以下、本実施形態に係る給湯機1について図1ないし図8を参照して説明する。まず、給湯機1の全体の構成について図1を参照して説明する。なお、以下では、直圧式の給湯機1を例に挙げて説明するが、直圧式でない給湯機に適用してもよい。
図1は、本実施形態に係る給湯機を示す全体構成図である。
図1に示すように、給湯機1は、いわゆる電気給湯機であり、貯湯ユニット2、ヒートポンプユニット3(熱源機)、リモートコントローラ50を含んで構成されている。
貯湯ユニット2は、湯水を貯湯する貯湯タンク11、一般給湯回路20、浴槽給湯回路30、制御装置40を備えている。
ヒートポンプユニット3は、貯湯タンク11から取り出した水の沸き上げなどに用いるものであり、例えば、冷媒(例えば、二酸化炭素)を圧縮して高温・高圧にする圧縮機と、圧縮機からの冷媒を凝縮させるとともに貯湯タンク11からの水を冷媒と熱交換することによって加熱する凝縮器(水熱交換器)と、凝縮器からの冷媒を膨張(減圧)させる膨張弁と、大気中の熱を吸熱して膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器(空気熱交換器)と、を備えて構成されている。
なお、本実施形態では、熱源機として、ヒートポンプユニット3を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、ヒートポンプユニット3に替えて貯湯タンク11内に電気ヒータ(熱源機)を設ける構成であってもよい。これにより、給湯機1の製造コストを下げることができる。
貯湯タンク11は、例えば、ステンレス鋼などの材料によって、円筒形状の胴板と、この胴板の上部の開口を覆う上部鏡板と、胴板の下部開口を覆う下部鏡板との3部材を組み合わせて構成されたものである。
貯湯タンク11の下部11aは、配管12a、三方弁13、配管12bを介してヒートポンプユニット3の導入口3aに接続されている。貯湯タンク11の上部11bは、配管12cを介してヒートポンプユニット3の導出口3bと接続されている。また、配管12cには、貯湯タンク11をバイパスするバイパス配管12dが分岐して接続され、このバイパス配管12dが三方弁13と接続されている。
ちなみに、貯湯タンク11内の温水の温度は、例えば、貯湯タンク11内の下部から上部にわたって、相対的に低温、中温、高温の温度分布となっている。なお、高温水(高温度の水)とは、例えば65℃から90℃の温度範囲のものを意味している。ただし、前記した温度範囲に限定されるものではない。
これにより、貯湯タンク11の下部11aから導出された湯水(例えば、低温水)は、配管12a,12bを介してヒートポンプユニット3で加熱されて温水(例えば、高温水)となった後、配管12cを介して貯湯タンク11の上部11bに導かれ、貯湯タンク11内に貯湯される。
また、貯湯タンク11には、上流から順に、給水源と接続される水道管14、配管15a、ストレーナST、配管15b、逆止弁CV1、配管15c、減圧弁V1、配管15d、逆止弁CV2、配管15eを介して貯湯タンク11の下部11aに接続されるように構成されている。また、配管15cには、給水温度センサTS1が設けられている。また、水道管14は、配管16を介して後記する一般給湯端末21と接続されている。
また、貯湯タンク11には、鉛直方向(図1の上下方向)に沿って、貯湯される温水の温度を検出する複数のタンク温度センサTS2が上部から下部に間隔を置いて配置されている。これらのタンク温度センサTS2によって検出された貯湯タンク11内の温水の温度を示す検出信号は、制御装置40に出力され、給湯機1の各種の制御に使用される。
一般給湯回路20は、台所、洗面所、風呂場などの蛇口やシャワー等の一般給湯端末21に給湯するものであり、供給された湯を一度利用して完了するような利用形態のものを意味している。なお、図1に示す一般給湯端末21は、湯と、配管16からの水(水道水)とを混合して出湯温度を調節可能な混合栓である。
また、一般給湯回路20は、水道管14からの水道水を、減圧弁で減圧せずに一般給湯端末21に供給するものであり(水道直圧給湯)、上流側から順に、配管20a、給湯熱交換器17、配管20b、アキュムレータ22、配管20cを備えて構成されている。また、配管20bには、上流側から順に、給湯温度センサTS3、給湯流量センサFS1が設けられている。また、配管20aの上流端は、配管15cの給水温度センサTS1と減圧弁V1との間に接続されている。
給湯熱交換器17は、水道管14から供給される水道水を、貯湯タンク11内の湯水と熱交換することで加熱するものである。また、給湯熱交換器17で熱を与える側の導入口は、配管18aを介して貯湯タンク11の上部11cと接続されている。また、熱を与える側の導出口は、上流側から順に、配管18b、給湯循環ポンプP1、配管18c、逆止弁CV3、配管18dを介して貯湯タンク11の下部11dと接続されている。
