を提供する。
【解決手段】溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることにより得られる、半導体ナノ構造体。
【選択図】なし
【解決手段】溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることにより得られる、半導体ナノ構造体。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱電変換材料として優れた性能を有する新規な半導体ナノ構造体及び半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとからなる複合材料に関する。
熱電変換素子は、熱電変換材料より構成されて、ゼーベック効果とその逆のペルチェ効果とを有する。ゼーベック効果は、熱電変換素子の両端に温度差を生じさせることで、両端間に熱起電力(電位差)が発生する効果である(発電機能)。一方、ペルチェ効果は、熱電変換素子に通電することで、熱電変換素子部分に吸熱又は発熱が起こる効果である(熱電冷却機能)。この様に、熱電変換材料とは、熱から直接に電気エネルギーに変換することを可能とする材料である。
従来、工業炉等の産業廃熱の有効利用を目指して、熱電変換材料の開発が進められてきた。近年、小型パソコン、携帯機器等のウェアラブルデバイスへの応用、環境発電への要請が高まりつつあり、屋根、壁、変電所等の生活及び産業から生じる廃熱を利用する、中低温で動作する柔軟且つ軽量な熱電変換材料の開発が進められている。この様に、熱電変換材料を利用することで、自然界から再生可能なエネルギーを得ることができると共に、生活及び産業から生じる廃熱から電力を得ることができる。熱電変換材料は、CO2フリーの発電技術の一つである。
熱電変換材料の性能は、次式で求められる性能指数(Z)で表わされる。
Z=S2σ/κ
前記Sは熱電変換材料のゼーベック係数、前記σは熱電変換材料の導電率、前記κは熱電変換材料の熱伝導率である。S2σの項をまとめて出力因子(パワーファクター、Pf)という。また、Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗じて得られるZTは無次元の値となる。そしてこのZTを無次元性能指数と呼び、熱電変換材料の性能を表す指標として用いられている。
前記Sは熱電変換材料のゼーベック係数、前記σは熱電変換材料の導電率、前記κは熱電変換材料の熱伝導率である。S2σの項をまとめて出力因子(パワーファクター、Pf)という。また、Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗じて得られるZTは無次元の値となる。そしてこのZTを無次元性能指数と呼び、熱電変換材料の性能を表す指標として用いられている。
熱電変換材料が幅広く使用されるためには、その性能を更に向上させることが求められている。そして、熱電変換材料の性能向上には前記の式から明らかなように、より高いゼーベック係数S、より高い導電率σ、及びより低い熱伝導率κが求められる。
非特許文献1には、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用いた熱電変換材料が記載されている。このSWNTは、室温付近でおよそ50μV/Kのゼーベック係数を示した。またSWNTへのドーピングの効果も検討されている。しかしながら、酸を用いたドーピングではキャリア密度の制御が困難であり、そのゼーベック係数がしばしば低減する点については、改善の余地があった。
非特許文献2には、有機熱電材料として、導電性ポリアニリン膜が記載されている。この導電性ポリアニリン膜は、耐熱性や加工性にも優れており、安価に大量合成も可能であると共に、高い導電率(σ)を示し、低い熱伝導率(κ)を示すので、性能指数(Z)が高い電変換材料となる。しかしながら、有機物ゆえに経時劣化するなど安定性については、改善の余地があった。
非特許文献3には、層状化合物の液体剥離により得られる2次元ナノシートが記載されている。非特許文献3には、MoS2、WS2等の層状化合物を溶媒に分散させて、個々の薄片として沈殿させる、或いはフィルムとして形成させる技術が記載されている。更に、非特許文献3には、前記薄片となったWS2とカーボンナノチューブとの複合フィルムが記載されており、その複合フィルムは高い導電率を示し、熱伝導特性が良好であることが記載されている。しかしながら、その薄片は、クラックが生じること、単層と多層の混合物であること、また生産性が低いこと等、マクロな部材に適用する場合に、真の特性を反映できるものではなかった。
従来の熱電変換材料は主に高温用で希少重金属を含む重い固体材料がほとんどである。このことに加え、前記の様に、軽量な有機材料やナノ材料を用いた熱電変換材料では十分な柔軟性及び耐久性が得られなかった。そのため、従来の熱電変換材料は、ポータブル部材(ウェアラブルデバイス)用途に十分に適用できなかった。また、この問題を解決するために、上記の通り、導電性高分子からなる熱電変換材料が検討されているが、その様な熱電変換材料でも軽量化と柔軟性とを良好に両立できていない。また、従来の熱電変換材料では、柔軟性を与えるために高分子、ゴム等が添加剤或いは母体として用いられるが、高分子、ゴム等は絶縁体であり、ゼーベック効果及び導電性を大きく低減させるものであった。
S. Rameshら、PHYSICAL REVIEW LETTERS、VOLUME 90、NUMBER 6、065503-1〜065503-4、2003年2月14日
導電性高分子の熱電変換機能、厳虎、戸嶋直樹ら、高分子51巻11月号、p885-888、2002年
Jonathan N. Colemanら、Science、VOLUME 331、p568-571、2011年2月4日
従来の熱電変換材料では、導電率σとゼーベック係数Sは相反関係にあること、また、導電率σと熱伝導率κは共にキャリア濃度に正の比例関係であることから、より高いゼーベック係数S、より高い導電率σ、且つより低い熱伝導率κを求めて、性能指数(Z=S2σ/κ)を増強することは困難であった。
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みて為されたものであり、その主な目的は、良好な熱電変換性能を示し、軽量且つ柔軟であり、熱電変換材料として有用な新規な半導体ナノ構造体、及び当該半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させて得られる半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料は、良好な熱電変換性能を示すと共に、軽量且つ柔軟であり、熱電変換材料として有用であることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の半導体ナノ構造体、及び当該半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料、並びに半導体ナノ構造体の製造方法を提供するものである。
項1. 溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることにより得られる、半導体ナノ構造体。
項2.前記半導体が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又は、ビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物;コバルト酸化物;チタン酸化物;並びに窒化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記項1に記載の半導体ナノ構造体。
項3. 前記金属酸塩が、チオ金属酸塩及びジアルキルジチオカルバミン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱還元性を有する金属錯体である、前記項1又は2に記載の半導体ナノ構造体。