給湯循環ポンプP1は、制御装置40が、給湯流量センサFS1によって検出された流量と給湯温度センサTS3によって検出された給湯温度とに基づいて、リモートコントローラ50で設定された給湯温度となるように給湯循環ポンプP1のモータの回転速度を制御する。これにより、給湯熱交換器17での熱交換率(加熱量)が制御される。
浴槽給湯回路30は、浴槽60に湯はりするための湯はり回路31と、浴槽60に貯留された浴槽水を追いだきする追いだき回路32と、を有している。なお、本実施形態では、湯はり回路31と制御装置40とで湯はり手段が構成され、追いだき回路32と制御装置40とで保温手段が構成されている。
湯はり回路31は、配管18aと浴槽60のアダプタADの一端とが、上流側から順に、配管31a、逆止弁CV4、配管31b、風呂混合弁V2、配管31c、風呂電磁弁V3、配管31d、逆止弁CV5、配管31e、逆止弁CV6、配管31fを介して接続されることで構成されている。また、湯はり回路31は、配管15dの途中と風呂混合弁V2とが、上流側から順に、配管31g、逆止弁CV7、配管31hを介して接続されることで構成されている。
風呂混合弁V2は、制御装置40が、配管31a,31bからの湯(高温水)と配管31g,31hからの水(低温水)との混合比率を制御することで、リモートコントローラ50で設定された風呂温度となるように構成されている。
風呂電磁弁V3は、制御装置40によって浴槽60の湯はり時に開弁されるON/OFF式の弁(遮断弁)である。
また、湯はり回路31の配管31eには、風呂流量センサFS2が設けられ、逆止弁CV6からアダプタADに至る配管31fには、上流側から順に、水位センサLS、風呂戻り温度センサTS4が設けられている。また、湯はり回路31には、配管31cと配管31eとに跨って接続される逆流防止装置36が設けられている。この逆流防止装置36は、例えば、二次側(浴槽60側)から一次側への逆流を防止するものであり、浴槽60からの逆流水を外部に排出する排水管を備えている。
このように、湯はり回路31では、貯湯タンク11内の湯を直接に使用することにより、熱交換によって給湯を行う場合よりも熱効率を高めることができる。
追いだき回路32は、追いだき熱交換器33の導入口33aと配管31fとが、上流側から順に、配管34a、風呂循環ポンプP2、配管34b、水流スイッチFSW、配管34c、循環調整弁V4、配管34dを介して接続されることで構成されている。また、配管34aの上流端は、配管31fの逆止弁CV6と水位センサLSとの間に接続されている。
また、追いだき回路32は、追いだき熱交換器33の導出口33bと浴槽60のアダプタADの他端とが配管34eを介して接続されることで構成されている。また、追いだき回路32には、追いだき熱交換器33をバイパスする配管34fが、循環調整弁V4と配管34eとを接続するように構成されている。また、配管34eには、配管34fの接続点と導出口33bとの間に追いだき温度センサTS5が設けられている。
追いだき熱交換器33は、コイル状に巻回して構成されたものであり、貯湯タンク11内の上部に配設され、追いだき熱交換器33内を流れる浴槽水と、貯湯タンク11内の湯とで熱交換できるように構成されている。
なお、本実施形態では、追いだき回路32として、追いだき熱交換器33を備える場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、追いだき熱交換器33に替えて電気ヒータなど他の追いだき用の加熱手段を備えていてもよい。
循環調整弁V4は、制御装置40によって開度が調整されることで、配管34f側への流量と追いだき熱交換器33側への流量を調整する機能を有している。
風呂循環ポンプP2は、制御装置40によって駆動されることにより、浴槽60に貯留された浴槽水を配管31f,34aを介して吸引し、配管34b,34cを介して循環調整弁V4に向けて吐出するように構成されている。
水流スイッチFSWは、流体(例えば、浴槽水)が流れることでONになり、流体の流れが無くなることでOFFになる機構を備えたスイッチである。このときのON信号は、制御装置40に出力される。
なお、図1に示す逆止弁CV1〜CV7は、図中矢印で示す方向の流れのみを許容する弁である。また、配管18aには、逃がし弁(不図示)を備えた配管18eが分岐して接続されている。また、配管18dには、貯湯タンク11内の湯水を外部に排出するための排水弁(不図示)を備えた排水管18fが分岐して接続されている。