項4. 前記金属塩が、塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩及び水酸化物塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記項1又は2に記載の半導体ナノ構造体。
項5. 前記カルコゲンが、硫黄、セレン又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体又はトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン及びセレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記項1又は2に記載の半導体ナノ構造体。
項6. 前記半導体が、4価金属からなるAY2型(Aは、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Yは、硫黄、セレン、テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)、又は3価金属からなるB2Y3型(Bはビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Yは、硫黄、セレン、テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)の六方晶構造である、前記項1〜5のいずれかに記載の半導体ナノ構造体。
項7. 前記溶媒が、アルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、前記項1〜6のいずれかに記載の半導体ナノ構造体。
項8. 前記項1〜7のいずれかに記載の半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料。
項9. 熱電変換材料である前記項8の複合材料。
項10. 溶媒中で、(i)金属酸塩又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることを特徴とする、半導体ナノ構造体の製造方法。
項11. 前記金属酸塩が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又はビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属のチオ金属酸塩又はジアルキルジチオカルバミン酸塩であり、
前記金属塩が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又はビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩又は水酸化物塩であり、
前記カルコゲンが、硫黄、セレン又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体又はトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン及びセレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒がアルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
前記半導体が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物である、
前記項10に記載の半導体ナノ構造体の製造方法。
前記金属塩が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又はビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩又は水酸化物塩であり、
前記カルコゲンが、硫黄、セレン又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体又はトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン及びセレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒がアルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
前記半導体が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物である、
前記項10に記載の半導体ナノ構造体の製造方法。
本発明の半導体ナノ構造体を、カーボンナノチューブと複合化して熱電変換材料とすることで、従来のカーボンナノチューブからなる熱電変換材料に比べて、室温付近においてゼーベック係数S及び導電率σを同時に増強させることができ、且つ熱伝導率κを低下させることができる。また、半導体ナノ構造体及びカーボンナノチューブを含有する複合材料は、半導体ナノ構造体の分散液とカーボンナノチューブの分散液とを混合することにより、自己集合により、自発的に複合体を形成することができる。得られた複合体をろ過或いは乾燥することで、成形体を作製することができ、当該成形体として自立フィルムを作製することができる。
以下、本発明の内容について、詳細に説明する。
1.半導体ナノ構造体
本発明の半導体ナノ構造体は、ナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート、ナノシート等の形状のうち、少なくとも1種類の形状をとることが好ましい。半導体ナノ構造体は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート状であることがより好ましく、ナノプレート状であることが更に好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体は、ナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート、ナノシート等の形状のうち、少なくとも1種類の形状をとることが好ましい。半導体ナノ構造体は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート状であることがより好ましく、ナノプレート状であることが更に好ましい。
2.半導体ナノ構造体の構成
本発明の半導体ナノ構造体は、溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることにより得られることを特徴とする。
本発明の半導体ナノ構造体は、溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることにより得られることを特徴とする。
半導体ナノ構造体を構成する半導体は、一次元又は二次元結晶構造を形成するという理由から、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン、スズ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム、ニオブ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン、インジウム等からなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物;コバルト酸化物;チタン酸化物;並びに窒化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。半導体としては、一次元又は二次元結晶構造を形成するという理由から、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン、バナジウム、ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属の硫化物が好ましい。半導体としては、ナノ構造体(好ましくはナノプレート)を形成することができるという理由から、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、チタン、バナジウム、ビスマス等の硫化物であることが好ましい。
半導体としては、前記二次元ナノプレート形成の観点から、層状の六方晶結晶構造をとる半導体が有利であり、好ましい。層状の六方晶結晶構造をとる半導体としては、4価金属からなるAY2型(Aは、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Yは、硫黄、セレン、テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)、又は3価金属からなるB2Y3型(Bはビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Yは、硫黄、セレン、テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)の結晶構造を有することがこのましい。半導体としては、結晶構造の中でも六方晶構造を有することが好ましい。
AY2型としては、MoS2、WS2、TiS2、MoSe2、MoTe2、WSe2等が好ましい化合物である。AY2型としては、比較的導電性に優れているという理由から、MoS2、TiS2が特に好ましい化合物である。
B2Y3としては、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3、Sb2S3、Sb2Se3、Sb2Te3等が好ましい化合物である。B2Y3型としては、比較的導電性に優れているという理由から、Bi2S3、Bi2Te3が特に好ましい化合物である。
半導体ナノ構造体の原料となる金属酸塩は、単一原料のみにより化学量論を定めることができ、自発的に還元反応を進行することができるという理由から、チオ金属酸塩及びジアルキルジチオカルバミン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。チオ金属酸塩としては、単一原料のみにより化学量論を定めることができ、自発的に還元反応を進行することができるという理由から、テトラチオモリブデン酸アンモニウム、テトラチオタングステン酸アンモニウム、テトラチオバナジン酸アンモニウム、テトラチオタンタル酸アンモニウム、テトラチオチタン酸アンモニウム等が好ましい。ジアルキルジチオカルバミン酸塩としては、単一原料のみにより化学量論を定めることができ、自発的に還元反応を進行することができるという理由から、ジエチルジチオカルバミン酸モリブデン、ジエチルジチオカルバミン酸タングステン、ジエチルジチオカルバミン酸バナジウム、ジエチルジチオカルバミン酸ニオブ等が好ましい。
半導体ナノ構造体の原料となる金属塩は、原則的に溶媒への溶解性が与えられる限り、種々の金属陽イオンが利用可能であるという理由から、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン、スズ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム、ニオブ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン、及びインジウム等からなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩、又は水酸化物塩等が好ましい。
半導体ナノ構造体の原料となるカルコゲンは、不活性雰囲気で還元剤によって比較的容易に加熱分解し、陰イオンを与えるという理由から、硫黄、セレン、又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体、或いはトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン、セレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
前記(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させるために用いる溶媒としては、加熱時に溶質に対して還元性をもつという理由から、アルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であるであることが好ましい。アルキルアミンとしては、高沸点であり、比較的低粘性という理由から、オレイルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン等が好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、高沸点であり、比較的低粘性という理由から、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン等が好ましい。
半導体ナノ構造体の大きさ(直径、幅、長さ等)は、カーボンナノチューブの直径サイズと同程度であり相溶しやすいという理由から、好ましくは2〜1000nm程度、より好ましくは2〜300nm程度、更に好ましくは2〜20nm程度である。半導体ナノ構造体の大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を基に測定できる。
半導体ナノ構造体のアスペクト比(直径(幅、長さ)と厚さとの比)は、好ましくは10程度以上である。半導体ナノ構造体のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を基に測定できる。半導体ナノ構造体のアスペクト比が10であることは、半導体ナノ構造体の直径(幅)が、厚さに対して10倍の大きさを有することを意味する。
図1に、半導体ナノ構造体の具体例として、ナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート、ナノシートの概念図を示す。
ナノロッドは、長径bに対する短径aの比(アスペクト比:b/a)が、好ましくは10程度以下である(b/a≦10)。アスペクト比が1に近くなれば、ナノ粒子となる。
ナノワイヤは、ひも状、針状で、長径bに対する短径aの比(アスペクト比:b/a)が、好ましくは10程度以上である(b/a≧10)。
ナノチューブとは、ナノロッド、ナノワイヤにおいて、中空のものである。
ナノ粒子とは、粒子状で、直径aが1000nm程度以下のものである(a≦1000nm)。
ナノプレートとは、プレート状で、直径cに対する厚さaの比(アスペクト比:c/a)が、好ましくは10程度以上、1000程度以下である(10≦c/a≦1000)。半導体ナノ構造体は、量子サイズ効果を発現できるという理由から、1層〜5層の層構成(ナノプレート)であることが好ましい。ナノプレートの直径cは、2〜1000nm程度である。1層構成の半導体ナノ構造体は、厚さaが0.6〜1.0nm程度である。2層構成の半導体ナノ構造体は、厚さaが1.0〜1.5nm程度である。3層構成の半導体ナノ構造体は、厚さaが1.5〜2.1nm程度である。4層構成の半導体ナノプレートは、厚さaが2.1〜2.7nm程度である。5層構成の半導体ナノ構造体は、厚さaが2.7〜3.3nm程度である。
ナノシートとは、シート状で、直径cに対する厚さaの比(アスペクト比:c/a)が、好ましくは100程度以上である(c/a≧100)。シートの直径(大きさ)cは、200〜1000nm程度である。
前記半導体ナノ構造体は、ナノプレート状であることが好ましい。
3.半導体ナノ構造体の製造方法
本発明の半導体ナノ構造体は、溶媒中で、(i)金属酸塩又は(ii)或いは金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることによって、製造することができる。半導体ナノ構造体を構成する半導体、溶媒、金属酸塩或いは金属塩とカルコゲンとの混合物は、2.半導体ナノ構造体の構成の項目で記載したもの用いることができる。