また、本実施形態では、給水源として水道水の場合を例に挙げて説明したが、水道水に限定されるものではなく、井戸水などであってもよい。
図2は、本実施形態に係る給湯機における制御装置とリモートコントローラとの関係を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置40は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェイスなどで構成され本体側マイコン(マイクロコンピュータ)41、本体側データ記憶手段42、通信部43などを備えている。
本体側データ記憶手段42は、本体側マイコン41での制御用データが記憶されている。なお、制御用データとは、例えば、設定類のデータであり、風呂の初期データ、後記する基準水位、所定期間(例えば、1週間)の熱量データ、給湯の設定、風呂の設定、沸き上げの設定などに関するデータである。通信部43は、制御装置40を構成する基板の外部(リモートコントローラ50)とで通信を行う機能を有している。
また、制御装置40は、各タンク温度センサTS2で検出されたタンク内温度(検出値)、給湯流量センサFS1および風呂流量センサFS2で検出された流量(検出値)、水位センサLSで検出された浴槽60の水位(検出値)、給水温度センサTS1、給湯温度センサTS3、風呂戻り温度センサTS4および追いだき温度センサTS5で検出された温度(検出値)、水流スイッチFSWで検出されたON信号をそれぞれ取得する。また、制御装置40は、後記する風呂リモコン51からの各種操作信号、台所リモコン52からの各種操作信号を取得する。
リモートコントローラ50は、例えば風呂リモコン51と台所リモコン52とで構成され、制御装置40と接続されている。風呂リモコン51および台所リモコン52は、それぞれ、人為操作を行う操作部53、各種情報を表示する表示部54、各種動作を制御するリモコン側マイコン55、前記通信部43と通信を行う通信部56などを備えている。
図3は、リモコンのパネル構成の一例を示す構成図である。
図3に示すように、風呂リモコン51は、操作部53および表示部54を備え、浴室内の所定の位置(例えば、浴槽60の位置よりも所定以上の高さ)に取り付けられる。なお、台所リモコン52についても、操作部および表示部を備え、台所の所定の位置に取り付けられる。
操作部53は、例えば、風呂リモコン51の電源投入用のリモコン切/入ボタン53a、浴槽60の湯はりを開始するふろ自動ボタン(湯はり開始ボタン)53b、上下左右の方向ボタン53c、決定ボタン53dなど各種の操作ボタンを備えている。
表示部54は、液晶パネルなどで構成され、例えば、現在時刻、浴槽60の風呂設定温度、設定水位、給湯設定温度、貯湯タンク11内の状態などがメイン画面として表示される。なお、表示部54は、液晶パネルに限定されるものではなく、光源として発光ダイオードを用いて表示させるものであってもよい。
次に、本実施形態に係る給湯機1の湯はり運転について図4を参照(適宜、図1ないし図3を参照)して説明する。図4は、湯はり運転時の制御を示すフローチャートである。
まず、利用者(ユーザ)が風呂リモコン51に設けられたふろ自動ボタン53bを押圧操作すると、制御装置40は、風呂リモコン51からの湯はり開始信号を取得し、ステップS10において、浴槽60に残水無しか否かを判定する。制御装置40は、残水無しと判定した場合には(S10、Yes)、ステップS20に進み、また残水有りと判定した場合には(S10、No)、ステップS70に進む。
この残水有無の判定において、制御装置40は、循環調整弁V4の開度を調整して配管34cと配管34fとを連通させた状態(流体の全量が配管34cから配管34fに流れる状態)で、風呂循環ポンプP2を所定時間(例えば、20秒)駆動させる。これにより、制御装置40が水流スイッチFSWがオンではないと判定すると、浴槽60に残水が無いと判定し、逆に水流スイッチFSWがオンであると判定すると、浴槽60に残水が有ると判定する。
ステップS20において、制御装置40は、基準水量まで浴槽60へ給湯する。なお、基準水量とは、浴槽60のアダプタADの全体が浸かるまでの水量である。すなわち、制御装置40は、風呂電磁弁V3を開弁するとともに、貯湯タンク11からの湯と水道管14からの水との混合比率が、風呂リモコン51で設定された風呂温度(設定温度)となるように風呂混合弁V2の開度を調整して浴槽60に給湯する。また、基準水量の湯が浴槽60に供給されたか否かは、風呂流量センサFS2によって判定される。制御装置40は、基準水量の湯を供給後、風呂電磁弁V3を閉弁する。