本発明の半導体ナノ構造体は、溶媒中で、(i)金属酸塩又は(ii)或いは金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることによって、製造することができる。半導体ナノ構造体を構成する半導体、溶媒、金属酸塩或いは金属塩とカルコゲンとの混合物は、2.半導体ナノ構造体の構成の項目で記載したもの用いることができる。
本発明の半導体ナノ構造体は、コロイド合成法により、溶媒中で金属酸塩を加熱分解させることによって、半導体ナノ構造体を製造することが好ましい。本発明のコロイド合成法によれば、結晶性が高く、均質な半導体ナノ構造体を高い収率で製造することができた。また、コロイド合成法は、高い反応収率が得られる点、合成のスケールアップが容易である点、合成、精製、加工のプロセスをすべて分散液で行える点でハンドリング性が優れている。
本発明の半導体ナノ構造体の製造方法では、単一原料のみにより化学量論を定めることができ、自発的に還元反応を進行することができるという理由から、前記金属酸塩として、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン、スズ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム、ニオブ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン、インジウム等からなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属のチオ金属酸塩又はジアルキルジチオカルバミン酸塩を用いることが好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体の製造方法では、前記溶媒として、アルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いることが好ましい。
図2に示すコロイド合成法は、半導体ナノ構造体の製造方法の一例として、前記金属酸塩としてテトラチオモリブデン酸アンモニウム((NH4)2MoS4)を用い、前記溶媒(アルキルアミン)としてトリオクチルアミンを用いて、MoS2ナノプレートを製造する方法を示す。製造方法の一例として、先ず、二口フラスコ中に0.5〜4.0mmol程度の金属酸塩、2〜20mmol程度の溶媒を加える。次に、セプタムと真空ラインに接続した還流管を、二口フラスコにセットし、減圧下、温度コントローラを付したマントルヒーターを用いて、50〜100℃程度の温度で、30〜180分間脱気を行う。次に、脱気後、反応系中を窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスで置換する。次に、マントルヒーターを用いて、200〜300℃程度の温度まで昇温し、0.25〜5時間反応(還元反応)させる。最後に、空冷により室温まで冷まして反応を終了し、遠心分離法によって、半導体ナノ構造体を単離し、エタノールを用いて精製する。
本発明の半導体ナノ構造体の製造方法では、任意の溶媒を選ぶことができるという理由から、前記金属塩として、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン、スズ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム、ニオブ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン、インジウム等からなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩、又は水酸化物塩等を用いることが好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体の製造方法では、前記カルコゲンとして、硫黄、セレン、又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体又はトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン、セレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
図3に示す合成法(a)は、半導体ナノ構造体の製造方法の一例として、前記金属塩として四塩化チタン(TiCl4)を用い、前記カルコゲンとして硫黄を用い、前記溶媒(アルキルアミン)としてオレイルアミンを用いて、TiS2ナノプレートを製造する方法を示す。製造方法の一例として、先ず、二口フラスコ中に1.0〜100mmol程度のカルコゲン、3.0〜300mmol程度の溶媒を加える。次に、セプタムと真空ラインに接続した還流管を、二口フラスコにセットし、減圧下、温度コントローラを付したマントルヒーターを用いて、50〜100℃程度の温度で、30〜180分間脱気を行う。次に、脱気後、反応系中を窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスで置換する。次に、反応系中に、0.1〜10mmol程度の金属塩を加え、マントルヒーターを用いて、200〜300℃程度の温度まで昇温し、0.25〜5時間反応(還元反応)させる。最後に、空冷により室温まで冷まして反応を終了し、遠心分離法によって、半導体ナノ構造体を単離し、エタノールを用いて精製する。また、図3(b)は、前記製造方法で調製できるTiS2ナノプレートの透過電子顕微鏡像(TEM)である。
本発明の半導体ナノ構造体の製造方法では、上記半導体ナノ構造体の原料を用いて、前記半導体としてモリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン、スズ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム、ニオブ等からなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン、インジウム等からなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物を調製することが好ましい。
4.半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料
本発明は、ゼーベック効果と導電性を相補的に与え、相乗効果により増強できるという理由から、半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料であることが好ましい。半導体ナノ構造体は、上記したものを用いることができる。
本発明は、ゼーベック効果と導電性を相補的に与え、相乗効果により増強できるという理由から、半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料であることが好ましい。半導体ナノ構造体は、上記したものを用いることができる。
カーボンナノチューブとしては、単層及び多層構造のものを用いることができる。本発明では、カーボンナノチューブに由来する大きな比表面積ゆえに電子移動や電子ドープを生じやすいという理由から、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用いることがこのましい。カーボンナノチューブは、複合材料の柔軟性を良好に維持できるという理由、また、良導体であるという理由から、直径は1.0nm以上であること、長さは10μm以上であること好ましい。カーボンナノチューブの直径は、1.0〜10nm程度であることがより好ましく、1.5〜5.0nm程度であることが更に好ましい。カーボンナノチューブの長さは、10〜10000μm程度であることがより好ましく、100〜1000μm程度であることが更に好ましい。
半導体ナノ構造体の厚さの最小値は、単原子層(原子層1層)の厚さである。半導体ナノ構造体の厚さの最大値は、カーボンナノチューブと良好に混ざり合い、カーボンナノチューブの構造材料特性を反映できるという理由から、混合するカーボンナノチューブの直径の10倍程度であることが好ましく、混合するカーボンナノチューブの直径と同程度であることがより好ましい。
半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料では、複合材料の柔軟性を良好に維持できるという理由、良好に混ざり合った複合材料を与えるという理由から、カーボンナノチューブ100質量部に対して、半導体ナノ構造体0.1〜900質量部程度混合されることが好ましい。カーボンナノチューブ100質量部に対して、半導体ナノ構造体1〜500質量部程度混合されることがより好ましく、10〜100質量部程度混合されることが更に好ましい。同様の理由から、カーボンナノチューブと半導体ナノ構造体との混合比は、0.01〜1.0:1.0〜5.0程度が好ましく、0.1〜1.0:1程度がより好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、成形時に成分が2次元方向に配向し易いという理由から、フィルム又はシートに成形することが好ましい。
半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の大きさは、後述する使用目的(用途)を考慮し、良好な熱電変換性能を示し、柔軟性を良好に維持できる範囲で、適宜調節することができる。
5.半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の製造方法
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを混合することによって、製造することができる。半導体ナノプレート及びカーボンナノチューブは、上記したものを用いることができる。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを混合することによって、製造することができる。半導体ナノプレート及びカーボンナノチューブは、上記したものを用いることができる。
図7及び8は、半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の製造方法の概念図であり、一例としてMoS2ナノプレートと単層カーボンナノチューブ(SWNT)との複合材料の製造方法を示す図である。製造方法の一例として、先ず、ホモジナイザーを用いて、2.0〜200mL程度の分散媒中に、1.0〜100mg程度のカーボンナノチューブを懸濁させる。次に前記カーボンナノチューブを懸濁させた分散媒と同種の分散媒を用いて、ホモジナイザーを用いて、2.0〜200mL程度の分散媒中に、1.0〜100mg程度の半導体ナノ構造体を分散させる。次に、前記カーボンナノチューブ懸濁液と半導体ナノ構造体分散液とを、10〜30℃程度の温度で、3〜48時間混合する。得られた混合物を、メンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し、50〜150℃程度の温度にて真空乾燥することにより、半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料を得ることができる。半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、成形時に成分が2次元方向に配向し易いという理由から、フィルム又はシートに成形することが好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとの懸濁液を混合すると、両者が自発的に集合して複合体を形成すること(自己集合性)で、製造できる。この半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとの自己集合性は、後述の実施例で示すとおり、本発明で初めて得られた知見である。例えば、図7及び8に示される様に、透過型電子顕微鏡(TEM)像又は(SEM)写真を基に、カーボンナノチューブ上に半導体ナノ構造体がファンデルワールス力によって吸着していることを観察することができる。
半導体ナノ構造体及びカーボンナノチューブを懸濁又は分散させる分散媒として、半導体ナノ構造体及びカーボンナノチューブの溶解度パラメータとの整合性の理由から、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、トルエン等を使用することが好ましい。分散媒としては、半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料において良好な均一性が得られるという理由から、DMSO、MIBKがより好ましく、DMSOが更に好ましい。また、分散媒として、DMSO、MIBKを用いることで、より高純度(比表面積大)であり、ドーパントにより高感度に応答でき、高品質な半導体ナノプレート/カーボンナノチューブ複合材料を製造することができる。
6.半導体ナノプレート/カーボンナノチューブ複合材料の物性値
本発明の半導体ナノプレート/カーボンナノチューブ複合材料のゼーベック係数S、導電率σ、熱伝導率κの好ましい範囲は次の通りである。
本発明の半導体ナノプレート/カーボンナノチューブ複合材料のゼーベック係数S、導電率σ、熱伝導率κの好ましい範囲は次の通りである。
・ゼーベック係数S(μV/K)
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料のゼーベック係数Sの上限値に制限はなく、高い方が好ましい。ゼーベック係数Sの上限値は、1000μV/K程度である。ゼーベック係数Sの下限値は、好ましくは10μV/K程度、より好ましくは40μV/K程度、更に好ましくは100μV/K程度である。ゼーベック係数Sは、2端子法により計測できる材料両端に生じた電圧を材料両端に生じさせた温度差で割ることで算出できる。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料のゼーベック係数Sの上限値に制限はなく、高い方が好ましい。ゼーベック係数Sの上限値は、1000μV/K程度である。ゼーベック係数Sの下限値は、好ましくは10μV/K程度、より好ましくは40μV/K程度、更に好ましくは100μV/K程度である。ゼーベック係数Sは、2端子法により計測できる材料両端に生じた電圧を材料両端に生じさせた温度差で割ることで算出できる。
・電気伝導率(導電率)σ(S/m)
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の電気伝導率σの上限値に制限はなく、高い方が好ましい。導電性の下限値は、好ましくは10 S/m程度、より好ましくは100 S/m程度、更に好ましくは1000 S/m程度である。電気伝導率σは、4端子4端針法で計測できる電圧と電流値から算出できる。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の電気伝導率σの上限値に制限はなく、高い方が好ましい。導電性の下限値は、好ましくは10 S/m程度、より好ましくは100 S/m程度、更に好ましくは1000 S/m程度である。電気伝導率σは、4端子4端針法で計測できる電圧と電流値から算出できる。
・熱伝導率κ(W/mK)
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の熱伝導率κは、好ましくは0.1〜10W/mK程度、より好ましくは0.1〜3.0W/mK程度、更に好ましくは0.1〜1.0W/mK程度である。熱伝導率κは、絶対定常法により直接測定することで算出できる。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の熱伝導率κは、好ましくは0.1〜10W/mK程度、より好ましくは0.1〜3.0W/mK程度、更に好ましくは0.1〜1.0W/mK程度である。熱伝導率κは、絶対定常法により直接測定することで算出できる。