そして、ステップS30に進み、制御装置40は、再び浴槽60に残水無しか否かを判定する。制御装置40は、残水無しと判定した場合には(S30、Yes)、ステップS40に進み、また残水有りと判定した場合には(S30、No)、ステップS70に進む。ステップS30においても、ステップS10と同様に、風呂循環ポンプP2を所定時間駆動して判定する。
なお、このとき、循環調整弁V4は、ステップS10の場合と同様に、配管34cと配管34fとが連通する状態に設定されている。これにより、制御装置40が、水流スイッチFSWがオンではないと判定すると、浴槽60に残水が無いと判定し、逆に水流スイッチFSWがオンであると判定すると、浴槽60に残水が有ると判定する。
ステップS40において、制御装置40は、浴槽60に所定水量の湯を給湯する。所定水量は、例えば、20リットルに設定される。このとき浴槽60に給湯を行うには、ステップS20と同様に、風呂電磁弁V3を開弁するとともに、風呂リモコン51で設定された風呂温度となるように風呂混合弁V2が制御されて貯湯タンク11からの湯と水道管14からの水との混合比率が調整される。なお、所定水量が給湯されたか否かは、風呂流量センサFS2によって判定される。制御装置40は、所定水量を給湯後、風呂電磁弁V3を閉弁する。
そして、ステップS50に進み、制御装置40は、再び浴槽60に残水無しか否かを判定する。制御装置40は、残水無しと判定した場合には(S50、Yes)、ステップS60に進み、残水有りと判定した場合には(S50、No)、ステップS70に進む。
ステップS60において、制御装置40は、浴槽60の底に設けられた栓が抜けていることを示す「栓抜けエラー」を発報して、湯はり運転を終了する。なお、「栓抜けエラー」は、ユーザに対して音声やブザー(警告音)で知らせるものであってもよく、表示部54にその旨を表示してもよく、またはこれらを組み合わせてもよい。
ステップS10、ステップS30およびステップS50で残水有りと判定されると、ステップS70に進み、制御装置40は、浴槽60の水位をチェックする。なお、浴槽60の水位は、水位センサLSによって検出される。
そして、ステップS80に進み、制御装置40は、ステップS70で検出した浴槽60の現在の水位と、風呂リモコン51に設定されている湯はり終了時の水位(設定水位)とを比較して、現在の水位から設定水位までに必要な追加給湯量と、追加湯温とを算出する。
そして、ステップS90に進み、制御装置40は、ステップS80で算出された追加給湯量を追加湯温にて浴槽60へ給湯する。すなわち、風呂電磁弁V3を開弁するとともに、追加湯温となるように風呂混合弁V2での湯(高温水)と水(低温水)との混合率を調整する。
追加給湯量を追加湯温にて給湯後、ステップS100において、制御装置40は、風呂リモコン51の設定温度を比較し、浴槽60の湯の温度補正を実施する。すなわち、制御装置40は、風呂戻り温度センサTS4によって検出した浴槽60の現在の温度と、風呂リモコン51に設定された風呂温度(設定温度)とを比較し、設定温度に対して所定の温度範囲外であれば、温度補正を実行する。なお、所定の温度範囲は、例えば、プラスマイナス1℃に設定される。この温度補正が完了した時点で湯はり運転が終了する。
なお、湯はり運転時には、風呂混合弁V2および風呂電磁弁V3を通って供給された湯は、配管31fを通ってアダプタADの一端を介して浴槽60に供給されるとともに、配管31fに分岐して接続された配管34a、配管34b,34c,34fおよび配管34eの一部を通ってアダプタADの他端を介して浴槽60に供給されるようになっている。これにより、湯はりに要する時間を短縮できる。
次に、本実施形態に係る給湯機1の保温運転について図5ないし図7を参照(適宜、図1ないし図3を参照)して説明する。図5は保温運転時の制御を示すフローチャート、図6は追いだき時間の設定変更画面の表示例を示す図、図7は保温運転時のリモコン画面の表示例を示す図である。
なお、保温運転とは、浴槽60内にはられた湯(浴槽水)を、時間間隔を置いて追いだき運転(加熱運転)を自動で行うことで、設定された風呂温度を維持する運転を意味する。なお、保温運転は、風呂リモコン51にて保温時間が設定されている場合に作動する。例えば、保温時間が2時間に設定されている場合には、湯はり運転終了後から2時間後まで保温運転が実行される。
ステップS110において、制御装置40は、湯はり運転が終了してから所定時間Tが経過したか否かを判定する。制御装置40は、所定時間Tが経過していないと判定した場合には(S110、No)、ステップS120に進み、所定時間Tが経過していると判定した場合には(S110、Yes)、ステップS160に進む。