上記ゼーベック係数S、電気伝導率σ、熱伝導率κを基に、パワーファクターS2σ、性能指数Z(=S2σ/κ)及び無次元性能指数ZT(=S2σT/κ、Tは温度(K))を算出することができる。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、大きなゼーベック係数S及び電気伝導率σを有し、小さな熱伝導率κを有するので、熱電変換材料として有用である。
7.半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の用途
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、従来の熱電変換材料にない柔軟性を与え、種々の曲面に添付できるという理由から、熱電変換材料として用いることが好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、従来の熱電変換材料にない柔軟性を与え、種々の曲面に添付できるという理由から、熱電変換材料として用いることが好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、負或いは正のゼーベック係数を有するものであり、該半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料からなる成形体の両端に温度差を生じさせた場合に、熱起電力により生じる電位は、高温側の方が低温側に比べて高くなり、n或いはp型熱電変換材料としての特性を示すものである。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料が、n型熱電変換材料或いはp型熱電変換材料となるかは、半導体ナノ構造体を構成する半導体の種類によって決まる。例えば、硫化モリブデン(半導体)とカーボンナノチューブとの組み合わせでは、p型熱電変換材料となる。
具体的には、本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、-273〜400℃程度の温度範囲において、負或いは正のゼーベック係数を有するものである。よって、本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、上記した特性を利用して、例えば、空気中において、-273〜400℃程度の温度域で用いるn或いはp型熱電変換材料として有効に利用することができる。特に、従来の無機固体、有機材料と異なりカーボンナノチューブはガラス転移温度を示さないため、極低温においても柔軟性を維持し、カーボンナノチューブを母体として用いる本発明の複合材料は従来検討されることのなかった極限環境下で利用できると期待される。前記極限環境として、宇宙空間等がある。
本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料からなる熱電変換材料をn或いはp型熱電変換素子として用いて、熱電発電モジュールを形成することができる。該熱電発電モジュールの構造は、公知の熱電発電モジュールと同様であり、基板材料、p型熱電変換材料、n型熱電変換材料、電極等により構成される熱電発電モジュールであり、本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料は、n或いはp型熱電変換材料として使用される。
本発明の熱電変換材料は、良好な熱電変換性能を有すると共に、軽量であり柔軟性を有するので、環境発電、緊急・災害時用電源、医療電源、小型機器電源(ポータブルデバイス、ウェアラブルデバイス、フレキシブルデバイス)等の用途に十分に適用できる。
半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料の大きさは、使用目的(用途)を考慮し、柔軟性を良好に維持できる範囲で、適宜調節することができる。半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料を従来固体素子の代替材料として用いる場合は、その形状はとくに制限されないが、加工性の点から、10μm〜10mmの厚みと10mm〜1000mmの円形或いは方形に成形されたフィルムであることが好ましい。半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合材料を微小デバイスとして用いる場合は、数ミクロン以下の厚みと素子サイズが要求されることから、インクジェット法等で成形された1μm〜100μmの厚みと直径の微小固体であることが好ましい。
本発明の半導体ナノ構造体を熱電変換材料に適用すると、従来のカーボンナノチューブ単体の熱電変換材料に比べて、室温付近においてゼーベック係数Sと導電率σとが同時に増強し、熱伝導率κは低下しているので、性能指数(Z=S2σ/κ)が高い。従来のカーボンナノチューブ単体の熱電変換材料の無次元性能指数ZTは10-5程度であるが、本発明の半導体ナノ構造体から作製される熱電変換材料の無次元性能指数ZTは5×10-4を超える結果である。
また、本発明の半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料は、軽量且つ柔軟な性質を有する。そのため、本発明の熱電変換材料は、良好な熱電変換性能を有すると共に、軽量であり柔軟性を有するので、ポータブル部材(ウェアラブルデバイス)用途に十分に適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(1)実施例
・半導体(MoS 2 )ナノプレート
図2に示すコロイド合成法によりMoS2ナノプレート(半導体ナノ構造体)を調製した。
・半導体(MoS 2 )ナノプレート
図2に示すコロイド合成法によりMoS2ナノプレート(半導体ナノ構造体)を調製した。
二口フラスコ中に3.8mmol テトラチオモリブデン酸アンモニウム((NH4)2MoS4)、20mmolトリオクチルアミンを加えた。セプタムと真空ラインに接続した還流管を二口フラスコにセットし、減圧下、温度コントローラを付したマントルヒーターを用いて100℃にて30分間脱気を行った。脱気後、反応系中を窒素ガス(N2)で置換した。マントルヒーターを用いて280℃まで昇温し、1時間反応(還元反応)させた。
空冷により室温まで冷まして反応を終了し、遠心分離法によってMoS2ナノプレートを単離し、エタノールを用いて精製した。
図4〜6は、得られたMoS2ナノプレートの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図6は、MoS2ナノプレートの層の厚さとナノプレートの大きさを示すグラフも記す。図4〜6のSEM写真により、MoS2ナノプレートの直径は100〜400nmであった。図5及び6のSEM写真により、MoS2ナノプレートは1層〜5層の層構成であった。MoS2ナノプレートは、厚さ2nm程度の3層構造や、厚さ3.3nm程度の5層構造を形成していることが分かった。MoS2ナノプレートのアスペクト比は30〜200であった。
コロイド合成法によれば、結晶性が高く、均質なMoS2ナノプレートを高い収率で調製することができた。また、コロイド合成法は、高い反応収率が得られる点、合成のスケールアップが容易である点、合成、精製、加工のプロセスをすべて分散液で行える点でハンドリング性が優れていた。
・半導体(MoS 2 )ナノプレート/SWNT複合材料
図7は、MoS2ナノプレート/単層カーボンナノチューブ(SWNT)複合材料の概念図である。図8に示す方法によりMoS2ナノプレート/SWNT複合材料のシートを調製した。
図7は、MoS2ナノプレート/単層カーボンナノチューブ(SWNT)複合材料の概念図である。図8に示す方法によりMoS2ナノプレート/SWNT複合材料のシートを調製した。
ホモジナイザーを用いて、メチルイソブチルケトン(MIBK)又はジメチルスルホキシド(DMSO)中に5mg SWNTを懸濁させた(SWNT懸濁液)。
このSWNTの懸濁液と5mg MoS2ナノプレートの分散液(MoS2分散液)とを12時間混合した。得られた混合物をメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し、80℃にて真空乾燥することにより、厚さが100μm程度以下のMoS2ナノプレート/SWNT複合材料のフィルムを成形した。
図9は、得られた10 nm-MoS2/SWNT複合材料の透過型電子顕微鏡(TEM)像、炭素マッピング、モリブデンマッピングである。図10は、200 nm-MoS2/SWNT複合材料のSEM写真である。図9及び10の各写真により、SWNT上にMoS2ナノプレートが吸着していることが分かる。
図11及び12は、MoS2/SWNTバッキーペーパーの写真である。MoS2ナノプレートとSWNTとを複合化することで、縦6 mm×横16 mm×厚さ60μmのMoS2ナノプレート/SWNT複合体のフィルム(自立膜、バッキーペーパー)を調製することができた。3nm-SWNTからナローギャップの良導体を調製することができた。MoS2ナノプレート/SWNT複合材料は、高純度(比表面積大)であり、ドーパントに高感度に応答でき、また良質な導電性マトリクスとして期待できる。
・SWNTに対するMoS 2 ナノプレートの自己集合性
MoS2ナノプレート/SWNT複合材料を調製する過程で、MoS2ナノプレートとSWNTとの界面間相互作用を検証した。その結果を図13及び14に示す。
MoS2ナノプレート/SWNT複合材料を調製する過程で、MoS2ナノプレートとSWNTとの界面間相互作用を検証した。その結果を図13及び14に示す。
図13は、MoS2ナノプレート(a)の分散液と、MoS2ナノプレート(a)をSWNTにろ過後のMoS2ナノプレート-SWNTミクスチャーのろ液の吸光度を測定したグラフ(b)である。グラフ(b)より、MoS2ナノプレート(a)の分散液をSWNTに対してろ過すると、MoS2ナノプレート-SWNTミクスチャーのろ液には、元のMoS2ナノプレート(a)の25%が残存していた。つまり、SWNTには75%のMoS2ナノプレート(a)が吸着されることが分かった。
図14は、トリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート(c)の分散液と、トリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート(c)をSWNTにろ過後のトリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート-SWNTミクスチャーのろ液の吸光度を測定したグラフ(d)である。グラフ(d)より、トリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート(c)の分散液をSWNTに対してろ過すると、トリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート-SWNTミクスチャーのろ液には、元のトリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート(c)がほぼ残存していた。つまり、SWNTにはトリオクチルホスフィンで保護したMoS2ナノプレート(c)が吸着されないことが分かった。
上記結果により、MoS2ナノプレートとSWNTとを混合すると、両者が自発的に集合して複合体を形成すること、つまりMoS2ナノプレートはSWNTに対して自己集合性を有することがわかった。そして、この自己集合性は、MoS2のS側の界面によるSWNTに対する吸着であることが推測された。この半導体ナノプレートとカーボンナノチューブとの自己集合性は、本発明で始めて得られた知見である。
(2)試験例
実施例で得られたMoS2ナノプレート/SWNT複合体のフィルムについて、下記の方法でゼーベック係数S、導電率σ、熱伝導率κを求めた。
実施例で得られたMoS2ナノプレート/SWNT複合体のフィルムについて、下記の方法でゼーベック係数S、導電率σ、熱伝導率κを求めた。
以下に熱電特性を評価するための物性値の評価方法を示す。
・ゼーベック係数S(μV/K)
物理特性評価装置(日本カンタムデザイン社製)を用いることで、ゼーベック係数Sを算出した。
物理特性評価装置(日本カンタムデザイン社製)を用いることで、ゼーベック係数Sを算出した。
・電気伝導率(導電率)σ(S/m)
物理特性評価装置(日本カンタムデザイン社製)を用いることで、電気伝導率σを算出した。
物理特性評価装置(日本カンタムデザイン社製)を用いることで、電気伝導率σを算出した。
・熱伝導率κ(W/mK)
物理特性評価装置(日本カンタムデザイン社製)を用いることで、熱伝導率κを算出した。
物理特性評価装置(日本カンタムデザイン社製)を用いることで、熱伝導率κを算出した。
更に、上記ゼーベック係数S、電気伝導率σ、熱伝導率κを基に、パワーファクターS2σ、性能指数Z(=S2σ/κ)及び無次元性能指数ZT(=S2σT/κ、Tは温度(K))を算出した。
・評価結果
図15は、MoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σを示したグラフである。MIBK分散媒を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σ(●)は、SWNTの電気伝導率σ(○)と、同程度に維持できた。また、DMSO分散媒を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σ(■)は、SWNTの電気伝導率σと比べて、増強できた。
図15は、MoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σを示したグラフである。MIBK分散媒を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σ(●)は、SWNTの電気伝導率σ(○)と、同程度に維持できた。また、DMSO分散媒を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σ(■)は、SWNTの電気伝導率σと比べて、増強できた。
図16は、MoS2ナノプレート/SWNT複合体(分散媒としてMIBKを用いて調製した)の熱伝導率κ及び電気伝導率σを示したグラフである。MoS2ナノプレート/SWNT複合体の電気伝導率σ(●)は、SWNTの電気伝導率σ(○)と同程度に維持できた。また、MoS2ナノプレート/SWNT複合体の熱伝導率κ(■)は、SWNTの熱伝導率κ(□)と比べて、低減できた。
図17は、MoS2ナノプレート/SWNT複合体のゼーベック係数Sを示したグラフである。MIBK分散媒(●)及びDMSO分散媒(■)を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体のゼーベック係数Sは、SWNTのゼーベック係数S(○)と比べて、増強できた。
図18は、MoS2ナノプレート/SWNT複合体のパワーファクターS2σを示したグラフである。MIBK分散媒(●)及びDMSO分散媒(■)を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体は、SWNT(○)に比べて、電気伝導率σを増強又は維持でき、ゼーベック係数Sを増強できたので、パワーファクターS2σを増大できた。