なお、所定時間Tは、浴槽水が設定温度を下回って追いだきを必要とする時間であり、風呂リモコン51に設定されている初期値(例えば、15分)に設定される。なお、初回の所定時間Tは、湯はり運転終了から第1回目の追いだき運転が開始されるまでの時間間隔である。なお、一度、追いだき運転が開始された2回目以降の所定時間Tは、前回の追いだき運転と次回の追いだき運転との間の時間間隔(インターバル時間)となる。また、所定時間(インターバル時間)Tは、本体側データ記憶手段42に記憶され、本体側マイコン41が必要に応じて読み込むようになっている。
ステップS120において、制御装置40は、次回の追いだき時間が変更されたか否かを判定する。すなわち、ユーザが風呂リモコン51を操作して、次回の追いだき時間の残り時間を変更したか否かを判定する。ステップS120において、制御装置40は、次回の追いだき時間が変更されたと判定した場合には(Yes)、ステップS130に進み、次回の追いだき時間が変更されていないと判定した場合には(No)、ステップS140に進む。
例えば、図6に示すように、風呂リモコン51の表示部54には、風呂リモコン51の操作部53に対して所定の操作(例えば、メニュー画面を表示させて、対応する項目を選択する)を行うことにより次回の追いだき時間を変更する設定変更画面が表示される。この設定変更画面には、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間が表示される。図6に示す設定変更画面から、操作部53の上下の方向ボタン53cを操作することにより、残り時間を延長または短縮することができ、設定変更後に決定ボタン53dを操作することにより、次回の追いだき時間の変更が確定される。残り時間の変更が確定されると、残り時間に関する信号が、通信部56と制御装置40の通信部43とを介して本体側データ記憶手段42に送られて記憶され、変更された残り時間に基づいて保温運転が継続される。
具体的には、図6に示す画面を表示させた後、操作部53の上向きの方向ボタン53cを押下げした場合、次回の追いだき時間が30分であったときに、31分→32分→・・・と1分刻みで変更することができる。なお、変更可能な時間は、1分刻みに限定されるものではなく、1秒刻み、2分刻み、5分刻み、10分刻み、または1時間刻みなどであってもよい。また、操作部53の下向きの方向ボタン53cを押下げした場合は、次回の追いだき時間が30分であったときに、29分→28分→・・・と1分刻みで変更することができる。また、この場合も、1分刻みに限定されるものではなく、1秒刻み、2分刻み、5分刻み、10分刻み、または1時間刻みなどであってもよい。
例えば、現在表示されている残り時間よりも後に入浴を予定している場合には、その入浴時間に合わせて、残り時間が現在の残り時間よりも長くなるように上向きの方向ボタン53cを操作して設定変更する。このように、次回追いだきまでの残り時間を延長(増加)することにより、入浴が行われるまでの間に無駄に追いだき運転が行われることがなくなるので、例えば風呂循環ポンプP2を無駄に駆動させたりすることがなくなり、省エネを図ることが可能になる。
また、現在表示されている残り時間よりも前に入浴を予定している場合には、その入浴時間に合わせて、残り時間が現在の残り時間よりも短くなるように下向きの方向ボタン53cを操作して設定変更する。このように、次回追いだきまでの残り時間を短縮することにより、入浴時に風呂温度が低すぎるといった不都合を防止できる。
図5に戻り、ステップS130において、制御装置40は、所定時間TをT±αに設定変更する。なお、αは、増減された時間であり、αが加算された場合には所定時間Tが延長され、αが減算された場合には所定時間Tが短縮される。例えば、所定時間Tが15分である場合、10分経過後に、30分延長されたときには、(15分−10分)+30分=35分となり、35分が新たな所定時間T(次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間)として設定される。また、所定時間Tが15分である場合、3分経過後に10分短縮されたときには、(15分−3分)−10分=2分となり、2分が新たな所定時間T(次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間)として設定される。また、次回の追いだきまでの時間が変更されて確定した場合には(S120、Yes、S130)、所定時間(T)のカウントダウン処理を一度リセットして、新たに設定された所定時間(T±α)に基づいてカウントダウン処理を実行する。
一方、次回追いだき時間が変更されていない場合には、ステップS140において、制御装置40は、所定時間TをT−1とする。例えば、所定時間Tが15分である場合、1分が経過しているときには、15分−1分=1分、2分が経過しているときには、15分−2分=13分、3分が経過しているときには、15分−3分=12分、・・・、とカウントダウンするように、次回の追いだき運転が開始されるまで実行される。
そして、ステップS150に進み、制御装置40は、次回の追いだき運転開始までの残り時間を表示部54に表示する。つまり、次回の追いだき運転開始の時間が変更された場合には、表示部54に、変更後の追いだき開始までの残り時間が表示され、時間の経過とともに、カウントダウン表示される。また、次回の追いだき運転開始の時間が変更されていない場合には、表示部54に、時間の経過とともにカウントダウン表示される。なお、カウントダウン表示は、例えば、1分刻み(15分→14分・・・2分→1分)で切り替わる。
例えば、図7に示すように、表示部54には、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間が表示される。なお、図7に示す画面は、保温中連続的に表示させてもよく、または図3に示すメイン画面と交互に表示させてもよく、または操作部53の所定操作によって表示させてもよく、または図3に示すメイン表示画面に組み込んで一緒に表示させてもよく、適宜変更することができる。または、図7に示す画面とともに風呂リモコン51に設けられたスピーカを介して残り時間を音声で知らせるようにしてもよい。
このように、次回の追いだき開始までの残り時間を自由に変更できることによって、ユーザの入浴時間に合わせて追いだき運転を実行させるといった追いだきの予約機能としても活用することができ、ユーザに対する利便性を向上させることができる。
一方、ステップS110において、制御装置40は、所定時間Tが経過したと判定した場合には(Yes)、ステップS160に進み、風呂循環ポンプP2をONする(駆動を開始する)。すなわち、制御装置40は、循環調整弁V4の開度を調整して配管34cと配管34fとを連通させた状態で、風呂循環ポンプP2を所定時間ONにする。これにより、浴槽60内の浴槽水が、配管31fの一部、配管34a,34b,34c,34f、配管34eの一部を通るようにして循環する。なお、所定時間は、例えば1分に設定される。
そして、ステップS170に進み、制御装置40は、風呂戻り温度センサTS4で風呂温度(浴槽水の温度)を検知する。このように、浴槽水を循環させた後に風呂温度を検知することにより、浴槽水が均一に混ざり合った状態で検知できるので、風呂温度を正確に検知することが可能になる。
そして、ステップS180に進み、制御装置40は、ステップS170で検知した風呂温度が風呂リモコン51で設定されている設定温度未満であるか否かを判定する。制御装置40は、風呂温度が設定温度未満であると判定した場合には(S180、Yes)、ステップS190に進み、風呂温度が設定温度未満でないと判定した場合には(S180、No)、ステップS210に進む。
ステップS190において、制御装置40は、弁制御を実行する。すなわち、制御装置40は、風呂戻り温度センサTS4と追いだき温度センサTS5で検知したそれぞれの温度により、風呂温度が設定温度になるように循環調整弁V4の開度を調整する。なお、循環調整弁V4の開度を調整するとは、風呂循環ポンプP2により取り込んだ浴槽水を、追いだき熱交換器33に接続される配管34dと、追いだき熱交換器33をバイパスする配管34fとに分配する流量を適宜調整することを意味している。
そして、ステップS200に進み、制御装置40は、風呂温度が設定温度(例えば、設定温度と同じ)であるか否かを判定する。なお、このときの風呂温度は、風呂戻り温度センサTS4によって検知する。ステップS200において、制御装置40は、風呂温度が設定温度でないと判定した場合には(No)、ステップS200の処理を繰り返し、風呂温度が設定温度であると判定した場合には(Yes)、ステップS210に進み、風呂循環ポンプP2をOFF(停止)する。
また、ステップS180において、制御装置40は、風呂温度が設定温度未満でないと判定した場合には(No)、ステップS210に進み、弁制御(S190)を実行することなく、風呂循環ポンプP2をOFF(停止)して、リターンする。
なお、S160〜S210の一連の処理が実行された場合には(弁制御が実行された場合と実行されない場合を含む)、風呂リモコン51に設定されている所定時間Tに基づいて保温運転を継続する。また、保温運転中に、ふろ自動ボタン53bがOFFにされた場合には、直ちに保温運転を終了する。