図19は、MoS2ナノプレート/SWNT複合体の無次元性能指数ZT(=S2σT/κ)を示したグラフである。MIBK分散媒(●)及びDMSO分散媒(■)を用いて調製したMoS2ナノプレート/SWNT複合体は、SWNT(○)に比べて、電気伝導率σを増強又は維持でき、ゼーベック係数Sを増強でき、更に熱伝導率κを低減できたので、室温付近(300K付近)における無次元性能指数ZTを10倍程度増大できた。従来のカーボンナノチューブ単体の熱電変換材料の無次元性能指数ZTは10-5〜10-4程度であるが、本発明の半導体(MoS2等)ナノプレートから作製される熱電変換材料の無次元性能指数ZTは2×10-3を超える結果である。
これまで、熱電変換材料における熱電変換の無次元性能指数ZTの考え方では、電気伝導率σと熱伝導率κとは正の関係があり、電気伝導率σとゼーベック係数Sとは相反関係があり、無次元性能指数ZTを増大させることは困難であった。しかし、本発明の半導体ナノ構造体(MoS2プレート等)/カーボンナノチューブ(SWNT等)複合体は、熱電変換材料として用い場合に、電気伝導率σを増強又は維持でき、ゼーベック係数Sを増強でき、更に熱伝導率κを低減できた。この結果を基に、熱電変換材料を用いた製品への有用性を検討した。熱電変換材料の適用温度を273K-373Kと仮定すると、E = Ec×Em = 0.26×(8.7×10-4) = 0.02×10-2となる。特定の商業ビルの人工排熱が200,000 MJ/dayとし、前記0.023%熱電素子を用いると、46 MJ(= 12.8 kWh)となる。これは、100W ノートPC 16台を8時間稼動させること、又は5W 携帯端末機器を2560時間充電できる電力に相当する。
本発明の半導体ナノ構造体(好ましくはナノプレート)を熱電変換材料に好適に適用することができる。本発明の半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブ(SWNT等)との相互作用により調製される半導体ナノ構造体(MoS2プレート等)/カーボンナノチューブ複合体では、従来のカーボンナノチューブ単体の熱電変換材料に比べて、室温付近においてゼーベック係数Sと電気伝導率σとを同時に増強でき、熱伝導率κを低減できる。その結果、本発明の半導体ナノ構造体プレート/カーボンナノチューブ複合体では、無次元性能指数ZT(=S2σT/κ)を10倍程度増大できる。
本発明の半導体ナノ構造体を、カーボンナノチューブ(SWNT等)との複合体として用いると、無次元性能指数ZTは、従来の無機半導体/SWNTの中でもトップレベルで好ましいものとなる。また、本発明の半導体ナノ構造体/カーボンナノチューブ複合体は、経時変化がほとんどない。本発明の半導体ナノ構造体は、液体窒素中(-196℃)においても、十分な柔軟性を有している。本発明の半導体ナノ構造体は、熱電変換材料として、例えばヒートシンク、断熱材、空冷ファン、ペルチェ素子等に適用することができる。また、本発明の半導体ナノ構造体は、熱電変換材料として用いると、ウェアラブルデバイス、緊急・災害時における医療機器への電力供給に用いる電源としての用途が可能である。
Claims (11)
- 溶媒中で、(i)金属酸塩、又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることにより得られる、半導体ナノ構造体。
- 前記半導体が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又は、ビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物;コバルト酸化物;チタン酸化物;並びに窒化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の半導体ナノ構造体。
- 前記金属酸塩が、チオ金属酸塩及びジアルキルジチオカルバミン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱還元性を有する金属錯体である、請求項1又は2に記載の半導体ナノ構造体。
- 前記金属塩が、塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩及び水酸化物塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の半導体ナノ構造体。
- 前記カルコゲンが、硫黄、セレン又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体又はトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン及びセレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の半導体ナノ構造体。
- 前記半導体が、4価金属からなるAY2型(Aは、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Yは、硫黄、セレン、テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)、又は3価金属からなるB2Y3型(Bはビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Yは、硫黄、セレン、テルルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)の六方晶構造である、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体ナノ構造体。
- 前記溶媒が、アルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体ナノ構造体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の半導体ナノ構造体とカーボンナノチューブとを含有する複合材料。
- 熱電変換材料である請求項8の複合材料。
- 溶媒中で、(i)金属酸塩又は(ii)金属塩とカルコゲンとの混合物、を加熱分解させることを特徴とする、半導体ナノ構造体の製造方法。
- 前記金属酸塩が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又はビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属のチオ金属酸塩又はジアルキルジチオカルバミン酸塩であり、
前記金属塩が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、又はビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の塩化物塩、臭化物塩、よう化物塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、硝酸塩又は水酸化物塩であり、
前記カルコゲンが、硫黄、セレン又はテルルの金属単体、酸化物、金属酸塩、トリメチルシリル金属錯体又はトリアルキルホスフィン金属錯体、チオウレア、セレノウレア、チオフェン及びセレノフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記溶媒がアルキルアミン、トリアルキルホスフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
前記半導体が、モリブデン、ジルコニウム、レニウム、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の4価金属、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれる少なくとも1種の5価金属、または、ビスマス、アンチモン及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の3価金属の硫化物、セレン化物又はテルル化物である、
請求項10に記載の半導体ナノ構造体の製造方法。
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