また、ステップS110において風呂リモコン51に初期値として設定される所定時間Tを可変にする構成を給湯機1に追加してもよい。すなわち、このときの所定時間Tは、設定温度と追いだき運転開始時に検出した風呂戻り温度により算出される。このように、季節や地域など風呂温度が低下し易い度合に応じて、所定時間Tを可変に(風呂温度が低下し難い場合には所定時間Tを長く)することにより、省エネに対応した保温運転を実行することができる。なお、初期の所定時間Tを常に同じ時間とする構成にしてもよく、所定時間Tを可変および同じする構成をユーザの好みにより適宜切り替えることが可能な構成を備えていてもよい。
このように、本実施形態の給湯機1では、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間を表示部54に表示させることで、ユーザ(給湯機1の利用者)が次回の追いだき運転がいつ作動するか否かを容易に判断することができるので、ユーザが入浴に最適なタイミングを判断することができ、ユーザに対する利便性を向上させることができる。
また、本実施形態の給湯機1では、通常の保温運転時において表示部54に、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間を表示させるだけではなく、図8に示すように、例えば、保温運転に不具合が発生したときの点検時(メンテナンス時)に、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間を表示させるようにしてもよい。
これにより、メンテナンス業者が、保温運転が正常に動作しているか否かを確認するために、風呂リモコン51に図8の画面を表示させて、追いだき運転が開始されるタイミングを確認することが可能となり、追いだき運転が開始されるまでの間に他のメンテナンス作業を行うことが可能になり、メンテナンス作業の効率化を図ることができ、メンテナンス業者に対する利便性を向上させることができる。
また、メンテナンス時に、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間とともに、予め設定されている追いだき運転のインターバル時間を表示部54に表示させることで(図8参照)、前回の追いだき運転の終了からの経過時間(例えば、インターバル時間−次回追いだきまでの時間=60分−40分=20分)を確認することができ、経過時間での実際の浴槽水の温度と比較することで、追いだき運転の動作状況を判断することが可能になる。例えば、経過時間が短時間であるにも拘らず、浴槽60の温度が低い場合には、追いだき運転に不具合が発生していると直ちに判断することができ、メンテナンス業者に対する利便性を向上させることができる。
また、メンテナンス時だけではなく、通常の保温運転時においても、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間とともに、予め設定されている追いだき運転のインターバル時間を表示部54に表示させることで(不図示)、ユーザが現在のインターバル時間を目で実際に確認することができるので、現在省エネ運転で動作していることを容易に判断することができ、ユーザに対する利便性を向上させることができる。
このように、風呂リモコン51の表示部54に、次回の追いだき運転が開始されるまでの残り時間を表示すること、また残り時間とインターバル時間を併記して表示することで、ユーザだけではなくメンテナンス業者にとっても利便性を向上させることが可能になる。
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。例えば、本実施形態では、貯湯タンク11内の湯(高温熱媒体)と水道管14からの水とを給湯熱交換器17にて熱交換して一般給湯を行う直圧式の給湯機1を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではなく、貯湯タンク11内の湯と水道管14からの水とを混合して、一般給湯を行う給湯機であってもよく、また貯湯タンク11内の高温熱媒体と水道管14からの水(低温水)とを熱交換して、一般給湯および浴槽給湯を行うタイプの給湯機であってもよい。
また、本実施形態では、貯湯タンク11の上部11cから取り出した湯(高温水)と水とを風呂混合弁V2で混合して浴槽給湯を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、貯湯タンク11の中間部に、中間取出部の配管を設けて、この中間取出部から取り出した貯湯タンク11内の中温水と、貯湯タンク11の上部から取り出した高温水とを第二の風呂混合弁で混合する構成を追加してもよい。なお、湯はり時において中温水を積極的に取り出して少なくすることで、ヒートポンプユニット3の効率(COP:Coefficient Of Performance)を向上させることができる。